JP7448297B2 - 熱転写記録媒体と中間転写フィルムの組合せ - Google Patents

熱転写記録媒体と中間転写フィルムの組合せ Download PDF

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Description

本発明は、印刷(印字又は印画)をするための熱転写記録媒体に関するものであり、詳しくは、ゴム製品の表面に製品名や、製造場所・製造ロット等を印刷するために使用する熱転写記録媒体に関する。
従来から印刷内容を簡単に変更することができるゴム製品への印刷方法が提案されている。特許文献1では、印刷内容を簡単に変更することができるゴム製品への印刷方法として、コンピュータに入力した印刷内容を、前記コンピュータに接続された印刷機によりフィルムの片面に印刷することによって、ゴムベルト用印刷フィルムを製造することが提案されている。
特許文献1では、前記ゴムベルト用印刷フィルムを半加硫状態のベルトスラブにセットした状態で、プレス金型により加熱・加圧した後に、前記ゴムベルト用印刷フィルムを剥離することによって、ゴムベルトの表面に所望の印刷内容を印刷する方法が提案されている。
印刷内容を簡単に変更できるという点で、前記ゴムベルト用印刷フィルムへの印刷には、熱転写記録媒体を好適に用いることができる。しかしながら、熱転写記録媒体で作製した印刷フィルムを使用して、ゴムベルト等のゴム製品表面に所望の印刷内容を印刷する方式では、満足できる性能を有する熱転写記録媒体、及び当該熱転写記録媒体によるゴム製品表面への印刷方法が確立されていないのが現状である。
特開2003-237751公報
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、ゴム製品の表面への印刷に適した熱転写記録媒体の提供である。
第1発明は、ゴム系材料を主成分とする被転写体用の熱転写記録媒体と中間転写フィルムの組合せであって、前記熱転写記録媒体は、基材上に少なくとも2層の転写層を有し、前記2層の転写層は樹脂成分としてゴム系樹脂を含有する第1転写層と、樹脂成分として主鎖に炭素原子のみを有し前記炭素原子間に2重結合を有しない樹脂のみを含有する第2転写層からなり、前記2層の転写層のうち少なくとも前記第2転写層は着色剤を含有し、前記被転写体へ転写された状態において前記第1転写層が直接前記被転写体と接触し、前記被転写体へは前記中間転写フィルムを介して前記2層の転写層が転写され、前記ゴム系樹脂はブタジエンを含むゴム系樹脂であり、前記主鎖に炭素原子のみを有し炭素原子間に2重結合を有しない樹脂が、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂であり、前記中間転写フィルムは前記熱転写記録媒体から転写される印字の最上層となる層を受け止め、前記中間転写フィルムに印字された文字や図形を接着する層である受像層を有し、前記受像層は無水マレイン酸変性ポリオレフィンを含有することを特徴とする熱転写記録媒体と中間転写フィルムの組合せである。
本発明の熱転写記録媒体では、転写層を少なくとも2層に機能分離し、前記2層の転写層が、樹脂成分としてゴム系樹脂を含有する第1転写層と樹脂成分として主鎖に炭素原子のみを有し前記炭素原子間に2重結合を有しない樹脂のみを含有する第2転写層からなり、前記2層の転写層のうち少なくとも前記第2転写層は着色剤を含有し、被転写体へ転写された状態において前記第1転写層が直接被転写体と接触することにより、ゴム製品へ印刷された文字や記号の高い堅牢性を維持しつつ、高温環境で使用される場合にも、ゴム製品へ印刷された文字や記号が変色劣化することがない熱転写印字を提供することができる。また、本発明の熱転写記録媒体は、中間転写フィルムを介して被転写体へ転写することにより、平面だけでなく、曲面形状の被転写体に対しても、転写可能となるので、さまざまの形状のゴム製品に、高い堅牢性を維持しつつ、高温環境で使用される場合にも、文字や記号が変色劣化することがない熱転写印字(印刷)を提供することができる。
本発明の熱転写記録媒体の層構成の例を示す図である。 本発明の熱転写記録媒体の層構成の例を示す図である。 本発明の中間転写フィルムの層構成の例を示す図である。 本発明の中間転写フィルムの層構成の例を示す図である。 本発明の熱転写記録媒体の使用例として、熱転写記録媒体から中間転写フィルム上に転写層が転写された例を示す図である。 本発明の熱転写記録媒体の使用例として、熱転写記録媒体の転写層が転写された中間転写フィルムから、さらに転写層が被転写体へ転写された例を示す図である。
以下に本発明の熱転写記録媒体を、さらに詳しく説明する。
(熱転写記録媒体)
本発明の熱転写記録媒体は、少なくとも2層の転写層である第1転写層と第2転写層を基材の一方の面に設けた熱転写記録媒体である。本発明の熱転写記録媒体の例を図1と図2に示す。本発明の熱転写記録媒体は、図1の熱転写記録媒体Aのように、基材(10)の一方の面に第1転写層(11)、第2転写層(12)がこの順で積層された熱転写記録媒体である。また、本発明の熱転写記録媒体は、図2に示す熱転写記録媒体Bのように、第2転写層(12)上に更に接着層(13)と基材(10)のもう1方の面に耐熱滑性層(14)を有してもよい。また、図示はしていないが、本発明の熱転写記録媒体は、第1転写層(11)と第2転写層(12)間に第1転写層(11)と第2転写層(12)の接着性を向上する目的等で、中間層を設けてもよい。さらに、同様に図示はしていないが、本発明の熱転写記録媒体は、基材(10)と第1転写層(11)間に基材(10)と第1転写層(11)の離型性を向上する目的で離型層を設けてもよい。ただし、離型層を設ける場合には、本発明の熱転写記録媒体の転写層を後述する中間転写フィルムを介して後述する被転写体へ転写した際に第1転写層(11)が被転写体と直接接触するように、第1転写層(11)と離型層間で離型する離型層である。
(基材)
本発明の熱転写記録媒体の基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムなどのポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、アラミドフィルムその他この種の熱転写記録媒体の基材用フィルムとして一般に使用されている各種のプラスチックフィルムが使用できる。また、コンデンサーペーパーのような高密度の薄い紙も使用できる。基材の厚さは通常は1~10μm程度であり、熱伝達を良好にするためには、1~6μmの範囲が好ましい。
(第1転写層)
第1転写層は、バインダーである樹脂成分としてゴム系樹脂を含有する転写層であり、ゴム系材料を主成分とする被転写体へ転写された状態において、被転写体と直接接触するように熱転写記録媒体に積層される転写層である。第1転写層の樹脂成分としてゴム系樹脂を使用することにより、印字前後を通じて第1転写層に強い膜強度を付与することができる。また、第1転写層の樹脂成分としてゴム系樹脂を使用することにより、ゴム系材料を主成分とする被転写体への接着性が良好となり、被転写体上の印字に強い堅牢性を付与することができる。本発明において、バインダーとは、塗工により形成された各層の成分であり、前記各層に含有する着色剤と添加剤等の成分を、前記各層中に保持するため使用される成分である。
第1転写層のバインダーは前記ゴム系樹脂に加え、ワックス成分を含有することが好ましい。第1転写層のバインダーを樹脂成分のみで構成すると、熱転写時に多くのエネルギーが必要となるとともに、転写性能が低下する。第1転写層には色材として、各種顔料、各種染料を含有させてもよい。
(ゴム系樹脂)
第1転写層のバインダーの樹脂成分としては、任意のゴム系樹脂が使用可能であり、アクリルゴム、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ブチルゴム、ポリイソプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・イソプレンゴム、ウレタンゴム、天然ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等が使用可能である。これらの中でも、被転写体への接着性が向上し、被転写体へ転写された印字に強い堅牢性を付与できるという観点からブタジエンを含むゴム系樹脂が好ましい。また、詳細なメカニズムはわかっていないが、被転写体であるゴム製品が高温環境で使用される場合に、ゴム製品へ印字された文字や記号の変色劣化が少ないという点でも、ブタジエンを含むゴム系樹脂が好ましい。ブタジエンを含むゴム系樹脂としては、スチレン-ブタジエンブロック共重合体(SAS)、及び、その水添、又は、部分水添誘導体であるスチレン-ブタジエン-エチレン共重合体(SAES)、1,2-ポリブタジエン(1,2-PA)、無水マレイン酸-ブタジエン-スチレン共重合体、コアシェル構造を有する変性ブタジエンゴム等が例示される。第1転写層中のゴム系樹脂の含有量としては、第1転写層中の固形分の5重量%以上20重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以上15重量%以下である。第1転写層固形分中のゴム系樹脂の含有量が5重量%を下回ると、ゴム系材料を主成分とする被転写体への接着性が低下し、被転写体上の印字に強い堅牢性を付与することができない。一方、第1転写層固形分中のゴム系樹脂の含有量が20重量%を超えると、熱転写時に多くのエネルギーが必要となるとともに、転写性能が低下する。また、第1転写層には、ゴム系樹脂以外の樹脂を含有してもよい。含有する樹脂に特に制限はないが、ゴム系樹脂との相溶性や親和性、非転写体へ転写後の膜強度を考慮すると、アクリル樹脂又はポリエステル樹脂が好ましい。
(ワックス成分)
第1転写層に含有するワックスとしては、特に制限なく、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化パラフィンワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、セレシンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、酸化ポリエチレンワックス、カスターワックス、牛脂硬化油、ラノリン、木ロウ、ソルビタンステアレート、ソルビタンパルミテート、ステアリルアルコール、ポリアミドワックス、オレイルアミド、ステアリルアミド、ヒドロキシステアリン酸、合成エステルワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、炭化水素系合成ワックスであるフィッシャー・トロプシュワックス又はポリエチレンワックスは融点が安定しているため、特に好ましく用いることができる。
第1転写層中のワックス成分の含有量としては、第1転写層中の固形分の10重量%以上95重量%以下が好ましい。第1転写層固形分中のワックス成分の含有量が10重量%を下回ると、転写性が低下し、転写不良が発生しやすくなる。一方、第1転写層固形分中のワックス成分の含有量が95重量%を超えると、第1転写層の膜強度が低下し、被転写体上の印字に強い堅牢性を付与することができない。
第1転写層は、着色剤として各種顔料及び各種染料を含有することができる。顔料又は染料のみを使用してもよいし、顔料と染料を併用することもできる。顔料は、特に限定されるものではなく、無機顔料であっても、有機顔料であってもよく、これらを併用してもよい。無機顔料としては、例えば、タルク、カオリン(クレー)、合成マイカ、天然マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、チタン白、酸化チタン、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、亜鉛華、カーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、黄鉛、モリブデートオレンジ、カドミウムイエロー、クロムチタンイエロー、カドミウムレッド、コバルトブルー、酸化クロム、コバルトグリーン、アルミニウム粉、ブロンズ粉、雲母チタン及び硫化亜鉛等が挙げられる。有機顔料としては、例えば、アニリンブラック、ペリレンブラック、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料等)、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、キノフタロン顔料、フラバントロン顔料、アントラピリミジン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ジブロムアンザントロン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、フタロシアニン顔料及びインダントロン顔料等が挙げられる。黒等濃色のゴム製品に対しては、白色顔料の使用が好ましく、白色顔料のなかでも、屈折率が高く、少量で高い白色度を実現できることから、酸化チタンや二酸化チタンが好ましい。酸化チタンや二酸化チタンは、ルチル型であってもよいし、アナターゼ型であってもよい。特に限定されるものではないが、白色顔料の吸油量は、40g/100g未満が好ましく、より好ましくは35g/100g未満である。また、白色顔料の平均粒子径は、0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.1μm以上1μm以下がより好ましい。
上記染料としては公知の染料が使用でき、具体的には、ジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メチン系、アゾメタン系、キサンチン系、アクリジン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、アゾ系、スピロジピラン系、イソドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンダクタム系、アントラキノン系等の染料が使用できる。
第1転写層の厚さは、0.5μm以上5μm以下が好ましく、1μm以上4μm以下がより好ましい。第1転写層の厚さが0.5μmを下回ると被転写体との十分な接着力が得られず、被転写体上の印字の印字堅牢性が得られない。また第1転写層の厚さが5μmを超えると、印字感度が低下し、中間転写フィルムへの印字時に印字欠け等の印字不良が発生する恐れがある。
第1転写層は、上記材料を水又は適当な溶媒へ分散又は溶解して、塗工液とし、ロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、バーコート法及びロッドコート法等の公知の手段により、基材上に塗工して塗膜を形成させ、これを乾燥させることにより形成できる。
第1転写層には、第1転写層に要求される各種の機能を阻害しない範囲内であれば、各種の添加剤を含有しても良い。前記添加剤としては、可塑剤、消泡剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤、粘着付与剤などがあげられる。
(第2転写層)
第2転写層は、バインダーの樹脂成分として主鎖に炭素原子のみを有し前記炭素原子間に2重結合を有しない樹脂のみを含有する転写層であり、ゴム系材料を主成分とする被転写体へ転写された状態において、2層の転写層のうち第1転写層よりも被転写体から遠い側となる転写層である。第2転写層のバインダーの樹脂成分として、主鎖に炭素原子のみを有し前記炭素原子間に2重結合を有しない樹脂のみを使用することにより、被転写体であるゴム製品が高温環境下で使用される場合にも、ゴム製品へ印字された文字や記号が変色劣化したように見えることがない。
第2転写層のバインダーは前記主鎖に炭素原子のみを有し前記炭素原子間に2重結合を有しない樹脂に加え、ワックス成分を含有することが好ましい。第2転写層のバインダーを樹脂成分のみで構成すると、熱転写時に多くのエネルギーが必要となり、転写性能が低下する。第2転写層には色材として、各種顔料、各種染料を含有する。
(主鎖に炭素原子のみを有し前記炭素原子間に2重結合を有しない樹脂)
第2転写層の樹脂成分としては、主鎖に炭素原子のみを有し前記炭素原子間に2重結合を有しない樹脂であれば、任意のものが使用可能であり、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂が例示されるが、被転写体であるゴム製品が高温になる場所で使用される場合にも、ゴム製品へ印字された文字や記号が変色劣化したように見えることがないという点においては、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂が最も好ましい。また、転写後の第2転写層に高い膜強度が得られることにより、転写後の印字堅牢性が良好であるという点においても、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂が好ましい。第2転写層中の主鎖に炭素原子のみを有し前記炭素原子間に2重結合を有しない樹脂の含有量としては、第2転写層中の固形分の5重量%以上20重量%以下が好ましく、より好ましくは10重量%以上15重量%以下である。第2転写層中の主鎖に炭素原子のみを有し前記炭素原子間に2重結合を有しない樹脂の含有量が5重量%を下回ると、転写後の第2転写層の膜強度が低下し、被転写体上の印字の堅牢性が低下する。一方、第2転写層中の主鎖に炭素原子のみを有し前記炭素原子間に2重結合を有しない樹脂の含有量が20重量%を超えると、熱転写時に多くのエネルギーが必要となるとともに、転写性能が低下する。
(ワックス成分)
第2転写層に含有するワックスとしては、特に制限なく、例えば、第1転写層で例示した各種ワックスが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、炭化水素系合成ワックスであるフィッシャー・トロプシュワックス又はポリエチレンワックスは融点が安定しているため、好ましく用いることができる。
第2転写層中のワックス成分の含有量としては、第2転写層中の固形分の10重量%以上80重量%以下が好ましい。第2転写層固形分中のワックス成分の含有量が10重量%を下回ると、転写性が低下し、転写不良が発生しやすくなる。一方、第2転写層固形分中のワックス成分の含有量が80重量%を超えると、第2転写層の膜強度が低下し、被転写体上の印字に強い堅牢性を付与することができない。
第2転写層は、着色剤として各種顔料及び/又は各種染料を含有する。顔料又は染料のみを使用してもよいし、顔料と染料を併用することもできる。第2転写層が各種顔料及び/又は各種染料を含有することによって、被転写体であるゴム製品が高温環境下で使用されることによって、仮に第1転写層が変色劣化することがあったとしても、第2転写層が第1転写層を覆っているので、被転写体であるゴム製品上の印字の外観が変色劣化することはない。顔料は、特に限定されるものではなく、無機顔料であっても、有機顔料であってもよく、これらを併用してもよい。無機顔料、有機顔料ともに第1転写層で例示したものが使用可能である。また、第1転写層と同様に、黒等濃色のゴム製品に対しては、白色顔料の使用が好ましく、白色顔料のなかでも、屈折率が高く、少量で高い白色度を実現できることから、酸化チタンや二酸化チタンが好ましい。酸化チタンや二酸化チタンは、ルチル型であってもよいし、アナターゼ型であってもよい。白色顔料の好ましい吸油量、好ましい粒径は、第1転写層と同様である。また、染料も第1転写層で例示したものが使用可能である。
上記のように、第2転写層には、第1転写層が変色劣化したとしても、第2転写層が第1転写層を覆っていることによって、被転写体であるゴム製品上の印字の外観が変色劣化することがないだけの隠蔽性が必要である。したがって、第2転写層は、このような隠蔽性を確保するのに必要な量の各種顔料及び/又は各種染料を含有することが好ましい。第2転写層の好ましい各種顔料及び/又は各種染料の含有量は、各種顔料及び/又は各種染料の種類、組み合わせなどによって異なる。第2転写層が含有する各種顔料及び/又は各種染料の種類が二酸化チタンである場合には、第2転写層の二酸化チタン含有量は、第2転写層の固形分中の60重量%以上80重量%以下であることが好ましく、より好ましくは65重量%以上75重量%以下である。第2転写層固形分中の二酸化チタンの含有量が60重量%を下回ると、第2転写層の隠蔽性が不十分となり、第1転写層が変色劣化した場合に、被転写体であるゴム製品上の印字の外観が変色劣化するおそれがある。一方、第2転写層固形分中の二酸化チタンの含有量が80重量%を超えると、第2転写層を作製するための塗工液中での二酸化チタンが十分に分散できないおそれがあるとともに、転写後の第2転写層の膜強度が低下し、被転写体上の印字の印字堅牢性が低下する。
第2転写層の厚さは、2.5μm以上9μm以下が好ましく、3μm以上8μm以下がより好ましい。第2転写層の厚さが2.5μmを下回ると、転写後の第2転写層の十分な膜強度が得られず、印字堅牢性が低下するとともに、第2転写層に要求される隠蔽性が不足するおそれがある。また第2転写層の厚さが9μmを超えると、印字感度が低下し、中間転写フィルムへの印字時に印字欠け等の印字不良が発生する恐れがある。
第2転写層の形成方法は、第1転写層と同様の方法が使用可能である。
第2転写層には、第2転写層に要求される各種の機能を阻害しない範囲内であれば、各種の添加剤を含有しても良い。前記添加剤としては、可塑剤、消泡剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤、粘着付与剤などがあげられる。
(接着層)
本発明の熱転写記録媒体では、前記2層の転写層上の最上層として、熱溶融性ないし熱軟化性のワックスを主成分として含有する接着層を積層してもよい。接着層は、樹脂、ワックス、又はその混合物を主成分とすることができるが、中間転写フィルムへの転写時の感度調整が容易になることから、ワックスのみ又はワックスを主成分とすることが好ましい。また、種々の目的のために樹脂や、添加剤を適宜使用してもよい。2層の転写層上に接着層を積層することにより、前記2層の転写層と中間転写フィルムとの接着性を向上することができる。
接着層の主成分である前記ワックスとしては、天然ワックス、石油系ワックス、合成ワックスなどから任意のものが使用可能であり、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ワックスの接着層の固形分中における含有量は、50重量%以上が好ましい。ワックスの接着層の固形分中における含有量が、50重量%未満になると、前記2層の転写層の中間転写フィルムに対する接着性を向上することができない。
接着層の厚みは、0.5μm以上1.5μm以下が好ましい。接着層の厚みが0.5μm未満になると、接着層の中間転写フィルムへの接着力が低下して、転写不良(印字不良)が発生し易くなる。また、接着層の厚みが、1.5μmを超えると、熱転写時に接着層中の熱伝達性が悪くなり、接着層が十分に溶融せず、前記2層の転写層の中間転写フィルムに対する接着性を向上することができない。
中間転写フィルムへの接着性を向上する効果を阻害しない範囲であれば、接着層に粒子や添加剤を含有してもよい。接着層に添加する添加剤としては、可塑剤、消泡剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤、粘着付与剤などが挙げられる。
(耐熱滑性層)
本発明の熱転写記録媒体では、2層の転写層を設けた面とは反対側の基材面に耐熱滑性層を設けることが好ましい。耐熱滑性層を設けることにより、印字時のプリンターの転写ヘッドによる基材のダメージを少なくすることができる。基材がダメージを受けると、印字時に転写ヘッドが基材に貼りついてスムーズに移動できなくなる、所謂スティックが発生することがある。耐熱滑性層を設けることにより、このようなスティックを防止することができる。
本発明の耐熱滑性層の材料としては、熱転写記録媒体で従来から採用されているものが特に制限無く使用できる。サーマルヘッドに対する耐熱性、高温時での動摩擦係数を小さくする点やコストを考慮すると、これらの中でも、シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、またはその混合物が、耐熱滑性層の材料として特に好ましい。
本発明の耐熱滑性層には、粒子、滑剤、帯電防止剤など、その他の添加剤を配合してもよい。
本発明の耐熱滑性層の厚み(乾燥後厚み、以下同様)は、良好なスティック防止効果を達成しかつ熱伝導性の悪化を防止する点から、0.05~ 0.80μmが好ましい。耐熱滑性層の厚みが0.05μm未満では、耐熱性が不十分で印字時にスティックが発生することや、基材が溶融して印字不能となることがある。0.80μmを超えると、熱伝導性が悪化して印字に支障をきたすことがある。
(中間転写フィルム)
本発明の熱転写記録媒体は、中間転写フィルムを介して、被転写体であるゴム製品に転写する。本発明の中間転写フィルムの例を図3と図4に示す。本発明の中間転写フィルムは、図3の中間転写フィルムCのように、基材(20)の一方の面に受像層(21)が積層された中間転写フィルムである。また、本発明の中間転写フィルムは、図4に示す中間転写フィルムDのように、基材(20)と受像層(21)間に保護層(22)を、さらに基材(20)のもう1方の面に背面層(23)を有してもよい。また、図示はしていないが、本発明の中間転写フィルムは、基材(20)と、保護層(22)又は受像層(21)との離型性を向上する目的で、基材(20)と、保護層(22)又は受像層(21)間に、離型層を設けてもよい。
本発明の熱転写記録媒体の使用例として、図5に図2の熱転写記録媒体Bを用いて、第1転写層(11)、第2転写層(12)、接着層(13)で構成される積層転写層(100)を図4の中間転写フィルムDへ転写した状態を示す。図5に示すように、熱転写記録媒体Bの基材(10)から剥離された前記積層転写層(100)が中間転写フィルムDの受像層(21)と接着することにより、前記積層転写層(100)が中間転写フィルムD上に転写される。また、図6に中間転写フィルムD上に前記積層転写層(100)が転写された状態である図5の中間転写フィルムを用いて、前記積層転写層(100)、受像層(21)、及び保護層(22)で構成される保護層付積層転写層(200)を被転写体Eへ転写した状態を示す。図6に示すように、中間転写フィルムDの基材(20)から剥離された前記保護層付積層転写層(200)が被転写体Eと接着することにより、前記保護層付積層転写層(200)が被転写体E上に転写される。
(基材)
本発明の中間転写フィルムの基材としては、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムなどのポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、アラミドフィルムその他この種の中間転写フィルムの基材用フィルムとして一般に使用されている各種のプラスチックフィルムが使用できる。ゴム製品への再転写時の熱と圧力に耐える耐久性を考慮すると、これらの中でもポリブチレンテレフタレートフィルムが好ましい。基材の厚さは好ましくは15~100μmであり、より好ましくは20~50μmである。15μmよりも薄いと再転写時に破れて、転写不良となる可能性がある。また、100μmを超えると熱伝導性が悪化して転写不良が発生しやすくなる。
(保護層)
中間転写フィルムには、被転写体であるゴム製品への再転写後に、前記熱転写記録媒体の転写層で形成された印字を保護する保護層を設けることが好ましい。保護層は直接、又は必要に応じて離型層を介して、前記基材に積層される。保護層は被転写体上の印字の視認性の観点から、高い透明性が要求されるとともに、被転写体上の印字を保護する観点から、高い成膜性と膜強度が要求される。これらの観点から、保護層の主成分としては、各種透明な樹脂が使用可能であるが、これらの中でも、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系透明樹脂が好適に使用できる。
保護層中の透明樹脂の含有量としては、保護層中の固形分の60重量%以上が好ましく、より好ましくは80重量%以上である。保護層中の透明樹脂の含有量が60重量%を下回ると、保護層の膜強度が低下し保護層としての十分な性能が発揮できなくなる。
保護層の厚さは、0.5μm以上5.0μm以下が好ましく、0.8μm以上4.5μm以下がより好ましい。保護層の厚さが0.5μmを下回ると保護層の膜強度が低下し、保護層としての十分な性能が発揮できなくなる。また保護層の厚さが5.0μmを超えると転写不良が発生しやすくなる。
保護層は、上記材料を水又は適当な溶媒へ分散又は溶解して塗工液とし、ロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、バーコート法及びロッドコート法等の公知の手段により、基材上に塗工して塗膜を形成させ、これを乾燥させることにより形成できる。
保護層には、保護層に要求される各種の機能を阻害しない範囲内であれば、各種の添加剤を含有しても良い。前記添加剤としては、可塑剤、消泡剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤、粘着付与剤の他、ワックス、粒子などがあげられる。
(受像層)
本発明の熱転写記録媒体用の中間転写フィルムでは、前記保護層上の最上層として、受像層を積層することが好ましい。受像層は前記熱転写記録媒体による印字の際に、熱転写記録媒体から転写される印字の最上層となる層を受け止め、中間転写フィルムに印字された文字や図形を接着する層である。このため、前記熱転写記録媒体の最上層との接着性に優れる材料で構成することが好ましい。本発明の熱転写記録媒体では、中間転写フィルムにこのような受像層を設けることにより、受像層を設けなかった場合に比べて、サーマルヘッドが発生する熱量が小さくても、鮮明な印字を中間転写シート上に転写することができる。
(接着性樹脂)
このような材料としては、前記熱転写記録媒体からの熱転写時の熱により接着性を発現する各種接着性樹脂を使用することができるが、このような接着性樹脂のなかでも、無水マレイン酸変性ポリオレフィンが、熱転写記録媒体の転写層との接着性、及び熱応答性に優れる点で好ましい。また、熱転写記録媒体にワックスを主成分とする前記接着層を設ける場合にも、前記接着層のワックスとの接着性、及び熱応答性に優れることから、特に無水マレイン酸変性ポリオレフィンの使用が好ましい。
接着性樹脂の受像層中の固形分中における含有量は、60重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましい。接着性樹脂の受像層の固形分中における含有量が、60重量%未満になると、受像層の熱転写記録媒体に対する接着性が低下し、受像層を設けた効果が得られない。
受像層の厚みは、0.1μm以上4.0μm以下が好ましい。受像層の厚みが0.1μm未満になると、熱転写記録媒体に対する受像層の接着力が低下して、受像層を設けた効果が得られない。また、受像層の厚みが、4.0μmを超えると、熱転写時に受像層中の熱伝達性が悪くなり、受像層が十分に溶融せず、受像層を設けた効果が得られない。
また、受像層へ要求される性能を阻害しない範囲であれば、受像層に粒子や添加剤を含有してもよい。受像層に添加する添加剤としては、可塑剤、消泡剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤、粘着付与剤、ワックスなどが挙げられる。
(背面層)
本発明の中間転写フィルムでは、保護層を設けた面とは反対側の基材面に背面層を設けることが好ましく、特に前記接着性樹脂を使用する受像層を設けた場合には、背面層を設けることが特に好ましい。中間転写フィルムを取り扱い易くするには、中間転写フィルムをロール状に巻き回したものとすることが好ましい。中間転写フィルムをロール状に巻き回した状態にすると、前記受像層は中間転写フィルムの反対面と接触した状態となる。しかしながら、前記のように、受像層は接着性樹脂を含有する層であるため、受像層が中間転写フィルムの反対面と接触した状態では、受像層が中間転写フィルムに反対面に貼りつくことがある。受像層が中間転写フィルムに反対面に貼りつくと、ロールから中間転写フィルムを繰り出した際に、下層から受像層が剥がれることがある。このように受像層が剥がれると、熱転写記録時に受像層が無い状態となり、中間転写フィルムに受像層を設けた効果が得られなくなり、中間転写フィルムの性能が低下する。このような中間転写フィルムの性能の低下を防止する目的で、本発明の中間転写フィルムには、背面層が設けられる。受像層との貼りつきを防止するためには、背面層は摩擦係数が小さな滑性面であることが好ましい。
一方、本発明の熱転写記録媒体を用いて中間転写フィルムへ印字する際には、中間転写フィルムの背面層はプリンターのプラテンロールと接触している。そして、プラテンロールが回転して、プラテンロールと中間転写フィルム背面層の摩擦により、中間転写フィルムがプリンターから排出される。このため、中間転写フィルムの背面層は、受像層との貼りつきを防止する性能と、プラテンロールの回転によって滑ることなく排出される性能を合わせ持つ層でなければならない。したがって、背面層は単に滑性面であれば良いのではなく、プラテンロールに対しては、その回転により排出されるだけの摩擦力を発生する面でなければならない。
背面層が、このような性能を合わせ持つためには、背面層の主成分のバインダーに加えて、滑性を有するバインダー材料と粒子とを含有することが好ましい。滑性を有するバインダー材料としては、シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、またはその混合物が好ましい。背面層の主成分のバインダーは、前記滑性を有するバインダー材料との相溶性を有するとともに、背面層の滑性を阻害することのない樹脂であれば、制限なく使用することができるが、これらの樹脂の中でも、ポリエステル樹脂が好ましい。このように、背面層のバインダーに前記滑性を有するバインダー材料を加えることにより、受像層との貼りつきを防止することができる。また、このバインダーに前記粒子を含有させることにより、背面層表面から突出する粒子がプラテンロールとの摩擦力を発生させるので、プラテンロールの回転により中間転写フィルムが確実にプリンターから排出される。背面層に含有させる粒子としては任意の粒子が使用可能であるが、プラテンロールとの摩擦力を確保する点において、金属フィラーが特に好ましい
中間転写フィルムの背面層には、背面層に要求される各種の機能を阻害しない範囲内であれば、各種の添加剤を含有しても良い。前記添加剤としては、可塑剤、消泡剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤などがあげられる。
本発明の背面層の厚み(乾燥後厚み、以下同様)は、0.05~ 0.8μmが好ましい。背面層の厚みが0.05μm未満では、前記粒子を保持できず、粒子が脱落する恐れがある。また、0.8μmを超えても、性能の向上が見込めず、無駄である。
(被転写体)
本発明の被転写体は、ゴム系材料を主成分とする被転写体である。具体的には機械類の動力伝達に使用するゴムベルト、タイヤ、パッキン、Oリング、ゴムホースなど多種、多様なゴム製品が例示される。本発明の熱転写記録媒体では、中間転写フィルムを介して被転写体への転写が行われるので、平面だけでなく、曲面形状の被転写体に対しても、転写可能である。被転写体の材料は、ゴム系の材料であれば、特に限定されるものではなく、任意のゴム系材料を用いた被転写体を使用することができる。
被転写体に用いられるゴム系材料としては、アクリルゴム、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ブチルゴム、ポリイソプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ウレタンゴム、天然ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等が例示されるが、これらのなかでも、本発明の熱転写記録媒体は、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を被転写体とする場合に、特に好ましく用いることができる。
EPDMを主成分とする被転写体を使用する場合を含め、ゴム系材料を主成分とする被転写体へ転写した印字に強い堅牢性を付与するには、被転写体であるゴム系材料と接着する熱転写記録媒体の層(本発明の第1転写層)の成分中に、ゴム系樹脂を含有させることが好ましい。しかしながら、被転写体であるゴム系材料と接着する熱転写記録媒体の層の成分に、ゴム系樹脂を使用すると、印字に特に強い堅牢性が得られる反面、熱転写記録媒体のゴム系樹脂が被転写体のゴム材料と反応することによって、印字された文字や記号が黄変(変色劣化)することがあった。特に、印字後の被転写体を高温下で使用すると、印字された文字や記号の黄変(変色劣化)が顕著になるが、このような変色劣化は、被転写体にEPDMを使用した場合に、特に顕著であった。本発明の熱転写記録媒体では、被転写体へ転写された状態では、第1転写層を覆う第2転写層が設けられており、第2転写層は変色劣化することがない。このため、特に変色劣化が顕著なEPDMでできた被転写体を使用する場合でも、本発明の熱転写記録媒体を使用すれば、印字された文字や記号の特に高い堅牢性を維持しつつ、高温環境下で被転写体が使用される場合にも、被転写体へ印字された文字や記号が変色劣化して見えることがない。
(実施例)
本発明を、以下の実施例1~2、参考例3~4、実施例5、参考例6~7、比較例1~3を用いて、更に具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。以下、各材料の配合量について、部と表示するものについては、特に断りがない限り、重量部を示すものとする。
(実施例1)
(耐熱滑性層)
(耐熱滑性層用プレミックスインク)
下記処方の材料を混練して耐熱滑性層用プレミックスインクを作製した。
シリコーンウレタン樹脂溶液(固形分25%) 32.33部
メラミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子
(平均粒子径:0.2μm、固形分100%) 0.30部
メチルエチルケトン 67.37部
次に、下記処方の材料を混練して耐熱滑性層用インクを作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.20μmになるよう調整して前記基材上に塗工、乾燥させて耐熱滑性層を作製した。
耐熱滑性層用プレミックスインク 29.75部
ポリイソシアネート溶液(固形分45%) 4.50部
メチルエチルケトン 55.75部
トルオール 10.00部
(第1転写層)
下記処方の材料を混練して第1転写層インクを作製し、前記基材の耐熱滑性層を積層した面とは反対側の基材上に乾燥後の厚みが3.75μmになるよう塗工、乾燥させて第1転写層を作製した。
二酸化チタン粒子(平均粒子径:0.23μm、 固形分100%) 14.00部
フィッシャー・トロプシュワックス(融点102℃、固形分100%) 4.00部
シンジオタクチック1,2-ポリブタジエン(固形分100%) 2.00部
トルオール 60.00部
メチルエチルケトン 20.00部
(第2転写層)
下記処方の材料を混練して第2転写層インクを作製し、前記第1転写層上に乾燥後の厚みが3.75μmになるよう塗工、乾燥させて第2転写層を作製した。
二酸化チタン粒子(平均粒子径:0.23μm 固形分100%) 14.00部
フィッシャー・トロプシュワックス(融点102℃、固形分100%) 3.00部
エチレン酢酸ビニル共重合物(融点73℃、固形分100%) 3.00部
トルオール 60.00部
メチルエチルケトン 20.00部
(接着層)
下記処方の材料を混練して接着層インクを作製し、前記第2転写層上に乾燥後の厚みが1.00μmになるよう塗工、乾燥させて接着層を作製した。
カルナバワックス(融点83℃、固形分30%) 40.00部
メラミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子
(平均粒子径:0.2μm、固形分100%) 3.00部
メタノール 57.00部
(実施例2)
第1転写層インクから二酸化チタン粒子を除いて、第1転写層インクを下記処方とし、第1転写層の乾燥後の厚みを1.50μm、第2転写層の乾燥後厚みを5.50μmになるようにした以外は、実施例1の熱転写記録媒体と同様の方法で、実施例2の熱転写記録媒体を作製した。
フィッシャー・トロプシュワックス(融点102℃、固形分100%) 5.85部
シンジオタクチック1,2-ポリブタジエン
(固形分100%) 0.95部
トルオール 72.53部
メチルエチルケトン 20.67部
参考例3)
第2転写層のエチレン酢酸ビニル共重合物を、ポリメタクリル酸メチル(分子量25,000、TG105℃、固形分100%)に変更した以外は、実施例1の熱転写記録媒体と同様の方法で、参考例3の熱転写記録媒体を作製した。
参考例4)
第1転写層のシンジオタクチック1,2-ポリブタジエン(固形分100%)を、スチレン-イソプレンブロック共重合体(固形分100%)に変更した以外は、実施例1の熱転写記録媒体と同様の方法で、参考例4の熱転写記録媒体を作製した。
(実施例5)
第1転写層のシンジオタクチック1,2-ポリブタジエン(固形分100%)を、スチレン-ブタジエンブロック共重合体(固形分100%)に変更した以外は、実施例1の熱転写記録媒体と同様の方法で、実施例5の熱転写記録媒体を作製した。
(比較例1)
第1転写層の厚みを4.00μmとし、第2転写層を設けなかった以外は、実施例1の熱転写記録媒体と同様の方法で、比較例1の熱転写記録媒体を作製した。
(比較例2)
第1転写層を設けずに、厚み8.00μmの第2転写層を設けた以外は、実施例1の熱転写記録媒体と同様の方法で、比較例2の熱転写記録媒体を作製した。
(比較例3)
第2転写層のエチレン酢酸ビニル共重合物を、飽和共重合ポリエステル樹脂(固形分100%)に変更した以外は実施例1の熱転写記録媒体と同様の方法で、比較例3の熱転写記録媒体を作製した。
(中間転写フィルム1)
(背面層)
下記処方の材料を混練して背面層インクを作製し、基材として用いた厚み25μmのPBTフィルムの上に乾燥後の厚みが0.15μmになるよう調整して前記基材上に塗工、乾燥させて背面層を作製した。
シリコーンウレタン樹脂溶液A(固形分30%) 1.00部
飽和共重合ポリエステル樹脂(固形分100%) 2.10部
アルミノケイ酸ナトリウムフィラー
(平均粒子径7.0μm、固形分100%) 0.60部
メチルエチルケトン 96.30部
(保護層)
下記処方の材料を混練して保護層インクを作製し、前記基材の耐熱滑性層を積層した面とは反対側の基材上に乾燥後の厚みが0.85μmになるよう塗工、乾燥させて保護層を作製した。
セルロースアセテートプロピオネート(固形分100%) 10.00部
メチルエチルケトン 90.00部
(受像層)
下記処方の材料を混練して受像層インクを作製し、前記保護層上に乾燥後の厚みが0.30μmになるよう塗工、乾燥させて受像層を作製して、中間転写フィルム1を得た。
無水マレイン酸変性ポリオレフィン共重合物(固形分100%) 5.00部
トルオール 95.00部
(中間転写フィルム2)
保護層の乾燥後厚みを4.00μmとし、受像層を設けずに、保護層を保護層兼受像層として使用した以外は、中間転写フィルム1と同様の方法で、中間転写フィルム2を得た。
(印字方法)
Zebra110Xi4プリンターを用いて、各実施例、参考例、比較例で作製した熱転写記録媒体を使用して、印字速度2inch/second、エネルギー15にて、前記中間転写フィルム1の受像層面へ所定の印字パターンを印字した。また、実施例1の熱転写記録媒体と前記中間転写フィルム2の組み合わせを参考例6、実施例2の熱転写記録媒体と前記中間転写フィルム2の組み合わせを参考例7とし、他の実施例、参考例、比較例と同じ印字条件にて、同じ印字パターンを印字したが、参考例6、7ともに、他の実施例、参考例及び比較例と同じ印字条件では他の実施例、参考例、比較例と同等の濃度の印字が得られなかったため、エネルギーのみ25に変更して印字を行った。(エネルギーを25とすることにより、他の実施例、参考例、比較例と同等の濃度の印字を得た。)
(転写方法)
各実施例、参考例、比較例の熱転写記録媒体で印字した中間転写フィルムの印字側に、厚さ0.55mmの未加硫のEPDMゴムシートを貼り合わせ、180℃、9.9kg/mで2秒間加圧し、冷却後、中間転写フィルムをEPDMゴムシートから引き剥がして、中間転写フィルム上の印字をEPDMゴムシートへ転写した。さらに、中間転写フィルム上の印字が転写された各実施例、参考例、比較例のEPDMゴムシートを、150℃で1時間加硫した。
(評価)
(堅牢性評価)
各実施例、参考例、比較例の熱転写記録媒体により作製されたEPDMゴムシートの印字面を、染色磨耗堅牢性試験機を用いて、荷重1.5kgfにて100往復擦過した後、当該印字面の状態を目視確認し、下記の評価基準で堅牢性を判定した。評価結果を表1に示す。
◎:変化なし。
○:一部の印字に欠けが見られたが、判読可能である。
×:判読不可能。
(高温保存による印字の変色劣化評価)
各実施例、参考例、比較例の熱転写記録媒体により作製されたEPDMゴムシートの印字面の印字を、分光濃度測色計X-RITE EXACT(エックスライト・イグザクト)を用いて印字面側から測色した後、各実施例、参考例、比較例のEPDMゴムシートを、150℃、DRY環境下(加湿することなく、加熱することによって環境温度を150℃とした状態)で20時間保存する。各実施例、参考例、比較例のEPDMゴムシートを常温に取り出した後1時間放置し、再び、各実施例、参考例、比較例の熱転写記録媒体により作製されたEPDMゴムシートの印字面の印字を、分光濃度測色計X-RITE EXACT(エックスライト・イグザクト)を用いて印字面側から測色する。保存前後の各実施例、参考例、比較例の印字の色差を計算して、下記基準で高温保存による印字の変色劣化性を判定した。評価結果を表1に示す。
◎:保存前後の色差(ΔE*ab)が、2以下である。
○:保存前後の色差(ΔE*ab)が、2を超え3以下である。
×:保存前後の色差(ΔE*ab)が、3を超える。
(表1)
Figure 0007448297000001
A,B…熱転写記録媒体
10…基材(熱転写記録媒体)
11…第1転写層
12…第2転写層
13…接着層
14…耐熱滑性層
100…積層転写層
C,D…中間転写フィルム
20…基材(中間転写フィルム)
21…受像層
22…保護層
23…背面層
200…保護層積層転写層
E…被転写体

Claims (1)

  1. ゴム系材料を主成分とする被転写体用の熱転写記録媒体と中間転写フィルムの組合せであって、前記熱転写記録媒体は、基材上に少なくとも2層の転写層を有し、前記2層の転写層は樹脂成分としてゴム系樹脂を含有する第1転写層と、樹脂成分として主鎖に炭素原子のみを有し前記炭素原子間に2重結合を有しない樹脂のみを含有する第2転写層からなり、前記2層の転写層のうち少なくとも前記第2転写層は着色剤を含有し、前記被転写体へ転写された状態において前記第1転写層が直接前記被転写体と接触し、前記被転写体へは前記中間転写フィルムを介して前記2層の転写層が転写され、前記ゴム系樹脂はブタジエンを含むゴム系樹脂であり、前記主鎖に炭素原子のみを有し炭素原子間に2重結合を有しない樹脂が、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂であり、前記中間転写フィルムは前記熱転写記録媒体から転写される印字の最上層となる層を受け止め、前記中間転写フィルムに印字された文字や図形を接着する層である受像層を有し、前記受像層は無水マレイン酸変性ポリオレフィンを含有することを特徴とする熱転写記録媒体と中間転写フィルムの組合せ。
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