JP7439387B2 - 消臭積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、汚物を収容する為の、臭気バリア層と消臭層とを有する消臭積層体、そして、粘着性樹脂をさらに含有して自己粘着性を有する消臭積層体、および該消臭積層体から作製された、消臭包装材料、消臭包装体、消臭包装資材、消臭包装袋に関する。
本発明による消臭積層体は、消臭性を要求される様々な分野の製品に適用することができ、特に汚物を収容する為の包装材料として好適に用いることができる。例えば、屎尿や吐瀉物およびこれらが染み込んだ布、食品廃棄物、有機肥料等の収容用途に用いることができる。
従来、屎尿や吐瀉物およびこれらが染み込んだ布、食品廃棄物、有機肥料等を収容する包装袋としては、ポリエチレンをヒートシールして作製した包装袋が多く用いられてきた。(特許文献1)
あるいは、段ボール箱に消臭剤とともに梱包する方式が採られてきた。(特許文献2)
さらには、リグニンスルホン酸塩を消臭剤として樹脂に混合して作製した包装袋が提案されているが、限られたpH領域でしか消臭効果を発揮できなかった。(特許文献3)
特開平07-329988 特開平10-147385 特開2005-200557号公報
本発明は、上述の問題を解決し、製造適正に優れ、簡易な層構成でありながら、屎尿や吐瀉物およびこれらが染み込んだ紙や布、生ごみ、有機肥料等の汚物を収容性する為の、非常に優れた消臭性を有する消臭積層体、優れた自己粘着性をさらに有する消臭積層体、および、該消臭積層体から作製される包装材料、包装体、包装資材、包装袋を提供することを課題とする。
本発明者らは、種々検討の結果、特定の臭気バリア層を有し、消臭剤を含有する積層体が、上記の目的を達成することを見出した。
すなわち、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.汚物を収容する為の、消臭積層体であって、
該消臭積層体は、少なくとも、臭気バリア層と、消臭層とを有し、
該臭気バリア層は、SP(溶解度パラメータ)値が9以上の熱可塑性樹脂を含み、
前記消臭層は、消臭剤を含有することを特徴とする、
消臭積層体
2.前記消臭層が、さらに、粘着性樹脂を含有し、前記消臭積層体の片面の表面層であり。自己粘着性を有し、
該粘着性樹脂は、密度が0.88g/cm3以上、0.915g/cm3以下の、粘着性LLDPEであることを特徴とする、
上記1に記載の、消臭積層体。
3.前記消臭積層体の消臭層同士を対向して重ねて、40℃において0.18MPaの圧
力を12時間かけた後に、300mm/minの速度で、剪断方向に剥がした時の粘着力が、1.5N/15mm以上であることを特徴とする、
上記2に記載の、消臭積層体。
4.前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる1種または2種以上を含むことを特徴とする、
上記1~3の何れかに記載の、消臭積層体。
5.前記消臭積層体が、粘着層をさらに有し、
該粘着層は、前記消臭剤を含有せず、前記粘着性樹脂を含有し、前記消臭積層体の片面の表面層であることを特徴とする、
上記2~4の何れかに記載の、消臭積層体。
6.前記消臭剤が、無機多孔体、金属担持無機物、無機臭気分解剤からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする、
上記1~5の何れかに記載の、消臭積層体。
7.前記消臭剤は、最大粒子径が20μm以下であり、数平均粒子径が5μm以上、15μm以下であることを特徴とする、
上記1~6の何れかに記載の、消臭積層体。
8.前記消臭剤を含有する層中の前記消臭剤の含有量が、0.1質量%以上、30質量%以下であることを特徴とする、
上記1~7の何れかに記載の、消臭積層体。
9.上記1~8の何れかに記載の消臭積層体を用いて作製したことを特徴とする、消臭包装材料。
10.上記9に記載の消臭包装材料を用いて作製したことを特徴とする、消臭包装資材。11.上記9に記載の消臭包装材料を用いて作製したことを特徴とする、消臭包装体。
12.上記9に記載の消臭包装材料を用いて作製したことを特徴とする、消臭包装袋。
本発明の消臭積層体は、製造適正に優れ、簡易な層構成でありながら、屎尿や吐瀉物およびこれらが染み込んだ紙や布、生ごみ、有機肥料等の汚物を収容性した際に、非常に優れた消臭性を発揮することができ、そして優れた自己粘着性をさらに有することによって、優れた汚物の収容性を発揮することができる。
また、本発明の消臭積層体から作製される包装材料、包装体、包装資材、包装袋は、簡易な層構成でありながら、消臭積層体由来の該消臭性を発揮することができ、さらには該収容性を発揮することができる。
本発明の消臭積層体の層構成について、その一例を示す概略的断面図である。 本発明の消臭積層体の層構成について、その別態様の一例を示す概略的断面図である。 本発明の消臭積層体の層構成について、そのさらに別態様の一例を示す概略的断面図である。
各図においては、解り易くする為に、部材の大きさや比率を変更または誇張して記載することがある。また、見易さの為に説明上不要な部分や繰り返しとなる符号は省略することがある。
本発明の消臭積層体、消臭包装材料、消臭包装体、消臭包装資材、消臭包装袋について、以下に更に詳しく説明する。具体例を示しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<消臭積層体>
本発明の消臭積層体は、汚物を収容する為の積層体であって、優れた消臭性を有する。
消臭積層体は、少なくとも、特定の樹脂を含有する臭気バリア層を有し、消臭剤を含有する。また、必要に応じて、上記以外に、接着層や種々の機能層等を有していてもよい。例えば、臭気バリア層を支持するための支持層を、接着剤を介して有することができる。また、粘着性樹脂やヒートシール性の樹脂を含有することができる。
そして、消臭積層体は、粘着性樹脂を含有する粘着層を含むことができる。消臭積層体が自己粘着性を発揮する為に、粘着層は、消臭積層体の片面の表面層であることが好ましい。
防臭積層体は、臭気バリア層を有することによって防臭性を示し、消臭剤を含有することによって消臭性を示す。そして、ヒートシール性の樹脂をさらに含有することによってヒートシール性、製袋性をさらに示すことができ、粘着性樹脂をさらに含有することによって自己粘着性をさらに示すことができ、さらに優れた収容性を示すことができる。
収容される汚物としては、例えば、糞尿、排泄物、吐瀉物、生ごみ、廃棄食品等の、臭いを発生させるものが挙げられる。
消臭積層体は、例えば、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を含有することができる。その含有量としては、極微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に含有することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、アンチブロッキング剤、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、改質用樹脂等を含有することができる。
消臭積層体の厚みに特に制限は無いが、10μm以上、100μm以下が好ましい。上記範囲よりも薄いと剛性が低すぎたり、破れやすかったり、充分な消臭効果を発揮し難くなり易く、上記範囲よりも厚いと剛性が強すぎて、包装材料や包装資材としての使い勝手が悪くなり易い。
消臭積層体の作製は、予め作製された各層を構成するフィルムを、接着層を介して積層してもよく、予め作製された層上に溶融した樹脂組成物を(共)押出によって積層してもよく、複数層を同時に作製しながら溶融圧着によって積層してもよく、または、他の層上に、1種または2種以上の樹脂を、塗布及び乾燥してコーティングしてもよい。
例えば、(共)押出法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等従来から使用されている製膜化法および/または積層法により行うことができる。
消臭積層体および/または消臭積層体を構成する各層は、さらに、必要に応じて、テンター方式やチューブラマ方式等を利用して、1軸延伸または2軸延伸することができる。1軸延伸または2軸延伸は従来公知の方法で行うことができる。
また、消臭積層体を構成する各層間には、接着性を向上させるために、各層の表面に、必要に応じて、予め、所望の表面処理を施すことができる。
例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスまたは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いたる酸化処理等の前処理を任意に施して、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層等を形成して設けることができる。
或いは、表面に、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層、接着層、蒸着アンカーコート剤層等の各種コート剤層を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
上記の各種コート剤層には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウ
レタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンもしくはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂またはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を用いることができる。
[ヒートシール性の樹脂]
ヒートシール性の樹脂は、熱によって溶融して融着し得るものであれば、特に制限無く、公知の樹脂を用いることができる。
ヒートシール性の樹脂の具体例としては、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセンポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸その他等の不飽和カルボン酸で変性したポリオレフィン系樹脂、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル-不飽和カルボン酸の三元共重合体樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、環状オレフィンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリロニトリル(PAN)などが挙げられる。
これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリエチレン系樹脂がより好ましく、低密度ポリエチレンと直鎖状(線状)低密度ポリエチレンがさらに好ましい。
また、粘着性樹脂および/または支持層に含有される熱可塑性樹脂がヒートシール性の樹脂を兼ねることもできる。
[臭気バリア層]
臭気バリア層は、収容物からの臭気の透過を抑制する層である。
臭気バリア層は、SP(溶解度パラメータ)値が9以上の熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。熱可塑性樹脂のSP値が高い程、臭気バリア性は高くなる傾向にあり、上記範囲よりも小さいと臭気バリア性が不十分になり易い。SP値の上限は特に無いが、入手し易さ等を考慮すると、20以下が好ましい。
このようなSP値を有する熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ニトリル樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。
臭気バリア層は、これらからなる群から選ばれる1種または2種以上を含むことが好ましく、これらの中でも、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる1種または2種以上を含むことが特に好ましい。
さらに、臭気バリア層は、臭気バリア性を阻害しない範囲内で、上記以外の熱可塑性樹脂を含有することもできる。
臭気バリア層は、1層で構成されていてもよく、組成が同一または異なる2層以上で構成されていてもよい。
臭気バリア層の厚みに特に制限は無く、含有される熱可塑性樹脂の種類によっても異なるが、3μm以上、70μm以下が好ましい。上記範囲よりも薄いと剛性が低すぎたり、破れやすかったり、充分な消臭効果を発揮し難くなり易く、上記範囲よりも厚いと剛性が強すぎて、包装材料や包装資材の使い勝手が悪くなり易い。
[支持層]
支持層は必要に応じて含まれる層であり、例えば、消臭積層体の剛性を補う為に含まれ、消臭積層体の片面の表面層として含まれて、消臭積層体を巻いたり重ねたりした際に、ブロッキングを防ぐために、粘着性が無いことが好ましい。
支持層に含有される樹脂としては、LDPEやLLDPEが好ましい。
支持層の厚みに特に制限は無いが、1μm以上、50μm以下が好ましい。上記範囲よりも薄いと剛性を補強する効果を発揮し難く、上記範囲よりも厚いと剛性が強すぎて、包装材料や包装資材としての使い勝手が悪くなり易い。
支持層は、粘着性樹脂やヒートシール性樹脂を含有することができる。
[消臭層]
消臭層は、消臭剤を含有する層であり、消臭剤を分散させるための熱可塑性樹脂も含有する。また、粘着性LLDPEを含有していてもよい。
消臭層の厚みに特に制限は無いが、10μm以上、50μm以下が好ましい。上記範囲よりも薄いと充分な消臭効果を発揮し難く、上記範囲よりも厚くても消臭効果はそれほど向上せず、消臭積層体の剛性が強くなりすぎて、包装材料や包装資材としての使い勝手が悪くなり易い。
[消臭剤]
消臭剤は、無機多孔体、金属担持無機物、無機臭気分解剤からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有することが好ましい。汚物が屎尿の場合には、臭気成分は硫化水素とアンモニアを含有するが、上記の消臭剤はこれらの臭気成分を効率よく消臭することができる。収容物の汚物の臭気の種類によって、消臭剤の組成を選択することが好ましい。
また、必要に応じて、上記以外の消臭剤を併用することもできる。
上記の消臭剤は粉体で用いられるが、粉体の最大粒子径は20μm以下が好ましく、数平均粒子径は0.1μm以上、15μm以下が好ましい。数平均粒子径が上記範囲よりも小さいと、消臭剤が凝集し易くなり、最大粒子径または数平均粒子径が上記範囲よりも大きいと、20μm以下のフィルム厚または層厚の場合に、フィルム厚または層厚よりも大きい粒子が存在して均質性に劣ることになり易く、消臭性能も劣り易くなり、自己粘着性を低下させ易くなる。
消臭剤を含有する層中の、前記消臭剤の含有量は、0.1質量%以上、30質量%以下が好ましい。上記範囲よりも少ないと、充分な消臭性を発揮し難くなり易く、上記範囲よりも多くても消臭性は特に向上せず、剛性が強くなり過ぎたり、自己粘着性を低下させ易くなる。
(無機多孔体)
消臭剤に用いられる無機多孔体としては、例えば、活性白土や活性化ベントナイトが挙げられる。
活性白土は、天然に産出するモンモリロナイトを主成分とする酸性白土を硫酸や塩酸等の無機酸で熱処理して得られる、多孔質で大きな比表面積を持ち、吸着性に優れる粘土の一種である。
活性白土は比表面積の大きいものが好ましく、比表面積に特に制限は無いが、比表面積50~400m2/gのものが入手し易い。pH(5%サスペンジョン)は2.5~9が好ましく、3~7がより好ましい。
活性化ベントナイトは、Ca型ベントナイトに対して数wt%の炭酸ナトリウムを加えて人工的にNa型化させたものであり、Na型ベントナイトに近い特性を示すものである。
ここで、ベントナイトとは、粘土鉱物であるモンモリロナイトを主成分し、不純物として石英や長石などの鉱物を含むものであり、Na+イオンを多く含むNa型ベントナイトと、Ca2+イオンを多く含むCa型ベントナイトの2種類に大別される。
(金属担持無機物)
金属担持無機物は、消臭効果のある無機物であり、リン元素や銅やケイ素やその他の金
属塩が無機物に担持された化合物を含有する。含有する金属元素等の極微量がイオン化して消臭効果を発揮することができる。
金属担持無機物は、金属担持無機物中の金属成分等がイオン化して、臭気物質の分解反応を促進する触媒作用を発揮する。
(無機臭気分解剤)
無機臭気分解剤は、金属カチオンと無機酸アニオンからなる塩が、金属酸化物と混合されたものが挙げられ、具体的には、ミョウバン(AlK(SO42)をCaOおよびZnOと混合したもの等が挙げられる。
金属塩担持無機物無機臭気分解剤は、金属塩担持無機物無機臭気分解剤中の金属成分等がイオン化して、硫黄系悪臭物質の分解反応を促進する触媒作用を発揮する。
(自己粘着性)
消臭積層体の自己粘着性は、消臭積層体が生活温度域で使用されることから、10~50℃で、発揮されることが好ましい。
消臭積層体の自己粘着性は、剪断方向に剥がした時の粘着力が、1.5N/15mm以上が好ましい。上記以上の粘着力が有れば、汚物を充分に密封して収容することができる。
好ましい粘着力に上限は特に無いが、汚物を追加収容する際等に一旦開封する場合には、15N/15mm以下であることが好ましく、垂直方向に剥離した際には容易に手で剥離できることが好ましい。消臭積層体の自己粘着性は自己接着性とは異なり、密封と開封を容易に繰り返せることが長所にも成り得る。
粘着性の測定評価方法としては、例えば、先ず、消臭積層体の粘着面同士を対向して重ねて、40℃において0.18MPの圧力を12時間かける。そして、剪断方向に300mm/minの速度で剥がして粘着力を測定し、垂直方向には、手で剥がして剥離の容易性を官能評価する。
[粘着層]
粘着層は、消臭積層体が自己粘着性を必要としなかったり、消臭剤を含有する層等の他の層が充分な自己粘着性を有している場合には、特に設ける必要が無い層である
消臭積層体が自己粘着性を有する場合には、消臭積層体は、消臭剤を含有する層等に粘着性樹脂を含有させてもよいが、消臭剤を含有する層中の消臭剤濃度が高い為に充分な自己粘着性を発揮できない場合等に、粘着性樹脂を含有するが消臭剤を含有しない粘着層を有することができる。粉体である消臭剤を含有しないことで、優れた自己粘着性を発揮することができる。
粘着層は消臭積層体の少なくとも片側の表面層に設けることが好ましい。
また、粘着層は、自己粘着性を調節する為に、汎用の熱可塑性樹脂を併用することもできる。
粘着層の厚みに特に制限は無いが、1μm以上、30μm以下が好ましい。上記範囲よりも薄いと自己粘着性を発揮し難く、上記範囲よりも厚くても自己粘着性はそれほど向上せず、粘着層が変形し易くて均質な層構成を維持し難くなり易い。
粘着層は、1層構成であっても、組成が同一または異なる2層以上で構成されていてもよい。
[粘着性樹脂]
粘着性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、EVA、NBRゴム、SBRゴム等の粘着性を有するグレードが好ましく、ポリオレフィン系樹脂の粘着性を有するグレードがより好ましく、LLDPEの粘着性を有するグレード(以下、粘着性LLDPEと記載する)がさらに好ましい。
LLDPEは、JIS K6899-1:2000において、密度は0.910g/cm3以上、0.925g/cm3以下であるとされているが、本発明において、粘着性LLDPEは、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)の中でも、特に良好な粘着性を有するLLDPEのことであり、密度が0.88g/cm3以上、0.915g/cm3以下のLLDPEを指す。
密度が上記範囲よりも小さいと、粘着性が強過ぎたり、軟化点が低すぎて、層構造を維持することが困難になり易い。密度が上記範囲よりも大きいと、充分な粘着性を発揮することが困難になり易い。
[接着層]
接着層に用いられる接着剤は、特に制限は無く、ドライラミネート用接着剤、EC(エクストルージョンコート)用接着剤、ノンソルベントラミネート用接着剤、任意のアンカーコート剤等を用いることができる。
また、接着剤は、熱硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型等のいずれであってよく、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの形態でもよく、また、その性状は、フィルム/シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよい。
このような接着層を形成する成分としては、ポリ酢酸ビニルや酢酸ビニル-エチレン共重合体等のポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸とポリスチレン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル等との共重合体からなるポリアクリル酸系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、LDPE等のポリオレフィン系接着剤、尿素樹脂又はメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン-ブタジエンゴム等からなるエラストマー系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等が挙げられる。
<消臭包装材料>
消臭包装材料は、本発明の消臭積層体を用いて作製した包装材料であり、消臭性を有し、必要に応じて自己粘着性を有することもできる。
消臭包装材料は、消臭積層体からなる層と、必要に応じた様々な機能層とを有することができる。
<消臭包装資材>
消臭包装資材は、本発明の消臭包装材料を用いて作製した包装資材であり、消臭性を有し、必要に応じて自己粘着性を有することもできる。
消臭包装資材の具体例としては、消臭包装材料のロール巻等が挙げられる。
<消臭包装体>
消臭包装体は、本発明の消臭包装材料を用いて作製した包装体であり、消臭性を有し、必要に応じて自己粘着性を有することもできる。
<消臭包装袋>
消臭包装袋は、本発明の消臭包装材料を用いて作製した包装袋であり、袋状になった包装体の一態様であり、消臭性を有し、必要に応じて自己粘着性を有することもできる。
<原材料>
[臭気バリア樹脂]
・ナイロン1:宇部興産(株)社製ナイロン6/66共重合体、UBE5033B。SP値13.6。
・EVOH1:ポリビニルアルコール。SP値19。
・PET1:ポリエチレンテレフタレート。SP値10.7。
[樹脂]
・粘着性LLDPE1:株式会社プライムポリマー製LLDPE、エボリューSP0510。密度0.903g/cm3
・粘着性LLDPE2:株式会社プライムポリマー製LLDPE、エボリューSP1022。密度0.909g/cm3
・汎用LLDPE1:株式会社プライムポリマー製LLDPE、エボリューSP2020。密度0.916g/cm3。SP値8。
・汎用LDPE1:日本ポリエチレン株式会社製LDPE、ノバテックLC600A。密度0.918g/cm3。SP値8。
[消臭剤]
・無機多孔体1:水澤化学工業株式会社製、活性白土、ガレオンアース。数平均粒子径5μm。
・無機多孔体2:水澤化学工業株式会社製、活性化ベンナイト、ベンクレイ。数平均粒子径4.5μm。
・金属担持無機物1:石塚硝子株式会社製、リン酸塩銅混練ガラス。数平均粒子径5μm。
・無機臭気分解剤1:大日精化工業製株式会社製消臭剤含有樹脂組成物、ダイムシュー。消臭剤含有量30質量%。消臭剤成分は、AlK(SO42のCaO/ZnO担持物。最大粒子径7~20μm、数平均粒子径5~15μm。
[その他]
・接着性樹脂1:三井化学株式会社製変性ポリオレフィン、アドマーNF557
・AB剤1:住友化学株式会社製アンチブロッキング剤、EMB-21。
<マスターバッチの調製>
[マスターバッチ1の調製]
汎用LDPE1と、消臭剤の無機多孔体1とを下記割合でメルトブレンドし、マスターバッチ1(MB1)を得た。
汎用LDPE1 70質量部
無機多孔体1 30質量部
[マスターバッチ2、3の調製]
表1の配合に従って、マスターバッチ1と同様に、メルトブレンドし、マスターバッチ2、3(MB2、3)を得た。
Figure 0007439387000001
[実施例1]
先ず、消臭層用の樹脂組成物を下記配合で調整した。
MB1 33質量部
粘着性LLDPE1 67質量部
そして、臭気バリア層用のナイロン1と、接着性樹脂1と、上記で得た消臭層用の樹脂組成物とを、インフレーション法によって製膜および積層して、下記3層構成の積層体を作製し、各種評価を実施した。
臭気バリア層(5μm)/接着層(5μm)/消臭層(20μm)
[実施例2~4]
消臭層用のMB1を、表2の記載に従ってMB2、3または無機臭気分解剤1に変更した以外は、実施例1と同様に操作して、積層体を得て、同様に評価した。
[実施例5]
臭気バリア層用のナイロン1を、表2の記載に従って、EVOH1に変更した以外は、実施例1と同様に操作して、積層体を得て、同様に評価した。
[実施例6]
臭気バリア層用のPET1を用いて、押出し法により5μm厚のフィルムを作製し、該フィルム上に、接着性樹脂1、上記で調整した粘着層用の樹脂組成物2の順で積層されるように、共押出し法によって積層して、下記構成の防臭積層体を得て、各種評価を行った。
臭気バリア層(5μm)/接着層(5μm)/粘着層(20μm)
[実施例7]
まず、下記原料を混合して、粘着層用の樹脂組成物を得た。
粘着性LLDPE1 95質量部
アンチブロッキング剤1 5質量部
消臭層には、実施例1で調整した消臭層用の樹脂組成物を用いて、実施例1と同様に操作して、下記4層構成の積層体を得て、同様に評価した。
臭気バリア層(5μm)/接着層(5μm)/消臭層(15μm)/粘着層(5μm)
[実施例8]
先ず、消臭層用の樹脂組成物を下記配合で調整した。
MB1 33質量部
粘着性LLDPE2 67質量部
次に、下記原料を混合して、粘着層用の樹脂組成物を得た。
粘着性LLDPE2 95質量部
アンチブロッキング剤1 5質量部
そして、臭気バリア層用のナイロン1と、接着性樹脂1と、上記で得た消臭層用の樹脂組成物と、上記で得た粘着層用の樹脂組成物とを、インフレーション法によって製膜および積層して、下記4層構成の積層体を作製し、実施例1と同様に、各種評価を実施した。
臭気バリア層(5μm)/接着層(5μm)/消臭層(15μm)/粘着層(5μm)
[比較例1]
先ず、下記原料を混合して、粘着層用の樹脂組成物を得た。
粘着性LLDPE1 95質量部
アンチブロッキング剤1 5質量部
そして、消臭層を形成せず、臭気バリア層用のナイロン1と、接着性樹脂1と、上記で得た粘着層用の樹脂組成物とを、インフレーション法によって製膜および積層して、下記3層構成の積層体を作製し、実施例1と同様に、各種評価を実施した。
臭気バリア層(5μm)/接着層(5μm)/粘着層(20μm)
[比較例2]
臭気バリア層には臭気バリア性の無い汎用LLDPE1を用い、消臭層を形成せず、粘着層には粘着性LLDPE1を用い、汎用LLDPE1と、粘着性LLDPE1とを、インフレーション法によって製膜および積層して、下記2層構成の積層体を作製し、実施例1と同様に、各種評価を実施した。
臭気バリア層(20μm)/粘着層(5μm)
<結果まとめ>
本発明の全実施例の積層体は良好な製膜性、製袋性、消臭性を示した。
しかしながら、消臭層を有していない比較例1の積層体は劣った消臭性を示し、臭気バリア層に臭気バリア性の無い樹脂を用い、消臭層を有さない比較例2は、劣った消臭性を示した。
Figure 0007439387000002
Figure 0007439387000003
<評価>
[製膜性]
積層体の外観を肉眼で観察し、不良の有無を下記評価基準で評価した。
○:積層体に皺、ぶつ、剥離が無かった。
×:積層体に皺、ぶつ、剥離が有った。
[自己粘着性]
(剪断方向粘着力)
積層体を100mm(機械進行方向/以下MD方向)×50mmに2枚切りとり、同一面同士を対向させて重ね合せ、更に、上下のフィルムをMD方向に50mmずらした。
次に、上下の積層体各々の重ね合っていない長さ50mm×幅50mm部分は非圧着部分とし、重なり合っている長さ50mm×幅50mm部分を圧着部分として、ブロッキングハンドテスタ―で0.18MPの圧力をかけて圧着した状態で、40℃で12時間静置した後に15mm幅に裁断して試験片を作製した。
そして、非圧着部分を引っ張り試験機に上下一枚ずつ挟みこみ、300mm/minの
速度でMD方向に引っ張り、剪断剥離強度を測定した。
粘着力が、1.5N/15mm以上の場合を合格とした。
(垂直方向剥離性)
剪断方向粘着力の測定用に作製した試験片を用いて、重ねられている積層体の片面を台の上に貼り付けて固定し、上になっている積層体の非圧着部分の端を垂直に持ち上げて剥離し、剥離の容易さを下記評価基準で官能評価した。
○;容易に剥離できた。
×:容易には剥離できなかった。
[製袋性(ヒートシール性)]
40cm×20cmの2枚の積層体を、消臭粘着層同士が対向するように重ねて、4方をヒートシールしてパウチ袋を作製し、下記合否判定基準で評価した。
ヒートシール条件
温度:180℃
圧力:1kgf/cm2
時間:1秒
合否判定
○:問題無く製袋できた。
×:製袋できなかった。
[消臭性]
作製した積層体を用いて120mm×160mmの大きさの四方パウチ袋からなる内袋用小パウチ袋を2個作製し、1個の内袋用小パウチ袋の内部には300ccの硫化水素ガス(24ppm)を充填し、もう1個の内袋用小パウチ袋の内部には300ccのアンモニアガス(75ppm)を充填した。
次に、190×150mmの大きさの四方パウチ(ジーエルサイエンス株式会社製PAバッグ使用)からなる外袋用の大パウチ袋を2個用意し、1個の大パウチ袋の内部には上記の硫化水素ガスを充填した内袋用小パウチ袋を封入し、もう1個の大パウチ袋の内部にはアンモニアガスを充填した内袋用小パウチ袋を封入した。
そして、2個それぞれにおいて、外袋と内袋の間の空間が、100ccになるように、空気を充填して調節し、2日間25℃で放置後に外袋と内袋の間の空間の空気を採取して、硫化水素ガスまたはアンモニアガスの濃度を測定した。
1 消臭積層体
2 臭気バリア層
3 消臭層
4 粘着層
5 接着層

Claims (7)

  1. 汚物を収容する為の、消臭積層体であって、
    該消臭積層体は、少なくとも、臭気バリア層と、接着剤層と、消臭層と、粘着層とをこの順に有し、
    該臭気バリア層は、SP(溶解度パラメータ)値が9以上の熱可塑性樹脂を含み、
    該消臭層は、消臭剤を含有し、
    該消臭剤は、無機多孔体、金属担持無機物、無機臭気分解剤からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有し、
    該無機多孔体は、活性白土、活性化ベントナイトから選択されたものであり、
    該金属担持無機物は、リン元素、銅、ケイ素から選択される金属塩が無機物に担持された化合物であり、
    該無機臭気分解剤は、金属カチオンと無機酸アニオンからなる塩が金属酸化物と混合された、ミョウバン(AlK(SO 4 2 )をCaOおよびZnOと混合したものであり、
    該消臭層が、さらに、粘着性樹脂を含有し、該消臭積層体の片面の表面層であり、自己粘着性を有し、
    該粘着性樹脂は、密度が0.88g/cm3以上、0.915g/cm3以下の、粘着性LLDPEであり、
    該消臭積層体の消臭層同士を対向して重ねて、40℃において0.18MPaの圧力を12時間かけた後に、300mm/minの速度で、剪断方向に剥がした時の粘着力が、1.5N/15mm以上であり、
    該熱可塑性樹脂が、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる1種または2種以上を含み、
    該粘着層は、該消臭剤を含有せず、該粘着性樹脂を含有し、該消臭積層体の片面の表面層であることを特徴とする、
    消臭積層体。
  2. 前記消臭剤は、最大粒子径が20μm以下であり、数平均粒子径が5μm以上、15μm以下であることを特徴とする、
    請求項1に記載の、消臭積層体。
  3. 前記消臭剤を含有する層中の前記消臭剤の含有量が、0.1質量%以上、30質量%以下であることを特徴とする、
    請求項1または2に記載の、消臭積層体。
  4. 請求項1~の何れか1項に記載の消臭積層体を用いて作製したことを特徴とする、消臭包装材料。
  5. 請求項に記載の消臭包装材料を用いて作製したことを特徴とする、消臭包装資材。
  6. 請求項に記載の消臭包装材料を用いて作製したことを特徴とする、消臭包装体。
  7. 請求項に記載の消臭包装材料を用いて作製したことを特徴とする、消臭包装袋。
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