以下、図面を参照して本発明に係る印刷装置及び印刷装置の制御方法に関するいくつかの実施形態を説明する。
図1は、一実施形態に係る印刷装置1の平面図である。図2は、図1の印刷装置1における蓋4と重なる部位の内部構成例を示す図である。図3は、感熱テープ12の搬送方法を説明する模式図である。図2のX方向及びY方向は図1のX方向及びY方向と一致し、図3のY方向は図1のY方向と一致する。
図1及び図2に示した印刷装置1は、被記録媒体11が有する感熱テープ12に印刷を行うラベルプリンタである。被記録媒体11は、例えば、円筒形状の芯材に感熱テープ12を巻き付けたものである。感熱テープ12は、例えば、加熱することにより発色又は色が変化する感熱層と、該感熱層に積層された粘着層と、該粘着層を保護するセパレータ(剥離紙)とを含む。感熱テープ12は、印刷装置1に供給される(繰り出される)印刷媒体の一例である。被記録媒体11は、媒体アダプタ10内に収容されており、芯材の軸心方向を回転軸として回転可能な状態で媒体アダプタ10に支持されている。図1及び図2に示した印刷装置1では、X方向及びY方向のそれぞれと直交する方向が被記録媒体11の芯材の軸心方向(すなわち被記録媒体11の回転軸)となる。被記録媒体11の感熱テープ12は、媒体アダプタ10に設けられた引き出し口(図示せず)から媒体アダプタ10の外部に繰り出され、該繰り出された部分に文字列等が印刷される。なお、図1及び図2における、下線が引かれた「9」という数字は、感熱テープ12の幅が9mmであることを示す。
以降では、感熱テープ12に印刷をする感熱方式のラベルプリンタを印刷装置1の例として説明するが、印刷装置1の印刷方式は特に限定されない。例えば、印刷装置1は、インクリボンを使用する熱転写方式のラベルプリンタであってもよい。また、ラベルプリンタである印刷装置1は、サーマルプリンタに限らない。例えば、印刷装置1は、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ等であってもよい。また、印刷装置1は、シングルパス(ワンパス)方式で印刷を行ってもよく、マルチパス(スキャン)方式で印刷を行ってもよい。更に、以降では、上述した感熱層、粘着層、及びセパレータを含む感熱テープ12に印刷する場合を説明するが、感熱テープ12の構成は特に限定されない。例えば、感熱テープ12は、粘着層の代わりにマグネット層を含む感熱テープであってもよい。
印刷装置1は、装置筐体2と、入力装置3と、蓋4と、表示装置5と、を備える。
装置筐体2は、印刷装置1の動作を制御する制御回路の一部を含むプリント回路板(図示せず)、媒体アダプタ10、プラテンローラ6、印刷ユニット7、カッター8等を収容する。装置筐体2には、蓋4が開閉自在な状態で取り付けられている。また、図示はしていないが、装置筐体2には、電源コード接続端子、外部機器接続端子、記憶媒体挿入口等が設けられている。
装置筐体2のうちの、蓋4が閉じた状態である場合に、XY平面視において蓋4の下方となる領域(蓋4と重なる領域)には、アダプタ収容部2a、プラテンローラ6、印刷ユニット7、及びカッター8が設けられている。アダプタ収容部2aは、媒体アダプタ10を収容可能な空間を画成する凹形状の部位である。アダプタ収容部2aは、図1及び図2に示したような感熱テープ12の幅が9mmの被印刷媒体11を収容する媒体アダプタ10に限らず、他の幅(例えば、6mm、12mm、及び18mm等)の感熱テープ12の被印刷媒体11を収容する媒体アダプタ10も収容可能な形状に形成されている。
プラテンローラ6は、媒体アダプタ10から供給される感熱テープ12を搬送するローラである。プラテンローラ6は、図示しない搬送モータと接続されており、該搬送モータの動力により回転する。本実施形態の印刷装置1における搬送モータは、例えば、DC(直流)モータ等の、動作を停止させた際に惰性回転するモータである。印刷装置1では、図2及び図3に示すように、媒体アダプタ10から供給される感熱テープ12を、プラテンローラ6と印刷ユニット7のサーマルヘッド701との間に狭持した状態でプラテンローラ6を回転させることにより、感熱テープ12を所望の搬送方向に搬送する。本実施形態の印刷装置1は、図3に示したように、プラテンローラ6を反時計回りに回転させることにより感熱テープ12が左方(媒体アダプタ10から繰り出される方向)に搬送される。また、本実施形態の印刷装置1では、プラテンローラ6を図3における時計回りに回転させることにより、感熱テープ12が右方(媒体アダプタ10内に戻される方向)に搬送される。以降では、感熱テープ12を媒体アダプタ10から繰り出す方向のプラテンローラ6の回転を「正転」といい、該正転と逆方向のプラテンローラ6の回転を「逆転」という。プラテンローラ6は、感熱テープ12を搬送する搬送部の一例である。
プラテンローラ6は、例えば、図3に示したロータリエンコーダ9等の、搬送量計測機構と接続されている。印刷装置1は、該ロータリエンコーダ9によりプラテンローラ6の回転量を計測し、該回転量に基づいて感熱テープ12の搬送量を算出してDCモータ(プラテンローラ6)の動作を制御する。具体的には、本実施形態に係る印刷装置1は、1回の搬送動作(搬送を開始してから停止するまでの動作)において設定されている感熱テープ12の搬送量と、該搬送動作の開始時からのプラテンローラ6の回転量と、該搬送動作において生じる惰性走行量とに基づいて、DCモータへの駆動電流の印加を停止するタイミングを制御する。惰性走行量は、DCモータへの駆動電流の印加を停止した後のDCモータ(プラテンローラ6)の惰性回転に起因する感熱テープ12の搬送量である。惰性走行量は、後述する惰性走行量テーブルに格納されている。更に、本実施形態に係る印刷装置1は、1回の搬送動作において生じた惰性走行量をロータリエンコーダ9により計測し、惰性走行量テーブルにおける該搬送動作と対応する惰性走行量を更新(補正)する。
印刷ユニット7は、感熱テープ12に対する印刷を行うものであり、サーマルヘッド(印刷ヘッド)701を含む。サーマルヘッド701は、感熱テープ12の搬送方向に直交する主走査方向(すなわち感熱テープ12の幅方向と平行な方向)に配列された複数の発熱素子を有し、発熱素子で感熱テープ12を加熱することにより1ラインずつ印刷を行う。
カッター8は、感熱テープ12を切断する切断装置であり、例えば、図3に示すように、第1のカッター801及び第2のカッター802を含む。第1のカッター801は、感熱テープ12をフルカットする場合、すなわちセパレータ(剥離紙)を含む感熱テープ12全体を切断して感熱テープ12を切り出す(個片化する)場合に用いるカッターである。第2のカッター802は、感熱テープ12をハーフカットする場合、すなわち感熱テープ12の切断位置を境とした両側の部位における少なくとも一部が切断されず一体の状態を維持するように(例えば、感熱テープ12におけるセパレータを切断しないように)感熱テープ12を切断する場合に用いるカッターである。
図4は、感熱テープ12の惰性走行を説明する図である。図4におけるU方向は、平面化した感熱テープ12の搬送路における感熱テープ12の搬送方向であり、+U方向が正転時の搬送方向である。
上述したように、本実施形態の印刷装置1では、DCモータの動力によりプラテンローラ6を回転させて感熱テープ12を搬送する。図4には、DCモータを正転動作させて、感熱テープ12における切断位置CLを、搬送路における位置U0から位置U1まで搬送する例が示されている。印刷装置1は、DCモータに駆動電流を印加してDCモータの動作を開始させた後、ロータリエンコーダ9により計測したプラテンローラ6の回転量に基づいて算出される感熱テープ12の搬送量が距離LU(=U1-U0)と一致した時点で、DCモータへの駆動電流の印加を停止する。しかしながら、上述のように、DCモータは惰性回転をするため、DCモータへの駆動電流の印加を停止した後も、プラテンローラ6が正転して感熱テープ12が搬送されることがある。この場合、感熱テープ12の停止位置における切断位置CLの搬送路上での位置U2は、DCモータへの駆動電流の印加を停止した位置U1から距離ΔLだけ更に搬送された位置となる。本明細書では、このようなDCモータの惰性回転による感熱テープ12の付加的な搬送量(距離ΔL)のことを惰性走行量と呼ぶ。
本実施形態の印刷装置1では、惰性走行量ΔLを考慮して、感熱テープ12を搬送する動作におけるDCモータへの駆動電流の印加を停止するタイミングを制御する。例えば、図4に示した例では、惰性走行量ΔLが、感熱テープ12に対する印刷単位となるライン(line)に換算して5ライン分に相当する。このため、感熱テープ12における切断位置CLよりも5ライン分だけ手前(感熱テープ12の先端12A側)となる位置が搬送路における位置U1に到達した時点でDCモータへの駆動電流の印加を停止すると、惰性走行により、感熱テープ12は、切断位置CLが搬送路における位置U1と略一致する位置で停止する。
なお、本実施形態の印刷装置1では、搬送する感熱テープ12の種類(例えば、幅W)やDCモータの個体差等に応じて惰性走行量ΔLが異なる点に着目し、印刷動作時に計測した惰性走行量に基づいて惰性走行量の情報を自律的に更新(補正)する。
図5は、一実施形態に係る印刷装置1の機能構成を示すブロック図である。図6は、惰性走行量テーブル107Bの例を示す図である。
図5に示すように、本実施形態に係る印刷装置1は、機能構成の観点では、制御部101と、入力部102と、表示部103と、搬送処理部104と、印刷処理部105と、切断処理部106と、記憶部107とを備える。また、印刷装置1は、アダプタ検知部110と、テープ情報取得部111とを備える。
制御部101は、後述する印刷処理を含む、印刷装置1において実行可能な各種処理を制御する。
入力部102は、感熱テープ12に印刷する文字や図形の入力、各種処理に係る設定値や実行命令の入力等を受け付ける。入力部102は、例えば、図1に示した入力装置3が持つ機能の1つである。表示部103は、入力部102からの入力に対応する文字や図形、各種設定のための選択メニュー、各種処理に関するメッセージ等を表示する。表示部103は、図1に示した表示装置5が持つ機能の1つである。
搬送処理部104は、媒体アダプタ10から供給される感熱テープ12を所定の搬送方向に所定の搬送量(搬送長さ)だけ搬送する処理を行う。搬送処理部104は、プラテンローラ6を含む搬送機構が持つ機能の1つであり、プラテンローラ6等の搬送部104Aと、搬送量測定部104B(例えば、図3に示したロータリエンコーダ9)を含む。印刷処理部105は、媒体アダプタ10から供給される感熱テープ12に熱エネルギーを印加し感熱テープ12に文字や図形を印刷する処理を行う。印刷処理部105は、サーマルヘッド701を含む印刷ユニット7が持つ機能の1つである。切断処理部106は、媒体アダプタ10から供給される感熱テープ12を切断する処理を行う。切断処理部106は、カッター8を含む切断機構が持つ機能の1つである。
記憶部107は、印刷装置1における各種処理において必要となる情報を記憶する。記憶部107には、例えば、アプリケーション107A、惰性走行量テーブル107B、及び履歴情報107Cを記憶させる。アプリケーション107Aは、印刷装置1において各種処理を実行するためのプログラム、及び設定値等を含む。惰性走行量テーブル107Bは、図6に示すように、感熱テープ12の種別毎に設定される、感熱テープ12の搬送方向及び搬送量と惰性走行量ΔLとの関係を示す情報を含む。惰性走行量テーブル107Bは、印刷媒体の種類、搬送方向、又は搬送量の少なくとも1つ以上の何れかと関連付けられた、搬送部104Aの動作を停止するタイミングを示す情報の例である。履歴情報107Cは、例えば、入力部102を介して入力された文字や図形の情報、印刷履歴等を情報と、印刷処理中に測定した惰性走行量の情報等を含む。
アダプタ検知部110は、アダプタ収容部2aに媒体アダプタ10が収容されているか否か、及び収容された媒体アダプタ10がどのテープ幅の被記録媒体11の収容に適したものであるかを検知する。また、テープ情報取得部111は、媒体アダプタ10から供給される感熱テープ12の情報を取得する。テープ情報取得部111は、感熱テープ12の情報として、少なくとも供給される感熱テープ12の幅Wの情報を取得する。
本実施形態の印刷装置1は、例えば、テープ幅Wが6mm、9mm、12mm、及び18mmの4種類の感熱テープ12に対する印刷が可能である。これらのテープ幅Wが異なる感熱テープ12は、印刷時にサーマルヘッド701と接する面積が異なるため、搬送時にプラテンローラ6にかかる負荷が異なる。また、プラテンローラ6を正転させて感熱テープ12を搬送する場合と、プラテンローラ6を逆転させて感熱テープ12を搬送する場合とでは、プラテンローラ6にかかる負荷が異なる。これは、例えば、媒体アダプタ10から引き出された感熱テープを媒体アダプタ10内に向けて搬送した際には、媒体アダプタ10内の感熱テープ12における巻き取られている部分を十分に回転させることができず(すなわち媒体アダプタ10内に戻された部分を巻き取ることができず)、媒体アダプタ10内への移動が阻害されることに起因する。このような感熱テープ12の搬送時にプラテンローラ6にかかる負荷の違いは、惰性走行量ΔLに影響を与える。更に、1回の搬送動作における感熱テープ12の搬送量が大きくなるほど(すなわちDCモータを回転させる時間が長くなるほど)、プラテンローラ6の回転による慣性(付勢力)が大きくなり、惰性回転の回転量が大きくなる。このため、本実施形態の印刷装置1では、図6に示したように、テープ幅Wが6mm、9mm、12mm、及び18mmの4種類の感熱テープ12のそれぞれに対し、搬送方向及び搬送量の組み合わせに応じた惰性走行量ΔLを定める惰性走行量テーブル107Bを用意し、記憶部107に記憶させる。
なお、図6の惰性走行量テーブル107Bにおける惰性走行量ΔLの値は、例えば、印刷装置1の出荷時等に記憶部107に記憶させる初期値の一例である。惰性走行量ΔLの初期値は、例えば、同一ロットの印刷装置1の中から抽出した複数の印刷装置1のそれぞれで計測した惰性走行量ΔLの平均値とする。また、惰性走行量ΔLの初期値は、出荷前に印刷装置1毎に計測し、該計測により得られた惰性走行量ΔLであってもよい。
また、惰性走行量テーブル107Bにおける搬送動作(搬送方向及び搬送量の組み合わせ)は、図6に示した組み合わせに限らず、適宜変更可能である。
図7は、印刷装置1の動作を説明するフローチャートである。本実施形態の印刷装置1は、電源を投入すると、図7に示すように、まず、所定の起動処理(ステップS1)を行う。次に、印刷装置1は、印刷データ作成処理(ステップS2)を行う。ステップS2の印刷データ作成処理において、印刷装置1は、例えば、該印刷装置1の利用者が入力装置3を操作して入力した、文字列及びフォント等の情報、印刷枚数の情報、並びにカット(フルカット及びハーフカット)に関する情報等を受け付け、感熱テープ12に印刷するための印刷データを作成する。入力装置3を操作して入力した情報は、入力部102が受け付ける。印刷データの作成は、制御部101が行う。入力部102で受け付けた情報、及び制御部101で作成した印刷データに関する情報は、例えば、表示部103(表示装置5)に表示される。なお、印刷データの作成に用いる情報は、例えば、USB(Universal Serial Bus)コネクタを有するメモリ装置、SD規格のメモリカード等の可搬型記録媒体を読み出してもよい。更に印刷データの作成に用いる情報は、スマートフォン等の通信端末を利用して入力されてもよい。
印刷データの作成が終了し、印刷開始を示す情報が入力されると、印刷装置1は、印刷処理(ステップS3)を行う。本実施形態の印刷装置1が行うステップS3の印刷処理の具体例は後述する。
印刷処理が終了すると、印刷装置1は、新たな印刷をするか否かを判定する(ステップS4)。印刷装置1は、印刷処理が終了すると、例えば、表示部103に新たな印刷をするか否かを問い合わせる情報を表示し、問い合わせに対する利用者の回答を入力部102で受け付ける。新たな印刷をすることを示す回答を受け付けた場合(ステップS4;YES)、印刷装置1は、ステップS2以降の処理を繰り返す。新たな印刷をしないことを示す回答を受け付けた場合(ステップS4;NO)、印刷装置1は、処理を終了する。
図8は、一実施形態に係る印刷処理の内容を説明するフローチャートである。
印刷処理(ステップS3)を開始すると、印刷装置1は、まず、所定の印刷開始処理(ステップS301)を行う。印刷開始処理は、例えば、制御部101が、アダプタ検知部110からの検知情報に基づいて、装置筐体2のアダプタ収容部2aに媒体アダプタ10が収納されているか否かを判定する処理を含む。また、印刷開始処理は、例えば、制御部101が、テープ情報取得部111から取得した情報に基づいて、感熱テープ12が正しく供給されているか否かを判定する処理を含む。更に、印刷開始処理は、例えば、制御部101が、ステップS2で作成した印刷データ等に基づいて、印刷処理における搬送処理部104、印刷処理部105、及び切断処理部106の動作に関する制御情報を生成する処理を含んでもよい。
次に、印刷装置1は、媒体アダプタ10から供給されている感熱テープ12のテープ幅Wを検知する(ステップS302)。感熱テープ12のテープ幅Wは、テープ情報取得部111が検知して取得する。ステップS302の処理は、例えば、制御部101が、検知したテープ幅Wと印刷の対象に設定されているテープ幅とが一致しているか否かを判定し、一致していない場合には感熱テープ12(被印刷媒体11)の交換を促すメッセージ等を表示する処理を含んでもよい。
次に、印刷装置1は、モータ停止位置算出処理(ステップS303)を行う。モータ停止位置算出処理は、現在行っている印刷処理における搬送動作毎に、DCモータへの駆動電流の印加を停止する感熱テープ12の搬送位置を算出する処理である。言い換えると、モータ停止位置算出処理は、印刷媒体の種類、搬送方向、又は搬送量の少なくとも1つ以上のいずれかに基づいて搬送部104Aの動作を停止するタイミングを決定する処理である。モータ停止位置算出処理は、例えば、制御部101が、ステップS2で作成した印刷データ、各搬送動作における感熱テープ12の搬送方向及び搬送量、感熱テープ12の幅W、並びに惰性走行量テーブル107Bに基づいて、搬送動作毎に、DCモータへの駆動電流の印加を停止する感熱テープ12の搬送位置(搬送量)を算出する。具体的には、制御部11は、1回の搬送動作における感熱テープ12の総搬送量を印刷処理におけるライン数に換算し、換算したライン数から惰性走行量ΔLを減じた値を、DCモータへの駆動電流の印加を停止する搬送位置として算出する。なお、本明細書における感熱テープ12の搬送位置は、印刷装置1における感熱テープ12の搬送路上での該搬送路に対する感熱テープ12の相対位置であり、感熱テープ12の搬送量と関連付けられる。
次に、印刷装置1は、カウンタを初期化するとともに、エンコーダ割込み処理を許可する(ステップS304)。ステップS304の処理では、制御部101が、後述するエンコーダカウンタ及び惰性カウンタのカウントを初期化する(例えば「0」にする)。また、ステップS304の処理では、制御部101が、1回の搬送動作における感熱テープ12の搬送量をライン換算で計数するラインカウンタのカウントを初期化する(例えば「1」にする)
次に、印刷装置1は、モータ動作開始処理(ステップS305)を行う。モータ動作開始処理は、例えば、制御部101が、現在行っている印刷処理において最初に行う搬送動作で指定されている感熱テープ12の搬送方向に基づいて、搬送処理部104にDCモータへの駆動電流の印加を開始させる。
次に、印刷装置1は、エンコーダ割込み処理(ステップS306)を行う。エンコーダ割込み処理は、例えば、制御部101が、搬送量計測部104B(ロータリエンコーダ9)の計測結果に基づいて、感熱テープ12の搬送量を示すエンコーダカウンタをインクリメントする処理を含む。また、エンコーダ割込み処理は、例えば、制御部101が、搬送量計測部104Bの計測結果に基づいて、感熱テープ12の惰性走行量を示す惰性カウンタをインクリメントする処理を含む。
次に、印刷装置1は、搬送処理部104がテープ停止処理中であるか否かを判定する(ステップS307)。ここで、テープ停止処理は、前記搬送部104Aの動作、言い換えるとDCモータへの駆動電流の印加を停止して感熱テープ12の搬送を停止させる処理である。印刷装置1は、DCモータへの駆動電流の印加を停止してから該DCモータの惰性回転が終了し感熱テープ12の搬送が停止するまでの期間を、テープ停止処理中と判定する。
テープ停止処理中ではないと判定した場合(ステップS307;YES)、印刷装置1は、次に、感熱テープ12を印刷単位である1ライン分搬送したか否かを判定する(ステップS308)。ステップS308では、例えば、エンコーダカウンタのカウントが1ラインと対応する閾値以上である場合に、1ライン分搬送したと判定する。エンコーダカウンタのカウントが閾値よりも小さい場合、すなわち1ライン分の搬送が完了していない場合(ステップS308;NO)、印刷装置1は、ステップS307の判定に戻る。
一方、1ライン分の搬送が完了した場合(ステップS308;YES)、印刷装置1は、次に、エンコーダカウンタのカウントを初期化するとともに、ラインカウンタをインクリメント(すなわち、ラインカウンタのカウントに1を加算)する(ステップS309)。
ステップS309の処理の後、印刷装置1は、印字中であるか否かを判定する(ステップS310)。ステップS310では、例えば、感熱テープ12における現在サーマルヘッド701と対向する領域が、印刷データに基づいて感熱テープ12上に設定された印刷領域(文字や図形の一部を印刷する領域)である場合に、印字中であると判定する。印字中である場合(ステップS310;YES)、印刷装置1の印刷処理部105は、感熱テープ12における現在サーマルヘッド701と対向する領域に対する1ライン分の印字を行う(ステップS311)。その後、印刷装置1は、感熱テープ12の搬送位置がモータ停止位置であるか否かを判定する(ステップS312)。また、印字中ではない場合(ステップS310;NO)、印刷装置1は、ステップS311の処理をスキップして、ステップS312の判定を行う。
ステップS312では、例えば、現在のラインカウンタのカウントが、現在行っている搬送動作におけるモータ動作停止位置と対応する値以上である場合に、モータ停止位置であると判定する。モータ停止位置である場合(ステップS312;YES)、印刷装置1は、モータ動作停止処理(ステップS313)を行い、ステップS306のエンコーダ割込み処理に戻る。ステップS313の処理では、例えば、搬送処理部104が制御部101からの命令に従い、DCモータへの駆動電流の印加を停止し、搬送部104Aの動作を停止する。また、モータ停止位置ではない場合(ステップS312;NO)、印刷装置1は、ステップS313の処理をスキップして、ステップS306のエンコーダ割込み処理に戻る。
すなわち、ステップS307においてテープ停止処理中ではないと判定された場合には、印刷装置1は、従来の印刷装置と同様の手順で感熱テープ12に印字(印刷)する処理(ステップS308~S311)、及びDCモータへの駆動電流の印加を制御する処理(ステップS312及びS313)を行う。
これに対し、ステップS307においてテープ停止処理中であると判定された場合(ステップS307;YES)、印刷装置1は、次に、テープ停止処理が完了したか否かを判定する(ステップS314)。ステップS314では、例えば、直前のステップS314の判定における惰性カウンタのカウントと現在の惰性カウンタのカウントとが同一である場合に、テープ停止処理が完了したと判定する。テープ停止処理が完了していない場合(ステップS314;NO)、印刷装置1は、ステップS308の判定を行う。
一方、テープ停止処理が完了している場合(ステップS314;YES)、印刷装置1は、次に、惰性カウンタのカウントに応じて惰性走行量テーブル107の惰性走行量を更新し(ステップS315)、惰性カウンタのカウントを初期化する(ステップS316)。ステップS315の処理では、例えば、制御部101が、現在の惰性カウンタのカウントをライン数(惰性走行量ΔL)に換算し、現在の搬送動作と対応する惰性走行量テーブル107B内の惰性走行量ΔLを、換算したライン数に更新する。なお、ステップS315は、惰性カウンタのカウントに基づく惰性走行量と、惰性走行量テーブル107B内の惰性走行量ΔLとが異なる場合に、惰性走行量テーブル107B内の惰性走行量ΔLの値を変更する処理であればよい。また、ステップS315とS316とは、初期化する前の惰性カウンタのカウントを制御部101が保持した状態で惰性カウンタのカウントを初期化することが可能な条件下においては、順序が逆になってもよい。
ステップS315及びS316の処理を終えると、印刷装置1は、次に、感熱テープ12の搬送位置がカット位置であるか否かを判定する(ステップS317)。ステップS317では、例えば、感熱テープ12を現在の停止位置で停止させるテープ停止処理が、感熱テープ12をハーフカット又はフルカットするための処理である場合、言い換えると直前の搬送動作が感熱テープ12をハーフカット又はフルカットするための搬送位置に搬送する動作である場合に、カット位置であると判定する。カット位置である場合(ステップS317;YES)、印刷装置1は、感熱テープ12に対するカット処理(ステップS318)を行う。ステップS318では、切断処理部106が、制御部101からの制御情報に基づいて、第1のカッター801によるフルカット、又は第2のカッター802によるハーフカットを行う。また、第1のカッター801によるフルカットを行った場合、例えば、切断処理部106は、フルカットにより個片化された感熱テープ12を装置筐体2の排出口から排出させる。
カット処理を行った後、又はステップS317でカット位置ではないと判定された場合(ステップS317;NO)、印刷装置1は、次に、印刷が終了したか否かを判定する(ステップS319)。ステップS319では、印刷データに基づいて行われる感熱テープ12に対する印刷及びカットの全てが終了している場合に、印刷が終了したと判定する。印刷が終了していない場合(ステップS319;NO)、印刷装置1は、モータ動作再開処理(ステップS320)を行った後、ステップS308の判定を行う。ステップS320では、制御部101が、次に行う搬送動作で指定されている感熱テープ12の搬送方向に基づいて、搬送処理部104にDCモータへの駆動電流の印加を開始させ、搬送部104Aの搬送動作を開始させる。また、ステップS320では、例えば、1回の搬送動作における感熱テープ12の搬送量を示す情報であるラインカウンタのカウントを初期化する。一方、印刷が終了した場合(ステップS319;YES)、印刷装置1は、所定の印刷終了処理(ステップS321)を行って印刷処理を終了する。
このように、本実施形態に係る印刷処理では、惰性走行量テーブル107Bに格納された惰性走行量ΔLに基づいて搬送部104A(DCモータ)の動作を停止するタイミングを決定し、搬送部104Aにより感熱テープ12を搬送中に決定されたタイミングとなったら該搬送部104Aの動作を停止する。惰性走行量テーブル107Bに格納された惰性走行量ΔLは、上記のように、印刷媒体である感熱テープ12の種類、搬送方向、及び搬送量と関連付けられている。このため、本実施形態に係る印刷装置1は、感熱テープ12の種類、搬送方向、及び搬送量に基づいて、感熱テープ12の搬送量を適切に制御することができる。また、本実施形態に係る印刷処理では、DCモータの動作を停止させたときに計測して得たプラテンローラ6の惰性回転による感熱テープ12の搬送量に基づいて、惰性走行量テーブル107Bに格納された惰性走行量ΔLを更新する。言い換えると、本実施形態の印刷装置1は、印刷媒体である感熱テープ12を搬送する搬送部104Aの動作を停止してから感熱テープ12の搬送が停止するまでの該感熱テープ12の搬送量を計測し、計測した感熱テープ12の搬送量に基づいて、搬送部104Aの動作を停止するタイミングを示す情報である惰性走行量ΔLを更新する。このため、本実施形態の印刷装置1では、惰性走行量テーブル107Bに格納された惰性走行量ΔLを、印刷に使用する感熱テープ12の種類や印刷時におけるDCモータの動作特性に応じた、適切な値に更新することができる。このため、感熱テープ12の搬送量の精度を高めることができる。
図9は、図8のモータ停止位置算出処理の内容を説明するフローチャートである。
モータ停止位置算出処理(ステップS303)では、印刷装置1は、図9に示すように、まず、印刷データを含む印刷条件に基づいてテープの搬送方向及び搬送量の制御情報を決定する(ステップS303a)。ステップS303aでは、印刷条件に基づいて、現在行っている印刷処理において実施される感熱テープ12の搬送動作毎に、搬送方向と搬送量の制御情報を決定する。なお、ステップS303aで決定する搬送量は、1回の搬送動作における感熱テープ12の総搬送量である。印刷処理において実施される感熱テープ12の搬送動作は、例えば、プラテンローラ6を逆転させて感熱テープ12の先端12Aを搬送路における所定の位置まで搬送する搬送動作を含む。また、感熱テープ12の搬送動作は、例えば、プラテンローラ6を正転させて感熱テープ12に対する印刷を行いながら、感熱テープ12におけるハーフカット位置が搬送路におけるハーフカット位置(第2のカッター802によるハーフカットを行う位置)に到達するまで搬送する搬送動作を含む。また、感熱テープ12の搬送動作は、例えば、プラテンローラ6を正転させて感熱テープ12に対する印刷を行った後、続けて感熱テープ12におけるフルカット位置が搬送路におけるフルカット位置(第1のカッター801によるフルカットを行う位置)に到達するまで搬送する搬送動作を含む。
次に、印刷装置1は、ステップS303aで決定した搬送方向と搬送量の組毎にモータ動作停止位置を算出するループ処理(ステップS303b~S303e)を行う。このループ処理では、印刷装置1は、例えば、始端において未選択の搬送方向と搬送量との組の内の1組を選択し(ステップS303b)、選択した搬送方向と搬送量との組に対し、ステップS303c及びS303dの処理を行う。ステップS303cの処理は、選択中の搬送方向及び搬送量と対応する惰性走行量ΔLを惰性走行量テーブル107Bから取得する処理である。ステップS303dの処理は、搬送量と対応するライン数及び取得した惰性走行量ΔLに基づいて、DCモータの動作を停止する位置を算出する処理である。ステップS303dでは、具体的には、搬送量(すなわち1回の搬送動作における総搬送量)と対応するライン数から、惰性走行量ΔLを減じた値を算出する。
ステップS303c及びS303dの処理を行った後、印刷装置1は、ループ処理の終端においてDCモータの動作を停止する位置を算出していない搬送方向と搬送量との組が存在するか否かを判定し、算出していない組が存在する場合には該ループ処理を続け、全ての組で算出した場合に該ループ処理を終了する(ステップS303e)。
図10は、図8のエンコーダ割込み処理の内容を説明するフローチャートである。
エンコーダ割込み処理(ステップS306)では、印刷装置1は、図10に示すように、まず、割込みの有無を判定する(ステップS306a)。割込みがない場合(ステップS306a;NO)、印刷装置1は、ステップS306b~S306dの処理をスキップしてエンコーダ割込み処理を終了する。
一方、割込みがあった場合(ステップS306a;YES)、印刷装置1は、エンコーダカウンタをインクリメントする(ステップS306b)。エンコーダカウンタは、上述のように、1回の搬送動作における1ライン分の搬送量の計測に用いる値である。ステップS306bでは、例えば、前回のステップS306bの処理時から今回のステップS306bの処理時までの期間に搬送量計測部104B(例えば、ロータリエンコーダ9)で計測したプラテンローラ6の回転量に基づいて、当該期間における感熱テープ12の搬送量を算出し、該搬送量に応じた値をエンコーダカウンタのカウントに加算する。
次に、印刷装置1は、テープ停止処理中であるか否かを判定する(ステップS306c)。テープ停止処理中である場合(ステップS306c;YES)、印刷装置1は、惰性カウンタをインクリメントし(ステップS306d)、エンコーダ割込み処理を終了する。惰性カウンタは、上述のように、DCモータへの駆動電流の供給を停止した後のプラテンローラ6の惰性回転による感熱テープ12の搬送量(惰性走行量)の計測に用いる値である。ステップS306dでは、例えば、ステップS306bで算出した感熱テープ12の搬送量に応じた値を惰性カウンタのカウントに加算する。一方、テープ停止処理中ではない場合(ステップS306c;NO)、印刷装置1は、ステップS306dの処理をスキップして、エンコーダ割込み処理を終了する。
このように、本実施形態の印刷装置1では、エンコーダ割込み処理においてテープ停止処理中に惰性カウンタをインクリメントすることで、搬送部104A(DCモータ)の動作を停止させた後のプラテンローラ6の惰性回転による感熱テープ12の搬送量(惰性走行量)を計測し、惰性走行量テーブル107Bの惰性走行量ΔLを更新することができる。
図11は、印刷装置1が行う印刷処理の具体例を説明する図である。図11には、1回の印刷処理において、感熱テープ12に「ABCD」という文字列を印刷して個片化(フルカット)する処理を実施し、1枚のラベルを作成する場合の感熱テープ12の搬送方向及び搬送量を示している。また、図11における感熱テープ12は、該感熱テープ12の右方に位置する図示しない被印刷媒体から供給され、個片化されたラベル(感熱テープ12)は左方に排出される。
印刷処理を開始する前の感熱テープ12の搬送路上での位置は、例えば、図11の(a)のように、感熱テープ12の先端12Aとサーマルヘッド701との間にハーフカット位置HCL及び印刷開始位置PSが存在していることが多い。また、感熱テープ12のハーフカット位置HCL及び印刷開始位置PSは、例えば、感熱テープ12の先端12Aからの距離をライン数に換算した値で定義される。このため、印刷処理を開始する際には、例えば、まず、図11の(b)に示すように、感熱テープ12の先端12Aの位置がサーマルヘッド701に近接するように、プラテンローラ6を逆転させて感熱テープ12を搬送量LF1だけ搬送する第1の搬送動作を実施する。これにより、ハーフカット位置HCL及び印刷開始位置PSがサーマルヘッド701よりも右方(被印刷媒体側)となる。
次に、印刷装置1は、プラテンローラ6を正転させ、感熱テープ12に印刷をしながら、ハーフカット位置HCLが第2のカッター802によるハーフカットが可能な位置に到達するまで感熱テープ12を搬送する第2の搬送動作を実施する。第2の搬送動作中、感熱テープ12が搬送量LF21だけ搬送され、図11の(c)に示したように印刷開始位置PSがサーマルヘッド701における左端側に到達すると、印刷装置1は、感熱テープ12に対する印刷を開始する。印刷を開始した後、感熱テープ12が更に搬送量LF22だけ搬送され、図11の(d)に示したようにハーフカット位置HCLが第2のカッター802によるハーフカットが可能な位置に到達すると、感熱テープ12は停止する。感熱テープ12が停止した後、印刷装置1は、第2のカッター802を動作させて感熱テープ12に対するハーフカット処理を行う。
ハーフカット処理を終えると、印刷装置1は、プラテンローラ6を正転させ、図11の(e)に示したように、感熱テープ12に対する残り印刷をするとともに、フルカット位置FCLが第1のカッター801によるフルカットが可能な位置に到達するまで感熱テープ12を搬送する第3の搬送動作を実施する。第3の搬送動作において、印刷装置1は、感熱テープ12を搬送量LF3だけ搬送させた位置で停止させる。その後、印刷装置1は、第1のカッター801により感熱テープ12をフルカットするカット処理を行い、個片化されたラベル(すなわち図11の(e)に示した感熱テープ12におけるフルカット位置FCLを境とした左側の部分)を排出して印刷処理を終了する。
このような印刷処理を印刷装置1で実施する場合、上述のように、第1の搬送動作、第2の搬送動作、及び第3の搬送動作のそれぞれにおいてプラテンローラ6の惰性回転による感熱テープ12の惰性走行が生じる。このため、印刷装置1では、惰性走行による感熱テープ12の搬送量の増加分を考慮し、感熱テープ12が1回の搬送動作において設定される総搬送量(感熱テープ12の停止位置)に到達する前に、DCモータの動作を停止する。DCモータの動作を停止する位置は、モータ停止位置算出処理(図8のステップS303)において算出する。印刷装置1は、モータ停止位置算出処理として、例えば、図9のフローチャートに沿った処理を行う。図11の(a)~(e)に示した感熱テープ12の幅が9mmである場合、図6の惰性走行量テーブル107Bに基づいて各搬送動作に対するモータ停止位置を算出すると、例えば、図12に示したテーブル20のようになる。
図12は、モータ停止位置算出処理で算出されるモータ停止位置の例を説明する図である。
上述のように、1回の印刷処理における最初の搬送動作(第1の搬送動作)は、プラテンローラ6を逆転させて感熱テープ12を搬送量LF1だけ搬送する動作である。搬送量LF1はライン数に換算した搬送量であり、cm単位での搬送量は、一般的に1cmから2cmまでの範囲のいずれかの長さに設定される。すなわち、第1の搬送動作は、図6の惰性走行量テーブル107Bにおける「動作1」になる。このため、印刷装置1は、惰性走行量テーブル107Bから第1の搬送動作の搬送方向及び搬送量の組と対応する惰性走行量ΔL=5を取得し(図9のステップS303c)、モータ動作停止位置をLF1-5とする(図9のステップS303d)。
2番目の搬送動作(第2の搬送動作)は、プラテンローラ6を正転させて感熱テープ12を搬送量LF2(=LF21+LF22)だけ搬送する動作である。ここで、搬送量LF2はライン数に換算した搬送量であり、cm単位での搬送量は1.8cmであるとする。この場合、第2の搬送動作は、図6の惰性走行量テーブル107Bにおける「動作3」になる。このため、印刷装置1は、惰性走行量テーブル107Bから第2の搬送動作の搬送方向及び搬送量の組と対応する惰性走行量ΔL=7を取得し(図9のステップS303c)、モータ動作停止位置をLF2-7とする(図9のステップS303d)。
3番目の搬送動作(第3の搬送動作)は、プラテンローラ6を正転させて感熱テープ12を搬送量LF3だけ搬送する動作である。ここで、搬送量LF3はライン数に換算した搬送量であり、cm単位での搬送量は2.2cmであるとする。この場合、第3の搬送動作は、図6の惰性走行テーブル107Bにおける「動作4」になる。このため、印刷装置1は、惰性走行量テーブル107Bから第3の搬送動作の搬送方向及び搬送量の組と対応する惰性走行量ΔL=9を取得し(図9のステップS303c)、モータ動作停止位置をLF3-9とする(図9のステップS303d)。
モータ動作停止位置算出処理の後に行われるモータ動作開始処理(ステップS305)において、印刷装置1は、第1の搬送動作を行うため、プラテンローラ6を逆転させる駆動電流をDCモータに印加する。その後、印刷装置1は、感熱テープ12の搬送量がLF1-5ラインになるまで、ステップS306~S312(S311を除く)の処理を繰り返す。そして、感熱テープ12の搬送量がLF1-5ラインになると、ステップS312の判定がYESとなるため、印刷装置1はモータ動作停止処理(ステップS313)を行い、DCモータへの駆動電流の印加を停止する。これにより、印刷装置1はテープ停止処理中となるため、次に行われるステップS307の判定はYESとなり、テープ停止処理が完了したか否かの判定(ステップS314)が行われる。DCモータへの駆動電流の印加を停止した直後は、プラテンローラ6が惰性回転をしておりエンコーダ割込み処理(ステップS306)で惰性カウンタがインクリメントされる(すなわちテープ停止処理が完了していない)ため、ステップS314の判定がNOになる。そして、印刷装置1は、ステップS308以降の処理を経てステップS306の処理に戻った後、再度ステップS314の判定を行う。印刷装置1は、ステップS314の判定がYESになるまで、ステップS308以降の処理を経てステップS306の処理に戻った後、ステップS314の判定を行う処理を繰り返す。そして、ステップS314の判定がYESになる(すなわち感熱テープ12の惰性走行が停止する)と、印刷装置1は、惰性カウンタのカウントに基づいて、惰性走行量テーブル107Bにおける「動作1」かつ「テープ幅9mm」の惰性走行量ΔL(図6では「5」)を、第1の搬送動作において計測された惰性走行量に更新する(ステップS315)。その後、印刷装置1は、惰性カウンタのカウントを初期化し(ステップS316)、モータ動作再開処理(ステップS320)を行って第2の搬送動作を開始した後、ステップS308の判定を行う。このときのモータ動作再開処理では、印刷装置1は、プラテンローラ6を正転させる駆動電流をDCモータに印加する。
第2の搬送動作を開始した後、印刷装置1は、感熱テープ12の搬送量がLF21になるまではステップS306~S310及びS312の処理を繰り返す。感熱テープ12の搬送量がLF21になった後、印刷装置1は、感熱テープ12の搬送量がLF2-7になるまでは、DCモータに駆動電流を印加した状態でステップS306~S312の処理を繰り返し、感熱テープ12に対する印刷を行う。そして、感熱テープ12の搬送量がLF2-7になる(すなわちステップS312の判定がYESになる)と、印刷装置1は、DCモータへの駆動電流の印加を停止する(ステップS313)。この後、印刷装置1は、感熱テープ12の惰性走行が停止する(すなわちステップS314の判定がYESになる)まで、惰性走行する感熱テープ12に対する印刷を行う。
第2の搬送動作は、上記のように、図6の惰性走行量テーブル107Bにおける「動作3」になる。このため、感熱テープ12の惰性走行が停止すると、印刷装置1は、惰性カウンタのカウントに基づいて、惰性走行量テーブル107Bにおける「動作3」かつ「テープ幅9mm」の惰性走行量ΔL(図6では「7」)を、第2の搬送動作において計測された惰性走行量に更新する(ステップS315)。その後、印刷装置1は、惰性カウンタのカウントを初期化する(ステップS316)。
また、第2の搬送動作は、上述のように、感熱テープ12のハーフカット位置HCLを第2のカッター802でハーフカットすることが可能な位置まで、感熱テープ12を搬送する動作である。このため、ステップS316の後、印刷装置1は、ハーフカット処理(ステップS318)を行う。その後、印刷装置1は、モータ動作再開処理(ステップS320)を行って第3の搬送動作を開始した後、ステップS308の判定を行う。このときのモータ動作再開処理では、印刷装置1は、プラテンローラ6を正転させる駆動電流をDCモータに印加する。
第3の搬送動作を開始した後、印刷装置1は、感熱テープ12の搬送量がLF3-9になるまでは、DCモータに駆動電流を印加した状態でステップS306~S312の処理を繰り返す。この間、印刷装置1は、感熱テープ12に対して文字列「ABCD」における残りの部分の印刷を行う。そして、感熱テープ12の搬送量がLF3-9になる(すなわちステップS312の判定がYESになる)と、印刷装置1は、DCモータへの駆動電流の印加を停止する(ステップS313)。
第3の搬送動作は、上記のように、図6の惰性走行量テーブル107Bにおける「動作4」になる。このため、感熱テープ12の惰性走行が停止する(すなわちステップS314の判定がYESになる)と、印刷装置1は、惰性カウンタのカウントに基づいて、惰性走行量テーブル107Bにおける「動作4」かつ「テープ幅9mm」の惰性走行量ΔL(図6では「9」)を、第3の搬送動作において計測された惰性走行量に更新する(ステップS315)。その後、印刷装置1は、惰性カウンタのカウントを初期化する(ステップS316)。
また、第3の搬送動作は、上述のように、感熱テープ12のフルカット位置FCLを第1のカッター801でフルカットすることが可能な位置まで、感熱テープ12を搬送する動作である。このため、ステップS316の後、印刷装置1は、フルカット処理(ステップS318)を行う。これにより、文字列「ABCD」が印刷された1枚のラベルが完成して排出されるため、次のステップS319の判定はYESになる。このため、印刷装置1は、所定の印刷終了処理(ステップS321)を行って、印刷処理を終了する。
この後、新たな印刷処理を行う際には、印刷装置1は、上記の印刷処理において更新された惰性走行量テーブル107Bに格納された惰性走行量ΔLに基づいて、各搬送動作におけるモータ動作停止位置を算出(決定)する。ここで、例えば、上記の印刷処理により図6の惰性走行量テーブル107Bにおける「動作3」かつ「テープ幅9mm」の惰性走行量ΔLが「7」から「9」に更新されたとする。この場合、新たな印刷処理が、テープ幅9mmの感熱テープ12に対する新たな印刷処理であり、かつ「動作3」と対応する搬送量LF4の搬送動作を含むとすると、該搬送動作に対するモータ動作停止位置はLF4-9となる。このように、印刷処理中に計測した惰性走行量に基づいて、DCモータの動作を停止させるための位置を決定(算出)するために使用する惰性走行量の値を更新することにより、1回の搬送動作における惰性走行量を含む感熱テープ12の総搬送量と、印刷データ等に基づいて設定される搬送量との差を小さくすることができる。このため、本実施形態に係る印刷装置1によれば、印刷装置1毎に、感熱テープ12の惰性走行量を印刷装置1の特性に応じた値に更新(修正)することができ、感熱テープ12の搬送量(搬送位置)を高精度に制御することができる。
また、図11及び図12には、1枚のラベルを作成する場合の搬送動作を例示しているが、本実施形態の印刷装置1は、連続印刷により複数枚のラベルを一括して作成することも可能であってもよい。連続印刷により複数枚のラベルを一括して作成する場合には、例えば、感熱テープ12における隣り合う2つのラベルとなる領域の境界位置に対しハーフカット処理を行うことができるので、1回の印刷処理における搬送動作は、上記の第1~第3の搬送動作とともに、境界位置に対するハーフカット処理を行うための搬送動作を含む。本実施形態の印刷装置1によれば、連続印刷により複数枚のラベルを一括して作成する処理にラベルの境界位置のそれぞれにハーフカット処理が含まれる場合に搬送動作を行う毎に生じて蓄積される、ラベルとなる領域の境界位置とハーフカット位置とのずれ量を小さくすることができる。
また、本実施形態の印刷装置1では、上記のように、印刷に使用可能な感熱テープ12の種類(例えば幅)毎に、各搬送動作における惰性走行量を設定し更新する。このため、本実施形態の印刷装置1では、感熱テープ12の種類毎に設定した惰性走行量を、それぞれの感熱テープ12を使用して搬送動作を実施した場合に計測される惰性走行量に更新(修正)することができる。よって、本実施形態に係る印刷装置1によれば、同一の搬送動作において計測される惰性走行量が感熱テープ12の種類毎に異なる場合にも、感熱テープ12の搬送量の制御をより高精度にすることができる。なお、惰性走行量ΔLと関連付ける印刷媒体の種類は、上述したテープの幅に限らず、テープの材質等の、惰性走行量に影響を与えうる他の種別情報を含んでもよい。例えば、図6に示した惰性走行量テーブル107Bとともに、印刷媒体がマグネットテープである場合の惰性走行量ΔLを示すテーブルと、印刷媒体が強粘着テープである場合の惰性走行量ΔLを示すテーブルとを記憶部107に記憶させ、印刷の対象である感熱テープ12の材質に応じて惰性走行量ΔLの決定に用いる惰性走行量テーブルを選択するようにしてもよい。更に、惰性走行量ΔLのような搬送動作を停止するタイミングを示す情報は、上述のように、印刷媒体の種類、搬送方向、又は搬送量の少なくとも1つ以上のいずれかと関連付けられていればよい。例えば、印刷処理(ステップS3)における感熱テープ12の搬送方向が一方向のみである場合、搬送動作を停止するタイミングを示す情報は、印刷媒体の種類及び搬送量のいずれか一方、或いは両方と関連付けられていればよい。
更に、本実施形態の印刷装置1では、例えば、図8のフローチャートのように、印刷処理を行う毎に、実施した搬送動作に対する惰性走行量を更新することができる。例えば、1つの被記録媒体11を使用して印刷処理(図7のステップS3)を複数回行う場合、媒体アダプタ10内の感熱テープ12の残量、言い換えると感熱テープ12のうち芯材に巻き付けられて被記録媒体11として残っている部分の量に応じて、搬送動作時にプラテンローラ6が感熱テープ12から受ける負荷が変動する。プラテンローラ6を正転させて感熱テープ12を搬送する搬送動作においては、感熱テープ12の残量が少なくなるほど、プラテンローラ6が感熱テープ12から受ける負荷は小さくなる。このため、1つの被記録媒体11を使用して印刷処理(図7のステップS3)を複数回行う場合、感熱テープ12の残量が少なくなるにつれて、プラテンローラ6の惰性回転に対する抗力(感熱テープ12から受ける負荷)が小さくなり、同一の搬送動作に対する惰性走行量が多くなる。本実施形態の印刷装置1では、このような場合にも、感熱テープ12の残量が略同一である直前の印刷処理において計測して更新した惰性走行量に基づいて、DCモータを停止させる位置を決定することができ、感熱テープ12の搬送量の制御を高精度にすることができる。
なお、惰性走行量テーブル107Bの惰性走行量ΔLの更新方法は、種々の方法が考えられる。図13は、惰性走行量テーブル107Bの更新方法の第1の例を説明する図である。図14は、惰性走行量テーブル107Bの更新方法の第2の例を説明する図である。
図13に示した2つの惰性走行量テーブル107Bの内の上側の惰性走行量テーブル107Bは、更新前のものであり、図6に示した惰性走行量テーブル107と同一の内容となっている。この更新前の惰性走行量テーブル107Bに基づいて、プラテンローラ6を正転させて幅が9mmの感熱テープ12を0.8cmだけ搬送する搬送動作に対するモータ動作停止位置を算出する場合、モータ動作停止位置は、感熱テープ12の搬送量(0.8cm)をライン数に換算した値LF5から5を減じた値LF5-5になる。このため、当該搬送動作を開始した後、印刷装置1は、感熱テープ12の搬送量(ライン数換算)がLF5-5ラインになった時点で、DCモータへの駆動電流の印加を停止する。ここで、惰性カウンタのカウンタに基づいて算出される感熱テープ12の惰性走行量が7ライン分になったとする。この場合、印刷装置1は、図13に示した更新後の惰性走行量テーブル107Bのように、実施された搬送動作と対応する、「動作2」かつ「テープ幅9mm」の惰性走行量ΔLを、5から7に更新する。
このように、惰性走行テーブル107Bの更新方法の第1の例では、実施した1回の搬送動作と対応する惰性走行量のみを更新する。なお、惰性走行量を更新する場合には、例えば、印刷装置1の出荷時に記憶部107に記憶されている惰性走行量テーブル107(初期テーブル)の惰性走行量を記憶部107内に保持した状態で更新してもよい。
また、1回の搬送動作において計測した惰性走行量に基づいて惰性走行量テーブル107Bを更新する場合、当該搬送動作の惰性走行量の補正量に基づいて、当該搬送動作の惰性走行量との関連性が高い他の搬送動作に対する惰性走行量を更新してもよい。
図14に示した更新後の惰性走行量テーブル107Bは、実施された搬送動作の搬送方向及び搬送量が「動作2」に対応しており、かつ感熱テープ12のテープ幅が9mmである場合に更新する惰性走行量ΔLの一例を示している。図14における太い点線で囲まれた惰性走行量ΔLは、「動作2」かつ「テープ幅9mm」の搬送動作の惰性走行量との関連性が高い他の搬送動作の惰性走行量である。関連性の高い他の搬送動作には、例えば、「動作2」かつ「テープ幅6mm」の搬送動作、又は「動作2」かつ「テープ幅12mm」の搬送動作のように、搬送方向及び搬送量が同一であって、感熱テープ12の幅の差が小さい搬送動作がある。また、関連性の高い他の搬送動作には、「動作1」かつ「テープ9mm」の搬送動作、又は「動作3」かつ「テープ幅9mm」の搬送動作のように、テープ幅が同一であって、搬送量の差が小さい搬送動作がある。
このように、惰性走行テーブル107Bの更新方法の第2の例では、実施した1回の搬送動作と対応する惰性走行量を更新するとともに、当該搬送動作の惰性走行量との関連性が高い他の搬送動作に対する惰性走行量を更新する。これにより、例えば、過去の印刷処理において実施されていない搬送動作を行う際に、過去の印刷処理において更新された、自装置におけるプラテンローラ6の惰性回転の特性が反映された惰性走行量に基づいて、モータ停止位置を決定する(算出する)ことができる。
なお、実施した搬送動作と対応する惰性走行量との関連性が高い他の搬送動作が同一の印刷処理で実施される場合、当該他の搬送動作と対応する惰性走行量は、例えば、当該他の搬送動作中に計測した惰性走行量に更新してもよいし、計測した惰性走行量を含む、1回の印刷処理で設定される複数の惰性走行量に基づいて算出した値に更新してもよい。
更に、本実施形態に係る印刷装置1では、例えば、印刷データの内容によらず搬送量が一定である搬送動作(例えば、図11を参照して説明した第1の搬送動作)については、惰性走行量ΔLを惰性走行量テーブル107Bに格納する代わりに、当該搬送動作における搬送量の値を惰性走行量ΔLに基づいて更新してもよい。例えば、図11を参照して説明した第1の搬送動作に関する惰性走行量ΔLを更新する代わりに、第1の搬送動作における搬送量をLF1からLF1-ΔLに更新してもよい。これにより、例えば、印刷処理を行う毎に行うモータ停止位置算出処理における演算処理の量を軽減することができる。
本発明に係る印刷装置1及び該印刷装置1の制御方法は、上述した実施形態に限らず、上述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、惰性走行量テーブル107Bを更新する処理は、印刷処理(図5のステップS3)を行う毎に実施する代わりに、印刷処理を所定の複数回だけ行う毎、或いは所定の期間が経過する毎に実施してもよい。また、印刷処理を所定の複数回だけ行う毎に惰性走行量テーブル107Bを更新する処理を行う場合、例えば、各印刷処理における搬送動作で計測した惰性走行量を記憶部107に記憶させておき、当該記憶部107に記憶させた惰性走行量に基づいて惰性走行量を更新してもよい。記憶部107に記憶させた惰性走行量のなかに、搬送動作及び感熱テープ12の種類の組み合わせが同一の惰性走行量が複数存在する場合には、例えば、当該複数の惰性走行量の平均値を算出し当該惰性走行量の平均値に更新する。
また、例えば、印刷装置1は、電源投入時に行われる起動処理(図7のステップS1)、或いは開いた蓋4を閉じたときに、感熱テープ12の幅を検知するとともに、所定の搬送動作(例えば、図6の惰性走行量テーブル107Bにおける動作1~動作4の各動作と対応する搬送動作)を行って、惰性走行量テーブル107B内の対応する惰性走行量を更新してもよい。
また、印刷装置1は、例えば、図7~図10のフローチャートに沿った処理を実行して図5の各ブロックの機能を実現するよう構成された専用のハードウェアに限らず、機能の一部をコンピュータにより実現するように構成されたものであってもよい。
図15は、印刷装置1のハードウェア構成例を示す図である。図15に示すように、機能の一部をコンピュータにより実現する印刷装置1は、プロセッサ3001と、ROM(Read Only Memory)3002と、RAM(Random Access Memory)3003と、補助記憶装置3004と、表示処理部3005と、入出力IF(インタフェース)3006とを含む。印刷装置1におけるこれらの構成要素3001~3006は、バス3010により相互に接続されており、各種データを相互に受け渡しすることが可能になっている。印刷装置1におけるコンピュータは、バス3010により相互に接続された構成要素3001~3006を含む。
プロセッサ3001は、CPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ等の演算処理装置であり、例えば、図7~図10のフローチャートに沿った印刷プログラムを実行する。プロセッサ3001は、上記の印刷プログラムを実行することにより、図5の印刷装置1における制御部101として機能(動作)する。
ROM 3002及びRAM 3003は、いわゆる主記憶装置である。ROM 3002には、例えば、OS(Operating System)等の印刷装置1を起動する際にプロセッサ3001が実行するプログラムが格納される。RAM 3003は、例えば、印刷装置1において上記の印刷プログラムを含む各種プログラムやアプリケーションを実行する際に、各種情報を一時的に記憶する記憶領域を提供する。RAM 3003は、例えば、印刷データ作成処理(ステップS2)において作成した印刷データ、搬送動作におけるモータ停止位置を示す情報、その他の印刷処理に関する制御情報、印刷履歴等の記憶に利用可能である。また、補助記憶装置3004は、例えば、上記の印刷プログラムを含む各種プログラムやアプリケーション、惰性走行量テーブル107B等を記憶する記憶領域を提供する。ROM 3002、RAM 3003、及び補助記憶装置3004は、図5の印刷装置1における記憶部107として機能する。
表示処理部1005は、表示装置5に表示させる表示データを作成し、該表示データを表示装置5に表示させる。表示処理部1005は、入力装置3により入力された文字や図等の情報、印刷条件の設定画面、印刷イメージ等の表示データを作成し、表示装置5に表示させる。
入出力IF 3006は、印刷装置1内の搬送機構31、印字機構32、及び切断機構33、並びにセンサ34を、印刷装置1内のコンピュータに接続する。搬送機構31、印字機構32、及び切断機構33は、それぞれ、プロセッサ3001による制御下で、図5の印刷装置1における搬送処理部103、印刷処理部105、及び切断処理部107として機能(動作)する。センサ34は、例えば、媒体アダプタ10の有無を検出するセンサ、感熱テープ12の幅を検知するセンサ等を含む。センサ34は、プロセッサ3001による制御下で、図5の印刷装置1における媒体アダプタ検知部110及びテープ情報取得部として機能(動作)する。
なお、本発明に係る印刷装置1は、例えば、図1及び図2に示したような、入力装置3、表示装置5、及び感熱テープ12に印刷をする印刷処理装置が一体となった印刷装置1に限らず、例えば、入力装置3及び表示装置5を含む印刷データ作成装置が別体であってもよい。この種の印刷装置1では、印刷データ作成装置として、例えば、スマートフォンやタブレットコンピュータ等の携帯型通信端末を利用可能である。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
印刷媒体の種類、搬送方向、又は搬送量の少なくとも1つ以上の何れかに基づいて搬送部の動作を停止するタイミングを決定し、
前記搬送部により印刷媒体を搬送中に前記決定されたタイミングとなったら前記搬送部の動作を停止する
処理を含むことを特徴とする印刷装置の制御方法。
[付記2]
付記1に記載の印刷装置の制御方法であって、
前記搬送部を動作させて印刷媒体を所定の方向に所定の搬送量だけ搬送する搬送動作を行う前に、前記印刷媒体の種類、搬送方向、又は搬送量の少なくとも1つ以上の何れかに基づいて前記搬送部の動作を停止するタイミングを決定する
ことを特徴とする印刷装置の制御方法。
[付記3]
付記1又は2に記載の印刷装置の制御方法であって、
前記搬送部の動作を停止するタイミングは、前記印刷媒体の搬送方向と搬送量との組み合わせが異なる複数種類の搬送動作毎に設定されており、
前記搬送部の動作を停止するタイミングを決定する処理は、前記複数種類の搬送動作のうちの前記印刷媒体に対する前記搬送部の動作と対応する搬送動作に対して設定された前記タイミングに決定する
ことを特徴とする印刷装置の制御方法。
[付記4]
付記1又は2に記載の印刷装置の制御方法であって、
前記印刷媒体の種類は、前記印刷媒体の幅の種類を含む
ことを特徴とする印刷装置の制御方法。
[付記5]
付記1に記載の印刷装置の制御方法であって、
前記搬送部の動作を停止してから前記印刷媒体の搬送が停止するまでの前記印刷媒体の搬送量を計測し、計測した前記印刷媒体の搬送量に基づいて、前記搬送部の動作を停止するタイミングを更新する処理を更に含む
ことを特徴とする印刷装置の制御方法。
[付記6]
付記5に記載の印刷装置の制御方法であって、
前記搬送部は、DCモータの動力により回転して前記印刷媒体を搬送するローラであり、
前記搬送部の動作を停止してから前記印刷媒体の搬送が停止するまでの前記印刷媒体の搬送量を計測する処理は、前記DCモータへの駆動電流の印加を停止してから前記ローラが停止するまでの前記ローラの回転量に基づいて計測する
ことを特徴とする印刷装置の制御方法。
[付記7]
付記5に記載の印刷装置の制御方法であって、
前記搬送部の動作を停止するタイミングを更新する処理は、前記印刷媒体の種類、搬送方向、又は搬送量の少なくとも1つ以上の何れかに基づいて決定された前記搬送部の動作を停止するタイミングと、当該タイミングと対応する前記搬送部の動作と関連性を有する他の動作に対応するタイミングとを更新する
ことを特徴とする印刷装置の制御方法。
[付記8]
付記5に記載の印刷装置の制御方法であって、
前記搬送部の動作における前記搬送量が、前記印刷媒体に印刷する内容によらず一定である場合に、計測した前記印刷媒体の搬送量に基づいて、該一定の前記搬送量を更新する
ことを特徴とする印刷装置の制御方法。
[付記9]
付記5に記載の印刷装置の制御方法であって、
前記搬送部の動作を停止するタイミングは、前記印刷媒体を第1の方向に搬送する場合の前記搬送量に応じたタイミングと、前記印刷媒体を前記第1の方向とは反対の第2の方向に搬送する場合の前記搬送量に応じたタイミングとを含む
ことを特徴とする印刷装置の制御方法。
[付記10]
付記9に記載の印刷装置の制御方法であって、
前記印刷媒体を第1の方向に搬送する場合の前記タイミング、及び前記印刷媒体を前記第2の方向に搬送する場合の前記タイミングのいずれか一方は、
前記搬送量が異なる複数のタイミングを含む
ことを特徴とする印刷装置の制御方法。
[付記11]
印刷媒体を搬送する搬送動作を行う搬送部と、
前記搬送部の前記搬送動作を制御する制御部と、
印刷媒体の種類、搬送方向、又は搬送量の少なくとも1つ以上の何れかと関連付けられた前記搬送部の前記搬送動作を停止するタイミングを示す情報を記憶する記憶部とを含み、
前記制御部は、印刷媒体の種類、搬送方向、又は搬送量の少なくとも1つ以上の何れかに基づいて前記搬送部の前記搬送動作を停止するタイミングを決定し、前記搬送部により前記印刷媒体を搬送中に前記決定されたタイミングとなったら前記搬送部の前記搬送動作を停止させるように構成されている
ことを特徴とする印刷装置。
[付記12]
付記11に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、更に、前記搬送動作を停止させてから前記印刷媒体の搬送が停止するまでの前記印刷媒体の搬送量を計測し、計測した前記印刷媒体の搬送量に基づいて、前記搬送部の前記搬送動作を停止させるタイミングを示す前記情報を更新するように構成されている
ことを特徴とする印刷装置。