以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、本発明に係る印刷装置の一例として、感熱記録材料層を含むテープ状の被印刷媒体にサーマルヘッドを利用して印刷する感熱式のサーマルプリンタを挙げる。また、以下の説明では、例示する印刷装置における周知の構成、機能、及び動作等についての詳細な説明を省略する。
図1は、印刷装置の一例を示す斜視図である。図1には、スマートフォン等の情報処理装置2と通信可能であり、情報処理装置2から取得した印刷データに基づいて被印刷媒体3に印刷することが可能な印刷装置1を例示している。
印刷装置1は、第1の筐体部品101及び第2の筐体部品102からなる装置筐体の内部空間に、テープ状の被印刷媒体3が巻き取られたテープロール4と、図示しない搬送機構、印刷機構、カット機構、及び制御基板等が収容されている。図1に例示した印刷装置1では、第1の筐体部品101は一つの側面が開口した概略箱状であり、第2の筐体部品102は第1の筐体部品101の開口を塞ぎ、かつ必要に応じて(例えば、テープロール4を交換する場合等に)第1の筐体部品101から取り外すことが可能な態様で、第1の筐体部品101に取り付けられる。第1の筐体部品101及び第2の筐体部品102からなる装置筐体には、被印刷媒体3を排出する排出口103が形成されている。
第1の筐体部品101の外表面には、複数のボタン104と、複数のランプ105とが配設されている。複数のボタン104は、電源のオン/オフを行うボタン、被印刷媒体3を所定の量だけ搬送するボタン、被印刷媒体3をカットするボタン、及び情報処理装置2との通信方法を切り替えるボタン等を含む。複数のランプ105は、印刷装置1の電源のオン/オフの状態を示すランプ、動作状態を示すランプ、及び無線通信の状態を示すランプ等を含む。図1には示されていないが、第1の筐体部品101の外表面には、例えば、ACアダプタ等のプラグを接続する電源端子、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等の接続端子等が配設されている。
図1に例示した印刷装置1と情報処理装置2とは、例えば、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の無線通信規格に従って無線通信をすることができる。情報処理装置2の利用者は、所定のアプリケーションを情報処理装置2上で実行させることにより、被印刷媒体3に印刷する印刷イメージの作成や印刷装置1の動作の制御をすることができる。例えば、情報処理装置2の利用者が、タッチパネル201を操作して「ABCD」という印刷イメージを作成し、印刷実行のボタンをタッチすると、該印刷イメージを含む印刷データが情報処理装置2から印刷装置1に転送される。印刷データは、被印刷媒体3に印刷(印字)する文字や図形等の印刷イメージ、印刷回数、及び被印刷媒体3のカットに関する情報を含む。
印刷装置1は、印刷イメージを含む印刷データを情報処理装置2から受信すると、受信した印刷データに基づいてラベル作成処理を行う。ラベル作成処理は、印刷イメージに基づいて被印刷媒体3に印刷する印刷処理と、カットに関する情報に基づいて被印刷媒体3をカットするカット処理とを含む。カットに関する情報に、被印刷媒体3をカットすることを示す情報が含まれない場合、カット処理は省略される。印刷装置1は、ラベル作成処理の処理結果を情報処理装置2に通知する。ラベル作成処理が正常に終了した場合には処理結果として終了コマンドが通知され、エラー事象等によりラベル作成処理が中断した場合には処理結果として中止コマンドが通知される。
[第1の実施形態]
図2は、第1の実施形態に係る印刷装置の構成例を説明するブロック図である。
本実施形態に係る印刷装置1は、図2に例示したように、制御部11、記憶部12、入力部13、表示部14、テープ検知部15、媒体処理部16、及び通信部17を含む。
制御部11は、印刷装置1全体の動作を制御する。印刷装置1では、例えば、OS(Operating System)のプログラムや後述する処理を含むプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが、制御部11として機能する。本実施形態の印刷装置1における制御部11は、開始前制御部1101と、開始後制御部1102とを含む。開始前制御部1101は、上述したラベル作成処理のうちの被印刷媒体3への印刷処理を開始する前に行う処理を制御する。開始後制御部1102は、被印刷媒体3への印刷処理の開始後に行われる処理を制御する。
記憶部12は、制御部11が印刷装置1の動作の制御に利用する各種データを記憶する。記憶部12は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部12は、上述したプロセッサが実行する各種プログラムを記憶する第1の記憶領域、及びプログラムを実行中のプロセッサが参照する印刷データを記憶する第2の記憶領域を有する。また、本実施形態の印刷装置1における記憶部12は、被印刷媒体3への印刷処理が中止された場合に該印刷処理を開始してからの被印刷媒体3の搬送量を示す情報を記憶する第3の記憶領域を有する。
入力部13は、印刷装置1に対する入力操作を受け付ける。入力部13は、例えば、図1を参照して説明した複数のボタン104を含む。表示部14は、印刷装置1の動作に関する各種情報を可視化して表示する。表示部14は、例えば、図1を参照して説明した複数のランプ105を含む。
テープ検知部15は、被印刷媒体3の幅等を検知する。テープ検知部15は、例えば、テープロール4を収容する媒体アダプタ(カートリッジ)が印刷装置1に装着されているか否か、及び装着された媒体アダプタがどの幅の被印刷媒体3と対応したものであるかを検知するスイッチを含む。テープ検知部15は、例えば、被印刷媒体3を使い切ったこと(テープ切れ)を検知することが可能であってもよい。
媒体処理部16は、制御部11による制御のもと、被印刷媒体3に対する搬送、印刷、及びカットの各処理を行う。媒体処理部16は、搬送部1601と、印刷部1602と、カット部1603とを含む。搬送部1601は、制御部11からの制御信号に基づいて、被印刷媒体3を、所定の搬送方向に、所定の搬送速度で、所定の搬送量だけ搬送する。印刷部1602は、制御部11からの制御信号に基づいて、被印刷媒体3に印刷する。カット部1603は、制御部11からの制御信号に基づいて、被印刷媒体3をカットする。媒体処理部16は、例えば、搬送中の被印刷媒体3における所定の位置(例えば、始端やハーフカットされた位置)が搬送経路における所定の位置を通過したことを検知する検知部等を含んでもよい。
通信部17は、情報処理装置2と通信する。通信部17は、例えば、無線通信規格に従った通信インタフェース、及びUSBケーブル等の伝送ケーブルの接続インタフェースのいずれか一方又は両方を含む。
情報処理装置2は、制御部21、記憶部22、入力部23、表示部24、及び通信部25を含む。
制御部21は、情報処理装置2全体の動作を制御する。情報処理装置2においては、OSのプログラムや印刷装置1の制御に利用可能なアプリケーションを実行するCPU等のプロセッサが、制御部21として機能する。記憶部22は、制御部21が情報処理装置2の動作の制御に利用する各種データを記憶する。記憶部22は、RAM及びROMを含む。入力部23は情報処理装置2に対する入力操作を受け付け、表示部24は各種情報を可視化して表示する。情報処理装置2がタッチパネル201を有する場合、該タッチパネル201は、液晶表示装置等の表示部24と、該表示部24の表示面上に重ねて配置された入力部23としてのデジタイザ(位置検出器)とにより構成される。タッチパネル201を有する情報処理装置2は、該タッチパネル201の一部としての入力部23及び表示部24とは別の入力部(入力装置)及び表示部(表示装置)を有してもよい。
通信部25は、印刷装置1を含む各種の外部装置と通信する。通信部25は、例えば、無線通信規格に従った通信インタフェース、及びUSBケーブル等の伝送ケーブルの接続インタフェースのいずれか一方又は両方を含む。
情報処理装置2は、上述のように、スマートフォン等の音声通話が可能な装置であってもよい。音声通話が可能な情報処理装置2は、音声通話に関する処理を行う通話処理部(送話部及び受話部)を更に含んでもよい。
図3は、第1の実施形態に係る印刷装置における搬送経路の一例を説明する図である。図3には、本実施形態に係る印刷装置1内に設けられる被印刷媒体3の搬送経路を直線状にし、概略的に示している。
印刷装置1における被印刷媒体3の搬送経路には、印刷位置、排出位置、フルカット位置、ハーフカット位置、排出ローラ位置、及び頭出し基準位置が設けられる。図3に例示したこれらの位置に関する距離L1~L5の長さの関係は、実際の印刷装置1における長さの関係と必ずしも一致しない。
印刷位置は、被印刷媒体3への印刷(印字)を行う位置であり、被印刷媒体3と印刷部1602のサーマルヘッド6とが接触する。また、印刷位置において、被印刷媒体3は、サーマルヘッド6と、搬送部1601のプラテンローラ5との間を通り、サーマルヘッド6とプラテンローラ5とにより挟持される。プラテンローラ5は、図示しないDCモータ等のモータの動力により、被印刷媒体3を排出方向に向けて送り出す第1の方向と、該第1の方向とは反対の第2の方向とに回転させることができる。以下の説明では、プラテンローラ5の第1の方向への回転を正転といい、第2の方向への回転を逆転という。また、以下の説明では、プラテンローラ5を正転させて行う被印刷媒体3の搬送を正転搬送といい、プラテンローラ5を逆転させて行う被印刷媒体3の搬送を逆転搬送という。
排出位置は、被印刷媒体3を印刷装置1の外部に排出する装置筐体(第1の筐体部品101)の排出口103の位置である。
フルカット位置は、カット部1603のフルカッター701により被印刷媒体3をフルカットする位置であり、ハーフカット位置は、カット部1603のハーフカッター702により被印刷媒体3をハーフカットする位置である。フルカッター701は、被印刷媒体3の厚さ方向及び幅方向の両方において被印刷媒体3の全体をカットするカッターである。一方、ハーフカッター702は、被印刷媒体3の厚さ方向と幅方向との少なくとも一方において被印刷媒体3の一部がカットされるように、被印刷媒体3をカットするカッターである。被印刷媒体3の厚さ方向は、被印刷媒体3におけるサーマルヘッド6と接触して印刷が行われる面(印刷面)の法線方向である。被印刷媒体3の幅方向は、被印刷媒体3における印刷面内での被印刷媒体3の搬送方向と直交する方向である。
本実施形態の印刷装置1では、例えば、サーマルヘッド6から印加される熱により変色又は発色する感熱記録材料層と粘着層とを含む粘着テープ層と、該粘着テープ層における粘着層を保護する保護層とを有し、これらが厚さ方向に積層された多層構造の被印刷媒体3に印刷を行うことができる。被印刷媒体3が上述した粘着テープ層と保護層とを有する多層構造である場合、フルカッター701は粘着テープ層及び保護層を幅方向の全体に渡ってカットして被印刷媒体3を2つに分離する。一方、ハーフカッター702は、ハーフカッター702は、幅方向の全体及び厚さ方向の一部がカットされるように、例えば、粘着テープ層のみを幅方向の全体に渡ってカットする。ハーフカッター702は、例えば、被印刷媒体3に幅方向に沿ったミシン目を入れるカッターであってもよい。
図3に例示した搬送経路では、印刷位置と排出位置との間であって、印刷位置から距離L1の位置をフルカット位置とし、フルカット位置と排出位置との間であって、フルカット位置から距離L3の位置をハーフカット位置としている。すなわち、搬送経路におけるハーフカット位置は、印刷位置と排出位置との間であって、印刷位置から距離L2(=L1+L3)の位置となる。なお、搬送経路におけるフルカット位置とハーフカット位置との関係は図3に例示した関係とは逆であってもよい。
排出ローラ位置は、被印刷媒体3を排出方向に送り出す排出ローラ8が配設された位置である。排出ローラ8は、例えば、フルカッター701でフルカットされ、搬送経路におけるフルカット位置よりも排出位置側に存在する被印刷媒体3を排出口103から印刷装置1の外部に排出することに利用される。排出ローラ8は、被印刷媒体3を挟持する第1のローラ801と第2のローラ802とを有する。第1のローラ801及び第2のローラ802は、フルカット位置と排出位置との間(より具体的には、ハーフカット位置と排出位置との間)であって、フルカット位置から距離L4の位置で被印刷媒体3を挟持するように配置されている。すなわち、排出ローラ位置は、フルカット位置と排出位置との間であって、フルカット位置から距離L4の位置である。第1のローラ801及び第2のローラ802の各々は、例えば、フルカッター701による被印刷媒体3のフルカットが行われた後、被印刷媒体3を排出方向に送り出すように回転する。
頭出し基準位置は、被印刷媒体3への印刷を行う際の被印刷媒体3の始端の位置決め(頭出し)に利用する位置である。頭出し基準位置は、印刷位置とフルカット位置との間であって、印刷位置から距離L5の位置である。
図4は、第1の実施形態に係る印刷装置と情報処理装置とにより行われる処理の一例を説明するシーケンス図である。
情報処理装置2を利用して印刷装置1によるラベルの作成を行う場合、まず、情報処理装置2により印刷イメージを作成する(ステップS21)。印刷イメージは、被印刷媒体3に印刷する文字列や図形等のレイアウトデータに基づいて作成する。レイアウトデータは、情報処理装置2の利用者が、入力部23(タッチパネル201)を操作して作成したデータであってもよいし、予め用意して情報処理装置2の記憶部22に記憶させたデータであってもよい。
次に、情報処理装置2により、印刷イメージを含む印刷データを作成する(ステップS22)。印刷データは、印刷イメージに加え、例えば、印刷に使用する被印刷媒体3の幅(テープ幅)の設定、印刷回数、余白の設定、及びカットに関する情報等を含む。被印刷媒体3の幅は、被印刷媒体3のサーマルヘッド6と接触する印刷面内における被印刷媒体3の搬送方向と直交する方向(上述した幅方向)の寸法である。
次に、情報処理装置2により、印刷装置1との無線通信を行い、テープ幅情報及び無線状態を取得する(S23)。ステップS23において、情報処理装置2は、例えば、UDP(User Datagram Protocol)を利用して印刷装置1に対して所定のデータを送信する。該所定のデータを受信した印刷装置1は、テープ幅及び無線状態を検知し、UDPを利用してテープ幅情報及び無線状態を情報処理装置2に通知する(ステップS11)。テープ幅は、印刷装置1に装着された媒体アダプタに収容されているテープロール4における被印刷媒体3の幅である。印刷装置1からのテープ幅情報及び無線状態の通知を受信すると、情報処理装置2は、ステップS23の処理を終了する。
ステップS23の後、情報処理装置2は、印刷データに含まれるテープ幅の設定と印刷装置1から取得したテープ幅とを評価し、例えば、両者が一致していることを確認した後、印刷データを印刷装置1に送信する(ステップS24)。印刷データに含まれるテープ幅の設定と印刷装置1から取得したテープ幅とが異なる場合、情報処理装置2は、例えば、印刷装置1の媒体アダプタ(被印刷媒体3)の交換、又は印刷データに含まれるテープ幅の設定の変更が行われた後、印刷データを印刷装置1に送信する。印刷データを送信した後、情報処理装置2は、印刷装置1からの処理結果の通知を待つ待機状態になる。待機状態の間、情報処理装置2の表示部24には、例えば、印刷装置1においてラベルを作成中であることを示す情報、及び印刷中止のボタン等が表示される。
印刷装置1は、印刷データを受信すると、受信した印刷データに基づいてラベル作成処理を行う(ステップS12)。ステップS12の具体的な処理の内容は、図5を参照して後述する。印刷装置1は、印刷データに基づくラベル作成処理が正常に終了した場合、又は印刷中止の指示を受け付けた場合に、ラベル作成処理(ステップS12)を終了する。印刷中止の指示は、印刷データに基づく被印刷媒体への印刷処理の途中で該印刷処理を終了して残りの印刷処理を行わないことを示す情報を含む。印刷装置1は、例えば、印刷装置1の入力部104を利用した所定の操作が行われた場合、エラー事象の発生により印刷中止と判断した場合、及び情報処理装置2から印刷中止の指示を受信した場合に、印刷中止の指示を受け付ける。印刷装置1の制御部11は、印刷中止の指示を受け付け、印刷データに基づく被印刷媒体3への印刷処理の途中で該印刷処理を終了して残りの印刷処理を行わないことを示す情報を取得することにより、印刷部1602による印刷処理が中止されたことを検出し、ラベル作成処理を終了する。
ステップS12のラベル作成処理が終了すると、印刷装置1は、ラベル作成処理の処理結果を情報処理装置2に通知し(ステップS13)、処理を終了する。ラベル作成処理が正常に終了した場合、印刷装置1は、例えば、ラベル作成処理が正常に終了したことを示す所定の終了コマンドを処理結果として情報処理装置2に通知する。印刷中止の指示により印刷処理が中止されてラベル作成処理が終了した場合、印刷装置1は、ラベル作成処理を中止したことを示す所定の中止コマンドを処理結果として情報処理装置2に通知する。
情報処理装置2は、印刷装置1からの処理結果を受信すると、受信した処理結果に応じた案内画面を表示する(ステップS25)。処理結果として所定の終了コマンドを受信した場合、情報処理装置2は、ラベル作成処理が正常に終了したことを示す情報を含む画面を表示部24に表示する。処理結果として所定の中止コマンドを受信した場合、情報処理装置2は、印刷処理が中止されてラベル作成処理が終了したことを示す情報を含む画面を表示部24に表示する。なお、図4ではステップS25で情報処理装置2の処理が終了しているが、情報処理装置2の処理は、ステップS25の後に、送信済みの印刷データに基づくラベル作成処理を再度印刷装置1に行わせるための処理や、新たな印刷データに基づくラベル作成処理を印刷装置1に行わせるための処理を含んでもよい。
図5は、第1の実施形態に係る印刷装置が行うラベル作成処理の一例を説明するフローチャートである。
本実施形態の印刷装置1は、ラベル作成処理(ステップS12)を開始すると、まず、受信した印刷データに含まれる印刷イメージを被印刷媒体3への印刷に対応した形式に展開する(ステップS1210)。ステップS1210の処理は、例えば、制御部11の開始前制御部1101が行う。開始前制御部1101は、例えば、被印刷媒体3における印刷する領域の寸法、サーマルヘッド6の発熱素子の寸法等に基づいて、印刷イメージをサーマルヘッド6の発熱素子の制御に利用可能な形式の情報に展開する。
次に、印刷装置1は、前回のラベル作成処理を正常に終了したか中止したかを判定する(ステップS1220)。ステップS1220の判定は、例えば、開始前制御部1101が行う。開始前制御部1101は、例えば、前回のラベル作成処理が中止されたことを示す情報が記憶部12に格納されているか否かに基づいてステップS1220の判定を行う。正常に終了した場合(ステップS1220;正常終了)、印刷装置1は、印刷データに基づく第1の印刷前処理を行う(ステップS1230)。中止した場合(ステップS1220;中止)、印刷装置1は、前回処理時の被印刷媒体3の搬送量及び印刷データに基づく第2の印刷前処理を行う(ステップS1240)。第1の印刷前処理(ステップS1230)の内容は、図6を参照して後述する。第2の印刷前処理(ステップS1240)の内容は、図7を参照して後述する。
第1の印刷前処理(ステップS1230)又は第2の印刷前処理(ステップS1240)を行った後、印刷装置1は、印刷データに基づいて被印刷媒体3への印刷及び被印刷媒体3のカットを行うループ処理(ステップS1250)を行う。ループ処理(ステップS1250)は、制御部11の開始後制御部1102による制御のもとで、媒体処理部26の搬送部1601、印刷部1602、及びカット部1603が行う。図5に例示したループ処理(ステップS1250)では、1枚分の印刷を実施する処理(ステップS1251)と、印刷データにおけるカットの設定に基づいて被印刷媒体3をカットする処理(ステップS1252,S1253)とを一連の処理として、印刷データにおいて設定された印刷枚数分だけ繰り返す。なお、ループ処理(ステップS1250)は、図5に例示した処理に限らず、適宜変更可能である。例えば、被印刷媒体3をカットする処理(ステップS1253)は、1枚分の印刷を実施する処理(ステップS1251)に対する割込み処理であってもよい。例えば、正転搬送している被印刷媒体3に印刷をしている途中で被印刷媒体3におけるハーフカットする位置(ライン)が搬送経路におけるハーフカット位置に到達した場合、割込み処理として被印刷媒体3へのハーフカットを行ってもよい。また、例えば、正転搬送している被印刷媒体3に印刷をしている途中で被印刷媒体3におけるフルカットする位置(ライン)が搬送経路におけるフルカット位置に到達した場合、割込み処理として被印刷媒体3へのフルカットを行ってもよい。このような割込み処理を行う場合、被印刷媒体3への印刷を中断してハーフカット又はフルカットを行ってもよい。割込み処理により被印刷媒体3をカットする場合、印刷装置1は、被印刷媒体3への印刷処理を中断して被印刷媒体をカットした後、カット後に残りの印刷処理を行う。このため、被印刷媒体3への印刷処理の途中で被印刷媒体3をカットするために印刷処理を中断することを示す情報は、図5を参照して説明した印刷中止の指示のようなラベル作成処理を終了させる情報には該当しない。
ループ処理(ステップS1250)が正常に終了した場合、印刷装置1は、ラベル作成処理を終了する。一方、ループ処理(ステップS1250)を行っている間に中止指示を受け付けた場合、印刷装置1は、媒体処理部16の動作を停止し(ステップS1260)、被印刷媒体3の搬送量(印刷長)LPを取得して保持し(ステップS1270)、ラベル作成処理を終了する。1枚分の印刷を実施する処理(ステップS1251)を行っている間に印刷中止の指示(中止指示)を受け付けた場合、印刷装置1は、当該処理における印刷開始時からの被印刷媒体3の搬送量LPを取得して記憶部12に記憶する。搬送量LPは、例えば、記憶部12に含まれる、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ等の、書き換え可能な不揮発性メモリに記憶させてもよい。搬送量LPを書き換え可能な不揮発性メモリに記憶させて保持することにより、例えば、印刷を中止した後で印刷装置1の電源をオフにした場合にも、搬送量LPを保持して次回のラベル作成処理で利用することができる。
このように、本実施形態の印刷装置1は、被印刷媒体3に印刷する処理を含むループ処理(ステップS1250)が行われている間に中止指示を受け付けると、受け付けた時点で搬送処理部16の動作を中止し、被印刷媒体3の搬送量(印刷長)LPを取得して保持する。印刷装置1は、取得された搬送量LPを、第2の印刷前処理(ステップS1240)において利用する。
搬送量LPを取得する方法は、特定の方法に限定されない。搬送量LPは、例えば、ステップS1210で印刷イメージを展開して得られる、サーマルヘッド6の発熱素子の制御に利用する情報(以下、「印刷制御データ」という)を利用して取得することができる。印刷制御データは、印刷装置1に装着された被印刷媒体3の幅に合致した幅方向に対する長さと、被印刷媒体3の搬送方向に対する全ての印刷(印字)長さを持つ。印刷部1602は、例えば、被印刷媒体3の搬送方向に対する1印刷ライン分の長さと対応する部分データ毎に、その部分データに基づいてサーマルヘッド6の発熱素子への通電を制御する。このとき、1印刷ライン分の印刷が行われる毎に、発熱素子への通電の制御に用いる部分データの印刷制御データ内での位置情報が更新される。このため、被印刷媒体3への印刷が中止されたタイミングでの発熱素子への通電の制御に用いる部分データの位置情報と、被印刷媒体3の搬送方向に対する1印刷ライン分の長さを乗算することにより、搬送量LPを取得することができる。言い換えると、搬送量LPは、例えば、被印刷媒体3への印刷を開始してから印刷を中止するまでに印刷制御データに基づいて被印刷媒体3に印刷された印刷ラインの数と被印刷媒体3の搬送方向に対する1印刷ライン分の長さとに基づいて取得することができる。
また、搬送量LPは、例えば、被印刷媒体3への印刷を開始してから印刷を中止するまでのプラテンローラ5の回転角を利用して取得することができる。例えば、エンコーダにより検出したプラテンローラ5の回転角に基づいて被印刷媒体3の搬送を制御する印刷装置1では、被印刷媒体3への印刷を開始してから印刷を中止するまでの期間にエンコーダにより検出したプラテンローラ5の回転角、及びプラテンローラ5の回転角と被印刷媒体3の搬送量との対応関係に基づいて、搬送量LPを取得することができる。また、例えば、ステッピングモータを用いてプラテンローラ5を回転させる印刷装置1では、被印刷媒体3への印刷を開始してから印刷を中止するまでの期間におけるステッピングモータの回転角、及びステッピングモータのステップ角と被印刷媒体3の搬送量との対応関係に基づいて、搬送量LPを取得することができる。ステッピングモータの回転角は、印刷を開始してから印刷を中止するまでの期間にステッピングモータに入力されたパルス信号のパルス数と、そのステッピングモータのステップ角とにより導出することができる。ステッピングモータのステップ角と被印刷媒体3の搬送量との対応関係は、例えば、ステッピングモータのステップ角とプラテンローラ5の回転角との対応関係、及びプラテンローラ5の回転角と被印刷媒体3の搬送量との対応関係から導出することができる。
プラテンローラ5やステッピングモータの回転角を利用する搬送量LPの取得方法は、印刷開始後の被印刷媒体3の搬送量が、印刷(印字)が行われた領域の被印刷媒体3の搬送方向の長さに相当することに着目している。ラベル作成処理(ステップS12)における被印刷媒体3の搬送処理は、印刷前搬送フェーズ、印刷フェーズ、及び最終カット搬送フェーズに大別され、この順で移行する。印刷前搬送フェーズは、印刷(サーマルヘッド6の発熱素子への通電)を開始する前にハーフカットを行う場合の被印刷媒体3の搬送と、被印刷媒体3を印刷開始位置に移動させる逆転搬送とを含む。搬送部1601は、印刷前搬送フェーズ、印刷フェーズ、及び最終カット搬送フェーズの各フェーズで決められた搬送量の値に従い被印刷媒体3を搬送する。このため、印刷を中止したときには、中止した印刷に対する印刷前搬送フェーズと、その後の印刷フェーズでの印刷を中止するまでの被印刷媒体3の搬送分に相当する値を取得すればよい。印刷装置1では、フェーズを示すメモリー値が、現在の搬送状態を示すので、開始時から被印刷媒体3の搬送量に関するエンコードのカウンタを加算していくことで被印刷媒体3の搬送量を計算できる。被印刷媒体3の搬送中には、エンコードのカウンタは加算される。印刷中止時は、中止するまでに加算した値がクリアされず残っているので、この値を利用して搬送量LPを導出することができる。例えば、搬送量LPは、印刷前搬送フェーズで決められた搬送量と、印刷フェーズにおける被印刷媒体3の搬送量に関するエンコードのカウンタ値との和に、1周期のカウンタが進む長さを乗算することで取得できる。
また、印刷装置1が図2及び図3等には示していないテープエンドセンサを備えたものである場合には、そのテープエンドセンサを利用して搬送量LPを取得することができる。テープエンドセンサは、例えば、ラベル作成処理中に被印刷媒体3がサーマルヘッド6の発熱素子と接触していない状態で発熱素子を通電(発熱)させてしまうことを防ぐための、搬送経路上の被印刷媒体3の有無を検知するセンサ(例えば、フォトセンサ)である。このテープエンドセンサは、例えば、搬送経路におけるフルカット位置の近傍に、被印刷媒体3の印刷面又はその裏面で検知に用いる光線が反射したか否かによって被印刷媒体3の有無を検知するように配設されている。搬送量LPの取得にテープエンドセンサを利用する場合、例えば、印刷開始時にテープエンドセンサの値を所定の一定周期で取得する処理を開始する。テープエンドセンサがフルカット位置の近傍に配設されている場合、印刷開始時のテープエンドセンサの値は、被印刷媒体3が無いことを示す値(例えば、OFF値)である。印刷を開始して被印刷媒体3がテープエンドセンサにより検出可能な位置まで搬送されると、テープエンドセンサの値は、被印刷媒体3があることを示す値(例えば、ON値)になる。このとき、印刷装置1は、印刷開始時からテープエンドセンサの値が被印刷媒体3があることを示す値に変化するまでの時間と、被印刷媒体3の搬送速度との乗算により、搬送量LPを導出することができる。テープエンドセンサの値が変化するまでの時間は、例えば、テープエンドセンサの値を取得する周期と、値を取得した回数とに基づいて導出することができる。
なお、上述した搬送量LPの導出方法は、具体的な導出方法の例に過ぎない。また、印刷装置1は、印刷が中止されたタイミングに限らず、ループ処理(ステップS1250)において1枚分の印刷を行っている期間中に搬送量LPを随時取得し、例えば、最後に取得した搬送量LPを保持するように記憶部12に記憶させてもよい。例えば、上述した印刷制御データ又はプラテンローラ5の回転角を利用する方法では、被印刷媒体3への印刷中に所定の時間間隔で搬送量LPを取得して書き換え可能な不揮発性メモリに記憶させた搬送量LPを更新することで、例えば、印刷装置1の電源がオフになることで印刷が中止された場合にも、搬送量LPを保持することができる。このため、再度電源をオンにした後のラベル作成処理において、搬送量LPを利用して第2の印刷前処理(ステップS1240)を行うことができる。
次に、図6を参照しながら第1の印刷前処理の一例を説明する。図6は、第1の印刷前処理の一例を説明するフローチャートである。図6に例示したフローチャートは、第1の印刷前処理を開始するときの被印刷媒体3の始端が搬送経路におけるフルカット位置にあるものとして、第1の印刷前処理の内容を説明している。
第1の印刷前処理では、印刷装置1は、まず、印刷データにおけるカットの設定に基づいて前余白と印刷領域との間をハーフカットするか否かを判定する(ステップS1231)。ステップS1231の判定は、制御部11の開始前制御部1101が行う。前余白は、被印刷媒体3における始端と、印刷イメージに基づいて印刷(印字)が行われる印刷領域との間に設けられる余白である。ハーフカットしない場合(ステップS1231;NO)、印刷装置1は、搬送経路における印刷位置からフルカット位置までの距離L1に基づいて被印刷媒体3の印刷開始位置が搬送経路における印刷位置に到達するように被印刷媒体3を搬送する(ステップS1232)。ステップS1232は、開始前制御部1101による制御のもと、媒体処理部16の搬送部1601が行う。搬送部1601は、開始前制御部1101からの制御信号に従い、例えば、搬送経路におけるフルカット位置にある被印刷媒体3の始端が、搬送経路における印刷位置から頭出し基準位置までの間の所定の位置に到達するように、被印刷媒体3を逆転搬送する。ステップS1232の搬送動作を終えると、印刷装置1は、第1の印刷前処理を終了し、図5のフローチャートに例示したループ処理(ステップS1250)を行う。
ハーフカットする場合(ステップS1231;YES)、印刷装置1は、搬送経路におけるフルカット位置からハーフカット位置までの距離L3と、前余白の長さLMとに基づいて、被印刷媒体3におけるハーフカットする位置が搬送経路におけるハーフカット位置に到達するように被印刷媒体3を搬送する(ステップS1233)。ステップS1233は、開始前制御部1101による制御のもと、媒体処理部16の搬送部1601が行う。搬送部1601は、開始前制御部1101からの制御信号に従い、例えば、搬送経路における距離L3+LMと対応する搬送量だけ被印刷媒体3を正転搬送する。
ステップS1233の後、印刷装置1は、被印刷媒体3をハーフカットする(ステップS1234)。ステップS1234は、開始前制御部1101による制御のもと、カット部1603が行う。カット部1603は、開始前制御部1101からの制御信号に基づいてハーフカッター702を作動させ、被印刷媒体3をハーフカットする。
ステップS1234の後、印刷装置1は、搬送経路における印刷位置からハーフカット位置までの距離L2に基づいて、被印刷媒体3における印刷開始位置が搬送経路における印刷位置に到達するように被印刷媒体3を搬送する(ステップS1235)。ステップS1235は、開始前制御部1101による制御のもと、媒体処理部16の搬送部1601が行う。開始前制御部1101は、例えば、被印刷媒体3におけるハーフカットされた位置から該ハーフカットされた位置よりも上流側に設定される印刷領域の印刷開始位置までの距離と、上述した距離L2とに基づいて、被印刷媒体3の搬送量を算出する。上流側は、被印刷媒体3上における搬送方向での位置関係を表し、ある位置から見て排出方向(図3参照)とは反対の方向に存在する領域又は該領域内の位置を表す。搬送部1601は、開始前制御部1101が算出した搬送量だけ被印刷媒体3を逆転搬送させる。ステップS1235の搬送動作を終えると、印刷装置1は、第1の印刷前処理を終了し、図5のフローチャートに例示したループ処理(ステップS1250)を行う。
次に、図7を参照しながら第2の印刷前処理の一例を説明する。図7は、第2の印刷前
処理の一例を説明するフローチャートである。
第2の印刷前処理では、印刷装置1は、まず、前回のラベル作成処理における被印刷媒体3の搬送量(印刷長)LPを記憶部22から読み出す(ステップS1241)。ステップS1241は、制御部11の開始前制御部1101が行う。
次に、開始前制御部1101は、読み出した前回の被印刷媒体3の搬送量LPと、今回の処理における前余白の設定とに基づいて被印刷媒体3における前回印刷が行われた領域と今回の処理で印刷が行われる予定領域との間のハーフカットする位置を決定する(ステップS1242)。開始前制御部1101は、例えば、印刷データに基づいて導出される今回の処理における前余白の長さが搬送量LP以上である場合、搬送量LPに基づいて導出される被印刷媒体3における前回印刷が行われた領域の印刷開始位置を被印刷媒体3の始端とみなし、該始端とみなした位置から前余白の長さだけ上流側の位置をハーフカットする位置に決定する。また、開始前制御部1101は、例えば、印刷データに基づいて導出される今回の処理における前余白の長さが搬送量LP未満である場合、被印刷媒体3における前回印刷が行われた領域の印刷終了位置から所定の距離(例えば、1mm)だけ上流側の位置をハーフカットする位置に決定する。
次に、印刷装置1は、ステップS1242で決定した被印刷媒体3におけるハーフカットする位置が、搬送経路におけるハーフカット位置に到達するように被印刷媒体3を搬送する(ステップS1243)。ステップS1243は、開始前制御部1101による制御のもと、搬送部1601が行う。開始前制御部1101は、搬送経路における印刷位置からハーフカット位置までの距離L2と、ステップS1242で決定したハーフカットする位置から印刷位置までの距離との和を算出する。搬送部1601は、開始前制御部1101が算出した距離の和と対応する搬送量だけ、被印刷媒体3を正転搬送する。
ステップS1243の後、印刷装置1は、被印刷媒体3をハーフカットする(ステップS1244)。ステップS1244の処理は、上述した第1の印刷前処理のステップS1234の処理と同じでよい。
ステップS1244の後、印刷装置1は、搬送経路における印刷位置からハーフカット位置までの距離L2に基づいて、被印刷媒体3における印刷開始位置が搬送経路における印刷位置に到達するように被印刷媒体3を搬送する(ステップS1245)。ステップS1245の処理は、上述した第1の印刷前処理のステップS1235の処理と同じでよい。ステップS1245の搬送動作を終えると、印刷装置1は、第1の印刷前処理を終了し、図5のフローチャートに例示したループ処理(ステップS1250)を行う。
このように、第2の印刷前処理では、印刷処理が中止された前回のラベル作成処理における被印刷媒体3の搬送量LP(印刷長)に基づいて、前回のラベル作成処理において印刷が行われた領域と次に印刷が行われる予定領域との間の余白(間隔)を狭くするとともに、これら2つ領域の間で被印刷媒体3をハーフカットする。第2の印刷前処理の被印刷媒体3を搬送する処理における搬送量は、印刷処理が中止された前回のラベル作成処理における被印刷媒体3の搬送量LP(印刷長)に基づいて決定したハーフカットする位置を利用して設定される。すなわち、第2の印刷前処理では、印刷処理が中止された前回のラベル作成処理における被印刷媒体3の搬送量LP(印刷長)に基づいて、前回のラベル作成処理において印刷が行われた領域の少なくとも一部と、次に印刷が行われる予定領域の少なくとも一部と、が互いに重ならないように、予定領域への印刷の前に行う搬送処理における被印刷媒体3の搬送量を設定する。したがって、第1の印刷データに基づく印刷処理が中止された後、第2の印刷データに基づく印刷処理を行うときに、第2の印刷前処理を行うことにより、該第2の印刷データに基づく印刷処理において印刷が行われる予定領域が、第1の印刷データに基づく印刷処理において印刷が行われた領域と重ならないようにすることができる。なお、第1の印刷データと第2の印刷データは同一の印刷データであっても良い。
次に、第2の印刷前処理を行わない従来の印刷装置の動作と、本実施形態の印刷装置1の動作との差異の一例を説明する。
図8は、印刷処理が中止された場合の印刷装置の動作の従来例を説明する図である。図8の(a1)~(a7)には、図5に例示したラベル作成処理におけるステップS1220及びS1240を行わない従来の印刷装置で行われる動作の一例を時系列で示している。図8において、(a3)の第1の印刷領域321内の袋文字は第1の印刷データの印刷イメージに基づいて印刷される文字のうちのまだ被印刷媒体3に印刷されていない文字であり、(a7)の第2の印刷領域322内の袋文字は第2の印刷データの印刷イメージに基づいて印刷される文字のうちのまだ被印刷媒体3に印刷されていない文字である。
図8の(a1)には、ある印刷データに基づくラベル作成処理が正常に終了した後の、搬送経路における被印刷媒体3の状態を例示している。(a1)の被印刷媒体3に示した上流及び下流は、被印刷媒体3の印刷面内における搬送方向での位置関係を表す。被印刷媒体3上のある位置からみて、被印刷媒体3の排出方向(図8では右方向)に存在する位置及び領域は、該ある位置の下流側という。また、被印刷媒体3上のある位置からみて、被印刷媒体3の排出方向とは反対の方向(図8では左方向)に存在する位置又は領域は、該ある位置の上流側の位置又は領域という。上述した上流及び下流は、また、搬送経路における各位置の位置関係にも適用される。例えば、フルカット位置は、印刷位置の下流側にあり、かつハーフカット位置の上流側にある。
ある印刷データに基づくラベル作成処理が、印刷後に被印刷媒体3をフルカットして正常に終了した場合、被印刷媒体3は、最下流となる始端301が搬送経路におけるフルカット位置に存在する状態になっている。
搬送経路における被印刷媒体3の状態が(a1)に示した状態である場合、従来の印刷装置において第1の印刷データに基づくラベル作成処理を開始すると、該従来の印刷装置は、印刷イメージを展開した後、上述した第1の印刷前処理と同様の印刷前処理を行う。被印刷媒体3における前余白と印刷を行う領域との間にハーフカットをするように設定されている場合、従来の印刷装置は、図8の(a2)に示したように、搬送経路におけるフルカット位置からハーフカット位置までの距離L3と、前余白311の長さLMとの和である搬送量L3+LMだけ被印刷媒体3を正転搬送した後、被印刷媒体3をハーフカットする。これにより、被印刷媒体3における始端301から距離LMだけ上流側の位置302がハーフカットされる。
位置302をハーフカットした後、従来の印刷装置は、図8の(a3)に示したように、被印刷媒体3における位置302よりも上流側の部分312内に設定される第1の印刷領域321の印刷開始位置321Fが搬送経路の印刷位置に到達するように、被印刷媒体3を逆転搬送する。第1の印刷領域321の印刷開始位置321Fは、(a3)に示したようなハーフカットされた位置302よりも上流側の位置に限らず、ハーフカットされた位置302と同じ位置であってもよい。これにより、第1の印刷データに基づくラベル作成処理における印刷前処理が終了し、印刷装置1は、第1の印刷データに基づいて被印刷媒体3の第1の印刷領域321への印刷を開始する。(a3)には、第1の印刷領域321に印刷する印刷イメージの例として、「令和元年**期実績」という文字列の一部分を示している。
被印刷媒体3の第1の印刷領域321への印刷が行われている間に、例えば、情報処理装置2からの印刷中止の指示を受信すると、従来の印刷装置は、第1の印刷領域321への印刷を中止する。例えば、「令和元年**期実績」という文字列のうちの「実」という文字の印刷が行われている途中で印刷中止の指示を受信すると、図8の(a4)に例示したように、第1の印刷領域321内に「令和元年**期実績」のうちの「実」の途中までの文字列351が印刷された状態で印刷を中止する。
このように第1の印刷データに基づくラベル作成処理が中止された後、例えば、第2の印刷データを受信すると、従来の印刷装置は、上述した印刷前処理を行う。第2の印刷データは、第1の印刷データと同じであってもよいし、異なっていてもよい。図8では、印刷する文字列が「令和元年**期実績」から「令和2年**期実績」に修正された第2の印刷データを受信した場合を例示している。第2の印刷データを受信した従来の印刷装置は、被印刷媒体3を搬送量L3+LMだけ正転搬送してハーフカットするための動作を行った後、第2の印刷データにおける印刷イメージを印刷する領域の印刷開始位置が搬送経路における印刷位置に到達するように被印刷媒体3を逆転搬送するための動作を行う。このとき、図8の(a5)に例示したように、搬送量L3+LMだけ正転搬送した被印刷媒体3における位置303がハーフカットされる。その後、従来の印刷装置は印刷位置からフルカット位置までの距離L1、フルカット位置からハーフカット位置までの距離L3、及び第2の印刷領域322とハーフカットした位置303との間の余白の長さ(0であってもよい)に基づいて、被印刷媒体3を逆転搬送する。これにより、図8の(a6)に例示したように、第2の印刷データにおける印刷イメージを印刷する第2の印刷領域322の印刷開始位置322Fが定まる。こうして第2の印刷データに基づくラベル作成処理における印刷前処理が終了すると、その後、従来の印刷装置は、第2の印刷データに基づいて被印刷媒体3の第2の印刷領域322への印刷を開始する。
しかしながら、(a6)に例示したように、第2の印刷領域322内は、第1の印刷データに基づいて途中まで印刷された「令和元年・・・」という文字列351の一部が印刷されている。すなわち、従来の印刷装置では、第1の印刷データに基づく印刷が中止された後で第2の印刷データに基づく印刷を行う場合に、第2の印刷データに基づいて印刷を行う第2の印刷領域322内に、中止される前に印刷が行われた領域が含まれることがある。このため、従来の印刷装置1では、図8の(a7)に例示したように、第2の印刷データに基づいて第2の印刷領域322に印刷された文字列352が過去に印刷された「令和元年・・・」という文字列351と重なってしまうことがある。この場合、第2の印刷データに基づくラベル作成処理が正常に終了したとしても、第2の印刷領域322内に不要な文字列351が印刷されており、作成されたラベルは、利用者が望んだラベルとは異なる。このようなラベルは、ラベルとして使用されることなく廃棄されることが多い。また、(a7)に例示したように、第2の印刷データに基づいて文字列352が印刷される第2の印刷領域322の被印刷媒体3の搬送方向の長さが、第1の印刷データに基づく印刷処理において文字列351が印刷された領域の長さLP(図8の(a4)参照)よりも長い場合、廃棄される量が多くなる。このため、従来の印刷装置では、印刷を中止した場合に無駄になる被印刷媒体3の量が多くなることがある。なお、第1の印刷データに基づく印刷が中止された後で第2の印刷データに基づく被印刷媒体3への印刷を開始するときの搬送経路上での被印刷媒体3の位置は、(a6)に例示した位置に限らず、従来の印刷装置における印刷開始前の搬送動作の制御方法に応じて異なる。
これに対し、本実施形態の印刷装置1では、第1の印刷データに基づく印刷が中止された後で、第2の印刷データに基づく印刷を行うときに、従来の印刷装置が行う印刷前処理と同様の第1の印刷前処理とは別の、上述した第2の印刷前処理を行う。
図9は、第1の実施形態に係る印刷装置の動作の一例を説明する図である。図9の(a4’)には、図8の(a4)と類似した第1の印刷データに基づく印刷が中止されたときの被印刷媒体3の搬送経路上での位置を例示している。より具体的には、第1の印刷データに基づく印刷処理が「令和元」という文字列351’を印刷した段階で中止されたときの状態を例示している。図9の(a10)~(a14)には、第1の印刷データに基づく印刷が中止された後で、第2の印刷データに基づいて本実施形態の印刷装置1が行う動作(ラベル作成処理)の一例を時系列で示している。図9の(a4’)及び(a10)~(a14)における被印刷媒体3及び搬送経路の上流及び下流の関係は、図8の(a1)に示した関係と同じである。図9の(a11)における第2の印刷領域322内の袋文字は、第2の印刷データの印刷イメージに基づいて印刷される文字のうちのまだ被印刷媒体3に印刷されていない文字である。
(a4’)に例示したように、第1の印刷領域321内に「令和元」という文字列351’が印刷された段階で印刷処理が中止された場合、本実施形態の印刷装置1は、第1の印刷領域321への印刷を開始してからの被印刷媒体3の搬送量(印刷長)LPを取得して保持する(ステップS1270)。搬送量LPは、印刷装置1が動作を中止したときの、搬送経路における、被印刷媒体3の第1の印刷領域321の印刷開始位置321Fから搬送経路の印刷位置までの距離(印刷長)に相当する。
印刷処理を中止した後、次の印刷を開始することが可能となり、第2の印刷データを受信すると、印刷装置1は、ラベル作成処理を開始し、第2の印刷前処理を行う。第2の印刷前処理では、印刷装置1は、第1の印刷データに基づく印刷処理における搬送量LPと、第2の印刷データに基づくラベル作成処理における前余白の設定とに基づいて、文字列351’が印刷された領域と、第2の印刷データに基づいて印刷が行われる予定領域(第2の印刷領域322)との間のハーフカットする位置を決定する(ステップS1242)。
例えば、第2の印刷データにおいて設定されている前余白の長さが、第1の印刷データにおいて設定されている前余白311の長さLMと搬送量LP(文字列351’が印刷された領域の長さ)との和未満の場合には、図9の(a10)に例示したように、第1の印刷領域321の印刷開始位置321Fの上流側の距離LP+LQの位置303をハーフカットする位置に決定する。ここで、LQは、前余白311の長さLMよりも短い所定の値(例えば、1mm)である。なお、LQは0であってもよい。また、第1の印刷データにおいて設定されている前余白311の長さLMが0の場合は、第2の印刷データにおいて設定されている前余白の長さが、第1の印刷データにおける搬送量LP未満の場合に、上記と同様にハーフカットする位置を決定する。このハーフカットする位置303は、例えば、(a4’)に例示したような前回の印刷が中止されたときの被印刷媒体3における、搬送経路の印刷位置にある位置、又は印刷位置から上流側に距離LQだけ離れた位置であり得る。すなわち、第2の印刷データにおいて設定されている前余白の長さが、第1の印刷データにおいて設定されている前余白311の長さLMと搬送量LPとの和未満である場合には、第1の印刷データに基づいて印刷が行われた領域の終端から被印刷媒体3の始端301までの区間に、第2の印刷データに基づく印刷処理での前余白が含まれるように、第2の印刷領域322の印刷開始位置322F及びハーフカットする位置303を決定する。これは、搬送経路の印刷位置にある被印刷媒体3上の位置(ライン)から被印刷媒体3の始端301までの区間が第2の印刷データに基づく印刷処理での前余白に含まれるように、第2の印刷領域322の印刷開始位置322F及びハーフカットする位置303を決定すると言い換えることもできる。このようにハーフカットする位置303を決定することにより、第2の印刷領域322を確実に文字351’が印刷された領域と重ならないようにすることができる。また、前回の印刷処理で文字列351’が印刷された部分を、第2の印刷データにおいて設定されている前余白の一部として利用することができるので、ラベルとして使用されない被印刷媒体3の量の増加を抑制することができる。なお、図9の(a11)ではハーフカットする位置303と第2の印刷領域322の印刷開始位置322Fとの間に余白があるが、これに限らず、第2の印刷領域322の印刷開始位置322Fがハーフカットする位置303になるように決定してもよい。
ハーフカットする位置を決定した後、印刷装置1は、決定した被印刷媒体3の位置303が搬送経路におけるハーフカット位置に到達するよう被印刷媒体3を正転搬送し(ステップS1243)、位置303をハーフカッター702でハーフカットする(ステップS1244)。その後、印刷装置1は、被印刷媒体3におけるハーフカットした位置303の上流側となる部分313に設定される第2の印刷領域322の印刷開始位置322Fが、搬送経路における印刷位置に到達するように被印刷媒体3を搬送し(ステップS1245)、第2の印刷前処理を終了する。
図を参照した説明は省略するが、第2の印刷データにおいて設定されている前余白の長さが、(a4’)に例示した第1の印刷データにおいて設定されている前余白311の長さLMと搬送量LPとの和以上の場合には、例えば、前余白311の長さLM、搬送量LP、及び前余白311と第1の印刷領域321との距離(前回のラベル作成処理でハーフカットされた位置302から第1の印刷領域321の印刷開始位置321Fまでの距離)により導出される搬送経路上での被印刷媒体3の始端301の位置から上流側の、第2の印刷データにおいて設定されている前余白の長さ分だけ離れた位置をハーフカットする位置に決定する。このようにすると、第1の印刷データにおいて印刷処理が中止されるまでに印刷が行われた(無駄になる)文字列351’が印刷された部分、及びその下流側にある前余白311を、第2の印刷データにおいて設定されている前余白の一部として利用することができるため、第1の印刷領域321と第2の印刷領域322との間の余白を少なくすることができ、ラベルとして使用されない被印刷媒体3の量を少なくすることができる。また、第1の印刷データにおいて設定されている前余白311の長さLMが0の場合は、第2の印刷データにおいて設定されている前余白の長さが、第1の印刷データにおける搬送量LP以上の場合に、上記と同様にハーフカットする位置を決定する。一方、第2の印刷データにおいて設定されている前余白の長さが、第1の印刷データにおいて設定されている前余白311の長さLMと搬送量LPとの和以上の場合、印刷開始位置321Fから上流側の距離LP+LQの位置をハーフカットする位置に仮決定し、第2の印刷データにおいて設定されている前余白の長さを短くするよう、表示部などによってユーザーに報知するようにしてから、ハーフカットする位置を決定させても良い。なお、LQは0であってもよい。
上記の処理は、前余白の長さLMと搬送量LPとに基づいて、第1の印刷データに基づいて印刷が行われた領域と、第2の印刷データに基づいて印刷が行われる前記予定領域との間隔を設定する、とも表現できる。
このように、本実施形態の印刷装置1では、第2の印刷前処理を行うことにより、第1の印刷データに基づく印刷処理における該処理が中止されるまでの搬送量LP(印刷長)に基づいて、文字列351’が印刷された領域の少なくとも一部と、次に行う第2の印刷データに基づく印刷処理において印刷する領域の少なくとも一部と、が互いに重ならないようにすることができる。
第2の印刷前処理を行った後、本実施形態の印刷装置1は、図9の(a12)に示したように、第2の印刷データの印刷イメージに基づいて被印刷媒体3の第2の印刷領域322への印刷を行う。第2の印刷領域322への印刷が正常に終了すると、印刷装置1は、図9の(a12)~(a14)に示したように、第2の印刷領域322の印刷終了位置322Rに基づいて設定されるフルカット位置304が搬送経路におけるフルカット位置に到達するように被印刷媒体3を正転搬送し、フルカッター701で被印刷媒体3をフルカットする。被印刷媒体3におけるフルカット位置304よりも上流側の部分313は、フルカットにより生じたカット端304aが新たな始端となる。
被印刷媒体3におけるフルカット位置304よりも下流側の第2の印刷領域322を含む部分は、フルカット後、ラベル31として印刷装置1の外部に排出される。(a14)には示されていないが、ラベル31は、(a12)に示されているように、第2の印刷領域322の下流側に、ハーフカットにより分離された、第1の印刷データに基づく印刷処理で文字列351’が印刷された部分312及び前余白311が隣接している。したがって、第2の印刷領域322への印刷が正常に終了した場合、無駄になるのは文字列351’が印刷された長さLPの部分312のみとなり、図8を参照して説明したような従来の印刷装置と比べて、無駄になる被印刷媒体3の量を少なくすることができる。
図9を参照して上述した印刷装置1の動作の例では、(a4’)に示したように被印刷媒体3の始端301がフルカット位置よりも上流にあるときに印刷を中止している。しかしながら、本実施形態に係る印刷装置1の上述した動作は、印刷を中止したときの被印刷媒体3の始端301の搬送経路上の位置がフルカット位置、又はフルカット位置よりも下流にある場合(例えば、図8の(a4)に例示した位置の場合)にも適用される。
なお、本実施形態に係る印刷装置1が行う第2の印刷前処理は、図7を参照して説明した処理に限らず、適宜変更可能である。例えば、第1の印刷データに基づく印刷処理が中止されたときの搬送量LP等に基づいて、印刷処理が中止される前に印刷が行われた領域と次に印刷する領域との間の位置をハーフカット及びフルカットのどちらにするかを決めてもよい。また、印刷処理が中止される前に印刷が行われた領域と、次に印刷する領域との間の位置をカットする場合には、これらの領域の間に空白領域を設けてもよい。空白領域を設けることにより、例えば、被印刷媒体をカットするときの位置ずれ等により、印刷処理が中止される前に印刷された文字の一部が次のラベル作成処理で作成されるラベルに残ってしまうことを防げる。
図10は、第2の印刷前処理の変形例を説明する図である。図10の(a20)~(a22)の被印刷媒体3における上流及び下流の関係は、図8の(a1)に示した関係と同じである。図10の(a20)の第3の印刷領域323内の袋文字は、第1の印刷データの印刷イメージに基づいて印刷される文字のうちのまだ被印刷媒体3に印刷されていない文字である。
図10の(a20)には、第1の印刷データの印刷イメージに基づいて「令和元年**期実績」という文字列323を印刷する処理において「期」という文字まで印刷した段階で印刷処理が中止されたときの、搬送経路における被印刷媒体3の状態を示している。このとき、被印刷媒体3の第3の印刷領域323のうちの、搬送経路における印刷位置よりも上流側の部分領域には、「実績」の2文字が印刷(印字)されていない。印刷を中止すると、印刷装置1は、第3の印刷領域323に印刷する処理における被印刷媒体3の搬送量LPを取得して保持する。搬送量LPは、搬送経路における、被印刷媒体3の第3の印刷領域323の印刷開始位置323Fから印刷位置までの距離(印刷長)に相当する。
第1の印刷データに基づく印刷が中止された後、次の印刷データに基づく印刷を行うことが可能になり、かつ第2の印刷データを受信すると、印刷装置1は、第2の印刷前処理を行う。図10を参照して説明する第2の印刷前処理の変形例では、印刷装置1は、例えば、保持している搬送量LP(印刷長)と、前余白311の長さLM等の設定に基づいて、被印刷媒体3の始端301から、搬送経路における印刷位置上にある位置(ライン)までの長さLXを算出する。その後、印刷装置1は、算出した長さLXが、搬送経路におけるフルカット位置から排出ローラ位置までの距離L4以上であるか否かを判定し、LX≧L4である場合には、図10の(a21)及び(a22)に示すように、第3の印刷領域323のうちの文字が印刷された領域323’の印刷終了位置323’Rに基づいて設定される位置305で、被印刷媒体3をフルカッター701によりフルカットする。このとき、被印刷媒体3の始端301は、搬送経路における排出ローラ位置を超えており、被印刷媒体3は排出ローラ8と接している。このため、フルカットにより生じたラベル32は、排出ローラ8により印刷装置1の外部に排出される。なお、フルカットする位置305は、領域323’の印刷終了位置323’Rよりも上流側の所定の距離(例えば、1mm)だけ離れた位置であってもよいし、印刷終了位置323’Rであってもよい。印刷終了位置323’Rよりも上流側をフルカットする位置305にした場合、フルカットするときの位置ずれ等により、領域323’に印刷された文字等の一部が、(a22)に例示したカット端305aを新たな始端とする被印刷媒体3の部分313に残ってしまうことを防げる。
図10の(a21)及び(a22)に例示した処理を行うと、フルカットにより生じた被印刷媒体3の始端305aは、搬送経路におけるフルカット位置に存在する。すなわち、図10の(a21)及び(a22)に例示した処理を行うことにより、搬送経路における被印刷媒体3の状態は、前回の印刷データに基づくラベル作成処理が正常に終了した後と同じ状態になる。このため、図10を参照して説明する第2の印刷前処理の変形例では、印刷装置1は、この後、第1の印刷前処理と同様の処理を行って、第2の印刷データに基づく印刷を行う。
一方、図示は省略するが、算出した長さLXが、搬送経路におけるフルカット位置から排出ローラ位置までの距離L4未満(LX<L4)である場合に被印刷媒体3を位置305でフルカットすると、被印刷媒体3の始端301は排出ローラ位置に到達していないので、フルカット後のラベル32を排出ローラ8により排出することができず、ラベル32が印刷装置1内に残存してしまうことがある。このため、LX<L4の場合、印刷装置1は、上述したステップS1242~S1245の処理を行う。
また、本実施形態の印刷装置1が行う第2の印刷前処理は、前回の印刷処理において中止するまでに印刷をした領域と、次の印刷処理において印刷をする領域との間をハーフカットする代わりに、当該2つの領域の間に直線や所定のマーク等を印刷してもよい。
[第2の実施形態]
以下、図11~図16を参照して、本発明の第2の実施形態を説明する。なお、第2の実施形態に係る印刷装置1の構成、機能、及び動作等のうちの、第1の実施形態に係る印刷装置1の構成、機能、及び動作等と同じであるものについては、具体的な説明を省略する。
図11は、第2の実施形態に係る印刷装置の構成例を説明するブロック図である。図11に例示した本実施形態の印刷装置1において、第1の実施形態に係る印刷装置1と異なる点は、制御部11が隠蔽制御部1103を含む点である。隠蔽制御部1103は、第1の印刷データに基づく印刷処理が中止された場合に、中止されるまでに被印刷媒体3に印刷(印字)された情報を隠蔽するように媒体処理部16の動作を制御する。
図12は、第2の実施形態に係る印刷装置と情報処理装置とにより行われる処理の一例を説明するシーケンス図である。
情報処理装置2によるステップS21~S24の処理、及び印刷装置1自身によるステップS11の処理を経て、情報処理装置2からの第1の印刷データを受信すると、印刷装置1は、ラベル作成処理を行う(ステップS12)。ステップS12のラベル作成処理として、印刷装置1は、図5~図7を参照しながら説明したような処理を行う。ラベル作成処理の途中で情報処理装置2等からの印刷中止の指示(中止指示)を受け付けると、印刷装置1は、動作を停止し、被印刷媒体3の搬送量LPを取得して保持し、ラベル作成処理を終了する。この後、印刷装置1は、印刷処理が中止されたことを示す処理結果を情報処理装置2に通知する(ステップS13)。該処理結果を受信した情報処理装置2は、印刷が中止されたことを示す案内画面を表示する(ステップS25)。
本実施形態では、情報処理装置2がステップS25において表示する案内画面に、中止した印刷処理において中止されるまでに被印刷媒体3に印刷された情報を隠蔽するか否かを選択可能なボタンを含める。このような案内画面を表示した情報処理装置2は、情報を隠蔽するか否かを判定する(ステップS26)。情報を隠蔽しないことを選択した場合(ステップS26;NO)、情報処理装置2は、案内画面を表示する(ステップS28)。ステップS28で表示する案内画面は、例えば、次の第2の印刷データに基づく印刷を印刷装置1に行わせることが可能な状態になったことを示す情報を含む。ステップS28で表示する案内画面は、次の印刷データを作成するか否かの選択、作成済みの印刷データを送信するか否かの選択等をすることが可能な選択ボタンを含んでもよい。
情報を隠蔽することが選択された場合(ステップS26;YES)、情報処理装置2は、隠蔽指示を印刷装置1に送信する(ステップS27)。
情報処理装置2からの隠蔽指示を受信すると、印刷装置1は、印刷処理を中止するまでに被印刷媒体3に印刷された情報を隠蔽するための隠蔽処理を行う(ステップS14)。隠蔽処理の具体例は、図13~図16を参照して後述する。隠蔽処理を終了すると、印刷装置1は、処理結果を情報処理装置2に通知し(ステップS15)、処理を終了する。印刷装置1からの隠蔽処理に関する処理結果を受信すると、情報処理装置2は、案内画面を表示する(ステップS28)。このとき表示される案内画面は、例えば、隠蔽処理が終了したことや、次の印刷を印刷装置1に行わせることが可能な状態になったことを示す情報を含む。
図13は、隠蔽処理の第1の例を説明するフローチャートである。
隠蔽処理の第1の例では、印刷装置1は、まず、第1の印刷データに基づく前回の印刷処理での印刷が中止されるまでの被印刷媒体3の搬送量LP(印刷長)を記憶部22から読み出す(ステップS1401)。ステップS1401は、制御部11の隠蔽制御部1103が行う。
次に、印刷装置1は、前回の搬送量LPに基づいて、被印刷媒体3における前回の印刷処理で印刷が行われた領域の印刷開始位置が搬送経路における印刷位置に到達するように被印刷媒体3を搬送する(ステップS1402)。ステップS1402は、制御部11(隠蔽制御部1103)による制御のもと、媒体処理部16の搬送部1601が行う。搬送部1601は、制御部11からの制御信号に従い、被印刷媒体3を搬送量LPだけ逆転搬送する。
次に、印刷装置1は、前回の搬送量LPに基づいて、被印刷媒体3における前回の印刷処理において印刷が行われた領域内に所定の印刷パターンを印刷する(ステップS1403)。ステップS1403は、制御部11(隠蔽制御部1103)による制御のもと、媒体処理部16の搬送部1601と印刷部1602とが行う。印刷部1602は、例えば、前回の印刷処理において印刷が中止されるまでに被印刷媒体3に印刷した文字を反転させて印刷する。つまり、本実施形態での隠蔽の際の印刷データの例は、第1の印刷データに基づいている。
次に、印刷処理は、被印刷媒体3における第1の印刷データに基づく前回印刷が行われた領域と、第2の印刷データに基づく次に印刷が行われる予定領域との間のカットする位置を設定する(ステップS1404)。ステップS1404は、隠蔽制御部1103が行う。隠蔽制御部1103は、例えば、前回印刷が行われた領域、すなわちステップS1403で所定の印刷パターンを印刷した領域の印刷終了位置、又は該印刷終了位置よりも上流側の所定の距離(例えば、1mm)だけ離れた位置をカットする位置に設定する。
次に、印刷装置1の隠蔽制御部1103は、被印刷媒体3における始端からカットする位置までの長さLXが搬送経路におけるフルカット位置から排出ローラ位置までの距離L4以上であるか否かを判定する(ステップS1405)。LX≧L4の場合(ステップS1405;YES)、印刷装置1は、ステップS1404で設定した被印刷媒体3のカットする位置をフルカットする(ステップS1406)。ステップS1406は、隠蔽制御部1103による制御のもと、媒体処理部16の搬送部1601とカット部1603とが行う。
LX<L4の場合(ステップS1405;NO)、印刷装置1は、例えば、ステップS1404で設定した被印刷媒体3のカットする位置をハーフカットした後、該ハーフカットした位置が搬送経路におけるフルカット位置に到達するように被印刷媒体3を搬送する(ステップS1407)。ステップS1407は、隠蔽制御部1103による制御のもと、媒体処理部16の搬送部1601とカット部1603とが行う。
ステップS1406又はS1407の処理を行った後、印刷装置1は、前回の印刷処理が中止されたことを示す情報をリセットし(ステップS1408)、隠蔽処理を終了する。ステップS1408は、隠蔽制御部1103が行う。隠蔽制御部1103は、例えば、記憶部22に記憶されている、印刷処理が中止されるまでに行われた印刷での被印刷媒体3の搬送量(印刷長)LPを示す情報を破棄するか又は無効な情報に書き換える。ステップS1408を行うことにより、次の印刷データに基づくラベル作成処理において、制御部11(開始前制御部1101)は、前回の印刷処理が正常に終了したものとして、第1の印刷前処理を行うことができる。
図14は、隠蔽処理の第1の例を具体的に説明する図である。図14の(a4’)は、図9の(a4’)と同じであり、第1の印刷領域321に印刷する処理が「令和元」という文字列351’を印刷した段階で中止された状態を示している。図14の(b1)~(b4)は、隠蔽処理の第1の例に従った印刷装置1の動作を時系列で示している。図14の被印刷媒体3における上流及び下流の関係は、図8の(a1)に示した関係と同じである。
第1の印刷領域321への印刷が中止された後、情報処理装置2からの隠蔽指示を受信すると、印刷装置1は、隠蔽処理を行う。図13に示した隠蔽処理の第1の例に沿った処理を行う場合、印刷装置1は、まず、図14の(b1)に例示したように、搬送量LPに基づいて、文字列351’が印刷された第1の印刷領域321の印刷開始位置321Fが、搬送経路における印刷位置に到達するように被印刷媒体3を逆転搬送する。その後、印刷装置1は、図14の(b2)に例示したように、搬送量LPに基づいて設定される印刷領域324内に隠蔽用の所定の印刷パターンを印刷する(ステップS1403)。印刷パターンは、例えば、印刷領域324内に印刷されている「令和元」という文字列351’を反転させたパターンとする。
図14に示した例では、被印刷媒体3の始端301から、印刷領域324と次の第2の印刷データに基づく印刷処理において印刷が行われる予定領域との間に設定されるカットする位置304までの長さLXが、搬送経路におけるフルカット位置から排出ローラ位置までの距離L4よりも短い。このため、印刷装置1は、図14の(b3)及び(b4)に示したように、設定したカットする位置304で被印刷媒体3をハーフカットした後、該ハーフカットした位置304が搬送経路におけるフルカット位置に到達するように被印刷媒体3を逆転搬送する。
また、図示は省略するが、被印刷媒体3の始端301からカットする位置304までの長さLXが搬送経路におけるフルカット位置から排出ローラ位置までの距離L4以上である場合、印刷装置1は、(b3)を行わずに被印刷媒体1における位置304をフルカットする。
このようにすると、次の印刷データに基づくラベル作成処理をするときの被印刷媒体3の状態は、被印刷媒体3におけるフルカット又はハーフカットされた位置304を新たな始端とし、かつ新たな始端304がフルカット位置にある状態となる。このため、次の第2の印刷データに基づくラベル作成処理において第1の印刷前処理を行った場合に、前回の印刷処理において印刷が行われた領域と、次に印刷が行われる領域とが重なることを防げる。
また、前回の印刷処理において印刷が中止されるまでに被印刷媒体3に印刷された情報を所定の印刷パターンにより隠蔽する(例えば、判別しにくくする)ことにより、印刷装置1から排出された被印刷媒体3(ラベル)における印刷領域324を含む部分は無効な部分であることを容易に判別できるとともに、印刷領域324に印刷された情報を他者に認識されにくくすることができる。なお、印刷領域324内に印刷する印刷パターンは、前回の印刷処理で印刷された文字列351’を反転させたものに限らず、適宜変更可能である。例えば、印刷領域内324には、複数の英数字をランダムに並べた文字列等、第1の印刷データ及び第2の印刷データとは異なる第3の印刷データに基づくものであってもよい。
また、本実施形態の印刷装置1が行う隠蔽処理は、上記のような印刷パターンを印刷する処理に限らず、例えば、ラベルとして使用することや印刷された情報を読み取ることが困難な小さなサイズに切り刻む処理であってもよい。
図15は、隠蔽処理の第2の例を説明するフローチャートである。
隠蔽処理の第2の例においても、印刷装置1は、まず、前回の印刷処理における印刷が中止されるまでの被印刷媒体3の搬送量LPを読み出す(ステップS1411)。その後、印刷装置1は、読み出した搬送量LPに基づいて、前回の印刷処理において印刷が行われた領域の印刷開始位置が搬送経路におけるハーフカット位置に到達するように被印刷媒体3を正転搬送する(ステップS1412)。ステップS1412は、制御部11(隠蔽制御部1103)による制御のもと、媒体処理部16の搬送部1601が行う。隠蔽制御部1103は、搬送経路における印刷位置からハーフカット位置までの距離L2と読み出した搬送量LPとの差と対応する搬送量L2-LPだけ被印刷媒体3を正転搬送する。
次に、印刷装置1は、搬送量LPに基づいて、前回の印刷処理において印刷が行われた領域を含む被印刷媒体3の所定の区間内を所定の間隔でハーフカットする(ステップS1413)。ステップS1413は、隠蔽制御部1103による制御のもと、媒体処理部16の搬送部1601とカット部1603とが行う。隠蔽制御部1103は、搬送量LPと、印刷装置1におけるハーフカットの最小間隔とに基づいて、ハーフカット1回当たりの被印刷媒体3の搬送量と、搬送回数とを導出する。搬送部1601とカット部1603とは、隠蔽制御部1103からの制御信号に従い、ハーフカット1回当たりの被印刷媒体3の搬送量だけ搬送する動作と、被印刷媒体3をハーフカットする動作とを繰り返す。
ステップS1413が終了した後、印刷装置1は、図13に例示した隠蔽処理の第1の例におけるステップS1404~S1408のそれぞれと対応するステップS1414~S1418の処理を行い、隠蔽処理を終了する。
図16は、隠蔽処理の第2の例を具体的に説明する図である。図16には、第1の印刷データに基づく印刷処理が「令和元年」という文字列を印刷した段階で中止されたときの被印刷媒体3と、隠蔽処理においてハーフカットする位置の例とを示している。
図16に例示した被印刷媒体3では、「令和元年」という文字列が印刷された印刷領域325の印刷終了位置325Rよりも上流側の所定の距離にある位置304がステップS1414でカットする位置に設定される。印刷終了位置325Rと位置304との距離は、例えば、1mmである。
上述した隠蔽処理の第2の例では、印刷装置1は、例えば、印刷領域325への印刷を含むラベル作成処理における第1の印刷前処理でハーフカットした位置302から、ステップS1414でカットする位置に設定される位置304までの区間を、印刷装置1におけるハーフカットの最小間隔GHで複数回ハーフカットする。これにより、隠蔽処理が終了して印刷装置1の外部に排出される被印刷媒体3における印刷領域325に印刷された情報(「令和元年」という文字列)を複数の被印刷媒体3の小片に分離して廃棄することができる。
また、被印刷媒体3における始端301からステップS1414で設定されるカットする位置304までの長さLXが搬送経路におけるフルカット位置から排出ローラ位置までの距離L4以上である場合には、位置304をフルカットして隠蔽処理を終了することにより、搬送経路における被印刷媒体3の状態は、第1の印刷データに基づく印刷処理を含む前回のラベル作成処理が正常に終了したときと同じ状態となる。一方、長さLXが距離L4よりも短い場合は、ハーフカットした位置304が搬送経路におけるフルカット位置にある状態で隠蔽処理を終了する。この場合も、隠蔽処理の第1の例で説明したように、ハーフカットした位置304を新たな始端とみなすことで、搬送経路における被印刷媒体3の状態は、第1の印刷データに基づく印刷処理を含む前回のラベル作成処理が正常に終了したときと同じ状態とみなすことができる。
なお、第2の実施形態に係る印刷装置1が行う隠蔽処理は、上述したような情報処理装置2の利用者が選択可能な処理に限らず、例えば、印刷装置1が印刷処理を中止した後で次の印刷データに基づく印刷処理を行うことが可能になったタイミング、又は次の印刷データを受信したタイミングで自動的に行うようにしてもよい。また、隠蔽処理は、上述した第1の例及び第2の例に限らず、適宜変更可能である。例えば、隠蔽処理は、印刷処理が中止されるまでに印刷が行われた領域に対して所定の印刷パターンを印刷する処理とハーフカットする処理との両方を含んでもよい。
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。印刷装置、制御方法、及びプログラムは、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。例えば、印刷装置1の制御部11に含まれる開始前制御部1101、開始後制御部1102、及び隠蔽制御部1103のそれぞれは、複数の処理部に分割されていてもよい。また、開始前制御部1101、開始後制御部102、及び隠蔽制御部1103のうちの2つ以上の制御部が1つの統合された制御部であってもよい。
また、例えば、上述した実施形態において印刷装置1の制御部11が行う処理(制御)として説明した複数の処理のうちの1つ以上の処理は、印刷装置1と通信する情報処理装置2の制御部21が行ってもよい。例えば、第1の印刷データに基づく印刷処理が中止されるまでに印刷が行われた被印刷媒体3の搬送量LP(印刷長)を取得する処理や、第2の印刷データに基づく印刷処理を開始させるときに、取得された印刷長に基づいて、第1の印刷データに基づく印刷が行われた領域の少なくとも一部と、第2の印刷データに基づく印刷が行われる予定領域の少なくとも一部と、が互いに重ならないように、予定領域への印刷の前に行う搬送処理での被印刷媒体の搬送量を設定する処理を、情報処理装置2により行ってもよい。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
搬送経路に沿って被印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、
前記被印刷媒体をカットするカット部と、
前記搬送部、前記印刷部、及び前記カット部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記印刷部による第1の印刷データに基づく印刷処理が中止されたことを検出した場合に、前記第1の印刷データに基づいて印刷が行われた前記被印刷媒体の印刷長を取得し、
前記第1の印刷データに基づく印刷処理が中止された後で、前記第1の印刷データに基づいて印刷が行われた領域の少なくとも一部と、前記印刷部による第2の印刷データに基づく印刷が行われる予定領域の少なくとも一部と、が互いに重ならないように、前記予定領域への印刷前の搬送処理における前記被印刷媒体の搬送量を、前記印刷長に基づいて設定する
ことを特徴とする印刷装置。
[付記2]
前記搬送部は、前記被印刷媒体を前記搬送経路に沿った第1の方向に搬送する動作と、前記第1の方向とは反対の第2の方向に搬送する動作とを行うことが可能であり、
前記制御部は、
前記印刷部に印刷処理を開始させる前に、前記搬送部に前記被印刷媒体を前記第1の方向に搬送させ、かつ、前記カット部に、前記被印刷媒体の始端と前記印刷部に印刷させる領域との間となる位置で前記被印刷媒体をカットさせ、
前記被印刷媒体において前記カット部によりカットされた位置が、前記搬送経路における前記印刷部による印刷が行われる位置と前記被印刷媒体をカットするカット位置との間の所定の位置に到達するように、前記搬送部に、前記被印刷媒体を前記第2の方向に搬送させる
ことを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
[付記3]
前記制御部は、
前記第2の印刷データの前余白の長さと、前記第1の印刷データに基づいて印刷が行われた前記被印刷媒体の前記印刷長及び前記第1の印刷データの前余白の長さと、によって、前記第1の印刷データに基づいて印刷が行われた領域と、前記第2の印刷データに基づいて印刷が行われる前記予定領域との間隔を設定する
ことを特徴とする付記1又は2に記載の印刷装置。
[付記4]
前記制御部は、前記第2の印刷データの前余白の長さが、前記第1の印刷データに基づいて印刷が行われた前記被印刷媒体の前記印刷長と、前記第1の印刷データの前余白の長さと、の和未満である場合には、前記第1の印刷データに基づいて印刷が行われた領域の終端から前記被印刷媒体の始端までの区間に、前記第2の印刷データに基づく印刷処理での前余白が含まれるように、前記第2の印刷データに基づいて印刷を行う前記予定領域の印刷開始位置を決定する
ことを特徴とする付記3に記載の印刷装置。
[付記5]
前記制御部は、前記第2の印刷データの前余白の長さが、前記第1の印刷データに基づいて印刷が行われた前記被印刷媒体の前記印刷長と、前記第1の印刷データの前余白の長さと、の和以上である場合には、前記被印刷媒体の始端を前記第2の印刷データの前余白の一端として、前記第2の印刷データに基づいて印刷を行う前記予定領域の印刷開始位置を設定する
ことを特徴とする付記3又は4に記載の印刷装置。
[付記6]
前記制御部は、前記印刷部による前記第1の印刷データに基づく印刷処理が中止された後に、前記第1の印刷データに基づいて前記被印刷媒体に印刷された情報を隠蔽するための動作を、前記搬送部と、前記印刷部及び前記カット部の少なくとも一方とに行わせる
ことを特徴とする付記1~5のいずれか一つに記載の印刷装置。
[付記7]
前記制御部は、前記印刷部と前記カット部との少なくとも一方に、前記第1の印刷データに基づく印刷処理において印刷が行われた領域に印刷された情報を隠蔽させた後、前記第1の印刷データに基づく印刷が行われた領域が、前記第1の印刷データに基づく印刷処理が正常に終了した場合に搬送される前記搬送経路上の位置に到達するように前記搬送部に前記被印刷媒体を搬送させ、前記第1の印刷データに基づく前記印刷処理が中止されたことを示す情報をリセットする
ことを特徴とする付記6に記載の印刷装置。
[付記8]
前記カット部は、前記被印刷媒体の厚さ方向及び幅方向の両方において前記被印刷媒体の全体をカットするフルカッターと、前記被印刷媒体の幅方向の全体及び厚さ方向の一部がカットされるように前記被印刷媒体をカットするハーフカッターとを含み、
前記制御部は、前記印刷長に基づいて導出される、前記被印刷媒体の始端から前記第1の印刷データに基づいて印刷が行われた領域の印刷終了端までの距離が、前記搬送経路における所定の長さよりも長い場合には、前記第2の印刷データに基づく前記被印刷媒体への印刷を開始する前に、前記フルカッターによる前記被印刷媒体のカットを前記カット部に行わせる
ことを特徴とする付記1~7のいずれか一つに記載の印刷装置。
[付記9]
前記印刷長を保持する記憶部
を更に備えることを特徴とする付記1~8のいずれか一つに記載の印刷装置。
[付記10]
前記制御部は、前記印刷部に印刷処理を行わせている間の、前記搬送部による前記被印刷媒体の搬送量を取得し、前記印刷部による印刷処理が中止された時点での前記被印刷媒体の搬送量を、前記被印刷媒体の印刷長として取得する
ことを特徴とする付記1~9のいずれか一つに記載の印刷装置。
[付記11]
前記制御部は、前記第1の印刷データに基づく印刷処理を途中で終了して、前記第1の印刷データに基づく残りの印刷処理を行わないことを示す情報を取得した場合に、前記印刷処理が中止されたことを検出する
ことを特徴とする付記1~10のいずれか一つに記載の印刷装置。
[付記12]
搬送経路に沿って被印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、
前記被印刷媒体をカットするカット部と、
前記搬送部、前記印刷部、及び前記カット部の動作を制御する制御部と、を備える印刷装置における前記制御部が、
前記印刷部による第1の印刷データに基づく印刷処理が中止されたことを検出した場合に、前記第1の印刷データに基づいて印刷が行われた前記被印刷媒体の印刷長を取得し、
前記第1の印刷データに基づく印刷処理が中止された後で、前記第1の印刷データに基づいて印刷が行われた領域の少なくとも一部と、前記印刷部による第2の印刷データに基づく印刷が行われる予定領域の少なくとも一部と、が互いに重ならないように、前記予定領域への印刷前の搬送処理における前記被印刷媒体の搬送量を、前記印刷長に基づいて設定する
ことを特徴とする制御方法。
[付記13]
被印刷媒体に印刷する印刷装置と通信して前記印刷装置の動作を制御する情報処理装置が、
前記印刷装置における第1の印刷データに基づく印刷処理が中止されたことを検出した場合に、前記第1の印刷データに基づいて印刷が行われた前記被印刷媒体の印刷長を取得し、
前記第1の印刷データに基づく印刷処理が中止された後で、前記第1の印刷データに基づいて印刷が行われた領域の少なくとも一部と、第2の印刷データに基づく印刷が行われる予定領域の少なくとも一部と、が互いに重ならないように、前記予定領域への印刷前の搬送処理における前記被印刷媒体の搬送量を、前記印刷長に基づいて設定する
ことを特徴とする制御方法。
[付記14]
搬送経路に沿って被印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、
前記被印刷媒体をカットするカット部と、
前記搬送部、前記印刷部、及び前記カット部の動作を制御する制御部と、を備える印刷装置において前記制御部に実行させるプログラムであって、
前記印刷部による第1の印刷データに基づく印刷処理が中止されたことを検出した場合に、前記第1の印刷データに基づいて印刷が行われた前記被印刷媒体の印刷長を取得し、
前記第1の印刷データに基づく印刷処理が中止された後で、前記第1の印刷データに基づいて印刷が行われた領域の少なくとも一部と、前記印刷部による第2の印刷データに基づく印刷が行われる予定領域の少なくとも一部と、が互いに重ならないように、前記予定領域への印刷前の搬送処理における前記被印刷媒体の搬送量を、前記印刷長に基づいて設定する
処理を含むことを特徴とするプログラム。