JP7442196B2 - イオン性自己組織化ペプチド - Google Patents

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Description

優先権の主張
本出願は、2018年7月3日に出願された米国仮出願第62/693877号の利益を主張する。前記の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含む。2019年7月1日に作成された前記ASCIIコピーは、46406-0029WO1 SEQ.txtという名前で、サイズは24576バイトである。
発明の分野
本開示は、一般に、自己組織化ペプチド、自己組織化ペプチドを含む医薬組成物、およびこれらを使用する方法に関する。
背景
自己組織化ペプチドは、組織工学および再生医療のための足場、薬物送達、三次元組織培養、ならびに止血を含むさまざまな目的のために開発されてきた。このような自己組織化ペプチドの例としては、(1)交互の正および負電荷と疎水性残基(例えば、RADA16(配列番号91)、IEIK13(配列番号92)およびKLDL12(配列番号93))、(2)交互の非イオン性極性残基および疎水性残基の配列、ならびに(3)繰り返しの非イオン性極性残基を有するβシートペプチドが挙げられる。しかしながら、このような自己組織化ペプチドには実用上の制限がある。例えば、交互の正および負電荷と疎水性残基を有するこれらの自己組織化ペプチド(例えば、RADA16(配列番号91))を含む医薬組成物は、ペプチドを可溶化するために酸性pHで製剤化されなければならず、これは対象への投与時に細胞および/または組織損傷を引き起こすおそれがある。したがって、治療用途に使用できる改善された自己組織化ペプチドが依然として必要とされている。
発明の要旨
本開示は、少なくとも部分的には、イオン性極性アミノ酸、疎水性アミノ酸および非イオン性極性アミノ酸の特定の組み合わせを有するイオン性自己組織化ペプチドの開発に基づく。以前記載された自己組織化ペプチドは、典型的には、中性pHで正味負電荷および正味正電荷を有する等量のアミノ酸残基を含む。これらのペプチドは、ペプチドが溶液のままであるように、およびペプチドを含む組成物が流動性で注射可能となるように、ペプチドを帯電させるために酸性または塩基性pHで製剤化される。中性pHで製剤化した場合、ペプチドの相分離および沈殿が観察された。例えば、RADA16(配列番号91)は、中性pHで4つの正電荷および4つの負電荷を有する。図20Aに示されるように、pH7.5で製剤化されると、RADA16(配列番号91)は沈殿する。
対照的に、本明細書で提供される自己組織化ペプチドにイオン性極性アミノ酸を含めると、中性pHで非ゼロ正味電荷を有するペプチドが得られ、それによって、ペプチドを中性pHで製剤化することが可能になる。有利なことに、本明細書で提供されるイオン性自己組織化ペプチドは、中性pHで製剤化することができ、溶液中で可溶性で安定なままであることができる。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書に記載されるイオン性自己組織化ペプチドを含む医薬組成物は、中性pHで製剤化され得、酸性または塩基性pHを有する医薬組成物に関連し得る組織損傷を誘発することなく対象に投与され得る。さらに、イオン性自己組織化ペプチドを使用して、生理学的条件下で有利な物理的特性を有する改善されたヒドロゲルを調製することができる。例えば、生理学的条件下で、安定なままであり、流動性で注射可能である自己組織化ペプチドの水溶液が製造され得る。ゲル化すると、自己組織化ペプチドは、臨床、工業および/または研究用途で有用な剪断減粘、チキソトロピーおよびレオロジー特性を有するヒドロゲルを形成し得る。
一部の態様では、本開示は、以下に示されるアミノ酸配列:[(X)i(Y)j(Z)k(Y)l]m(X)n(式I)、[(Y)i(X)j(Y)k(Z)l]m(Y)n(式II)、[(Z)i(Y)j(X)k(Y)l]m(Z)n(式III)、または[(Y)i(Z)j(Y)k(X)l]m(Y)n(式IV)(式中、各(X)は独立にイオン性極性アミノ酸であり、各(Y)は独立に疎水性アミノ酸であり、各(Z)は独立に非イオン性極性アミノ酸であり、各i、j、kおよびlは独立に整数≧1であり、mは整数≧2であり、n=0または整数≧1である)を含むか、またはそれからなる自己組織化ペプチドおよび自己組織化ペプチドを含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、i、j、kおよびlのうちの少なくとも1つが独立に整数1である。一部の実施形態では、i、j、kおよびlのうちの少なくとも1つが独立に整数2である。一部の実施形態では、i、j、kおよびlの各々が1である。一部の実施形態では、mが独立に整数2、3または4である。
一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、式Iに示されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、式IIに示されるアミノ酸配列を含む、またはそれからなる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、式IIIに示されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、式IVに示されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
一部の実施形態では、各(X)が塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン、リジン、ヒスチジンまたはオルニチン)である。一部の実施形態では、各(X)が酸性アミノ酸(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸)である。
一部の実施形態では、各(Y)が、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンまたはグリシンのいずれかである。
一部の実施形態では、各(Z)が、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、グルタミン、アスパラギンまたはメチオニンのいずれかである。
一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、配列番号1~20および94~96に示されるアミノ酸配列を含む、またはそれらからなる。
一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、N末端官能基、C末端官能基、またはその両方を含む。一部の実施形態では、N末端官能基が、アセチル、ホルミル、ピログルタミル(pGlu)、ビオチン、ポリエチレングリコール(PEG)、尿素、アルキルアミン、カルバメート、スルホンアミド、ダンシル、2,4-ジニトロフェニル(2,4-dintrophenyl)、フルオレセイン、7-メトキシクマリン酢酸、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル、パルミチン酸、スクシニル、クロロアセチル、マレイミド、ベンジルオキシカルボニル、ブロモアセチル、ニトリロトリアセチル、tertブトキシカルボニル、4-ヒドロキシフェニルプロピオン酸、アリルオキシカルボニル、酪酸、脂肪酸、またはトリチルのいずれかである。一部の実施形態では、C末端官能基が、アミド、N-アルキルアミド、アルデヒド、エステル、アルコール、パラ-ニトロアニリド(pNA)、7-アミノ-4-メチルクマリン(Amc)、ヒドラジド、ヒドロキサム酸、クロロメチルケトン、p-ニトロアニリン、パラ-ニトロフェノール、ヒドロキシスクシンイミドエステル(hydroxysucinimide ester)、フルオロメチルケトン、システアミド、9-フルオレンメチル(Fm)エステル、アリルエステル、2,4-ジメトキシベンジルエステル、2-フェニルイソプロピルエステル、p-ニトロベンジルエステル、および2-クロロトリチルエステルのいずれかである。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、配列番号21~40および97~99に示されるアミノ酸配列を含む、またはからなる。
一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたはそれを超える)の生物学的に活性なペプチドモチーフを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの生物学的に活性なペプチドモチーフが、自己組織化ペプチドのN末端に存在する。一部の実施形態では、少なくとも1つの生物学的に活性なペプチドモチーフが、自己組織化ペプチドのC末端に存在する。一部の実施形態では、少なくとも1つの生物学的に活性なペプチドモチーフが、ラミニン-1、コラーゲンIV、フィブロネクチン、エラスチン、骨髄ホーミングペプチド1、骨髄ホーミングペプチド2、またはミエロペプチド(myelopeptide)に由来する。一部の実施形態では、少なくとも1つの生物学的に活性なペプチドモチーフが、配列番号41~70のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、配列番号71~90に示されるアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなる。
一部の実施形態では、医薬組成物が等張化剤を含む。一部の実施形態では、等張化剤が、NaCl、KCl、MgCl、CaCl、NHCl、NaHPO、KHPOおよびCaSOからなる群から選択される1またはそれを超える塩を含む。一部の実施形態では、等張化剤が、デキストロース、マンニトール、グリセリン、スクロースおよびトレハロースからなる群から選択される1またはそれを超える糖をさらに含む。一部の実施形態では(例えば、等張化剤が1またはそれを超える塩である場合)、等張化剤が約0.01M~約0.3Mの濃度で存在する。一部の実施形態では(例えば、等張化剤が1またはそれを超える塩である場合)、等張化剤が約0.15Mの濃度で存在する。一部の実施形態では(例えば、等張化剤が1またはそれを超える糖である場合)、等張化剤が約0.1~10%(w/v)の濃度で存在する。一部の実施形態では(例えば、等張化剤が1またはそれを超える糖である場合)、等張化剤が約10%(w/v)の濃度で存在する。一部の実施形態では、等張化剤が、本明細書に記載される自己組織化ペプチドを含む組成物またはヒドロゲルペプチドのレオロジー特性を増加させる。
一部の実施形態では、医薬組成物が約6~約8のpHを有する。一部の実施形態では、医薬組成物が約7~約7.5のpHを有する。一部の実施形態では、医薬組成物中の自己組織化ペプチドの正味電荷が、+1を超えるもしくは+1に等しいまたは-1未満もしくは-1に等しい。一部の実施形態では、医薬組成物中の自己組織化ペプチドの正味電荷が、約+1~約+6(例えば、+1、+2、+3、+4、+5または+6)である。一部の実施形態では、医薬組成物中の自己組織化ペプチドの正味電荷が、約-1~約-6(例えば、-1、-2、-3、-4、-5または-6)である。
一部の実施形態では、医薬組成物中の自己組織化ペプチドの濃度が約0.01%(w/v)~約10%(w/v)である。一部の実施形態では、医薬組成物中の自己組織化ペプチドの濃度が約0.1%(w/v)~約5%(w/v)である。一部の実施形態では、医薬組成物中の自己組織化ペプチドの濃度が約0.5%(w/v)~約1.5%(w/v)である。一部の実施形態では、医薬組成物中の自己組織化ペプチドの濃度が約1%(w/v)である。
一部の実施形態では、医薬組成物が単離された細胞(例えば、幹細胞)を含む。一部の実施形態では、単離された細胞が哺乳動物細胞である。一部の実施形態では、哺乳動物細胞が、免疫細胞、幹細胞、軟骨細胞前駆細胞、膵臓前駆細胞、筋芽細胞、線維芽細胞、ケラチノサイト、神経細胞、グリア細胞、星状細胞、前脂肪細胞、脂肪細胞、血管内皮細胞、内皮前駆細胞、間葉系細胞、神経幹細胞、免疫細胞(例えば、B細胞およびT細胞)、平滑筋前駆細胞、心筋細胞、胎児皮膚線維芽細胞、表皮ケラチノサイト、筋芽細胞、および毛細血管内皮細胞である。
一部の実施形態では、医薬組成物が、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれを超える)の生物活性剤を含む。一部の実施形態では、生物活性剤が、ホルモン、成長因子、インスリン、酵素、siRNA、shRNA、アンチセンスRNA、アンチセンスDNA、mRNA、抗生物質、抗体または抗炎症剤である。
一部の実施形態では、医薬組成物が水溶液である。一部の実施形態では、医薬組成物がヒドロゲルである。
一部の実施形態では、医薬組成物が、少なくとも約10パスカル(Pa)(例えば、約25Pa、約50Pa、約100Pa、約150Pa、約250Pa、約500Pa、約750Pa、約1000Paまたはそれを超える)の貯蔵弾性率を有するヒドロゲルである。
別の態様では、本開示は、本明細書に記載される自己組織化ペプチドまたは医薬組成物を含む製造物品を提供する。一部の実施形態では、物品が、注射器、バイアル、自動注入装置、チューブまたはカテーテルである。
別の態様では、本開示は、処置を必要とする対象を処置する方法であって、有効量の本明細書に記載される自己組織化ペプチドまたは医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法を提供する。
さらに別の態様では、本開示は、組織修復または再生の促進を必要とする対象の組織修復または再生を促進する方法であって、対象の組織を本明細書に記載される自己組織化ペプチドまたは医薬組成物と接触させ、それによって、組織の組織修復または再生を促進するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、組織が、皮膚、骨、軟骨、神経組織、靭帯、腱、血管組織または筋肉である。一部の実施形態では、組織が眼組織である。一部の実施形態では、組織が心臓組織である。一部の実施形態では、対象が、組織修復または再生の必要性をもたらす先天性疾患または障害を有する。一部の実施形態では、対象が、組織修復または再生の必要性をもたらす損傷(例えば、外科手術、外傷、脳卒中、腫瘍、または疾患もしくは障害)を患っている。
別の態様では、本開示は、創傷治癒の促進を必要とする対象の創傷治癒を促進する方法であって、対象の創傷を有効量の本明細書に記載される自己組織化ペプチドまたは医薬組成物と接触させ(または、代わりに、対象の創傷に投与し)、それによって、創傷治癒および/または抗菌活性を促進するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、創傷が、擦過傷、火傷、ひび、挫滅、切り傷、潰瘍、裂傷、切開または引っかき傷を含む、またはそれからなる。
別の態様では、本開示は、対象内の部位での出血を停止または予防(または、代わりに、低減)する方法であって、部位を本明細書に記載される自己組織化ペプチドまたは医薬組成物と接触させ(または、代わりに、対象の創傷に投与し)、それによって、物理的障壁を作り出し、それによって、対象内の部位での出血を停止または予防(または低減)するステップを含む方法を提供する。
別の態様では、本開示は、対象の胃腸管の部位から病変を切除する方法であって、病変の下の粘膜下層を、病変を持ち上げるのに十分な量の本明細書に記載される自己組織化ペプチドまたは医薬組成物と接触させる(または、代わりに、病変の下の粘膜下層に投与する)ステップと;対象の胃腸管の部位から病変を切除するステップとを含む方法を提供する。一部の実施形態では、病変がポリープ、潰瘍または腫瘍を含む。一部の実施形態では、病変が、口、喉、食道、胃、小腸、大腸、結腸および直腸から選択される対象の胃腸管の領域に存在する。
さらに別の態様では、本開示は、細胞を本明細書に記載される医薬組成物と接触させるステップを含む、細胞を培養する方法を提供する。
別の態様では、対象の肺胞内嚢胞を処置する方法であって、
送達デバイスを対象の肺胞内嚢胞の標的領域に導入するステップと;
送達デバイスの端部を肺胞内嚢胞の処置が望まれる標的領域に配置するステップと;
送達デバイスを通して、有効量および有効濃度の本明細書に記載される自己組織化ペプチドまたは医薬組成物を標的領域に投与して、標的領域の生理学的条件下で障壁を形成して、肺胞内嚢胞を処置するステップと;
標的領域から送達デバイスを除去するステップと;
溶液の投与前または投与後に肺胞内嚢胞を崩壊させるステップと
を含む方法が本明細書で提供される。
別の態様では、生体組織への接着を軽減する方法であって、有効量の本明細書に記載される自己組織化ペプチドまたは医薬組成物を生体組織に投与して、それによって、生体組織への接着を軽減するステップを含む方法が本明細書で提供される。
別の態様では、対象の骨間隙を充填する方法であって、
送達デバイスを対象の骨に導入するステップと;
送達デバイスの端部を骨成長の促進が望まれる骨の間隙の近位に配置するステップと;
送達デバイスを通して、生理学的条件下でヒドロゲル足場を形成するのに十分な濃度で、本明細書に記載される自己組織化ペプチドまたは医薬組成物を投与するステップと;
送達デバイスを除去するステップと
を含む方法が本明細書で提供される。
別の態様では、対象のドライアイを処置する方法であって、有効量の本明細書に記載される自己組織化ペプチドまたは医薬組成物を対象の眼に投与するステップを含む方法が本明細書で提供される。
本発明はさらに、本明細書に記載される方法のいずれかで使用するための、以下に示されるアミノ酸配列:[(X)i(Y)j(Z)k(Y)l]m(X)n(式I)、[(Y)i(X)j(Y)k(Z)l]m(Y)n(式II)、[(Z)i(Y)j(X)k(Y)l]m(Z)n(式III)、または[(Y)i(Z)j(Y)k(X)l]m(Y)n(式IV)を含むか、またはそれからなる自己組織化ペプチドを提供する。
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
以下に示されるアミノ酸配列:
[(X)i(Y)j(Z)k(Y)l]m(X)n 式I、
[(Y)i(X)j(Y)k(Z)l]m(Y)n 式II、
[(Z)i(Y)j(X)k(Y)l]m(Z)n 式III、または
[(Y)i(Z)j(Y)k(X)l]m(Y)n 式IV
(式中、各(X)は独立にイオン性極性アミノ酸であり、各(Y)は独立に疎水性アミノ酸であり、各(Z)は独立に非イオン性極性アミノ酸であり、各i、j、kおよびlは独立に整数≧1であり、mは整数≧2であり、n=0または整数≧1である)
を含む自己組織化ペプチドを含む医薬組成物。
(項目2)
前記自己組織化ペプチドが、式Iに示されるアミノ酸配列を含む、項目1に記載の医薬組成物。
(項目3)
前記自己組織化ペプチドが、式IIに示されるアミノ酸配列を含む、項目1に記載の医薬組成物。
(項目4)
前記自己組織化ペプチドが、式IIIに示されるアミノ酸配列を含む、項目1に記載の医薬組成物。
(項目5)
前記自己組織化ペプチドが、式IVに示されるアミノ酸配列を含む、項目1に記載の医薬組成物。
(項目6)
各(X)が、アルギニン、リジン、ヒスチジンおよびオルニチンからなる群から選択される塩基性アミノ酸である、項目1から5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目7)
各(X)が、アスパラギン酸およびグルタミン酸からなる群から選択される酸性アミノ酸である、項目1から5のいずれか一項に記載のペプチド。
(項目8)
各(Y)が、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびグリシンからなる群から選択される、項目1から7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目9)
各(Z)が、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、グルタミン、アスパラギンおよびメチオニンからなる群からなる群から選択される、項目1から8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目10)
i、j、kおよびlの各々が1である、項目1から9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目11)
mが整数2、3または4である、項目1から10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目12)
前記自己組織化ペプチドが、配列番号1~20および94~96に示されるアミノ酸配列を含む、項目1から11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目13)
前記自己組織化ペプチドが、
アセチル、ホルミル、ピログルタミル(pGlu)、ビオチン、ポリエチレングリコール(PEG)、尿素、アルキルアミン、カルバメート、スルホンアミド、ダンシル、2,4-ジニトロフェニル、フルオレセイン、7-メトキシクマリン酢酸、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル、パルミチン酸、スクシニル、クロロアセチル、マレイミド、ベンジルオキシカルボニル、ブロモアセチル、ニトリロトリアセチル、tertブトキシカルボニル、4-ヒドロキシフェニルプロピオン酸、アリルオキシカルボニル、酪酸、脂肪酸、およびトリチルからなる群から選択されるN末端官能基、および
アミン、アミド、N-アルキルアミド、アルデヒド、エステル、アルコール、パラ-ニトロアニリド(pNA)、7-アミノ-4-メチルクマリン(Amc)、ヒドラジド、ヒドロキサム酸、クロロメチルケトン、p-ニトロアニリン、パラ-ニトロフェノール、ヒドロキシスクシンイミドエステル、フルオロメチルケトン、システアミド、9-フルオレンメチル(Fm)エステル、アリルエステル、2,4-ジメトキシベンジルエステル、2-フェニルイソプロピルエステル、p-ニトロベンジルエステル、および2-クロロトリチルエステルからなる群から選択されるC末端官能基
の一方または両方を含む、項目1から12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目14)
前記自己組織化ペプチドが、配列番号21~40および97~99に示されるアミノ酸配列を含む、項目1から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目15)
前記自己組織化ペプチドが、前記自己組織化ペプチドのN末端もしくはC末端、またはその両方に少なくとも1つの生物学的に活性なペプチドモチーフをさらに含む、項目1から14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目16)
前記少なくとも1つの生物学的に活性なペプチドモチーフが、ラミニン-1、コラーゲンIV、フィブロネクチン、エラスチン、骨髄ホーミングペプチド1、骨髄ホーミングペプチド2、またはミエロペプチドに由来する、項目15に記載の医薬組成物。
(項目17)
前記自己組織化ペプチドが、配列番号71~90に示されるアミノ酸配列を含む、項目15または16に記載の医薬組成物。
(項目18)
NaCl、KCl、MgCl 、CaCl 、NH Cl、Na HPO 、KH PO およびCaSO からなる群から選択される1またはそれを超える塩;または
デキストロース、マンニトール、グリセリン、スクロースおよびトレハロースからなる群から選択される1またはそれを超える糖
を含む等張化剤をさらに含む、項目1から17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目19)
前記等張化剤が1またはそれを超える塩を含み、約0.01M~約0.3Mまたは約0.15Mの濃度で存在する、項目18に記載の医薬組成物。
(項目20)
前記等張化剤が1またはそれを超える糖を含み、約0.1~10%(w/v)または約10%(w/v)の濃度で存在する、項目18に記載の医薬組成物。
(項目21)
約6~約8のpHを有する、項目1から20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目22)
前記自己組織化ペプチドの正味電荷が、+1を超えるもしくは+1に等しいまたは-1未満もしくは-1に等しい、項目21に記載の医薬組成物。
(項目23)
前記自己組織化ペプチドの濃度が約0.01%(w/v)~約10%(w/v)、約0.1%(w/v)~約5%(w/v)、約0.5%(w/v)~約1.5%(w/v)、または約1%(w/v)である、項目1から22のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目24)
単離された細胞をさらに含む、項目1から23のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目25)
前記単離された細胞が、免疫細胞、幹細胞、軟骨細胞前駆細胞、膵臓前駆細胞、筋芽細胞、線維芽細胞、ケラチノサイト、神経細胞、グリア細胞、星状細胞、前脂肪細胞、脂肪細胞、血管内皮細胞、内皮前駆細胞、間葉系細胞、神経幹細胞、免疫細胞(例えば、B細胞およびT細胞)、平滑筋前駆細胞、心筋細胞、胎児皮膚線維芽細胞、表皮ケラチノサイト、筋芽細胞、および毛細血管内皮細胞からなる群から選択される哺乳動物細胞である、項目24に記載の医薬組成物。
(項目26)
生物活性剤をさらに含む、項目1から25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目27)
前記生物活性剤が、ホルモン、成長因子、インスリン、酵素、siRNA、shRNA、アンチセンスRNA、抗生物質、抗体および抗炎症剤からなる群から選択される、項目26に記載の医薬組成物。
(項目28)
水溶液である、項目1から27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目29)
ヒドロゲルである、項目1から27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目30)
前記ヒドロゲルが少なくとも約10パスカル(Pa)の貯蔵弾性率を含む、項目29に記載の医薬組成物。
(項目31)
項目1から30のいずれか一項に記載の医薬組成物を含む製造物品であって、注射器、バイアル、自動注入装置、チューブまたはカテーテルである物品。
(項目32)
組織修復または再生の促進を必要とする対象の組織修復または再生を促進する方法であって、有効量の項目1から30のいずれか一項に記載の医薬組成物を、前記対象の組織に投与し、それによって、前記組織の組織修復または再生を促進するステップを含む方法。
(項目33)
前記組織が、皮膚、骨、軟骨、神経、靭帯、腱、血管組織、眼、筋肉または心臓組織である、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記対象が、組織修復もしくは再生の必要性をもたらす先天性疾患もしくは障害を有する;または前記対象が、組織修復もしくは再生の必要性をもたらす損傷を患っており、前記損傷が外科手術、外傷、脳卒中、腫瘍、または疾患もしくは障害の結果である、項目32または33に記載の方法。
(項目35)
創傷治癒の促進を必要とする対象の創傷治癒を促進する方法であって、有効量の項目1から30のいずれか一項に記載の医薬組成物を、対象の創傷に投与し、それによって、創傷治癒および/または抗菌活性を促進するステップを含み、前記創傷が擦過傷、火傷、ひび、挫滅、切り傷、潰瘍、裂傷、切開または引っかき傷を含む、方法。
(項目36)
対象内の部位での出血を低減する方法であって、有効量の項目1から30のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記部位に投与するステップを含み、前記医薬組成物が物理的障壁を作り出し、それによって、前記対象内の前記部位での出血を低減する、方法。
(項目37)
対象の胃腸管の部位から病変を切除する方法であって、
前記病変を持ち上げるのに十分な量の項目1から30のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記病変の下の粘膜下層に投与するステップと;
前記対象の前記胃腸管の前記部位から前記病変を切除するステップと
を含む方法。
(項目38)
前記病変がポリープ、潰瘍または腫瘍を含む、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記病変が、口、喉、食道、胃、小腸、大腸、結腸および直腸からなる群から選択される前記胃腸管の領域に存在する、項目37または38に記載の方法。
(項目40)
細胞を培養する方法であって、前記細胞を項目1から30のいずれか一項に記載の医薬組成物と接触させるステップを含む方法。
(項目41)
対象の肺胞内嚢胞を処置する方法であって、
送達デバイスを前記対象の前記肺胞内嚢胞の標的領域に導入するステップと;
前記送達デバイスの端部を前記肺胞内嚢胞の処置が望まれる前記標的領域に配置するステップと;
前記送達デバイスを通して、有効量および有効濃度の項目1から30のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記標的領域に投与して、前記標的領域の生理学的条件下で障壁を形成して、前記肺胞内嚢胞を処置するステップと;
前記標的領域から前記送達デバイスを除去するステップと;
前記溶液の投与前または投与後に前記肺胞内嚢胞を崩壊させるステップと
を含む方法。
(項目42)
生体組織への接着を軽減する方法であって、有効量の項目1から30のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記生体組織に投与して、それによって、前記生体組織への接着を軽減するステップを含む方法。
(項目43)
対象の骨間隙を充填する方法であって、
送達デバイスを対象の骨に導入するステップと;
前記送達デバイスの端部を骨成長の促進が望まれる前記骨の間隙の近位に配置するステップと;
前記送達デバイスを通して、生理学的条件下でヒドロゲル足場を形成するのに十分な濃度で、項目1から30のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与するステップと;
前記送達デバイスを除去するステップと
を含む方法。
(項目44)
対象のドライアイを処置する方法であって、有効量の項目1から30のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記対象の眼に投与するステップを含む方法。
(項目45)
以下に示されるアミノ酸配列:
[(X)i(Y)j(Z)k(Y)l]m(X)n 式I、
[(Y)i(X)j(Y)k(Z)l]m(Y)n 式II、
[(Z)i(Y)j(X)k(Y)l]m(Z)n 式III、または
[(Y)i(Z)j(Y)k(X)l]m(Y)n 式IV
(式中、各(X)は独立にイオン性極性アミノ酸であり、各(Y)は独立に疎水性アミノ酸であり、各(Z)は独立に非イオン性極性アミノ酸であり、各i、j、kおよびlは独立に整数≧1であり、mは整数≧2であり、n=0または整数≧1である)
を含む自己組織化ペプチド。
図1は、さまざまなpHでのKLNL12(配列番号21)の正味電荷測定値を示す。
図2は、さまざまなpHでのNLEL12(配列番号33)の正味電荷測定値を示す
図3は、さまざまなpHでのRADA16(配列番号91)の正味電荷測定値を示す。
図4は、pH7.5でのRANA16(配列番号39)の分子構造および電子電荷の概略図を示す。
図5は、pH7.5でのRADA16(配列番号91)の分子構造および電子電荷の概略図を示す。
図6~図8は、自己組織化ペプチドKLNL12(配列番号21)、IQIK13(配列番号28)またはNLEL12(配列番号33)を含む例示的な水性医薬組成物の剪断減粘特性を示す。
図6は、さまざまな剪断速度に応じて粘度を変化させることによって反映される、pH7.5での1%(w/v)KLNL12(配列番号21)を含む水性医薬組成物の剪断減粘特性を示す。
図7は、さまざまな剪断速度に応じて粘度を変化させることによって反映される、pH7.5での1%(w/v)IQIK13(配列番号28)を含む水性医薬組成物の剪断減粘特性を示す。
図8は、さまざまな剪断速度に応じて粘度を変化させることによって反映される、pH7.5での1%(w/v)NLEL12(配列番号33)を含む水性医薬組成物の剪断減粘特性を示す。
図9~図10は、自己組織化ペプチドKLNL12(配列番号21)またはNLEL12(配列番号33)を含む例示的な水性医薬組成物の剪断減粘特性を示す。
図9は、さまざまな剪断速度に応じて粘度を変化させることによって反映される、pH7.5での0.9%NaClを含有する1%(w/v)KLNL12(配列番号21)を含む水性医薬組成物の剪断減粘特性を示す。
図10は、さまざまな剪断速度に応じて粘度を変化させることによって反映される、pH7.5での0.9%NaClを含有する1%NLEL12(配列番号33)を含む水性医薬組成物の剪断減粘特性を示す。
図11~図12は、自己組織化ペプチドKLNL12(配列番号21)またはNLEL12(配列番号33)を含む例示的な水性医薬組成物のチキソトロピー特性を示す。
図11は、剪断応力が除去された後の機械的強度の変化によって反映される、pH7.5での0.9%NaClを含有する1%(w/v)KLNL12(配列番号21)を含む水性医薬組成物のチキソトロピー特性を示す。
図12は、剪断応力が除去された後の機械的強度の変化によって反映される、pH7.5での0.9%NaClを含有する1%NLEL12(配列番号33)を含む水性医薬組成物のチキソトロピー特性を示す。
図13~図15は、DMEMへの曝露に応じた、自己組織化ペプチドKLNL12(配列番号21)、KIQI13(配列番号29)またはNLEL12(配列番号33)を含む例示的な水性医薬組成物のレオロジー特性の変化を示す。
図13は、DMEMへの曝露後の機械的強度の増加によって反映される、pH7.5での1%(w/v)KLNL12(配列番号21)を含む水性医薬組成物のレオロジー特性の変化を示す。
図14は、DMEMへの曝露後の機械的強度の増加によって反映される、pH7.5での1%(w/v)KIQI13(配列番号29)を含む水性医薬組成物のレオロジー特性の変化を示す。
図15は、DMEMへの曝露後の機械的強度の増加によって反映される、pH7.5での1%(w/v)NLEL12(配列番号33)を含む水性医薬組成物のレオロジー特性の変化を示す。
図16~図18は、DMEMへの曝露に応じた、自己組織化ペプチドKLNL12(配列番号21)、KIQI13(配列番号29)またはNLEL12(配列番号33)を含む例示的な水性医薬組成物のレオロジー特性の変化を示す。
図16は、DMEMへの曝露後の機械的強度の増加によって反映される、pH7.5での0.9%NaClを含有する1%(w/v)KLNL12(配列番号21)を含む水性医薬組成物のレオロジー特性の変化を示す。
図17は、DMEMへの曝露後の機械的強度の増加によって反映される、pH7.5での0.9%NaClを含有する1%(w/v)KIQI13(配列番号29)を含む水性医薬組成物のレオロジー特性の変化を示す。
図18は、DMEMへの曝露後の機械的強度の増加によって反映される、pH7.5での0.9%NaClを含有する1%NLEL12(配列番号33)を含む水性医薬組成物のレオロジー特性の変化を示す。
図19は、本発明の自己組織化ペプチドによって形成され得る高分子構造の概略図である。
以下の図20A~図20Cは、pH7.5での特定の自己組織化ペプチドを含む水性医薬組成物の外観を示す写真である。図20Aは、pH7.5のRADA16(配列番号91)を含む水性医薬組成物の外観を示す写真である。
図20Bは、pH7.5のKLNL12(配列番号21)を含む水性医薬組成物の外観を示す写真である。
図20Cは、pH7.5のNLEL12(配列番号33)を含む水性医薬組成物の外観を示す写真である。
図21Aおよび図21Bは、0~5分後(図21A)および15~20分後(図21B)の特定の医薬組成物を注射した後のブタ胃粘膜下層の外観を示す。注射部位は黒色点線楕円で示される:(1)2mLの0.1%(w/v)KLNL12(配列番号21)、0.9%(w/v)NaCl pH7.5;(2)2mLの0.1%(w/v)NLKL12(配列番号23)、0.9%(w/v)NaCl pH7.5;(3)2mLの0.1%(w/v)KIQI13(配列番号29)、0.9%(w/v)NaCl pH7.5;(4)2mLの0.2%(w/v)RADA16(配列番号91)pH2.5;(5)2mLのMucoUp(登録商標);(6)2mLの生理食塩水pH7.5。
図22A~図22Cは、2mLのpH7.5の生理食塩水(図22A)、または2mLのpH2.5の0.2%(w/v)RADA16(配列番号91)を含む水性医薬組成物(図22B)、または2mLのpH2.5の0.2%(w/v)RADA16(配列番号91)、0.9%NaCl(w/v)を含む水性医薬組成物(図22C)のいずれかの注射後のブタ胃粘膜下層の外観を示す。黒色楕円は、白色で、濁った不定の外観を有した領域を示す。
図23A、図23B、図23Cおよび図23Dは、2mLのpH7.5の0.1%KLNL12(配列番号21)、0.9%NaClを含む医薬組成物(図23A);2mLのpH7.5の0.2%NLEL12(配列番号33)、0.9%NaClを含む医薬組成物(図23B);2mLのpH7.5の0.2%QLEL12(配列番号35)、0.9%NaClを含む医薬組成物(図23C);または2mLのpH7.5の0.2%LELQ12(配列番号36)、0.9%NaClを含む医薬組成物の注射後のブタ胃粘膜下層の外観を示す。
図24Aは、DMEMへの曝露後の機械的強度の増加によって反映される、pH7.5での0.9%NaCl(w/v)を含む0.15%(w/v)QLEL12(配列番号35)を含む水性医薬組成物のレオロジー特性の変化を示す。
図24Bは、0.1%(w/v)~0.3%(w/v)のさまざまな濃度のpH7.5の0.9%NaCl(w/v)を含むQLEL12(配列番号35)を含む水性医薬組成物のレオロジー特性を示す;線形回帰を実施した。
図25A~図25Dは、0.5mLの0.1%(w/v)~0.3%(w/v)のさまざまな濃度のpH7.5の0.9%NaCl(w/v)を含むQLEL12(配列番号35)を注射した後のイヌ胃および結腸の粘膜下層の上昇高さおよび持ち上げ能力を示す。 図25A~図25Dは、0.5mLの0.1%(w/v)~0.3%(w/v)のさまざまな濃度のpH7.5の0.9%NaCl(w/v)を含むQLEL12(配列番号35)を注射した後のイヌ胃および結腸の粘膜下層の上昇高さおよび持ち上げ能力を示す。
本技術のこれらのおよび他の利点は、以下の説明を参照すると明らかになるであろう。
詳細な説明
定義
本明細書で別段の定義がない限り、本開示で使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。一般に、本明細書に記載される、化学、細胞および組織培養、分子生物学、細胞および癌生物学、神経生物学、神経化学、ウイルス学、免疫学、微生物学、薬理学、遺伝学およびタンパク質および核酸化学に関連して使用される命名法、およびその技術は、当技術分野で周知であり、一般的に使用されているものである。
本開示の方法および技術は、特に指示のない限り、当技術分野で周知の従来の方法に従って、ならびに本明細書を通して引用されるおよび論じられるさまざまな一般的なおよびより具体的な参考文献に記載されるように、一般的に実施される。
本明細書で使用される化学用語は、「The McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms」、Parker S.編、McGraw-Hill、サンフランシスコ、C.A.(1985)によって例示されるように、当技術分野における従来の使用法に従って使用される。
本開示で言及される刊行物、特許および公開された特許開示の全てが、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。矛盾する場合は、具体的な定義を含む本明細書が優先する。
本明細書で使用される「自己組織化」という用語は、一定のペプチドが高次構造(例えば、βシート)に自発的に自己会合する能力を指す。例えば、溶液の形態の自己組織化ペプチドを含む医薬組成物は、自己組織化ペプチドが自己会合するとゲル状態に転移する。一部の実施形態では、組成物がゲル状態と溶液状態との間で可逆的に転移し得るように、個々の自己組織化ペプチド間および中の相互作用が可逆的である。個々の自己組織化ペプチド間および中の相互作用は、水素結合、イオン性相互作用、静電相互作用(例えば、ファンデルワールス力を介した)および疎水性相互作用を含む非共有結合相互作用であり得る。さまざまな実施形態では、自己組織化ペプチドナノ構造がβシートのペプチドを含む。ナノ構造は、ナノファイバー、またはナノファイバーのネットワークであることができる。例示目的で、図19は、自己組織化ペプチドのβシート1901への組織化を示している。これらのβシートは、ナノファイバー1902に自己組織化することができる。複数のナノファイバー1902は、膜ネットワーク1903に自己組織化することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載されるペプチドの高次構造への自己組織化が、1またはそれを超える環境トリガー(例えば、pH、温度、イオン強度、浸透圧、浸透圧、印加された圧力、印加された剪断応力等のうちの1またはそれを超える変化)に反応性である。
本明細書で使用される場合、「投与する」という用語は、それだけに限らないが、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび/または自己組織化ペプチドを含む医薬組成物を施用、導入または注射することを含むことを意図している。
本明細書で使用される場合、「アミノ酸残基」または「アミノ酸」という用語は、D-およびL-アミノ酸を含む天然および合成アミノ酸残基;アルファ-、ベータ-およびガンマ-アミノ酸;化学的に修飾されたアミノ酸;天然に存在する非タンパク質構成アミノ酸;希少アミノ酸;ならびにアミノ酸の特徴であることが当技術分野で知られている特性を有する化学的に合成された化合物を含む。
本明細書で使用される場合、「治療上有効量」、「有効量」または「有効用量」という句は、対象に送達されると、組織、疾患および/または障害の処置、予防または管理において治療的または審美的利益を提供する医薬組成物の量を指す。治療上有効量の決定は、当業者の能力の範囲内である。一般に、治療上有効量は、対象の病歴、年齢、症状、性別、ならびに対象の病状の重症度およびタイプ、ならびに他の薬学的活性剤の投与によって変化し得る。
本明細書で使用される場合、「ヒドロゲル」という用語は、自己組織化ペプチドの三次元ネットワークを含む組成物を指す。ヒドロゲルという用語は、乾燥状態(キセロゲル)または湿潤状態の自己組織化ペプチドのネットワークを指すために使用され得る。湿潤状態では、ヒドロゲルは、高含水量(例えば、約90%~約99.9%の水)を含み得る。ヒドロゲルは、生物医学的用途に望ましい多くの特性を有する。例えば、ヒドロゲルは、非毒性で、組織と適合性となるように製造することができる。さらに、ヒドロゲルは通常、水、イオンおよび小分子に対して高度に透過性である。
本明細書で使用される場合、細胞に関して「単離された」という用語は、自然界で見られる環境から機械的に分離された細胞を指す。
本明細書で使用される場合、「等張化剤」という用語は、本明細書に記載される医薬組成物の浸透圧を調節するために使用され得る薬剤を指す。例示的な等張化剤には、それだけに限らないが、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、リン酸カリウムおよび糖(例えば、デキストロースおよびスクロース)が含まれる。一部の実施形態では、等張化剤が塩化ナトリウムである。等張化剤は、本明細書に開示される自己組織化ペプチドを含む溶液または組成物(例えば、ヒドロゲル)のレオロジー特性を増加させることができる。
本明細書で使用される「医薬組成物」は、自己組織化ペプチドと、生理学的に適切な担体および/または賦形剤などの他の成分とを含む組成物を指す。
本明細書で使用される場合、「タンパク質」および「ペプチド」という用語は、隣接する残基のアルファ-アミノ基とカルボキシ基との間のペプチド結合によって互いに接続されたアミノ酸残基のポリマーを指すために互換的に使用される。「タンパク質」および「ペプチド」という用語は、修飾されたアミノ酸残基(例えば、リン酸化、アミド化または糖化されたアミノ酸残基)およびアミノ酸類似体を有するポリマーを含む。
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒトまたは非ヒト動物のいずれかを指す。この用語には、それだけに限らないが、哺乳動物(例えば、ヒト、他の霊長類、ブタ、げっ歯類(例えば、マウスおよびラットまたはハムスター)、ウサギ、モルモット、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、ヒツジおよびヤギ)が含まれる。一部の実施形態では、対象がヒトである。一部の実施形態では、対象が成人ヒト対象である。一部の実施形態では、対象が小児ヒト対象である。
本明細書で使用される「創傷」という用語は、擦過傷、火傷、ひび、挫滅、切り傷、潰瘍、裂傷、切開または引っかき傷などの対象(例えば、ヒト対象)の組織の外傷を指す。
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合は、定義を含む本明細書が優先する。さらに、材料、方法および例は例示にすぎず、限定することを意図するものではない。本出願におけるいかなる文書の引用も特定も、このような文書が本発明の先行技術として利用可能であることを認めるものではない。
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
医薬組成物および自己組織化ペプチド
一態様では、本開示は、本明細書に記載される自己組織化ペプチド、および少なくとも1つの自己組織化ペプチドを含む医薬組成物を提供する。自己組織化ペプチドは、水溶液中に存在する場合、分子間および分子内の静電相互作用を介して高次構造に自発的に組織化する。これらの高次構造には、βシート、ナノファイバー構造、および三次元ネットワークまたはメッシュ構造が含まれる。これらの高次構造が水溶液を形成すると、さまざまな望ましい特性を有するヒドロゲルになり得る。自己組織化ペプチドに加えて、医薬組成物はまた、等張化剤、緩衝剤、薬学的に許容され得る賦形剤、生体分子、治療剤および細胞などの他の添加剤を含み得る。
一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが生分解性である。本明細書で使用される場合、「生分解性」は、生理学的環境との相互作用で、数分から数年(例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、2週間、3週間、4週間、2か月、3か月、6か月、1年、2年、またはそれを超える)の範囲の期間にわたって対象によって代謝または排出され得る成分に分解または崩壊する材料を指す。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、例えば、加水分解または酵素切断を介した、ペプチド鎖の切断を介して分解し得る。自己組織化ペプチド(および自己組織化ペプチドによって形成される高次構造(例えば、足場))は生分解性であり得るが、これらの高次構造は、好ましくはその意図された使用に必要な期間、その構造的完全性を維持する。
本明細書で提供される自己組織化ペプチドは、以下に示されるアミノ酸配列
[(X)i(Y)j(Z)k(Y)l]m(X)n(式I)、
[(Y)i(X)j(Y)k(Z)l]m(Y)n(式II)、
[(Z)i(Y)j(X)k(Y)l]m(Z)n(式III)、または
[(Y)i(Z)j(Y)k(X)l]m(Y)n(式IV)
(式中、各(X)は独立にイオン性極性アミノ酸であり、各(Y)は独立に疎水性アミノ酸であり、各(Z)は独立に非イオン性極性アミノ酸であり、各i、j、kおよびlは独立に整数≧1であり、mは整数≧2であり、n=0または整数≧1である)
を含む、またはからなる。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数1である。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数2である。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数3である。一部の実施形態では、nが0である。一部の実施形態では、nが整数≧1(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれを超える)である。一部の実施形態では、mが整数1である。一部の実施形態では、mが整数≧2(例えば、2、3、4、6、7、8、9、10、11、12またはそれを超える)である。一部の実施形態では、mが整数2、3または4である。一部の実施形態では、各(X)が同じアミノ酸である、各(Y)が同じアミノ酸である、および/または各(Z)が同じタイプのアミノ酸残基である。
一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、[(X)i(Y)j(Z)k(Y)l]m(X)n(式I)(式中、各(X)は独立にイオン性極性アミノ酸であり、各(Y)は独立に疎水性アミノ酸であり、各(Z)は独立に非イオン性極性アミノ酸であり、各i、j、kおよびlは独立に整数≧1であり、mは整数≧2であり、n=0または整数≧1である)に示されるアミノ酸配列を含む、またはからなる。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数1である。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数2である。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数3である。一部の実施形態では、nが0である。一部の実施形態では、nが整数≧1(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれを超える)である。一部の実施形態では、mが整数1である。一部の実施形態では、mが整数≧2(例えば、2、3、4、6、7、8、9、10、11、12またはそれを超える)である。一部の実施形態では、mが整数2、3または4である。
一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、[(Y)i(X)j(Y)k(Z)l]m(Y)n(式II)(式中、各(X)は独立にイオン性極性アミノ酸であり、各(Y)は独立に疎水性アミノ酸であり、各(Z)は独立に非イオン性極性アミノ酸であり、各i、j、kおよびlは独立に整数≧1であり、mは整数≧2であり、n=0または整数≧1である)に示されるアミノ酸配列を含む、またはからなる。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数1である。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数2である。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数3である。一部の実施形態では、nが0である。一部の実施形態では、nが整数≧1(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれを超える)である。一部の実施形態では、mが整数1である。一部の実施形態では、mが整数≧2(例えば、2、3、4、6、7、8、9、10、11、12またはそれを超える)である。一部の実施形態では、mが整数2、3または4である。
一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、[(Z)i(Y)j(X)k(Y)l]m(Z)n(式III)(式中、各(X)は独立にイオン性極性アミノ酸であり、各(Y)は独立に疎水性アミノ酸であり、各(Z)は独立に非イオン性極性アミノ酸であり、各i、j、kおよびlは独立に整数≧1であり、mは整数≧2であり、n=0または整数≧1である)に示されるアミノ酸配列を含む、またはからなる。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数1である。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数2である。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数3である。一部の実施形態では、nが0である。一部の実施形態では、nが整数≧1(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれを超える)である。一部の実施形態では、mが整数1である。一部の実施形態では、mが整数≧2(例えば、2、3、4、6、7、8、9、10、11、12またはそれを超える)である。一部の実施形態では、mが整数2、3または4である。
一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、[(Y)i(Z)j(Y)k(X)l]m(Y)n(式IV)(式中、各(X)は独立にイオン性極性アミノ酸であり、各(Y)は独立に疎水性アミノ酸であり、各(Z)は独立に非イオン性極性アミノ酸であり、各i、j、kおよびlは独立に整数≧1であり、mは整数≧2であり、n=0または整数≧1である)に示されるアミノ酸配列を含む、またはからなる。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数1である。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数2である。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数3である。一部の実施形態では、nが0である。一部の実施形態では、nが整数≧1(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれを超える)である。一部の実施形態では、mが整数1である。一部の実施形態では、mが整数≧2(例えば、2、3、4、6、7、8、9、10、11、12またはそれを超える)である。一部の実施形態では、mが整数2、3または4である。
一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、[(X)i(Y)j(Z)k(Y)l]m(式V)(式中、各(X)は独立にイオン性極性アミノ酸であり、各(Y)は独立に疎水性アミノ酸であり、各(Z)は独立に非イオン性極性アミノ酸であり、各i、j、kおよびlは独立に整数≧1であり、mは整数≧2であり、n=0または整数≧1である)に示されるアミノ酸配列を含む、またはからなる。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数1である。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数2である。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数3である。一部の実施形態では、nが0である。一部の実施形態では、nが整数≧1(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれを超える)である。一部の実施形態では、mが整数1である。一部の実施形態では、mが整数≧2(例えば、2、3、4、6、7、8、9、10、11、12またはそれを超える)である。一部の実施形態では、mが整数2、3または4である。
一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、[(Y)i(X)j(Y)k(Z)l]m(式VI)(式中、各(X)は独立にイオン性極性アミノ酸であり、各(Y)は独立に疎水性アミノ酸であり、各(Z)は独立に非イオン性極性アミノ酸であり、各i、j、kおよびlは独立に整数≧1であり、mは整数≧2であり、n=0または整数≧1である)に示されるアミノ酸配列を含む、またはからなる。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数1である。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数2である。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数3である。一部の実施形態では、nが0である。一部の実施形態では、nが整数≧1(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれを超える)である。一部の実施形態では、mが整数1である。一部の実施形態では、mが整数≧2(例えば、2、3、4、6、7、8、9、10、11、12またはそれを超える)である。一部の実施形態では、mが整数2、3または4である。
一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、[(Z)i(Y)j(X)k(Y)l]m(式VIII)(式中、各(X)は独立にイオン性極性アミノ酸であり、各(Y)は独立に疎水性アミノ酸であり、各(Z)は独立に非イオン性極性アミノ酸であり、各i、j、kおよびlは独立に整数≧1であり、mは整数≧2であり、n=0または整数≧1である)に示されるアミノ酸配列を含む、またはからなる。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数1である。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数2である。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数3である。一部の実施形態では、nが0である。一部の実施形態では、nが整数≧1(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれを超える)である。一部の実施形態では、mが整数1である。一部の実施形態では、mが整数≧2(例えば、2、3、4、6、7、8、9、10、11、12またはそれを超える)である。一部の実施形態では、mが整数2、3または4である。
一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、[(Y)i(Z)j(Y)k(X)l]m(式VIII)(式中、各(X)は独立にイオン性極性アミノ酸であり、各(Y)は独立に疎水性アミノ酸であり、各(Z)は独立に非イオン性極性アミノ酸であり、各i、j、kおよびlは独立に整数≧1であり、mは整数≧2であり、n=0または整数≧1である)に示されるアミノ酸配列を含む、またはからなる。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数1である。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数2である。一部の実施形態では、各i、j、kおよびlが独立に整数3である。一部の実施形態では、nが0である。一部の実施形態では、nが整数≧1(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれを超える)である。一部の実施形態では、mが整数1である。一部の実施形態では、mが整数≧2(例えば、2、3、4、6、7、8、9、10、11、12またはそれを超える)である。一部の実施形態では、mが整数2、3または4である。
式I~IVの自己組織化ペプチド中の各(X)は、酸性アミノ酸または塩基性アミノ酸であり得る。例えば、一部の実施形態では、各(X)が、それだけに限らないが、アルギニン、リジン、ヒスチジンおよびオルニチンを含む塩基性アミノ酸である。一部の実施形態では、各(X)が、それだけに限らないが、アスパラギン酸およびグルタミン酸を含む酸性アミノ酸である。
式I~IVの自己組織化ペプチド中の各(Y)は、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンまたはグリシンであり得る。
各(Z)は、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、グルタミン、アスパラギンおよびメチオニンからなる群からなる群から選択される。
本明細書に記載される医薬組成物は、1つのタイプの自己組織化ペプチドまたは複数の異なるタイプの自己組織化ペプチドを含み得る。例えば、一部の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物が、1つのタイプの自己組織化ペプチド(例えば、式Iに示されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる自己組織化ペプチド)を含み得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物が、2またはそれを超えるタイプ(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれを超えるタイプ)の自己組織化ペプチドを含む。本明細書で提供される医薬組成物が1つを超えるタイプの自己組織化ペプチドを含む場合、自己組織化ペプチドは全て、単一の式(すなわち、式I~IVのうちの1つ)に示されるアミノ酸配列を含み得るか、または異なる式に示されるアミノ酸配列を含み得る。複数のタイプの自己組織化ペプチドが本明細書で提供される医薬組成物中に存在する場合、異なるタイプのペプチドが、相互作用し、高次構造(例えば、βシート)を形成することができる可能性がある。
一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、約8個のアミノ酸残基~約50個のアミノ酸残基を含むか、またはそれらからなる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、約8個のアミノ酸残基~18個のアミノ酸残基を含むか、またはそれらからなる。例えば、自己組織化ペプチドは、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または40個のアミノ酸残基を含み得る。自己組織化ペプチドのサイズは、自己組織化ペプチドの三次構造が、ペプチドが他の自己組織化ペプチドと高次構造(例えば、ナノファイバーまたはβシート)を形成する能力を破壊しないようなものであり得る。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、約12個のアミノ酸残基を含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、約13個のアミノ酸残基を含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、約14個のアミノ酸残基を含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、約15個のアミノ酸残基を含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、約16個のアミノ酸残基を含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、約17個のアミノ酸残基を含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、約18個のアミノ酸残基を含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、約19個のアミノ酸残基を含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、約20個のアミノ酸残基を含む、またはからなる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、約21個のアミノ酸残基を含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、約22個のアミノ酸残基を含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、約23個のアミノ酸残基を含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、約24個のアミノ酸残基を含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、約25個のアミノ酸残基を含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、約26個のアミノ酸残基を含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、約27個のアミノ酸残基を含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、約28個のアミノ酸残基を含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、約29個のアミノ酸残基を含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、約30個のアミノ酸残基を含むか、またはそれからなる。
例示的な自己組織化ペプチドを表1で以下に提供する。表1の例示的な自己組織化ペプチドは、交互のイオン性極性アミノ酸残基、疎水性アミノ酸残基および非イオン性極性アミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物が、配列番号1~20および94~96に示されるアミノ酸配列を含むか、またはからなる自己組織化ペプチドを含む。
表1.例示的な自己組織化ペプチド
一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、1またはそれを超える官能基を含み得る。一部の実施形態では、官能基が、自己組織化ペプチドの分解を予防するまたは遅延させる。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドがN末端官能基を含む。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドがC末端官能基を含む。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドがN末端官能基とC末端官能基の両方を含む。例えば、一部の実施形態では、官能基が、酵素(例えば、インビボ)による自己組織化ペプチドの分解を予防するまたは遅延させる(例えば、アセチル、ホルミル、クロロアセチル、ベンジルオキシカルボニル、ブロモアセチル、tertブトキシカルボニル、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、メチルエステル、ベンジルエステルまたはt-ブチルエステル)。例示的なN末端官能基には、それだけに限らないが、アセチル、ホルミル、ピログルタミル(pGlu)、ビオチン、ポリエチレングリコール(PEG)、尿素、アルキルアミン、カルバメート、スルホンアミド(例えば、4-トルエンスルホニル、4-ニトロベンゼンスルホニル)、ダンシル、2,4-ジニトロフェニル(2,4-dintrophenyl)、フルオレセイン、7-メトキシクマリン酢酸、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル、パルミチン酸、スクシニル、クロロアセチル、マレイミド、ベンジルオキシカルボニル、ブロモアセチル、ニトリロトリアセチル、tertブトキシカルボニル、4-ヒドロキシフェニルプロピオン酸、アリルオキシカルボニル、酪酸、脂肪酸(例えば、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸およびラウリン酸)、およびトリチルが含まれる。例示的なC末端官能基には、それだけに限らないが、アミド、N-アルキルアミド、アルデヒド、エステル(例えば、メチルエステル、ベンジルエステルまたはt-ブチルエステル)、アルコール、パラ-ニトロアニリド(pNA)、7-アミノ-4-メチルクマリン(Amc)、ヒドラジド、ヒドロキサム酸、クロロメチルケトン、p-ニトロアニリン、パラ-ニトロフェノール、ヒドロキシスクシンイミドエステル(hydroxysucinimide ester)、フルオロメチルケトン、システアミド、9-フルオレンメチル(Fm)エステル、アリルエステル、2,4-ジメトキシベンジルエステル、2-フェニルイソプロピルエステル、p-ニトロベンジルエステル、および2-クロロトリチルエステルが含まれる。
一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドが、N末端アセチル基および/またはC末端アミン基を含むことができる。例えば、これらの官能基の両方を含む例示的な自己組織化ペプチドは、表2で以下に提供される。一部の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物が、配列番号21~40および97~99に示されるアミノ酸配列を含む、またはからなる自己組織化ペプチドを含む。
表2.N末端アセチル基およびC末端アミン基を含む例示的な自己組織化ペプチド
一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドが、少なくとも1つの生物学的に活性なペプチドモチーフを含む。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、生物学的に活性なペプチドモチーフは、例えば、細胞接着、分化、増殖、動員および/またはホーミング;神経突起伸長;生物活性分子の動員(例えば、生物活性分子の結合部位として)、保持および/または再構成を含む、本明細書に記載される医薬組成物(例えば、ヒドロゲル)中、上または周囲の1またはそれを超える生物学的過程を促進し得る。生物学的に活性なペプチドモチーフは、自己組織化ペプチドのアミノ酸配列に沿ってどこにでも存在し得、好ましくは、自己組織化ペプチドが他の自己組織化ペプチドとの分子内相互作用または分子間相互作用を介して高次構造(例えば、ナノファイバーまたはβシート)を形成する能力を妨害しない。例えば、一部の実施形態では、生物学的に活性なペプチドモチーフが、自己組織化ペプチドのN末端に存在する。一部の実施形態では、生物学的に活性なペプチドモチーフが、自己組織化ペプチドのC末端に存在する。自己組織化ペプチドは、1またはそれを超える(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つまたはそれを超える)生物学的に活性なペプチドモチーフを含むことができる。自己組織化ペプチドが1つを超える生物学的に活性なペプチドモチーフを含む場合、各モチーフが同じタイプであってもよい、または各モチーフが異なっていてもよい。例示的な生物学的に活性なペプチドモチーフは、ラミニン-1、コラーゲンIV、フィブロネクチン、エラスチン、骨髄ホーミングペプチド1、骨髄ホーミングペプチド2、またはミエロペプチドなどのタンパク質に由来し得る。生物学的に活性なモチーフの非限定的な例を表3で以下に提供する。一部の実施形態では、本明細書で提供される自己組織化ペプチドが、配列番号41~70に示されるアミノ酸配列を含む生物学的に活性なペプチドモチーフを含む。
表3.例示的な生物学的に活性なペプチドモチーフ.
一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、表4で以下に示される生物学的に活性なペプチドモチーフを含む。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、配列番号71~90に示されるアミノ酸配列を含む、またはからなる。
表4.生物学的に活性なペプチドモチーフを含む例示的な自己組織化ペプチド.
本明細書で提供される医薬組成物中に存在する自己組織化ペプチドの濃度は、組成物のレオロジー特性を変化させるために変えることができる。一部の実施形態では、医薬組成物が、約0.01%(w/v)~約10%(w/v)の本明細書に記載される自己組織化ペプチドを含み得る。一部の実施形態では、医薬組成物が、約0.1%(w/v)~約5%(w/v)の本明細書に記載される自己組織化ペプチドを含み得る。一部の実施形態では、医薬組成物が、約0.1%(w/v)~約2%(w/v)の本明細書に記載される自己組織化ペプチドを含み得る。一部の実施形態では、医薬組成物が、約0.5%(w/v)~約3%(w/v)の本明細書に記載される自己組織化ペプチドを含み得る。一部の実施形態では、医薬組成物が、約0.5%(w/v)~約1.5%(w/v)の本明細書に記載される自己組織化ペプチドを含み得る。一部の実施形態では、医薬組成物が、約1%(w/v)~約3%(w/v)の本明細書に記載される自己組織化ペプチドを含み得る。一部の実施形態では、医薬組成物が、約0.5%、約1%(w/v)、約1.5%(w/v)、約2%(w/v)、約2.5%(w/v)、約3%(w/v)、約3.5%(w/v)、約4%(w/v)、約4.5%(w/v)、または約5%(w/v)の本明細書に記載される自己組織化ペプチドを含む。
一部の実施形態では、医薬組成物が水溶液もしくはヒドロゲルであり得る、または医薬組成物が脱水され得る(例えば、粉末)。本明細書に記載される自己組織化ペプチドによって形成されるヒドロゲルは、多孔性または固体であり得る。一部の実施形態では、ヒドロゲルが、約1nm~約2000μm、約10nm~約1000μm、約10nm~約500μm、約10nm~約100μm、約10nm~約1μm、約5nm~約500nm、または約5nm~約250nmの平均直径を有する細孔を含む。
一部の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物が、フィルムおよび粒子、例えば、ナノ粒子またはマイクロ粒子を含む、異なるサイズおよび幾何学的形状のヒドロゲルであり得る。一部の実施形態では、医薬組成物が、表面(例えば、ヒドロゲル)上に積層され得る。医薬組成物の粒径は、このような粒子について意図される特定の使用に応じて変化するであろう。一般に、粒子は、約1000μm~約2000μm(例えば、約1000μm、約1100μm、1200μm、1300μm、1400μm、1500μm、1600μm、1700μm、1800μm、1900μmまたは2000μm)の範囲の少なくとも1つの寸法を有することができる。
本明細書に記載される自己組織化ペプチドは、有利には生理学的pHで製剤化され得、その中の自己組織化ペプチドは、可溶性で安定なままである。一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物が約5~約8のpHを有する。一部の実施形態では、医薬組成物が約6~約8のpHを有する。一部の実施形態では、医薬組成物が約5.5~約7.5のpHを有する。一部の実施形態では、医薬組成物が約6~約7.4のpHを有する。一部の実施形態では、医薬組成物が約6.5~約7.5のpHを有する。一部の実施形態では、医薬組成物が約7~約7.5のpHを有する。一部の実施形態では、医薬組成物が、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、または約8.0のpHを有する。本明細書に記載される医薬組成物のpHは、緩衝系を含めることによって調節され得る。あるいは、自己組織化ペプチドは、医薬組成物中の緩衝剤として作用し得る。医薬組成物のpHは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸、リン酸、炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムなどの1またはそれを超える酸または塩基を使用して調整され得る。
一部の実施形態では、医薬組成物が、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの緩衝剤を含み得る。一部の実施形態では、医薬組成物が、それだけに限らないが、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、DME/F12、最小必須培地(MEM)、イーグル基礎培地(BME)、RPMI 1640、F-10、F-12、α-最小必須培地(α-MEM)、グラスゴー最小必須培地(G-MEM)、PF CHO(SAFC Biosciences)およびイスコフ改変ダルベッコ培地を含む、細胞培養のための培地を含み得る。
本明細書に記載される医薬組成物は、組成物のpHが中性または生理学的(例えば、約6~約8のpH)となり、その中の自己組織化ペプチドが非ゼロ正味電荷を有するように製剤化することができる。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、中性または生理学的pHで製剤化されると、自己組織化ペプチドの非ゼロ正味電荷が、ペプチドが反対の電荷の分子と静電相互作用を容易に形成することを可能にする。この特性を、医薬組成物の所望の表面への接着を促進するために有利に使用することができる。これは、医薬組成物が、非ゼロ正味電荷を有する生体分子(例えば、糖タンパク質)に富む組織に施用される臨床用途において特に有利である。
さらに、特定の理論に拘束されることを望むものではないが、生理学的pHで製剤化されると正味正電荷を有する本明細書に記載される自己組織化ペプチドは、殺菌性および/または静菌性であり得るため、治療用途において特に有利である。したがって、自己組織化ペプチドは、細菌負荷の減少が望まれるさまざまな用途で容易に使用され得る。
一部の実施形態では、自己組織化ペプチドの正味電荷が、医薬組成物が約5~約8のpHを有する場合、+1を超えるもしくは+1に等しいまたは-1未満もしくは-1に等しい。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドの正味電荷が、医薬組成物が約5~約8(例えば、7.4)のpHを有する場合、約+1~約+6(例えば、+1、+2、+3、+4、+5または+6)である。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドの正味電荷が、医薬組成物が約5~約8(例えば、7.4)のpHを有する場合、約-1~約-6(例えば、-1、-2、-3、-4、-5または-6)である。
一部の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物が、約10パスカル(Pa)~約10000Paの範囲の弾性率を有する。本明細書で使用される場合、「弾性率」という用語は、力が組成物に印加されると、組成物が弾性的に(すなわち、非永久的に)変形する傾向を指す。一般に、物体の弾性率は、弾性変形領域の応力―ひずみ曲線の勾配として定義される。方向を含む、応力とひずみの測定方法を指定することで、多くのタイプの弾性率を定義できる。ヤング率(E)は、引張弾性率、または反対の力が軸に沿って印加されると物体が軸に沿って変形する傾向を記載するものである;これは、引張応力と引張ひずみの比として定義される。これは、通常、単に弾性率と呼ばれる。剪断弾性率または剛性率(Gまたはμ)は、反対の力が作用した場合の物体の剪断傾向(一定の体積での形状の変形)を記載するものである;これは、剪断ひずみに対する剪断応力として定義される。剪断弾性率は、粘度の派生物の一部である。バルク弾性率(K)は、体積弾性率、または全ての方向に均一に荷重がかかると、物体が全ての方向に変形する傾向を記載するものである;これは、体積ひずみに対する体積応力として定義され、圧縮率の逆数である。バルク弾性率は、ヤング率を三次元に拡張したものである。一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物(例えば、ヒドロゲル)が少なくとも約10Paの貯蔵弾性率を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物が少なくとも約50Paの貯蔵弾性率を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物が少なくとも約100Paの貯蔵弾性率を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物が少なくとも約500Paの貯蔵弾性率を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物が少なくとも約1000Paの貯蔵弾性率を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物が約10Pa~約5000Paの貯蔵弾性率を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物が約50Pa~約500Paの貯蔵弾性率を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物が約10Pa~約1000Paの貯蔵弾性率を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物が約500Pa~約5000Paの貯蔵弾性率を有する。
一部の実施形態では、増加したイオン強度が、本明細書に記載される医薬組成物中に存在する自己組織化ペプチドの剛性および/またはゲル化速度を増加させ得る。一部の実施形態では、増加したイオン強度が生理学的イオン強度であり得る。医薬組成物のイオン強度は、組成物が対象(例えば、ヒト対象)中および/または上に投与されると増加し得る。あるいは、本明細書に記載される医薬組成物のイオン強度は、組成物を1またはそれを超える等張化剤と混和することによって増加し得る。例示的な等張化剤には、それだけに限らないが、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、およびリン酸カリウムが含まれる。一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物が等張化剤を含まない。一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物が約0.01M~約0.3Mの等張化剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物が約0.1M~約0.3Mの等張化剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物が約0.1M~約0.2Mの等張化剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物が、0.01M、0.02M、0.03M、0.04M、0.05M、0.06M、0.07M、0.08M、0.09M、0.1M、0.15M、0.2M、0.25Mまたは0.3Mの等張化剤を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物が、対象の投与部位に関して低浸透圧性となるように製剤化される。一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物が、対象の投与部位に関して等浸透圧性となるように製剤化される。一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物が、対象の投与部位に関して高浸透圧性となるように製剤化される。
一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物が、細胞(例えば、単離された細胞)を含む。一部の実施形態では、医薬組成物(例えば、ヒドロゲル)が、その中の細胞の生存率を増強し、それによって、生細胞の所望の部位(例えば、損傷したまたは欠陥のある体組織)への送達を促進することができる。一部の実施形態では、医薬組成物が、約10~約10個細胞/mL(例えば、10個、10個、10個、10個細胞/mL)を含む水溶液である。一部の実施形態では、医薬組成物が、約10~約10個細胞/mLを含む水溶液である。一部の実施形態では、医薬組成物が1つの細胞型を含む。一部の実施形態では、医薬組成物が、1つを超える細胞型(例えば、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれを超える細胞型)を含む。
所望の用途に応じて、任意の適切な細胞が医薬組成物に含まれ得る。例えば、一部の実施形態では、医薬組成物(例えば、ヒドロゲル)に、動物細胞または植物細胞が播種される。ヒドロゲルの場合、細胞がヒドロゲル内にカプセル化され得る。一部の実施形態では、医薬組成物が哺乳動物細胞を含む。例示的な哺乳動物細胞には、それだけに限らないが、幹細胞(胚性幹細胞、間葉系幹細胞、骨髄由来幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞および毛包幹細胞)、軟骨細胞前駆細胞、膵臓前駆細胞、筋芽細胞、線維芽細胞、ケラチノサイト、神経細胞、グリア細胞、星状細胞、前脂肪細胞、脂肪細胞、血管内皮細胞、内皮前駆細胞、間葉系細胞、神経幹細胞、免疫細胞(例えば、B細胞およびT細胞)、平滑筋前駆細胞、心筋細胞、胎児皮膚線維芽細胞、表皮ケラチノサイト、筋芽細胞、および毛細血管内皮細胞が含まれる。一部の実施形態では、細胞が、遺伝子改変細胞(例えば、成長因子、分化因子、サイトカイン、キメラ抗原受容体、または抗体もしくはそのフラグメントなどの所望の化合物を発現および分泌するように改変された細胞)である。一部の実施形態では、細胞が組織培養細胞株細胞である。例示的な組織培養細胞株細胞には、それだけに限らないが、C166細胞、C6グリオーマ細胞株、AML12、HeLa細胞およびチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)が含まれる。
一部の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物が、それだけに限らないが、細胞外マトリックスタンパク質(例えば、フィブロネクチン、ビトロネクチンおよびラミニン)、サイトカイン、成長因子、分化因子、インスリン、核酸、ビタミン、脂肪酸、および治療剤を含む生物活性分子を含む。
例示的な成長因子およびサイトカインには、それだけに限らないが、幹細胞因子(SCF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージ刺激因子(GM-CSF)、間質細胞由来因子-1、血管内皮成長因子(VEGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、アンジオポエチン、表皮成長因子(EGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、肝細胞核因子-1(HNF-1)、神経成長因子(NGF)、骨形成タンパク質(BMP)、線維芽細胞成長因子(FGF)、肝細胞成長因子、インスリン様成長因子(IGF-1)、インターロイキン(IL)-3、IL-1a、IL-1β、IL-6、IL-7、IL-8、IL-11およびIL-13、コロニー刺激因子、トロンボポエチン、エリスロポエチン、fit3-リガンド、ならびに腫瘍壊死因子α(TNFα)が含まれる。
一部の実施形態では、生物活性分子が治療剤である。本明細書で使用される場合、「治療剤」という用語が、対象の疾患または障害の診断、処置または予防に使用される化合物を指す。疾患または障害の診断、処置または予防に有益であることが知られている任意の治療剤が、本明細書で提供される医薬組成物に含まれ得る。治療剤には、薬理学的に活性な化合物(例えば、抗生物質および抗炎症剤)、ホルモン、DNA(例えば、プラスミドDNA)、RNA、siRNA、shRNA、アンチセンスRNA、タンパク質(例えば、抗体およびそのフラグメント、ならびに酵素)、脂質、炎症誘発性分子、およびこれらの組み合わせが含まれる。治療剤のいずれも、このような組み合わせが生物学的に適合性である範囲で組み合わせることができる。医薬組成物中の治療剤の量は、例えば、特定の作用過程に必要な治療剤の有効用量および治療剤の放出に必要な期間を含むさまざまな因子に依存するであろう。追加の例示的な治療剤ならびに適切な投与量およびレジメンは、例えば、Harrison’s Principles of Internal Medicine、第19版、編者D.L.Kasperら、McGraw-Hill、ニューヨーク、NY(2015);Physician’s Desk Reference、第71版、Montvale,NJ、Physician’s Desk Reference Inc.(2016);およびGoodman and Gilman’s:The Pharmacological Basis of Therapeutics、第13版、編者L.L.Bruntonら、McGraw-Hill、ニューヨーク、NY(2018)に記載されており;これらの各々が参照により本明細書に組み込まれる。
自己組織化ペプチドおよび医薬組成物の使用
本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物は、細胞培養用途および臨床用途を含む、さまざまなインビトロおよびインビボ用途で使用され得る。
細胞培養
一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が、細胞(例えば、単離されたヒト細胞)の培養で使用され得る。例えば、本明細書に記載される自己組織化ペプチドを含むヒドロゲルは、細胞培養のための基質となり得る。上記のように、本明細書に記載される自己組織化ペプチドによって形成されるヒドロゲルは、細胞の時空間基質を提供する1つの構造または高次構造(例えば、ナノファイバーおよび三次元メッシュ)を含み得る。有利なことに、ヒドロゲルは生理学的pHで製剤化することができるので、細胞の成長および増殖のための適切な環境を提供し得る。
上に詳細に記載される細胞型のいずれも、本明細書に記載されるヒドロゲルで培養され得る。細胞は予備成形ヒドロゲル上に直接播種され得る、または細胞はゲル化するとヒドロゲルを形成する水性医薬組成物と混和され得る。ヒドロゲルの液相は、細胞の生存および増殖を促進するために必要な因子を提供するために、1またはそれを超える培養培地成分(例えば、成長因子および血清)を補足され得る。細胞の生存および成長を維持するために必要な適切な条件および因子は当技術分野で知られている(例えば、Freshney、Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique、Wiley-Liss、ニューヨーク、NY(2000);およびCells:A Laboratory Manual(Spector,D.L.、Goldman,R.D.およびLeinwand,L.A.編)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、コールド・スプリング・ハーバー、NY(1998)参照)。
本明細書で提供される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物は、例えば、細胞培養を実施するため、化粧品(例えば、皮膚およびヘアケア製品)、組織工学のため、コーティング剤として(例えば、コンタクトレンズなどの医療デバイス用)、潤滑剤として(例えば、点眼液または関節潤滑剤として)、止血剤として、乾燥剤として、骨充填材として、人工硝子体として、人工レンズとして、薬物送達デバイスとして、保水材料として、および生体材料用途を含むさまざまな用途で使用され得る。
臨床用途
一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が、さまざまな臨床用途で使用され得る。したがって、有効量の本明細書に記載される医薬組成物を対象中または上の特定の部位に投与することによって対象を処置するさまざまな方法が本明細書で提供される。上記のように、本明細書に記載される医薬組成物の特定の利点は、これらが生理学的pH(例えば、約pH6~約pH8)で製剤化され得、したがって、酸性または塩基性pHで製剤化された自己組織化ペプチドの医薬組成物と比較して、対象との接触時の痛みの低減および組織損傷の低減をもたらし得ることである。
対象に投与される(例えば、施用または注射される)医薬組成物の量、例えば、体積または濃度は、医薬組成物の形態(例えば、水溶液またはヒドロゲルとして)および利用される投与経路に応じて変化し得る。医薬組成物の正確な製剤、投与経路、体積、および量は、対象の症状を考慮して、および医薬組成物が投与される特定の標的領域または位置を考慮して選択することができる。特定の対象のための具体的な投与量および処置レジメンは、具体的な自己組織化ペプチド、処置されている領域の寸法、得られるヒドロゲルの所望の厚さ(水溶液が投与される場合)および処置時間の長さを含むさまざまな因子に依存し得る。具体的な投与量および処置レジメンに影響を及ぼし得る他の因子には、年齢、体重、健康状態、性別、投与時間、分解速度、疾患、症状または症候の重症度および経過が含まれる。一部の実施形態では、医薬組成物が単回投与で投与され得る。他の実施形態では、医薬組成物が、1を超える投与(例えば、2、3、4、5、6またはそれを超える投与)で投与され得る。
一部の実施形態では、予備重合ヒドロゲルの形態の医薬組成物が対象に投与される。一部の実施形態では、医薬組成物が、インビトロで形成され、対象の所望の位置に投与されるヒドロゲルである。
一部の実施形態では、水溶液の形態の医薬組成物が対象に投与される。ヒドロゲルは、水溶液の投与後、インビボで形成され得る。自己組織化ペプチドは張性の変化に応じて重合するので、ヒドロゲルは、投与中またはその直後に対象と接触すると形成し得る。
医薬組成物は、送達デバイスを対象の所定のもしくは所望の標的領域またはその近くに導入することによって投与され得る。送達デバイスは、従来のデバイスであり得る、または具体的な標的領域に到達する、具体的な投与レジメンを達成する、具体的な標的体積、量もしくは濃度を送達する、および標的領域に正確に送達することのうちの少なくとも1つを達成するように設計され得る。適切な送達デバイスには、それだけに限らないが、注射器、ピペット、チューブ、カテーテル、注射器カテーテル、自動注入装置、および対象の所定のまたは所望の標的領域への他の針ベースのデバイスが含まれる。注射針のゲージは、注射器から標的領域への医薬組成物の適切な流れを提供するように選択され得る。
有効量は、約0.1ミリリットル(mL)~約100mLの体積の医薬組成物(水溶液として投与される場合)を含み得る。一部の実施形態では、有効量が約0.1mL~約10mLの医薬組成物であり得る。一部の実施形態では、有効量が約0.5mL~約5mLの医薬組成物であり得る。一部の実施形態では、有効量が約1mL~約5mLの医薬組成物であり得る。一部の実施形態では、有効量が約0.5mLの医薬組成物であり得る。一部の実施形態では、有効量が約1.0mLの医薬組成物であり得る。一部の実施形態では、有効量が約1.5mLの医薬組成物であり得る。一部の実施形態では、有効量が約2.0mLの医薬組成物であり得る。一部の実施形態では、有効量が約2.5mLの医薬組成物であり得る。一部の実施形態では、有効量が標的領域1cm当たり約0.1mL~約5mLであり得る。一部の実施形態では、有効量が標的領域1cm当たり約1mLであり得る。一部の実施形態では、有効量が標的領域1cm当たり約2mLであり得る。
医薬組成物は、限定されないが、注射、移植、マイクロインジェクションおよび直接施用を含む当技術分野で知られている任意の適切な経路によって対象に投与され得る。注射を介した投与には、限定されないが、皮膚、筋肉内、皮内、真皮下および皮下注射が含まれる。
一部の実施形態では、医薬組成物が、所望の結果をもたらすために、1つの位置で単回投与で対象に投与される(例えば、注射または移植される)。一部の実施形態では、医薬組成物が、所望の結果をもたらすために、数回の投与として投与される。一部の実施形態では、医薬組成物の複数用量が投与される場合、各投与が、具体的な期間、例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、1か月、2か月、3か月またはそれを超える後に行われる。
一部の実施形態では、対象の部位に形成した、または存在するヒドロゲルが、ヒドロゲルを、ヒドロゲルと比較して低張濃度の等張化剤を含む溶液と接触させることによって除去され得る。一部の実施形態では、対象の部位に形成した、または存在するヒドロゲルが、ヒドロゲルを水と接触させることによって除去され得る。一部の実施形態では、対象の部位に形成した、または存在するヒドロゲルが、ヒドロゲルを対象の部位に対して低張性の溶液と接触させることによって除去され得る。一部の実施形態では、対象の部位に形成した、または存在するヒドロゲルが、ヒドロゲルを対象の部位に対して糖(例えば、デキストロースおよびスクロース)により等張性の溶液と接触させることによって除去され得る。一部の実施形態では、対象の部位に形成した、または存在するヒドロゲルが、ヒドロゲルを体液中の塩と比較して低いイオン強度を有する塩で等張性の溶液(例えば、NaCl-「生理食塩水」)と接触させることによって除去され得る。
ヒドロゲルは、ヒドロゲルを破壊する(例えば、構造または形態を破壊する)および/またはヒドロゲルを対象の部位から剥離させるのに十分な時間、溶液と接触させられ得る。一部の実施形態では、ヒドロゲルが、約5分間、約10分間、約20分間、約30分間、約1時間、約2時間、約3時間、またはそれを超えて溶液と接触させられる。
一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物が、生物活性分子または治療剤の放出を特異的に標的化する送達デバイスとして使用され得る。一部の実施形態では、医薬組成物が、(例えば、対象への投与後に)生物活性分子または治療剤の自発的放出を可能にするように製剤化され得る。一部の実施形態では、医薬組成物が、生物活性分子または治療剤の制御放出を可能にするように製剤化され得る。一部の実施形態では、生物活性分子または治療剤が、長期間(例えば、約12時間~約2か月)にわたって医薬組成物(例えば、ヒドロゲル)から放出される。一部の実施形態では、生物活性分子または治療剤が、約12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1か月、2か月、3か月、またはそれを超えて医薬組成物から放出される。放出動態は、医薬組成物中に存在する自己組織化ペプチドのアミノ酸配列、医薬組成物中の自己組織化ペプチドの濃度、ならびに生物活性分子または治療剤の生化学的および物理的特性に応じて変化するであろう。
1.胃腸管閉塞
本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物は、対象の胃腸管閉塞を予防するために使用され得る。自己組織化ペプチドを含む医薬組成物を使用して胃腸管閉塞を予防する方法は当技術分野で知られており、本明細書に記載される医薬組成物および自己組織化ペプチドを送達するために適合させることができる(例えば、その内容全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる、米国特許第9724448号明細書を参照)。例えば、内視鏡的粘膜切除術(EMR)および内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、胃腸管のポリープ、潰瘍および癌性腫瘍などの病変を切除するための主要な外科的選択肢である(例えば、Wallace(2017)Gastroenterol.Hepatol.(NY)13(6):371-4参照)。EMRおよびESDは低侵襲処置であるが、治癒過程での瘢痕収縮/萎縮によって胃腸管の閉塞が引き起こされ得る。胃腸閉塞の一形態は、狭窄、胃腸管などの管状器官または構造の狭窄化であり得、これは胃腸管の部分的または完全な閉塞につながり得る。対象の胃腸管(例えば、口、喉、食道、胃、小腸、大腸、結腸または直腸のうちの1またはそれを超える)の狭窄を予防する方法が提供される。一部の実施形態では、有効量の本明細書に記載される医薬組成物(例えば、水溶液)が、医療デバイス(例えば、注射器、ピペット、チューブ、注射器カテーテル、カテーテルまたは内視鏡)を使用して、対象の胃腸管の部位に投与される。一部の実施形態では、水溶液が、投与部位でヒドロゲルを形成し、それによって、投与部位での狭窄の予防を可能にする。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドが、粘膜上皮形成を促進して、術後の瘢痕形成を予防または低減し得、これが胃腸閉塞または狭窄の予防または低減に寄与し得る。一部の実施形態では、ヒドロゲルが、ヒドロゲルの投与部位の治癒を促進する細胞の浸潤のための足場を提供する。
一部の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物(例えば、水溶液)が、(例えば、EMRまたはESDを使用して)病変の切除を実施する前に、対象の胃腸管内の部位の粘膜下層に(例えば、注射によって)投与され得る。粘膜下層は、緩い構造の薄い結合組織層である。一部の実施形態では、医薬組成物の粘膜下層への注射が、水疱を形成し、病変を上に持ち上げ、それによって、病変の除去を促進する。一部の実施形態では、医薬組成物が、粘膜下層を約20分~約1時間の期間上昇させる。一部の実施形態では、医薬組成物が、粘膜下層を約20分、約30分、約40分、約50分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、またはそれを超えて上昇させる。
2.組織修復または再生
本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物は、対象の組織の修復または再生を促進または増強するために使用され得る。自己組織化ペプチドおよび医薬組成物は、それだけに限らないが、皮膚、骨、軟骨、神経組織、靭帯、腱、血管組織および筋肉(例えば、心臓組織)を含む別個のタイプの組織を促進または増強し得る。一部の実施形態では、対象が、組織修復または再生の必要性をもたらす先天性疾患または症状を有する。一部の実施形態では、対象が、組織再生の必要性をもたらす損傷を経験した。損傷は、外科手術、外傷、脳卒中、腫瘍、疾患または障害(例えば、神経変性疾患または障害)の結果として発生し得る。本明細書に記載される方法および組成物は、(例えば、損傷前の組織の構造的および/または機能的状態に)組織の構造的および/または機能的完全性を回復し得る。自己組織化ペプチドを含むヒドロゲルを使用して組織再生を促進する方法は当技術分野で知られており、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよびヒドロゲルで使用するために適合させることができる(例えば、その各々の内容全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる、米国特許第7846891号明細書ならびに米国特許出願公開第2016/0362451号明細書および同第2017/0128172号明細書を参照)。
一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が、器官の組織変性の効果を改善もしくは処置するため、器官もしくは他の身体構造への損傷を修復するため、または器官もしくは他の身体構造を形成するために使用され得る。このような器官または身体構造には、必ずしもそれだけに限らないが、血管組織、脳、神経組織、食道、卵管、心臓、腸、胆嚢、腎臓、肝臓、肺、卵巣、膵臓、前立腺、膀胱、骨、脊髄、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、気管、尿管、尿道、子宮および皮膚が含まれる。
組織の修復および再生は、成長因子、細胞接着分子、インテグリン等などの生物活性分子に自己組織化ペプチドおよび医薬組成物を供給することによって増強することができる。一部の実施形態では、生物活性分子が医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、1またはそれを超える生物活性分子を産生する細胞が医薬組成物中に存在する。例えば、1またはそれを超える生物活性分子を産生および/または分泌する遺伝子改変細胞が医薬組成物中に存在し得る。
本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物は、眼組織(例えば、視神経、角膜実質層および水晶体皮質)の再生または修復を促進するために使用され得る。例えば、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物は、網膜症または網膜/黄斑障害を有する対象を処置するために使用され得る。
一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が、対象の損傷部位での神経組織の修復または再生を促進または増強するために使用され得る。例えば、損傷部位に投与されると、本明細書に記載される医薬組成物は、損傷部位での神経組織の修復または再生および軸索伸長を許容する環境を提供する。
3.創傷治癒および抗菌包帯
本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物は、促進または処置を必要とする対象の、創傷治癒もしくは皮膚再建を促進する、または創傷(例えば、火傷)を処置するために使用され得る。例えば、本明細書に記載される医薬組成物は、創傷に直接施用され得る、または創傷の治癒を促進する、皮膚再建を促進する、もしくは創傷を処置するためにガーゼもしくはシートで使用するために適合させることができる。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物が、外科的介入(例えば、腫瘍の除去)によって作成された生検部位または創傷部位に注射され得る。本明細書に記載される医薬組成物はまた、皮膚病変および糖尿病性潰瘍などの慢性創傷の治癒を促進するために使用され得る。創傷治癒または皮膚再建を促進する方法、および自己組織化ペプチドを使用して創傷を処置する方法は当技術分野で知られており、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物で使用するために適合させることができる(例えば、その各々の内容全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる、米国特許出願公開第2011/0002880号明細書、および国際公開第2017/210416号パンフレットを参照)。
一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が抗菌剤として使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が抗菌包帯として使用され得る。
4.止血
本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物は、対象の止血を促進するために使用され得る。本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物は、(例えば、外科手術中または外傷性損傷後の)対象の身体の血管(例えば、動脈、静脈、大動脈)および器官からの失血を停止または制御するために使用され得る。対象の止血を促進する方法は当技術分野で知られており、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物で使用するために適合させられ得る(例えば、その内容全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる、国際公開第2017/210421号パンフレットを参照)。
一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が、外科的または内視鏡的処置中(例えば、肝切除、脾臓摘出、膣形成術、胆嚢摘出、冠状動脈バイパスまたは大腿バイパス中)の出血を停止または予防するために物理的障壁を作り出すために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が、血管および固形器官の実質からの滲出性出血を停止または予防するために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が、血管吻合(例えば、天然または人工血管への吻合)からの滲出性出血を停止または予防するために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が、(例えば、消化管の内視鏡的粘膜下層剥離術(EMD)、消化管の腹腔鏡下切除術または消化管の内視鏡的粘膜切除術(EMR)中の)対象の胃腸管の小血管または毛細血管からの滲出性出血を停止または予防するために使用され得る。
5.局所薬物/治療剤送達
一態様では、本開示は、(i)本明細書に記載される自己組織化ペプチドまたは医薬組成物を含む自己組織化ペプチドと(ii)1またはそれを超えるペイロード剤(例えば、治療剤)を含む組み合わせ組成物であって、約0.1~約100Pa(例えば、5ラジアン/秒の周波数および0.1Paの振動応力で)の貯蔵弾性率を有する、および/または室温で約0.5Pa~約50000Paの範囲の粘度を有する組み合わせ組成物を提供する。一部の実施形態では、組み合わせ組成物の1またはそれを超えるペイロード剤(例えば、治療剤)が、組み合わせ組成物内に実質的に均一に分布している。
別の態様では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が、薬物および/または治療剤の体内の患部および/または欠陥部位への局所送達に使用され得る。薬物/治療剤をペプチド溶液と混合し、針、ノズルまたはカテーテルを使用して注射することができる。薬物を組織に送達および局在化し、次いで、ヒドロゲルが体内に吸収される前にゆっくり放出することができる。
本明細書で使用される「薬剤」という用語は、例えば、ポリペプチド、核酸、糖類、脂質、小分子、金属、またはこれらの組み合わせを含む、任意の化学クラスの化合物または実体を指す。一部の実施形態では、薬剤が、自然界で見られる、および/または自然界から得られるという点で、天然物である、または天然物を含む。一部の実施形態では、薬剤が、人の手の作用によって設計、操作および/または製造される、ならびに/あるいは自然界で見られないという点で人工である1またはそれを超える実体である、またはこれを含む。一部の実施形態では、薬剤が、単離された形態または純粋な形態で利用され得る;一部の実施形態では、薬剤が粗形態で利用され得る。一部の実施形態では、潜在的な薬剤が、例えば、中の活性剤を特定または特徴付けるためにスクリーニングされ得る収集物またはライブラリーとして提供される。本発明に従って利用され得る薬剤の一部の特定の実施形態は、小分子、抗体、抗体フラグメント、アプタマー、核酸(例えば、siRNA、shRNA、DNA/RNAハイブリッド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、mRNA、CRISPRシステムおよびリボザイム)、ペプチド、ペプチド模倣物等を含む。一部の実施形態では、薬剤がポリマーである、またはポリマーを含む。一部の実施形態では、薬剤がポリマーではない、および/またはいかなるポリマーも実質的に含まない。一部の実施形態では、薬剤が少なくとも1つのポリマー部分を含有する。一部の実施形態では、薬剤がいかなるポリマー部分も欠く、または実質的に含まない。一部の実施形態では、薬剤が細胞および/または組織である。一部の実施形態では、薬剤が細胞溶解物である、または細胞溶解物を含む。一部の実施形態では、薬剤が、細胞材料および/または多細胞材料(例えば、マイクロカラムグラフトおよび/またはマイクログラフト)ある、あるいはこれを含む。
本明細書で使用される場合、「治療剤」という句は、一般に、生物に投与されると、所望の薬理学的効果を誘発する任意の薬剤を指す。一部の実施形態では、薬剤が、適切な集団にわたって統計学的に有意な効果を実証する場合、治療剤であると見なされる。一部の実施形態では、適切な集団が、モデル生物の集団であり得る。一部の実施形態では、適切な集団が、一定の年齢群、性別、遺伝的背景、既存の臨床症状等などのさまざまな基準によって定義され得る。一部の実施形態では、治療剤が、疾患、障害および/または症状の1またはそれを超える症候または特徴を緩和する、改善する、救済する、阻害する、予防する、その発症を遅延させる、その重症度を低減する、および/またはその発生率を低下させるために使用することができる物質である。一部の実施形態では、「治療剤」が、ヒトへの投与のために販売され得る前に、政府機関によって承認された、または承認される必要がある薬剤である。一部の実施形態では、「治療剤」が、ヒトへの投与のために処方箋が必要とされる薬剤である。
一部の特定の実施形態では、本発明の組み合わせ組成物が、1またはそれを超えるペイロード剤、例えば、治療剤または検出剤を含む。このような薬剤は、例えば、例えば、ポリペプチド、核酸、糖類、脂質、小分子、金属、またはこれらの組み合わせを含む、任意の化学クラスの化合物または実体を含む。文脈から明らかなように、一部の実施形態では、薬剤が、細胞もしくは生物、またはその画分、抽出物もしくは成分であることができる、またはこれを含むことができる。一部の実施形態では、薬剤が、自然界で見られる、および/または自然界から得られるという点で、天然物である、または天然物を含む。一部の実施形態では、薬剤が、人の手の作用によって設計、操作および/または製造される、ならびに/あるいは自然界で見られないという点で人工である1またはそれを超える実体である、またはこれを含む。一部の実施形態では、薬剤が、単離された形態または純粋な形態で利用され得る;一部の実施形態では、薬剤が粗形態で利用され得る。一部の実施形態では、潜在的な薬剤が、例えば、中の活性剤を特定または特徴付けるためにスクリーニングされ得る収集物またはライブラリーとして提供される。本発明に従って利用され得る薬剤の一部の特定の実施形態は、小分子(例えば、抗生物質、抗癌剤、抗疼痛薬、抗炎症薬、ステロイド、抗精神病薬)、抗体、抗体フラグメント、アプタマー、核酸(例えば、siRNA、shRNA、DNA/RNAハイブリッド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム)、ペプチド、ペプチド模倣物、タンパク質、融合タンパク質、ワクチン、抗凝固剤、サイトカイン、ホルモン、酵素、血液因子、細胞外マトリックス成分等を含む。一部の実施形態では、薬剤が、マイクログラフト組織、薬物(例えば、抗生物質)、および生物学(例えば、成長因子および/または他の分子/タンパク質)からなる群から選択され得る。一部の実施形態では、薬剤が、サイトカイン(例えば、上皮成長因子、神経成長因子、形質転換成長因子-アルファおよびベータ、血小板由来成長因子、インスリン様成長因子、血管内皮成長因子)である。
一部の実施形態では、1またはそれを超えるペイロード剤(例えば、治療剤)と組み合わされた本明細書に記載される自己組織化ペプチドまたは医薬組成物が、疾患もしくは障害、例えば、本明細書に記載される治療剤によって処置されることが知られているもしくは疑われる疾患もしくは障害(例えば、感染症、癌、心血管疾患、神経疾患)を処置するために使用される、および/または創傷治癒、骨/軟骨の修復/再生、軟組織再生に使用される。1またはそれを超えるペイロード剤(例えば、治療剤)と組み合わされた本明細書に記載される自己組織化ペプチドまたは医薬組成物は、さまざまな方法で対象に投与することができ、投与は特定の方法に限定されない。一部の実施形態では、1またはそれを超えるペイロード剤(例えば、治療剤)と組み合わされた本明細書に記載される自己組織化ペプチドまたは医薬組成物が、デバイス、医療デバイス、インプラント、歯科インプラント、乳房インプラント、補綴、針、ステントもしくはカテーテルによって対象に投与される、またはこれに施用される。追加の投与方法は、例えば、その各々がありとあらゆる目的のために全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2011-0002880号明細書;国際公開第2008/073395号パンフレット;米国特許出願公開第2011/0201541号明細書;米国特許出願公開第2014-0329914号明細書;米国特許出願公開第2015-0105336号明細書;国際公開第2014/136081号パンフレット;国際公開第2014/141143号パンフレットおよび米国特許第7846891号明細書に記載される。
追加の方法および実施形態は、ありとあらゆる目的のために全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2017/120092号パンフレットに見出すことができる。
6.気漏閉塞
一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が気漏閉塞に使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が肺胞内嚢胞を処置するために使用され得る。実施形態では、対象の肺胞内嚢胞および/または気漏を処置する方法が提供される。この方法は、送達デバイスを対象の肺胞内嚢胞の標的領域に導入するステップを含み得る。この方法はまた、送達デバイスの端部を肺胞内嚢胞の処置が望まれる標的領域に配置するステップを含み得る。この方法はまた、送達デバイスを通して、有効量および有効濃度のここに記載される自己組織化ペプチドまたは医薬組成物を含む溶液を標的領域に投与して、標的領域の生理学的条件下で障壁を形成して、肺胞内嚢胞を処置するステップを含み得る。この方法はまた、標的領域から送達デバイスを除去するステップを含み得る。
追加の方法および実施形態は、その各々がありとあらゆる目的のために全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2013/030673号パンフレット、国際公開第2015/138473号パンフレット、米国特許第10245299号明細書に見出すことができる。
7.接着の予防および低減
一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が、生体組織接着を予防または軽減するために使用され得る。さまざまな実施形態では、本発明は、生体組織への接着を軽減する方法であって、有効量の本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物を生体組織に投与するステップを含み、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が、生体組織への接着を軽減する、方法を提供する。
さまざまな態様では、本発明は、抗接着を促進する方法であって、送達デバイスを標的領域に導入するステップと;送達デバイスの端部を抗接着が望まれる標的領域に配置するステップと;送達デバイスを通して、有効量および有効濃度の本明細書に記載される自己組織化ペプチドまたは医薬組成物を含む溶液を標的領域に投与して、抗接着を促進するステップと;標的領域から送達デバイスを除去するステップとを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、生体組織が、心外膜、腹腔内、盲腸、腸、優先的に大腸、および/または結腸を含む。一部の実施形態では、標的領域が、心外膜、腹腔内、盲腸、腸、優先的に大腸、および/または結腸を含む。
追加の方法および実施形態は、ありとあらゆる目的のために全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2019-0091376号明細書に見出すことができる。
8.インビトロ細胞培養
一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が、2D細胞培養および/または3D細胞培養に使用され得る。
9.骨間隙充填剤
一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が骨間隙を充填するために使用され得る。
一部の実施形態では、対象の骨間隙を充填する方法が提供される。一部の実施形態では、本方法が、送達デバイスを対象の骨に導入するステップと、送達デバイスの端部を骨成長の促進が望まれる骨の間隙の近位に配置するステップと、送達デバイスを通して、生理学的条件下でヒドロゲル足場を形成するための、約0.1w/vパーセント~約5w/vパーセントのペプチドの範囲の有効量および濃度の本開示の自己組織化ペプチドまたは医薬組成物を含む溶液を投与して、標的部位での骨成長を促進するステップと、対象から送達デバイスを除去するステップとを伴い得る。
1またはそれを超える実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が、標的部位での投与後、治癒過程中に再吸収され、骨と置き換わる骨間隙充填剤(BVF)として使用され得る。ペプチドヒドロゲルは、骨格系の骨間隙またはギャップに配置され得る。一定の実施形態では、自己組織化ペプチドおよびその自己組織化構造が、さまざまな組織の修復および置換のための細胞培養支持体として、ならびに生細胞をカプセル化するための足場として使用され得る。本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物は、組織再生および関連する細胞外マトリックスタンパク質の産生を促進し得る。少なくとも一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が非免疫原性であり、脱灰凍結乾燥骨(DFDBA)調製物を含む、この適応症のための既存の材料に対する改善を表す。
追加の方法および実施形態は、ありとあらゆる目的のために全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2017-0128622号明細書に見出すことができる。
10.ドライアイのための人工涙液
一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物がドライアイを処置するために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が人工涙液に使用され得る。
11.関節軟骨修復
一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が関節軟骨を修復するために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が注射可能な組成物として使用され得る。理論に拘束されるものではないが、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物を含む注射可能なヒドロゲルは、その治療有効性を増強し、その投与の容易さを改善することができる。軟骨再生のための理想的な注射可能な足場は、典型的には、以下の基準を満たすべきである:(i)生理学的条件下での投与の容易さ、(ii)保証された注射可能性(化学的または物理的架橋を介した注射時のゲル化)、(iii)優れた生体適合性および潜在的な生分解性、(iv)軟骨ECM機能を模倣し、細胞の軟骨形成能を促進する能力、(v)関節内の欠陥部位を容易に充填し、容易に移動するのではなく、周囲の天然の軟骨組織と一体化する能力、および(vi)局所薬物送達に関連する場合、徐放プロファイル。
12.美容用途(美容外科における皮膚充填剤)
一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が皮膚充填剤として使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が注射可能な組成物として使用され得る。理論に拘束されるものではないが、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物を含む注射可能なヒドロゲルは、その治療有効性を増強し、その投与の容易さを改善することができる。軟骨再生のための理想的な注射可能な足場は、典型的には、以下の基準を満たすべきである:(i)生理学的条件下での投与の容易さ、(ii)保証された注射可能性(化学的または物理的架橋を介した注射時のゲル化)、(iii)優れた生体適合性および潜在的な生分解性、(iv)軟骨ECM機能を模倣し、細胞の軟骨形成能を促進する能力、(v)関節内の欠陥部位を容易に充填し、容易に移動するのではなく、周囲の天然の軟骨組織と一体化する能力、および(vi)局所薬物送達に関連する場合、徐放プロファイル。
一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が、唇をふっくらさせるために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が、しわを埋めるまたは滑らかにするために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が、顔のしわを柔らかくするために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が、浅い輪郭を増強するために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が、対象の顔の輪郭変形を再構築するために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が、陥凹した瘢痕の外観を改善するために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される自己組織化ペプチドおよび医薬組成物が、下眼瞼の下の影を減少させるまたは除去するために使用され得る。
キット
別の態様では、本開示は、本明細書に記載される医薬組成物および/または自己組織化ペプチドを含むキットならびに製造物品を提供する。キットは、中の構成要素の適切な調製および/または使用に関する指示を含み得る。キットは、本明細書に記載されるように、医薬組成物または自己組織化ペプチドを調製するおよび/または対象(例えば、ヒト対象)に送達するための有用なツールをさらに含み得る。
一部の実施形態では、キットが、医薬組成物および情報資料のための別個の容器、ディバイダまたは区画を含有する。例えば、医薬組成物はボトル、バイアルまたは注射器に含有され得、情報資料はプラスチックスリーブまたはパケットに含有され得る。一部の実施形態では、キットの別個の要素が、単一の分割されていない容器内に含有される。例えば、医薬組成物または自己組織化ペプチドは、ラベルの形態で情報資料を取り付けたボトル、バイアルまたは注射器に含有され得る。
一部の実施形態では、キットが、それぞれが医薬組成物または自己組織化ペプチドの1またはそれを超える単位剤形を含有する、複数の個々の容器、例えば個々の容器のパックを含む。例えば、キットは、それぞれが単一単位用量の医薬組成物または自己組織化ペプチドを含有する、複数の注射器、アンプル、ホイルパケットまたはブリスターパックを含み得る。一部の実施形態では、キットの構成要素が、例えば、ゴムまたはシリコーンクロージャ(例えば、ポリブタジエンまたはポリイソプレンクロージャ)を備えた密封バイアルに保管される。一部の実施形態では、キットの構成要素が、不活性条件下(例えば、窒素またはアルゴンなどの別の不活性ガス下)で保管される。一部の実施形態では、キットの構成要素が、無水条件下で(例えば、乾燥剤と共に)保管される。一部の実施形態では、キットの構成要素が、琥珀色バイアルなどの遮光容器に保管される。一部の実施形態では、キットの容器が気密および/または防水であることができる。
キットは、等張化剤を含む溶液をさらに含み得る。これらの溶液は、本明細書で提供される自己組織化ペプチドを含む医薬組成物とは別に、またはこれと組み合わせて包装され得る。
例えば、注射器、自動注入装置、チューブおよびカテーテル(例えば、ガイドワイヤーの有無にかかわらず)を含む製造物品も提供される。一部の実施形態では、製造物品が、本明細書に記載される自己組織化ペプチド、または医薬組成物を事前充填され得る。これらの製造物品は、本明細書に記載されるキットとは別のものであり得る、またはこれに含まれ得る。
本発明のさらなる態様および実施形態は、以下の番号が付けられたパラグラフに示される:
1.以下に示されるアミノ酸配列:
[(X)i(Y)j(Z)k(Y)l]m(X)n 式I、
[(Y)i(X)j(Y)k(Z)l]m(Y)n 式II、
[(Z)i(Y)j(X)k(Y)l]m(Z)n 式III、または
[(Y)i(Z)j(Y)k(X)l]m(Y)n 式IV
(式中、各(X)は独立にイオン性極性アミノ酸であり、各(Y)は独立に疎水性アミノ酸であり、各(Z)は独立に非イオン性極性アミノ酸であり、各i、j、kおよびlは独立に整数≧1であり、mは整数≧2であり、n=0または整数≧1である)
を含む自己組織化ペプチドを含む医薬組成物。
2.前記自己組織化ペプチドが、式Iに示されるアミノ酸配列を含む、パラグラフ1に記載の医薬組成物。
3.前記自己組織化ペプチドが、式IIに示されるアミノ酸配列を含む、パラグラフ1に記載の医薬組成物。
4.前記自己組織化ペプチドが、式IIIに示されるアミノ酸配列を含む、パラグラフ1に記載の医薬組成物。
5.前記自己組織化ペプチドが、式IVに示されるアミノ酸配列を含む、パラグラフ1に記載の医薬組成物。
6.各(X)が、塩基性アミノ酸である、パラグラフ1から5のいずれか1つに記載の医薬組成物。
7.前記塩基性アミノ酸が、アルギニン、リジン、ヒスチジンおよびオルニチンからなる群から選択される、パラグラフ6に記載の医薬組成物。
8.各(X)が、酸性アミノ酸である、パラグラフ1から5のいずれか1つに記載のペプチド。
9.前記酸性アミノ酸が、アスパラギン酸およびグルタミン酸からなる群から選択される、パラグラフ8に記載のペプチド。
10.各(Y)が、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびグリシンからなる群から選択される、パラグラフ1から9のいずれか1つに記載の医薬組成物。
11.各(Z)が、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、グルタミン、アスパラギンおよびメチオニンからなる群からなる群から選択される、パラグラフ1から10のいずれか1つに記載の医薬組成物。
12.i、j、kおよびlの少なくとも1つが独立して整数1である、パラグラフ1から11のいずれか1つに記載の医薬組成物。
13.i、j、kおよびlの少なくとも1つが独立して整数2である、パラグラフ1から12のいずれか1つに記載の医薬組成物。
14.mが独立して整数2または3である、パラグラフ1から13のいずれか1つに記載の医薬組成物。
15.前記自己組織化ペプチドが、配列番号1~20に示されるアミノ酸配列を含む、パラグラフ1から14のいずれか1つに記載の医薬組成物。
16.前記自己組織化ペプチドが、N末端官能基、C末端官能基または両方を含む、パラグラフ1から15のいずれか1つに記載の医薬組成物。
17.前記N末端官能基が、アセチル、ホルミル、ピログルタミル(pGlu)、ビオチン、ポリエチレングリコール(PEG)、尿素、アルキルアミン、カルバメート、スルホンアミド、ダンシル、2,4-ジニトロフェニル、フルオレセイン、7-メトキシクマリン酢酸、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル、パルミチン酸、スクシニル、クロロアセチル、マレイミド、ベンジルオキシカルボニル、ブロモアセチル、ニトリロトリアセチル、tertブトキシカルボニル、4-ヒドロキシフェニルプロピオン酸、アリルオキシカルボニル、酪酸、脂肪酸、およびトリチルからなる群から選択される、パラグラフ16に記載の医薬組成物。
18.前記C末端官能基が、アミド、N-アルキルアミド、アルデヒド、エステル、アルコール、パラ-ニトロアニリド(pNA)、7-アミノ-4-メチルクマリン(Amc)、ヒドラジド、ヒドロキサム酸、クロロメチルケトン、p-ニトロアニリン、パラ-ニトロフェノール、ヒドロキシスクシンイミドエステル、フルオロメチルケトン、システアミド、9-フルオレンメチル(Fm)エステル、アリルエステル、2,4-ジメトキシベンジルエステル、2-フェニルイソプロピルエステル、p-ニトロベンジルエステル、および2-クロロトリチルエステルからなる群から選択される、パラグラフ16に記載の医薬組成物。
19.前記自己組織化ペプチドが、配列番号21~40に示されるアミノ酸配列を含む、パラグラフ1から16のいずれか1つに記載の医薬組成物。
20.自己組織化ペプチドが少なくとも1つの生物学的に活性なペプチドモチーフをさらに含む、パラグラフ1から19のいずれか1つに記載の医薬組成物。
21.少なくとも1つの生物学的に活性なペプチドモチーフが、自己組織化ペプチドのN末端に存在する、パラグラフ1から20のいずれか1つに記載の医薬組成物。
22.少なくとも1つの生物学的に活性なペプチドモチーフが、自己組織化ペプチドのC末端に存在する、パラグラフ1から20のいずれか1つに記載の医薬組成物。
23.少なくとも1つの生物学的に活性なペプチドモチーフが、ラミニン-1、コラーゲンIV、フィブロネクチン、エラスチン、骨髄ホーミングペプチド1、骨髄ホーミングペプチド2、またはミエロペプチドに由来する、パラグラフ20から22のいずれか1つに記載の医薬組成物。
24.少なくとも1つの生物学的に活性なペプチドモチーフが、配列番号41~70のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む、パラグラフ20から22のいずれか1つに記載の医薬組成物。
25.自己組織化ペプチドが、配列番号71~90に示されるアミノ酸配列を含む、パラグラフ1から20のいずれか1つに記載の医薬組成物。
26.等張化剤をさらに含む、パラグラフ1から25のいずれか1つに記載の医薬組成物。
27.等張化剤が約0.01M~約0.3Mの濃度で存在する、パラグラフ26に記載の医薬組成物。
28.等張化剤が約0.15Mの濃度で存在する、パラグラフ26に記載の医薬組成物。
29.約6~約8のpHを有する、パラグラフ1から28のいずれか1つに記載の医薬組成物。
30.約7~約7.5のpHを有する、パラグラフ1から28のいずれか1つに記載の医薬組成物。
31.自己組織化ペプチドの正味電荷が、+1を超えるもしくは+1に等しいまたは-1未満もしくは-1に等しい、パラグラフ29またはパラグラフ30に記載の医薬組成物。
32.自己組織化ペプチドの正味電荷が約+1~約+6である、パラグラフ29またはパラグラフ30に記載の医薬組成物。
33.自己組織化ペプチドの正味電荷が約-1~約-6である、パラグラフ29またはパラグラフ30に記載の医薬組成物。
34.自己組織化ペプチドの濃度が約0.01%(w/v)~約10%(w/v)である、パラグラフ1から33のいずれか1つに記載の医薬組成物。
35.自己組織化ペプチドの濃度が約0.1%(w/v)~約5%(w/v)である、パラグラフ1から33のいずれか1つに記載の医薬組成物。
36.自己組織化ペプチドの濃度が約0.5%(w/v)~約1.5%(w/v)である、パラグラフ1から33のいずれか1つに記載の医薬組成物。
37.自己組織化ペプチドの濃度が約1%(w/v)である、パラグラフ1から33のいずれか1つに記載の医薬組成物。
38.単離された細胞をさらに含む、パラグラフ1から37のいずれか1つに記載の医薬組成物。
39.前記単離された細胞が、哺乳動物細胞である、パラグラフ38に記載の医薬組成物。
40.前記哺乳動物細胞が、免疫細胞、幹細胞、軟骨細胞前駆細胞、膵臓前駆細胞、筋芽細胞、線維芽細胞、ケラチノサイト、神経細胞、グリア細胞、星状細胞、前脂肪細胞、脂肪細胞、血管内皮細胞、内皮前駆細胞、間葉系細胞、神経幹細胞、免疫細胞(例えば、B細胞およびT細胞)、平滑筋前駆細胞、心筋細胞、胎児皮膚線維芽細胞、表皮ケラチノサイト、筋芽細胞、および毛細血管内皮細胞である、パラグラフ38またはパラグラフ39に記載の医薬組成物。
41.生物活性剤をさらに含む、パラグラフ1から40のいずれか1つに記載の医薬組成物。
42.前記生物活性剤が、ホルモン、成長因子、インスリン、酵素、siRNA、shRNA、アンチセンスRNA、抗生物質、抗体および抗炎症剤からなる群から選択される、パラグラフ41に記載の医薬組成物。
43.水溶液である、パラグラフ1から42のいずれか1つに記載の医薬組成物。
44.ヒドロゲルである、パラグラフ1から42のいずれか1つに記載の医薬組成物。
45.少なくとも約10パスカル(Pa)の貯蔵弾性率を含むヒドロゲルである、パラグラフ44に記載の医薬組成物。
46.パラグラフ1から45のいずれか1つに記載の医薬組成物を含む製造物品。
47.注射器、バイアル、自動注入装置、チューブまたはカテーテルである、パラグラフ46に記載の製造物品。
48.処置を必要とする対象を処置する方法であって、有効量のパラグラフ1から45のいずれか1つに記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法。
49.組織修復または再生の促進を必要とする対象の組織修復または再生を促進する方法であって、対象の組織をパラグラフ1から45のいずれか1つに記載の医薬組成物と接触させ、それによって、組織の組織修復または再生を促進するステップを含む方法。
50.組織が、皮膚、骨、軟骨、神経組織、靭帯、腱、血管組織または筋肉である、パラグラフ49に記載の方法。
51.組織が眼組織である、パラグラフ49に記載の方法。
52.組織が心臓組織である、パラグラフ49に記載の方法。
53.対象が、組織修復または再生の必要性をもたらす先天性疾患または障害を有する、パラグラフ49から52のいずれか1つに記載の方法。
54.対象が、組織修復または再生の必要性をもたらす損傷を患っている、パラグラフ49から52のいずれか1つに記載の方法。
55.損傷が、外科手術、外傷、脳卒中、腫瘍、または疾患もしくは障害の結果である、パラグラフ54に記載の方法。
56.創傷治癒の促進を必要とする対象の創傷治癒を促進する方法であって、対象の創傷をパラグラフ1から45のいずれか1つに記載の医薬組成物と接触させ、それによって、創傷治癒を促進するステップを含む方法。
57.創傷が、擦過傷、火傷、ひび、挫滅、切り傷、潰瘍、裂傷、切開または引っかき傷を含む、パラグラフ56に記載の方法。
58.対象内の部位での出血を停止または予防する方法であって、部位をパラグラフ1から45のいずれか1つに記載の医薬組成物と接触させ、医薬組成物が物理的障壁を作り出し、それによって、対象内の部位での出血を停止または予防するステップを含む方法。
59.対象の胃腸管の部位から病変を切除する方法であって、
a.パラグラフ1から45のいずれか1つに記載の医薬組成物を前記病変の下の粘膜下層と接触させ、そうすることで前記病変を持ち上げるステップと;
b.前記対象の前記胃腸管の前記部位から前記病変を切除するステップと
を含む方法。
60.前記病変がポリープ、潰瘍または腫瘍を含む、パラグラフ59に記載の方法。
61.前記病変が、口、喉、食道、胃、小腸、大腸、結腸および直腸から選択される前記対象の前記胃腸管の領域に存在する、パラグラフ59またはパラグラフ60に記載の方法。
62.細胞を培養する方法であって、前記細胞をパラグラフ1から45のいずれか1つに記載の医薬組成物と接触させるステップを含む方法。
以下の例は説明のためのものであり、限定的なものではない。この開示を検討すると、技術の多くのバリエーションが当業者に明らかになるであろう。したがって、技術の範囲は、例を参照せずに決定されるべきであるが、代わりに、等価物の全範囲と共に添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。
材料および方法
以下の材料および方法を利用して、以下の実施例に記載される実験を行った。
ペプチド合成
本明細書の実施例で利用される全てのペプチドは、自動ペプチド合成装置を使用する従来の固体ペプチド合成によって合成した。
粘度測定
水溶液(200μL)として製剤化されたペプチドを、レオメーターのプレート(DHR-1、TA Instruments、500μmの測定形状の20mmのプレート)の間に配置し、粘度を0.001秒-1~100秒-1の剪断速度で測定した。チキソトロピー測定
水溶液(200μL)として製剤化されたペプチドを、レオメーターのプレート(DHR-1、TA Instruments、500μmの測定形状の20mmのプレート)の間に配置し、試料を1000秒-1の剪断速度で1分間、高速プレート回転に曝露し、貯蔵弾性率を、1ラジアン秒-1の角周波数で10分間測定した。
周波数掃引試験
水溶液として製剤化されたペプチドを、レオメーターのプレート(DHR-1、TA Instruments、500μmまたは40mm円錐の測定形状の20mmのプレート、および2.0°の円錐角の測定形状のプレート)の間に配置し、周波数応力掃引試験を、0.1Hz~10Hzの周波数と0.1%のひずみで実施した;測定を37℃で2分間の緩和時間後に実施した。ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に曝露した後に周波数掃引試験を行うために、10mLのDMEMを、プレートを囲むチャンバーに添加し、プレート内の試料をDMEMに浸し、20分後に周波数試験を記載されるように実施した。
内視鏡的粘膜切除術および内視鏡的粘膜下層剥離術
インビボのブタ動物モデルを使用して、参照により本明細書に組み込まれる、Uraokaら(2009)Drug Des.Devel.Ther.2:131-8に記載されるように、内視鏡的粘膜および粘膜下層剥離術を実施した。手短に言えば、2mLの選択したペプチド製剤をブタの胃の筋肉と粘膜下層との間に注射し、エレクトロナイフ(electro-knife)を使用して粘膜下層を解剖した。注射部位および注射部位で解剖された粘膜下層組織の肉眼的外観を分析した。
実施例1.さまざまなpH範囲での製剤中の例示的な自己組織化ペプチドの正味電荷の決定
本明細書に記載されるいくつかの例示的な自己組織化ペプチド(表5;配列番号21~40)は、pH7.5で製剤化されると、正または負の正味電荷を有するように設計した。対照的に、前記自己組織化ペプチドは、同じpHで正味ゼロ電荷を有する。pH7.5の溶液中の例示的な自己組織化ペプチドの正味電荷を決定し、表5に示す。前記自己組織化ペプチドRADA16、IEIK13およびKLD12(それぞれ配列番号91~93)は、pH7.5でほぼゼロの正味電荷を有するが、新たに開発された自己組織化ペプチドは、同じpHで正味の正電荷または正味の負電荷を有していた。
図1~図3に示されるように、この正味電荷挙動は、表5に示されるpH7.5の試験ポイントの周囲に広がる。例えば、図1は、KLNL12(配列番号21、中性pH付近で約+3)についてのpHの関数としての正味電荷を示している。図2は、NLEL12(配列番号33、中性pH付近で約-3)についてのpHの関数としての正味電荷を示している。図3は、RADA16(配列番号91、中性pH付近で約0)についてのpHの関数としての正味電荷を示している。
表5.pH7.5での例示的な自己組織化ペプチドの正味電荷.
比較のための例示的な従来の自己組織化ペプチド
図4~図5は、例示的な自己組織化ペプチドの原子構造および正味電荷の分子モデルを提供する。図4は、RANA16(配列番号39)がpH7.5で+4の正味電荷を有することを示している。対照的に、図5は、RADA16(配列番号91)がpH7.5で0の正味電荷を有することを示している。構造はMarvinSketchを使用して計算的にシミュレートし、共にβシートコンフォメーションを示す。RANA16(配列番号39)およびRADA 16(配列番号91)がpH7.5で類似の構造コンフォメーションを示すにもかかわらず、2つのペプチドの正味電荷は著しく異なり、RANA16(配列番号39)は+4の正味正電荷を有する一方、RADA16(配列番号91)はゼロの正味電荷を有する。
実施例2.pH2.5および7.5で製剤化された水性医薬組成物における例示的な自己組織化ペプチドの溶解度の特性評価
本明細書に記載されるいくつかの例示的な自己組織化ペプチド(表5参照;配列番号21~40)は、非ゼロ正味電荷を有し、pH7.5の溶液中で製剤化されると高い溶解度を有し、投与後(例えば、対象への注射後、または特定の濃度の等張化剤(例えば、塩)を含有する溶液との混和後)に液体状態からヒドロゲルに転移するように設計された。対照的に、前記自己組織化ペプチドRADA16、IEIK13およびKLDL12(それぞれ、配列番号91~93)はゼロ正味電荷を有し、投与後に液体状態からヒドロゲルに条件的に転移する能力を保持するために、酸性pHの溶液中で製剤化されなければならない。
酸性および中性pHで製剤化された水性医薬組成物における例示的な自己組織化ペプチドの溶解度を決定するために、医薬組成物の外観を評価した。均質で透明な外観は、溶液へのペプチドの十分な溶解度および最小限のヒドロゲル形成を反映している。相分離および濁った外観は、溶液へのペプチドの不十分な溶解度および/またはヒドロゲルの形成を反映している。
pH2.5およびpH7.5での例示的な自己組織化ペプチドの外観を表6および図20で以下に示す。新たに記載される自己組織化ペプチドを含むpH7.5の水性医薬組成物は透明で均質であったが、pH7.5の以前開示された自己組織化ペプチドRADA16(配列番号91)、IEIK13(配列番号92)およびKLDL12(配列番号93)は、相分離および濁った外観を示した(表6および図20A~図20C参照)。
表6.pH2.5およびpH7.5での例示的な自己組織化ペプチドの外観.
実施例3.pH7.5およびさまざまなイオン強度で製剤化された水性医薬組成物の溶解度の特性評価
本明細書に記載される自己組織化ペプチド(表5;配列番号21~40)は、非ゼロ正味電荷を有し、等張性イオン強度(例えば、0.15M塩イオン)を有するpH7.5の水溶液として製剤化されると高い溶解度を有し、投与後に液体状態からヒドロゲルに転移するように設計された。さまざまなイオン強度の存在下でpH7.5で製剤化された水性医薬組成物の溶解度を決定するために、異なる濃度の塩化ナトリウムを有する水性医薬組成物を調製し、それらの外観を評価した。均質で透明な外観は、溶液へのペプチドの十分な溶解度および最小限のヒドロゲル形成を反映している。相分離および濁った外観は、溶液へのペプチドの不十分な溶解度および/またはヒドロゲルの形成を反映している。
表7に示されるように、一般に、疎水性残基の量の増加は、より高いイオン強度での溶解度の減少と相関していた。したがって、自己組織化ペプチドのアミノ酸組成を操作して、所望のイオン強度での所望の溶解度を達成することができる。
表7.異なるイオン強度での例示的な自己組織化ペプチドの外観.
ペプチドがpH7.5付近で沈殿するので、pH2.2~2.3付近で製剤化した。
実施例4.さまざまなイオン強度でpH7.5で製剤化された例示的な自己組織化ペプチドを含む水性医薬組成物の剪断減粘およびチキソトロピー挙動の決定
本明細書で開示される自己組織化ペプチド(表5;配列番号21~40)は、非ゼロ正味電荷を有し、等張性イオン強度(例えば、0.15M塩イオン)の存在下、pH7.5の水溶液で製剤化されると高い溶解度を有し、対象への投与後に液体状態からヒドロゲルに転移するように設計された。一部の臨床用途では、自己組織化ペプチドを含む医薬組成物の投与が、組成物を(例えば、注射針を通した注射またはポンプベースのシステムを介した移送中)圧力および/または剪断減粘に曝露することを必要とする。理想的には、本明細書に記載される自己組織化ペプチドを含む医薬組成物は、圧力または剪断減粘力下で粘度低下を示し、これらの力から除去された後、基礎粘度に戻る。pH7.5で製剤化された自己組織化ペプチドの医薬組成物の剪断減粘特性を決定するために、さまざまなイオン強度を含む製剤を、異なる濃度の塩化ナトリウムを使用して調製し、粘度を増加する剪断速度で測定した。製剤のチキソトロピー特性、ならびに具体的な周波数および圧力での経時的な貯蔵弾性率も決定した。
図6~図8は、pH7.5での1%(w/v)KLNL12(配列番号21)、1%(w/v)IQIK13(配列番号28)、または1%(w/v)NLEL12(配列番号33)のいずれかを含む水性医薬組成物の実験的に決定された粘度を示す。図9および図10は、pH7.5での、1%KLNL12(配列番号21)または1%NLEL12(配列番号33)のいずれか、および0.9%NaCl(生理学的条件を模倣するため)を含む水性医薬組成物の実験的に決定された粘度を示す。データは、水性医薬組成物が完全な剪断減粘(sheer thinning)を示すことを実証している。すなわち、剪断速度(sheer rate)の増加に伴って粘度が低下する。この特性は、施用部位(例えば、剪断力が印加されていない)で望ましい粘度を維持しながら、(例えば、ポンピング中の粘度低下による)医薬組成物の施用および使用を有利に促進し得る。
図11および図12は、剪断応力が除去された後の、pH7.5での、1%KLNL12(配列番号21)または1%NLEL12(配列番号33)、および0.9%NaClを含む医薬組成物のチキソトロピー特性を示す。水性医薬組成物を1000 1/秒の剪断速度で1分間流し、10ラジアン/秒の周波数および0.1Paの応力でのそれらの貯蔵弾性率を経時的に試験した。試験した水性医薬組成物は、チキソトロピー特性を示した。この特性は、医薬組成物が機械的応力の印加後に予測可能で信頼できる特性を示すので、医薬組成物の施用および使用を有利に促進し得る。
実施例5.自己組織化ペプチドを含む医薬組成物のレオロジー特性の決定
例示的な自己組織化ペプチドKLNL12(配列番号21)、KIQI13(配列番号29)、またはNLEL12(配列番号33)を含む水性医薬組成物のレオロジー特性を、貯蔵弾性率にわたって周波数掃引試験を実施することによって決定した。
図13~図15は、体液をシミュレートするための緩衝ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)への曝露の前後の、pH7.5の1%(w/v)のKLNL12(配列番号21)(図13)、KIQI13(配列番号29)(図14)、またはNLEL12(配列番号33)(図15)を含む水性医薬組成物のレオロジー特性を示す。各場合で、ペプチド溶液のレオロジー特性(例えば、機械的強度)が、DMEM処理後に増加した。
図16~図18は、DMEMへの曝露の前後の、pH7.5の等張性塩分(0.9%NaCl)を有する1%(w/v)のKLNL12(配列番号21)(図16)、KIQI13(配列番号29)(図17)、またはNLEL12(配列番号33)(図18)を含む水性医薬組成物のレオロジー特性を示す。ペプチド溶液のレオロジー特性(例えば、機械的強度)が、DMEM処理後に増加した。
上記のデータは、KLNL12(配列番号21)、KIQI13(配列番号29)、またはNLEL12(配列番号33)を含む水性医薬組成物が、生理液の存在下で機械的強度の増加を示し、したがって、インビボでの治療用途に適していることを実証している。
実施例6.例示的な自己組織化ペプチドを含む医薬組成物は、RADA16の医薬組成物と比較して減少した組織損傷を示した。
本明細書に開示される自己組織化ペプチド(表5;配列番号21~40)が中性pH(例えば、pH7.5)で製剤化されると非ゼロ正味電荷を有することを考えると、これらの組成物は、酸性pHで製剤化される前記自己組織化ペプチド(例えば、RADA16)を含む組成物と比較して、哺乳動物組織に投与するまたはこれと接触させた場合に減少した有害効果を示すと仮定された。したがって、インビボブタモデル系を使用して、これらの組成物が胃腸粘膜下層への注射時に粘膜下層上昇を誘導する能力、および組織損傷の程度を評価した。
このモデルでは、液体組成物を用いた粘膜下層注射を実施し、注射部位の形態を分析した。水溶液による粘膜下層注射は、切除中に安全クッションを提供することによって病変の除去を促進するために、胃腸管からの病変の切除中に使用される(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Kimら(2013)World J.Gastroenterol.19(20):3069-76参照)。ここで、pH7.5で製剤化された3つの例示的な自己組織化ペプチド:KLNL12(配列番号21)、NLKL12(配列番号23)またはKIQI13(配列番号29)を含む水性医薬組成物を、前記のRADA16自己組織化ペプチド(pH2.5で製剤化)、ヒアルロン酸ナトリウムの0.4%溶液(MucoUp(登録商標)、Boston Scientific Japan K.K.、東京、日本)、および生理食塩水、pH7.5を含む水性医薬組成物と比較した。図21Aおよび図21Bに示されるように、KLNL12(配列番号21)、NLKL12(配列番号23)またはKIQI13(配列番号29)を含む組成物の注射は、粘膜下層上昇をもたらした。これらの組成物は、経時的に生理食塩水およびMucoUp(登録商標)よりも優れた粘膜下層上昇を示した。
粘膜下層組織の形態に対する、0.9%(w/v)NaClを含むおよび含まない、pH 2.5のRADA16(配列番号91)を含む水性医薬組成物の注射の効果を、エレクトロナイフを使用した注射部位での組織の解剖後に分析した。図22Aおよび図22Bに示されるように、0.9%NaClを含むおよび含まない、RADA16(配列番号91)を含む組成物の注射は、注射部位の近くの白色沈殿として可視化される粘膜凝集を含む損傷組織をもたらした。対照的に、生理食塩水を注射した場合、組織損傷は観察されなかった(図22A)。
粘膜下層組織の形態に対する、pH7.5の全て0.9%(w/v)NaClを含む、例示的な自己組織化ペプチドKLNL12(配列番号21)、NLEL12(配列番号33)、QLEL12(配列番号35)、またはLELQ12(配列番号36)を含む水性医薬組成物の注射の効果も、エレクトロナイフを使用した注射部位での組織の解剖後に分析した。図23A~図23Dに示されるように、粘膜凝集は注射部位で観察されず、部位の形態が容易に目に見えた。
追加の対照として、粘膜下層組織の形態に対する、pH7.4またはpH2.5のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)の注射の効果を、エレクトロナイフを使用した注射部位での組織を解剖後に分析した。注射部位の近くの白色沈殿として可視化された粘膜凝集は、酸性PBS(すなわち、pH2.5)を注射された部位でのみ観察され(データは示さず)、粘膜形態の変化が組成物のpHに起因すると思われることが確認された。
この例で使用した各組成物を注射した後の胃粘膜の外観の要約を以下の表8に示す。
表8.注射部位でのブタ胃粘膜の外観
この例で提示されるデータは、pH2.5の、RADA16製剤(配列番号91)の水性医薬組成物のブタ胃粘膜下層への注射が、約10~15分の期間後に粘膜凝集をもたらすことを実証している。対照的に、全てpH7.5の、例示的な自己組織化ペプチドKLNL12(配列番号21)、KIQI12(配列番号99)、NLEL12(配列番号33)、QLEL12(配列番号35)、またはLELQ12(配列番号36)を含む水性医薬組成物の注射は、粘膜下層組織形態を変化させるようには見えない。この結果は、酸性組成物(例えば、RADA16を含有するもの)が粘膜組織に損傷を与える一方で、中性pHの組成物の注射は組織損傷が少なくなるという概念と一致している。
別の実施形態では、注射部位の近くの白色沈殿として可視化された粘膜凝集を、インビボのブタ食道で評価した。
この例で使用した各組成物を注射した後の食道粘膜の外観の要約を以下の表9に示す。
粘膜凝集は、KIQI12(配列番号99)ならびに酸性PBS(pH2)およびRADA16(配列番号91)を注射した部位で観察された。KIQI12(配列番号99)は、生理学的pHで正に帯電したペプチドの中の代表的なペプチドである。しかしながら、粘膜凝集は、生理学的pHで負に帯電しているNLEL12(配列番号33)、QLEL12(配列番号35)およびLELQ12(配列番号36)では観察されなかった。この結果は、粘膜形態の変化が、食道を含むいくつかの粘膜下層組織において、pHと生理学的pHでの組成物の正または負の電荷の両方に起因すると思われることを実証している。
表9.注射部位でのブタ食道粘膜の外観
実施例7.機械的強度が増加した医薬組成物
一部の実施形態では、水溶液として製剤化されたペプチド、体積700μlを、レオメーターのプレート(DHR-1、TA Instruments、40mm円錐および2.0°の円錐角の測定形状のプレート)の間に配置し、周波数掃引試験を、0.1Hz~10Hzの周波数と0.1%のひずみで実施した;測定を37℃で2分間の緩和時間後に実施した。一部の実施形態では、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に曝露した後に周波数掃引試験を実施し、ここでは10mLのDMEMを、プレートを囲むチャンバーに添加し、プレート内の試料をDMEMに浸し、20分後に周波数試験を記載されるように実施した。
図24Aは、DMEMへの曝露後の機械的強度の増加によって反映される、pH7.5での0.9%NaCl(w/v)を含む0.15%(w/v)QLEL12(配列番号35)を含む水性医薬組成物のレオロジー特性の変化を示す。0.1Hzの周波数で、自己組織化ペプチドを含む組成物の機械的強度は23倍増加した。1Hzの周波数で、自己組織化ペプチドを含む組成物の機械的強度は20倍増加した。10Hzの周波数で、自己組織化ペプチドを含む組成物の機械的強度は9倍増加した。
図24Bは、0.1%(w/v)~0.3%(w/v)のさまざまな濃度のpH7.5の0.9%NaCl(w/v)を含むQLEL12(配列番号35)を含む水性医薬組成物のレオロジー特性を示す。レオロジー特性と自己組織化ペプチドの濃度との間には線形関係があった。組成物内の自己組織化ペプチドの濃度(concertation)の増加は機械的強度の増加をもたらした。
例8.粘膜下層上昇および持ち上げ能力増加を有する医薬組成物
一部の実施形態では、ペプチド溶液が粘膜下層を上昇させる能力を、エキソビボイヌモデルを使用して評価した。この試験では、QLEL12(配列番号35)を、良好なレオロジー特性を示し、粘膜下層に不明瞭な/濁った部位を示さないために、選択した。0.1%、0.15%、0.2%、0.3%(w/v)のQLEL12(配列番号35)溶液を、pH7.5の0.9%NaClで調製した。参照溶液として生理食塩水を使用した。0.5mLの各試料を、エキソビボイヌモデルの胃および結腸のいずれかの粘膜下層に注射した。上昇高さを、最初の注射の0分、10分、20分、30分、40分、50分および60分後の時点で電子ノギスを使用して測定した。胃および結腸の粘膜下層の下に注射針を使用して各試料溶液を注射した後、電子ノギスを使用して上昇高さを測定した。上昇高さは、粘膜下層の下に注射した後の皮膚の平らな表面の底と膨れた水疱の上部との間の距離である。
溶液が注射された後に注射された溶液が粘膜下層を筋層から持ち上げる持ち上げ能力を測定した。一部の実施形態では、筋層が胃腸であった。初期上昇高さおよび経時的な全体の上昇高さが粘膜下層除去手順に十分な高さである場合、これは良好な持ち上げ能力を有すると見なされる。
図25Aは、0.5mLの0.1%(w/v)~0.3%(w/v)のさまざまな濃度のpH7.5の0.9%NaCl(w/v)を含むQLEL12(配列番号35)を注射した後のイヌ胃の粘膜下層の上昇高さを示す。
図25Bは、0.5mLの0.1%(w/v)~0.3%(w/v)のさまざまな濃度のpH7.5の0.9%NaCl(w/v)を含むQLEL12(配列番号35)を注射した後のイヌ結腸の初期高さに対する相対的上昇値を示す。
図25Cは、0.5mLの0.1%(w/v)~0.3%(w/v)のさまざまな濃度のpH7.5の0.9%NaCl(w/v)を含むQLEL12(配列番号35)を注射した後のイヌ結腸の粘膜下層の上昇高さを示す。
図25Dは、0.5mLの0.1%(w/v)~0.3%(w/v)のさまざまな濃度のpH7.5の0.9%NaCl(w/v)を含むQLEL12(配列番号35)を注射した後のイヌ結腸の初期高さに対する相対的上昇値を示す。
代表的な自己組織化ペプチドを含む組成物による処置は、試験した全ての濃度について、結腸と胃の両方における粘膜下層の上昇高さの保持増加をもたらした。代表的な自己組織化ペプチドを含む組成物による処置はまた、試験した全ての濃度について、結腸と胃の両方における粘膜下層の相対的上昇の保持増加をもたらした。代表的な自己組織化ペプチドを含む組成物の持ち上げ能力もまた、粘膜下層の一定のセクションの除去を容易にするのに役立つ良好な持ち上げ能力を示した。
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。方法および材料は本発明で使用するために本明細書に記載される;当技術分野で知られている他の適切な方法および材料も使用することができる。材料、方法および例は例示にすぎず、限定することを意図するものではない。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリおよび他の参考文献は、全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合は、定義を含む本明細書が優先する。

Claims (32)

  1. ヒドロゲルを形成するための組成物であって、配列番号35(QLEL12)に示されるアミノ酸配列を含む自己組織化ペプチドを含む、組成物。
  2. 前記自己組織化ペプチドが、
    アセチル、ホルミル、ピログルタミル(pGlu)、ビオチン、ポリエチレングリコール(PEG)、尿素、アルキルアミン、カルバメート、スルホンアミド、ダンシル、2,4-ジニトロフェニル、フルオレセイン、7-メトキシクマリン酢酸、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル、パルミチン酸、スクシニル、クロロアセチル、マレイミド、ベンジルオキシカルボニル、ブロモアセチル、ニトリロトリアセチル、tertブトキシカルボニル、4-ヒドロキシフェニルプロピオン酸、アリルオキシカルボニル、酪酸、脂肪酸、およびトリチルからなる群から選択されるN末端官能基、および
    アミン、アミド、N-アルキルアミド、アルデヒド、エステル、アルコール、パラ-ニトロアニリド(pNA)、7-アミノ-4-メチルクマリン(Amc)、ヒドラジド、ヒドロキサム酸、クロロメチルケトン、p-ニトロアニリン、パラ-ニトロフェノール、ヒドロキシスクシンイミドエステル、フルオロメチルケトン、システアミド、9-フルオレンメチル(Fm)エステル、アリルエステル、2,4-ジメトキシベンジルエステル、2-フェニルイソプロピルエステル、p-ニトロベンジルエステル、および2-クロロトリチルエステルからなる群から選択されるC末端官能基
    の一方または両方を含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記自己組織化ペプチドが、前記自己組織化ペプチドのN末端もしくはC末端、またはその両方に少なくとも1つの生物学的に活性なペプチドモチーフをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記少なくとも1つの生物学的に活性なペプチドモチーフが、ラミニン-1、コラーゲンIV、フィブロネクチン、エラスチン、骨髄ホーミングペプチド1、骨髄ホーミングペプチド2、またはミエロペプチドに由来する、請求項3に記載の組成物。
  5. NaCl、KCl、MgCl、CaCl、NHCl、NaHPO、KHPOおよびCaSOからなる群から選択される1またはそれを超える塩;または
    デキストロース、マンニトール、グリセリン、スクロースおよびトレハロースからなる群から選択される1またはそれを超える糖
    を含む等張化剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
  6. 前記等張化剤が1またはそれを超える塩を含み、約0.01M~約0.3Mまたは約0.15Mの濃度で存在する、請求項5に記載の組成物。
  7. 前記等張化剤が1またはそれを超える糖を含み、約0.1~10%(w/v)または約10%(w/v)の濃度で存在する、請求項5に記載の組成物。
  8. 約6~約8のpHを有する、請求項1に記載の組成物。
  9. 前記自己組織化ペプチドの正味電荷が、+1を超えるもしくは+1に等しいまたは-1未満もしくは-1に等しい、請求項8に記載の組成物。
  10. 前記自己組織化ペプチドの濃度が約0.01%(w/v)~約10%(w/v)、約0.1%(w/v)~約5%(w/v)、約0.5%(w/v)~約1.5%(w/v)、または約1%(w/v)である、請求項1に記載の組成物。
  11. 単離された細胞をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
  12. 前記単離された細胞が、免疫細胞、幹細胞、軟骨細胞前駆細胞、膵臓前駆細胞、筋芽細胞、線維芽細胞、ケラチノサイト、神経細胞、グリア細胞、星状細胞、前脂肪細胞、脂肪細胞、血管内皮細胞、内皮前駆細胞、間葉系細胞、神経幹細胞、免疫細胞(例えば、B細胞およびT細胞)、平滑筋前駆細胞、心筋細胞、胎児皮膚線維芽細胞、表皮ケラチノサイト、筋芽細胞、および毛細血管内皮細胞からなる群から選択される哺乳動物細胞である、請求項11に記載の組成物。
  13. 生物活性剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
  14. 前記生物活性剤が、ホルモン、成長因子、インスリン、酵素、siRNA、shRNA、アンチセンスRNA、抗生物質、抗体および抗炎症剤からなる群から選択される、請求項13に記載の組成物。
  15. 水溶液である、請求項1に記載の組成物。
  16. ヒドロゲルが、前記組成物の投与の際にインビトロまたはインビボで形成される、請求項1に記載の組成物。
  17. 前記ヒドロゲルが少なくとも約10パスカル(Pa)の貯蔵弾性率を含む、請求項16に記載の組成物。
  18. 請求項1に記載の組成物を含む製造物品であって、注射器、バイアル、自動注入装置、チューブまたはカテーテルである物品。
  19. 組織修復または再生の促進を必要とする対象の組織修復または再生を促進するための組成物であって、前記組成物は、配列番号35(QLEL12)に示されるアミノ酸配列を含む自己組織化ペプチドを含み、記組成物は、前記対象の損傷および/または疾病組織に投与され、それによって、前記組織の組織修復または再生を促進することを特徴とし、前記組成物は、投与の際にヒドロゲルを形成することを特徴とする、組成物。
  20. 前記組織が、皮膚、骨、軟骨、神経、靭帯、腱、血管組織、眼、筋肉または心臓組織である、請求項19に記載の組成物。
  21. 前記対象が、組織修復もしくは再生の必要性をもたらす先天性疾患もしくは障害を有する;または前記対象が、組織修復もしくは再生の必要性をもたらす損傷を患っており、前記損傷が外科手術、外傷、脳卒中、腫瘍、または疾患もしくは障害の結果である、請求項19に記載の組成物。
  22. 創傷治癒の促進を必要とする対象の創傷治癒を促進するための組成物であって、前記組成物は、配列番号35(QLEL12)に示されるアミノ酸配列を含む自己組織化ペプチドを含み、記組成物は、対象の創傷に投与され、それによって、創傷治癒および/または抗菌活性を促進することを特徴とし、前記創傷が擦過傷、火傷、ひび、挫滅、切り傷、潰瘍、裂傷、切開または引っかき傷を含み、前記組成物は、投与の際にヒドロゲルを形成することを特徴とする、組成物。
  23. 対象内の部位での出血を低減するための組成物であって、前記組成物は、配列番号35(QLEL12)に示されるアミノ酸配列を含む自己組織化ペプチドを含み、記組成物は前記部位に投与されることを特徴とし、前記組成物がヒドロゲルを形成することによって物理的障壁を作り出し、それによって、前記対象内の前記部位での出血を低減する、組成物。
  24. 対象の胃腸管の部位から病変を切除する方法における使用のための組成物であって、前記組成物は、配列番号35(QLEL12)に示されるアミノ酸配列を含む自己組織化ペプチドを含み、前記方法は、
    前記病変を持ち上げるのに十分な量の前記組成物を前記病変の下の粘膜下層に投与するステップであって、前記組成物が投与の際にヒドロゲルを形成する、ステップと;
    前記対象の前記胃腸管の前記部位から前記病変を切除するステップと
    を含む、組成物。
  25. 前記病変がポリープ、潰瘍または腫瘍を含む、請求項24に記載の組成物。
  26. 前記病変が、口、喉、食道、胃、小腸、大腸、結腸および直腸からなる群から選択される前記胃腸管の領域に存在する、請求項24に記載の組成物。
  27. 細胞を培養する方法であって、前記細胞を請求項1に記載の組成物と接触させるステップを含む方法。
  28. 対象の肺胞内嚢胞を処置する方法における使用のための組成物であって、前記組成物は、配列番号35(QLEL12)に示されるアミノ酸配列を含む自己組織化ペプチドを含み、前記方法は、
    送達デバイスを前記対象の前記肺胞内嚢胞の標的領域に導入するステップと;
    前記送達デバイスの端部を前記肺胞内嚢胞の処置が望まれる前記標的領域に配置するステップと;
    前記送達デバイスを通して、有効量および有効濃度の前記組成物を前記標的領域に投与して、前記標的領域の生理学的条件下でヒドロゲル障壁を形成して、前記肺胞内嚢胞を処置するステップと;
    前記標的領域から前記送達デバイスを除去するステップと;
    前記組成物の投与前または投与後に前記肺胞内嚢胞を崩壊させるステップと
    を含む、組成物。
  29. 生体組織への接着を軽減するための組成物であって、前記組成物は、配列番号35(QLEL12)に示されるアミノ酸配列を含む自己組織化ペプチドを含み、記組成物は、前記生体組織に投与され、それによって、前記生体組織への接着を軽減することを特徴とし、前記組成物が投与の際にヒドロゲルを形成する、組成物。
  30. 対象の骨間隙を充填する方法における使用のための組成物であって、前記組成物は、配列番号35(QLEL12)に示されるアミノ酸配列を含む自己組織化ペプチドを含み、前記方法は、
    送達デバイスを対象の骨に導入するステップと;
    前記送達デバイスの端部を骨成長の促進が望まれる前記骨の間隙の近位に配置するステップと;
    前記送達デバイスを通して、生理学的条件下でヒドロゲル足場を形成するのに十分な濃度で、前記組成物を投与するステップと;
    前記送達デバイスを除去するステップと
    を含む、組成物。
  31. 対象のドライアイを処置するための組成物であって、前記組成物は、配列番号35(QLEL12)に示されるアミノ酸配列を含む自己組織化ペプチドを含み、前記組成物は、前記対象の眼に投与されることを特徴とし、前記組成物が投与の際にヒドロゲルを形成する、組成物。
  32. 配列番号35(QLEL12)に示されるアミノ酸配列を含む自己組織化ペプチド。
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