JP2018130552A - 胆汁漏の処置 - Google Patents

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Abstract

【課題】胆汁漏のための処置を施すのに使用されうる材料および方法を提供する。【解決手段】1または複数の態様に従い、被験体における胆汁漏を処置する方法が提供される。方法は、閉鎖が所望される胆汁漏の標的エリア内に、送達デバイスの端部を配置するステップを含む。方法は、送達デバイスを介して、約7アミノ酸〜約32アミノ酸の間のアミノ酸を、胆汁漏の周囲の条件下でハイドロゲルを形成するための有効量および有効濃度で含む、自己集合性ペプチドを含む溶液を投与して、胆汁漏の閉鎖を提供するステップをさらに含む。方法は、送達デバイスを、胆汁漏の標的エリアから取り出すステップをさらに含む。【選択図】なし

Description

配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、配列表を含有する。前記ASCIIコピーは、2014年3月13日に作成され、T2071−7013WO_SLと名付けられ、29,135バイトのサイズである。
開示の分野
本開示は、医療適用、研究適用、および産業適用で使用されうる材料および方法に関する。より具体的には、本開示は、胆汁漏のための処置を施すのに使用されうる材料および方法に関する。胆汁漏のための処置を施すシステムおよび方法により、胆管、胆嚢、肝臓、膵臓、十二指腸、または十二指腸乳頭からの胆汁の漏出を防止または軽減することができる。システムおよび方法は、胆汁漏を軽減または防止する物理的障壁をもたらしうる。
要旨
1または複数の態様に従い、被験体における胆汁漏を処置する方法が提供される。方法は、閉鎖が所望される胆汁漏の標的エリア内に、送達デバイスの端部を配置するステップを含む。方法は、送達デバイスを介して、約7アミノ酸〜約32アミノ酸の間のアミノ酸を、胆汁漏の周囲の条件下でハイドロゲルを形成するための有効量および有効濃度で含む、自己集合性ペプチドを含む溶液を投与して、胆汁漏の閉鎖を提供するステップをさらに含む。方法は、送達デバイスを、胆汁漏の標的エリアから取り出すステップをさらに含む。
1または複数の態様に従い、被験体における胆汁漏を閉鎖するためのキットが提供される。キットは、約7アミノ酸〜約32アミノ酸の間のアミノ酸を、生理学的条件下でハイドロゲルを形成して胆汁漏の閉鎖を提供するための有効量および有効濃度で含む、自己集合性ペプチドを含む溶液を含む。キットは、上記溶液を、被験体の胆汁漏の標的エリアへと投与するための指示をさらに含む。
1または複数の態様に従い、複数の自己集合性ペプチドから本質的になる巨視的足場(macroscopic scaffold)が提供される。自己集合性ペプチドの各々は、約7アミノ酸〜約32アミノ酸の間のアミノ酸を、胆汁漏の標的エリア内に配置されて、胆汁漏の閉鎖を促進すること、および胆汁漏を防止することを可能にする有効量で含む。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
被験体における胆汁漏を処置する方法であって、
閉鎖が所望される該胆汁漏の標的エリア内に、送達デバイスの端部を配置するステップと、
該送達デバイスを介して、約7アミノ酸〜約32アミノ酸の間のアミノ酸を、該胆汁漏の周囲の条件下でハイドロゲルを形成するための有効量および有効濃度で含む、自己集合性ペプチドを含む溶液を投与して、該胆汁漏の閉鎖を提供するステップと、
該送達デバイスを、該胆汁漏の該標的エリアから取り出すステップと
を含む方法。
(項目2)
前記胆汁漏の周囲の前記標的エリアのうちの少なくとも一部を含む領域を可視化するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記領域を可視化するステップが、
前記胆汁漏の前記標的エリアを同定すること、
前記送達デバイスの前記端部を、前記標的エリア内に配置すること、
前記溶液を投与すること、
該送達デバイスを取り出すこと、および
該送達デバイスを取り出した後で、該胆汁漏をモニタリングすること
のうちの少なくとも1つの間に、該領域を可視化することを含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記領域を可視化するステップが、前記溶液の、前記胆汁漏の前記標的エリアへの選択的投与を提供する、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記溶液の投与後約1分間の期間内に、前記領域を可視化するステップをさらに含む、項目3に記載の方法。
(項目6)
前記溶液の投与後約3分間の期間内に、前記領域を可視化するステップをさらに含む、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記溶液の投与後約1週間の期間内に、前記領域を可視化するステップをさらに含む、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記有効量および前記有効濃度のうちの少なくとも1つが、前記胆汁漏の前記標的エリアの大きさに部分的に基づく、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記有効量が、標的エリア1cm当たり約1mLである、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記胆汁漏の閉鎖を提供するための有効な前記濃度が、約0.1重量/体積(w/v)パーセント〜約3w/vパーセントの範囲のペプチドの濃度を含む、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記胆汁漏の閉鎖を提供するための有効な前記量が、約0.1mL〜約5mLの範囲の体積を含む、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記標的エリアをモニタリングして、前記溶液の前記投与の有効性を決定するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記送達デバイスを前記標的エリア内に配置する前に、手術手順を実施するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記手術手順が、肝切除術および胆嚢摘出術のうちの1つである、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記溶液が、細胞を実質的に含まない、項目1に記載の方法。
(項目16)
前記溶液が、薬物を実質的に含まない、項目1に記載の方法。
(項目17)
前記溶液が、約7アミノ酸〜約32アミノ酸の間のアミノ酸を含む自己集合性ペプチドから本質的になる、項目1に記載の方法。
(項目18)
前記溶液が、約7アミノ酸〜約32アミノ酸の間のアミノ酸を含む自己集合性ペプチドからなる、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記被験体が、哺乳動物である、項目1に記載の方法。
(項目20)
前記被験体が、ヒトである、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記溶液を投与するステップが、該溶液を単一用量で投与することを含む、項目1に記載の方法。
(項目22)
前記溶液を投与するステップが、該溶液を少なくとも2用量で投与することを含む、項目1に記載の方法。
(項目23)
前記被験体を評価して胆汁漏閉鎖を防止する必要性を決定するステップおよび、前記溶液を調製するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目24)
前記胆汁漏が、胆管、胆嚢、および肝臓のうちの少なくとも1つにおいて存在する、項目1に記載の方法。
(項目25)
前記溶液が、少なくとも1つの生物学的活性剤をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目26)
前記溶液中の前記ペプチドが、(RADA)[配列中、p=2〜50である](配列番号2)、(IEIK)I[配列中、p=2〜50である](配列番号4)、および(KLDL)[配列中、p=2〜50である](配列番号7)のうちの1つを含む、項目1に記載の方法。
(項目27)
前記溶液中の前記ペプチドが、(RADA)[配列中、p=2〜50である](配列番号2)、(IEIK)I[配列中、p=2〜50である](配列番号4)、および(KLDL)[配列中、p=2〜50である](配列番号7)のうちの1つから本質的になる、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記溶液中の前記ペプチドが、(RADA)(配列番号10)、(IEIK)I(配列番号11)、および(KLDL)(配列番号13)のうちの1つを含む、項目1に記載の方法。
(項目29)
前記溶液中の前記ペプチドが、(RADA)(配列番号10)、(IEIK)I(配列番号11)、および(KLDL)(配列番号13)から本質的になる、項目28に記載の方法。
(項目30)
被験体における胆汁漏を閉鎖するためのキットであって、
約7アミノ酸〜約32アミノ酸の間のアミノ酸を、生理学的条件下でハイドロゲルを形成して該胆汁漏の閉鎖を提供するための有効量および有効濃度で含む、自己集合性ペプチドを含む溶液と、
該溶液を、該被験体の該胆汁漏の標的エリアへと投与するための指示と
を含むキット。
(項目31)
前記溶液を、前記被験体の前記胆汁漏の前記標的エリアへと導入する送達デバイスをさらに含む、項目30に記載のキット。
(項目32)
スクロース溶液をさらに含む、項目30に記載のキット。
(項目33)
前記溶液を希釈して、有効濃度の該溶液を、前記被験体の前記胆汁漏の前記標的エリアへと投与するための指示をさらに含む、項目30に記載のキット。
(項目34)
前記被験体における前記胆汁漏の前記標的エリアへの前記溶液の前記有効濃度を、該胆汁漏の該標的エリアの大きさに基づき決定するための指示をさらに含む、項目30に記載のキット。
(項目35)
被験体における胆汁漏の閉鎖を促進する方法であって、
約7アミノ酸〜約32アミノ酸の間のアミノ酸を、生理学的条件下でハイドロゲルを形成するための有効量および有効濃度で含む、自己集合性ペプチドを含む溶液を提供して、該胆汁漏の閉鎖を提供するステップと、
該胆汁漏の標的エリア内に配置された送達デバイスを介して該溶液の導入により、該溶液を、該胆汁漏の該標的エリアへと投与するための指示を提供するステップと
を含む方法。
(項目36)
前記胆汁漏の前記標的エリアのうちの少なくとも一部を含む領域を可視化するための指示を提供するステップをさらに含む、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記胆汁漏の前記標的エリアのうちの少なくとも一部を含む前記領域を可視化するための指示を提供するステップが、
該胆汁漏の該標的エリアを同定すること、
前記送達デバイスの端部を、該標的エリア内に配置すること、
前記溶液を投与すること、
該送達デバイスを、該胆汁漏の該標的エリアから取り出すこと、および
該送達デバイスを取り出した後で、該領域をモニタリングすること
のうちの少なくとも1つの間に該領域を可視化するための指示を提供することを含む、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記胆汁漏が、胆管、胆嚢、および肝臓のうちの少なくとも1つにおいて存在する、項目36に記載の方法。
(項目39)
前記溶液の投与後約1分間の期間内に、前記領域を可視化するための指示を提供するステップをさらに含む、項目36に記載の方法。
(項目40)
前記溶液の投与後約3分間の期間内に、前記領域を可視化するための指示を提供するステップをさらに含む、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記溶液の投与後約1週間の期間内に、前記領域を可視化するための指示を提供するステップをさらに含む、項目38に記載の方法。
(項目42)
前記胆汁漏の前記標的エリアの大きさに部分的に基づき、前記有効量および前記有効濃度のうちの少なくとも1つを調製するための指示を提供するステップをさらに含む、項目35に記載の方法。
(項目43)
前記有効量が、標的エリア1cm当たり約1mLである、項目35に記載の方法。
(項目44)
前記胆汁漏の前記閉鎖を提供するための有効な前記濃度が、約0.1重量/体積パーセント〜約3重量/体積パーセントの範囲のペプチドの濃度を含む、項目35に記載の方法。
(項目45)
前記胆汁漏の前記閉鎖を提供するための有効な前記量が、約0.1mL〜約5mLの範囲の体積を含む、項目35に記載の方法。
(項目46)
前記標的エリアの周囲のエリアをモニタリングするための指示を提供するステップをさらに含む、項目35に記載の方法。
(項目47)
手術手順の後に使用するための、前記溶液および指示を提供するステップをさらに含む、項目35に記載の方法。
(項目48)
前記手術手順が、肝切除術および胆嚢摘出術のうちの1つである、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記溶液が、細胞を実質的に含まない、項目35に記載の方法。
(項目50)
前記溶液が、薬物を実質的に含まない、項目35に記載の方法。
(項目51)
前記溶液が、約7アミノ酸〜約32アミノ酸の間のアミノ酸を含む自己集合性ペプチドから本質的になる、項目35に記載の方法。
(項目52)
前記溶液が、約7アミノ酸〜約32アミノ酸の間のアミノ酸を含む自己集合性ペプチドからなる、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記被験体が、哺乳動物である、項目35に記載の方法。
(項目54)
前記被験体が、ヒトである、項目53に記載の方法。
(項目55)
前記溶液を投与するステップが、該溶液を単一用量で投与することを含む、項目35に記載の方法。
(項目56)
前記溶液を投与するステップが、該溶液を少なくとも2用量で投与することを含む、項目35に記載の方法。
(項目57)
前記被験体を評価して胆汁漏の閉鎖の必要性を決定するステップ、および前記溶液を調製するステップをさらに含む、項目35に記載の方法。
(項目58)
前記領域を可視化するステップが、前記溶液の、前記胆汁漏の前記標的エリアへの選択的投与を提供する、項目35に記載の方法。
(項目59)
前記溶液が、少なくとも1つの生物学的活性剤をさらに含む、項目35に記載の方法。
(項目60)
前記溶液中の前記ペプチドが、(RADA)[配列中、p=2〜50である](配列番号2)、(IEIK)I[配列中、p=2〜50である](配列番号4)、および(KLDL)[配列中、p=2〜50である](配列番号7)のうちの1つを含む、項目35に記載の方法。
(項目61)
前記溶液中の前記ペプチドが、(RADA)[配列中、p=2〜50である](配列番号2)、(IEIK)I[配列中、p=2〜50である](配列番号4)、および(KLDL)[配列中、p=2〜50である](配列番号7)のうちの1つから本質的になる、項目60に記載の方法。
(項目62)
前記溶液中の前記ペプチドが、(RADA)(配列番号10)、(IEIK)I(配列番号11)、および(KLDL)(配列番号13)のうちの1つを含む、項目35に記載の方法。
(項目63)
前記溶液中の前記ペプチドが、(RADA)(配列番号10)、(IEIK)I(配列番号11)、および(KLDL)(配列番号13)から本質的になる、項目62に記載の方法。
(項目64)
複数の自己集合性ペプチドから本質的になる巨視的足場であって、該自己集合性ペプチドの各々が、約7アミノ酸〜約32アミノ酸の間のアミノ酸を、胆汁漏の標的エリア内に配置されて、該胆汁漏の閉鎖を促進すること、および該胆汁漏を防止することを可能にする有効量で含む、巨視的足場。
(項目65)
前記複数のペプチドの各々が、(RADA)[配列中、p=2〜50である](配列番号2)および(IEIK)I[配列中、p=2〜50である](配列番号4)のうちの1つを含む、項目64に記載の巨視的足場。
(項目66)
前記複数のペプチドの各々が、(RADA)[配列中、p=2〜50である](配列番号2)、(IEIK)I[配列中、p=2〜50である](配列番号4)、および(KLDL)[配列中、p=2〜50である](配列番号7)のうちの1つから本質的になる、項目65に記載の巨視的足場。
(項目67)
前記複数のペプチドの各々が、(RADA)[配列中、p=2〜50である](配列番号2)、(IEIK)I[配列中、p=2〜50である](配列番号4)、および(KLDL)[配列中、p=2〜50である](配列番号7)のうちの1つを含む、項目64に記載の巨視的足場。
(項目68)
前記複数のペプチドの各々が、(RADA)(配列番号10)、(IEIK)I(配列番号11)、および(KLDL)(配列番号13)から本質的になる、項目67に記載の巨視的足場。
(項目69)
直径が約10ナノメートル〜約20ナノメートルであるナノファイバーを含む、項目65に記載の巨視的足場。
(項目70)
孔サイズが約5ナノメートル〜約200ナノメートルであるナノファイバーを含む、項目69に記載の巨視的足場。
(項目71)
前記複数のペプチドの各々の長さが約5ナノメートルである、項目65に記載の巨視的足場。
図1Aは、いくつかの実施形態に従う、胆嚢を穿刺する注射針の画像である。 図1Bは、いくつかの実施形態に従う、胆汁漏を伴う胆嚢の画像である。 図1Cは、いくつかの実施形態に従う、ペプチド溶液の適用を伴う胆嚢の画像である。 図1Dは、いくつかの実施形態に従う、ペプチド溶液の適用の後における胆嚢の画像である。 図1Eは、いくつかの実施形態に従う、ペプチド溶液の適用の後における胆嚢の画像である。 図2は、いくつかの実施形態に従う、胆汁漏の標的エリアの、ヘマトキシリン−エオジン(H&E)で染色された検体についての組織病理学的画像である。
詳細な説明
本開示の材料および方法により、胆汁漏を処置することができる。
胆汁漏とは、被験体において生じうる状態である。胆汁漏は、術後に生じうる。胆汁漏は、手術後の任意の時点において現れる可能性があり、場合によって、手術後1週間以内に現れうる。胆汁漏はまた、手術後最大1週間にわたり生じる場合もあり、1週間を超えて生じる場合もある。胆汁漏は、肝切除術または胆嚢摘出術の合併症でありうる。肝切除術とは、肝臓の切除または部分的もしくは完全な摘出を指す。胆嚢摘出術とは、胆嚢の手術による摘出を指す。胆汁漏はまた、内視鏡手術の後で生じる場合もあり、肝胆膵手術の後で生じる場合もある。胆汁漏はまた、肝臓切除、膵臓切除、膵頭十二指腸切除術、または胆嚢摘出術の後でも生じうる。
胆汁漏は、胆嚢管および総肝管を、十二指腸へと接続する、総胆管から生じうる。胆管が損傷すると、胆汁を漏出させ、痛みを伴い、潜在的に危険な感染症を引き起こす場合がある。胆管への小さな損傷による多くの症例は、手術を伴わずに管理することができる。胆管への大きな損傷は、矯正手術を必要とし得る。
胆汁漏の発症率は、全ての手術のうちの約1パーセント〜約2パーセントに生じる。胆汁漏は一般に、直ちに死を引き起こさないが、被験体の生活の質を低下させる。これらの症例には予防も処置も存在しないので、この合併症が生じると、被験体は、損傷自体が治癒するのを待たなければならない場合がある。被験体は、ドレーンを使用しなければならない場合がある。
胆汁漏が止まらない場合、患者は、ドレーンを外すことができず、入院期間が延長される場合がある。例えば、入院期間は、約1週間〜約2カ月間延長される場合がある。いくつかの場合、胆汁漏は、腹膜炎または腸組織の炎症を引き起こす場合がある。
現在のところ、胆汁漏の処置のための材料は承認されていない。
本開示は、胆汁漏のための処置を提供する。処置は、胆汁漏の処置のために使用されうる、自己集合性ペプチドによるハイドロゲルを含みうる。胆汁漏は、術後に現れる場合がある。処置は、ペプチド溶液、ペプチド組成物、膜、ハイドロゲル、または足場を、標的エリアへと適用することを含みうる。処置は、物理的障壁を施して、胆汁漏を防止または軽減しうる。胆汁漏は、胆管、胆嚢、肝臓、膵臓、十二指腸、または十二指腸乳頭のうちの1または複数において生じうる。
胆汁漏の防止または軽減は、胆汁漏エリアの少なくとも部分的な閉鎖または少なくとも部分的な閉塞を施すステップを含みうる。胆汁漏エリアは、断裂、切断、穿刺(puncture)、創傷などを含みうる。
材料および方法は、被験体における胆汁漏の処置を含みうる。本明細書で用いられる「被験体」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物、例えば、脊椎動物、大型動物、および霊長動物を含むことを意図する。ある種の実施形態では、被験体は、哺乳動物被験体であり、具体的な実施形態では、被験体は、ヒト被験体である。ヒトを伴う適用が明らかに予想されているが、本明細書ではまた、例えば、非ヒト動物を伴う獣医学的適用も想定されている。本発明の「非ヒト動物」という用語は、全ての脊椎動物、例えば、非哺乳動物(鳥類、例えば、ニワトリ、両生類、爬虫類など)および非ヒト霊長動物、家畜動物、および農作業に有用な動物、とりわけ、例えば、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ラットなどの哺乳動物を含む。
材料および方法は、自己集合性ペプチド、または自己集合性ペプチドを含む溶液、または自己集合性ペプチドを含む組成物の、所定または所望の標的エリアへの投与、適用、または注射を含みうる。自己集合性ペプチドは、自己集合性ペプチド溶液、ハイドロゲル、膜、足場、または他の形状の形態で、所定または所望の標的エリアへと適用または導入することができる。所定または所望の標的エリアは、胆汁漏の位置またはその近傍に存在する場合もあり、胆管、胆嚢、肝臓、膵臓、十二指腸、または十二指腸乳頭における他の断裂、切断、穿刺、創傷などに存在する場合もある。所定または所望の標的エリアは、手術手順の部位に基づき確立することもでき、故意でない外傷または故意の外傷の部位に基づき確立することもできる。
「自己集合性ペプチド」という用語は、ベータシート構造を誘導する特定の条件の存在下にある水溶液中でベータシート構造を呈示しうるペプチドを指す場合がある。これらの特定の条件は、自己集合性ペプチド溶液のpHを上げることを含みうる。pHの上昇とは、生理学的なpHへのpHの上昇でありうる。特定の条件はまた、一価カチオンなどのカチオンを、自己集合性ペプチド溶液へと添加することも含みうる。特定の条件は、胆汁漏と関連する条件を含みうる。
自己集合性ペプチドとは、両親媒性の自己集合性ペプチドでありうる。「両親媒性」とは、ペプチドが、疎水性部分および親水性部分を含むことを意味する。いくつかの実施形態では、両親媒性ペプチドは、交互の疎水性アミノ酸および親水性アミノ酸を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなることが可能である。「交互の」とは、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸との間で交互になる一連の3つまたはそれ超のアミノ酸を含むことを意味し、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸との間で交互のペプチド配列内の各アミノ酸およびあらゆるアミノ酸を含む必要はない。
本明細書ではまた「ペプチド」とも称する自己集合性ペプチドは、自己集合性ペプチド溶液、ハイドロゲル、膜、足場、または他の形状の形態で、所定または所望の標的エリアへと投与することができる。ハイドロゲルはまた、本開示を通して、膜または足場とも称しうる。所定または所望の標的エリアは、胆汁漏の位置またはその近傍でありうる。所定または所望の標的エリアは、手術手順の部位に基づき確立することもでき、故意でない外傷または故意の外傷の部位に基づき確立することもできる。
自己集合性ペプチド溶液は、水性の自己集合性ペプチド溶液でありうる。自己集合性ペプチドは、実質的に無細胞であるかまたは細胞を実質的に含まない溶液により投与、適用、または注射することができる。ある種の実施形態では、自己集合性ペプチドは、無細胞であるかまたは細胞を含まない溶液により投与、適用、または注射することができる。
自己集合性ペプチドはまた、実質的にドラッグフリーであるかまたは薬物を実質的に含まない溶液により投与、適用、または注射することもできる。ある種の実施形態では、自己集合性ペプチドは、ドラッグフリーであるかまたは薬物を含まない溶液により投与、適用、または注射することができる。他のある種の実施形態では、自己集合性ペプチドは、実質的に無細胞であり、かつ、実質的にドラッグフリーである溶液により投与、適用、または注射することができる。なおさらに他のある種の実施形態では、自己集合性ペプチドは、無細胞であり、かつ、ドラッグフリーである溶液により投与、適用、または注射することができる。
自己集合性ペプチド溶液は、自己集合性ペプチドを含むか、またはこれからなるか、またはこれから本質的になりえる。自己集合性ペプチドは、改変された形態の場合もあり、改変されていない形態の場合もある。「改変された」とは、自己集合性ペプチドが、それ自体溶液により提供された場合に自己集合しない、1または複数のアミノ酸を含む、1または複数のドメインを有しうることを意味する。「改変されていない」とは、自己集合性ペプチドが、該ペプチドの自己集合をもたらすドメイン以外の他のいかなるドメインも有し得ないことを意味する。すなわち、改変されていないペプチドは、ベータシート構造、ハイドロゲルまたは足場などの巨視的構造へと自己集合しうる、交互の疎水性アミノ酸および親水性アミノ酸からなる。
溶液の投与は、少なくとも約7アミノ酸を含むか、またはこれからなるか、またはこれから本質的になる自己集合性ペプチドを含むか、またはこれからなるか、またはこれから本質的になる溶液の投与を含むか、またはこれからなるか、またはこれから本質的になりえる。溶液の投与は、約7アミノ酸〜約32アミノ酸の間のアミノ酸を含むか、またはこれからなるか、またはこれから本質的になる自己集合性ペプチドを含むか、またはこれからなるか、またはこれから本質的になる溶液の投与を含むか、またはこれからなるか、またはこれから本質的になりえる。溶液の投与は、約7アミノ酸〜17アミノ酸の間のアミノ酸を含むか、またはこれからなるか、またはこれから本質的になる自己集合性ペプチドを含むか、またはこれからなるか、またはこれから本質的になる溶液の投与を含むか、またはこれからなるか、またはこれから本質的になりえる。本開示では、少なくとも約7アミノ酸を含まないか、またはこれからならないか、またはこれから本質的にならない他のペプチドも、想定されうる。
交互になることとは、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸との間で交互になる一連の3つまたはそれ超のアミノ酸を含み、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸との間で交互のペプチド配列内の各アミノ酸およびあらゆるアミノ酸を含む必要はないことを意味する。
材料および方法は、自己集合性ペプチドを、所定または所望の標的へと投与することを含みうる。上記ペプチドは、ハイドロゲルとして投与される場合もあり、投与されるとハイドロゲルを形成する場合もある。ハイドロゲルとは、水中に分散したコロイド状ゲルを指しえる用語である。ハイドロゲルはまた、本開示を通して、膜または足場とも称しうる。システムおよび方法はまた、自己集合性ペプチドを、水性のペプチド溶液などの溶液として、所定または所望の標的へと適用することも含みうる。
「〜を投与すること」という用語は、それ自体、水溶液などの溶液、またはさらなる構成要素を伴うかもしくは伴わない、組成物、ハイドロゲル、もしくは足場として含むがこれらに限定されない多様な形態のうちの1または複数により、自己集合性ペプチドを適用するか、導入するか、または注射することを含むがこれらに限定されないことを意図する。
方法は、送達デバイスを、被験体の所定または所望の標的エリアまたはその近傍に導入するステップを含みうる。方法は、シリンジ、ピペット、カテーテル、チューブ、シリンジカテーテル、または他の注射針ベースのデバイスのうちの少なくとも1つを含む送達デバイスを、被験体の所定または所望の標的エリアへと導入するステップを含みうる。自己集合性ペプチドは、シリンジ、ピペット、カテーテル、チューブ、シリンジカテーテル、または他の注射針ベースのデバイスにより、被験体の所定または所望の標的エリアへと投与することができる。シリンジ注射針のゲージは、組成物、溶液、ハイドロゲル、または液体の、シリンジから標的エリアへの十分な流動をもたらすように選択することができる。いくつかの実施形態では、これは、投与される組成物中、ペプチド溶液中、またはハイドロゲル中の自己集合性ペプチドの量、溶液中、組成物中、またはハイドロゲル中のペプチドの濃度、およびペプチド溶液、組成物、またはハイドロゲルの粘度のうちの少なくとも1つに基づきうる。送達デバイスは、従来のデバイスの場合もあり、具体的な標的エリアに到達すること、具体的な投与レジメを達成すること、具体的な標的体積、標的量、または標的濃度を送達すること、および標的エリアへと正確に送達することのうちの少なくとも1つを達成するようにデザインする場合もある。
胆汁漏を処置する方法は、送達デバイスの端部を、胆管、胆嚢、肝臓、膵臓、十二指腸、または十二指腸乳頭のうちの一部など、所定エリア内または標的エリア内に配置するステップを含みうる。自己集合性ペプチドは、少なくとも胆汁漏の部分的な閉鎖が所望される標的エリアへと、送達デバイスにより投与することができる。送達デバイスの使用は、標的エリアへのより正確な送達をもたらすように、上記ペプチドのより選択的な投与をもたらしうる。上記ペプチドの選択的投与は、胆汁漏の閉鎖を成功させ、所望の位置に正確な様式で配置されるように、そのペプチド溶液、組成物、またはハイドロゲルの、増強され、よりターゲティングされた送達を可能としうる。選択的投与は配置および処置の有効性を、他の送達デバイスの使用を上回って顕著に改善する、増強され、ターゲティングされた送達をもたらしうる。本開示のシステム、方法、およびキットにおいて使用されうる送達デバイスは、シリンジ、注射針、ピペット、チューブ、シリンジカテーテル、他の注射針ベースのデバイス、またはカテーテルを含みうる。
カテーテルまたはシリンジの使用は、カテーテルまたはシリンジを位置へと誘導するのに使用されるガイドワイヤー、または標的エリアの可視化およびカテーテルの適正な留置を可能としうる内視鏡などの付属デバイスの使用を含みうる。内視鏡は、光およびカメラ、または被験体の体内の画像を得ることを可能とする他の可視化デバイスのうちの少なくとも1つを含みうる、チューブでありうる。カテーテルまたはシリンジを被験体へと導入する前に、内視鏡を被験体へと導入することができる。
シリンジ、注射針、ピペット、チューブ、シリンジカテーテル、他の注射針ベースのデバイス、カテーテル、または内視鏡などの送達デバイスの使用は、送達デバイスのうちの少なくとも一部が開口部に入って、上記ペプチド、ペプチド溶液、ハイドロゲル、または足場を、標的エリアへと投与しうるように、デバイスを標的エリアまたはその近傍に配置する開口部の直径またはサイズの決定を必要とする。
ある種の実施形態では、ハイドロゲルは、in vitroにおいて形成し、in vivoにおいて所望の位置へと投与することができる。ある種の例では、この位置は、胆汁漏の閉鎖を提供することが所望されるエリアでありうる。他の例では、この位置は、エリアの上流、エリアの下流、またはエリアの実質的に近傍でありうる。ハイドロゲルの、胆汁漏の閉鎖を提供することが所望されるエリアへの移動を可能とすることが所望されうる。代替的に、別の手順は、ハイドロゲルを、それが所望されるエリア内に配置しうる。所望の位置または標的エリアは、組織が摘出されたエリアのうちの少なくとも一部、例えば、断裂、切断、穿刺、創傷などが存在するエリア内またはエリア近傍でありうる。所望の位置または標的エリアは、手術手順の位置またはその近傍でありうる。所望の位置または標的エリアは、肝切除術もしくは胆嚢摘出術、または胆汁漏を引き起こしうる他の手術手順の位置またはその近傍でありうる。
本開示のある種の態様では、ハイドロゲルは、in vivoにおいて形成することができる。水溶液など、自己集合性ペプチドを含む溶液は、被験体のin vivoにおける位置またはエリアへと挿入して、その位置に閉鎖または閉塞をもたらすことができる。ある種の例では、ハイドロゲルは、in vivoの1つの位置において形成し、その位置に閉鎖または閉塞をもたらすことが所望されるエリアへと移動させることができる。本開示のペプチドは、粉末、溶液、ゲルなどの形態でありうる。自己集合性ペプチドは、溶のpHおよび塩濃度の変化に応答してゲル化するので、適用または投与の間に被験体と接触するとゲル化する液体として分布させることができる。
ある種の環境では、上記ペプチド溶液は、弱いハイドロゲルであることが可能であり、結果として、本明細書で記載される送達デバイスにより投与することができる。
1または複数の実施形態に従い、巨視的足場が提供される。巨視的足場は、複数の自己集合性ペプチドを、含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなることが可能であり、複数の自己集合性ペプチドの各々が、少なくとも約7アミノ酸を、胆汁漏の標的部位またはその近傍に配置されて、胆汁漏の閉鎖を促進すること、および胆汁漏を防止することを可能にする有効量で含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる。巨視的足場は複数の自己集合性ペプチドを、含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなることが可能であり、複数の自己集合性ペプチドの各々が、約7アミノ酸〜約32アミノ酸の間のアミノ酸を、胆汁漏の標的部位またはその近傍に配置されて、胆汁漏の閉鎖を促進すること、および胆汁漏を防止することを可能にする有効量で含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる。巨視的足場は複数の自己集合性ペプチドを、含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなることが可能であり、複数の自己集合性ペプチドの各々が、約7アミノ酸〜約17アミノ酸の間のアミノ酸を、胆汁漏の標的部位またはその近傍に配置されて、胆汁漏の閉鎖を促進すること、および胆汁漏を防止することを可能にする有効量で含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる。いくつかの実施形態に従い、自己集合性ペプチドは、両親媒性であることが可能であり、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸との間で交互になる。
1または複数の実施形態に従い、被験体を評価して胆汁漏の閉鎖に対する必要性を決定することができる。評価が完了したら、被験体へと投与するペプチド溶液を調製することができる。自己集合性ペプチドまたは自己組織化ペプチドを導入する効果は、少なくとも1カ月間にわたり持続することが可能であり、より典型的には、数カ月間にわたり持続しうる。これは、被験体の体内におけるゲルの持続性に起因しうる。したがって、この処置は、低頻度の投与または投薬または1回の投与または投薬だけを必要としうることが想定される。
いくつかの実施形態では、生物学的活性剤(biologically active agent)を、本開示の材料および方法と共に使用することができる。
生物学的活性剤は、被験体または実験室環境における、ある活性、状態の調節、モジュレーション、もしくは調整、または他の活性を付与しうる、ペプチド、DNA配列、化合物、または無機化合物もしくは有機化合物を含む化合物を含みうる。生物学的活性剤は、別の構成要素と相互作用して、このような活性をもたらしうる。本明細書のいくつかの実施形態に従い、生物学的活性剤を、薬物と称することができる。ある種の実施形態では、1または複数の生物学的活性剤は、ペプチド系の外側へと徐々に放出されうる。例えば、1または複数の生物学的活性剤は、ハイドロゲルから徐々に放出されうる。in vitroおよびin vivoのいずれにおいても、試験により、生物学的活性剤のこの徐々の放出が裏付けられている。生物学的活性剤は、被験体へと投与する前に、ペプチド溶液へと添加することもでき、溶液とは別個に被験体へと投与こともできる。
1または複数の生物学的活性剤は、薬物でありうる。
生物学的活性剤は、ペプチド系の外側へと徐々に放出されうる。例えば、1または複数の生物学的活性剤は、ハイドロゲルから徐々に放出されうる。生物学的活性剤の徐々の放出は、in vitroおよびin vivoにおいて達成することができる。生物学的活性剤は、被験体へと投与する前に、ペプチド溶液へと添加することもでき、溶液とは別個に被験体へと投与することもできる。
本開示は、場合によって、自己集合性オリゴペプチドとも称する自己集合性ペプチドを含む、水溶液、ハイドロゲル、足場、および膜に関する。上記ペプチドは、約6〜約200アミノ酸残基を有するペプチドからなりうる。自己集合性ペプチドは、生理学的なpHおよび/もしくは一価カチオンなどのカチオン、または胆汁漏の標的エリアへと適用可能な他の条件の存在下にある水溶液中でベータシート構造を呈示しうる。上記ペプチドは、両親媒性であることが可能であり、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸との間で交互になる。ある種の実施形態では、上記ペプチドは、両親媒性であることが可能であり、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸との間で交互になる、第1の部分と、両親媒性ではない別の部分または領域とを含みうる。上記ペプチドは一般に、水溶液中で安定であることが可能であり、生理学的条件、中性のpH、または生理学的レベルの塩へと曝露されると、大型の、巨視的構造、足場、またはマトリックスへと自己集合しうる。ハイドロゲルが形成されると、ある期間の後でも分解または生体分解されない場合もあり、ある期間の後で分解または生体分解される場合もある。分解速度は、アミノ酸配列およびその周囲の条件のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づきうる。
「巨視的」とは、10倍またはそれ未満の拡大下で目視可能となるのに十分な程度の大きさを有することを意味する。好ましい実施形態では、巨視的構造は、肉眼で目視可能である。巨視的構造は、透明な場合もあり、二次元の場合もあり、三次元の場合もある。各大きさは、少なくとも10μmのサイズであることが典型的である。ある種の実施形態では、少なくとも2つの大きさは、少なくとも100μmまたは少なくとも1000μmのサイズである。少なくとも2つの大きさは、少なくとも1〜10mmのサイズ、10〜100mmのサイズ、またはこれを超えるサイズであることが多い。
ある種の実施形態では、フィラメントのサイズは、約10ナノメートル(nm)〜約20nmでありうる。フィラメント間距離は、約50nm〜約80nmでありうる。「生理学的」条件は、天然では、特定の生物、細胞系、または被験体について生じることが可能であり、これは、人工の実験室条件と対照的でありえる。条件は、1もしくは複数の特定の特性または1もしくは複数の範囲の特性など、1または複数の特性を含みうる。例えば、生理学的条件は、温度またはある範囲の温度、pHまたはある範囲のpH、圧力またはある範囲の圧力、および1または複数の濃度の特定の化合物、塩、および他の構成要素を含みうる。例えば、いくつかの例では、生理学的条件は、摂氏約20〜約40度の範囲の温度を含みうる。いくつかの例では、気圧は、約1atmでありうる。pHは、中性のpHの範囲でありうる。例えば、pHは、約6〜約8の範囲でありうる。生理学的条件は、膜またはハイドロゲルの形成を誘導しうる、一価の金属カチオンなどのカチオンを含みうる。これらは、塩化ナトリウム(NaCl)を含みうる。生理学的条件はまた、約1mM〜約20mMの間の、グルコース濃度、スクロース濃度、または他の糖の濃度も含みうる。
いくつかの実施形態では、自己集合性ペプチドは、約6アミノ酸〜約200アミノ酸の間のペプチドでありうる。ある種の実施形態では、自己集合性ペプチドは、少なくとも約7アミノ酸のペプチドでありうる。ある種の実施形態では、自己集合性ペプチドは、約7アミノ酸〜約32アミノ酸の間のペプチドでありうる。ある種のさらなる実施形態では、自己集合性ペプチドは、約7アミノ酸〜約17アミノ酸の間のペプチドでありうる。他のある種の例では、自己集合性ペプチドは、少なくとも約8アミノ酸、少なくとも約12アミノ酸、または少なくとも約16アミノ酸のペプチドでありうる。自己集合性ペプチドは、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸との間で交互の両親媒性ペプチドを含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなることが可能である。
上記ペプチドはまた、相補性であり、かつ、構造適合性でもありうる。相補性とは、それらの親水性側鎖の間で形成するイオン化対および/または水素結合を介して相互作用する該ペプチドの能力を指し、構造適合性とは、それらのペプチド骨格の間の一定の距離を維持する、相補性のペプチドの能力を指す。これらの特性を有するペプチドは、二次構造レベルにおけるベータシートの形成および安定化、ならびに三次構造レベルにおいて織り合わされたフィラメントを結果としてもたらす分子間相互作用に関与する。上述の特性により特徴づけられる、ペプチドの同種混合物および異種混合物のいずれも、安定的な、巨視的膜、巨視的フィラメント、および巨視的ハイドロゲルを形成しうる。自己相補性であり、かつ、自己適合性のペプチドは、同種混合物中で、膜、フィラメント、およびハイドロゲルを形成しうる。また、同種溶液中で膜を形成しえないペプチドを含む異種ペプチドであって、互いに対して相補性であり、かつ/または構造適合性である異種ペプチドも、巨視的膜および巨視的フィラメントへと自己集合しうる。
膜、フィラメント、およびハイドロゲルは、非細胞傷害性でありうる。本開示のハイドロゲルは、被験体において消化および代謝されうる。ハイドロゲルは、30日またはそれ未満内に生体分解されうる。ハイドロゲルは、組成が単純であり、透過性であり、大量に作製するのが容易であり、比較的廉価である。膜、フィラメント、ハイドロゲル、または足場はまた、滅菌条件で作製および保管することもできる。膜を形成するのに最適の長さは、アミノ酸組成、溶液条件、および標的部位における条件のうちの少なくとも1つと共に変化しうる。
ある種の実施形態では、被験体における胆汁漏を処置する方法が提供される。方法は、閉鎖が所望される胆汁漏の標的エリア内に、送達デバイスの端部を配置するステップを含みうる。方法はまた、少なくとも約7アミノ酸を、胆汁漏の周囲の条件下でハイドロゲルを形成するための有効量および有効濃度で含む、自己集合性ペプチドを含む溶液を、送達デバイスを介して投与して、胆汁漏の閉鎖を提供するステップ、および送達デバイスを、胆汁漏の標的エリアから取り出すステップも含みうる。ある種の実施形態では、方法はまた、約7アミノ酸〜約32アミノ酸の間のアミノ酸を、胆汁漏の周囲の条件下でハイドロゲルを形成するための有効量および有効濃度で含む、自己集合性ペプチドを含む溶液を、送達デバイスを介して投与して、胆汁漏の閉鎖を提供するステップ、および送達デバイスを、胆汁漏の標的エリアから取り出すステップも含みうる。他のある種の実施形態では、方法はまた、約7アミノ酸〜約17アミノ酸の間のアミノ酸を、胆汁漏の周囲の条件下でハイドロゲルを形成するための有効量および有効濃度で含む、自己集合性ペプチドを含む溶液を、送達デバイスを介して投与して、胆汁漏の閉鎖を提供するステップ、および送達デバイスを、胆汁漏の標的エリアから取り出すステップも含みうる。
方法は、胆汁漏の周囲の標的エリアのうちの少なくとも一部を含む領域を可視化するステップをさらに含みうる。領域を可視化するステップは、胆汁漏の標的エリアを同定すること、送達デバイスの端部を、標的エリア内に配置すること、溶液を投与すること、シリンジを取り出すこと、およびシリンジを取り出した後で、胆汁漏をモニタリングすることのうちの少なくとも1つの間に生じうる。胆汁漏は、胆管、胆嚢、肝臓、膵臓、十二指腸、または十二指腸乳頭のうちの少なくとも1つから生じうる。
投与される溶液は、少なくとも約7アミノ酸を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる自己集合性ペプチドから本質的になりうるか、またはこれからなりうる。投与される溶液は、約7アミノ酸〜約32アミノ酸の間のアミノ酸を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる自己集合性ペプチドから本質的になりうるか、またはこれからなりうる。投与される溶液は、約7アミノ酸〜約17アミノ酸の間のアミノ酸を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる自己集合性ペプチドから本質的になりうるか、またはこれからなりうる。上記ペプチドは、両親媒性であることが可能であり、該ペプチドのうちの少なくとも一部は、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸との間で交互になりうる。
処置する方法は、投与後約1分間、3分間、および/または1週間の期間内に領域を可視化するステップを含みうる。有効量および有効濃度は、胆汁漏の標的エリアの大きさに部分的に基づきうる。有効量は、標的エリア1cm当たり約1mLでありうる。胆汁漏の閉鎖を提供するための有効濃度は、約0.1重量/体積パーセント〜約3重量/体積パーセントの範囲の濃度を含みうる。胆汁漏の閉鎖を提供するための有効量は、約0.1mol〜約5mLの範囲の体積を含みうる。
処置する方法は、標的エリアのエリアまたは標的エリアの周囲のエリアをモニタリングするステップを含みうる。方法は、手術手順の後で使用することができる。手術手順は、肝切除術および胆嚢摘出術のうちの1つでありうる。
本開示のある種の実施形態では、被験体における胆汁漏の閉鎖を促進する方法が提供される。促進する方法は、少なくとも約7アミノ酸を、生理学的条件下でハイドロゲルを形成するための有効量および有効濃度で含む、自己集合性ペプチドを含む溶液を提供して、胆汁漏の閉鎖を提供するステップを含みうる。促進する方法は、約7アミノ酸〜約32アミノ酸の間のアミノ酸を、生理学的条件下でハイドロゲルを形成するための有効量および有効濃度で含む、自己集合性ペプチドを含む溶液を提供して、胆汁漏の閉鎖を提供するステップを含みうる。促進する方法は、約7アミノ酸〜約17アミノ酸の間のアミノ酸を、生理学的条件下でハイドロゲルを形成するための有効量および有効濃度で含む、自己集合性ペプチドを含む溶液を提供して、胆汁漏の閉鎖を提供するステップを含みうる。上記ペプチドは、両親媒性であることが可能であり、該ペプチドのうちの少なくとも一部は、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸との間で交互になりうる。
促進する方法はまた、胆汁漏の標的エリア内に配置された送達デバイスを介して溶液を導入することにより、溶液を、胆汁漏の標的エリアへと投与するための指示を提供するステップも含みうる。方法は、胆汁漏の標的エリアのうちの少なくとも一部を含む領域を可視化するための指示を提供するステップをさらに含みうる。方法は、胆汁漏の標的エリアを同定すること、送達デバイスの端部を、標的エリア内に配置すること、溶液を投与すること、送達デバイスを、胆汁漏の標的エリアから取り出すこと、およびシリンジを取り出した後で、領域をモニタリングすることのうちの少なくとも1つの間に、領域を可視化するための指示を提供するステップをさらに含みうる。胆汁漏は、胆管、胆嚢、肝臓、膵臓、十二指腸、または十二指腸乳頭のうちの少なくとも1つから生じうる。
促進する方法は、投与後約1分間、3分間、および/または1週間の期間内に、領域を可視化するための指示を提供するステップを含みうる。指示は、標的エリアにおけるまたは標的エリアの周囲におけるエリアをモニタリングするように与えられうる。指示は、手術手順の後で本開示の方法を使用するように与えられうる。手術手順は、肝切除術および胆嚢摘出術のうちの1つでありうる。
促進する方法は、胆汁漏の標的エリアの大きさに部分的に基づき、有効量および有効濃度のうちの少なくとも1つを調製するための指示を提供するステップをさらに含みうる。有効量は、標的エリア1cm当たり約1mLでありうる。胆汁漏の閉鎖を提供するための有効濃度は、約0.1重量/体積パーセント〜約3重量/体積パーセントの範囲の濃度を含みうる。胆汁漏の閉鎖を提供するための有効量は、約0.1mL〜約5mLの範囲の体積を含みうる。
本開示の方法は、被験体を評価して胆汁漏の閉鎖必要性を決定するステップおよび、溶液を調製するステップを含みうる。本開示の方法は、領域を可視化するステップを含むことが可能であり、領域を可視化するステップは、胆汁漏の標的エリアへの選択的投与を提供する。
いくつかの実施形態に従い、被験体における胆汁漏を閉鎖するためのキットを提供することができる。キットは、少なくとも約7アミノ酸を、生理学的条件下でハイドロゲルを形成して胆汁漏の閉鎖を提供するための有効量および有効濃度で含む、自己集合性ペプチドを含む溶液を含みうる。キットは、約7アミノ酸〜約32アミノ酸の間のアミノ酸を、生理学的条件下でハイドロゲルを形成して胆汁漏の閉鎖を提供するための有効量および有効濃度で含む、自己集合性ペプチドを含む溶液を提供して胆汁漏の閉鎖を提供するステップを含みうる。促進する方法は、約7アミノ酸〜約17アミノ酸の間のアミノ酸を、生理学的条件下でハイドロゲルを形成するための有効量および有効濃度で含む、自己集合性ペプチドを含む溶液を提供して、胆汁漏の閉鎖を提供するステップを含みうる。
キットは、溶液を、被験体の胆汁漏の標的エリアへと投与するための指示をさらに含みうる。キットは、溶液を、被験体の胆汁漏の標的エリアへと導入するシリンジまたはシリンジカテーテルなどの送達デバイスをさらに含みうる。キットは、スクロース溶液を含みうる。また、溶液を希釈して、有効濃度の溶液を、被験体の胆汁漏の標的エリアへと投与するための指示も提供することができる。指示は、ペプチド溶液を希釈剤(diluant)または溶媒で希釈することについて記載しうる。希釈剤または溶媒は、水でありうる。キットは、胆汁漏の標的エリアの大きさに基づき、被験体における胆汁漏の標的エリアへの溶液の有効濃度を決定するための指示をさらに含みうる。
他の構成要素(component)または成分(ingredient)も、キット内の、ペプチド、ペプチド溶液、またはハイドロゲルと同じ組成物または容器に含めることもでき、これらと異なる組成物または容器に含めることもできる。1または複数の構成要素は、自己集合性ペプチドの有効性の増強をもたらす場合もあり、別の作用、処置、治療をもたらす場合もあり、被験体の1または複数の構成要素と他の方法で相互作用する場合もある構成要素を含みうる。例えば、1または複数の、生物学的または生理学的に活性の配列またはモチーフを含むさらなるペプチドを、自己集合性ペプチドと共に、構成要素のうちの1つとして含めることができる。他の構成要素は、薬物などの生体活性化合物、または何らかの利益を被験体へともたらしうる他の処置を含みうる。例えば、がん処置薬または抗がん薬を、自己集合性ペプチドと共に投与することもでき、別個に投与することもできる。ペプチド、ペプチド溶液、またはハイドロゲルは、本明細書で開示される通り、被験体を処置するか、または溶血、炎症、および感染症を防止する低分子薬物を含みうる。スクロース溶液などの糖溶液を、キットに提供することができる。スクロース溶液は、20%のスクロース溶液でありうる。
また、本明細書で開示される他の構成要素も、キットに含めることができる。
いくつかの実施形態では、キットの構成要素は、例えば、ゴムまたはシリコーンの止栓(例えば、ポリブタジエンまたはポリイソプレンの止栓)を伴う密封バイアル内に保管する。いくつかの実施形態では、キットの構成要素は、不活性条件下で(例えば、窒素下またはアルゴンなど、別の不活性ガス下で)保管する。いくつかの実施形態では、キットの構成要素は、無水(例えば、乾燥剤を伴う)条件下で保管する。いくつかの実施形態では、キットの構成要素は、アンバーバイアルなど、光遮断容器内で保管する。
キットの一部として、またはキットとは別個に、シリンジまたはピペットに、本明細書で開示されるペプチド、ペプチド溶液、またはハイドロゲルをあらかじめ充填することができる。使用者に、自己集合性ペプチド溶液を、他のデバイスの使用を伴うかまたは伴わずに、シリンジまたはピペットへと供給し、それを、他のデバイスの使用を伴うかまたは伴わずに、シリンジまたはピペットを介して、標的エリアへと投与するように指示する方法が提供される。他のデバイスは、例えば、ガイドワイヤーを伴うかまたは伴わないカテーテルを含みうる。
自己集合性ペプチドまたは両親媒性ペプチドのアミノ酸は、d−アミノ酸、l−アミノ酸、またはこれらの組合せから選択することができる。疎水性アミノ酸は、Ala、Val、Ile、Met、Phe、Tyr、Trp、Ser、Thr、およびGlyを含みうる。親水性アミノ酸は、塩基性アミノ酸、例えば、Lys、Arg、His、Orn;酸性アミノ酸、例えば、Glu、Asp;または水素結合を形成するアミノ酸、例えば、Asn、Glnでありうる。酸性アミノ酸および塩基性アミノ酸は、ペプチド上でクラスター化しうる。末端残基のカルボキシル基およびアミノ基は、保護される場合もあり、保護されない場合もある。膜またはハイドロゲルは、自己相補性ペプチドおよび自己適合性ペプチドの同種混合物中で形成することもでき、互いに対して相補性であり、かつ、構造適合性であるペプチドの異種混合物中で形成することもできる。上記の基準に当てはまるペプチドは、本明細書で記載される適切な条件下で、巨視的膜へと自己集合しうる。
自己集合性ペプチドは、約6〜約200アミノ酸残基からなりうる。ある種の実施形態では、約8〜約32残基を、自己集合性ペプチド内で使用しうるのに対し、他の実施形態では、自己集合性ペプチドは、約7〜約17残基を有しうる。ペプチドの長さは、約5nmでありうる。本開示のペプチドは、アルギニン、アラニン、アスパラギン酸、およびアラニン(Arg−Ala−Asp−Ala(RADA)(配列番号1))の反復配列を有するペプチドを含むことが可能であり、このようなペプチド配列は、(RADA)[配列中、p=2〜50である](配列番号2)により表すことができる。
他のペプチド配列は、イソロイシン、グルタミン酸、イソロイシン、およびリシン(Ile−Glu−Ile−Lys(IEIK)(配列番号3))の反復配列を有する自己集合性ペプチドにより表すことができ、このようなペプチド配列は、(IEIK)[配列中、p=2〜50である](配列番号5)により表される。他のペプチド配列は、イソロイシン、グルタミン酸、イソロイシン、およびリシン(Ile−Glu−Ile−Lys(IEIK)(配列番号3))の反復配列を有する自己集合性ペプチドにより表すことができ、このようなペプチド配列は、(IEIK)I[配列中、p=2〜50である](配列番号4)により表される。
他のペプチド配列は、リシン、ロイシン、アスパラギン酸、およびロイシン(Lys−Leu−Asp−Leu(KLDL)(配列番号6))の反復配列を有する自己集合性ペプチドにより表すことができ、このようなペプチド配列は、(KLDL)[配列中、p=2〜50である](配列番号7)により表される。他のペプチド配列は、リシン、ロイシン、およびアスパラギン酸(Lys−Leu−Asp(KLD)(配列番号8))の反復配列を有する自己集合性ペプチドにより表すことができ、このようなペプチド配列は、(KLD)[配列中、p=2〜50である](配列番号9)により表される。
自己集合性ペプチドの具体例は、配列Arg−Ala−Asp−Ala−Arg−Ala−Asp−Ala−Arg−Ala−Asp−Ala−Arg−Ala−Asp−Ala(RADA)(配列番号10)を有する自己集合性ペプチドRADA16、配列Ile−Glu−Ile−Lys−Ile−Glu−Ile−Lys−Ile−Glu−Ile−Lys−Ile(IEIK)I(配列番号11)を有する自己集合性ペプチドIEIK13、配列Ile−Glu−Ile−Lys−Ile−Glu−Ile−Lys−Ile−Glu−Ile−Lys−Ile−Glu−Ile−Lys−Ile(IEIK)I(配列番号12)を有する自己集合性ペプチドIEIK17、または配列Lys−Leu−Asp−Leu−Lys−Leu−Asp−Leu−Lys−Leu−Asp−Leu(KLDL)(配列番号13)を有する自己集合性ペプチドKLDL12でありうる。
本明細書で開示されるペプチド配列の各々は、列挙されたアミノ酸配列を含むペプチド、これらから本質的になるペプチド、およびこれらからなるペプチドをもたらしうる。
本開示は、本明細書で列挙されるペプチドを含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる溶液、ハイドロゲル、および足場のための材料、方法、およびキットを提示する。
1重量/体積(w/v)パーセントの水性(水)溶液および2.5w/vパーセントの(RADA)(配列番号10)が、3−D Matrix Co.,Ltdによる製品であるPuraMatrix(商標)ペプチドハイドロゲルとして利用可能である。
ある種のペプチドは、細胞接着リガンドRGD(アルギニン−グリシン−アスパラギン酸)と類似する配列を含有しうる。これらのペプチドの、in vitroにおける細胞成長を支持する適性は、培養された、様々な初代細胞および形質転換細胞を、Ala−Glu−Ala−Glu−Ala−Lys−Ala−Lys−Ala−Glu−Ala−Glu−Ala−Lys−Ala−Lys(AEAEAKAKAEAEAKAK(EAK16)(配列番号14)、RAD16(配列番号26)、RADA16(配列番号10)のホモポリマーシート、ならびにRAD16(配列番号26)とEAK16(配列番号14)とのヘテロポリマーへと導入することにより調べた。RADベースのペプチドは、この配列の、RGDとの類似性のために、目的のペプチドでありうる。RAD配列とは、細胞外マトリックスタンパク質であるテネイシン内に存在する高アフィニティーリガンドであり、インテグリン受容体により認識される。EAK16ペプチド(配列番号14)および本明細書で開示される他のペプチドは、酵母タンパク質であるズオチンの領域に由来した。
ペプチドの自己集合は、ペプチドを構成するアミノ酸による、ペプチド分子の間の水素結合および疎水性結合に帰することができる。
いくつかの実施形態に従い、巨視的足場を提供することができる。巨視的足場は、複数の自己集合性ペプチドを含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなることが可能である。自己集合性ペプチドの各々は、少なくとも約7アミノ酸を、胆汁漏の標的エリア内に配置されて、胆汁漏の閉鎖を促進すること、および胆汁漏を防止することを可能にする有効量で含む。自己集合性ペプチドの各々は、約7アミノ酸〜約32アミノ酸の間のアミノ酸を、胆汁漏の標的エリア内に配置されて、胆汁漏の閉鎖を促進すること、および胆汁漏を防止することを可能にする有効量で含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなることが可能である。自己集合性ペプチドの各々は、約7アミノ酸〜約17アミノ酸の間のアミノ酸を、胆汁漏の標的エリア内に配置されて、胆汁漏の閉鎖を促進すること、および胆汁漏を防止することを可能にする有効量で含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなることが可能である。いくつかの実施形態に従い、自己集合性ペプチドは、両親媒性であることが可能であり、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸との間で交互になる。
本開示の自己集合性ペプチドは、ナノファイバー直径が約10nm〜約20nmの範囲であり、平均孔サイズが約5nm〜約200nmの範囲の足場をもたらしうる。各ペプチドの長さは、約5ナノメートルでありうる。
ある種の実施形態では、ナノファイバー直径、孔サイズ、およびナノファイバー密度のうちの少なくとも1つを、使用されるペプチド溶液の濃度、およびペプチド溶液の体積など、使用されるペプチド溶液の量のうちの少なくとも1つにより制御することができる。生物学的管(biological vessel)へと投与されると、十分に送達および塞栓を形成するのに所望されるナノファイバー直径、孔サイズ、および密度のうちの少なくとも1つを提供する、溶液中のペプチドの具体的な濃度およびペプチド溶液の具体的な量のうちの少なくとも1つを、それ自体として選択することができる。
本明細書で用いる場合、胆汁漏を少なくとも部分的に閉鎖するのに有効なペプチド、ペプチド溶液、またはハイドロゲルの量である「有効量」または「治療有効量」とは、被験体へと単回投与または複数回投与(適用または注射)されると、このような処置の非存在下で予測されるものを上回る、障害を伴う被験体の処置に、または治癒、軽減、緩和、もしくは改善に、有効なペプチド、ペプチド溶液、またはハイドロゲルの量を指す。これは、ペプチド溶液中またはハイドロゲル中のペプチドの特定の濃度またはある範囲の濃度を含む場合もあり、加えて、または代替的に、ペプチド溶液またはハイドロゲルの特定の体積またはある範囲の体積を含む場合もある。促進する方法は、有効量および有効濃度のうちの少なくとも1つを調製するための指示を提供するステップを含みうる。
投与量、例えば、投与された(例えば、適用されたまたは注射された)体積または濃度は、ペプチドの形態(例えば、ペプチド溶液中、ハイドロゲル中、または凍結乾燥形態中など、乾燥形態中)、および活用される投与経路に応じて変化しうる。正確な処方、投与経路、体積、および濃度は、被験体の状態に照らして、および、ペプチド溶液、ハイドロゲル、またはペプチドの他の形態が投与される特定の標的エリアまたは標的位置に照らして選択することができる。本明細書で列挙される用量より少ないかまたは多い用量が、使用または必要とされる場合もある。任意の特定の被験体のための具体的な投与量および処置レジメンは、援用される具体的な1または複数のペプチド、処置されるエリアの大きさ、結果として得られる、所望の標的エリア内に配置されうるハイドロゲルの所望の厚さ、および処置時間の長さを含みうる、様々な因子に依存しうる。具体的な投与量および処置レジメンに影響を及ぼしうる他の因子は、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、投与回数、分解速度、疾患、状態、または症状の重症度および経過、ならびに主治医の判断を含む。ある種の実施形態では、ペプチド溶液は、単一用量(single dose)で投与することができる。他の実施形態では、ペプチド溶液は、1用量を超える投与または複数用量で投与することができる。ペプチド溶液は、少なくとも2用量で投与することができる。
ペプチド溶液の有効量および有効濃度は、少なくとも胆汁漏を閉鎖するように選択することができる。いくつかの実施形態では、有効量および有効濃度のうちの少なくとも1つは、標的エリアの大きさまたは直径に部分的に基づきうる。他の実施形態では、有効量および有効濃度のうちの少なくとも1つは、標的エリアまたはその近傍における1または複数の流体の流量に部分的に基づく。
さらに他の実施形態では、有効量および有効濃度のうちの少なくとも1つは、標的エリアの大きさまたは直径、標的エリアまたはその近傍における1または複数の流体の流量、および断裂、切断、穿刺、創傷などの大きさまたは直径のうちの少なくとも1つに部分的に基づきうる。
本明細書で記載される通り、有効量は、少なくとも部分的な胆汁漏の閉鎖をもたらしうる量でありうる。胆汁、胆管、胆嚢、肝臓、膵臓、十二指腸、または十二指腸乳頭の多様な特性は、標的エリアの大きさまたは直径、標的エリアまたはその近傍における1または複数の流体の流量、標的エリアまたはその近傍におけるpH、および標的エリアまたはその近傍における多様な塩の濃度のうちの少なくとも1つを含む、有効量の選択または決定に寄与しうる。有効量を決定しうるさらなる特性は、ペプチド溶液を送達する経路に沿った多様な位置における、上記で列挙した多様な特性を含む。
有効量は、約0.1ミリリットル(mL)〜約100mLの体積のペプチド溶液を含みうる。有効量は、約0.1mL〜約10mLの体積のペプチド溶液を含みうる。ある種の実施形態では、有効量は、約0.5mLでありうる。他の実施形態では、有効量は、約1.0mLでありうる。さらに他の実施形態では、有効量は、約1.5mLでありうる。なおさらに他の実施形態では、有効量は、約2.0mLでありうる。他のいくつかの実施形態では、有効量は、約3.0mLでありうる。ある種の実施形態では、有効量は、標的エリア1cm当たり約0.1mL〜約5mLでありうる。ある種の実施形態では、有効量は、標的エリア1cm当たり約1mLでありうる。この有効量は、2.5重量/体積パーセントの本開示のペプチド溶液など、溶液中のペプチド濃度と関連させて使用することができる。
いくつかの実施形態では、より有効な胆汁漏の処置は、投与されるペプチド溶液の体積を増大させるか、または投与される溶液中のペプチドの濃度を上昇させて達成することができる。これは、標的エリア内により長いかまたはより厚いハイドロゲルを形成すること可能とし、標的エリア内のハイドロゲルのより確実な位置を可能としうる。十分な高体積が選択されない場合、ハイドロゲルは、所望の期間にわたり、標的エリア内で胆汁漏の閉鎖を提供するのに有効でない可能性がある。
本明細書で記載される通り、有効濃度は、所望される胆汁漏の閉鎖をもたらしうる量でありうる。標的エリアの多様な特性は、標的エリアの大きさまたは直径、標的エリアまたはその近傍における1または複数の流体の流量、および断裂、切断、穿刺、創傷などの大きさまたは直径のうちの少なくとも1つを含む、有効濃度の選択または決定に寄与しうる。
有効濃度は、約0.1重量/体積(w/v)パーセント〜約10w/vパーセントの範囲の、溶液中のペプチド濃度を含みうる。有効濃度は、約0.1w/vパーセント〜約3.5w/vパーセントの範囲の、溶液中のペプチド濃度を含みうる。ある種の実施形態では、有効濃度は、約1w/vパーセントでありうる。他の実施形態では、有効濃度は、約2.5w/vパーセントでありうる。さらに他の実施形態では、有効濃度は、約3.0w/vパーセントでありうる。
ある種の実施形態では、ペプチドの濃度がより高いペプチド溶液は、定位置にとどまり、有効な胆汁漏の処置を提供する能力を有する、より有効なハイドロゲルを提供しうる。ペプチド溶液を送達する目的では、より高い濃度のペプチド溶液の粘性は、溶液の有効で選択的な投与を可能とするにはあまりに高くなる可能性がある。十分な高濃度が選択されない場合、ハイドロゲルは、所望の期間にわたり、標的エリア内で胆汁漏の閉鎖を維持するのに有効でない可能性がある。
有効濃度は、注射、または特定の直径もしくはゲージのカテーテルもしくは注射針を使用する他の手段、または他の送達デバイスにより投与されうる溶液をもたらすように選択することができる。
本開示の方法は、治療有効量の、本明細書で記載されるペプチド、組成物、ペプチド溶液、膜、フィラメント、およびハイドロゲルの単回投与のほか、複数回投与も想定する。本明細書で記載されるペプチドは、被験体の状態の性質、重症度、および程度に応じて、規則的な間隔で投与することができる。いくつかの実施形態では、ペプチド、組成物、ペプチド溶液、膜、フィラメント、またはハイドロゲルは、単回投与で投与することができる。いくつかの実施形態では、本明細書で記載されるペプチド、組成物、ペプチド溶液、ハイドロゲル、または足場は、複数回投与で投与される。いくつかの実施形態では、治療有効量のペプチド、組成物、ペプチド溶液、膜、フィラメント、ハイドロゲル、または足場は、規則的な間隔で定期的に投与することができる。選択される規則的な間隔は、投与される溶液の初期ペプチド濃度、投与される量、および形成されたハイドロゲルの分解速度のうちのいずれか1または複数に基づきうる。例えば、初回投与の後、1回または複数回の後続の投与は、例えば、1分間後、2分間後、3分間後、10分間後、20分間後、30分間後、または1時間後に施しうる。いくつかの実施形態では、初回投与の後、1回または複数回の後続の投与は、例えば、1週間後、2週間後、4週間後、6週間後、または8週間後に行いうる。後続の投与は、ペプチドの濃度および体積が初期投与と同じである溶液の投与を含む場合もあり、ペプチドの濃度および体積がより小さいかまたはより大きい溶液の投与を含む場合もある。ペプチド溶液の適切な後続の投与の選択は、標的エリアおよび標的エリアの周囲のエリアの可視化またはイメージングならびに被験体の状態に基づく必要の確認に基づきうる。所定の間隔は、各々の後続の投与について同じ場合もあり、異なる場合もある。いくつかの実施形態では、ペプチド、ペプチド溶液、またはハイドロゲルは、被験体の生涯にわたり、被験体における、少なくとも部分的な胆汁漏の閉鎖を維持するように、所定の間隔で長期投与することができる。所定の間隔は、各々の後続の投与について同じ場合もあり、異なる場合もある。これは、先行する投与により形成されたハイドロゲルが、部分的または完全に破壊または分解されるかどうかに依存しうる。後続の投与は、ペプチドの濃度および体積が初期投与と同じである溶液の投与を含む場合もあり、ペプチドの濃度および体積がより小さいかまたはより大きい溶液の投与を含む場合もある。ペプチド溶液の適切な後続の投与の選択は、標的エリアおよび標的エリアの周囲のエリアのイメージングならびに被験体の状態に基づく必要の確認に基づきうる。
RADA16(配列番号10)など、本開示の自己集合性ペプチドは、顕著に異なる、生理学的または生物学的に活性のモチーフまたは配列を欠くペプチド配列であることが可能であり、したがって、内因性の細胞機能を損なう可能性がない。生理学的に活性のモチーフは、転写など、多数の細胞内現象を制御することが可能であり、生理学的に活性のモチーフの存在は、モチーフを認識する酵素による、細胞質内タンパク質または細胞表面タンパク質のリン酸化をもたらしうる。生理学的に活性のモチーフが、ペプチドによる組織閉鎖剤中に存在する場合、多様な機能を伴うタンパク質の転写は、活性化される場合もあり、抑制される場合もある。本開示の自己集合性ペプチドは、このような生理学的に活性のモチーフを欠くことが可能であり、したがって、この危険性を伴わない。
糖を、自己集合性ペプチド溶液へと添加して、組織閉鎖効果を低減せずに、溶液の浸透圧を、低張性から、等張性へと改善し、これにより、生物学的安全性の増大を可能とすることができる。ある種の例では、糖は、スクロースまたはグルコースでありうる。
膜を形成するのに最適の長さは、アミノ酸組成および標的エリアの状態と共に変化しうる。
本開示のペプチドにより想定される安定化因子は、相補性のペプチドは、ペプチド骨格の間の一定の距離を維持することである。本明細書では、対合すると一定の距離を維持しうるペプチドを、構造適合性と称する。ペプチド間距離は、対内の各アミノ酸の側鎖上の非分枝状原子の数を合計することにより、各イオン化対または水素結合対について計算することができる。例えば、リシンは、5つの非分枝状原子、グルタミン酸は、4つの非分枝状原子を、それぞれ、その側鎖上に有する。
同種混合物中または異種混合物中で膜、ハイドロゲル、または足場を形成しうるペプチドの他の例を、表1に列挙する。
両親媒性配列、長さ、相補性および構造適合性という基準は、ペプチドの異種混合物にも適用する。例えば、2つの異なるペプチドを使用して、膜を形成することができる:ペプチドAである、Val−Arg−Val−Arg−Val−Asp−Val−Asp−Val−Arg−Val−Arg−Val−Asp−Val−Asp(VRVRVDVDVRVRVDVD(配列番号66)は、ArgおよびAspを、親水性残基として有し、ペプチドBである、ADADAKAKADADAKAK(配列番号67)は、LysおよびAspを有する。ペプチドAとペプチドBとは、相補性であり、A上のArgは、B上のAspとイオン化対を形成することが可能であり、A上のAspは、B上のLysとイオン化対を形成しうる。したがって、ペプチドAおよびBの異種混合物中では、膜が形成する可能性があるが、膜は均質にペプチドAまたはBのいずれかからなる。
膜およびハイドロゲルはまた、それらが互いに対して相補性であり、かつ、構造適合性であれば、それらの各々が単独では膜を形成しない、ペプチドの異種混合物からも形成されうる。例えば、(Lys−Ala−Lys−Ala)(KAKA)(配列番号15)と、(Glu−Ala−Glu−Ala)(EAEA)(配列番号68)との混合物、または(Lys−Ala−Lys−Ala)(KAKA)(配列番号15)と、(Ala−Asp−Ala−Asp)(ADAD)(配列番号69)との混合物であれば、膜を形成することが予測されるが、これらのペプチド単独のいずれも、相補性の欠如に起因して、膜を形成しないことが予測される。
完全に相補性または構造適合性ではないペプチドは、核酸のハイブリダイゼーションにおける塩基対のミスマッチと類似するミスマッチを含有するペプチドであると考えることができる。ミスマッチした対の破壊力が、ペプチド間相互作用の全体的な安定性により支配される場合、ミスマッチを含有するペプチドも、膜を形成しうる。機能的にはまた、このようなペプチドも、相補性または構造適合性と考えることができる。例えば、ミスマッチしたアミノ酸対も、各側において、完全にマッチしたいくつかの対により取り囲まれていれば、許容されうる。ペプチドは、化学合成することもでき、天然供給源および組換え供給源から精製することもできる。化学合成されたペプチドを使用することにより、ペプチド溶液が、別の動物の細胞外マトリックスに由来する未確認の構成要素など、未確認の構成要素を欠損するようにしうる。したがって、この特性により、ウイルス感染の危険性を含む、感染の懸念を、従来の組織に由来する生体材料と比較して消失させることができる。これにより、ウシ海綿状脳症(BSE)などの感染症を含む、感染の懸念を消失させ、ペプチドを、医療用の使用のために高度に安全とすることができる。
ペプチドの初期濃度は、形成される膜、ハイドロゲル、または足場のサイズおよび厚さにおける因子でありうる。一般に、ペプチド濃度が高くなるほど、膜形成の程度もより大きくなる。初期のペプチド濃度を高くした(約10mg/ml)(約1.0w/vパーセント)ときに形成されるハイドロゲルまたは足場は、より厚くなり得、このため、より強くなる可能性がある。
膜、ハイドロゲル、または足場の形成は、極めて急速であることが可能であり、数分間のオーダーでありうる。ある種の実施形態では、形成は、可逆的であることが可能であり、他の実施形態では、形成は、不可逆的でありうる。
ハイドロゲルは、所望のエリアまたは標的エリアへと投与されると、瞬時に形成しうる。ハイドロゲルの形成は、投与後約1〜2分間以内に生じうる。他の例では、ハイドロゲルの形成は、投与後約3〜4分間以内に生じうる。ある種の実施形態では、ハイドロゲルを形成するのに要する時間は、少なくとも部分的に、ペプチド溶液の濃度、適用されるペプチド溶液の体積、および適用エリアまたは注射エリアにおける条件(例えば、適用エリアにおける一価の金属カチオンの濃度、エリアのpH、およびエリアまたはその近傍における1または複数の流体の存在)のうちの1または複数に基づきうる。ある種の実施形態では、形成は、可逆的であることが可能であり、他の実施形態では、形成は、不可逆的でありうる。過程は、12未満またはそれに等しいpHおよび温度の影響を受け得ない。ハイドロゲルは、摂氏1〜99度の範囲の温度で形成しうる。
ハイドロゲルは、本開示の方法およびキットを使用して所望される効果を提供するのに十分な期間にわたり、標的エリアにおいて、定位にとどまりうる。所望の効果は、胆汁漏を少なくとも部分的に閉鎖することでありうる。
本開示の方法およびキットを使用して所望される効果は、被験体における手術手順が実施されるエリアを処置する効果の場合もあり、これらのエリアの治癒の一助となる効果の場合もある。本開示の方法およびキットを使用して所望される効果は、胆嚢、胆管、または肝臓に対する手術手順が実施されたエリアを処置する効果の場合もあり、これらのエリアの治癒の一助となる効果の場合もある。例えば、本開示の方法およびキットを使用して所望される効果は、胆汁漏が生じたエリアを処置する効果の場合もあり、これらのエリアの治癒の一助となる効果の場合もある。これは、手術の間に胆汁漏をもたらす合併症が生じた、肝切除術または胆嚢摘出術の手術手順を含みうる。
膜またはハイドロゲルが所望のエリアにとどまりうる期間は、約10分間にわたりうる。ある種の例では、膜またはハイドロゲルは、所望のエリアに、約35分間にわたりとどまりうる。ある種のさらなる例では、膜またはハイドロゲルは、所望のエリアに、数日間、最大で2週間にわたりとどまりうる。他の例では、膜またはハイドロゲルは、所望のエリアに、最大で30日間またはそれ超にわたりとどまりうる。膜またはハイドロゲルは、所望のエリアに、無期限にとどまりうる。他の例では、膜またはハイドロゲルは、所望のエリアに、それが自然に分解されるか、または意図的に摘出されるまで、長期にわたりとどまりうる。ハイドロゲルが、ある期間にわたり自然に分解される場合、その後においても、同じ位置または異なる位置へのハイドロゲルの適用または注射を実施することができる。
ある種の実施形態では、自己集合性ペプチドを、自己集合性ペプチドの有効性の増強をもたらす場合もあり、別の作用、処置、治療をもたらす場合もあり、被験体の1または複数の構成要素と他の方法で相互作用する場合もある、1または複数の構成要素と共に調製することができる。例えば、1または複数の生物学的または生理学的に活性のアミノ酸配列またはモチーフを含むさらなるペプチドを、自己集合性ペプチドと共に、構成要素のうちの1つとして含めることができる。他の構成要素は、薬物などの生体活性化合物、または何らかの利益を被験体へと提供しうる他の処置を含みうる。例えば、がん処置薬または抗がん薬を、自己集合性ペプチドと共に投与することもでき、別個に投与することもできる。
ペプチド、ペプチド溶液、またはハイドロゲルは、被験体を処置するか、または溶血、炎症、および感染症を防止する低分子薬物を含みうる。低分子薬物は、グルコース、サッカロース、精製サッカロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、デキストラン(destran)、ヨウ素、塩化リゾチーム、ジメチルイソプロピルアズレン(dimethylisoprpylazulene)、トレチノイントコフェリル、ポビドンヨウ素、アルプロスタジルアルファデクス、アニスアルコール、サリチル酸イソアミル、α,α−ジメチルフェニルエチルアルコール、バクダノール、ヘリオナール、スルファジアジン銀(sulfazin silver)、ブクラデシンナトリウム、アルプロスタジルアルファデクス、硫酸ゲンタマイシン、テトラサイクリン塩酸塩、フシジン酸ナトリウム、ムピロシンカルシウム水和物、および安息香酸イソアミルからなる群から選択することができる。他の低分子薬物も想定されうる。タンパク質ベースの薬物も、投与される構成要素として含めることができ、エリスロポエチン、組織型プラスミノーゲン活性化因子、合成ヘモグロビンおよび合成インスリンを含みうる。
ハイドロゲルへの迅速で即時の形成に対してペプチド溶液を保護する構成要素を含めることができる。これは、ペプチド溶液の、標的エリアへの制御時間放出を可能として、所望される所定の期間にわたりハイドロゲルを形成するように、ある時間にわたり分解されうる封入送達系を含みうる。エチレン−酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸など、生体分解性の生体適合性ポリマーを使用することができる。
本明細書で記載される構成要素のうちのいずれかを、ペプチド溶液中に含めることもでき、ペプチド溶液とは別個に投与することもできる。加えて、本明細書で提供される方法および促進する方法のうちのいずれかは、1または複数の関係者により実施することもできる。
膜を改変することにより、膜にさらなる特性を与えることができる。例えば、膜は、膜形成の後で、標準的な方法を介してペプチドを架橋することにより、さらに強化することができる。コラーゲンをペプチドと組み合わせて、人工皮膚としての使用により適する膜を作製することができ、コラーゲンは、膜内のタンパク質分解による消化に対して安定化させることができる。さらに、リン脂質を、ペプチドと組み合わせることにより、小胞を作製することもできる。
本開示のいくつかの実施形態では、自己集合性ペプチドを、ステントまたはカテーテルなどのデバイス上または器具上のコーティングとして使用して、体液の漏出を抑制することができる。自己集合性ペプチドはまた、被験体へと治療効果を提供することもでき、標的エリア内に適用することもできる、ガーゼもしくは包帯などの支持体または裏当てに組み込むかまたは固定することもできる。自己集合性ペプチドはまた、使用のためのスポンジへと含浸させることもできる。
膜はまた、細胞単層を培養するのにも有用でありうる。細胞は、不均一な帯電表面へと優先的に接着する。タンパク質性膜の帯電残基および立体構造は、細胞の接着および移動を促進する。線維芽細胞成長因子などの成長因子を、ペプチド膜へと添加することにより、付着、細胞成長、および神経突起の伸長をさらに改善することができる。
本研究の目的は、胆汁漏の閉鎖材料としての自己集合性ペプチド溶液(3−D Matrix,LTD.によるPuraMatrix(商標)ペプチドハイドロゲルの形態のRADA16)を、ブタモデルにおいて評価することであった。また、組織病理学アセスメントも実施した。
試験の当日、動物を鎮静させ、手術のために用意した。胆汁漏モデルは、図1Aに示す通り、20Gの注射針を使用して、試験被験体の胆嚢に注射針穿刺を行うことにより調製した。
図1Bに示す通りに、胆汁漏を確認した後で、図1Cにおいて示す通り、シリンジカテーテルにより、2.5%重量/体積パーセントのRADA16を、胆汁漏の個所へと投与して、ハイドロゲルを形成した。自己集合性ペプチド溶液の適用に続き、図1Dに示す通り、1分20秒の時点に、胆汁漏の閉鎖を確認した。図1Eに示す通り、過剰なハイドロゲルを、部位から灌注し、3分後に二次的胆汁漏の非存在を確認した。
0.5mLのペプチド溶液を使用して、胆嚢における注射針穿刺に対する胆汁漏の閉鎖が達成されることを決定した。
胆汁漏の閉鎖を達成した後、胆嚢をホルマリン中で固定し、胆汁漏の閉鎖部位において、H&E染色された病理学的検体を作製した。図2に示す通り、胆汁漏の閉鎖部位は、胆汁漏部位を閉鎖した。
本実施例により、有効性および効能のほか、被験体における胆汁漏の処置の迅速さが裏付けられる。本開示の材料および方法は、標的エリアにおける胆汁漏の閉鎖の成功を提供する能力を有する。

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