JP7450910B2 - 縦葺屋根の施工法、及び縦葺屋根 - Google Patents
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Description
当該特許文献1に用いられた屋根材は、側縁部に立ち上げ部(ハゼ部)が形成されていないため、ロール状の金属板材を現場に持ち込み、現場にて必要長さの金属板材を切断して施工に供することができるという利点を有する。
また、屋根材の側縁部を挟着しているに過ぎないので、屋根材の裏面側へ雨水等が廻り込み易いため、漏水を生ずる恐れもあった。
他方、このような縦葺屋根の施工に先立って、下地上に墨出し加工を行う工程が行われるが、左右に隣り合う屋根材や保持部材の取付位置を、それぞれ特定するため、この墨出し線の設定は重要である。この墨出しが、正確に行われるために、形成された墨出し線に応じた所定の施工が実施できるが、使用する部材の歪み等を含めた寸法精度によっては、この墨出しが、取付不良や漏水等の原因となることがあった。即ち取付位置を先に設定されている場合には、複数種類の部材の組み付けに際して一つ一つの部材の歪み等が増張され、取付不良や漏水を起こすことがあった。
そこで、本発明は、縦葺屋根材の成形が比較的容易であり、下地への墨出し工程が実質的に不要である縦葺屋根の施工法、及び縦葺屋根を提案することを目的とする。
前記縦葺屋根材は、面板部の左右の側端に、下り段状部を介して裏面側に側端側へ延在する横片部、その裏面側に前記面板部側向きの折返し片、が形成されることで、前記面板部側が開放する内向き溝を有する取付部を備え、前記保持部材は、前記縦葺屋根材の前記面板部を支持する左右二箇所の支持部、各々の支持部の中央側に前記縦葺屋根材の前記下り段状部が支持される段状支持部、該段状支持部を介して中央側へ延在する突出横片が左右にそれぞれ形成されると共にその裏面側に中央側が開放する横溝と、前記左右の支持部間に固定具が下地へ打ち込まれる固定部と、該固定部の上方に、上方側が開放する被嵌合溝とを備え、下地上の基準線に前記保持部材が前記固定具にて固定され、固定された前記保持部材の左右の前記突出横片に、左右に隣り合う前記縦葺屋根材の前記横片部が支持され、前記保持部材の前記横溝の少なくとも一方に、前記縦葺屋根材の前記折返し片が挿着状に係合されると共に前記保持部材の前記突出横片が前記縦葺屋根材の前記内向き溝に挿着状に係合され、前記縦葺屋根材の未係合の前記取付部が、左右の少なくとも一方に隣り合う別の前記保持部材に臨み、前記別の保持部材を、下地上に配置した状態で、基準線に固定された前記保持部材の前記被嵌合溝に、カバー材が嵌合されていることを特徴とする縦葺屋根をも提案するものである。
なお、前記基準線は、通常の墨出し加工にて設定されるが、本発明においては、この基準線以外の墨出しは不要であって、後述する図示実施例における一点鎖線Vは、仮置き線である。
そして、以下に示す第1~第4の工程を行うことを特徴とする。
まず、第1の工程として、下地上の基準線に前記固定具にて前記保持部材を固定する。
第2の工程として、固定された前記保持部材の左右の前記突出横片に、左右に隣り合う前記屋根材の前記横片部が支持され、前記保持部材の前記横溝の少なくとも一方に、前記屋根材の前記折返し片が挿着状に係合されると共に前記保持部材の前記突出横片が前記屋根材の前記内向き溝に挿着状に係合される。
第3の工程として、前記屋根材の未係合の取付部を、左右の少なくとも一方に隣り合う別の前記保持部材に臨ませる。
第4の工程として、別の保持部材を、下地上に配置した状態で、基準線に固定した前記保持部材の前記被嵌合溝に、カバー材を嵌合する。
前記取付部は、面板部側向きの折返し片を備え、裏面側に面板部側が開放する内向き溝が形成される。
なお、この屋根材は、公知の金属素材等より成形され、ロール成形やプレス成型、或いは両者の組合せにより成形(成型)されるものであり、その素材厚は特に限定するものではないが、概ね0.4乃至1.6mm程度である。
なお、この保持部材には、屋根材の面板部を支持する支持部、下り段状部を支持する段状支持部が設けられる構成である。
なお、図示実施例では、該横溝を形成する中央向きの突出横片が、前記屋根材の取付部の内向き溝に挿着状に係合する構成である。
前記嵌合部については、前記保持部材の被嵌合溝と同様に具体的構成を限定するものではなく、被嵌合溝の構造に応じて適宜に形成することができる。
前記被覆部についても、特に具体的構成を限定するものではないが、前述のように下り段状部が設けられることで、この被覆部の上面と屋根材の面板部とが略面一状に連絡されて平坦状(例えば水平状)の外装面を形成できるものとなる。なお、図示実施例の嵌合部は、前記被嵌合溝の空間に挿着される左右一対の下向き片の下端を外側上方へ跳ね上げ状に屈曲させて先端を上向きに形成している。この図示実施例では、前記被嵌合溝の係止片に前記(上向きの)先端を係止させて抜け止めが図られている。
前記排水部材は、中央隆起部に前記保持部材の固定部が跨がり、左右に排水部が分割される略W字状であり、下地上の基準線に固定される保持部材の裏面側に固定される排水部材に隣り合う排水部材は、断熱材(或いはバックアップ材)と共に下地上に仮置きしておけばよい。
第1の工程は、前述のように下地上の基準線に固定具にて保持部材を固定する工程である。
前記基準線は、通常の墨出しにて形成されるものであるが、この基準線以外の墨出しを必要としないのが本発明の特徴の一つである。
第2の工程として、保持部材の突出横片に、左右に隣り合う縦葺屋根材の横片部が支持され、固定された保持部材の左右の横溝の少なくとも一方に、左右に隣り合う屋根材の折返し片が係合されると共に前記保持部材の前記突出横片が前記屋根材の前記内向き溝に挿着状に係合される。
左側の横溝には左側の屋根材の折返し片を、右側の横溝には右側の屋根材の折返し片がそれぞれ係合される。
第3の工程として、前記屋根材の未係合の取付部を、隣り合う別の前記保持部材に臨ませる。
左側の屋根材の左側の折返し片及び内向き溝が未係合であり、右側の屋根材の右側の折返し片及び内向き溝が未係合であるから、それぞれ未係合の折返し片及び内向き溝を、それぞれ左右の少なくとも一方に隣り合う別の保持部材の横溝及び突出横片に係合させる。
第4の工程として、前記別の保持部材を、下地上に配置させた状態で、基準線に固定された保持部材の被嵌合溝に、カバー材を嵌合させる。
前記別の保持部材については下地に配置させればよく、要するに左右の屋根材の敷設状態を確保した後、基準線に固定された保持部材の被嵌合溝に、カバー材が嵌合される。なお、別の保持部材は、その未係合の横溝及び突出横片を、前記第3の工程において屋根材の未係合の折返し片及び内向き溝と十分に係合されたことを確認しつつ下地に固定してもよい。
前記第4の工程において説明したように、別の保持部材は、その未係合の横溝及び突出横片を、前記第3の工程において屋根材の未係合の折返し片及び内向き溝と十分に係合されたことを確認しつつ下地に固定してもよく、その後は、前記で第2~第4の工程を繰り返して行えばよい。
そして、この横溝11,11のうち、右側に位置する横溝11には、右側に配設される屋根材2の取付部22が係合され、左側に位置する横溝11には、左側に配設される屋根材2の取付部22が係合される。
第1の工程は、下地5上の基準線Sに保持部材1が固定される工程である。
第1実施例における図2(a)に示す第1の工程は、下地5上の基準線Sに前記構成の排水部材3を裏面側に配設した状態で、前記構成の保持部材1を固定具1bにて固定される。
前記基準線Sは、通常の墨出しにて形成されるものであるが、この基準線S以外の墨出しを必要としないのが本発明の特徴の一つである。
なお、図中Vは、仮置き用の仮想線であり、該仮想線Vに沿って別の保持部材1'等を取り付けるものではない。
第1実施例における図2(b)に示す第2の工程は、左側の横溝11に、左側に位置する屋根材2の左側の取付部22が、右側の横溝11に、右側に位置する屋根材2の右側の取付部22がそれぞれ係合される。
第1実施例における図2(c)に示す第3の工程は、前記屋根材2,2の未係合の取付部22,22が、別の前記保持部材1',1'の横溝11,11に係合されるように臨ませる。なお、別の保持部材を図2では「1'」とし、基準線Sに取り付ける保持部材1と区別して図示した。
左側の屋根材2では左側の取付部22が未係合であって、右側の屋根材2では右側の取付部22が未係合であるから、それぞれ未係合の取付部22,22を、それぞれ別の保持部材1',1'の横溝11,11に係合させる。
第1実施例における図2(d)に示す第4の工程は、隣り合う別の保持部材1',1'を、下地5上に配置させた状態で、基準線Sに固定された保持部材1の被嵌合溝13に、カバー材6を嵌合させる。
同図では、図中に破線で示す固定具1bにて別の保持部材1',1'を下地5に固定しているが、下地5上に仮置き状に配置させていればよく、要するに左右の屋根材2,2の敷設状態を確保した後、基準線Sに固定された保持部材1の被嵌合溝13に、前記構成のカバー材6を上方から嵌合させる。
なお、別の保持部材1',1'は、その未係合の横溝11,11を、前記第3の工程において屋根材2の未係合の取付部22と十分に係合したことを確認して下地5に固定した。
第1実施例における図2(e)に示す第5の工程は、別の保持部材1',1'は、その未係合の横溝11を、別の屋根材2'の未係合の取付部22と十分に係合したことを確認しつつ下地5に固定すればよい。なお、別の屋根材を図2では「2'」とし、基準線Sの左右に取り付けられる屋根材2,2と区別して図示した。その後は、前記第2~第4の工程を繰り返して行えばよい。
また、屋根材2の折り返し状の取付部22と、保持部材1の横溝11を組み合わせて施工する(連結する)ため、屋根材2と保持部材1が一体的になり、負圧作用時に取付部22が外れる方向に働かない構成であって、負圧強度の高いものとなる。
1b 固定具
11 横溝
11a 突出横片
12 支持部
12a 段状支持部
13 被嵌合溝
13a 縦壁
13b 係止片
14 固定部
15 脚部
15a 接地部(下端)
2,2' (縦葺)屋根材
21 面板部
22 取付部
22a 折返し片
22b 内向き溝
23 (下り)段状部
3 排水部材
31 底面部
32 中央隆起部
33 側面部
34 排水部
4 断熱材
5 下地
5b 非透水シート
6 カバー材
61 被覆部
62 嵌合部
62a 先端
S 基準線
V (仮置き用)仮想線
Claims (3)
- 縦葺屋根材を保持部材にて下地上に敷設、固定する施工法であって、
前記縦葺屋根材は、面板部の左右の側端に、下り段状部を介して裏面側に側端側へ延在する横片部、その裏面側に前記面板部側向きの折返し片、が形成されることで、前記面板部側が開放する内向き溝を有する取付部を備え、
前記保持部材は、前記縦葺屋根材の前記面板部を支持する左右二箇所の支持部、各々の支持部の中央側に前記縦葺屋根材の前記下り段状部を支持する段状支持部、該段状支持部を介して中央側へ延在する突出横片が左右にそれぞれ形成されると共にその裏面側に中央側が開放する横溝と、前記左右の支持部間に固定具が下地へ打ち込まれる固定部と、該固定部の上方に、上方側が開放する被嵌合溝とを備え、
下地上の基準線に前記固定具にて前記保持部材を固定する第1の工程と、
固定された前記保持部材の左右の前記突出横片に、左右に隣り合う前記縦葺屋根材の前記横片部を支持させ、前記保持部材の前記横溝の少なくとも一方に、前記縦葺屋根材の前記折返し片が挿着状に係合されると共に前記保持部材の前記突出横片が前記縦葺屋根材の前記内向き溝に挿着状に係合される第2の工程と、
前記縦葺屋根材の未係合の前記取付部を、左右の少なくとも一方に隣り合う別の前記保持部材に臨ませる第3の工程と、
前記別の保持部材を、下地上に配置した状態で、基準線に固定した前記保持部材の前記被嵌合溝に、カバー材を嵌合する第4の工程と、
を行うことを特徴とする縦葺屋根の施工法。 - 前記第4の工程の後に、前記別の保持部材の未係合の前記横溝に、別の前記縦葺屋根材の前記取付部を係合する第5の工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の縦葺屋根の施工法。
- 縦葺屋根材が保持部材にて下地上に敷設された縦葺屋根であって、
前記縦葺屋根材は、面板部の左右の側端に、下り段状部を介して裏面側に側端側へ延在する横片部、その裏面側に前記面板部側向きの折返し片、が形成されることで、前記面板部側が開放する内向き溝を有する取付部を備え、
前記保持部材は、前記縦葺屋根材の前記面板部を支持する左右二箇所の支持部、各々の支持部の中央側に前記縦葺屋根材の前記下り段状部が支持される段状支持部、該段状支持部を介して中央側へ延在する突出横片が左右にそれぞれ形成されると共にその裏面側に中央側が開放する横溝と、前記左右の支持部間に固定具が下地へ打ち込まれる固定部と、該固定部の上方に、上方側が開放する被嵌合溝とを備え、
下地上の基準線に前記保持部材が前記固定具にて固定され、
固定された前記保持部材の左右の前記突出横片に、左右に隣り合う前記縦葺屋根材の前記横片部が支持され、前記保持部材の前記横溝の少なくとも一方に、前記縦葺屋根材の前記折返し片が挿着状に係合されると共に前記保持部材の前記突出横片が前記縦葺屋根材の前記内向き溝に挿着状に係合され、前記縦葺屋根材の未係合の前記取付部が、左右の少なくとも一方に隣り合う別の前記保持部材に臨み、前記別の保持部材を、下地上に配置した状態で、基準線に固定された前記保持部材の前記被嵌合溝に、カバー材が嵌合されていることを特徴とする縦葺屋根。
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