JP7435316B2 - オイルレベルセンサの取付構造 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジン本体に供給されるオイルを内側に貯留するオイルパンに対するオイルレベルセンサの取付構造に関するものである。
従来、車両等に設けられるエンジンには、エンジン本体に供給されるオイルを貯留するオイルパンがエンジン本体の下部に設けられている。エンジン本体の振動がオイルパンに伝わると、オイルパンが振動して騒音が生じるおそれがある。これに対して、特許文献1のように、オイルパンに、これを外方から覆うカバーを設けて遮音することが検討されている。このようにオイルパンにカバーを設ければ、オイルパンの遮音性を高めることができるとともにオイルパンを保温することができる。
また、特許文献2に開示されるように、オイルパン内のオイルの液面レベルを検出するためのオイルレベルセンサをオイルパンに取り付けることが行われている。特許文献2のエンジンでは、オイルパンの下面にセンサ本体が固定され、センサ本体から延びるハーネスが、オイルパンの外側面から外方に突出する形状を有するブラケットに保持されている。
特開2009-236091号公報 特開2018-53722号公報
オイルレベルセンサが取り付けられたオイルパンにおいても遮音性・保温性を高めるためにカバーを取り付けることが望ましい。しかし、特許文献2のようにオイルレベルセンサのハーネスを固定するためのブラケットがオイルパンの外側面から突出する形状を有するものでは、ブラケットが配設された部分においてカバーとオイルパンとが離間してしまう。つまり、カバーをオイルパンに密着させることができない。そのため、カバーによるオイルパンの遮音性・保温性の向上効果を十分に得られないという問題がある。
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、オイルレベルセンサをオイルパンに取り付けつつオイルパンの遮音・保温性を高めることのできるオイルレベルセンサ取付構造の提供を目的とする。
前記課題を解決するため、本発明は、エンジン本体に供給されるオイルを内側に貯留するオイルパンに対するオイルレベルセンサの取付構造であって、前記オイルレベルセンサは、前記オイルパン内のオイルの液面レベルを検出するセンサ本体と、当該センサ本体に接続されたハーネスとを備え、前記オイルパンの底壁は、上方に膨出する形状を有して当該底壁の下面に溝を区画する溝区画部を備え、前記溝には、当該溝の残余の部分よりも幅の狭い狭窄部が形成されており、前記ハーネスの少なくとも一部は、前記溝内に挿入されており、前記オイルパンには、当該オイルパンの底壁の下面との間で前記センサ本体および前記ハーネスを挟み込んだ状態で前記オイルパンを覆うカバーが取り付けられており、前記オイルパンの底壁は、所定の方向に沿って並び前記オイルパンの底壁をそれぞれ構成する第1底壁と第2底壁とを備え、前記第2底壁は、前記第1底壁よりも高い位置に配置されており、前記溝区画部は、前記第2底壁に設けられている、ことを特徴とする(請求項1)。
本発明では、オイルパンの底壁の下面に形成された溝にオイルレベルセンサのハーネスが挿入された状態で、ハーネスとセンサ本体とがオイルパンの底壁の下面とカバーとの間に挟み込まれる。そのため、ハーネスをオイルパンに保持するためのブラケットを別途設ける必要がない。これより、オイルパンの底壁の下面つまりオイルパンの下面とカバーとの間に前記ブラケットを配設するための空間を確保する必要がなく、オイルパンの下面とカバーとをより広い範囲にわたって密着させることができる。また、オイルパンの下面に対するハーネスの突出量を小さく抑えることができ、オイルパンの下面とカバーとの間に確保せねばならない、ハーネスを配置するための空間を小さくすることができる。これより、オイルパンの下面とカバーとの密着性を確実に高めることができる。また、本発明では、前記の溝に狭窄部が設けられていることで、ハーネスを前記の溝に挿入された状態に保持することができる。そのため、カバーがオイルパンに取り付けられる前にハーネスが前記の溝から脱離するのを防止できる。従って、オイルパンの下面からの突出量が少なく抑えられた状態でハーネスを確実にオイルパンの下面とカバーとの間に固定することができ、前記の密着性を確実に高めてオイルパンの遮音・保温性を高めることができる。
しかも、本発明では、オイルパンの底壁に設けられた上方に膨出する溝区画部によって前記溝が区画されている。そのため、オイルパンの底壁の厚みの増大を抑制しつつ前記の溝を形成することができる。
また、前記オイルパンの底壁は、所定の方向に沿って並び前記オイルパンの底壁をそれぞれ構成する第1底壁と第2底壁とを備え、前記第2底壁は、前記第1底壁よりも高い位置に配置されており、前記溝区画部は、前記第2底壁に設けられている。
そのため、溝区画部を設けつつ、第2底壁から第1底壁に向かうオイルの流れが許容されるので、オイルパンからオイルを抜く際に溝区画部がオイルの抜けを妨げるのを防止できる。
前記構成において、好ましくは、前記センサ本体は、前記第1底壁の下方に配設されている(請求項)。
この構成によれば、ハーネスが保持される第2底壁の下面とカバーとの密着性をより高めることができる。
前記構成において、好ましくは、前記オイルパンは、上下方向に延びて前記第1底壁と前記第2底壁とをつなぐ立壁を備え、前記立壁の外側面には、前記オイルパンの内側に向かって凹み、且つ、前記第2底壁の前記溝と連続する形状を有して、前記ハーネスの一部が収容される立壁側溝が形成されている(請求項)。
この構成によれば、オイルパンの立壁とカバーとの密着性も高められるため、オイルパンの遮音・保温性がより一層高められる。
また、本発明は、エンジン本体に供給されるオイルを内側に貯留するオイルパンに対するオイルレベルセンサの取付構造であって、前記オイルレベルセンサは、前記オイルパン内のオイルの液面レベルを検出するセンサ本体と、当該センサ本体に接続されたハーネスとを備え、前記オイルパンの底壁は、上方に膨出する形状を有して当該底壁の下面に溝を区画する溝区画部を備え、前記溝には、当該溝の残余の部分よりも幅の狭い狭窄部が形成されており、前記ハーネスの少なくとも一部は、前記溝内に挿入されており、前記オイルパンには、当該オイルパンの底壁の下面との間で前記センサ本体および前記ハーネスを挟み込んだ状態で前記オイルパンを覆うカバーが取り付けられており、前記ハーネスのうち前記狭窄部に挿入される部分の少なくとも一部の外側面は、前記溝に挿入される前記ハーネスの残余の部分の外側面よりも硬い、オイルレベルセンサの取付構造を提供する(請求項)。
この構成によれば、狭窄部によってハーネスをより確実に溝内に保持させることができる。
前記構成において、好ましくは、前記カバーのうち前記溝と対向する部分には、下方に凹む凹部が形成されている(請求項)。
この構成によれば、オイルパンとカバーとの密着性をより一層確実に高めることができる。
以上のように、本発明によれば、オイルレベルセンサをオイルパンに固定しつつオイルパンの遮音・保温性を高めることのできるオイルレベルセンサ取付構造を提供できる。
本発明の一実施形態に係るオイルレベルセンサ取付構造が適用されたエンジンが搭載された車両の概略構成図である。 エンジンの概略側面図である。 カバーが取り付けられた状態のオイルパンを示した概略斜視図である。 図3のIV-IV線における概略断面図である。 カバーが取り付けられた状態のオイルパンの底面の一部を示した概略斜視図である。 カバーが取り外された状態のオイルパンの底面の一部を示した概略斜視図である。 図6の一部を拡大して示した概略底面図である。 図6の一部を拡大して示した概略正面図である。 オイルパンの底面に形成された溝を拡大して示した概略斜視図である。 オイルパンとカバーの一部とを分解して示した概略斜視図である。 図5のXI-XI線断面図である。
以下、本発明の実施形態に係るオイルレベルセンサの取付構造について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るオイルレベルセンサの取付構造が適用されたエンジン1が搭載された車両の構造を模式的に示した図である。本実施形態の車両100は、四輪のエンジン自動車であり、複数(4つ)の車輪101と、車両100の駆動源として機能するエンジン1と、エンジン1の出力を変速するためのトランスミッション102とを備える。エンジン1は、複数の気筒2aが形成されたエンジン本体2を有する。エンジン1は、その出力軸であるクランク軸(不図示)が車両前後方向に延びる姿勢、つまり、縦置きの状態で車両100に搭載されている。図1の例では、エンジン本体2は、複数(6つ)の気筒2aを有する多気筒エンジンであり、これら気筒2aは車両前後方向に並んでいる。車両100は、4輪駆動車であり、車両100には、3つのデファレンシャルギア(フロントデフ105F、センターデフ105C、リアデフ105R)が搭載されている。以下では、気筒2aの並び方向つまり車両前後方向を前後方向といい、車両前後方向における前、後を、単に前、後という。また、平面視で前後方向と直交する方向つまり車幅方向を左右方向といい、車両前方を向いた状態での右、左を、単に右、左という。
図2は、エンジン1を示した概略側面図である。エンジン1は、エンジン本体2に加えて、エンジン本体2の下部に取り付けられるオイルパン3およびオイルパン3を覆うカバー4を有する。本実施形態では、フロントデフ105Fがオイルパン3に固定されているとともに、フロントデフ105Fから後方に延びるプロペラシャフト106がオイルパン3の側面に沿って延びている。また、フロントデフ105Fを介してプロペラシャフト106と連結されるドライブシャフト107が、オイルパン3を貫通している。
図3は、カバー4が取り付けられた状態のオイルパン3を示した概略斜視図である。図4は、図2のII-II線における概略断面図である。図4は、図3のIV-IV線における概略断面図である。図5は、カバー4が取り付けられた状態のオイルパン3の底面の一部を示した概略斜視図である。図6は、カバー4が取り外された状態のオイルパン3の底面の一部を示した概略斜視図である。図7は、図6の一部を拡大して示した概略底面図である。図8は、図6の一部を拡大して示した概略正面図である。図9は、オイルパン3のうち後述する保持溝30が形成された部分を拡大して示した概略斜視図である。図10は、オイルパン3とカバー4の一部とを分解して示した概略斜視図である。図11は、図5のXI-XI線断面図である。
オイルパン3は、上方に開口する箱状を有し、その内側には、エンジン本体2の各部に供給される潤滑用のオイル(以下、エンジンオイルという)を貯留する貯留室3Aが区画されている。オイルパン3は、平面視で前後方向に延びる略長方形状を有しており、貯留室3Aの底面を構成する底壁11と、底壁11の前縁から上方に延びる前壁15と、底壁11の後縁から上方に延びる後壁16と、底壁11の右縁から上方に延びる右壁17と、底壁11の左縁から上方に延びる左壁18とを有する。
貯留室3Aの深さは前後方向において大きく2段階に変化しており、オイルパン3は、オイルパン3の後側部分を構成して貯留室3Aの深さが深い深部10Aと、オイルパン3の前側部分を構成して貯留室3Aの深さが浅い浅部10Bとを備える。そして、オイルパン3の底壁11は、深部10Aの底壁を構成する第1底壁12と、浅部10Bの底壁を構成する第2底壁13であって第1底壁12よりも高い位置に配設された第2底壁13と、これらをつなぐ上下方向に延びる立壁14とで構成されている。なお、図2に示すように、浅部10Bの下方には、ステアリングシャフト109が配設されており、浅部10Bの底壁の高さが高くされていることで、オイルパン3とステアリングシャフト109との干渉が回避されている。このように本実施形態では、第1底壁12と第2底壁13とは前後方向に沿って並んでおり、前後方向が請求項の「所定の方向」に相当する。
深部10Aの前側部分には、ドライブシャフト107が挿通されるシャフト挿通部111が形成されている。また、図6に示すように、深部10Aには、深部10Aのうちのシャフト挿通部111よりも前側の領域と後側の領域とを連通してこれら領域間でのエンジンオイルの流通を可能にする連通部110が設けられている。また、図4に示すように、深部10Aの後側部分の下端部には、エンジンオイルを貯留室3Aから外部に排出するためのドレン口3Xが形成されている。本実施形態では、右壁17の下端部にドレン口3Xが形成されている。
オイルパン3には、貯留室3A内のエンジンオイルの液面レベルを検出するためのオイルレベルセンサ50が取り付けられている。
オイルレベルセンサ50は、センサ本体51と、センサ本体51から延びるハーネス52とを備える。ハーネス52は、センサ本体51での検出結果を送信するためのものであり、車両100に別途設けられたECU(エンジンコントロールユニット、不図示)に接続されている。図6にしめすように、ハーネス52は、コネクタ53を介してセンサ本体51に接続されている。
センサ本体51は、基部51a(図6)と、基部51aから上方に突出して貯留室3A内に配設される検出部51b(図3)とを備える。基部51aは、オイルパン3の底壁11の下面に固定されており、これにより、センサ本体51はオイルパン3に保持されている。本実施形態では、センサ本体51の基部51aは、底壁11のうち第1底壁12の下方に配設されて、第1底壁12に固定されている。そして、センサ本体51の検出部51bは深部10A内に配設されている。
ハーネス52は、オイルパン3の底壁11に沿ってセンサ本体51からオイルパン3の前端部まで延びている。本実施形態では、ハーネス52は、オイルパン3の右端部まで延びている。ハーネス52の前端にはコネクタ54が取り付けられている。このコネクタ54は、ブラケット120を介してオイルパン3に支持されている。
オイルパン3の底壁11の外側面には、ハーネス52が挿入される溝である保持溝30が形成されている。ハーネス52の一部は、この保持溝30に挿入されるとともに、この保持溝30に保持されている。
保持溝30は、底壁11のうちの第2底壁13と立壁14とに形成されている。具体的には、第2底壁13の外側面13bつまり第2底壁13の下面13bであって底壁11の下面11bの前側部分に、前後方向に延びる第1溝30Aが形成されている。そして、立壁14の外側面14bつまり立壁14の前側面14bに、第1溝30Aと連続して上下方向に延びる第2溝30Bが形成されている。そして、これら第1溝30Aと第2溝30Bとによって保持溝30が構成されており、ハーネス52のうち立壁14および第2底壁13に沿う部分が保持溝30内に挿入されている。前記の第1溝30Aは、請求項における「溝」に相当し、前記の第2溝30Bは、請求項における「立壁側溝」に相当する。
図10等に示すように、底壁11には、貯留室3Aの内側に向かって膨出する膨出部130が形成されており、この膨出部130によって底壁11の外側面に保持溝30が区画されている。具体的には、第2底壁13の上面13aであって貯留室3Aを向く面13aに、上方に膨出する第1膨出部130Aが形成されている。これにより、第2底壁13の下面13bすなわち底壁11の下面11bに、第1溝30Aが区画されている。また、立壁14の後側の面であって貯留室3Aを向く面14aに、後方に膨出する第2膨出部130Bが形成されている。これにより立壁14の前側面14bすなわち底壁11の外側面のうちの前方を向く面に第2溝30Bが区画されている。第1膨出部130Aと第2膨出部130Bとは前後方向に連続している。前記の第1膨出部130Aは、請求項の「溝区画部」に相当する。
第1溝30Aおよびこれを区画する第1膨出部130Aは、前後方向、つまり、浅部10Bと深部10Aの並び方向に沿って延びている。本実施形態では、第1溝30Aおよび第1膨出部130Aは、第2底壁13の右端付近において前後方向に延びている。第2溝30Bおよびこれを区画する第2膨出部130Bは、立壁14の右端付近においてほぼまっすぐに上下方向に延びている。
本実施形態では、底壁11のうちの保持溝30の幅方向の両縁を構成する部分に、外方に突出する(第1溝30Aにおいては下方、第2溝30Bにおいては前方に突出する)突壁39が設けられており、これにより保持溝30の深さは深くされている。図11に示すように、保持溝30の深さは、ハーネス52の外径の半分よりもわずかに大きい寸法とされている。
図9等に示すように、第1溝30Aの内側面には、第1溝30Aの幅方向の内側に向かって突出する爪部32が形成されている。爪部32が設けられた部分の第1溝30Aの幅寸法は、第1溝30Aの残余の部分よりも小さくなっており、第1溝30Aには、爪部32によって、残余の部分よりも幅の狭い狭窄部132が形成されている。
本実施形態では、第1溝30Aは、3つの爪部32および3つの狭窄部132を有する。3つの爪部32は、前後方向の位置が互いに異なり且つ左右方向について互い違いになるように配設されている。図例では、第1溝30Aの右側面の前後方向の離間した位置に2つの爪部32が設けられて、残りの爪部32が、第1溝30Aの左側面のうちの前後方向について右側の2つの爪部32の中間となる位置に設けられている。
第2溝30Bにも、第2溝30Bの残余の部分よりも幅の狭い第2狭窄部133が形成されている。図8に示すように、第2溝30Bの下側部分の幅寸法は、上側部分の幅寸法よりも小さくなっており、第2溝30Bでは、その下側部分全体が幅の狭い第2狭窄部133となっている。本実施形態では、第2狭窄部133の上端部と下端部とがテーパ形状とされており、第2狭窄部133の上端部の幅方向の寸法は下側ほど小さくなっており、第2狭窄部133の下端部の幅方向の寸法は上側ほど小さくなっている。
図6および図11に示すように、ハーネス52は、信号線とこれを囲む被覆部とで構成されたハーネス本体52aと、ハーネス本体52aに取り付けられる硬質チューブ52bとを有する。硬質チューブ52bは、円筒状を有し、ハーネス本体52aが内側に挿通されることでハーネス本体52aの外周面を覆うようにこれに取り付けられている。硬質チューブ52bは、ハーネス本体52aよりも硬く、ハーネス52のうち硬質チューブ52bが取り付けられた部分の外側面は、硬質チューブ52bが取り付けられていない部分の外側面よりも硬くなる。また、ハーネス52のうち硬質チューブ52bが取り付けられた部分の外径は、ハーネス52の残余の部分に比べて硬質チューブ52bの分だけ大きくなる。硬質チューブ52bは、例えば、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)で形成されており、ハーネス本体52aはこれよりも柔らかい材料で形成されている。
硬質チューブ52bは、ハーネス52のうち狭窄部132および第2狭窄部133に挿入される部分に取り付けられている。これより、ハーネス52のうち狭窄部132および第2狭窄部133に挿入される部分の外側面の硬さは、ハーネス52の残余の部分の硬さよりも硬くなっている。また、ハーネス52のうち狭窄部132および第2狭窄部133に挿入される部分の外径が、ハーネス52の残余の部分の外径よりもわずかに大きくなっている。
本実施形態では、ハーネス52は2つの硬質チューブ52bを有し、ハーネス52のうち、第1溝30Aのうち一番後ろの爪部32よりも後方の位置から第1溝30Aの前端までの領域に挿入される部分に、一方の硬質チューブ52bが取り付けられている。また、ハーネス52のうち、第2狭窄部133の上下方向の中間位置から下側の部分に挿入される部分に、他方の硬質チューブ52bが取り付けられている。
保持溝30に挿入されたハーネス52は、狭窄部132と第2狭窄部133の左右両側面に挟みこまれることで、保持溝30内に保持される。具体的には、保持溝30のうち狭窄部132と第2狭窄部133を除く部分の幅方向の寸法は、ハーネス本体52aの外径よりも大きい寸法とされている。一方、狭窄部132と第2狭窄部133の幅方向の寸法は、硬質チューブ52bの外径よりもわずかに小さい寸法とされている。これより、ハーネス52は、各硬質チューブ52bの弾性変形を伴いつつ保持溝30に挿入される。つまり、狭窄部132と第2狭窄部133内において各硬質チューブ52bは弾性変形しており、各硬質チューブ52bと狭窄部132および第2狭窄部133の左右の両側面とは硬質チューブ52bの弾発力によって圧接されている。特に、本実施形態では、前記のように硬質チューブ52bが硬い部材で形成されて硬質チューブ52bが比較的高い弾発力を発生させるようになっている。そのため、各硬質チューブ52bと狭窄部132および第2狭窄部133との間には比較的高い圧接力が生じ、ハーネス52は保持溝30内に比較的安定して保持される。
保持溝30内に挿入されたハーネス52は、これを覆うようにオイルパン3にカバー4が取り付けられることで、カバー4とオイルパン3の底壁11の下面11bとの間に挟み込まれて確実に底壁11に固定される。
図5に示すように、カバー4は、オイルパン3の底壁11を下方から覆う底壁カバー21を有する。底壁カバー21は、第1底壁12を下方から覆う第1底壁カバー22と、第2底壁13を下方から覆う第2底壁カバー23と、これらをつないで立壁14を前方から覆う立壁カバー24とを有している。底壁カバー21は、オイルパン3の底壁11のほぼ全体を覆っている。
前記のように、第1底壁12の下面12bであって底壁11の下面11bの後側部分にはオイルレベルセンサ50の基部51aが取り付けられている。これより、図4に示すように、基部51aが配設された領域では第1底壁カバー22と第1底壁12とは上下方向に離間しているが、その他の領域では第1底壁カバー22の上面と第1底壁12の下面12bとはそのほぼ全体にわたって面接触している。
図10に示すように、第2底壁カバー23の上面23aのうち第1溝30Aおよび第1膨出部130Aと対向する部分には、第2底壁13から離間する方向つまり下方に凹む凹部40が形成されている。凹部40は、第2底壁カバー23の後端から前端部の右端まで延びており、第2底壁カバー23のうち第1溝30Aおよび第1膨出部130Aと対向する部分の全体に形成されている。図11に示すように、凹部40には、ハーネス52のうち第1溝30Aの突壁39の下端よりも下側の部分が収容されている。つまり、ハーネス52は、第1溝30Aと凹部40との間の空間に収容されている。そして、第1溝30Aと凹部40とを除く領域において、第2底壁13の下面13bと第2底壁カバー23の上面23aとはそのほぼ全体において面接触している。
本実施形態では、凹部40は、階段状を有しており、第1凹部41と、この第1凹部41の幅方向(左右方向)の中央に下方に凹むように形成された第2凹部42とで構成されている。第2凹部42の幅方向の寸法は、第1溝30Aの幅方向の寸法と同程度とされている。第1凹部41の底面に対する第2凹部42の深さは、第1溝30A内に保持されたハーネス52の突壁39からの突出量(突壁39の下端からの下向きの突出量)よりも大きくされている。また、第2底壁カバー23の上面23aに対する第1凹部41の深さは、第2底壁13の下面13bからの突壁39の下向きの突出量と同程度とされている。これより、第2底壁13に第2底壁カバー23が取り付けられた状態において、ハーネス52は第2凹部42と第1溝30Aとの間の空間に収容され、第1溝30Aの突壁39はその下端が第1凹部41の底面と当接する状態で第1凹部41内に収容され、第2底壁カバー23の上面23aうちの第1凹部41の外側の部分と第2底壁13の下面13bとが面接触する。
本実施形態では、図10に示すように、立壁カバー24の内側面(後側面)24aにも、第2底壁カバー23の上面23aと同様に、第2溝30Bおよび第2膨出部130Bに対向する部分に立壁14から離間する方向つまり前方に凹む立壁側凹部140が形成されている。そして、立壁カバー24が立壁14に取り付けられた状態において、第2溝30Bに挿入されたハーネス52は、第2溝30Bと立壁側凹部140との間の空間に収容され、立壁カバー24の内側面24aは、立壁側凹部140が形成された領域を除く残余の領域のほぼ全体において、立壁14の前側面14bと面接触する。なお、凹部40と立壁側凹部140とは前後方向に連続している。
(作用等)
以上のように、本実施形態では、オイルパン3の第2底壁13の下面13bに第1溝30Aが形成されて、第1溝30Aに形成された狭窄部132によってハーネス52が第1溝30Aに挿入された状態で保持されるようになっている。そのため、ハーネス52を保持するためのブラケットを別途設ける必要がない。これより、オイルパン3の構造を簡素化することができるとともに、第2底壁13と第2底壁カバー23との間に前記ブラケットを配設するための空間を確保する必要がなくなる。また、ハーネス52の第2底壁13の下面13bからの突出量も小さく抑えられており、ハーネス52を配設するために第2底壁13の下面13bと第2底壁カバー23の上面23aとの間に確保せねばならない空間も小さく抑えることができる。従って、第2底壁13と第2底壁カバー23とをより広い範囲にわたって密着させることができる。
また、狭窄部132によってハーネス52が第1溝30A内に保持されることで、カバー4がオイルパン3に取り付けられる前にハーネス52が第1溝30Aから脱離するのを防止できる。従って、ハーネス52を、第1溝30A内に挿入された状態で確実に第2底壁13と第2底壁カバー23との間に固定することができ、これら第2底壁13と第2底壁カバー23と密着性を確実に高めてオイルパン3の遮音・保温性を高めることができる。
さらに、本実施形態では、第2底壁13に形成された第1膨出部130Aによって第1溝30Aが区画されている。そのため、オイルパン3の底壁11の厚みの増大を抑制しつつ第1溝30Aを形成することができる。
しかも、第1溝30Aおよび第1膨出部130Aが、第2底壁13であって浅部10Bの底壁を構成する部分に、第2底壁13と第1底壁12の並び方向つまり浅部10Bと深部10Aの並び方向に沿って延びるように設けられている。そのため、オイルパン3からエンジンオイルを抜く際に、第1膨出部130Aがエンジンオイルの抜けを妨げるのを防止できる。
具体的には、仮に、第1膨出部130Aを浅部10Bと深部10Aの並び方向と交差する方向に延びるように形成した場合、第1膨出部130Aによって浅部10B内の空間が深部10A側と反深部側とに区画されてしまう。そのため、この場合は、反深部側のエンジンオイルを、深部10A側であってドレン口3Xが形成された側に移動させることができなくなり、ドレン口3Xを開放しても、浅部10B内にエンジンオイルが残ってしまい、貯留室3A内の全エンジンオイルを外部に流出させることができなくなる。これに対して、本実施形態では、第1膨出部130Aが前記のように設けられていることで、第1膨出部130Aおよび第1溝30Aを浅部10Bの底壁である第2底壁13に設けつつ、浅部10B内の空間が深部10A側と反深部側とに区画されるのを回避でき、エンジンオイルを貯留室3Aから抜くときに浅部10Bひいては貯留室3A内にエンジンオイルが残るのを確実に防止できる。
また、本実施形態では、オイルレベルセンサ50のセンサ本体51が、第2底壁13ではなく第1底壁12の下方に配設されている。
そのため、第2底壁13と第2底壁カバー23との間にセンサ本体51を配置するための空間を設ける必要がなく、第2底壁13と第2底壁カバー23との密着性をより高めることができる。
また、本実施形態では、第1底壁12と第2底壁13とをつなぐ立壁14の外側面にも、第1溝30Aと連続し、且つ、ハーネス52の一部が収容される第2溝30Bが形成されている。
そのため、立壁14とこれを覆う立壁カバー24との密着性も高めることができ、オイルパン3の遮音・保温性がより一層高められる。
また、本実施形態では、ハーネス52のうち第1溝30Aの前記狭窄部132に挿入される部分に硬質チューブ52bが取り付けられて、この部分の外側面の硬さが、第1溝30Aに挿入されるハーネス52の残余の部分よりも硬くされている。そのため、狭窄部132にハーネス52をより強く圧接させることができ、ハーネス52をより安定して第1溝30A内に保持させることができる。
さらに、本実施形態では、ハーネス52のうち第2溝30Bの第2狭窄部133に挿入される部分に硬質チューブ52bが取り付けられている。そのため、第2狭窄部133に対してもハーネス52をより強く圧接させることができ、ハーネス52を安定して第2溝30B内に保持させることができる。
また、本実施形態では、第2底壁カバー23の第1溝30Aと対向する部分に、下方に凹む凹部40が形成されている。そのため、第2底壁カバー23のうち凹部40を除く部分と第2底壁13のうち第1溝30Aを除く部分とを確実に密着させることができ、オイルパン3とカバー4との密着性をより一層確実に高めることができる。
(変形例)
前記第1溝30Aに形成される狭窄部132の数は前記に限らない。また、狭窄部132は、第1溝30Aにおいてその幅寸法が残余の部分よりも小さくなるように構成されればよく、その具体的な構造は前記に限らない。同様に、第2狭窄部133の具体的な構造も前記に限らない。
前記実施形態では、ハーネス52のうち狭窄部132および第2狭窄部133に挿入される部分に硬質チューブ52bを設けることで、これら部分の外側面の硬さをハーネス52の残余の部分の硬さよりも硬くした場合を説明したが、これら部分の外側面の硬さをハーネス52の残余の部分の硬さよりも硬くするための構成は前記に限らない。
前記実施形態では、浅部10Bと深部10Aの並び方向とエンジン本体2の気筒2aの並び方向とが一致する場合を説明したが、これらの方向は一致していなくてもよい。また、浅部10Bと深部10Aの並び方向は車両前後方向と一致しなくてもよい。
前記実施形態では、浅部10Bの底壁を構成する第2底壁13の下面13bに第1溝30Aを設けるとともに、立壁14の前側面14bにも第2溝30Bを設けた場合を説明したが、立壁14の前側面14bの第2溝30Bは省略してもよい。また、立壁14そのものを省略してもよい。つまり、オイルパン3として、貯留室の深さが一定のオイルパンを用いてもよい。この場合においても、オイルパンの底壁に、前記実施形態の第1膨出部130Aと同様に上方に膨出する形状を有する膨出部分(溝区画部)を設けるとともに、この膨出部分によってオイルパンの底壁の下面に、前記実施形態の第1溝30Aと同様の溝を区画すればよい。
1 エンジン
2 エンジン本体
3 オイルパン
4 カバー
11 底壁
12 第1底壁
13 第2底壁
14 立壁
30A 第1溝(溝)
30B 第2溝(立壁側溝)
40 凹部
50 オイルレベルセンサ
52 ハーネス
130A 第1膨出部(溝区画部)

Claims (5)

  1. エンジン本体に供給されるオイルを内側に貯留するオイルパンに対するオイルレベルセンサの取付構造であって、
    前記オイルレベルセンサは、前記オイルパン内のオイルの液面レベルを検出するセンサ本体と、当該センサ本体に接続されたハーネスとを備え、
    前記オイルパンの底壁は、上方に膨出する形状を有して当該底壁の下面に溝を区画する溝区画部を備え、
    前記溝には、当該溝の残余の部分よりも幅の狭い狭窄部が形成されており、
    前記ハーネスの少なくとも一部は、前記溝内に挿入されており、
    前記オイルパンには、当該オイルパンの底壁の下面との間で前記センサ本体および前記ハーネスを挟み込んだ状態で前記オイルパンを覆うカバーが取り付けられており、
    前記オイルパンの底壁は、所定の方向に沿って並び前記オイルパンの底壁をそれぞれ構成する第1底壁と第2底壁とを備え、
    前記第2底壁は、前記第1底壁よりも高い位置に配置されており、
    前記溝区画部は、前記第2底壁に設けられている、ことを特徴とするオイルレベルセンサの取付構造。
  2. 請求項に記載のオイルレベルセンサの取付構造において、
    前記センサ本体は、前記第1底壁の下方に配設されている、ことを特徴とするオイルレベルセンサの取付構造。
  3. 請求項に記載のオイルレベルセンサの取付構造において、
    前記オイルパンは、上下方向に延びて前記第1底壁と前記第2底壁とをつなぐ立壁を備え、
    前記立壁の外側面には、前記オイルパンの内側に向かって凹み、且つ、前記第2底壁の前記溝と連続する形状を有して、前記ハーネスの一部が収容される立壁側溝が形成されている、ことを特徴とするオイルレベルセンサの取付構造。
  4. エンジン本体に供給されるオイルを内側に貯留するオイルパンに対するオイルレベルセンサの取付構造であって、
    前記オイルレベルセンサは、前記オイルパン内のオイルの液面レベルを検出するセンサ本体と、当該センサ本体に接続されたハーネスとを備え、
    前記オイルパンの底壁は、上方に膨出する形状を有して当該底壁の下面に溝を区画する溝区画部を備え、
    前記溝には、当該溝の残余の部分よりも幅の狭い狭窄部が形成されており、
    前記ハーネスの少なくとも一部は、前記溝内に挿入されており、
    前記オイルパンには、当該オイルパンの底壁の下面との間で前記センサ本体および前記ハーネスを挟み込んだ状態で前記オイルパンを覆うカバーが取り付けられており、
    前記ハーネスのうち前記狭窄部に挿入される部分の少なくとも一部の外側面は、前記溝に挿入される前記ハーネスの残余の部分の外側面よりも硬い、ことを特徴とするオイルレベルセンサの取付構造。
  5. 請求項1~のいずれか1項に記載のオイルレベルセンサの取付構造において、
    前記カバーのうち前記溝と対向する部分には、下方に凹む凹部が形成されている、ことを特徴とするオイルレベルセンサの取付構造。
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