JP2017513927A - 肺の漏出を治療するための自発組織化ペプチド - Google Patents
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Abstract
Description
この出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、その全体が参考として本明細書に援用される配列表を含む。2015年3月10日に作成された上記ASCIIコピーは、T2071−7006WO_SL.txtという名称であり、サイズが1,751バイトである。
ペプチドハイドロゲルのレオロジー的性質に対するpHレベルの影響
IEIK13、KLD12、およびPuraMatrix(登録商標)のレオロジー的性質に対するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(pH7.4)の影響を、40mmプレートを伴うレオメーター(AR500、TA Instruments)で評価した。DMEMは、一般に、6.4g/LのNaCl、3.4g/LのNaHCO3(炭酸水素ナトリウム)、微量の他の塩、種々のアミノ酸、および4.5g/Lのグルコースを含有する細胞培養培地である。DMEMのpHレベルは一般に7.2±0.2であり、質量オスモル濃度は335±30mOsm/KgH2Oである;どちらの測定値も血液などのヒト生理的流体と近いものである。
ペプチド溶液のpHレベルの最適化
例としてペプチド溶液のpHレベルを調整するために、0.1NのNaOHを2.5%ペプチド溶液2mLに添加し、それらのpHおよび外観を測定した。結果が表1に示されている。特に、およそ3.5またはそれ未満までのpH上昇では、PuraMatrix(登録商標)溶液、IEIK13溶液、およびKLD12溶液の透明色は変化しなかったが、それらの見かけの剛性は増大した。
pH調整したペプチド溶液のレオロジー的性質
ペプチド溶液の性質に対するpHレベルの影響の視覚的な観察に基づいて、ペプチド溶液のpHレベルを3.4(PuraMatrix(登録商標)およびKLD12)または3.7(IEIK13)に調整した後の、ペプチド溶液のレオロジー的性質に対する影響を評価した。ペプチド溶液のpHレベルが3.5(PuraMatrix(登録商標)およびKLD12)または3.7(IEIK13)よりも高い場合、ペプチド溶液は相分離し始め、濁ったものになる。PuraMatrix(登録商標)溶液、KLD12溶液およびIEIK13溶液のレオロジー的性質は、pH3.4においてより高いものであった。結果がそれぞれKLD12 1%については図2に、IEIK13 1%については図3に、およびPuraMatrix(登録商標)1%および2.5%については図4〜5に示されている。応力掃引試験を10rad/sで実施した。周波数掃引試験を1Paで実施した。
pH調整したペプチド溶液のさらなるレオロジー的性質
ペプチド溶液のpHレベルを3.4(PuraMatrix(登録商標)およびKLD12)または3.7(IEIK13)に調整した後の、ペプチド溶液のレオロジー的性質に対する影響の結果に基づいて、種々のpHレベルでのペプチド溶液のレオロジー的性質に対する影響を評価した。PuraMatrix(登録商標)溶液およびIEIK13溶液のレオロジー的性質は、pHを3.4まで調整すると増大する。20mmのプレートを伴うレオメーター(DHR−1、TA Instruments)を使用してペプチドのレオロジー的性質を様々な濃度において評価した。結果がそれぞれPuraMatrix(登録商標)2.5%溶液については図6Aに、IEIK13 1.5%溶液については図6Bに示されている。周波数掃引試験を1Paで1rad/秒から10rad/秒まで実施し、1rad/秒における貯蔵弾性率をデータ用に選択した。
DMEM処理前/後の、様々な濃度におけるペプチドハイドロゲルのレオロジー的性質に対するpHレベルの影響
ペプチド溶液のpHレベルを調整した後の、ペプチド溶液のレオロジー的性質に対する影響の結果に基づいて、DMEM処理後の種々のpHのペプチドハイドロゲルのレオロジー的性質に対する影響を評価し、DMEM処理前の種々のpHのペプチド溶液のレオロジー的性質に対する影響と比較した。DMEM処理後のPuraMatrix(登録商標)ハイドロゲルおよびIEIK13ハイドロゲルのレオロジー的性質は、3.4までのpHの調整で増大する。結果がそれぞれ、PuraMatrix(登録商標)については図7A〜7Bに、IEIK(配列番号5)は図8A〜8Bに示されている。周波数掃引試験を1Paで1rad/秒から10rad/秒まで実施し、1rad/秒における貯蔵弾性率をデータ用に選択した。
pH調整したペプチドハイドロゲルのゲル化動態に対する影響
本明細書に記載のペプチドについて最適化されたpHレベルを同定するために、ゲル化動態の性質に対するpHレベルの影響を評価した。体液中のPuraMatrix(登録商標)および他のペプチドの急速なゲル化動態により、一般に、種々の臨床的適用に関するその機能および応答時間を改善することができる。pHレベルにより、これだけに限定されないが、DMEMを含めたシミュレートされた体液を用いて処理した際にゲル化が開始されるまでの応答時間が付与され得る。pHを調整していない(pH2.2)PuraMatrix(登録商標)では最初の13秒にわたって貯蔵弾性率の上昇は示されなかったが、pHを調整したPuraMatrix(登録商標)では、急速なゲル化に起因した即時の貯蔵弾性率の上昇が示された。体液中のPuraMatrix(登録商標)および他のペプチドの急速な応答時間により、一般に、種々の臨床的適用に関するその機能および応答時間を改善することができる。
ペプチド溶液およびハイドロゲルに対する塩イオン強度レベルの影響
本明細書に記載のペプチドについて最適化された塩イオン強度レベルを同定するために、ペプチド溶液の性質に対する塩イオン強度レベルの影響を評価した。PuraMatrix(登録商標)および他のペプチドの塩イオン強度レベルの上昇により、一般に、種々の臨床的適用に関するその機能および機械的強度を改善することができる。例としてペプチド溶液の塩イオン強度を調整するために、NaCl、KCl、MgCl2、CaCl2およびDPBS(10×)を含めた種々の塩緩衝溶液を1.5%ペプチド溶液2mLに添加した。
ペプチド溶液のレオロジー的性質に対する塩イオン強度レベルの影響
ペプチド溶液の性質に対する塩イオン強度の影響の視覚的な観察に基づいて、ペプチド溶液のイオン強度レベルを、NaClを用いて、各ペプチドが濁り始める臨界イオン強度をわずかに下回る0.7M(PuraMatrix(登録商標))、0.2M(KLD12)または0.02M(IEIK13)に調整した後の、ペプチド溶液のレオロジー的性質に対する影響を評価した。NaClを用いたペプチド溶液のイオン強度レベルが0.9M(PuraMatrix(登録商標))、0.3M(KLD12)または0.03M(IEIK13)よりも高いと、ペプチド溶液が相分離し始め、濁った、弱いものになる。PuraMatrix(登録商標)溶液、KLD12溶液およびIEIK13溶液のレオロジー的性質は、ペプチド溶液のイオン強度レベルを、NaClを用いて0.7M(PuraMatrix(登録商標))、0.2M(KLD12)または0.02M(IEIK13)に調整した後、より高かった。結果がそれぞれKLD12 1%については図10に、IEIK13 1%については図11に、およびPuraMatrix(登録商標)1%については図12に示されている。周波数掃引試験を1Paで1rad/sから10rad/sまで実施した。
ペプチド溶液のレオロジー的性質に対する塩イオン強度レベルのさらなる影響
ペプチド溶液のレオロジー的性質に対する影響の結果に基づいて、ペプチド溶液のイオン強度レベルを、NaClを用いて0.7M(PuraMatrix(登録商標))、0.2M(KLD12)または0.02M(IEIK13)に調整した後の、種々の塩イオン強度でのペプチド溶液のレオロジー的性質に対する影響を評価した。PuraMatrix(登録商標)1%溶液のレオロジー的性質は、イオン強度の調整が0.7Mまでは増大するが、0.7Mを超えると低下する。IEIK13 1%溶液のレオロジー的性質は、イオン強度の調整が0.03Mまでは増大するが、0.03Mを超えると低下する。これらの結果は、種々の塩イオン強度のペプチド溶液の目視検査とよく一致する。結果がPuraMatrix(登録商標)1%溶液については図13に、およびIEIK13 1%溶液については図14に示されている。周波数掃引試験を1Paで1rad/秒から10rad/秒まで実施し、1rad/秒における貯蔵弾性率をデータ用に選択した。
DMEM処理後のペプチド溶液のレオロジー的性質に対する影響
ペプチド溶液のイオン強度レベルを調整した後のペプチド溶液のレオロジー的性質に対する影響の結果に基づいて、10分間のDMEM処理後のペプチドハイドロゲルのレオロジー的性質に対する影響を評価した。DMEM処理後のPuraMatrix(登録商標)ハイドロゲルのレオロジー的性質はイオン強度の調整が0.7Mまでは増加したが、0.7Mを超えると低下する。DMEM処理後のIEIK13ハイドロゲルのレオロジー的性質は、イオン強度の調整が0.025Mまでは有意な変化はなかったが、0.03Mを超えると低下する。PuraMatrix(登録商標)溶液が濁り始める0.9MのNaClイオン強度を超えると、PuraMatrix(登録商標)のレオロジー的性質はDMEM処理によって変化せず、これにより、ゲル化が生じていないことが実証される。結果がPuraMatrix(登録商標)1%ハイドロゲルについては図15に、およびIEIK13 1%ハイドロゲルについては図16に示されており、どちらも10分にわたるDMEM処理後のものである。周波数掃引試験を1Paで1rad/秒から10rad/秒まで実施し、1rad/秒における貯蔵弾性率をデータ用に選択した。
種々の塩の影響
ペプチド溶液およびハイドロゲルのイオン強度レベルを、NaClを用いて調整した後のペプチド溶液およびハイドロゲルのレオロジー的性質に対する影響結果に基づいて、種々の塩(KCl、MgCl2、およびCaCl2)の影響についても評価した。PuraMatrix(登録商標)溶液のレオロジー的性質は、全ての塩に関して、イオン強度を0.15Mに調整すると増大する。種々の塩を用いたPuraMatrix(登録商標)溶液のレオロジー的性質の増大は大きくは異ならなかった。しかし、PuraMatrix(登録商標)溶液のレオロジー的性質の増大は各塩の塩析定数、Kに応じて変動し得る。定数Kは、コーエンの方程式:logS=B−KI(式中、Sは溶解度であり、Bは理想的な溶解度であり、Kは塩析定数であり、Iはイオン強度である)における定数である。定数Kおよび塩のイオン強度の値が高くなるにつれ、ペプチドの溶解度は低下し、その結果、疎水性効果の増大およびより高いペプチド溶液のレオロジー的性質を伴って強力なペプチド自己組織化がもたらされる。NaClの定数Kは他の塩よりも高い可能性がある。したがって、NaClを用いたPuraMatrix(登録商標)溶液のレオロジー的性質は、KClを用いたものおよびCaCl2を用いたものよりもわずかに高かった。10分間のDMEM処理後のPuraMatrix(登録商標)ハイドロゲルのレオロジー的性質も種々の塩を用い、イオン強度を調整して評価し、結果は、種々の塩((NaCl、KCL、MgCl2、およびCaCl2)、0.15Mのイオン強度)を用いたPuraMatrix(登録商標)溶液のレオロジー的性質の増大と同等であった。結果がDMEM処理前のPuraMatrix(登録商標)1%溶液については図17に、および10分間のDMEM処理後のPuraMatrix(登録商標)1%ハイドロゲルについては図18に示されている。周波数掃引試験を1Paで1rad/秒から10rad/秒まで実施し、1rad/秒における貯蔵弾性率をデータ用に選択した。*は、データが、PuraMatrix(登録商標)対照データよりも有意に高いことを示す(P<0.05)。#は、データがPuraMatrix(登録商標)1% NaCL 0.15M(イオン強度)データよりも有意に低いことを示す(P<0.05)。
ゲル化動態に対する種々の塩の影響
ペプチド溶液を塩イオン強度レベルが高い環境に置いた場合のペプチドゲル化の可能性を同定するために、ペプチド溶液の性質に対するペプチド溶液周囲の塩イオン強度レベルの影響を評価した。例えば、ハイドロゲルを、生理食塩水緩衝液(0.15MのNaCl)に相当する等張性体液中に置くことができる。前に実証された通り、これだけに限定されないが、PuraMatrix(登録商標)、KLD12およびIEIK13を含めた自己組織化ペプチドは、中性pHで処理されるとハイドロゲルを形成する。pHの影響を伴わず、ペプチド溶液のゲル化に対する生理食塩水処理の影響を評価した。ペプチド溶液を生理食塩水緩衝液で処理した場合、それらのpHは変化しなかった。生理食塩水緩衝液で処理した後、IEIK13でのみ急速なゲル化が示され、PuraMatrix(登録商標)およびKLD13ではゲル化が示されなかったか、無視できる程度であった。これは、IEIK13が塩イオン強度レベルに対してはるかに感受性が高いことに起因する。体液と等張性の塩レベルと同様の塩イオン強度レベルにおけるIEIK13の急速なゲル化により、一般に、種々の臨床的適用に関してその機能およびゲル化速度を改善することができる。IEIK13溶液、KLD12溶液およびPuraMatrix(登録商標)溶液についての結果が図19に示されている。時間掃引試験を、20mmのプレートおよび500μmのギャップ距離を用い、1rad/秒および1Paで実施した。IEIK13 1.5%溶液、KLD12 1.5%溶液、およびPuraMatrix(登録商標)2.5%溶液の時間掃引試験の間、0時点において測定プレート周囲のチャンバー内にDMEMを添加して、PuraMatrix(登録商標)溶液を浸漬した。
レオロジー的性質に対する塩イオン強度およびpHの調整の影響
1つまたは複数の実施形態によると、IEIK13、KLD12、およびPuraMatrix(登録商標)を、NaClなどの塩緩衝液中、および塩イオン強度を臨界塩点未満に維持し、pHレベルを約2.5〜4.0に維持するためにNaOHなどのアルカリ塩緩衝液を用いて調整した上昇したpHレベルで溶解させることができ、したがって、それらは、より堅い性質を有し得る。PuraMatrix(登録商標)、KLD13およびIEIK13に関して、0.9%NaCl(イオン強度:0.15M)をNaOHで調整したpH3.4で用いて、ペプチド溶液はなお透明である。0.9%NaCl(イオン強度:0.15M)をpH3.4で用いたPuraMatrix(登録商標)のレオロジー的性質は、PuraMatrix対照およびNaCl0.9%のみで用いたPuraMatrixのものよりも堅かった。PuraMatrix(登録商標)2.5%溶液のレオロジー的性質に対する塩イオン強度およびpHの調整の影響が図20に示されている。周波数掃引試験を1Paで1rad/秒から10rad/秒まで実施し、1rad/秒における貯蔵弾性率をデータ用に選択した。
陽イオンの影響
2.5%RADA16ならびに2.5%RADA16+NaCl、KCl、およびCaCl2のレオロジー的な比較において、0.005M、0.05M、0.125M、0.25M、0.5M、および1MのNaCl、KCl、およびCaCl2と混合した0.5%RADA16の溶液を調製した。陽イオン、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)、およびカルシウムイオン(Ca2+)の影響を観察するために、陰イオン、塩化物イオン(Cl−)を同じく維持した。図21に、塩類溶液の陽イオンの変動が自己組織化ペプチドの粘弾性および剛性にどのように影響を及ぼすかに関する基本的理解を提示する。Caにより、同じモル濃度のNaまたはKのいずれと比較しても最良の剛性の増強がもたらされた。これは、Caのイオン強度が同じモル濃度のNaおよびKの4倍であることに起因するはずである。したがって、図17〜18および表2a〜cに示されている通り、ペプチド溶液に対する塩の影響は、それらのモル濃度ではなくそれらのイオン強度により関連する。一部の実施形態では、ペプチド溶液の性質と塩の間に、塩の濃度に基づいて相関がある。
機械的強度
2.5%RADA16および2.5%RADA16+0.25M CaCl2の剛性のレオロジー的測定値を評価した。図22は、RADA16の高濃縮溶液の剛性と、0.125MのCaCl2を添加した別のRADA16の高濃縮溶液を比較し、ペプチドおよびペプチド混合物の粘弾性に関する基本的理解を提示するものである。陽イオン溶液を添加したところ2つの溶液間の剛性に注目すべき増大があった。Caにより、最適な濃度範囲を使用し、高濃度であってさえ、RADA16の機械的増強がもたらされることが示された。
可逆性
+0.125M、0.25M、および0.5MのCaCl2を伴う0.5%RADA16溶液の可逆性のレオロジー的測定値を評価した。0.125M、0.25M、および0.5MのCaCl2と混合した0.5%RADA16の溶液を調製した。ボルテックスおよび超音波処理によって機械的応力を適用することにより、自己組織化したペプチド溶液の構造を徹底的に破壊した。混合物を室温で48時間置いて自己組織化を生じさせた。図23A〜23Bは、ペプチド混合物の基本的な粘弾性を提示し、また、2.5%RADA16+0.5MのCaCl2対照と撹乱させた試料の間の有意差によって具体的に示される通り、塩を伴うペプチド溶液の可逆性を、構造を撹乱させた後でさえ制御し維持することができることを示すものである。最適な塩濃度範囲内の混合物は可逆的なままであった。*は、有意に異なる対照試料および撹乱させた試料を示す。図23aは、塩を伴う対照ペプチド溶液および撹乱させた塩を伴うペプチド溶液の未加工のレオロジー的データを示し、図23bは、対照ペプチド溶液と撹乱させたペプチド溶液の剛性の比較を提示するものである。
ゲル化動態
0.5%RADA16+NaCl、KCl、およびCaCl2のゲル化動態のレオロジー的測定値を評価した。0.5%RADA16の溶液を調製し、いくつかの陽イオン(例えばNa、Cl、K)および陰イオン(例えばCl、CO3、PO4、SO4)を用いて処理することによってゲル化動態を観察した。ペプチド混合物のゲル化にかかる時間および陽イオン/陰イオン型および濃度を変動させることによるゲル化時間の制御の仕方を決定した。塩化物イオン(chlorine)により最も迅速なゲル化が示され、硫酸イオンにより最も遅いゲル化が示された。in vivoおよびin vitroにおける定性的実験および結果得られた知見は、これらの結論を裏付けるものであった。
種々の陽イオン
機械的性質に影響を及ぼした陽イオン/陰イオン溶液と混合したペプチドハイドロゲルと、さらに、機械的性質に影響を及ぼさなかった非常に低い濃度の造影剤と混合した別のペプチドハイドロゲルの両方を設計した。2つのゲルは、(1)自己組織化ペプチドと、医学分野で使用されている周知の陽イオン/陰イオン溶液であるリンゲル液(pH5.3)の組合せ、および(2)自己組織化ペプチドと、周知の造影剤である、硫酸イオン(陰イオン)およびナトリウムイオン(陽イオン)を含有する色素溶液であるインジゴカルミンの組合せであった。インジゴカルミンは、pHを調整するために、インジゴジスルホネートナトリウム(indigoindisulfonate sodium)(C16H8N2Na2O8S2)、水、およびクエン酸ナトリウム(C6H8O7)を含有する。インジゴカルミン粉末を使用して、実験に使用するための1%溶液を調製した。これは、水1ml当たり10mgに対応する。実験に使用したインジゴカルミン溶液の濃度は水中0.00585%であった。
肺の漏出の予防
注射可能な自己組織化ペプチドハイドロゲル系は、胸膜欠損に対する空気シーラントとして使用した。35cmH2Oまたはそれ超の破裂圧(すなわち、空気がシーラントの表面を破る圧力)が達成された。
実験の設定
新たに安楽死させたブタからブタ肺を得た。気管および主気管支を通じて目的の肺内に気管内チューブを挿入した。手動の気管内挿管ポンプを使用して肺に圧力を供給した。チューブ周辺の空気漏出を防ぐために気管を結紮した。他の肺の主気管支をクランプして、全ての気流を目的の肺に導いた。マノメーターを用いて、膨張を誘導するために肺に誘導した空気の圧力を測定した。
自己組織化ペプチドハイドロゲルは、Ac−RADARADARADARADA−NH2(すなわち、RADA16)(配列番号1)、Ac−KLDLKLDLKLDL−NH2(すなわち、KLD12)(配列番号3)、またはAc−IEIKIEIKIEIKI−NH2(すなわち、IEIK13)(配列番号2)で構成され、RADA16またはKLD12は、単独で、または0.250Mの塩化カルシウムと混合した。単独の場合、ペプチドを脱イオン水中に再構成した。しかし、ペプチドを0.250Mの塩化カルシウム溶液と共に再構成した場合には、ペプチドをまず脱イオン水中に再構成し、その後、塩化カルシウムの0.500M溶液を1:1の比で混合した。
自己組織化ペプチドハイドロゲルの有効性を測定するために、3つの異なる方法によって胸膜欠損を創出した:(1)16ゲージの針を使用して肺および胸膜を穿刺した、(2)5×5mmのエリアを測定し、1つの外科はさみを使用して肺および胸膜を切った、および(3)肺葉切除術(すなわち、目的の肺の1つの葉の完全な切除)。0.9%生理食塩水溶液を欠損エリアの上に流し、空気を導入し、気泡の放出を観察するための気管内挿管ポンプ系を使用することによって欠損の場所を同定した。
欠損の場所が同定されたら、欠損エリアにハイドロゲルを2つの異なる方法によって適用した:(1)ハイドロゲルを、シリンジによって欠損エリアに注射することによって局所的に適用した、および(2)ハイドロゲルを、18ゲージの針によって欠損エリアを局所的に覆うようにオーバーフローで欠損に注射した。2分の緩和期間後、破裂圧が同定されるまで気管内挿管ポンプを通じて圧力を適用した。任意の追加的な試験のために、予め試験した欠損への気流を、外科的クランプを使用して切断した。図25に、胸膜欠損を同定し、針を挿入し、ハイドロゲルを注射し、破裂圧を同定する手順の流れを示す:A)胸膜欠損の同定、B)胸膜欠損への針の挿入、C)ハイドロゲルの注射(1.5%IEIK13)、D)破裂圧に達したことを示す気泡の同定。
様々な針のサイズを用い、2.5%RADA16を使用して、胸膜欠損の破裂圧に対する影響を決定した。14ゲージ、16ゲージ、18ゲージ、および22ゲージの針を使用して胸膜欠損を創出した。2.5%RADA16を局所的に適用し、各欠損について、上記の方法を使用して破裂圧を同定した。図26は、2.5%RADA16を使用した場合、針ゲージの変動によって胸膜欠損の破裂圧は著しくは変更されないことを示す。様々な針ゲージによって引き起こした胸膜欠損で示された破裂圧の変化は無視できるものであった。
注射可能な、自己組織化ペプチドハイドロゲル系の空気シーラントとしての使用は、特定の胸膜欠損への適用に関して実行可能である。本明細書に記載の実験から決定される通り、0.25MのCaCl2を伴う2.5%RADA16、2.5%IEIK13、および1.5%IEIK13のハイドロゲルは、35cm H2Oの破裂圧を超えるので、針穿刺、ステープル線、および縫合線に伴う空気漏出を予防するために使用することができる。
Claims (167)
- 被験体における肺の漏出を治療する方法であって、
前記被験体の前記肺の漏出の標的エリアに送達デバイスを導入するステップと、
前記送達デバイスの末端を肺の漏出の治療が望まれる前記標的エリア内に配置するステップと、
前記肺の漏出を治療するために、有効量および有効濃度の約7アミノ酸〜32アミノ酸を含む自己組織化ペプチドを含む溶液を前記送達デバイスを通じて前記標的エリアに投与して前記標的エリアの生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成するステップと、
前記送達デバイスを前記標的エリアから除去するステップと
を含む、方法。 - 前記送達デバイスを導入するステップの前に、前記標的エリアを含む領域を可視化するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 前記送達デバイスを前記標的エリアから除去するステップの後に、前記標的エリアを含む領域を可視化するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 前記送達デバイスを除去するステップの後に、前記標的エリアをモニタリングするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 前記溶液を投与するステップが、前記溶液を前記標的エリアに局所的に適用することを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記溶液を投与するステップが、前記溶液を前記標的エリア内に、前記標的エリアを局所的に覆うためにオーバーフローで注射することを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記溶液を投与するステップが、前記溶液を単回用量で投与することを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記溶液を投与するステップが、前記溶液を少なくとも2回の用量で投与することを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記ハイドロゲルバリアが、少なくとも35cm H2Oの破裂圧耐性をもたらす、請求項1に記載の方法。
- 前記ハイドロゲルバリアが約3分未満で形成される、請求項1に記載の方法。
- 前記ハイドロゲルバリアが約2分未満で形成される、請求項10に記載の方法。
- 前記ハイドロゲルバリアが約1分未満で形成される、請求項11に記載の方法。
- 前記ハイドロゲルバリアが約2秒から約30秒の間に形成される、請求項1に記載の方法。
- 前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液を調製するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 肺の漏出を治療する必要性を決定するために前記被験体を評価するステップおよび前記評価するステップに基づいて前記溶液を調製するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 前記溶液のpHを調整するステップをさらに含む、請求項14または15に記載の方法。
- 前記溶液のpHを上昇させるステップをさらに含む、請求項14または15に記載の方法。
- 前記有効量および前記有効濃度の少なくとも一方が、前記肺の漏出の前記標的エリアの寸法に一部基づく、請求項1に記載の方法。
- 前記有効量が標的エリア1cm2当たりおよそ1mLである、請求項18に記載の方法。
- 前記肺の漏出の治療を可能にするために有効な量が、約0.1mL〜約5mLの範囲の体積を含む、請求項18に記載の方法。
- 前記溶液が、細胞を実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
- 前記溶液が、薬物を実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
- 外科手技後に前記溶液を投与するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 前記外科手技により前記肺の漏出がもたらされた、請求項23に記載の方法。
- 前記肺の漏出が胸膜欠損である、請求項1に記載の方法。
- 前記肺の漏出が気管支吻合の漏出である、請求項1に記載の方法。
- 前記自己組織化ペプチドが、(RADA)4(配列番号1)、(IEIK)3I(配列番号2)、および(KLDL)3(配列番号3)からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記肺の漏出の治療を可能にするために有効な濃度が、約0.1重量/体積(w/v)パーセント〜約3w/vパーセントの範囲の自己組織化ペプチド濃度を含む、請求項27に記載の方法。
- 前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液を調製するステップが、前記自己組織化ペプチドを塩類溶液に添加することを含む、請求項27に記載の方法。
- 前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液を調製するステップが、
前記自己組織化ペプチドのペプチド粉末に水を添加して水性ペプチド溶液を提供することと、
前記水性ペプチド溶液に塩類溶液を添加することと、
前記塩類溶液と前記水性ペプチド溶液とを混合することと
を含む、請求項27に記載の方法。 - 前記塩類溶液が、アンモニウムイオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、カリウムイオン、ピリジニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、およびカルシウムイオンからなる群より選択される少なくとも1つの陽イオンを含む、請求項29または30に記載の方法。
- 前記塩類溶液が、塩化物イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、炭酸イオン、塩化物イオン、クエン酸イオン、シアン化物イオン、フッ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、およびリン酸イオンからなる群より選択される少なくとも1つの陰イオンを含む、請求項29または30に記載の方法。
- 前記塩類溶液が、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、および塩化カリウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項31に記載の方法。
- 前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が(RADA)4(配列番号1)を約0.5重量/体積(w/v)パーセントの濃度で含む、請求項28に記載の方法。
- 前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約0.125Mの塩化カルシウム濃度を含む、請求項34に記載の方法。
- 前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約25Paの貯蔵弾性率を有する、請求項35に記載の方法。
- 前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約0.250Mの塩化カルシウム濃度を含む、請求項34に記載の方法。
- 前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約44Paの貯蔵弾性率を有する、請求項37に記載の方法。
- 前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約0.500Mの塩化カルシウム濃度を含む、請求項34に記載の方法。
- 前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約52Paの貯蔵弾性率を有する、請求項39に記載の方法。
- 前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が(RADA)4(配列番号1)を約2.5重量/体積(w/v)パーセントの濃度で含む、請求項27に記載の方法。
- 前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約0.125Mの塩化カルシウム濃度を含む、請求項41に記載の方法。
- 前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約600Paの貯蔵弾性率を有する、請求項42に記載の方法。
- 前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約0.005Mから約1Mの間の塩濃度を有する、請求項28に記載の方法。
- 前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約0.125Mから約0.500Mの間の塩濃度を有する、請求項44に記載の方法。
- 前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約0.25Mの塩濃度を有する、請求項45に記載の方法。
- 塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、および炭酸水素ナトリウムを含む溶液をさらに含む、請求項28に記載の方法。
- 造影剤を含む溶液をさらに含む、請求項28に記載の方法。
- 前記造影剤が、硫酸イオンおよびナトリウムイオンを含む、請求項48に記載の方法。
- 前記溶液が約2.5〜約4.0のpHを有する、請求項28に記載の方法。
- 前記溶液が約3.5のpHを有し、前記自己組織化ペプチドが(RADA)4(配列番号1)および(KLDL)3(配列番号3)のうちの1つである、請求項50に記載の方法。
- 前記溶液が約3.7のpHを有し、前記自己組織化ペプチドが(IEIK)3I(配列番号2)である、請求項50に記載の方法。
- 前記自己組織化ペプチドを含む溶液を調製するステップが、前記自己組織化ペプチドを緩衝液に添加することおよび緩衝液を前記溶液に添加することのうちの一方を含む、請求項14または15に記載の方法。
- 前記緩衝液が、少なくとも2種の塩を含む、請求項53に記載の方法。
- 前記緩衝液がpH7.2である、請求項54に記載の方法。
- 前記緩衝液がpH7.4である、請求項54に記載の方法。
- 前記緩衝液がアルカリ緩衝液である、請求項53に記載の方法。
- 前記溶液が、約0.15Mの塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、および塩化カルシウムのうちの少なくとも1つで緩衝化されている、請求項53に記載の方法。
- 前記緩衝液が約0.6Mから約1.2Mの間の塩を含み、前記自己組織化ペプチドが(RADA)4(配列番号1)である、請求項58に記載の方法。
- 前記緩衝液が約0.02Mから約0.04Mの間の塩を含み、前記自己組織化ペプチドが(IEIK)3I(配列番号2)である、請求項58に記載の方法。
- 前記緩衝液が約0.1Mから約0.4Mの間の塩を含み、前記自己組織化ペプチドが(KLDL)3(配列番号3)である、請求項58に記載の方法。
- 前記溶液に所定の機械的強度をもたらすための塩を選択するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
- 前記溶液に前記所定の機械的強度がもたらされるように前記塩の濃度を選択するステップをさらに含む、請求項62に記載の方法。
- 前記溶液に所定のイオン強度をもたらすための塩を選択するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
- 前記溶液に前記所定のイオン強度がもたらされるように前記塩の濃度を選択するステップをさらに含む、請求項64に記載の方法。
- 前記溶液に所定のpHをもたらすための塩を選択するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
- 前記溶液に前記所定のpHがもたらされるように前記塩の濃度を選択するステップをさらに含む、請求項66に記載の方法。
- 前記被験体が哺乳動物である、請求項1に記載の方法。
- 前記被験体がヒトである、請求項68に記載の方法。
- 前記自己組織化ペプチドが、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸が交互に現れる約12〜約16アミノ酸を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記溶液が、少なくとも1種の生物学的に活性な薬剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 被験体における肺の漏出を治療するためのキットであって、
肺の漏出の治療を可能にするために生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成するための有効量の約7アミノ酸〜約32アミノ酸を含む自己組織化ペプチドと、
前記自己組織化ペプチドを前記被験体の肺の漏出の標的エリアに投与するための指示と
を含む、キット。 - 前記自己組織化ペプチドが、自己組織化ペプチドを含む溶液および自己組織化ペプチドを含む溶液として調製される粉末のうちの一方として提供される、請求項72に記載のキット。
- 前記自己組織化ペプチドが、自己組織化ペプチドを含む溶液として提供される、請求項73に記載のキット。
- 前記自己組織化ペプチドが、自己組織化ペプチドを含む溶液として調製される粉末として提供される、請求項73に記載のキット。
- 前記肺の漏出の治療を可能にするために生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成するための有効濃度を有する自己組織化ペプチドを含む溶液を調製するための指示をさらに含む、請求項73に記載のキット。
- 前記自己組織化ペプチドを前記肺の漏出の標的エリアに導入するための送達デバイスをさらに含む、請求項72に記載のキット。
- 前記肺の漏出が胸膜欠損である、請求項72に記載のキット。
- 前記肺の漏出が気管支吻合の漏出である、請求項72に記載のキット。
- 前記自己組織化ペプチドが、(RADA)4(配列番号1)、(IEIK)3I(配列番号2)、および(KLDL)3(配列番号3)からなる群より選択される、請求項73に記載のキット。
- 前記肺の漏出の治療を可能にするために有効な濃度が、約0.1重量/体積(w/v)パーセント〜約3w/vパーセントの範囲の自己組織化ペプチドの濃度を含む、請求項80に記載のキット。
- 塩類溶液をさらに含む、請求項72に記載のキット。
- 前記塩類溶液と前記自己組織化ペプチドを含む溶液およびペプチド粉末のうちの1つとを組み合わせるための指示をさらに含む、請求項82に記載のキット。
- 前記塩類溶液が、アンモニウムイオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、カリウムイオン、ピリジニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、およびカルシウムイオンからなる群より選択される少なくとも1つの陽イオンを含む、請求項82に記載のキット。
- 前記塩類溶液が、塩化物イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、炭酸イオン、塩化物イオン、クエン酸イオン、シアン化物イオン、フッ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、およびリン酸イオンからなる群より選択される少なくとも1つの陰イオンを含む、請求項82に記載のキット。
- 前記塩類溶液が、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、および塩化カリウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項84に記載のキット。
- 前記自己組織化ペプチドを含む溶液が、約0.005Mから約0.500Mの間の塩濃度を含む、請求項84に記載のキット。
- 前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が、約25Paから約600Paの間の貯蔵弾性率を有する、請求項87に記載のキット。
- 前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が、約0.25Mの塩濃度を有する、請求項87に記載のキット。
- 塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、および炭酸水素ナトリウムを含む溶液をさらに含む、請求項72に記載のキット。
- 造影剤を含む溶液をさらに含む、請求項72に記載のキット。
- 前記造影剤が、硫酸イオンおよびナトリウムイオンを含む、請求項91に記載のキット。
- 前記自己組織化ペプチドを含む溶液が、約2.5〜約4.0のpHを有する、請求項72に記載のキット。
- 前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約3.5のpHを有し、前記自己組織化ペプチドが(RADA)4(配列番号1)および(KLDL)3(配列番号3)のうちの1つである、請求項93に記載のキット。
- 前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約3.7のpHを有し、前記自己組織化ペプチドが(IEIK)3I(配列番号2)である、請求項93に記載のキット。
- 前記キットまたは自己組織化ペプチドを含む溶液の一方が緩衝液を含む、請求項72に記載のキット。
- 前記緩衝液が少なくとも2種の塩を含む、請求項96に記載のキット。
- 前記緩衝液がpH7.2である、請求項96に記載のキット。
- 前記緩衝液がpH7.4である、請求項96に記載のキット。
- 前記緩衝液がアルカリ緩衝液である、請求項96に記載のキット。
- 前記溶液が、約0.15Mの塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、および塩化カルシウムのうちの少なくとも1つで緩衝化されている、請求項96に記載のキット。
- 前記緩衝液が約0.6Mから約1.2Mの間の塩を含み、前記自己組織化ペプチドが(RADA)4(配列番号1)である、請求項101に記載のキット。
- 前記緩衝液が約0.02Mから約0.04Mの間の塩を含み、前記自己組織化ペプチドが(IEIK)3I(配列番号2)である、請求項101に記載のキット。
- 前記緩衝液が約0.1Mから約0.4Mの間の塩を含み、前記自己組織化ペプチドが(KLDL)3(配列番号3)である、請求項101に記載のキット。
- 前記被験体が哺乳動物である、請求項72に記載のキット。
- 前記被験体がヒトである、請求項105に記載のキット。
- 前記自己組織化ペプチドが、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸が交互に現れる約12〜約16アミノ酸を含む、請求項72に記載のキット。
- 少なくとも1種の生物学的に活性な薬剤をさらに含む、請求項72に記載のキット。
- 溶液が、細胞および薬物を実質的に含まない、請求項72に記載のキット。
- スクロース溶液をさらに含む、請求項72に記載のキット。
- 肺の漏出を治療するために生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成することにおいて使用するための、有効量および有効濃度の約7アミノ酸〜32アミノ酸を含む自己組織化ペプチドを含む組成物。
- 前記ハイドロゲルバリアが、少なくとも35H2Oの破裂圧耐性をもたらす、請求項111に記載の組成物。
- 前記自己組織化ペプチドが、(RADA)4(配列番号1)、(IEIK)3I(配列番号2)、および(KLDL)3(配列番号3)からなる群より選択される、請求項111に記載の組成物。
- 前記肺の漏出の治療を可能にするために有効な濃度が、約0.1重量/体積(w/v)パーセント〜約3w/vパーセントの範囲の自己組織化ペプチド濃度を含む、請求項113に記載の組成物。
- 溶液が、細胞を実質的に含まない、請求項111に記載の組成物。
- 溶液が、薬物を実質的に含まない、請求項111に記載の組成物。
- アンモニウムイオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、カリウムイオン、ピリジニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、およびカルシウムイオンからなる群より選択される少なくとも1つの陽イオンをさらに含む、請求項111に記載の組成物。
- 塩化物イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、炭酸イオン、塩化物イオン、クエン酸イオン、シアン化物イオン、フッ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、およびリン酸イオンからなる群より選択される少なくとも1つの陰イオンをさらに含む、請求項111に記載の組成物。
- 塩化カルシウム、塩化ナトリウム、および塩化カリウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項117に記載の組成物。
- (RADA)4(配列番号1)を約0.5重量/体積(w/v)パーセントの濃度で含む、請求項114に記載の組成物。
- 約0.125Mの塩化カルシウム濃度を含む、請求項120に記載の組成物。
- 約25Paの貯蔵弾性率を有する、請求項121に記載の組成物。
- 約0.250Mの塩化カルシウム濃度を含む、請求項120に記載の組成物。
- 約44Paの貯蔵弾性率を有する、請求項123に記載の組成物。
- 約0.500Mの塩化カルシウム濃度を含む、請求項120に記載の組成物。
- 約52Paの貯蔵弾性率を有する、請求項125に記載の組成物。
- (RADA)4(配列番号1)を約2.5重量/体積(w/v)パーセントの濃度で含む、請求項114に記載の組成物。
- 約0.125Mの塩化カルシウム濃度を含む、請求項127に記載の組成物。
- 約600Paの貯蔵弾性率を有する、請求項128に記載の組成物。
- 約0.005Mから約1Mの間の塩濃度を含む、請求項114に記載の組成物。
- 約0.125Mから約0.500Mの間の塩濃度を含む、請求項130に記載の組成物。
- 約0.25Mの塩濃度を含む、請求項131に記載の組成物。
- 塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、および炭酸水素ナトリウムを含む溶液をさらに含む、請求項114に記載の組成物。
- 造影剤を含む溶液をさらに含む、請求項114に記載の組成物。
- 前記造影剤が、硫酸イオンおよびナトリウムイオンを含む、請求項134に記載の組成物。
- 約2.5〜約4.0のpHを有する、請求項111に記載の組成物。
- 溶液が約3.5のpHを有し、前記自己組織化ペプチドが(RADA)4(配列番号1)および(KLDL)3(配列番号3)のうちの1つである、請求項136に記載の組成物。
- 溶液が約3.7のpHを有し、前記自己組織化ペプチドが(IEIK)3I(配列番号2)である、請求項136に記載の組成物。
- 緩衝液をさらに含む、請求項111に記載の組成物。
- 前記緩衝液が少なくとも2種の塩を含む、請求項139に記載の組成物。
- 前記緩衝液がpH7.2である、請求項139に記載の組成物。
- 前記緩衝液がpH7.4である、請求項139に記載の組成物。
- 前記緩衝液がアルカリ緩衝液である、請求項139に記載の組成物。
- 塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、および塩化カルシウムのうちの少なくとも1つを約0.15Mで含む、請求項111に記載の組成物。
- 約0.6Mから約1.2Mの間の塩を含み、前記自己組織化ペプチドが(RADA)4(配列番号1)である、請求項144に記載の組成物。
- 約0.02Mから約0.04Mの間の塩を含み、前記自己組織化ペプチドが(IEIK)3I(配列番号2)である、請求項144に記載の組成物。
- 約0.1Mから約0.4Mの間の塩を含み、前記自己組織化ペプチドが(KLDL)3(配列番号3)である、請求項144に記載の組成物。
- 被験体における肺の漏出を治療するために使用される、請求項111に記載の組成物。
- 前記被験体が哺乳動物である、請求項111に記載の組成物。
- 前記被験体がヒトである、請求項149に記載の組成物。
- 前記自己組織化ペプチドが、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸が交互に現れる約12〜約16アミノ酸を含む、請求項111に記載の組成物。
- 少なくとも1種の生物学的に活性な薬剤をさらに含む、請求項111に記載の組成物。
- 被験体における肺の漏出の治療を容易にする方法であって、
前記肺の漏出の治療を可能にするために、有効量および有効濃度の約7アミノ酸〜約32アミノ酸を含む自己組織化ペプチドを含む溶液を提供して生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成するステップと、
前記溶液を前記肺の漏出の標的エリアに、前記肺の漏出に配置した送達デバイスを通じて前記溶液を導入することによって投与するための指示を提供するステップと
を含む、方法。 - 前記肺の漏出の少なくとも一部を含む領域を可視化するための指示を提供するステップをさらに含む、請求項153に記載の方法。
- 前記肺の漏出の少なくとも一部を含む領域を可視化するための指示を提供するステップが、
前記肺の漏出の前記標的エリアを同定するステップ;
前記送達デバイスを導入するステップ;
前記送達デバイスの末端を前記標的エリア内に配置するステップ;
前記溶液を投与するステップ;
前記送達デバイスを前記肺の漏出から除去するステップ;および
前記送達デバイスを除去するステップの後に前記肺の漏出をモニタリングするステップ、
のうちの少なくとも1つの間に前記領域を可視化するための指示を提供することを含む、請求項154に記載の方法。 - 前記溶液を投与するステップの後約1分〜約5分の時間内に前記領域を可視化するための指示を提供するステップをさらに含む、請求項154に記載の方法。
- 前記肺の漏出の標的エリアの寸法に一部基づいて前記有効量および前記有効濃度の少なくとも一方を調製するための指示を提供するステップをさらに含む、請求項153に記載の方法。
- 前記有効量が標的エリア1cm2当たりおよそ1mLである、請求項157に記載の方法。
- 前記自己組織化ペプチドが、(RADA)4(配列番号1)、(IEIK)3I(配列番号2)、および(KLDL)3(配列番号3)からなる群より選択される、請求項153に記載の方法。
- 前記肺の漏出の予防を可能にするために有効な濃度が、約0.1重量/体積パーセント〜約3重量/体積パーセントペプチドの範囲の濃度を含む、請求項159に記載の方法。
- 前記肺の漏出の予防を可能にするために有効な量が、約0.1mL〜約5mLの範囲の体積を含む、請求項160に記載の方法。
- 前記標的エリアの周囲のエリアをモニタリングするための指示を提供するステップをさらに含む、請求項153に記載の方法。
- 外科手技後に前記溶液および使用のための指示を提供するステップをさらに含む、請求項153に記載の方法。
- 自己組織化ペプチドを含む溶液を提供するステップが、前記肺の漏出の予防を可能にするために生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成するための有効濃度を有するペプチド溶液を調製するための指示を提供することを含む、請求項153に記載の方法。
- 複数の自己組織化ペプチドから本質的になる肉眼で見える足場であって、前記自己組織化ペプチドのそれぞれが、肺の漏出の標的エリア内に配置することが可能な有効量の約7アミノ酸〜約32アミノ酸を含む、肉眼で見える足場。
- 前記複数のペプチドのそれぞれが、(RADA)4(配列番号1)、(IEIK)3I(配列番号2)、および(KLDL)3(配列番号3)のうちの1つを含む、請求項165に記載の肉眼で見える足場。
- 約10ナノメートル〜約20ナノメートルの直径を有するナノファイバーを含む、請求項166に記載の肉眼で見える足場。
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