JP7446128B2 - 鋼製ドアおよび鋼製ドアの製造方法 - Google Patents
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Description
このようなドア体を製造する場合、表裏面板同士の連結をしようとする連結部位を、端縁部同士を突き合せたりや積層させた部位とし、これら連結部位を、従来は、アーク溶接やスパッタ溶接等の溶接により連結していたが、このような溶接をした場合、溶接部位が高熱に曝されることになってドア体に熱歪みが発生するだけでなく、溶接跡や溶接ダレ等による凹凸が発生し、このためこれらを補修する等の作業がさらに必要になって作業性が劣るという問題がある。
そこでこれら連結部位にレーザービームを照射して溶着(融着)するようにし、これによって溶接による熱歪みや凹凸の発生を回避するようにしたものを提唱している(特許文献1、2参照。)。
請求項2の発明は、表裏面板を鋼板としたドア体により構成される鋼製ドアにおいて、該ドア体を、表裏面板同士の連結部位をレーザービームの照射により溶着せしめることで連結して形成したものにするにあたり、前記表裏面板同士の連結部位は線状の連結ラインであり、レーザービームの照射は、連結ラインを横切る幅方向の移動をしながら連結ラインを移動する二次元方向のウォブリング移動による照射であり、連結ラインは、始端または終端が連結ラインと直交する表裏面板の角部まで至るように設けられ、該連結ラインのレーザービームの照射による溶着は、連結ラインの始端または終端から間隙を存してなされていることを特徴とする鋼製ドアである。
請求項3の発明は、連結ラインの始端または終端からレーザービーム照射がなされるまでの間隙は3~7mmであることを特徴とする請求項1または2記載の鋼製ドアである。
請求項4の発明は、表裏面板同士の連結部位は、表裏面板の表裏面部から互いに対向するよう折曲されてドア体の端縁部を構成する折曲片部の端縁部同士が突き当てられた突き当て部であり、該突き当て部には、表裏面部に当接する一対の表裏面部側片部を備えた骨材の折曲片部側片部が当接しており、レーザービームのウォブリング移動による照射を行う部位は、前記折曲片部側片部が当接している部位の突き当て部であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の鋼製ドアである。
請求項5の発明は、突き当て部同士のレーザービーム照射による溶着は、折曲片部側片部を貫通するまでには至らない状態での溶着であることを特徴とする請求項4記載の鋼製ドアである。
請求項6の発明は、突き当て部同士のレーザービーム照射による溶着は、折曲片部側片部には至らない折曲片部までの溶着であることを特徴とする請求項4または5記載の鋼製ドアである。
請求項7の発明は、突き当て部同士のレーザービーム照射の連結ラインを横切る幅方向の移動幅は、表裏面板の板厚に対して50%~200%の範囲であることを特徴とする請求項4乃至6の何れか1記載の鋼製ドアである。
請求項8の発明は、表裏面板の板厚は1.2mm~2.0mmであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1記載の鋼製ドアである。
請求項2の発明とすることにより、レーザービームの照射がウォブリング移動によるものであるため面状の照射になると共に照射によるエネルギー量も大きなものとなって、鋼製ドア体を形成する場合に、表裏面材を溶着により連結する場合に、該連結部位に隙間があっても確実に溶着された鋼製ドアを効率よく製造することができる。このものにおいて、連結部位が、表裏面板の端縁部同士を突き合せることで形成されるライン状のものであったときに、連結ラインを横切る幅方向の移動をしながら連結ラインを移動するウォブリング移動による効率の良いレーザービーム照射がなされることになって、連結ラインが確実に溶着された鋼製ドアを効率よく製造することができる。さらに、連結ラインの始端または終端が連結ラインと直交する表裏面板の角部である場合に、該角部はレーザービーム照射による溶着がないものとなる結果、該角部は、溶着のない元状態のままに維持されることになって、角部が形状崩れして外観を損なうようなことがない。
請求項3の発明とすることにより、連結ラインの始端または終端からレーザービーム照射がなされるまでの間隔が3~7mmとなるため、連結ラインと直交する表裏面板の端縁あるいは角部の形状維持を図りながら連結強度が低下してしまうことを回避できることになる。
請求項4の発明とすることにより、ウォブリング移動によるレーザービーム照射がなされる連結部位が、表裏面板に積極形成される折曲片部の端縁部同士の突き当て部となるが、該突き当て部は、ドア体に内装される骨材の折曲片部側片部が当接する裏打ち状態となっているため骨材により補強された状態でのレーザービーム照射による溶着がなされることになる。
請求項5の発明とすることにより、端縁部同士の突き当て部を溶着する場合に、レーザービームによる溶着が折曲片部側片部を貫通しないものであるため、骨材を貫通する溶着をした場合に発生よる骨材の変形を回避できることになって精度の高い鋼製ドアを効率よく製造できることになる。
請求項6の発明とすることにより、そのうえ折曲片部の端縁部同士を溶着する場合に、レーザービームによる溶着が折曲片部側片部にまでは至ることなく折曲片部だけの溶着になるため、該表裏面材同士の溶着部位において、骨材は溶着による変形等がないものとなり、この結果、精度の高い鋼製ドアを効率よく製造できることになる。
請求項7の発明とすることにより、表裏面板の板厚に準じたウォブリング移動を伴うレーザービーム照射による溶着ができることになる。
請求項8の発明とすることにより、表裏面板の板厚が1.2mm~2.0mmという肉厚なものにおいて、レーザービーム照射により溶着した高精度で強度のある鋼製ドアを提供できることになる。
一方、中間部骨材9Mについては、前記各骨材9と同様、両脚片部9aが表裏面部7a、8aに当接する状態となっているが、跨片部9bについては、全てが戸先側または戸尻側に向く仕様、一部が戸先側を向き残りが戸尻側を向く仕様を任意に選択することができる。
そしてこのようなウォブリング移動を伴うレーザービーム照射を行う部位としては、前述したように表裏面板7、8の突き当て部Xだけでなく、表裏面板7、8同士の積層部位、表裏面板7、8と骨材9との積層部位とすることができる。
これに対し、溶着部位が積層部位のように点的な部位である場合には、溶着目標とする位置を中心として、例えば渦巻き状や縦横格子状のレーザービーム照射をすることにより二次元方向のウォブリング移動をさせた溶着ができることになる。
尤も、突き当て部Xについて点的に溶着したい場合には前記溶着位置を中心とするウォブリング移動を行っての溶着をすることができ、また積層部位を連結ラインに沿って溶着したい場合には前記連結ラインの移動を伴うウォブリング移動による溶着をすることができ、どの様なウォブリング移動をするかについては、溶着仕様に基づいて適宜のものを採用できることは言うまでもない。
因みに、図5、6では、溶着される深さを三角形で示された状態で模式的に示している。
溶着条件
・レーザービーム発生器:MOTOMAN-MC2000(安川電機社製)
・レーザー発振器:TruDisk6001
・レーザービーム出力:2kW
・ウォブリング幅および形状:直径2mmの円弧形状
・連結ライン方向の移動速度:2m/min
・表裏面材の板厚:1.6mm
・中骨の板厚:2.3mm
これに対し図10の図面代用写真のものは、左右端縁部の折曲片部7b、8bにおける突き当て部Xの上端縁を始端として溶着したものであり、この上図面代用写真によると、溶着始端である上端縁が溶着により変形(溶融)して口が開くような状態になると共に欠落した部分がある状態になっていることが確認される。
またこの間隙Yを大きくすることについて検討したところ、7mmを越えた場合には、端縁からの溶着のなされない部位が長くなって外見上、安定性を欠いた状態となって好ましくないが、このようなことを問題としない場合には、7mmを越えても問題はない。
またこのことは、連結ラインが直角状に折曲している角部、つまり、図11(A)に示すように連結ラインRと直交する表裏面板7、8の角部Lについても同様であり、角部Lに至るまで溶着した場合には、該角部の変形や欠落が観測され、これを避けるためには、角部Lについても角部Lから2mm~7mmの間隙Yを存してレーザービーム照射をすることが好ましい。
因みに図8の図面代用写真に示されるものでは、表裏面板7、8と骨材9とを組み込んだだけではこれらが固定(仮固定)されておらず不安定なものとなるため、予め、従来の点的な抜き溶接により一体化したものを用いているが、この表裏面板7、8と骨材9との溶着を、本発明のウォブリング移動による溶着としても実施することができる。
そしてこの場合に、突き当て部Xは、骨材9の跨片部9bが裏打ちされた状態で配されているため、突き当て部Xは跨片部9bにより補強された状態でのレーザービーム照射による溶着がなされることになり、溶融した鋼材が不用意に脱落したりすることが回避される。
これに対し、レーザビーム照射による溶着を、骨材9にまで至るものとした場合には、突き当て部X部位の溶着を、該突き当て部X同士の溶着と該部位の骨材9への溶着とが同時的にできることになって作業性が向上する。
尚、前記溶着の形態として、図11(D)、(E)に溶着の参考例を示すが、同図(D)に示すように、コーナー部Lを、三角コーナー頂部Tから離間した中間部位を溶着したものに、各折曲片部7b、8bおよび7e、8e同士の溶着部位を三角コーナー部位の溶着に連結させたもの、同図(E)に示すように、コーナー部Lを、三角コーナー頂部Tにまで至る状態で溶着したものに、各折曲片部7b、8bおよび7e、8e同士の溶着部位を三角コーナー部位の溶着に連結させたものにおいては、各コーナー部の溶着は、レーザービームの照射により溶融した素材を受けて接着する相手側部材が存在するため、前述した図10に示す切断端を溶着する場合のように端縁部が溶融して変形(欠落)してしまうようなことがなく、外観的にも優れた状態での溶着ができることになる。
7 表面板
7a 表面部
7b 折曲片部
7c 端縁部
8 裏面板
8a 裏面部
8b 折曲片部
8c 端縁部
9 骨材
9a 脚片部
9b 跨片部
X 突き当て部
Y 間隙
Z 溶着部位
Claims (8)
- 表裏面板を鋼板としたドア体により構成される鋼製ドアにおいて、該ドア体を、表裏面板同士の連結部位をレーザービームの照射により溶着せしめることで連結して形成したものにするにあたり、前記表裏面板同士の連結部位は線状の連結ラインであり、レーザービームの照射は、連結ラインを横切る幅方向の移動をしながら連結ラインを移動する二次元方向のウォブリング移動による照射であり、
連結ラインは、始端または終端が連結ラインと直交する表裏面板の端縁まで至るように設けられ、
該連結ラインのレーザービームの照射による溶着は、連結ラインの始端または終端から間隙を存してなされていることを特徴とする鋼製ドア。 - 表裏面板を鋼板としたドア体により構成される鋼製ドアにおいて、該ドア体を、表裏面板同士の連結部位をレーザービームの照射により溶着せしめることで連結して形成したものにするにあたり、前記表裏面板同士の連結部位は線状の連結ラインであり、レーザービームの照射は、連結ラインを横切る幅方向の移動をしながら連結ラインを移動する二次元方向のウォブリング移動による照射であり、
連結ラインは、始端または終端が連結ラインと直交する表裏面板の角部まで至るように設けられ、
該連結ラインのレーザービームの照射による溶着は、連結ラインの始端または終端から間隙を存してなされていることを特徴とする鋼製ドア。 - 連結ラインの始端または終端からレーザービーム照射がなされるまでの間隙は3~7mmであることを特徴とする請求項1または2記載の鋼製ドア。
- 表裏面板同士の連結部位は、表裏面板の表裏面部から互いに対向するよう折曲されてドア体の端縁部を構成する折曲片部の端縁部同士が突き当てられた突き当て部であり、該突き当て部には、表裏面部に当接する一対の表裏面部側片部を備えた骨材の折曲片部側片部が当接しており、レーザービームのウォブリング移動による照射を行う部位は、前記折曲片部側片部が当接している部位の突き当て部であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の鋼製ドア。
- 突き当て部同士のレーザービーム照射による溶着は、折曲片部側片部を貫通するまでには至らない状態での溶着であることを特徴とする請求項4記載の鋼製ドア。
- 突き当て部同士のレーザービーム照射による溶着は、折曲片部側片部には至らない折曲片部までの溶着であることを特徴とする請求項4または5記載の鋼製ドア。
- 突き当て部同士のレーザービーム照射の連結ラインを横切る幅方向の移動幅は、表裏面板の板厚に対して50%~200%の範囲であることを特徴とする請求項4乃至6の何れか1記載の鋼製ドア。
- 表裏面板の板厚は1.2mm~2.0mmであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1記載の鋼製ドア。
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