JP3676025B2 - 液体封入式防振マウント - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車のエンジン等を支承するために用いられるブッシュタイプの液体封入式防振マウントに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の液体封入式防振マウントとして、内筒体と、外筒体と、両筒体間を連結する弾性体と、この弾性体中に画成されて内筒体と外筒体との相対変位による圧力を受ける主流体室と、この主流体室からの液体がオリフィスを通して流入される副流体室とを備え、この副流体室の一部がダイヤフラムにより仕切られて副流体室の液体の容積が拡縮可能にされたものが、一般に知られている。また、上記のダイヤフラムを省略することを目的として、副流体室を内筒体よりも上方位置に画成しその副流体室に対し液体に加えて空気を封入し、その空気部分の圧縮・膨脹作用を利用して副流体室内の液体部分の容積の拡縮を行なわせるようにしたエアダイアフラム式のものも知られている(例えば特開平7−151183号公報)。そして、この公報で開示されたものにおいては、内筒体を挟んで略水平方向に外筒体側に延びる弾性体を上記水平方向の中央位置が最下点となるV字状に形成し、このV字状の弾性体の下面により主流体室の上面が画成されるようにし、そのV字状の両側上端位置にそれぞれオリフィスの下端開口を位置させることにより、主流体室側の液体に混入した気泡が上記V字状の弾性体下面に沿って上方に案内されそれぞれオリフィスを通して副流体室に導かれるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のエアダイアフラム式の従来の液体封入式防振マウントにおいては、主流体室への気泡の滞留や残留を防止するために弾性体をV字状しているため、両オリフィスを内筒体の筒軸に直交する方向であって水平方向両側の外筒体寄りの位置に設けると、そのオリフィスの通路長が比較的短いものとなり、所望の低周波域での液柱共振を得るためにはそのオリフィスの断面積を上記の通路長に対応して比較的小さいものに設定することになってしまう。このため、上記の低周波域での損失係数(tan δ)のピーク値をそれ程高くすることができず低周波域での防振効果として十分なものを得難くなる。また、弾性体をV字状にしているため、例えば自動車のエンジンを支承する場合、そのエンジンの配置等の種々の支承条件に対処しつつ主流体室への気泡の滞留や残留を防止することが困難になる場合がある。すなわち、上記の内筒体の筒軸に直交する方向であって水平方向に対する弾性体の剛性について、その水平方向一側に入力する外力に対しては剛性を相対的に小さく逆に水平方向他側に対する剛性を相対的に大きくさせたいという要求がある場合等においては、上記の弾性体をV字状にするとという構成を採用しつつ上記の要求を十分に満足させることは困難なものとなる。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、気体を封入してダイヤフラムを省略するようにしたものにおいて、低周波域での防振効果を十分に得つつ主流体室内の気体の滞留や残留を確実に防止し得るようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、筒軸が横向きに配置された内筒体と、この内筒体の周囲を囲む外筒体と、この外筒体と上記内筒体とを互いに連結する弾性体と、上記内筒体の下側位置の弾性体中に画成された主流体室と、上記内筒体の上側位置に画成された副流体室と、これら主流体室及び副流体室に封入された液体及び気体と、上記主流体室と副流体室とを互いに連通するオリフィスとを備えた液体封入式防振マウントを前提とし以下のように構成するものである。すなわち、上記主流体室と副流体室とを互いに連通して気体を上記副流体室に導く連通孔を上記オリフィスとは別に形成するとともに、上記主流体室の内部上面を画成する上記弾性体の下面に、上記連通孔の主流体室側開口に向かい徐々に上昇して気泡を上記連通孔の主流体室側開口に導く案内面を形成する。そして、上記連通孔を、上記オリフィスの共振周波数においてその連通孔を通しての液体の流動が実質的に停止される径及び長さに設定する。
【0006】
さらに、上記オリフィスを主流体室に対し筒軸に直交する方向であって水平方向一端側に配置する一方、連通孔を上記主流体室に対し上記水平方向の他端側位置に開口するように形成する。そして、弾性体を、内筒体を挟んで上記水平方向一端側に延びる第1主ばね部と、上記水平方向他端側に延びる第2主ばね部とを備えるものとし、両主ばね部の各下面により案内面が形成されるように構成する。加えて、上記第1主ばね部の下面を上記内筒体を通る鉛直軸との間の内角が90度よりも小さくなるように設定し、かつ、上記第2主ばね部の下面を上記鉛直軸との間の内角が90度よりも大きくなるように設定するものである。
【0007】
上記の構成の場合、主流体室の内部上面を構成する弾性体の下面が連通孔の主流体室側開口に向かい徐々に上昇する案内面として構成されているため、主流体室の液体内に滞留もしくは残留した気泡が液体内を上記案内面まで上昇し、ついで、その案内面に沿って自然に連通孔の主流体室側開口まで導かれることになる。そして、上記の気泡は上記連通孔を通して副流体室に導かれ、気泡が主流体室に残留することはない。また、上記案内面が連通孔の主流体室側開口まで徐々に上昇するように形成されているため、上記オリフィスの主流体室側開口は連通孔の主流体室側開口よりも必然的に下方に位置することになる。この結果、オリフィスの副流体室までの通路長も従来の弾性体をV字状にして鉛直軸に対し対称のものにする場合に比べ長いものにすることが可能になる。これにより、防振対象とする低周波域での損失係数のピーク値もよりも高いものにすることが可能になり、低周波域の入力振動に対する防振効果を高めることが可能になる。
【0008】
特に、上記の構成の場合、第1主ばね部の下面が鉛直軸に対し90度よりも小さい内角を有するように内筒体からオリフィスが配置された水平方向一端側に延び、第2主ばね部の下面が鉛直軸に対し90よりも大きい内角を有するように上記内筒体から連通孔の主流体室側開口のある水平方向他端側に延びているため、上記水平方向一端側の主流体室内の気泡が上記第1主ばね部の下面に沿って導かれ、ついで、上記第2主ばね部の下面に沿って連通孔の主流体室側開口まで導かれることになり、また、上記水平方向他端側の主流体室の気泡は上記第2主ばね部の下面に沿って上記連通孔まで導かれることになる。これにより、オリフィスの通路長をより長くして低周波域での防振効果を十分に得ることが可能になる。
【0009】
また、請求項記載の発明は、請求項記載の発明において、第1及び第2主ばね部を内筒体を挟んでハの字状に延ばし、かつ、第1主ばね部を、上記内筒体の筒軸に直交する方向であって水平方向に対する剛性が第2主ばね部よりも小さくなるよう、内筒体を通る鉛直軸に対する傾斜が第2主ばね部よりも急になるように上記内筒体から外筒体の側へ延ばす構成とするものである。
【0010】
上記の構成の場合、第1主ばね部が第2主ばね部よりもより傾斜の強いものとされて水平方向に対する剛性が第1主ばね部の方が第2主ばね部よりも小さくなるようにされているため、上記水平方向の一端側に入力する外力に対し相対的に軟らかく、他端側に入力する外力に対し相対的に硬くそれぞれ支承することが可能になり、例えば前輪操舵・前輪駆動(FF)式の横置きエンジンを支承する場合にそのエンジンのトルク方向に対し軟らかくしたいという要求をも満足させることが可能になる。
【0011】
さらに、請求項記載の発明は、請求項1に記載の発明において、弾性体を、内筒体及び外筒体の一方が振動発生源に、他方が振動受部にそれぞれ連結された状態で、上記弾性体の下面に案内面が形成される構成とするものである。
【0012】
上記の構成の場合、防振マウントの製造段階、すなわち、製品単独の場合には、弾性体の下面に案内面が形成されておらずに上方に凸になるような凹みが存在して封入した気体が主流体室内にも滞留しているような場合であっても、振動発生源である例えばエンジンを支承するように組み付けた状態では、上記弾性体の下面に案内面が形成されて主流体室内の気体がすべて連通孔を通して副流体室に自然に集められることになる。この結果、製造時の気体の封入段階において、副流体室にのみ気体を封入するような工夫を何等することなく、防振マウントとしての使用時には気体が副流体室にのみ封入した状態にすることが可能になり、その封入気体によってオリフィスを介した液柱共振を有効に生じさせることが可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0014】
図1は本発明の実施形態に係る液体封入式防振マウントの無負荷状態(製造状態)を示し、図2,図3及び図4は上記実施形態の内筒体が振動発生源としてのエンジンに、外筒体が振動受部としての車体にそれぞれ取付けられてエンジンの自重が内筒体及び弾性体に作用した状態(1G状態)を示す。
【0015】
図1〜図4において、1は筒軸Xが略水平方向となるよう配置された内筒体、2はこの内筒体1の周囲を囲むよう外周囲に配置された外筒体、3はこの外筒体2と上記内筒体1とを互いに連結する弾性体、4は上記内筒体1と外筒体2との中間位置であって上記外筒体2に近接した位置の弾性体3中に上記内筒体1の周囲を囲むよう埋め込まれた中間筒体である。また、5は上記内筒体1の下側の弾性体3内に画成された主流体室、6は上記内筒体1の上側に画成された副流体室、7は上記の主流体室5と副流体室6を互いに連通するオリフィス、8は同じく主流体室5と副流体室とを互いに連通する連通孔、9は上記内筒体1よりも上側の弾性体3中を上記筒軸Xに平行に貫通する貫通空所、10は上記主流体室5に臨んで外筒体2の内周面側に装着された嵌め込み部材である。そして、上記主流体室5および副流体室6には非圧縮性の流体としての液体11と、圧縮性の気体としての空気12とが封入されている。
【0016】
上記内筒体1は、無負荷状態(図1参照)では、その筒軸Xが外筒体2の筒軸Yよりも所定寸法上方位置であって上記筒軸Yと平行に延びるように弾性体3によって外筒体2に対し支持されている。また、上記中間筒体4には、図5にも示すように、外周面の下側部分が切り欠かれて窓部41が形成される一方、上側部分が内方に凹まされて凹溝部42が形成されており、この凹溝部42の一部には上方に凸となるリバウンド受部43が形成されている。
【0017】
そして、上記弾性体3は、上記内筒体1及び中間筒体4と一体に加硫成形されたものであり、内筒体1から筒軸Xに直交する水平方向(図1及び図2の左右方向)両側にハの字状に延びて内筒体1を外筒体2に対し弾性支持して防振機能を果たす第1及び第2の主ばね部31,32を主要構成要素として備えるものである。加えて、上記弾性体3は上記内筒体1の下側を所定肉厚で覆う入力側被覆部33と、上記内筒体1の上側を所定肉厚で覆うリバウンド側被覆部34と、中間筒体4の外周面を覆うように加硫接着されて外筒体2の内周面との間に介装される薄肉層35とを上記両主ばね部31,32と一体のものとして備えている。
【0018】
上記第1主ばね部31は上記内筒体1から左斜め下方に比較的急傾斜の下り勾配で外筒体2まで延びるように形成され、また、上記第2主ばね部32は上記内筒体1から右斜め下方に比較的緩傾斜の下り勾配で外筒体2まで延びるように形成されている。このような第1及び第2主ばね部31,32は、1G状態(図2参照)で弾性体3の下面が後述の案内面13を構成することになるように定められ、具体的には無負荷状態(図1参照)で筒軸Xを通る鉛直軸Zと上記第1主ばね部31の延びる方向(図1の一点鎖線参照)との間の内角が、上記鉛直軸Zと第2主ばね部32の延びる方向との間の内角よりも所定量小さくなるように定められる。そして、1G状態(図2参照)では、弾性体3がエンジン自重を受けて下方に撓むことにより、上記鉛直軸Zと第1主ばね部31の延びる方向との間の内角が90度よりも小さくなる一方、第2主ばね部32の延びる方向との間の内角が90度以上(図例ではほぼ90度)になるようになっている。その結果、その弾性体3の下面が主流体室5の上記水平方向左端側から連通孔8の主流体室側開口8aが位置する右端側に向けて徐々に上昇するように傾斜した案内面13を構成するようになっている。
【0019】
また、上記のリバウンド側被覆部34は、無負荷状態(図1参照)において中間筒体4のリバウンド受部43の下面に対し非接着状態で当接した状態に形成されて、内筒体1の両側に筒軸Xに平行に貫通する貫通空所91,92が形成されるようになって一方、1G状態(図2参照)においては上記リバウンド側被覆部34がリバウンド受部43から離れて両貫通空所91,92が連続した1つの貫通空所9が形成されるようになっている。この1G状態では、振動入力時に上記被覆部34がリバウンド受部43に当接することにより内筒体1の上方変位を所定量に制限するようになっている。
【0020】
上記主流体室5は上記弾性体3の下面と、中間筒体4の窓部41位置に外筒体2の内周面に沿って嵌め込まれた嵌め込み部材10とによって画成されている。この嵌め込み部材10には、上記内筒体1の側に突出するストッパー部と、外周面側に周方向に延びる凹溝とが例えば合成樹脂により一体に形成されている。上記ストッパー部は内筒体1の下側の入力側被覆部33と当接することにより内筒体1の下方変位を所定量に制限するようになっており、また、上記凹溝は外筒体2の内周面との間にオリフィス7の延長オリフィス部72を形成するようになっている。また、上記副流体室6は、中間筒体4の凹溝部42の筒壁と外筒体2の内周面とにより体積が不変の状態で画成されており、上記凹溝部42の筒壁により上記貫通空所9と副流体室6との間が互いに隔てられて区画されている。
【0021】
上記オリフィス7は、内筒体1を挟んで左側の薄肉層35(図4及び図6参照)の主流体室5と副流体室6との間の部分が筒軸X方向に所定幅だけ周方向に切り欠かれて凹溝状とされ、この凹溝の部分と外筒体2の内周面とに挟まれて形成されたオリフィス部71と、このオリフィス部71に密着状態で連通する上記延長オリフィス部72とにより形成されている。そして、このオリフィス7は、第1主ばね部31の外筒体2との連結位置が比較的下位に設定され、かつ、上記延長オリフィス部72が負荷されていることにより、比較的大通路長L1 を有するように形成されており、また、所定の低周波域(例えば自動車のシェイク振動域10〜15Hz )で液柱共振を生じるように上記通路長L1 に応じて比較的大通路断面積A1 を有するように形成されている。また、上記オリフィス7は、上記延長オリフィス部72の一端開口で主流体室5の右端部側に連通し、その一端開口が上記オリフィス7の主流体室側開口7aとされている。
【0022】
また、連通孔8は、内筒体1を挟んで右側の薄肉層35の主流体室5と副流体室6との間の部分が筒軸X方向に所定幅だけ周方向に切り欠かれて凹溝状とされ、この凹溝の部分と外筒体2の内周面とに挟まれて形成されている。この連通孔8は、上記オリフィス7に設定された共振周波数と関係で定まる細径のものに形成されており、これにより、このオリフィス7での防振対象である低周波域の振動入力に対し上記連通孔8を介した主流体室5と副流体室6との間の液体11の流動が実質的に阻止されようになっている。すなわち、連通孔8の通路断面積をA2 、通路長をL2 とした場合に、
(A1 /L1 )>(A2 /L2 )
となるように設定されている。
【0023】
そして、1G状態(図2参照)において、主流体室5内の全てに液体11が充満され、副流体室6内に液面11aがその副流体室6の上下方向中間位置であって上記オリフィス7及び連通孔8の副流体室側開口7b,8bよりも上方に位置するように液体が封入され、これにより、上記副流体室6の下半部には液室部61が形成される一方、上半部には気室部62が形成されるようになっている。なお、この気室部62の容積、すなわち、封入空気量は、オリフィス7を介しての主流体室5と副流体室6との間の液体11の流動により上記液室部61の容積を拡縮させて有効に液柱共振を生じさせるような量に設定されている。
【0024】
次に、上記構成の液体封入式防振マウントの製造方法について説明すると、まず、内筒体1および中間筒体4とを上述のごとく弾性体3と一体加硫成形する。ついで、この一体成形物に嵌め込み部材10を組み合わせ、これらと外筒体2とを筒軸Xが上下方向になるように配置し、上記外筒体2の内周面に対して上から上記一体成形物の外周面の薄肉層35と嵌め込み部材10とを圧入していく。そして、主流体室5となる空所の上端部と外筒体2の上端開口縁との間に隙間を開けた状態で上記圧入を一時停止し、この状態で、上記隙間から液体11を気室部62の空気量を考慮した所定量だけ注入し、その後、上記一体成形物と嵌め込み部材10とを最後まで圧入する。最後に、上記外筒体2の上下の各開口縁をかしめて上記一体成形物と外筒体2とを一体化する。この製造方法によれば、液体11を満たした液槽中で組み付けを行う必要がないため、圧入による液体の飛散の発生や組み付け後に外面に付着した液体の洗浄の必要などを省略することができる。
【0025】
この製造された防振マウントを上記筒軸Xが水平になるようして主流体室5が下に副流体室6が上になるようにすれば、図1に示す無負荷状態になり、封入された空気12は、通常は、副流体室6の上部と、主流体室5の連通孔8の主流体室側開口8aを通る水平面よりも上方部分とにそれぞれ位置することになる。
【0026】
そして、この無負荷状態の防振マウントの内筒体1をエンジン側に、外筒体2を車体側にそれぞれ取付けて1G状態にすることにより、弾性体3が下方に変位してその弾性体3の下面に案内面13(図2参照)が形成されるため、上記主流体室5内の空気12が上記案内面13に沿って連通孔8の主流体室側開口8aに自然に導かれ、この連通孔8を通して全量が副流体室6に入る。これにより、空気12が副流体室6にのみ封入された状態に自動的にされ,副流体室6内に確実に所定の設定空気量(設定容積)の気室部62が形成される。
【0027】
次に、内筒体1を介して弾性体3に対し上下方向の低周波域の振動が入力すると、内筒体1が上下方向に相対的に変位する。この変位によりオリフィス7を通して主流体室5と副流体室6の液室部61との間で液体11が流動する。この際、連通孔8は液体11が実質的に流通しない状態になるため、上記低周波域の振動入力によりオリフィス7を介した液体11の流動を有効に生じさせることができ、そのオリフィス7を介した液柱共振によって上記低周波域の入力振動の減衰が図られる。なお、上記のオリフィス7を介した液体11の流動は気室部62の空気12の圧縮・膨脹作用によって液室部61の容積の拡縮により可能となるものである。
【0028】
上記オリフィス7の液柱共振による防振において、第1主ばね部31が第2主ばね部32よりも急角度で外筒体2の側に延びているため、本来のオリフィス部71の通路長を、通常の第1及び第2主ばね部が鉛直軸に対し対象に配置された場合と比べ、より長いものにすることができる上、嵌め込み部材10の延長オリフィス部72の負荷によりオリフィス7の通路長を飛躍的に長いものにすることができる。このため、同じ低周波域で液柱共振が生じるように上記オリフィス7よりも小通路長及び小通路断面積に設定(通路断面積に対する通路長の比率を同じに設定)したオリフィスと比べ、損失係数のピーク値をより高いものにすることができ、これにより、より高い防振効果を得ることができる。
【0029】
また、第2主ばね部32が略水平方向に延び、第1主ばね部31が斜め下方に、すなわち、第2主ばね部32よりも急角度で斜めに延びているため、内筒体1に水平方向左側に入力する振動や衝撃に対し相対的に軟らかく支持し、水平方向右側に入力する振動や衝撃に対し相対的に硬く支持するという特性を実現させることができる。このため、例えばエンジンを横置き配置にしたFF型車両のエンジンを支承するために本防振マウントを図2の矢印Pが車両の前後方向となるように配置することにより、エンジンのアイドル振動や、ニュートラルから前進側もしくは後進側への変速操作に伴う変速ショックが図2の矢印Tで示すトルク方向に入力しても、その変速ショックを比較的軟らかく支持して乗員に与えるショックを低減させることができる。
【0030】
さらに、振動の入力に伴い副流体室6の気室部62の空気12が乱され、その空気12が気泡となって液体11に混入し、その気泡がオリフィス7を介した液体11の流動に伴い主流体室5内に入り込んでしまっても、その気泡は弾性体3の下面の案内面13に導かれ、ついで、連通孔8を通して副流体室6に自然に戻されることになるため、主流体室5内に気泡が滞留もしくは残留することを確実に防止することができる。これにより、振動入力に対し気室部62の容積を常に所定量に維持した状態で所期の防振機能を果たすことができるようになる。
【0031】
加えて、上記振動入力の際、弾性体3の上側に貫通空所9が存在するため、入力振動が大振幅のものであっても、上記弾性体3は引張応力が過度に大きくなることなしに大変位することができ、エンジンマウントとしてその機能を十分に発揮することができる。また、上記の大振幅の振動が入力して副流体室6の内圧が増大しても、上記副流体室6が中間筒体4の一部であるほぼ剛体に近い凹溝部42の筒壁と外筒体2とによって画成されているため、上記副流体室6を画成する部材(凹溝部42,外筒体2)の強度を、ゴム薄膜などの弾性膜部材により画成する場合と比べ、飛躍的に増強させることができ、上記内圧による破損のおそれを回避することができる。このため、ブッシュタイプの防振マウントにおいて、貫通空所9を支障なく設けることができる。
【0032】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、副流体室6の画成を左右方向に延びる凹溝部42を形成することにより行っているが、これに限らず、例えば窪み状に構成してもよい。
【0033】
また、上記実施形態では、副流体室5に封入する気体として空気12を用いたが、これに限らず、気体の膨脹・圧縮作用によりオリフィス7を介して主流体室5と副流体室6との間の液体11の流動を可能とするものならばいずれを採用してもよく、例えば窒素ガスなどを用いてもよい。
【0034】
さらに、上記実施形態では、嵌め込み部材10を設けてその延長オリフィス部72によりオリフィス7の通路長をより一層長いものにするようにしているが、これに限らず、上記嵌め込み部材10を省略してもよい。この場合であっても、第1主ばね部31が第2主ばね部32よりも急傾斜で延びているため、オリフィスの主流体室側開口はより下方位置となってオリフィスの通路長の長大化が図られ、低周波域で損失係数ピーク値をより高いものにすることができる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明における液体封入式防振マウントによれば、主流体室に気泡が残留することを確実に防止しつつ、主流体室と副流体室とを連通するオリフィスの通路長もより長いものにして防振対象とする低周波域での損失係数のピーク値もよりも高いものにすることが可能になり、低周波域の入力振動に対する防振効果をより一層高めることができるようになる
【0036】
また、請求項記載の発明によれば、請求項記載の発明による効果に加え、内筒体を介して水平方向一端側に入力する外力に対し相対的に軟らかく、他端側に入力する外力に対し相対的に硬くそれぞれ支承することができ、例えば前輪操舵・前輪駆動(FF)式の横置きエンジンを支承する場合にそのエンジンのトルク方向に対し軟らかく支承したいという要求をも満足させることができるようになる。
【0037】
さらに、請求項記載の発明によれば、請求項1に記載の発明による効果に加え、振動発生源である例えばエンジンを支承するように組み付けた状態では、弾性体の下面に形成された案内面により主流体室内の気体がすべて連通孔を通して副流体室に自然に集められることになるため、製造時の気体の封入段階において副流体室にのみ気体を封入するような工夫を何等することなく、防振マウントとしての使用時には気体が副流体室にのみ封入した状態にすることができ、その封入気体によってオリフィスを介した液柱共振を有効に生じさせて所期の防振効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の製造段階のものを示す横断面図である。
【図2】 上記実施形態の1G状態のものを示す図1対応図である。
【図3】 図2のA−A線における断面図である。
【図4】 図2のB−B線における断面図である。
【図5】 内筒体と中間筒体との分解斜視図である。
【図6】 図2のC−C線における展開断面図である。
【符号の説明】
1 内筒体
2 外筒体
3 弾性体
4 中間筒体
5 主流体室
6 副流体室
7 オリフィス
7a オリフィスの主流体室側開口
8 連通孔
8a 連通孔の主流体室側開口
11 液体
12 空気
13 案内面

Claims (3)

  1. 筒軸が横向きに配置された内筒体と、この内筒体の周囲を囲む外筒体と、この外筒体と上記内筒体とを互いに連結する弾性体と、上記内筒体の下側位置の弾性体中に画成された主流体室と、上記内筒体の上側位置に画成された副流体室と、これら主流体室及び副流体室に封入された液体及び気体と、上記主流体室と副流体室とを互いに連通するオリフィスとを備えた液体封入式防振マウントにおいて、
    上記主流体室と副流体室とを互いに連通して気体を上記副流体室に導く連通孔が上記オリフィスとは別に形成され、
    上記主流体室の内部上面を画成する上記弾性体の下面には、上記連通孔の主流体室側開口に向かい徐々に上昇して気泡を上記連通孔の主流体室側開口に導く案内面が形成され、
    上記連通孔は、上記オリフィスの共振周波数においてその連通孔を通しての液体の流動が実質的に停止される径及び長さに設定され
    上記オリフィスが主流体室に対し筒軸に直交する方向であって水平方向一端側に配置される一方、上記連通孔が上記主流体室に対し上記水平方向の他端側位置に開口するように形成されており、
    上記弾性体は、内筒体を挟んで上記水平方向一端側に延びる第1主ばね部と、上記水平方向他端側に延びる第2主ばね部とを備え、両主ばね部の各下面により上記案内面が形成されるように構成され、
    上記第1主ばね部の下面は上記内筒体を通る鉛直軸との間の内角が90度よりも小さくなるように設定され、かつ、上記第2主ばね部の下面は上記鉛直軸との間の内角が90度よりも大きくなるように設定されている
    ことを特徴とする液体封入式防振マウント。
  2. 請求項1において、
    第1及び第2主ばね部は内筒体を挟んでハの字状に延び、かつ、第1主ばね部は、上記内筒体の筒軸に直交する方向であって水平方向に対する剛性が第2主ばね部よりも小さくなるよう、内筒体を通る鉛直軸に対する傾斜が第2主ばね部よりも急になるように上記内筒体から外筒体の側へ延びている
    ことを特徴とする液体封入式防振マウント。
  3. 請求項1において、
    弾性体は、内筒体及び外筒体の一方が振動発生源に、他方が振動受部にそれぞれ連結された状態で、上記弾性体の下面に案内面が形成されるように構成されている
    ことを特徴とする液体封入式防振マウント
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