JP2010019577A - 粉砕ミルの寿命評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粉砕ローラの摩耗により振動応力レベルが上昇することを考慮し、寿命評価の精度の向上を図った粉砕ミルの寿命評価方法を提供する。
【解決手段】新品粉砕ミルと所定時間運転した旧品粉砕ミルの応力集中部のひずみを測定すると共に、これに基づいて応力−頻度ヒストグラムを原料供給量ごとに作成し、疲労強度線図と応力−頻度ヒストグラムから等価振動応力を求めると共に、その等価振動応力から新品粉砕ローラと旧品粉砕ローラの1サイクルでの損傷度を求め、1サイクルでの損傷度と運用時間の関係を設定しておき、次に、寿命評価を行う粉砕ミルのこれまでの運用実績から、1サイクルでの損傷度を求め、その1サイクルでの損傷度から任意の運用時間での応力−頻度ヒストグラムを作成し、これを基に任意の運用時間までの損傷度を累積した累積損傷度により寿命を予測する。
【選択図】図1

Description

本発明は、石炭を微粉砕する粉砕ミルの寿命評価方法に係り、特に、その粉砕ミルの運用を考慮して寿命を評価できる粉砕ミルの寿命評価方法に関するものである。
石炭焚きボイラ設備などでは、石炭原料を細かく粉砕して微粉炭とするために微粉炭ミルが用いられている。
図8に示すように、微粉炭ミル81は、駆動装置82により回転駆動される回転テーブル83と、その回転テーブル83上に供給された原料(石炭)を粉砕する粉砕ローラ84とを備える。これら回転テーブル83および粉砕ローラ84は、ケーシング85で覆われており、粉砕ローラ84はローラピボット86を介してケーシング85に固定されている。
この微粉炭ミル81では、回転テーブルの上方に設けられた給炭管87から回転テーブル83上に原料を供給し、粉砕ローラ84を回転テーブル83に押し付けることで原料を粉砕している。所定粒径まで粉砕された原料は、ケーシング85下部に設けられた空気供給管88から供給される空気により吹上げられ、上方のセパレータ89に移動される。
このセパレータ89は、セパレータ駆動装置90により回転駆動されており、粉砕された原料はここで分級されて、微粉炭のみがケーシング85上部に設けられた微粉炭管91から排出され、残りは回転テーブル83に戻されて再び粉砕される。
この微粉炭ミル81のような粉砕ミルでは、回転テーブル83やセパレータ89の回転によりケーシング85が固有の振動数で振動しており、他方、粉砕ローラ84では、原料の粉砕によりランダム振動している。そのため、形状的に応力が集中する部位では,繰り返し応力がかかることによって疲労亀裂が発生する。
応力集中部(クリティカルポイント)での疲労き裂の発生は不可避であり、事前にこれらを交換するため、粉砕ミルの寿命を予測できる寿命評価方法が望まれている。
これに関し、粉砕ミルの寿命評価方法ではないが、他の構造物の寿命評価方法として、疲労センサや歪ゲージを用いて構造物の負荷状態を計測し、その結果に基づいて寿命を推定する方法(例えば、特許文献1〜5参照)が知られている。
この方法では、疲労センサや歪ゲージを構造物の応力集中部に取り付けてその応力を測定し、その測定結果に基づいて応力−頻度ヒストグラムを作成すると共に、応力集中部での疲労強度線図(SN線図)を作成し、さらに、これらを用いて単位時間あたりの損傷度を算出し、算出した損傷度からその構造物の寿命を推定している。
特開2006−329837号公報 特開2004−191340号公報 特開平10−185854号公報 特開2003−4599号公報 特開平6−323962号公報
しかしながら、この寿命評価方法を粉砕ミルにそのまま適用することはできないという問題がある。
すなわち、粉砕ミルでは、セパレータ89や回転テーブル83、あるいは粉砕ローラ84などが振動源となり、その振動が原料供給量(給炭量)でも変化し、さらに、運用時間によっても発生応力レベルが変化するため、略一定の条件で応力がかかる構造物と同様に寿命を評価することはできない。
従来における粉砕ミルの寿命評価は、設計図面を流用し、応力集中部の材料強度などを用いて疲労強度線図を作成すると共に、これを過去の損傷実績などと照らし合わせて設計疲労強度線図を作成し、これを用いて寿命評価を行うのみであった。
しかし、例えば、起動停止回数が多い粉砕ミルより、起動停止回数の少ない粉砕ミルの方が早く疲労損傷(疲労き裂)が発生する場合があり、従来方法でこの現象を説明することはできなかった。
本発明者は、この原因について鋭意検討を行った結果、粉砕ミルでは、運用時間が長くなると粉砕ローラ84が摩耗し、この粉砕ローラ84の摩耗によりランダム振動の振動レベルが上昇していることを見出した。
つまり、運用時間が長くなるほど粉砕ローラ84が摩耗し、その摩耗により原料粉砕によるランダム振動の振動レベルが上昇し、そのランダム振動による応力集中部での発生応力レベルが上昇してしまい、粉砕ミルの寿命(疲労き裂発生)に影響を及ぼしていると考えられる。
従来の寿命評価方法では、この粉砕ローラ84の摩耗による発生応力レベルの上昇を考慮していないため、粉砕ミルの寿命を精度よく評価できなかった。よって、粉砕ローラ84の摩耗による応力レベルの上昇を考慮した寿命評価方法が望まれる。
そこで、本発明の目的は、粉砕ローラの摩耗により発生応力レベルが上昇することを考慮し、寿命評価の精度の向上を図った粉砕ミルの寿命評価方法を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、ケーシング内に回転自在に設けられた回転テーブルと、その回転テーブル上に回転自在に支持され、前記回転テーブル上に供給される原料を粉砕する粉砕ローラとを備えた粉砕ミルの寿命を評価する粉砕ミルの寿命評価方法において、新品粉砕ミルと所定時間運転した旧品粉砕ミルの応力集中部にセンサを取り付け、これら粉砕ミルの起動から停止までを1サイクルとしてひずみを測定して、その応力−頻度ヒストグラムを作成すると共に、原料供給量ごとの応力−頻度ヒストグラムを作成し、他方、粉砕ミルの応力集中部の疲労強度線図を過去の損傷実績から設定しておき、その疲労強度線図と前記応力−頻度ヒストグラムから等価振動応力を求めると共に、その等価振動応力から新品粉砕ローラと旧品粉砕ローラの1サイクルでの損傷度を求め、1サイクルでの損傷度と運用時間の関係を設定しておき、次に、寿命評価を行う粉砕ミルのこれまでの運用実績から、その粉砕ミルの1サイクルでの損傷度を推定し、その1サイクルでの損傷度から任意の運用時間での応力−頻度ヒストグラムを作成できるようになし、これを基に任意の運用時間までの損傷度を累積して累積損傷度を算出し、その累積損傷度により寿命を予測する粉砕ミルの寿命評価方法である。
請求項2の発明は、前記新品粉砕ミルと前記旧品粉砕ミルの応力−頻度ヒストグラムは、起動時、通常運転時、停止時の各運転パターンごとに作成される請求項1記載の粉砕ミルの寿命評価方法である。
請求項3の発明は、前記新品粉砕ミルと前記旧品粉砕ミルの応力−頻度ヒストグラムを、原料供給量ごとに、かつ各運転パターンごとに作成し、これを基にそれぞれの等価振動応力を求める請求項2記載の粉砕ミルの寿命評価方法である。
請求項4の発明は、起動時、通常運転時、停止時の各運転パターンの等価振動応力から損傷度をそれぞれ求め、これを足し合わせて1サイクルでの損傷度を求める請求項1〜3いずれかに記載の粉砕ミルの寿命評価方法である。
請求項5の発明は、前記新品粉砕ミルと前記旧品粉砕ミルの1サイクルでの損傷度を、原料供給量が同じ条件でそれぞれ求めておき、前記新品粉砕ミルから前記旧品粉砕ミルの運用時間をスケールに、1サイクルでの損傷度と運用時間の関係を設定するようにした請求項1〜4いずれかに記載の粉砕ミルの寿命評価方法である。
請求項6の発明は、前記新品粉砕ミルと前記旧品粉砕ミルの1サイクルでの損傷度は、原料供給量に応じた応力−頻度ヒストグラムの等価振動応力を加味して求める請求項1〜5いずれかに記載の粉砕ミルの寿命評価方法である。
請求項7の発明は、前記累積損傷度は、前記任意の運用時間での応力−頻度ヒストグラムから等価振動応力を求めると共に、その等価振動応力から損傷度を算出し、その損傷度を累積して求められる請求項1〜6いずれかに記載の粉砕ミルの寿命評価方法である。
請求項8の発明は、前記累積損傷度は、前記任意の運用時間での応力−頻度ヒストグラムから総運転時間での応力−頻度ヒストグラムを作成し、その総運転時間での応力−頻度ヒストグラムを基に算出される請求項1〜6いずれかに記載の粉砕ミルの寿命評価方法である。
本発明によれば、粉砕ローラの摩耗により発生応力レベルが上昇することを考慮して寿命評価を行うことにより、粉砕ミルの寿命を精度よく評価することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
本発明は、図8で説明した微粉炭ミルなどの粉砕ミルの応力集中部に疲労き裂が発生するのを予測する寿命評価方法である。
従来の疲労強度線図のみを用いた寿命評価方法では、粉砕ミルの寿命を精度よく評価できないという問題があった。
そこで、本発明者は、この原因について鋭意検討を行い、その結果、粉砕ローラの摩耗により発生応力レベルが上昇し、粉砕ミルの寿命評価に影響を与えることを見出した。
図2に示すように、起動から停止までを1サイクルとして、所定時間運転した旧品粉砕ミル(図示破線)と新品粉砕ミル(図示実線)の応力集中部での発生応力レベルを比較したところ、起動時、停止時には旧品粉砕ミルの方が新品粉砕ミルよりも発生応力レベルが低いものの、通常運転時には旧品粉砕ミルの発生応力レベルが新品粉砕ミルの発生応力レベルよりも上昇していることが分かった。
通常運転時に旧品粉砕ミルの方が新品粉砕ミルよりも発生応力レベルが上昇する理由としては、粉砕ローラの摩耗のためであると考えられ、粉砕ローラの摩耗によりランダム振動の振動レベルが上昇してしまい、発生応力レベルが上昇していると考えられる。
図2において起動時、および停止時に発生応力レベルが大きくなるのは、原料が供給されていない、あるいは原料供給量が少ないために、粉砕ローラが回転テーブルと直接接触してしまい、大きな発生応力レベルが生じているためである。
以上の結果から、本発明者は、粉砕ローラの摩耗により振動応力レベルが上昇することを考慮して粉砕ミルの寿命を評価し得る寿命評価方法について研究を重ね、本発明に至った。
さて、図1は、本実施形態に係る粉砕ミルの寿命評価方法のフローチャートである。
図1に示すように、本実施形態に係る粉砕ミルの寿命評価方法は、新品粉砕ミル(運用時間:0時間)と所定時間運転した旧品粉砕ミル(運用時間:x時間)の1サイクルでの損傷度を求め、その損傷度から1サイクルでの損傷度と運用時間の関係を求める工程(ステップS1〜S7)と、その1サイクルでの損傷度と運用時間の関係を用いて、寿命評価を行う粉砕ミルの累積損傷度を算出し、寿命の評価を行う工程(ステップS8〜S9)とからなる。
まず、新品粉砕ミルと旧品粉砕ミルの1サイクルでの損傷度を求め、その損傷度から1サイクルでの損傷度と運用時間の関係を求める工程(ステップS1〜S7)について説明する。
ステップS1で用いる新品粉砕ミルおよび旧品粉砕ミルは、寿命評価を行う粉砕ミルと同型のものである。本実施形態では、旧品粉砕ミルとして、26000時間稼働したものを用いた。
ステップS1では、新品粉砕ミル(あるいは旧品粉砕ミル、あるいは寿命評価を行う粉砕ミル)を固有振動解析(FEM)し、疲労き裂発生に対する応力集中部(クリティカルポイント)を抽出する。本実施形態では、低次の3モード程度のモーダルストレス分布から応力集中部を抽出した。抽出される応力集中部は、例えば、ローラピボットや空気供給管とケーシングの接続部などである。
ステップS2では、ステップS1で抽出した応力集中部に疲労センサや歪ゲージなどのセンサを貼り付けて、新品粉砕ミルと旧品粉砕ミルの起動時、通常運転時、停止時の各運転パターンでの負荷状態(ひずみ変動)を計測する。通常運転時については、原料供給量ごとに負荷状態を計測しておく。センサにより計測されるひずみ変動の波形の一例を図3に示す。
ステップS3では、ステップS2で得た応力集中部での各運転パターンのひずみ波形を応力頻度解析し、新品粉砕ミルと旧品粉砕ミルの各運転パターンでの応力−頻度ヒストグラムを作成する。応力頻度解析法としては、例えば、レインフロー法を用いるとよい。作成される応力−頻度ヒストグラムの一例を図4に示す。
ステップS4では、応力集中部の疲労強度線図を作成する。本実施形態では、過去の損傷実績をもとに、疲労強度線図の傾きと打ち切り限界(疲労損傷しない下限界応力)を設定している。作成される疲労強度線図の一例を図5に示す。
ステップS5では、ステップS3で得た応力−頻度ヒストグラムと、ステップS4で得た疲労強度線図を用い、数(1)に示す式(1)
Figure 2010019577
により、新品粉砕ミルと旧品粉砕ミルの各運転パターンでの等価振動応力σv_eqを算出する。
さらに、この等価振動応力σv_eqから、数(2)に示す式(2)
Figure 2010019577
により、新品粉砕ミルと旧品粉砕ミルの各運転パターンでの単位時間当たりの損傷度Dを算出する。
ステップS6では、ステップS5で得た各運転パターンでの単位時間当たりの損傷度Dと、1サイクル内での各運転パターンの運転時間とから、新品粉砕ミルと旧品粉砕ミルの1サイクルでの損傷度を求める。
具体的には、例えば、起動時の単位時間当たりの損傷度をD、1サイクル内での起動時間をt(h)とすると、起動時の合計損傷度はD×tで求められる。これを停止時、通常運転時(原料供給量が変わる場合は原料供給量ごと)についても同様に計算し、これら全てを足し合わせると、1サイクルでの損傷度を求めることができる。
この新品粉砕ミルと旧品粉砕ミルの1サイクルでの損傷度は、原料供給量に応じた応力−頻度ヒストグラムの等価振動応力(単位時間あたりの損傷度)を加味して求められる。
ステップS7では、ステップS6で得た新品粉砕ミルと旧品粉砕ミルの1サイクルでの損傷度から、新品粉砕ミル(運用時間:0時間)から旧品粉砕ミル(運用時間:26000時間)の運用時間をスケールに、1サイクルでの損傷度と運用時間の関係を設定する。設定する1サイクルでの損傷度と運用時間の関係の一例を図6に示す。
この1サイクルでの損傷度と運用時間の関係から、任意の運用時間(総運転時間)での1サイクルでの損傷度を求めることが可能となる。
次に、以上により求めた1サイクルでの損傷度と運用時間の関係を用いて、寿命評価を行う粉砕ミルの累積損傷度を算出し、寿命の評価を行う工程(ステップS8〜S9)について説明する。
ステップS8では、ステップS7で得た1サイクルでの損傷度と運用時間の関係を用いて、任意の運用時間での1サイクルでの損傷度を求め、その損傷度に基づき、任意の運用時間での各運転パターンの応力−頻度ヒストグラムを作成し、寿命の評価を行う粉砕ミルの運用を考慮した各運用時間の応力−頻度ヒストグラムを取り出せるようにしておく。
具体的には、まず、ステップS7で求めた1サイクルでの損傷度と運用時間の関係から、寿命の評価を行う粉砕ミルのある任意の運用時間での1サイクルでの損傷度を推定し、この1サイクルでの損傷度と、ステップS2で求めた新品粉砕ミル(あるいは旧品粉砕ミル)の1サイクルでの損傷度との比を求め、その比を新品粉砕ミル(あるいは旧品粉砕ミル)の応力−頻度ヒストグラムに乗ずることにより、任意の運用時間での各運転パターンの応力−頻度ヒストグラムを作成することができる。
この任意の運用時間での各運転パターンの応力−頻度ヒストグラムを作成する際には、寿命評価を行う粉砕ミルのこれまでの実績から、過去の起動停止回数や原料供給量のパターンを考慮し、かつ各サイクルごとに応力−頻度ヒストグラムを作成しておくとよい。未来の応力−頻度ヒストグラムについては、過去の運用実績から運転パターンや原料供給量のパターンを推定すると共に、要求寿命(設計寿命)内での起動停止回数などを考慮して作成しておくとよい。新設の粉砕ミルの寿命を評価する場合も同様である。
ステップS9では、まず、ステップS8で作成したそれぞれの任意の運用時間での各運転パターンの応力−頻度ヒストグラムを用い、ステップS5〜S6で説明したのと同様に、数(3)に示す式(1)
Figure 2010019577
により各運転パターンごとに等価振動応力σv_eqを算出すると共に、その等価振動応力σv_eqから数(4)に示す式(2)
Figure 2010019577
により各運転パターンでの単位時間当たりの損傷度Dを求める。
その各パターンでの単位時間当たりの損傷度Dをサイクルごとに累積することにより、任意の運用時間(各サイクル)での1サイクルでの損傷度をそれぞれ算出する。
その後、算出したそれぞれの任意の運用時間の1サイクルでの損傷度を累積計算することにより、累積損傷度を求める。
この累積損傷度が1と等しくなるときに疲労き裂が発生することになる。よって、この累積損傷度から、粉砕ミルの寿命を予測することができる。
また、要求寿命(設計寿命)の総運転時間に対する累積損傷度を累積計算することで、疲労き裂が発生するかしないかを判定することもできる。
本実施形態では、ステップS9において、任意の時間での各運転パターンの応力−頻度ヒストグラムから等価振動応力σv_eq、単位時間当たりの損傷度Dを求め、これを基に1サイクルでの損傷度を求め、この1サイクルでの損傷度を累積して累積損傷度を求めたが、総運転時間に対する応力−頻度ヒストグラムを求め、その単純和から累積損傷度を求めてもよい。
この場合、作成した任意の時間での応力−頻度ヒストグラムを各運転パターンごとに全て足し合わせて、各運転パターンごとに総運転時間(運用時間)に対する応力−頻度ヒストグラムを作成し、数(5)に示す式(3)
Figure 2010019577
を用いて、各運転パターンでの累積損傷度D’を求める。この各運転パターンでの累積損傷度D’を足し合わせれば、全体での累積損傷度を求めることができる。
さらに、ステップS8における任意の時間での各運転パターンの応力−頻度ヒストグラムを作成することを省略し、図6の1サイクルでの損傷度と運用時間の関係から任意の時間での1サイクルでの損傷度を直接求め、起動停止回数などのデータをもとに直接累積損傷度を計算するようにしてもよい。
この場合、原料供給量や運転パターンを考慮する必要があるため、原料供給量や各運転パターンに応じて1サイクルでの損傷度と運用時間の関係を予め作成しておくとよい。
以上説明したように、本発明では、新品粉砕ミルと所定時間運転した旧品粉砕ミルの応力集中部のひずみを測定すると共に、これに基づいて応力−頻度ヒストグラムを原料供給量ごとに作成し、他方、粉砕ミルの応力集中部の疲労強度線図を過去の損傷実績から設定しておき、その疲労強度線図と前記応力−頻度ヒストグラムから等価振動応力を求めると共に、その等価振動応力から新品粉砕ローラと旧品粉砕ローラの1サイクルでの損傷度を求め、1サイクルでの損傷度と運用時間の関係を設定しておき、次に、寿命評価を行う粉砕ミルのこれまでの運用実績から、1サイクルでの損傷度を求め、その1サイクルでの損傷度から任意の運用時間での応力−頻度ヒストグラムを作成できるようになし、これを基に任意の運用時間までの損傷度を累積して累積損傷度を算出し、その累積損傷度により寿命を予測している。
これにより、粉砕ローラの摩耗により発生応力レベルが上昇することを考慮した疲労強度評価が可能となり、粉砕ミルの寿命を精度よく評価することができる。
さらに、本発明によれば、起動停止回数が多い粉砕ミルより起動停止回数の少ない粉砕ミルの法が早く疲労損傷が発生するという現象を説明できる疲労強度評価が可能となり、粉砕ミルの信頼性を向上させることができる。
ここで、本発明により予測した粉砕ミルの寿命と、実際に疲労き裂が発生したときの運用寿命を比較したグラフを図7に示す。
図7に示すように、本発明により予測した粉砕ミルの寿命と、実機での運用寿命はよく一致しており、本発明によれば、粉砕ミルの寿命を精度よく評価できることが分かる。
本発明の粉砕ミルの寿命評価方法のフローチャートである。 本発明において、新品粉砕ミルと旧品粉砕ミルの発生応力レベルを比較する図である。 本発明で計測されるひずみ変動の波形の一例を示す図である。 本発明で作成される応力−頻度ヒストグラムの一例を示す図である。 本発明で作成される疲労強度線図の一例を示す図である。 本発明で作成される1サイクルでの損傷度と運用時間の関係の一例を示す図である。 本発明により予測した粉砕ミルの寿命と、実際に疲労き裂が発生したときの運用寿命を比較したグラフである。 微粉炭ミルの概略断面図である。
符号の説明
81 微粉炭ミル
82 駆動装置
83 回転テーブル
84 粉砕ローラ
85 ケーシング
86 ローラピボット
87 給炭管
88 空気供給管
89 セパレータ
90 セパレータ駆動装置
91 微粉炭管

Claims (8)

  1. ケーシング内に回転自在に設けられた回転テーブルと、その回転テーブル上に回転自在に支持され、前記回転テーブル上に供給される原料を粉砕する粉砕ローラとを備えた粉砕ミルの寿命を評価する粉砕ミルの寿命評価方法において、
    新品粉砕ミルと所定時間運転した旧品粉砕ミルの応力集中部にセンサを取り付け、これら粉砕ミルの起動から停止までを1サイクルとしてひずみを測定して、その応力−頻度ヒストグラムを作成すると共に、原料供給量ごとの応力−頻度ヒストグラムを作成し、他方、粉砕ミルの応力集中部の疲労強度線図を過去の損傷実績から設定しておき、その疲労強度線図と前記応力−頻度ヒストグラムから等価振動応力を求めると共に、その等価振動応力から新品粉砕ローラと旧品粉砕ローラの1サイクルでの損傷度を求め、1サイクルでの損傷度と運用時間の関係を設定しておき、次に、寿命評価を行う粉砕ミルのこれまでの運用実績から、その粉砕ミルの1サイクルでの損傷度を推定し、その1サイクルでの損傷度から任意の運用時間での応力−頻度ヒストグラムを作成できるようになし、これを基に任意の運用時間までの損傷度を累積して累積損傷度を算出し、その累積損傷度により寿命を予測することを特徴とする粉砕ミルの寿命評価方法。
  2. 前記新品粉砕ミルと前記旧品粉砕ミルの応力−頻度ヒストグラムは、起動時、通常運転時、停止時の各運転パターンごとに作成される請求項1記載の粉砕ミルの寿命評価方法。
  3. 前記新品粉砕ミルと前記旧品粉砕ミルの応力−頻度ヒストグラムを、原料供給量ごとに、かつ各運転パターンごとに作成し、これを基にそれぞれの等価振動応力を求める請求項2記載の粉砕ミルの寿命評価方法。
  4. 起動時、通常運転時、停止時の各運転パターンの等価振動応力から損傷度をそれぞれ求め、これを足し合わせて1サイクルでの損傷度を求める請求項1〜3いずれかに記載の粉砕ミルの寿命評価方法。
  5. 前記新品粉砕ミルと前記旧品粉砕ミルの1サイクルでの損傷度を、原料供給量が同じ条件でそれぞれ求めておき、前記新品粉砕ミルから前記旧品粉砕ミルの運用時間をスケールに、1サイクルでの損傷度と運用時間の関係を設定するようにした請求項1〜4いずれかに記載の粉砕ミルの寿命評価方法。
  6. 前記新品粉砕ミルと前記旧品粉砕ミルの1サイクルでの損傷度は、原料供給量に応じた応力−頻度ヒストグラムの等価振動応力を加味して求める請求項1〜5いずれかに記載の粉砕ミルの寿命評価方法。
  7. 前記累積損傷度は、前記任意の運用時間での応力−頻度ヒストグラムから等価振動応力を求めると共に、その等価振動応力から損傷度を算出し、その損傷度を累積して求められる請求項1〜6いずれかに記載の粉砕ミルの寿命評価方法。
  8. 前記累積損傷度は、前記任意の運用時間での応力−頻度ヒストグラムから総運転時間での応力−頻度ヒストグラムを作成し、その総運転時間での応力−頻度ヒストグラムを基に算出される請求項1〜6いずれかに記載の粉砕ミルの寿命評価方法。
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