JP7444946B2 - ヒータ - Google Patents

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Description

本開示は、流体加熱用ヒータ,粉体加熱用ヒータ,気体加熱用ヒータ,酸素センサ用ヒータ,半田ゴテ用ヒータ等に用いられるヒータに関するものである。
長手方向を有する棒状または筒状のセラミック体と、該セラミック体の内部に埋設された発熱抵抗体とを有するヒータ本体と、該ヒータ本体が挿通される孔を有するカップ形状の支持部材と、支持部材の内側に充填されたガラスとを含むヒータが知られている(例えば特許文献1を参照)。このものは、カップ形状の支持部材の内側に溜まったガラスなどの接合材で、ヒータ本体と支持部材とが接合されている。
国際公開第2016/068242号公報
上記のヒータは、ヒータ本体の長手方向に沿って見たときに、支持部材の内側に溜まったガラスの径方向の厚みの差が大きい。したがって、繰り返し昇降温を行うと、ガラスと支持部材との熱膨張差の影響により、厚みが大きい箇所で熱応力による負荷が大きくなり、ガラスと支持部材との界面で剥がれが生じるおそれがあった。さらに、その剥がれが進展して、ガラスと支持部材との界面が全体的に剥がれることで、耐久性が悪くなるおそれがあった。
本開示は、上記事情に鑑みてなされたもので、接合材と支持部材との界面が剥がれにくく、耐久性の良いヒータを提供することを目的とする。
本開示のヒータは、ヒータ本体と、金属製の支持部材と、接合材とを備える。ヒータ本体は、長手方向を有する筒状のセラミック体と、セラミック体の内部に周方向に沿って設けられた折返し部を有する発熱抵抗体と、一端が発熱抵抗体と電気的に接続されているとともに他端がセラミック体の後端側の側面に引き出された引出部とを有する。支持部材は、ヒータ本体の引出部よりも先端側に配置され、ヒータ本体の側面に沿って延びる筒状部と、筒状部に連続したフランジ部とを有する。接合材は、ヒータ本体の側面と支持部材の筒状部とを接合する。フランジ部は、セラミック体の先端側の面に位置する環状の凹みと、環状の凹みの対向する位置に環状の凸部を有する。
本開示のヒータによれば、ヒータ本体の長手方向に沿って見たときに、ヒータ本体と支持部材との間隔の差、すなわち接合材の径方向の厚みの差がほとんどないので、熱膨張差による応力が偏ることなく分散され、耐久性が向上する。
ヒータの一例を示す一部透過拡大斜視図である。 図1に示すヒータの概略縦断面図である。 ヒータの他の例を示す概略縦断面図である。 ヒータの他の例を示す概略縦断面図である。 ヒータを構成する支持部材の他の例を示す斜視図である。 ヒータを構成する支持部材の他の例を示す斜視図である。 ヒータの他の例を示す概略縦断面図である。
以下、ヒータの実施形態について図面を参照して説明する。
本開示のヒータは、長手方向を有する棒状または筒状のセラミック体11と、セラミック体11の内部に埋設された発熱抵抗体12と、一端が発熱抵抗体12と電気的に接続されているとともに他端がセラミック体11の後端側の側面に引き出された引出部13とを有するヒータ本体1を備えている。
ヒータ本体1を構成するセラミック体11は、長手方向を有する棒状または筒状の部材である。棒状としては、例えば円柱状または角柱状等が挙げられる。なお、ここでいう棒状とは、例えば特定の方向に長く伸びた板状も含んでいる。また、筒状としては、例えば円筒状または角筒状が挙げられる。図1および図2に示すヒータ本体1においては、セラミック体11は円筒状である。ヒータ本体1の長さは、例えば20~150mmに設定される。セラミック体11が円筒状の外径または断面円形状の場合の直径は、例えば2.5~50mmに設定される。
ヒータ本体1は、セラミック体11が円筒状の場合、セラミック体11の内周面および/または外周面に被加熱物を接触させて加熱する。また、ヒータ本体1は、セラミック体2が棒状の場合、セラミック体11の外周面に被加熱物を接触させて加熱する。
セラミック体11は、例えば、棒状または筒状の芯材111と、芯材111の側面を覆うように設けられた表層部112とを有している。
セラミック体11は、絶縁性のセラミック材料からなる。絶縁性のセラミック材料としては、例えばアルミナ、窒化珪素または窒化アルミニウムが挙げられる。耐酸化性があって製造しやすいという点では、セラミック体11にアルミナを用いることができる。一方、高強度,高靱性,高絶縁性および耐熱性に優れるという点では、セラミック体11に窒化珪素を用いることができる。また、熱伝導率に優れるという点では、セラミック体11に窒化アルミニウムを用いることができる。なお、セラミック体11には発熱抵抗体12に含まれる金属元素の化合物が含まれていてもよく、例えば発熱抵抗体12にタングステンまたはモリブデンが含まれている場合は、セラミック体11にWSiまたはMoSiが含まれていてもよい。
セラミック体11の内部には発熱抵抗体12が埋設されている。発熱抵抗体12は、電流が流れることによって発熱してセラミック体11を加熱するものである。発熱抵抗体12は、例えばタングステン(W)、モリブデン(Mo)またはレニウム(Re)等の高融点の金属を主成分とした導電体からなる。発熱抵抗体12の寸法は、例えば、幅を0.3~2mm、厚みを0.01~0.1mm、全長を500~5000mmに設定することができる。これらの寸法は、発熱抵抗体12の発熱温度および発熱抵抗体12に加える電圧等によって適宜設定される。
発熱抵抗体12は、セラミック体11の先端側で最も発熱するように配置される。発熱抵抗体12は、図1および図2に示す例では、セラミック体11の先端側において長さ方向に繰り返して折り返しながら、周方向に沿って設けられた折返し部(蛇行部)を有している。また、発熱抵抗体12は、折返し部の後端側においては一対の直線状部となっていて、それぞれの直線状部の後端部において引出部13と電気的に接続されている。発熱抵抗体12の横断面の形状は、円、楕円、矩形などいずれの形状でもよい。発熱抵抗体12は、繰り返して折り返す折返し部が先端側だけにあるパターンではなく、先端側と後端側との間を繰り返して往復するパターンであってもよい。
発熱抵抗体12は、先端側の折返し部と後端側の一対の直線状部とが同様の材料を用いて形成されてもよい。また、不要な発熱を抑えるために、直線状部の断面積を折返し部の断面積よりも大きくしたり、直線状部におけるセラミック体11の材料の含有量を折返し部におけるセラミック体11の材料の含有量よりも少なくしたりすることによって、折返し部よりも直線状部の単位長さ当たりの抵抗値を小さくしてもよい。
引出部13は、一端が発熱抵抗体12と電気的に接続されていて、他端がセラミック体11の後端側の側面に引き出されている。なお、セラミック体11の後端側とは、セラミック体11の長手方向の中央よりも後端側のことである。通常、引出部13は、長手方向を4等分したときの最も後端部に位置する領域にある。引出部13は、発熱抵抗体12の直線状部と同様の材料からなるものでもよく、発熱抵抗体12直線状部よりも抵抗値の低い材料からなるものでもよい。
セラミック体11の後端側の側面には、必要により電極パッド14が設けられて、セラミック体11の内部に埋設された引出部13と電気的に接続される。そして、電極パッド14にリード端子が接合されて、外部回路(外部電源)と電気的に接続される。この電極パッド14は、例えばモリブデン(Mo)またはタングステン(W)からなり、例えば50~300μmの厚みとされたものである。また、電極パッド14の長さは例えば9mm、幅は例えば5mmに設定することができる。なお、図1および図2に示す例では、引出部13が引き出された部位が2箇所あって、それぞれの部位において電極パッド14が設けられている。電極パッド14は、例えばモリブデン(Mo)またはタングステン(W)からなる導体層のみからなるものでもよく、当該導体層の表面に例えばNi-BまたはAuからなるメッキ層が設けられたものでもよい。
ヒータ本体1の側面には、外部に固定するための金属製の支持部材2が取り付けられている。支持部材2は、例えばFeやNiからなる合金が用いられ、具体的にはステンレス(SUS)やFe-Ni-Co合金やNi系耐熱合金等の材料が用いられる。
支持部材2は、ヒータ本体1の側面に沿って延びる筒状部21を有している。この筒状部21がヒータ本体1の側面、具体的にはヒータ本体1を構成するセラミック体11の側面に接合されている。ここで、例えばヒータ本体1が円筒状または円柱状の場合、支持部材2の筒状部21とは、セラミック体11の外周よりも大きな内径を有する円筒である。
また、支持部材2は、筒状部21に連続してフランジ部22を有している。このフランジ部22とは、ヒータ本体1の長手方向に垂直な径方向に拡がる円板状の部分である。ここで、図1および図2に示すフランジ部22は筒状部21の後端に接続されたものであるが、この形態に限られず、フランジ部22が筒状部21の長手方向のどこに接続されてもよい。例えば、図3に示すように、フランジ部22が筒状部21の長手方向の中央部に接続されていてもよい。
また、フランジ部22は、図1~図3に示すように一様に平坦であってもよいが、例えば外部装置に取り付ける関係などの理由で一部に凹凸が設けられていてもよく、図4および図5に示すように環状の溝(凹み)が設けられていてもよい。なお、図4および図5に示すフランジ部22は、後端側の面に環状の凹みがあり、先端側の面に環状の凸部があるものである。
さらに、ヒータは、ヒータ本体1の側面と支持部材2の筒状部21とを接合するための接合材として、ガラス3を備えている。
支持部材2の筒状部21の内径は、ガラス3をヒータ本体1の側面と支持部材2の筒状部21との間に十分に行き渡らせて適度な接合力を得るようにするために、例えば筒状部21が設けられる部位のヒータ本体1の外径の101~120%の範囲、好ましくは105~115%の範囲に設定される。
ガラス3としては、例えばB・SiO・Al系、SiO・NaO系、SiO・PbO系、SiO・Al・BaO系のガラスなどを採用できる。
本開示のヒータによれば、ヒータ本体1の長手方向に沿って見たときに、ヒータ本体1と支持部材2との間隔の差、すなわちガラス3の径方向の厚みの差がほとんどないので、熱膨張差による応力が偏ることなく分散され、ガラス3と支持部材2との界面の剥がれが抑制される。したがって、ヒータの耐久性が向上する。
ここで、図2および図3に示すように、筒状部21はヒータ本体1の側面に平行であってもよい。ヒータ本体1の長手方向に沿って見たときに、ガラス3の径方向の厚みの差がなく、ガラス3にかかる熱応力が一定のため、ガラス3と支持部材2との界面の剥がれが抑制される。したがって、ヒータの耐久性が向上する。
また、図4に示すように、筒状部21は内壁にヒータ本体1の長手方向に沿って延びる溝211を有していてもよい。支持部材2の筒状部21の内壁に溝211があることにより、ガラス3を流し込んで固める際の流れが長手方向に均一になり、また接合面積が大きくなることで、接合強度が増し、ヒータの耐久性が向上する。
ここで、溝211の幅は例えば0.2~5.0mmに設定され、溝211の深さは例えば0.2~5.0mmとし、溝211と溝211との間隔は例えば0.1~70mmとし、溝211の本数は、周方向一回りに例えば2~100本とすることができる。
筒状部21に溝211があるとき、筒状部21の内壁の溝211(凹み)に対応して筒状部21の外壁が突出した凸形状になっていてもよい。
また、図4に示すように、溝211の内面は曲面であってもよい。溝211の内面が曲面であることで、熱応力の応力集中が抑制され、ヒータの耐久性が向上する。
また、図5に示すように、筒状部21はヒータ本体1の長手方向に沿って延びる切欠き212を有していてもよい。切欠き212があることにより、筒状部21が径方向に広がるように変形でき、切欠き21が支持部材2の熱膨張の緩衝材の役割となるため、熱応力が小さくなるため、ヒータの耐久性が向上する。
ここで、切欠き212としては、筒状部21におけるフランジ部22に接続される側とは反対側の端部から切り欠かれたスリットが挙げられる。切欠き212は、筒状部21の長手方向の全域にかけて延びていてもよく、筒状部21の長さ方向の途中まで延びていてもよい。また、例えば切欠き212の幅は長手方向に沿って一定であってもよく、端部から徐々に幅が狭くなる形状であってもよい。切欠き212の幅(最大幅)は、例えば0.2~5.0mmとし、切欠き212の幅が最大となる部位において、切欠き212と切欠き212との間隔は、例えば0.1~100mmとし、切欠き212の本数は、周方向一回りで例えば2~100とすることができる。
また、図6に示すように、支持部材2は、筒状部21の先端部に接続され、当該筒状部21の先端部から後端側に向かって傘状に広がる拡径部23を有していてもよい。ここで、先端部とは、セラミック体11の先端側に位置する端部のことを意味する。なお、この場合において、図6に示すように、拡径部23の後端部に接続されて、径方向に広がるフランジ部22を有していてもよい。拡径部23があることで、支持部材2に外部からかかる応力が分散され低減されるため、ヒータの耐久性が向上する。
また、図7に示すように、ガラス3が筒状部21の先端部からはみ出しているとともに、筒状部21の先端部から拡径部23の一部までを覆っていてもよい。支持部材2のガラス3で覆われた部分が腐食されにくくなるため、ヒータの耐久性が向上する。
次に、ヒータの製造方法の一例について説明する。ここでは、セラミック体11がアルミナ質セラミックスからなる場合の例について説明する。
まず、Alを主成分とし、SiO,CaO,MgO,ZrOが合計で10質量%以内になるように調整したアルミナ質セラミックグリーンシートを作製する。
そして、このアルミナ質セラミックグリーンシートの表面に、発熱抵抗体12となる所定のパターンを形成する。発熱抵抗体の形成方法としてはスクリーン印刷法、転写法、抵抗体埋設法、その他の方法として金属泊をエッチング法などにより形成する方法や、ニクロム線をコイル状に形成し埋設する方法などがあるが、スクリーン印刷法が品質面での安定性や製造コストが抑えられるといった面から用いられやすい。また、発熱抵抗体は折返し部と直線状部とからなるが、それぞれを別々な形成方法で形成しても良い。
セラミックグリーンシートの発熱抵抗体12を形成する面とは反対側の面に、電極パッド14を発熱抵抗体12の形成と同様に所定のパターン形状で形成する。
また、セラミックグリーンシートには、発熱抵抗体12と電極パッド14とを電気的に接続するための孔加工および引出部13を形成するための導体ペーストの充填がなされる。
発熱抵抗体12、電極パッド14および引出部13は、例えばタングステン、モリブデン、レニウムなどの高融点金属を主成分とする導電性ペーストを用いることができる。
一方、押し出し成型にて円筒状のアルミナ質セラミック成型体を成型する。
そして、この円筒状のアルミナ質セラミック成型体に前述のアルミナ質セラミックグリーンシートを巻きつけ、同一の組成のアルミナ質セラミックスを分散させた密着液を塗布して密着させることで、セラミック体11となるアルミナ質一体成型体を得ることができる。
こうして得られたアルミナ質一体成型体を1500~1600℃の還元雰囲気中(窒素雰囲気)で焼成することで、アルミナ質一体成型体が収縮し、アルミナ質一体焼結体(ヒータ本体1)を作製することができる。
次に、ヒータ本体1に形成された電極パッド14上に給電部形成時の下地となるメッキを施す。メッキは、ニッケルメッキ、金メッキ、スズメッキなどが汎用的である。メッキの施術方法は無電解メッキや電解メッキ、バレルメッキなどの施術方法を目的に応じて選択すると良い。
一方、支持部材2を、金属の切削、プレスなどで所望の形状に加工して、作製する。
次に、治具にヒータ本体1をセットし、支持部材2の筒状部21に挿通させた状態で、ヒータ本体1と支持部材2との間にガラスを流し込んでこれらを接合する。具体的には、円柱状または円筒状のヒータの場合、リング状のガラス3固体を支持部材2のいずれか一方の端部に設置し、高熱で溶かしてヒータ本体1と支持部材2との間に流し込んだ後、冷やし固める。このとき、ガラス3がヒータ本体1と支持部材2との間を流れすぎてしまわないように、ガラス3の量を調整する。
なお、電極パッド4には、給電部としてリード部材をはんだ付けするなどの方法で接合する。
以上の方法により、本実施形態のヒータを作製することができる。
1:ヒータ本体
11:セラミック体
12:発熱抵抗体
13:引出部
14:電極パッド
2:支持部材
21:筒状部
211:溝
212:切欠き
22:フランジ部
23:拡径部
3:ガラス

Claims (7)

  1. 長手方向を有する筒状のセラミック体と、該セラミック体の内部に周方向に沿って設けられた折返し部を有する発熱抵抗体と、一端が前記発熱抵抗体と電気的に接続されているとともに他端が前記セラミック体の後端側の側面に引き出された引出部とを有するヒータ本体と、
    該ヒータ本体の前記引出部よりも先端側に配置され、該ヒータ本体の側面に沿って延びる筒状部と、該筒状部に連続したフランジ部とを有する金属製の支持部材と、
    前記ヒータ本体の前記側面と前記支持部材の前記筒状部とを接合するガラスからなる接合材とを備え、
    前記フランジ部は、前記セラミック体の端側の面に位置する環状の凹みと、該環状の凹み対向する前記セラミック体の先端側の面に位置する環状の凸部を有することを特徴とするヒータ。
  2. 前記接合材は、前記筒状部と前記ヒータ本体との間に続き、前記筒状部の先端部および後端部のそれぞれよりも外側にも位置していることを特徴とする請求項1に記載のヒータ。
  3. 前記筒状部は、内壁に前記ヒータ本体の長手方向に沿って延びる溝を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヒータ。
  4. 前記溝の内面は曲面であることを特徴とする請求項3に記載のヒータ。
  5. 前記筒状部は、前記ヒータ本体の長手方向に沿って延びる切欠きを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヒータ。
  6. 前記支持部材は、前記筒状部の先端部に接続され、当該筒状部の先端部から後端側に向かって傘状に広がる拡径部を有することを特徴とする請求項乃至請求項5のうちのいずれか1つに記載のヒータ。
  7. 前記接合材が前記筒状部の先端部からはみ出しているとともに、前記筒状部の先端部から前記拡径部の一部までを覆っていることを特徴とする請求項6に記載のヒータ。
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