JP7438339B2 - ポリエステルフィルムの製造方法、ポリエステルフィルム - Google Patents

ポリエステルフィルムの製造方法、ポリエステルフィルム Download PDF

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Description

本発明は、ポリエステルフィルムの製造方法、及び、ポリエステルフィルムに関する。
ポリエステルフィルムは、加工性、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、透明性、及び、耐薬品性等の観点から幅広い用途に使用されており、例えば、ドライフィルムフォトレジストの支持体及び保護フィルムとして使用されている。ドライフィルムフォトレジストは、感光性樹脂層(フォトレジスト層)を、支持体上に積層した後、更に保護フィルムを積層してなる構造を有している。近年、ドライフィルムフォトレジストは、タッチパネル分野において、配線形成工程におけるエッチング用途、銅、ITO(酸化インジウムスズ)及び銀ナノ粒子等の配線部分を保護する保護膜形成用途、並びに、層間絶縁膜用途等に利用されている。
特許文献1には、帯状の熱可塑性樹脂からなるフィルムを搬送方向に延伸する縦延伸工程と、冷却ローラによりフィルムを冷却する冷却工程と、縦延伸工程と冷却工程との間でフィルムの幅方向両側縁部を除去する側縁部除去工程とを含む延伸フィルムの製造方法が開示されている。
特開2014-188748号公報
一方、近年、ドライフィルムフォトレジスト(DFR)により形成されるパターンの更なる精細化(細線化)が要求されており、仮支持体及び保護膜にも従来以上の高い性能(薄膜化、低ヘイズ等)が要求されている。
本発明者らは、DFRの仮支持体及び保護膜として用いられるポリエステルフィルムについて検討した結果、上記の要求に応じたDFRを作製する際、ポリエステルフィルムの表面に存在するかすかな線状の傷(線状欠陥)が露光障害につながる場合があることを知見した。
本発明は、上記実情に鑑みて、ポリエステルフィルムの表面における線状欠陥の形成をより抑制できるポリエステルフィルムの製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、ポリエステルフィルムを提供することも課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
〔1〕
1軸延伸されたポリエステルフィルムを冷却ロールに接触させて冷却する冷却工程を有し、上記冷却ロールの表面の算術平均粗さRaが、0.05μm以下である、ポリエステルフィルムの製造方法。
〔2〕
上記冷却ロールの表面の最大山高さRpが、0.3μm以下である、〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕
上記冷却ロールの表面における突起密度が、10000個/mm以下である、〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕
上記冷却工程における上記冷却ロールによる上記ポリエステルフィルムの冷却速度が、150℃/秒以上である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の製造方法。
〔5〕
上記冷却工程において上記冷却ロールに接触する上記ポリエステルフィルムの温度が、90℃以上である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の製造方法。
〔6〕
上記冷却工程において上記冷却ロールから離れる上記ポリエステルフィルムの温度が、50℃以下である、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の製造方法。
〔7〕
上記冷却工程において上記冷却ロールに接触してから上記冷却ロールから離れるまでに低下した上記ポリエステルフィルムの温度が、30℃以上である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の製造方法。
〔8〕
上記冷却ロールの表面温度が、35℃以下である、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の製造方法。
〔9〕
上記冷却ロールによる上記ポリエステルフィルムの搬送速度が、50~150m/分である、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の製造方法。
〔10〕
上記冷却ロールと、上記冷却ロールの搬送方向上流側に配置され、上記冷却ロールよりも搬送速度が遅い1つ以上の延伸ロールとを用いて、未延伸ポリエステルフィルムを搬送方向に延伸して、上記1軸延伸されたポリエステルフィルムを形成する縦延伸工程を更に有し、上記延伸ロールによる上記未延伸ポリエステルフィルムの搬送速度が、10~50m/分である、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の製造方法。
〔11〕
上記冷却ロールの表面の算術平均粗さRaが、0.008μm以上である、〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の製造方法。
〔12〕
上記冷却ロールの表面の水に対する接触角が、10°以上である、〔1〕~〔11〕のいずれかに記載の製造方法。
〔13〕
上記ポリエステルフィルムの厚さが、40μm以下である、〔1〕~〔12〕のいずれかに記載の製造方法。
〔14〕
上記冷却工程において、上記冷却ロールと、上記冷却ロールに対向するように配置されている対向ロールとの間に上記ポリエステルフィルムを通過させることにより、上記ポリエステルフィルムに圧力を付与する、〔1〕~〔13〕のいずれかに記載の製造方法。
〔15〕
上記冷却ロール及び上記対向ロールにより上記ポリエステルフィルムに付与される圧力の幅方向における最大値と最小値の差が、0.4MPa以下である、〔14〕に記載の製造方法。
〔16〕
上記冷却ロール及び上記対向ロールにより上記ポリエステルフィルムに付与される圧力の面平均値が、1.1MPa以上である、〔14〕又は〔15〕に記載の製造方法。
〔17〕
上記冷却ロール及び上記対向ロールにより上記ポリエステルフィルムに付与される圧力の面平均値が、1.7MPa以下である、〔14〕~〔16〕のいずれかに記載の製造方法。
〔18〕
上記ポリエステルフィルムにおいて、上記冷却ロール及び上記対向ロールにより圧力が付与される領域の搬送方向の長さが、15mm以上である、〔14〕~〔17〕のいずれかに記載の製造方法。
〔19〕
上記対向ロールの表面の算術平均粗さRaが、1.5μm以下である、〔14〕~〔18〕のいずれかに記載の製造方法。
〔20〕
ポリエステルフィルムであって、上記ポリエステルフィルムの表面において、深さが500nm以上であり、且つ、長さが1mm以上である線状欠陥の個数が、上記ポリエステルフィルム1mあたり5個以下である、ポリエステルフィルム。
〔21〕
上記ポリエステルフィルムの表面における反射光を目視で観察することにより視認される乱れ欠陥の個数が、上記ポリエステルフィルム1mあたり5個以下である、〔20〕に記載のポリエステルフィルム。
〔22〕
上記ポリエステルフィルムの表面に設けられた被覆層を更に有し、上記被覆層とは反対側の面から光を照射して、上記被覆層側の表面を目視で観察することによりピンホールとして視認される転写欠陥の個数が、上記ポリエステルフィルム1mあたり3個以下である、〔20〕又は〔21〕に記載のポリエステルフィルム。
本発明によれば、ポリエステルフィルムの表面における線状欠陥の形成をより抑制できるポリエステルフィルムの製造方法を提供できる。また、本発明によれば、ポリエステルフィルムを提供できる。
ポリエステルフィルムの製造方法に用いられる製造装置の構成を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に何ら制限されず、本発明の目的の範囲内において適宜変更を加えて、本発明を実施できる。
本開示において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、「工程」との用語には、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、「長手方向」とは、ポリエステルフィルムの製造時におけるポリエステルフィルムの長尺方向を意味し、「搬送方向」及び「機械方向」と同義である。また、「幅方向」とは、長手方向に直交する方向を意味する。
本開示において、「直交」との用語は、厳密な直交に限られず、略直交を含む。「略直交」とは、90°±5°で交わることを意味し、90°±3°で交わることが好ましく、90°±1°で交わることがより好ましい。
[ポリエステルフィルムの製造方法]
本発明に係るポリエステルフィルムの製造方法は、1軸延伸されたポリエステルフィルムを冷却ロールに接触させて冷却する冷却工程を有する。また、この冷却工程において使用する冷却ロールの表面の算術平均粗さRaは、0.05μm以下である。
以下、具体的な実施形態に基づいて、本発明に係るポリエステルフィルムの製造方法について説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されるものではない。
本発明の実施形態の一例に係るポリエステルフィルムの製造方法(以下、「本実施形態の製造方法」ともいう。)は、押出成形法により原料のポリエステルから未延伸ポリエステルフィルムを作製する工程(以下、「押出成形工程」ともいう。)と、未延伸ポリエステルフィルムを搬送方向に延伸する工程(以下、「縦延伸工程」ともいう。)と、縦延伸工程により得られた1軸延伸ポリエステルフィルムを冷却する工程(以下、「冷却工程」ともいう。)、冷却工程により冷却された1軸延伸ポリエステルフィルムを幅方向に延伸する工程(以下、「横延伸工程」ともいう。)と、を有する。
〔ポリエステル原料〕
以下、本実施形態の製造方法において未延伸ポリエステルフィルムの原料として用いるポリエステルについて、説明する。
ポリエステルは、主鎖にエステル結合を有する重合体である。ポリエステルは、後述するジカルボン酸化合物とジオール化合物とを重縮合させることにより形成することが多い。
ポリエステルとしては、制限されず、公知のポリエステルを利用できる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリエチレン-2,6-ナフタレート(PEN)が挙げられ、PETが好ましい。
ポリエステルの固有粘度は、0.50dl/g以上0.80dl/g未満が好ましい。より好ましくは、0.55dl/g以上0.70dl/g未満である。
ポリエステルフィルムは、1種単独のポリエステルを含有していてもよく、2種以上のポリエステルを含有していてもよい。
ポリエステルの含有量は、ポリエステルフィルム中の重合体の全質量に対して、85質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましく、98質量%以上が特に好ましい。
ポリエステルの含有量の上限は、制限されず、ポリエステルフィルム中の重合体の全質量に対して、100質量%以下の範囲で適宜設定できる。
ポリエステルの含有量は、ポリエステルフィルムの全質量に対して、85質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましく、98質量%以上が特に好ましい。ポリエステルの含有量の上限は、制限されず、ポリエステルフィルムの全質量に対して、100質量%以下の範囲で適宜設定できる。
ポリエステルフィルムがポリエチレンテレフタレートを含有する場合、ポリエチレンテレフタレートの含有量は、ポリエステルフィルム中のポリエステルの全質量に対して、90~100質量%が好ましく、95~100質量%がより好ましく、98~100質量%が更に好ましく、100質量%が特に好ましい。
(ポリエステルの製造方法)
ポリエステルの製造方法としては、制限されず、公知の方法を利用できる。例えば、触媒存在下で、少なくとも1種のジカルボン酸化合物と、少なくとも1種のジオール化合物とを重縮合させることによりポリエステルを製造できる。
-触媒-
ポリエステルの製造に使用する触媒は、特に制限されず、ポリエステルの合成に使用可能な公知の触媒を利用できる。
触媒としては、例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物及びリン化合物が挙げられる。中でも、触媒活性、及びコストの観点から、チタン化合物が好ましい。
チタン化合物としては、有機キレートチタン錯体が好ましい。有機キレートチタン錯体は、配位子として有機酸を有するチタン化合物である。
有機酸としては、例えば、クエン酸、乳酸、トリメリット酸、及びリンゴ酸が挙げられる。
チタン化合物としては、特許第5575671号公報の段落0049~段落0053に記載されたチタン化合物も利用でき、上記公報の記載内容は、本明細書に組み込まれる。
-ジカルボン酸化合物-
ジカルボン酸化合物としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸化合物、脂環式ジカルボン酸化合物、及び芳香族ジカルボン酸化合物が挙げられ、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸化合物としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、及びエチルマロン酸が挙げられる。
脂環式ジカルボン酸化合物としては、例えば、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及びデカリンジカルボン酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸化合物としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルインダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、及び9,9’-ビス(4-カルボキシフェニル)フルオレン酸が挙げられる。
中でも、テレフタル酸又は2,6-ナフタレンジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
ジカルボン酸化合物は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ジカルボン酸化合物として、テレフタル酸を使用する場合、テレフタル酸単独で用いてもよく、イソフタル酸等の他の芳香族ジカルボン酸又は脂肪族ジカルボン酸と共重合してもよい。
-ジオール化合物-
ジオール化合物としては、例えば、脂肪族ジオール化合物、脂環式ジオール化合物、及び芳香族ジオール化合物が挙げられ、脂肪族ジオール化合物が好ましい。
脂肪族ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、及び、ネオペンチルグリコールが挙げられ、エチレングリコールが好ましい。
脂環式ジオール化合物としては、例えば、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、及びイソソルビドが挙げられる。
芳香族ジオール化合物としては、例えば、ビスフェノールA、1,3―ベンゼンジメタノール,1,4-ベンゼンジメタノール、及び9,9’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンが挙げられる。
ジオール化合物は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
-末端封止剤-
ポリエステルの製造においては、必要に応じて、末端封止剤を用いてもよい。末端封止剤を用いることで、ポリエステルの末端に末端封止剤に由来する構造が導入される。
末端封止剤としては、制限されず、公知の末端封止剤を利用できる。末端封止剤としては、例えば、オキサゾリン系化合物、カルボジイミド化合物、及びエポキシ化合物が挙げられる。
末端封止剤としては、特開2014-189002号公報の段落0055~0064に記載の内容も参照でき、上記公報の内容は、本明細書に組み込まれる。
-製造条件-
反応温度は、制限されず、原材料に応じて適宜設定すればよい。反応温度は、260~300℃が好ましく、275~285℃がより好ましい。
圧力は、制限されず、原材料に応じて適宜設定すればよい。圧力は、1.33×10-3~1.33×10-5MPaが好ましく、6.67×10-4~6.67×10-5MPaがより好ましい。
ポリエステルの合成方法としては、特許第5575671号公報の段落0033~段落0070に記載された方法も利用でき、上記公報の内容は、本明細書に組み込まれる。
〔製造装置〕
本実施形態の製造方法に使用する装置としては、特に制限されず、公知の装置を利用できる。
図1は、本実施形態の製造方法に使用される製造装置の一例を示す概略構成図である。
図1に示すポリエステルフィルムの製造装置100は、押出成形法により作製された未延伸ポリエステルフィルムを搬送方向に延伸する縦延伸部10、縦延伸部10で搬送方向に延伸された1軸延伸ポリエステルフィルムを急速に冷却する冷却部20、冷却部20で冷却されたポリエステルフィルムを幅方向に延伸する横延伸部30、及び、横延伸部30で延伸されたポリエステルフィルムを巻き取る巻取部40を備える。
上記の各部の詳しい構成及び機能等の説明については、以下に記載する本実施形態の製造方法が有する各製造工程の説明とともに記載する。
以下、本明細書において、「フィルムF」との表記、及び、単なる「ポリエステルフィルム」との表記は、未延伸のポリエステルフィルム、1軸延伸されたポリエステルフィルム、及び、2軸延伸されたポリエステルフィルムの全てを包含するものとする。
〔各製造工程〕
図1に示す製造装置100を参照しながら、本実施形態の製造方法が有する各工程について、具体的に説明する。
<押出成形工程>
押出成形工程においては、押出成形法により原料のポリエステルから未延伸ポリエステルフィルムを形成する。
押出成形法は、例えば押出機を用いて原料樹脂を押し出すことによって、原料樹脂を所望の形状に成形する方法である。
未延伸ポリエステルフィルムは、例えば、1本又は2本以上のスクリュを備えた押出機を用いて、上述したポリエステルを融点以上の温度に加熱し、そして、スクリュを回転させて溶融混練することにより、形成される。ポリエステルは、加熱及びスクリュによる混練により、押出機内で溶融して溶融体(メルト)となる。
溶融体は、ギアポンプ、及び濾過器等を通して、押出ダイから押し出される。押出ダイは、単に「ダイ」とも称する(JIS B8650:2006、(a)押出成形機、番号134参照)。溶融体は、単層で押出されてもよく、多層で押出されてもよい。
溶融押出においては、押出機内での熱分解(例えばポリエステルの加水分解)を抑制する観点から、押出機内を窒素置換することが好ましい。また、押出機は、混練温度が低く抑えられる点で2軸押出機が好ましい。
押出ダイから押し出された溶融体は、冷却されることによってフィルム状に成形される。例えば、溶融体をキャスティングロールに接触させ、キャスティングロール上で溶融体を冷却及び固化することで、溶融体をフィルム状に成形できる。溶融体の冷却においては、更に、溶融体に風(好ましくは冷風)を当てることが好ましい。
キャスティングロールの温度は、(Tg-10)℃を超え(Tg+30)℃以下が好ましく、(Tg-7)~(Tg+20)℃がより好ましく、(Tg-5)~(Tg+10)℃が更に好ましい。
なお、本明細書において「Tg」は、本実施形態の製造方法により製造されるポリエステルフィルムを構成するポリエステルのガラス転移温度を意味する。
また、本明細書において、製造方法におけるポリエステルフィルム及び各部材の温度は、非接触式温度計(例えば、放射温度計)を用いて測定できる。
押出成形工程においてキャスティングロールを用いる場合、キャスティングロールと溶融体との密着性を上げることが好ましい。密着性を上げる方法としては、例えば、静電印加法、エアーナイフ法、エアーチャンバー法、バキュームノズル法、及びタッチロール法が挙げられる。
キャスティングロール等を用いて冷却された成形体(未延伸ポリエステルフィルム)は、剥ぎ取りロール等の剥ぎ取り部材を用いて、キャスティングロール等の冷却部材から剥ぎ取られる。
<縦延伸工程>
縦延伸工程は、未延伸ポリエステルフィルムを搬送方向に延伸(以下、「縦延伸」ともいう。)する工程である。より具体的には、搬送速度が異なる2つ以上の延伸ロールを備える装置を用いて、未延伸ポリエステルフィルムを搬送方向に延伸して、1軸延伸されたポリエステルフィルムを形成する工程である。
縦延伸部10は、上記の搬送速度が異なる2つ以上の延伸ロールを備える装置の一例であって、1対の予熱ロール12、1対の延伸ロール14、及び、ヒーター16を備える。
縦延伸部10において、1対の予熱ロール12、1対の延伸ロール14、及び、ヒーター16は、搬送方向の上流側からこの順で配置されている。
予熱ロール12は、フィルムFを長手方向に搬送し、且つ、縦延伸の前にフィルムFを予熱する機能を有する。
縦延伸部10を用いる縦延伸工程においては、縦延伸前に、予熱ロール12により未延伸ポリエステルフィルムが予熱されるする。未延伸ポリエステルフィルムを予熱することで、ポリエステルフィルムを容易に縦延伸できる。
なお、図1に示す製造装置100は、1対の予熱ロール12のみを備えているが、縦延伸を行う延伸ロール14よりも上流側に配置される予熱ロールの数は、特に制限されず、フィルムFの搬送速度及び/又はフィルムの厚みに応じた数を設ければよい。
未延伸ポリエステルフィルムの予熱温度は、(Tg-30)~(Tg+40)℃が好ましく、(Tg-20)~(Tg+30)℃がより好ましい。具体的に、予熱温度は、60~100℃が好ましく、65~80℃がより好ましい。
予熱ロール12によるフィルムFの搬送速度は、特に制限されないが、延伸ロール14によるフィルムFの搬送速度と同じであることが好ましい。
延伸ロール14は、フィルムFを長手方向に搬送する機能を有する。ここで、延伸ロール14によるフィルムFの搬送速度は、後述する冷却ロール22によるフィルムFの搬送速度よりも遅く設定されている。
縦延伸部10では、延伸ロール14と延伸ロールよりも搬送速度が速い冷却ロール22との間でフィルムFに緊張を与えながらフィルムFを搬送することによって、未延伸ポリエステルフィルムの縦延伸が行われる。
延伸ロール14によるフィルムFの搬送速度(周速度)は、冷却ロール22よりも遅ければ特に制限されないが、5~60m/分が好ましく、10~50m/分がより好ましく、15~45m/分が更に好ましい。
また、冷却ロール22によるフィルムFの搬送速度(周速度)は、延伸ロール14よりも速ければ特に制限されないが、40~160m/分が好ましく、50~150m/分がより好ましく、60~140m/分が更に好ましい。
縦延伸工程における延伸倍率は、用途によって適宜設定すればよいが、2.0~5.0倍が好ましく、2.5~4.0倍がより好ましく、2.8~4.0倍が更に好ましい。
縦延伸工程における延伸速度は、800~1500%/秒が好ましく、1000~1400%/秒がより好ましく、1200~1400%/秒が更に好ましい。ここで、「延伸速度」とは、縦延伸工程において1秒間に延伸されたポリエステルフィルムの搬送方向の長さΔdを、延伸前のポリエステルフィルムの搬送方向の長さd0で除した値を、百分率で表した値である。
また、延伸ロール14は、フィルムFを予熱する機能を有する。延伸ロール14によるフィルムFの予熱温度の好ましい範囲は、上記の予熱ロールの予熱温度の好ましい範囲と同じである。
予熱ロール12及び延伸ロール14としては、特に制限されず、プラスチックフィルムの延伸に用いられる公知のロールが使用できるが、各ロールの表面を含む表層を構成する材料が、金属、セラミック又はフッ素樹脂であることが好ましく、セラミックであることがより好ましい。金属としては、クロムが好ましい。セラミックとしては、酸化クロム又は酸化アルミナが好ましく、酸化クロムがより好ましい。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
ヒーター16は、延伸ロール14及び冷却ロール22によって縦延伸されるフィルムF(未延伸ポリエステルフィルム)を加熱する機能を有する。
ヒーター16による縦延伸工程における加熱温度は、(Tg-20)~(Tg+50)℃が好ましく、(Tg-10)~(Tg+40)℃がより好ましく、(Tg)~(Tg+30)℃が更に好ましい。具体的に、縦延伸工程における加熱温度は、70~120℃が好ましく、80~110℃がより好ましく、85~100℃が更に好ましい。
なお、本実施形態では、フィルムFの一方の面のみをヒーター16を用いて加熱しているが、フィルムFの両面を加熱してもよい。
また、縦延伸工程におけるフィルムFの加熱方法は、ヒーター16を用いる方法に制限されず、上記の延伸ロール14又は延伸ロール14以外の加熱したロールによりフィルムFを加熱する方法、及び、フィルムFに温風を当てる方法等の方法が挙げられる。
各ロールを加熱する方法としては、例えば、ロール内部にヒーターを設ける方法、及び、ロール内部に配管を設け、その配管内に加熱した流体を流す方法が挙げられる。
本発明に係る製造方法において使用する1軸延伸ポリエステルフィルムは、上記の縦延伸工程により製造されるポリエステルフィルムに制限されない。
例えば、上記の縦延伸工程では、1対の延伸ロール14の搬送速度と冷却ロール22の搬送速度との差を利用して未延伸ポリエステルフィルムを縦延伸しているが、冷却ロール22に代えて、延伸ロール14と冷却ロール22との間に配置され、延伸ロール14よりも速い搬送速度でフィルムFを搬送する高速延伸ロールを1つ以上用いて、未延伸ポリエステルフィルムを縦延伸して、1軸延伸ポリエステルフィルムを作製してもよい。
また、上述の通り、縦延伸工程に用いる装置は、縦延伸前に未延伸ポリエステルフィルムを予熱する予熱を2つ以上備えていてもよく、縦延伸に用いる低速延伸ロールを2つ以上備えていてもよい。
また、縦延伸部10が備える予熱ロール12及び延伸ロール14は、それぞれ、対向する2つのロール(1対のロール)によりフィルムFを挟んで搬送する構成を有しているが、縦延伸工程に使用する予熱ロール及び/又は延伸ロールが、対向するロールを有さず、ポリエステルフィルムの一方の面に接する1つのロールのみで構成されていてもよい。
<冷却工程>
本実施形態の製造方法が有する冷却工程は、縦延伸工程により得られた1軸延伸ポリエステルフィルムを冷却する工程である。より具体的には、1軸延伸されたポリエステルフィルムを、冷却部20が備える冷却ロール22に接触させることにより、冷却する。
本実施形態において冷却工程を行う冷却部20は、冷却ロール22、冷却ロール22に対向するように配置されている対向ロール24、及び、3つ以上の第2冷却ロール26を備える。なお、図1においては、最も上流側に配置された第2冷却ロール26及び最も下流側に配置された第2冷却ロール26以外の第2冷却ロール26を省略している。
(冷却ロール)
冷却ロール22は、フィルムFを冷却する機能を有するとともに、上述の通り、冷却ロール22及び対向ロール24がフィルムFを挟みながら回転し、フィルムFを所定の搬送速度で搬送することで、未延伸ポリエステルフィルムを縦延伸する機能を有する。
ここで、冷却部20が備える冷却ロール22は、その表面の算術平均粗さRaが、0.05μm以下である。表面の算術平均粗さRaが0.05μm以下であるロールを用いて1軸延伸されたポリエステルフィルムを冷却することにより、冷却工程において幅方向に縮むポリエステルフィルムに発生する線状欠陥の数を抑制できる。
冷却ロール22の表面の算術平均粗さRaは、本発明の効果がより優れる点で、0.04μm以下が好ましく、0.03μm以下がより好ましく、0.02μm以下が更に好ましい。冷却ロール22の表面の算術平均粗さRaの下限は特に制限されないが、ポリエステルフィルムにおける乱れ欠陥(後述)の発生をより抑制できる点で、0.001μm以上が好ましく、0.008μm以上がより好ましく、0.01μm以上が更に好ましい。
冷却ロールの表面の算術平均粗さRaについて、冷却ロールが市販品であってカタログ値が存在する場合は、カタログ値を採用する。カタログ値が存在しない場合は、使用する冷却ロールと同じ構造を有するテストピースを作製し、得られたテストピースの表面を、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製;VK-9510)を用いて倍率3000倍で計測し、得られた計測値を、その冷却ロールの表面の算術平均粗さRaとする。
冷却ロール22は、線状欠陥の抑制により優れる点で、その表面の最大山高さRpが、0.4μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることがより好ましく、0.2μm以下であることが更に好ましい。冷却ロール22の表面の最大山高さRpの下限は特に制限されないが、0.01μm以上であることが好ましい。
また、冷却ロール22は、線状欠陥の抑制により優れる点で、その表面における突起密度が、10000個/mm以下であることが好ましく、8000個/mm以下であることがより好ましく、6000個/mm以下であることが更に好ましい。冷却ロール22の表面における突起密度の下限は特に制限されないが、1000個/mm以上が好ましい。
冷却ロールの表面の最大山高さRp及び突起密度は、使用する冷却ロールと同じ構造を有するテストピースを作製し、得られたテストピースの表面を、下記の微細形状測定装置を用いて下記条件にて測定し、その後、内蔵されている解析ソフトにて粒子解析(複数レベル)を実施することにより、求められる。
以下に、測定機及び測定条件を示す。上記の測定は、スライスレベルを10nmの等間隔に設定して、測定位置を変更しながら各スライスレベルの平均直径と密度を5回測定し、これらの平均値を算出して、最大山高さRp及び突起密度の各測定値とする。テストピースは、視野測定のX方向がポリエステルフィルムの幅方向になるように試料台に固定する。
・測定装置:小坂研究所製surf-corder ET-4000A
・解析ソフト:i-Face model TDA31 Ver2.2.0.4 JSIS
・触針先端半径:0.5μm
・測定視野 :X方向:380μm、ピッチ:1μm
Y方向:280μm、ピッチ:5μm
・針圧 :50μN
・測定速度 :0.1mm/s
・カットオフ値:低域-0.8mm、高域-なし
・レベリング :全域
・フィルター :ガウシアンフィルタ(2D)
・倍率 :10万倍
・粒子解析(複数レベル)条件
・出力内容設定:山粒子
・ヒステリシス幅:5nm
・スライスレベル等間隔:10nm
冷却ロールの表面温度は、1軸延伸ポリエステルフィルムの冷却性能により優れる点で、40℃以下が好ましく、35℃以下がより好ましく、30℃以下が更に好ましい。冷却ロールの表面温度の下限は特に制限されないが、15℃以上が好ましい。
冷却ロールの表面の水に対する接触角は、ポリエステルフィルムの乱れ欠陥(後述)の発生をより抑制できる点で、10°以上が好ましく、20°以上がより好ましく、50°以上が更に好ましい。冷却ロールの表面の水に対する接触角の上限は特に制限されないが、120°以下が好ましい。
冷却ロールの表面の水に対する接触角については、冷却ロールが市販品であってカタログ値が存在する場合は、カタログ値を採用する。カタログ値が存在しない場合は、使用する冷却ロールと同じ構造を有するテストピースを作製し、接触角計(協和界面科学社製、DMo-901)を用いて、得られたテストピースの表面の水に対する静的接触角(°)を液滴法により測定し、得られた測定値を冷却ロールの表面の水に対する接触角とする。
冷却ロールを構成する材料としては、特に制限されないが、冷却効率、並びに、表面の算術平均粗さRa、最大山高さRp、突起密度及び/又は接触角が上記範囲に含まれる冷却ロールを容易に製造できる点で、冷却ロールの少なくとも表面を含む表層を構成する材料が、金属、セラミック又はフッ素樹脂であることが好ましい。金属及びセラミックとしては、タングステンカーバイト、ハードクロム及び酸化アルミナが挙げられ、タングステンカーバイト又はハードクロムが好ましく、タングステンカーバイトがより好ましい。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。冷却ロールを構成する材料としては、中でも、タングステンカーバイト又はハードクロムが好ましく、タングステンカーバイトがより好ましい。
上記材料で構成される表層を有する冷却ロールは、例えば、公知の金属製ロールの外周面に、めっき法及び溶射法等の公知の方法で上記材料からなる表層を形成することによって製造できる。
(対向ロール)
対向ロールは、冷却ロールに対向するように配置され、冷却ロールの回転に合わせて回転し、冷却ロールに対して圧力を付与する構成を有する部材である。
対向ロール24の表面の算術平均粗さRaは、ポリエステルフィルムにおける転写欠陥(後述)の発生をより抑制できる点で、1.8μm以下が好ましく、1.5μm以下がより好ましく、1.2μm以下が更に好ましい。対向ロール24の表面の算術平均粗さRaの下限は特に制限されないが、0.1μm以上が好ましい。
対向ロール24の表面の算術平均粗さRaは、以下の方法により測定する。
レプリカ作製キット(Microset Products社製、101THTHIXO)を用いてレプリカ材料を対向ロール24の表面に射出して、表面形状の模りを行う。得られたレプリカの表面を、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製;VK-9510)を用いて計測することにより、対向ロール24の表面の算術平均粗さRaが求められる。
対向ロールを構成する材料としては、特に制限されないが、弾性体が好ましい。弾性体としては、ゴム及び熱可塑性エラストマーが挙げられる。
対向ロールの硬度は、転写がより優れる点で、50~90度が好ましく、60~80度がより好ましい。なお、対向ロールの硬度は、JIS K6253-3に記載されている方法に準拠して、タイプAデュロメータ等の硬度計を用いて測定されるゴム硬度である。
(冷却条件)
冷却工程の条件としては、冷却ロールによるポリエステルフィルムの冷却速度、即ち、ポリエステルフィルムが冷却ロールに接触してから離れるまでに低下したポリエステルフィルムの温度を、ポリエステルフィルムと冷却ロールとが接触する時間で除した値が、50℃/秒以上であることが好ましく、120℃/秒以上であることがより好ましく、150℃/秒以上であることが更に好ましく、180℃/秒以上であることが特に好ましい。冷却速度が上記範囲内であると、ポリエステルフィルムにおける乱れ欠陥の発生をより抑制できる。
上記の冷却速度の上限は特に制限されないが、300℃/秒以下が好ましい。
冷却ロールによるポリエステルフィルムの冷却速度は、冷却ロールの表面温度、並びに、冷却ロール及び対向ロールによるフィルムの搬送速度により、調整できる。
冷却ロールによるポリエステルフィルムの冷却速度は、非接触温度計を用いて測定された、冷却ロールに接触する位置のポリエステルフィルムの温度(接触時膜温)及び冷却ロールから離れる位置でのポリエステルフィルムの温度(離間時膜温)の測定値、ポリエステルフィルムと冷却ロールとの接触面の搬送方向の長さ、並びに、冷却ロールと対向ロールとによるポリエステルフィルムの搬送速度から、求められる。
冷却工程において、冷却ロールに接触するポリエステルフィルムの温度は、80℃がより優れる点で、90℃以上が好ましく、95℃以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、120℃以下が好ましい。
冷却工程において、冷却ロールから離れるポリエステルフィルムの温度は、ポリエステルフィルムにおける乱れ欠陥の発生をより抑制できる点で、80℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、15℃以上が好ましい。
冷却工程において、冷却ロールに接触してから上記冷却ロールから離れるまでに低下したポリエステルフィルムの温度が、ポリエステルフィルムにおける乱れ欠陥の発生をより抑制できる点で、10℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましく、40℃以上であることが更に好ましい。上限は特に制限されないが、100℃以下が好ましい。
冷却工程におけるポリエステルフィルムの温度及び温度変化は、非接触温度計を用いて上記の方法により測定できる。
また、冷却部20を用いる冷却工程では、冷却ロール22と対向ロール24との間にフィルムFを通過させることにより、フィルムFに圧力が付与される(フィルムFが押圧される)。1軸延伸ポリエステルフィルムを、冷却ロール22で冷却しながら、冷却ロール22と対向ロール24とで押圧することにより、得られるポリエステルフィルムの幅方向の収縮量を低減できる。
冷却工程において、冷却ロール及び対向ロールによりポリエステルフィルムに付与される圧力は、特に制限されないが、得られるポリエステルフィルムにおける線状欠陥の発生をより抑制できる点で、上記圧力の面平均値が、0.8MPa以上であることが好ましく、1.1MPa以上がより好ましく、1.3MPa以上が更に好ましい。
また、上記圧力の面平均値の上限は、得られるポリエステルフィルムにおける転写欠陥及び搬送シワ(後述)の発生をより抑制できる点で、2.5MPa以下が好ましく、2.0MPa以下がより好ましく、1.7MPa以下が更に好ましい。
なお、上記の冷却ロール及び対向ロールによりポリエステルフィルムに付与される圧力の面平均値は、圧力測定フィルム(富士フイルム株式会社製「プレスケール(登録商標)」;超低圧用(LLW))を用いて測定される。より具体的には、冷却ロール及び対向ロールを回転させずに、冷却工程と同じ条件で上記の圧力測定フィルムを冷却ロールと対向ロールとの間に挟み、押圧する。その結果、圧力測定フィルムにおいて赤色に発色した領域を、冷却ロール及び対向ロールにより圧力が付与された領域(押圧領域)と見なす。
その上で、圧力計測機(富士フイルム株式会社製;FPD-306)を使用して、圧力測定フィルムに現れた発色領域の発色濃度を、対応する圧力値に換算し、得られた圧力値から、押圧領域における圧力の面平均値(押圧領域にかかる圧力の合計値/押圧領域の全面積)が求められる。
また、ポリエステルフィルムの押圧領域における圧力の幅方向の最大値と最小値との差(以下、「幅方向の圧力差」ともいう。)が、0.6MPa以下であることが好ましく、0.4MPa以下がより好ましく、0.2MPa以下が更に好ましい。押圧領域における幅方向の圧力差を小さくすることにより、搬送時におけるポリエステルフィルムの幅方向のずれを抑制し、得られるポリエステルフィルムにおける線状欠陥の発生をより抑制できる。下限値は特に制限されないが、0.01MPa以上が好ましい。
押圧領域における圧力の幅方向の最大値と最小値との差は、上記の圧力の面平均値の測定方法と同じ方法を実施し、圧力測定フィルムに現れた発色領域に基づいて押圧領域における圧力値を求め、得られた圧力値の搬送方向の平均値を幅方向に沿って比較して、幅方向における最大値及び最小値の差を取ることにより、求められる。
冷却ロール及び対向ロールによるポリエステルフィルムの押圧領域の広さは特に制限されないが、線状欠陥の抑制により優れる点で、押圧領域の搬送方向の長さ(以下「ニップ幅」ともいう)が、12mm以上であることが好ましく、15mm以上がより好ましく、18mm以上が更に好ましい。上限値は特に制限されないが、30mm以下が好ましい。
押圧領域のニップ幅は、上記の圧力の面平均値の測定方法と同じ方法を実施し、圧力測定フィルムに現れた発色領域の搬送方向における長さを測定することにより得られる。また、押圧領域のニップ幅は、冷却ロールと対向ロールとの間にかかる荷重、対向ロールを構成する材料の硬度、並びに、冷却ロール及び対向ロールの外径によって調整できる。
冷却部20を用いる冷却工程では、冷却ロール22及び対向ロール24によりフィルムFに圧力を付与しながらフィルムFを搬送しているが、冷却工程に用いる装置は、表面の算術平均粗さRaが0.05μm以下である冷却ロールを備えているものであれば、特に制限されない。
例えば、冷却ロールに対向するように配置される対向ロールを設けず、ポリエステルフィルムの片面に接する冷却ロールのみでポリエステルフィルムの冷却及び搬送を行ってもよい。また、冷却工程に用いる装置は、上記の冷却ロールを2つ以上備えていてもよい。
(2次冷却処理)
冷却部20を用いる冷却工程では、冷却ロール22により冷却されたフィルムFに対して、第2冷却ロール26により更に冷却する2次冷却処理が施される。
第2冷却ロール26は、フィルムFを搬送しながら冷却する機能を有する。第2冷却ロールの表面温度は、冷却ロール22の表面温度以下であれば特に制限されないが、15~50℃が好ましい。
図1に示す冷却部20では、3つ以上の第2冷却ロールを用いているが、第2冷却ロールの数は、1つ又は2つであってもよい。また、冷却ロール以外の装置を用いて2次冷却処理を行ってもよい。
<横延伸工程>
横延伸工程は、1軸延伸されたポリエステルフィルムを幅方向に延伸(以下、「横延伸」ともいう。)する工程である。より具体的には、1軸延伸されたポリエステルフィルムを横延伸機を用いて幅方向に延伸して、2軸延伸されたポリエステルフィルムを形成する工程である。
横延伸部30は、フィルムFに対して加熱しながら幅方向に張力を付与することにより、フィルムFを幅方向に延伸する装置である。横延伸部30としては、テンター等の公知の横延伸機が用いられる。
テンターは、遮風カーテンで区分され、熱風等により個々に温度調整可能な多数のゾーンを備えている。そのようなゾーンを備えるテンターの具体例としては、搬送方向上流側から順に、予熱ゾーン、横延伸ゾーン、熱固定ゾーン、熱緩和ゾーン及び冷却ゾーンを備えるテンターが挙げられる。
横延伸工程においては、横延伸前に、ポリエステルフィルムを予熱することが好ましい。ポリエステルフィルムを予熱することで、ポリエステルフィルムを容易に横延伸できる。
予熱温度は、(Tg-10)~(Tg+60)℃が好ましく、(Tg)~(Tg+50)℃がより好ましい。具体的に、予熱温度は、80~120℃が好ましく、90~110℃がより好ましい。
横延伸工程における延伸倍率は、上記縦延伸工程における延伸倍率より大きいことが好ましい。横延伸工程における延伸倍率は、3.0~6.0倍が好ましく、3.5~5.0倍がより好ましく、3.5~4.5倍が更に好ましい。
縦延伸工程における延伸倍率と、横延伸工程における延伸倍率との積で表される面積倍率は、12.8~15.5倍が好ましく、13.5~15.2倍がより好ましく、14.0~15.0倍が更に好ましい。面積倍率が上記の下限値以上であると、フィルム幅方向における分子配向が良好になる。また、面積倍率が上記の上限値以下であると、加熱処理に供された際に分子配向が緩和されにくい状態を維持しやすい。
横延伸工程における加熱温度は、(Tg-10)~(Tg+80)℃が好ましく、(Tg)~(Tg+70)℃がより好ましく、(Tg)~(Tg+60)℃が更に好ましい。具体的に、横延伸工程における加熱温度は、100~140℃が好ましく、110~135℃がより好ましく、115~130℃が更に好ましい。
横延伸工程における延伸速度は、8~45%/秒が好ましく、10~30%/秒がより好ましく、15~20%/秒が更に好ましい。
被覆層を有するポリエステルフィルムを製造する場合、長手方向に延伸されたポリエステルフィルム上に被覆層形成用塗布液を塗布し、次いで、横延伸することが好ましい。上記方法により、被覆層の密着性を向上できる。
<加熱処理工程>
本実施形態の製造方法は、横延伸工程により幅方向に延伸されたポリエステルフィルムを加熱処理する工程(以下、「加熱処理工程」ともいう。)を有してもよい。加熱処理工程としては、例えば、熱固定工程及び熱緩和工程が挙げられる。加熱処理工程は、熱固定工程及び熱緩和工程の少なくとも一方を有することが好ましく、熱固定工程及び熱緩和工程の両者を有することがより好ましい。
熱固定工程及び熱緩和工程を含む加熱処理工程は、例えば、上記横延伸工程において横延伸部30として例示した、熱固定ゾーン及び熱緩和ゾーンを含むテンターを用いて実施される。
(熱固定工程)
熱固定工程においては、上記幅方向に延伸されたポリエステルフィルムを加熱することで熱固定する。熱固定によってポリエステルを結晶化させることができるため、ポリエステルフィルムの収縮を抑えることができる。
熱固定工程における加熱温度は、190~240℃が好ましく、200~240℃がより好ましく、210~230℃が更に好ましい。
熱固定工程において、フィルム幅方向における最高到達膜面温度のバラツキは、0.5~10.0℃が好ましく、0.5~7.0℃がより好ましく、0.5~5.0℃が更に好ましく、0.5~4.0℃が特に好ましい。フィルム幅方向における最高到達膜面温度のバラツキを上記範囲内に調節することで、幅方向における結晶化度のバラツキを抑制できる。
加熱方法としては、例えば、フィルムに熱風を当てる方法、及び、フィルムを輻射加熱する方法が挙げられる。輻射加熱する方法において用いられる装置としては、例えば、赤外線ヒーターが挙げられる。
熱固定工程における加熱時間は、5~50秒間が好ましく、5~30秒間がより好ましく、5~10秒間が更に好ましい。
(熱緩和工程)
熱緩和工程においては、上記幅方向に延伸されたポリエステルフィルムを加熱することで熱緩和する。熱緩和によってポリエステルフィルムの残留歪みを緩和できる。
熱緩和工程における加熱温度は、熱固定工程における加熱温度より、5℃以上低い温度が好ましく、15℃以上低い温度がより好ましく、25℃以上低い温度が更に好ましく、30℃以上低い温度が特に好ましい。
熱緩和工程における加熱温度の下限は、100℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましく、120℃以上が更に好ましい。
加熱方法としては、例えば、フィルムに熱風を当てる方法、フィルムを輻射加熱する方法が挙げられる。輻射加熱する方法において用いられる装置としては、例えば、赤外線ヒーターが挙げられる。
<巻き取り工程>
本実施形態の製造方法では、上記の横延伸工程を施した2軸延伸ポリエステルフィルムを、巻取部40で巻き取ることにより、ロール状の2軸延伸ポリエステルフィルムを得る巻き取り工程を有する。
以上の工程を経ることにより、表面における線状欠陥の発生がより抑制されたポリエステルフィルムを製造できる。
〔ポリエステルフィルム〕
本実施形態の製造方法により製造されるポリエステルフィルムについて説明する。
<物性>
(配向性)
本実施形態の製造方法により製造されるポリエステルフィルムは、2軸配向ポリエステルフィルムである。本明細書において「2軸配向」とは、2軸方向に分子配向性を有する性質を意味する。
分子配向性は、マイクロ波透過型分子配向計(例えば、MOA-6004、株式会社王子計測機器社製)を用いて測定する。2軸方向のなす角は、90°±5°が好ましく、90°±3°がより好ましく、90°±1°が更に好ましい。本実施形態の製造方法により製造されるポリエステルフィルムは、長手方向及び幅方向に分子配向性を有することが好ましい。
(組成)
ポリエステルフィルムは、主たる重合体成分としてポリエステルを含有するフィルムである。ここで、「主たる重合体成分」とは、フィルムに含まれる全ての重合体のうち最も含有量(質量)が多い重合体を意味する。
(線状欠陥)
本明細書において「線状欠陥」とは、ポリエステルフィルムの表面において形成される、搬送方向に沿って線状に延びる傷であって、長さが1mm以上、深さの最大値が500nm以上である傷をいう。線状欠陥は、縦延伸を施したポリエステルフィルムを冷却する際、ポリエステルフィルムが幅方向に収縮することによって生じ得る。ポリエステルフィルムに線状欠陥が発生すると、例えば、ポリエステルフィルムをDFRの仮支持体及び保護膜として用いた場合に、露光障害を引き起こすなど、要求される性能が満たされない可能性がある。
本発明に係る製造方法により、得られるポリエステルフィルムの線状欠陥の発生を抑制できる。上記製造方法により製造されるポリエステルフィルムにおける線状欠陥の個数は、20個/m以下が好ましく、5個/m以下がより好ましく、3個/m以下が更に好ましく、1個/m以下が特に好ましい。下限値は特に制限されないが、0.01個/m以上が好ましい。
ポリエステルフィルムの表面における線状欠陥の個数は、以下の方法により測定する。
(1)暗室内にて、タングステン光のポリエステルフィルムによる反射光、及び、ポリエステルフィルムを通過する透過光を、視点を変えながら目視で観察し、ポリエステルフィルムの表面に存在する線状の傷の位置を特定する。
(2)観察された傷の長さ及び深さを、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製;VK-9510)を用いて、倍率300~3000倍で測定し、測定結果に基づいて、長さが1mm以上であり、且つ、深さの最大値が500nm以上である傷を線状欠陥とする。
(3)観察される線状欠陥のポリエステルフィルム1mあたりの個数(個/m)を計測する。
(乱れ欠陥)
本明細書において「乱れ欠陥」とは、ポリエステルフィルムの表面における反射光を目視で観察することにより視認される表面の荒れた外観をいう。乱れ欠陥は、ポリエステルフィルムの製造時において、ロールに貼り付いたポリエステルフィルムをロールから剥離する際に生じ得る。
ポリエステルフィルムにおける乱れ欠陥の個数は、30個/m以下が好ましく、10個/m以下がより好ましく、5個/m以下が更に好ましい。下限値は特に制限されないが、0.01個/m以上が好ましい。
ポリエステルフィルムにおける乱れ欠陥の個数は、以下の方法により測定する。
暗室内にて、ポリエステルフィルムを平面上に置き、タングステン光のポリエステルフィルムによる反射光を、視点を変えながら目視で観察する。目視による観察の結果、反射光が一様ではなく、ポリエステルフィルムの表面にしわ又は引きつり等の荒れた外観が観察される領域を乱れ欠陥とする。観察された乱れ欠陥の個数を数え、ポリエステルフィルム1mあたりの乱れ欠陥の個数(個/m)を算出する。
(転写欠陥)
本明細書において「転写欠陥」とは、ポリエステルフィルムの表面に設けられた被覆層に形成されるピンホールを意味する。上記被覆層は、上記の製造方法において、インラインコート法によりポリエステルフィルム上に形成された被覆層であることが好ましい。転写欠陥は、例えば、被覆層を有するポリエステルフィルムを1対のロールに挟んで搬送する際、1対のロールによってポリエステルフィルムに付与される圧力が高すぎる場合、或いは、いずれかのロールの表面の凹凸形状が大きい場合に生じ得る。
ポリエステルフィルムにおける転写欠陥の個数は、10個/m以下が好ましく、3個/m以下がより好ましく、1個/m以下が更に好ましい。下限値は特に制限されないが、0.01個/m以上が好ましい。
ポリエステルフィルムにおける転写欠陥の個数は、以下の方法により測定する。
(1)縦延伸を施した後のポリエステルフィルム上に、スリット状ノズルを用いて下記処方Aからなる塗布液を塗布して塗膜を形成すること以外は、上記で説明した方法に従って、ポリエステルフィルムと厚さ0.05μmの被覆層とからなる積層フィルムを製造する。
(2)製造された積層フィルムの被覆層が形成された面とは反対側の面からタングステン光を照射して、積層フィルムの被覆層側を目視で観察する。その結果、光が抜けるピンホールとして視認される被覆層の転写欠陥の個数を数え、ポリエステルフィルム1mあたりの転写欠陥の個数(個/m)を算出する。
-処方A:被覆層形成用塗布液-
・ポリアクリル(AS-563A、ダイセルファインケム株式会社製、固形分27.5質量%):167質量部
・ノニオン系界面活性剤(ナロアクティー(登録商標)CL95、三洋化成工業株式会社製、固形分100質量%):0.7質量部
・アニオン系界面活性剤(ラピゾール(登録商標)A-90、日油株式会社製、固形分1質量%水希釈):55.7質量部
・カルナバワックス分散物(セロゾール(登録商標)524、中京油脂株式会社製、固形分30質量%):7質量部
・カルボジイミド化合物(カルボジライト(登録商標)V-02-L2、日清紡ケミカル株式会社製、固形分10質量%水希釈):20.9質量部
・凝集シリカ(アエロジルOX50、日本アエロジル株式会社製、固形分10質量%、水分散、平均粒子径40nm):2.95質量部
・水:745.8部
(ヘイズ)
ポリエステルフィルムのヘイズは、3%以下が好ましく、1%以下がより好ましく、0.5%以下が更に好ましく、0.4%以下が特に好ましい。ヘイズは小さいほど好ましいため、ヘイズの下限は制限されない。ヘイズの下限を便宜上設定するとすれば、0%以上である。ヘイズを上記上限値以下とすることにより、ポリエステルフィルムにレジスト層を積層した後、紫外線を照射して露光するにあたってのレジスト層の支持体であるポリエステルフィルムによる紫外光線の散乱を小さくでき、現像後のレジストのパターニングにおけるゆがみ及び抜け等のレジストパターン壁面の状態を改善でき、また、ポリエステルフィルムの透過率を改善できる。
ヘイズは、ヘイズメーター(例えば、NDH-2000、日本電色工業株式会社製)を用いて、JIS K 7105に準ずる方法により測定する。
(b値)
表色系におけるb値は、0~1が好ましく、0~0.8がより好ましく、0~0.6が更に好ましく、0~0.4が特に好ましい。L表色系におけるb値が0~1であることで、フィルムの黄色度を小さくできるため、フィルムの色相を無色に近づけることができる。この結果、例えば、高い視認性が求められる用途(例えば、表示装置)において、ポリエステルフィルムを好ましく適用できる。
表色系におけるb値は、分光色差計(例えば、SE-2000、日本電色工業株式会社製)を用いて、透過法により測定する。
(厚さ)
ポリエステルフィルムの厚さは、加工性(特に、フィルムをラミネートする際の加工性)の観点から、10~100μmが好ましく、10~50μmがより好ましく、12~40μmが更に好ましい。ポリエステルフィルムの厚さを上記の下限値以上とすることにより、強度を向上し、加工工程での取り扱いを容易にすることができる。また、厚さを上記の上限値以下とすることにより、ヘイズ値の上昇を抑えることができる。ポリエステルフィルムの厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)により測定される5か所の厚さの算術平均値とする。
(寸法変化率)
ポリエステルフィルムにおいては、寸法変化率が、下記の範囲内であるとDFR加工工程での熱収縮による歪み及びシワの発生を抑制できるため好ましい。寸法変化率は、製膜条件における弛緩・熱処理等の条件を公知の方法により適宜調整することにより達成出来る。150℃における寸法変化率は長手方向で3%未満、幅方向で2.5%未満が好ましく、長手方向で0.5%以上2%未満、幅方向で1%以上2%未満がより好ましい。また、100℃における寸法変化率は長手方向、幅方向ともに1%未満が好ましく、0.8%未満であるとより好ましい。寸法変化率において上記範囲の下限を下回ると、レジスト層を塗布する際にタルミによる平面性不良が発生し、上限を上回ると、レジスト層を塗布する際に収縮によりトタン状に収縮斑が発生し平面性不良となり、いずれの場合もレジスト層の塗布厚みに斑を生じさせることがある。
(F-5値)
ポリエステルフィルムは、長手方向に5%伸張したときの強度(F-5値)が、0MPa以上150MPa未満であることが好ましい。長手方向のF-5値が70MPa未満では強度不足により傷の発生などにより加工特性が悪くなる場合がある。一方、長手方向のF-5値が150MPa以上では幅方向のF-5値との両立が困難となる場合がある。長手方向のF-5値は、より好ましくは80MPa以上140MPa未満であり、更に好ましくは90MPa以上130MPa未満である。
幅方向のF-5値が80MPa以上160MPa未満であることが好ましい。幅方向のF-5値が80MPa未満では強度不足による傷の発生などによる加工特性が悪くなる場合があり、160MPa以上では長手方向のF-5値との両立が難しくなる場合がある。幅方向のF-5値は、より好ましくは90MPa以上150MPa未満であり、更に好ましくは100MPa以上140MPa未満である。
(破断強度)
ポリエステルフィルムにおいては、長手方向の破断強度は200MPa以上360MPa未満であることが好ましく、220MPa以上340MPa未満であることがより好ましい。幅方向の破断強度については、260MPa以上420MPa未満であることが好ましく、280MPa以上400MPa未満であることがより好ましい。
ポリエステルフィルムのF-5値及び破断強度は、縦方向及び横方向の延伸温度及び延伸倍率を適宜調整することで達成できる。
<構造>
ポリエステルフィルムは、単層構造を有していてもよく、積層構造を有していてもよい。ポリエステルフィルムが積層構造を有する場合、ポリエステルを含有する基材と、上記基材の少なくとも一方の面に、粒子を含有し、かつ、表面に複数の突起を有する被覆層とを有することが好ましい。ポリエステルフィルムが被覆層を有することで、巻き品質を向上できる。
(被覆層)
ポリエステルフィルムが積層構造を有する場合の被覆層は、特に制限されない。被覆層は、粒子を含有していてもよく、粒子を含有していなくてもよい。
被覆層は、粒子を含有し、かつ、表面に複数の突起を有することが好ましい。
粒子としては、例えば、有機粒子、及び無機粒子が挙げられる。上記の中でも、粒子は、フィルム巻き品質、ヘイズ、及び耐久性(例えば、熱安定性)の観点から、無機粒子が好ましい。
有機粒子としては、樹脂粒子が好ましい。樹脂粒子としては、例えば、アクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、及びスチレン-アクリル樹脂粒子が挙げられる。樹脂粒子は、架橋構造を有することが好ましい。
無機粒子としては、例えば、シリカ粒子(二酸化ケイ素粒子)、チタニア粒子(酸化チタン粒子)、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、及びアルミナ粒子(酸化アルミニウム粒子)が挙げられる。上記の中でも、無機粒子は、ヘイズ及び耐久性の観点から、シリカ粒子が好ましい。
粒子の平均粒子径は、特に制限されないが、巻き品質の向上及び転写欠陥の抑制の点で、0.01~0.4μmが好ましく、0.04~0.2μmがより好ましい。
粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)の画像から任意に選択した50個の粒子の粒子径を算術平均することにより求める。
被覆層は、1種単独の粒子を含有していてもよく、2種以上の粒子を含有していてもよい。
粒子の含有量は、フィルムの巻き品質の向上、及び転写欠陥の抑制の観点から、被覆層の全質量に対して、0.01~15質量%が好ましく、0.1~10質量%がより好ましく、0.5~6質量%が更に好ましい。
ポリエステルフィルムが被覆層を有する場合、粒子の含有量は、ポリエステルフィルムの全質量に対して、0.0001~0.01質量%が好ましく、0.0005~0.005質量%がより好ましい。
被覆層は、バインダーを含有することが好ましい。バインダーとしては、樹脂バインダーが好ましい。樹脂バインダーとしては、例えば、ポリアクリル、ポリウレタン、ポリエステル及びポリオレフィンが挙げられる。
ポリアクリルとしては、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物に由来する構成単位を有する重合体であれば制限されず、公知のポリアクリルを利用できる。ポリアクリルは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル以外の化合物(例えば、オレフィン化合物、及びスチレン化合物)に由来する構成単位を有していてもよい。
ポリウレタンとしては、ウレタン結合を有する重合体であれば制限されず、公知のポリウレタンを利用できる。ポリウレタンは、イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させることにより製造することが多い。
ポリエステルとしては、上記「ポリエステル」の項目において説明したポリエステルを適用でき、好ましい種類も同様である。
ポリオレフィンとしては、制限されず、公知のポリオレフィンを利用できる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、及びポリプロピレンが挙げられる。
被覆層は、1種単独のバインダーを含有していてもよく、2種以上のバインダーを含有していてもよい。
バインダーの含有量は、被覆層の耐久性及び/又は粒子の分散性の観点から、被覆層の全質量に対して、30~80質量%が好ましく、40~70質量%がより好ましく、45~65質量%が更に好ましい。
被覆層における複数の突起については、好ましい態様も含めて、上記「突起密度」の項目において説明した突起と同じである。
被覆層の厚さは、被覆層の製造適性の観点から、0.01~0.3μmが好ましく、0.02~0.1μmがより好ましく、0.02~0.06μmが更に好ましい。被覆層の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)により測定される5か所の厚さの算術平均値とする。
被覆層の形成方法としては、例えば、被覆層形成用塗布液を用いる方法が挙げられる。例えば、ポリエステルフィルム基材上に被覆層形成用塗布液を塗布し、必要に応じて乾燥することにより被覆層を形成できる。また、共押出法によって、押出形成工程における未延伸ポリエステルフィルムの形成と同時に被覆層を形成してもよい。
被覆層形成用塗布液は、上記各成分及び溶剤を混合することにより調製できる。溶剤としては、例えば、水、ヘキサン、アセトン、エタノール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。中でも、環境、安全性及び経済性の観点から、水が好ましい。
被覆層形成用塗布液は、1種単独の溶剤を含有していてもよく、2種以上の溶剤を含有していてもよい。
溶剤の含有量は、被覆層形成用塗布液の全質量に対して、80~99質量%が好ましく、90~98質量%がより好ましい。
被覆層形成用塗布液の塗布方法は、制限されず、公知の方法を利用できる。塗布方法としては、例えば、スプレーコート法、スリットコート法、ロールコート法、ブレードコート法、スピンコート法、バーコート法及びディップコート法が挙げられる。
被覆層形成用塗布液を用いて被覆層を形成する場合、被覆層形成用塗布液が塗布される基材は、未延伸ポリエステルフィルムであってもよく、1軸延伸ポリエステルフィルムであってもよく、2軸延伸ポリエステルフィルムであってよい。
被覆層の形成方法は、基材及び被覆層の密着性の観点から、1軸延伸ポリエステルフィルム上に被覆層形成用塗布液を塗布する方法が好ましい。例えば、1軸延伸ポリエステルフィルムの表面に被覆層形成用塗布液を塗布することにより被覆層を形成した後、1軸延伸ポリエステルフィルムと被覆層とを同時に延伸することにより、基材及び被覆層の密着性を向上できる。延伸の具体的な方法については上述の通りである。
<用途>
本発明に係る製造方法で製造されるポリエステルフィルムの用途は特に制限されず、例えば、ドライフィルムフォトレジストの支持体及び保護フィルム、積層セラミックコンデンサー(MLCC)製造工程の離型用フィルム並びに、透明導電性基板用フィルムが挙げられる。
以下に実施例を挙げて本開示を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順は、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更できる。したがって、本開示の範囲は以下に示す具体例に制限されない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
〔実施例1〕
<押出成形工程>
重合触媒として特許第5575671号公報に記載のチタン化合物(クエン酸キレートチタン錯体、VERTEC AC-420、ジョンソン・マッセイ社製)を用いて、ポリエチレンテレフタレートのペレットを製造した。得られたペレットを、含水率が50ppm以下になるまで乾燥させた後、直径30mmの1軸混練押出し機のホッパーに投入し、次いで、280℃で溶融して押出した。溶融体(メルト)を、濾過器(孔径3μm)に通した後、ダイから25℃の冷却ドラムに押し出すことにより、未延伸フィルムを得た。なお、押し出された溶融体(メルト)は、静電印加法により冷却ドラムに密着させた。
<縦延伸工程及び冷却工程>
上記未延伸フィルムに対し、以下の方法により縦延伸工程を施した。
予熱ロールにより予熱された未延伸フィルムを、1対の延伸ロール(セラミック製)の間を通過させた後、金属製ロールの外周面にタングステンカーバイトで構成された表層を有する冷却ロールC1(製品名「WC-12Co」、プラスクエア工学社製)と対向ロールN1(製品名「90A70W」、金陽社製、硬度70度)との間を通過させることにより、縦方向(搬送方向)に延伸し、1軸延伸フィルムを作製した。なお、縦延伸工程は、予熱温度が75℃、延伸温度が90℃、延伸倍率が3.4倍、延伸速度が1300%/秒である条件で、実施した。1対の延伸ロールを通過する際の未延伸フィルムの搬送速度は、30m/分であり、冷却ロールC1と対向ロールN1との間を通過する際の1軸延伸フィルムの搬送速度は、100m/分であった。
また、冷却工程として、上記の1軸延伸フィルムを、冷却ロールC1に接触させることにより冷却した。また、冷却ロールC1と対向ロールN1との間に1軸延伸フィルムを通過させることにより、1軸延伸フィルムに圧力を付与した。
冷却ロールC1の表面について、算術平均粗さRaは0.02μmであり、最大山高さRpは0.187μmであり、突起密度は3647個/mmであり、水に対する接触角は68.1°であり、温度は25℃であった。
対向ロールN1の表面の算術平均粗さRaは1.1μmであった。
冷却ロールC1及び対向ロールN1により1軸延伸フィルムに付与される圧力の幅方向の平均値は1.3MPaであり、圧力の幅方向の最大値と最小値との差は0.08MPaであった。冷却ロールC1及び対向ロールN1の押圧により形成される押圧領域の搬送方向の長さ(以下「押圧領域のニップ幅」ともいう。)は、20mmであった。
また、冷却ロールに接触する位置での1軸延伸フィルムの温度は100℃であり、冷却ロールから離間する位置での1軸延伸フィルムの温度は50℃であった。これらの温度から、冷却ロールによる1軸延伸フィルムの冷却速度は200℃/秒と算出された。
以下、上記の各物性値の測定方法を記載する。
-冷却ロールの表面の算術平均粗さRaの測定-
冷却ロールの表面の算術平均粗さRaについて、冷却ロールが市販品であってカタログ値が存在する場合は、カタログ値を採用した。カタログ値が存在しない場合は、使用する冷却ロールと同じ構造を有するテストピースを作製し、得られたテストピースの表面を、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製;VK-9510)を用いて倍率3000倍で計測し、冷却ロールの表面の算術平均粗さRaを得た。
-最大山高さRp及び突起密度の測定-
冷却ロールの表面の最大山高さRp及び突起密度は、使用する冷却ロールと同じ構造を有するテストピースを作製し、得られたテストピースの表面を、下記の微細形状測定装置を用いて下記条件にて測定し、その後、内蔵されている解析ソフトにて粒子解析(複数レベル)を実施することにより、求めた。
以下に、測定機及び測定条件を示す。上記の測定は、スライスレベルを10nmの等間隔に設定して、測定位置を変更しながら各スライスレベルの平均直径と密度を5回測定し、これらの平均値を算出して、最大山高さRp及び突起密度の各測定値とした。また、テストピースは、視野測定のX方向がポリエステルフィルムの幅方向になるように試料台に固定した。
・測定装置:小坂研究所製surf-corder ET-4000A
・解析ソフト:i-Face model TDA31 Ver2.2.0.4 JSIS
・触針先端半径:0.5μm
・測定視野 :X方向:380μm、ピッチ:1μm
Y方向:280μm、ピッチ:5μm
・針圧 :50μN
・測定速度 :0.1mm/s
・カットオフ値:低域-0.8mm、高域-なし
・レベリング :全域
・フィルター :ガウシアンフィルタ(2D)
・倍率 :10万倍
・粒子解析(複数レベル)条件
・出力内容設定:山粒子
・ヒステリシス幅:5nm
・スライスレベル等間隔:10nm
-接触角の測定-
冷却ロールの表面の水に対する接触角について、冷却ロールが市販品であってカタログ値が存在する場合は、カタログ値を採用した。カタログ値が存在しない場合は、使用する冷却ロールと同じ構造を有するテストピースを作製し、接触角計(協和界面科学社製、DMo-901)を用いて、得られたテストピースの表面の水に対する静的接触角(°)を液滴法により測定し、冷却ロールの表面の水に対する接触角とした。
-対向ロールの表面の算術平均粗さRaの測定-
レプリカ作製キット(Microset Products社製、101THTHIXO)を用いてレプリカ材料を対向ロールの表面に射出して、表面形状の模りを行った。得られたレプリカの表面を、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製;VK-9510)を用いて、倍率3000倍で計測し、対向ロールの表面の算術平均粗さRaを得た。
-押圧条件-
上記冷却工程において、冷却ロール及び対向ロールにより1軸延伸フィルムに付与される圧力を、圧力測定フィルム(富士フイルム株式会社製「プレスケール(登録商標)」;超低圧用(LLW))を用いて測定した。具体的には、冷却ロール及び対向ロールを回転させずに、上記冷却工程と同じ条件で、上記圧力測定フィルムを冷却ロールと対向ロールとの間に挟み、押圧した。その結果、圧力測定フィルムに赤色に発色した領域が現れた。圧力測定フィルムにおける発色領域が、冷却ロール及び対向ロールにより圧力が付与された領域(即ち、押圧領域)に対応する。
次いで、圧力測定フィルムを取り出し、圧力計測機(富士フイルム株式会社製;FPD-306)を使用して、圧力測定フィルムに現れた発色領域の発色濃度を、対応する圧力値を換算した。得られた圧力値から、押圧領域における圧力の幅方向の平均値と、幅方向の最大値と最小値との差を求めた。
また、圧力測定フィルムに現れた発色領域の搬送方向の長さを、定規を用いて測定した。この測定を幅方向で100mm毎に行い、得られた測定値の平均値を、冷却ロールC1及び対向ロールN1の押圧により形成される押圧領域のニップ幅とした。
-フィルム温度の測定-
非接触温度計(AD-5616(製品名)、A&D社製、放射率0.95)を用いて、冷却ロールに接触する位置の1軸延伸フィルムの温度(接触時膜温)と、冷却ロールから離れる位置での1軸延伸フィルムの温度(離間時膜温)とを測定した。それぞれの温度の測定において、フィルムの幅方向中央部の温度を5回測定し、これらの平均値を接触時膜温及び離間時膜温の測定値とした。
また、1軸延伸フィルムが冷却ロールに接している接触面の縦方向の長さと、冷却ロールの回転速度とから、1軸延伸フィルムが冷却ロールに接している時間を冷却時間taとして求めた。測定された接触時膜温と離間時膜温との温度差Ta(℃)を、冷却時間taで除して(Ta/ta)、冷却工程による1軸延伸フィルムの冷却速度(℃/秒)を求めた。
<横延伸工程>
上記の冷却工程を施した1軸延伸フィルムに対し、テンターを用いて下記条件にて横延伸し、2軸延伸フィルムを得た。
-条件-
予熱温度:100℃
延伸温度:120℃
延伸倍率:4.2倍
延伸速度:50%/秒
<熱固定及び熱緩和工程>
上記横延伸工程を施した2軸延伸フィルムを下記条件で熱固定した。更に、熱固定した後、テンター幅を縮め下記条件で熱緩和し、次いで冷却した。
(熱固定条件)
熱固定温度:227℃
熱固定時間:6秒
(熱緩和条件)
熱緩和温度:190℃
熱緩和率:4%
(冷却条件)
冷却速度:2500℃/分
<巻き取り工程>
上記熱固定及び熱緩和工程を施したフィルムの幅方向の両端部をトリミングし、次いで、フィルム幅方向の両端部に、幅10mmで押出し加工(ナーリング)を行なった後、張力40kg/mで延伸フィルムを巻き取った。以上の方法により、厚さ30μmの2軸配向フィルムを得た。得られた2軸配向フィルムの幅は1.5mであり、巻長は7000mであった。
〔実施例2〕
冷却工程において、冷却ロールC1及び対向ロールN1により1軸延伸フィルムに付与する圧力(幅方向の平均値)を1.0MPaに調整したこと以外は、実施例1と同様の方法によりを得た。
実施例2の冷却工程における押圧領域のニップ幅は、17mmであった。
〔実施例3〕
冷却工程において、対向ロールN1に代えて対向ロールN2(製品名「90A80W」、金陽社製)を用いたこと、並びに、冷却ロールC1及び対向ロールN2により1軸延伸フィルムに付与する圧力(幅方向の平均値)を2.1MPaに調整したこと以外は、実施例1と同様の方法により2軸配向フィルムを得た。
対向ロールN2の硬度は、80度であった。また、実施例3の冷却工程における押圧領域のニップ幅は、17mmであった。
〔実施例4〕
冷却工程において、対向ロールN1に代えて対向ロールN3(製品名「90A70W」、金陽社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により2軸配向フィルムを得た。
実施例4の冷却工程において、冷却ロールC1及び対向ロールN3により1軸延伸フィルムに付与される圧力の、幅方向の最大値と最小値との差は0.49MPaであり、押圧領域のニップ幅は20mmであった。なお、この圧力差とニップ幅はロール据え付け部の歪が原因と考えられる。
〔実施例5〕
冷却工程において、対向ロールN1に代えて対向ロールN4(製品名「90A70W」、金陽社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により2軸配向フィルムを得た。
なお、対向ロールN4は経年劣化していたため、その表面の算術平均粗さRaは、1.8μmであった。
〔実施例6〕
冷却工程において、冷却ロールC1に代えて、金属製ロールの外周面にハードクロムめっき処理層を有する冷却ロールC2(野村鍍金社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により2軸配向フィルムを得た。
冷却ロールC2のめっき処理層は、表面の算術平均粗さRaが0.008μmであり、最大山高さRpが0.113μmであり、最大突起密度が2284個/mmであり、水との接触角が15.5°である表面を有していた。
〔実施例7〕
冷却工程において、冷却速度を100℃/秒に調整したこと以外は、実施例1と同様の方法により2軸配向フィルムを得た。
このときの冷却ロールC1から離間する位置での1軸延伸フィルムの温度は、75℃であった。
〔比較例1〕
冷却工程において、冷却ロールC1に代えて、金属製ロールの外周面に酸化クロムで構成された表層を有する冷却ロールC3(製品名「LC-4」、プラスクエア工学社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により2軸配向フィルムを得た。
冷却ロールC3の表層は、表面の算術平均粗さRaが0.08μmであり、最大山高さRpが0.323μmであり、最大突起密度が4549個/mmであり、水との接触角が100.6°である表面を有していた。
[評価]
実施例1~7及び比較例1の各2軸配向フィルムに対して、以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
〔線状欠陥〕
暗室内にて、光源としてタングステン光を用いて、タングステン光の2軸配向フィルムによる反射光、及び、2軸配向フィルムを通過する透過光を、視点を変えながら目視で観察し、2軸配向フィルムの表面に存在する線状の傷の位置を特定した。次に、観察された傷の長さ及び深さを、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製;VK-9510)を用いて、倍率300~3000倍で測定した。測定結果に基づいて、長さが1mm以上であり、且つ、深さの最大値が500nm以上である傷を線状欠陥とし、2軸配向フィルム1mあたりの線状欠陥の個数(個/m)を計測した。また、2軸配向フィルムにおける面積1mの領域を任意に選択し、選択された領域における最も長い線状欠陥の最大深さ(単位:nm)を測定した。
〔乱れ欠陥〕
暗室内にて、2軸配向フィルムを平面上に置き、タングステン光の2軸配向フィルムによる反射光を、視点を変えながら目視で観察した。目視による観察の結果、反射光が一様ではなく、2軸配向フィルムの表面に光源の反射光を乱す荒れた外観が観察される領域を乱れ欠陥とした。観察された乱れ欠陥を数え、2軸配向フィルム1mあたりの乱れ欠陥の個数(個/m)を算出した。
〔転写欠陥〕
上記縦延伸工程により縦延伸を施した後のポリエステルフィルム上に、スリット状ノズルを用いて上記処方Aからなる塗布液を塗布して厚さ0.05μmの被覆層を形成したこと以外は、上記実施例1~7及び比較例1に記載した方法に従って、被覆層を有する2軸配向フィルムを製造した。
被覆層を設けた2軸配向フィルムの被覆層が形成された面とは反対側の面からタングステン光を照射して、被覆層のピンホール(転写欠陥)の有無を目視で観察した。観察された転写欠陥の個数を数えて、2軸配向フィルム1mあたりの転写欠陥の個数(個/m)を算出した。
〔搬送シワ〕
冷却工程において、冷却ロール上での1軸延伸フィルムの搬送状態を観察し、以下の基準に従って評価した。評価がAであれば、実用上問題ないといえる。なお、「幅方向両端部」とは、1軸延伸フィルムの幅方向の両端から30mmまでの領域を意味する。また、搬送シワは、搬送方向に対して斜め方向に延びる形状を有することが多い。
(基準)
A:冷却ロール上で1軸延伸フィルムの幅方向両端部にシワが生じない。
B:冷却ロール上で1軸延伸フィルムの幅方向両端部にシワが生じる。
表1に、各実施例及び比較例で行った冷却工程及び各評価結果をそれぞれ示す。
表1において、「冷却ロール」の「表面材料」欄は、冷却ロールの表面を構成する材料を示しており、「材料A」はタングステンカーバイトを、「材料B」はハードクロム(めっき層)を、「材料C」はセラミック(酸化クロム)を、それぞれ意味する。
表1より、冷却ロールの表面の算術平均粗さRaが0.05μm以下である実施例1~7は、比較例1に比べて、ポリエステルフィルムの表面における線状欠陥の発生を抑制できることが確認された。
冷却ロール及び対向ロールによりポリエステルフィルムに付与される圧力の面平均値が1.1MPa以上である場合、ポリエステルフィルムの表面における線状欠陥の発生をより抑制できることが確認された(実施例1と実施例2との比較)。
また、冷却ロール及び対向ロールによりポリエステルフィルムに付与される圧力の面平均値が2.0MPa以下である場合、ポリエステルフィルムにおける転写欠陥及び搬送シワの発生をより抑制できることが確認された(実施例1と実施例3との比較)。
ポリエステルフィルムにおける、冷却ロール及び対向ロールにより圧力が付与される領域における圧力の幅方向の最大値と最小値との差が0.4MPa以下である場合、ポリエステルフィルムの表面における線状欠陥の発生をより抑制できることが確認された(実施例1と実施例4との比較)。
対向ロールの表面の算術平均粗さRaが1.5μm以下である場合、ポリエステルフィルムの表面における転写欠陥の発生を抑制できることが確認された(実施例1と実施例5との比較)。
冷却ロールの表面の水に対する接触角が20°以上である場合、ポリエステルフィルムの表面における乱れ欠陥の発生を抑制できることが確認された(実施例1と実施例6との比較)。
冷却ロールによるポリエステルフィルムの冷却速度が120℃/秒以上である場合、ポリエステルフィルムの表面における乱れ欠陥の発生を抑制できることが確認された(実施例1と実施例7との比較)。
10 縦延伸部
12 予熱ロール
14 延伸ロール
16 ヒーター
20 冷却部
22 冷却ロール
24 対向ロール
26 第2冷却ロール
30 横延伸部
40 巻取部
100 製造装置
F フィルム

Claims (20)

  1. 1軸延伸されたポリエステルフィルムを冷却ロールに接触させて冷却する冷却工程を有し、
    前記冷却ロールの表面を含む表層を構成する材料が、タングステンカーバイト又はハードクロムであり、
    前記冷却ロールの表面の算術平均粗さRaが、0.05μm以下であり、
    前記冷却ロールの表面の最大山高さRpが、0.4μm以下であり、
    前記冷却ロールの表面における突起密度が、10000個/mm以下であり、
    前記冷却ロールと、前記冷却ロールの搬送方向上流側に配置され、前記冷却ロールよりも搬送速度が遅い1つ以上の延伸ロールとを用いて、未延伸ポリエステルフィルムを搬送方向に延伸して、前記1軸延伸されたポリエステルフィルムを形成する縦延伸工程を更に有し、
    前記延伸ロールによる前記未延伸ポリエステルフィルムの搬送速度が、10~50m/分である、ポリエステルフィルムの製造方法。
  2. 前記冷却工程において、前記冷却ロールと、前記冷却ロールに対向するように配置されている対向ロールとの間に前記ポリエステルフィルムを通過させることにより、前記ポリエステルフィルムに圧力を付与する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記冷却ロール及び前記対向ロールにより前記ポリエステルフィルムに付与される圧力の幅方向における最大値と最小値の差が、0.4MPa以下である、請求項2に記載の製造方法。
  4. 1軸延伸されたポリエステルフィルムを冷却ロールに接触させて冷却する冷却工程を有し、
    前記冷却ロールの表面を含む表層を構成する材料が、タングステンカーバイト又はハードクロムであり、
    前記冷却ロールの表面の算術平均粗さRaが、0.05μm以下であり、
    前記冷却ロールの表面の最大山高さRpが、0.4μm以下であり、
    前記冷却ロールの表面における突起密度が、10000個/mm以下であり、
    前記冷却工程において、前記冷却ロールと、前記冷却ロールに対向するように配置されている対向ロールとの間に前記ポリエステルフィルムを通過させることにより、前記ポリエステルフィルムに圧力を付与し、
    前記冷却ロール及び前記対向ロールにより前記ポリエステルフィルムに付与される圧力の幅方向における最大値と最小値の差が、0.4MPa以下である、ポリエステルフィルムの製造方法。
  5. 前記対向ロールの表面の算術平均粗さRaが、1.5μm以下である、請求項2~4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 1軸延伸されたポリエステルフィルムを冷却ロールに接触させて冷却する冷却工程を有し、
    前記冷却ロールの表面を含む表層を構成する材料が、タングステンカーバイト又はハードクロムであり、
    前記冷却ロールの表面の算術平均粗さRaが、0.05μm以下であり、
    前記冷却ロールの表面の最大山高さRpが、0.4μm以下であり、
    前記冷却ロールの表面における突起密度が、10000個/mm以下であり、
    前記冷却工程において、前記冷却ロールと、前記冷却ロールに対向するように配置されている対向ロールとの間に前記ポリエステルフィルムを通過させることにより、前記ポリエステルフィルムに圧力を付与し、
    前記対向ロールの表面の算術平均粗さRaが、1.5μm以下である、ポリエステルフィルムの製造方法。
  7. 前記冷却ロールの表面の最大山高さRpが、0.3μm以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記冷却工程における前記冷却ロールによる前記ポリエステルフィルムの冷却速度が、150℃/秒以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記冷却工程において前記冷却ロールに接触する前記ポリエステルフィルムの温度が、90℃以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記冷却工程において前記冷却ロールから離れる前記ポリエステルフィルムの温度が、50℃以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 前記冷却工程において前記冷却ロールに接触してから前記冷却ロールから離れるまでに低下した前記ポリエステルフィルムの温度が、30℃以上である、請求項1~10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 前記冷却ロールの表面温度が、35℃以下である、請求項1~11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. 前記冷却ロールによる前記ポリエステルフィルムの搬送速度が、50~150m/分である、請求項1~12のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 前記冷却ロールの表面の算術平均粗さRaが、0.008μm以上である、請求項1~13のいずれか1項に記載の製造方法。
  15. 前記冷却ロールの表面の水に対する接触角が、10°以上である、請求項1~14のいずれか1項に記載の製造方法。
  16. 前記ポリエステルフィルムの厚さが、40μm以下である、請求項1~15のいずれか1項に記載の製造方法。
  17. 前記冷却ロール及び前記対向ロールにより前記ポリエステルフィルムに付与される圧力の面平均値が、1.1MPa以上である、請求項2~6のいずれか1項に記載の製造方法。
  18. 前記冷却ロール及び前記対向ロールにより前記ポリエステルフィルムに付与される圧力の面平均値が、1.7MPa以下である、請求項2~6及び17のいずれか1項に記載の製造方法。
  19. 前記ポリエステルフィルムにおいて、前記冷却ロール及び前記対向ロールにより圧力が付与される領域の搬送方向の長さが、15mm以上である、請求項2~6、17及び18のいずれか1項に記載の製造方法。
  20. ポリエステルフィルムであって、前記ポリエステルフィルムの表面において、深さが500nm以上であり、且つ、長さが1mm以上である線状欠陥の個数が、前記ポリエステルフィルム1mあたり5個以下であり、
    前記ポリエステルフィルムの表面に設けられた被覆層を更に有し、
    前記被覆層は、粒子を含有し、
    前記被覆層とは反対側の面から光を照射して、前記被覆層の表面を目視で観察することによりピンホールとして視認される転写欠陥の個数が、前記ポリエステルフィルム1mあたり3個以下である、ポリエステルフィルム(ただし、前記ポリエステルフィルムは粒子を含有しない。)
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