JP4989620B2 - 液封入式防振装置 - Google Patents

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本発明は、液封入式防振装置に関するものである。
自動車エンジン等の振動源の振動を車体側に伝達しないように支承するエンジンマウント等の防振装置として、振動源側に取り付けられる第1取付具と、車体側に取り付けられる第2取付具と、これら取付具の間に介設されたゴム状弾性体からなる防振基体と、可撓性ゴム膜からなるダイヤフラムと、防振基体が室壁の一部をなす主液室と、ダイヤフラムが室壁の一部をなす副液室と、これら液室間を連通させるオリフィス流路とを備えた液封入式防振装置が知られている。
かかる液封入式防振装置においては、通常の振動入力時には、オリフィス流路での液流動による液柱共振作用や防振基体の制振効果により、振動減衰機能と振動絶縁機能が果たされるが、大きな振動が入力したときに、防振装置自体が異音発生源となってこれが車室内に伝達されてしまうことがある。
この異音は、液室内でのキャビテーションにより発生するものである。キャビテーションは、防振装置に過大な振動が入力したときに、オリフィス流路が目詰まりし、これにより主液室内が過度な負圧状態となって、封入された液体の飽和蒸気圧を下回ることで、多数の気泡が発生することにより生じる現象である。そして、このようにして発生した気泡が消滅するときの衝撃音が異音となって外部に伝達されるのである。
このようなキャビテーションによる異音の発生を防止するための手法として、前記第2取付具にダイヤフラムの背後を覆うキャップ部材を設けて、キャップ部材の内側にダイヤフラムとの間で密閉された空気室を形成し、該空気室の圧力を高く設定することが考えられる。空気室を高圧化することで、ダイヤフラムを挟んで形成された液室内の液圧を高くすることができるので、液室が過度の負圧状態になることを抑制して、キャビテーションの発生を防止することができる。
従来、空気室を高圧化する技術として、例えば、下記特許文献1には、防振基体が連結された筒状部材の外周に、空気室を形成するキャップ部材を圧入により組み付ける際に、圧入の進行に伴って空気室の体積を減少させ、これにより空気室の圧力を高めたものが開示されている。
下記特許文献2には、防振基体が連結された筒状部材の下端部に、空気室を形成するキャップ部材のフランジ部を、ダイヤフラムの周縁部とともにかしめ締結する際に、ダイヤフラムの周縁部に内向きに倒伏するシール突起を設けておき、該シール突起にフランジ部を押し当てることで、シール突起を内側に倒し、これにより空気室の体積を減少させることで、空気室の圧力を高めたものが開示されている。
下記特許文献3,4には、ダイヤフラムとの間で空気室を形成するキャップ部材に、加圧孔と、これを塞ぐ栓部材を設けておき、加圧孔から空気室に圧縮空気を注入充填し、栓部材で塞ぐことで、空気室を高圧化することが開示されている。
特開平8−170683号公報 特開2007−247871号公報 特開2007−239884号公報 特開2007−239758号公報
上記従来技術の防振装置では、空気室の圧力状態が常に高い状態となっている。そのため、キャビテーションの発生を抑制する効果は得られるものの、ダイヤフラムの変形剛性が高く、よって、液封入式防振装置に本来期待されるオリフィス流路での液流動効果による減衰性能が低下してしまう。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、減衰性能の低下を抑制しつつ、キャビテーションの発生を抑制することができる液封入式防振装置を提供することを目的とする。
本発明に係る液封入式防振装置は、振動源側と支持側のいずれか一方の部材に取り付けられる第1取付具と、振動源側と支持側のいずれか他方の部材に取り付けられる第2取付具と、前記第1取付具と前記第2取付具との間に介設されたゴム状弾性体からなる防振基体と、前記第2取付具側に支持されたゴム状弾性膜からなるダイヤフラムと、前記第2取付具の内側において前記防振基体と前記ダイヤフラムの間に形成された複数の液室と、前記複数の液室を連通させるオリフィス流路と、を備えたものである。前記第2取付具は、前記ダイヤフラムとの間で密閉された空気室を形成するキャップ部材を備える。前記キャップ部材は、前記他方の部材に固定される固定部を備えた第1部分と、前記第1部分よりも前記防振基体側に配された第2部分とに分割して設けられ、前記第1部分と前記第2部分がゴム状弾性体からなる弾性連結部を介して連結されることで、前記空気室を形成する前記キャップ部材の内容積が前記弾性連結部の弾性変形により拡縮可能に設けられている。
このようにキャップ部材を構成することにより、防振装置に付与される外力の入力によって空気室の容積が拡縮し、結果として空気室の圧力の変動が可能となる。すなわち、防振装置に対して圧縮側の入力が入ると、空気室の圧力を高めることが可能となる。そのため、その後に引張側の入力によって、空気室が低圧状態となったとしても、高圧状態からの低圧化となるので、このような機構が設けられていない場合に比べて、空気室の圧力状態を高く維持することができる。これにより、液室内の液圧も高い状態を維持できるので、液室が過度の負圧状態になることを抑制して、キャビテーションの発生を防止することができる。
一方で、上記従来のように空気室の圧力状態を常に高く維持するものではなく、通常使用領域である低振幅域での振動入力に対しては、空気室の圧力変動を抑えて、従来よりも低い圧力状態を維持することができるので、本来期待されるオリフィス流路での液流動効果による減衰性能の低下を抑えることができる。
また、上記構成において、第1取付具を振動源側に取り付け、キャップ部材を備えた第2取付具を支持側に取り付けることにより、万が一、防振装置内に異音が発生しても、支持側への異音の伝達を、キャップ部材に設けた弾性連結部を防振ゴムとして、不快な異音の車室内への伝達を抑制することができる。
上記液封入式防振装置においては、前記防振装置の主荷重方向における前記弾性連結部のバネ定数が、前記主荷重方向における前記防振基体のバネ定数よりも高く設定されていることが好ましい。このようにキャップ部材の弾性連結部のバネ定数を防振基体のバネ定数よりも高く設定することにより、低振幅域で振動入力した場合の動特性への影響を小さくすることができる。従って、液封入式防振装置としての基本性能を損なうことなく、キャビテーション対策を行うことができる。
上記液封入式防振装置において、前記弾性連結部は、前記防振装置の主荷重方向におけるバネ定数よりも、前記主荷重方向に垂直な方向におけるバネ定数が高く設定されていることが好ましい。これにより主荷重方向に垂直な方向における液封入式防振装置のふらつきを抑制することができる。
上記液封入式防振装置においては、前記第2取付具が筒状をなし、前記第2取付具の軸方向が前記防振装置の主荷重方向となるように前記第1取付具が前記防振基体を介して前記第2取付具に連結されており、前記キャップ部材は、前記弾性連結部の弾性変形により前記第1部分と前記第2部分が前記軸方向に相対変位することで、内容積が拡縮可能に設けられてもよい。
また、この場合、前記第2取付具は、軸方向の一端部に前記防振基体が連結された筒状部材と、前記筒状部材の他端部に締結された有底筒状の前記キャップ部材とを備えてなり、前記筒状部材の内側に、前記防振基体が室壁の一部をなす主液室と、前記ダイヤフラムが室壁の一部をなす副液室が設けられて、前記主液室と前記副液室が前記オリフィス流路を介して連通されており、前記キャップ部材は、底部側の前記第1部分と、軸方向の一端部が前記筒状部材の前記他端部に締結された前記第2部分とを備えて構成することができる。
このような構成を持つキャップ部材として、より具体的には、前記第2部分の他端部に径方向内方に張り出す内フランジ部が設けられ、前記内フランジ部と当該内フランジ部に対して軸方向に対向する前記第1部分との間に前記弾性連結部が介設されてもよい。あるいはまた、前記第1部分が有底筒状に形成され、前記第2部分が前記第1部分の筒状部の外周を隙間をあけて取り囲む筒状をなし、前記第1部分の筒状部と該筒状部を取り囲む前記第2部分の筒状部との間に前記弾性連結部が介設されてもよい。特に後者の場合、弾性連結部のバネ定数を、主荷重方向である軸方向よりも軸直角方向において高くすることができるので、液封入式防振装置のふらつきを抑制することができる。
本発明によれば、通常使用領域での減衰性能の低下を抑えつつ、大振幅入力時の急激な圧力変動に起因するキャビテーションを緩和して異音を低減することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、一実施形態に係る液封入式防振装置10の縦断面図である。この防振装置10は、自動車のエンジンを支承するエンジンマウントであり、振動源であるエンジン側の部材に取り付けられる上側の第1取付具12と、支持側である車体側の部材に取り付けられる筒状をなす下側の第2取付具14と、これら両取付具12,14の間に介設されて両者を連結するゴム弾性体からなる防振基体16とを備えてなる。
第1取付具12は、第2取付具14の軸芯部上方に配されたボス金具であり、第2取付具14の軸方向X(即ち、上下方向)が防振装置10の主荷重方向(即ち、主たる荷重入力方向)となるように、防振基体16を介して第2取付具14に連結されている。第1取付具12には径方向外方Koに向けてフランジ状に突出するストッパ部18が形成されている。また、上面には雌ねじ部20が設けられており、ここに不図示のボルトが螺合することで、エンジン側の部材に取り付けられるよう構成されている。
第2取付具14は、防振基体16が加硫成形された円筒状の筒状部材22と、その下端部に締結された有底円筒状のキャップ部材24とからなり、金属等の剛体で形成されている。
筒状部材22は、軸方向Xの一端部である上端部に外広がりの逆テーパ状部26を備え、該逆テーパ状部26に防振基体16が連結されている。逆テーパ状部26の上端には径方向外方Koに張り出すフランジ部28が設けられており、第1取付具12のストッパ部18との間でストッパ作用を発揮するストッパ金具30の下端部が、前記フランジ部28にかしめ締結されている。筒状部材22の下端部は、かしめ部32により、キャップ部材24の上端開口部に対してかしめ締結されている。
防振基体16は、略傘状に形成され、その上部に第1取付具12が埋設された状態に加硫接着され、下端外周部が筒状部材22の逆テーパ状部26に加硫接着されている。防振基体16の下端部には、筒状部材22の内周面を覆うゴム膜状のシール壁部33が連なっている。
第2取付具14には、防振基体16の下面に対して軸方向Xに対向配置されて防振基体16との間に液体封入室34を形成する可撓性ゴム膜からなるダイヤフラム36が取り付けられ、液体封入室34に水やアルキレングリコール、シリコーン油等の液体が封入されている。ダイヤフラム36は、外周部に環状の補強金具38を備え、該補強金具38を介して上記かしめ部32に固定されている。
液体封入室34は、筒状部材22の内側において、防振基体16の下面とダイヤフラム36との間に形成されており、仕切り体40によって、防振基体16側、即ち防振基体16が室壁の一部をなす上側の主液室34Aと、ダイヤフラム36側、即ちダイヤフラム36が室壁の一部をなす下側の副液室34Bとに仕切られている。主液室34Aと副液室34Bは、単一のオリフィス流路42により互いに連通されている。
仕切り体40は、筒状部材22の内側にシール壁部33を介して嵌着されており、シール壁部33に設けられた段部33Aとダイヤフラム36の周縁部との間で軸方向Xに挟まれた状態に保持されている。
仕切り体40は、この例では、主液室34Aと副液室34Bを仕切るゴム状弾性体からなる弾性仕切り膜44と、弾性仕切り膜44を内周面側に収容するとともに第1挟持部材46が一体に形成されたオリフィス部材48と、前記第1挟持部材46との間で弾性仕切り膜44の周縁部を両面側から挟持する第2挟持部材50とを備えてなる(図2参照)。
弾性仕切り膜44は、円板状のゴム膜であり、その周縁部が厚肉状をなす外周厚肉部44Aに形成されるとともに、その内側の可撓範囲の中心部に厚肉部としての中央厚肉部44Bが形成されている。
オリフィス部材48は、アルミニウムや樹脂等の剛性材料からなる環状部材であり、外向きに開かれた断面コの字状をなし、シール壁部33を介して筒状部材22の内周面に嵌合されることで、当該内周面との間に、周方向に沿って延びる上記オリフィス流路42を形成する。図3に示すように、オリフィス部材48は、周方向Cの一端に主液室34Aに対して開口する切り欠き状の主液室側開口42Aを備えるとともに、周方向Cの他端に副液室34Bに対して開口する副液室側開口42Bを備え、これら開口42A,42Bを介して、オリフィス流路42は主液室34Aと副液室34Bの間を連通している。
第1挟持部材46は、弾性仕切り膜44に関して主液室34A側に位置する挟持部材であり、オリフィス部材48の内周面から当該内周面間を塞ぐように一体に形成されている。図3(a)に示すように、第1挟持部材46には複数の貫通穴52が設けられており、主液室34Aの液圧変動が弾性仕切り膜44に及ぼされるよう構成されている。
第2挟持部材50は、弾性仕切り膜44に関して副液室34B側に位置して、上記第1挟持部材46とともに弾性仕切り膜44の外周厚肉部44Aを挟持する円板状部材であり、アルミニウムや樹脂等の剛性材料から形成されている。図4に示すように、第2挟持部材50には、第1挟持部材46と同様の複数の貫通穴54が設けられており、副液室34Bの液圧変動が弾性仕切り膜44に及ぼされるように構成されている。
図2に示すように、弾性仕切り膜44は、その外周厚肉部44Aと中央厚肉部44Bにおいて、第1挟持部材46と第2挟持部材50との間で挟持固定されている。また、その軸方向Xにおける過大変位が、これら第1挟持部材46と第2挟持部材50とによって制限されるように構成されている。
次にキャップ部材24について詳述する。図1に示すように、キャップ部材24は、ダイヤフラム36の背後、この例では下面側を覆うように設けられたカップ状部材であり、ダイヤフラム36との間で密閉された空気室56を形成している。すなわち、この例では、ダイヤフラム36を隔壁として、その上側が液体封入室34とされ、下側が空気室56とされている。
キャップ部材24は、その底部中央部に下向きに突設されたボルト58を有し、このボルト58を介して車体側の部材に締結されるように構成されている。これにより、キャップ部材24は、防振装置10の主荷重方向における入力(即ち、外力)を受ける構造となっている。
キャップ部材24は、車体側の部材に固定される底部側の第1部分60と、該第1部分60よりも防振基体16側に配された第2部分62とに分割して設けられている。
第1部分60は、キャップ部材24の底面部を構成する円板状をなし、その中央部に車体側の部材への固定部としてのボルト58が設けられている。第1部分60は、空気室56の室壁の一部(ここでは底面部)を構成するように、その上面が空気室56に面している。
第2部分62は、キャップ部材24の胴部を構成する円筒状をなし、その軸方向Xの一端部である上端部に径方向外方Koに張り出し形成されたフランジ部64を備え、該フランジ部64が、上記筒状部材22の下端部のかしめ部32によりかしめ締結されている。また、軸方向Xの他端部である下端部には、径方向内方Kiに向けて全周にわたって張り出す内フランジ部66が設けられている。第2部分62は、空気室56の室壁の一部(ここでは、側面部と、底面部の周縁部)を構成するように、筒状部62Aの内周面と内フランジ部66の上面が空気室56に面している。
このようにして上下に2分割状態とされたキャップ部材24は、ゴム弾性体からなる弾性連結部68を介して連結された状態に、一体に加硫成形されている。すなわち、上記第1部分60と第2部分62の2つの金具が、弾性連結部68を介して一体に連結されている。この例では、第2部分62の内フランジ部66の下面と、該内フランジ部66に対して軸方向Xに対向する第1部分64の周縁部の上面との間に、弾性連結部68が全周にわたって介設されている。
これにより、空気室56を形成するキャップ部材24は、弾性連結部68の弾性変形により第1部分60と第2部分62が軸方向Xに相対変位することで、内容積が拡縮可能に構成されている。すなわち、第1部分60に対して第2部分62が下方に相対変位することで、キャップ部材24の内容積が小さく、従って空気室56が縮小し、逆に、第1部分60に対して第2部分62が上方に相対変位することで、キャップ部材24の内容積が大きく、従って空気室56が拡大するようになっている。
弾性連結部68は、防振基体16に対してバネ定数が十分高い状態とされている。すなわち、防振装置10の主荷重方向である軸方向Xにおいて、弾性連結部68のバネ定数は、防振基体16のバネ定数に対して、例えば5倍以上というように、十分大きく設定されている。
以上よりなる本実施形態の液封入式防振装置10であると、上記のようにキャップ部材24を構成したことにより、防振装置10に付与される外力の入力によって空気室56の容積が拡縮し、結果として空気室56の圧力変動が可能となる。すなわち、防振装置10に対して圧縮側の入力(エンジン自重を含む)が入ると、空気室56の圧力を高めることが可能となる。
従って、振幅1mmを超えるような大振幅入力時、例えば振幅2mm程度の振動入力時において、第1取付具12が下方に相対変位することで防振装置10に対して圧縮側の入力が入ったとき、空気室56を圧力を高め、これにより液体封入室34の圧力を高めることができる。そのため、その後に、第1取付具12が上方に相対変位する引張側の入力によって、空気室56が低圧状態になったとしても、高圧状態からの低圧化となるので、このような拡縮機構が設けられていない場合に比べて、空気室56の圧力状態を高く維持することができる。これにより、主液室34A内の液圧も高い状態を維持できるので、主液室34Aが過度の負圧状態になることを抑制して、キャビテーションの発生を防止することができる。
一方で、本実施形態のものは、上記従来技術のように空気室の圧力状態を常に高く維持するものではない。そのため、通常使用領域である低振幅域での振動入力、例えば振幅0.5mm程度のシェイク振動時においては、空気室56の圧力変動が小さく抑えられることで、空気室56の圧力状態を従来技術よりも低い状態に維持することができ、よって、本来期待されるオリフィス流路42での液流動効果による減衰性能の低下を抑えることができる。また、アイドル振動のようなより微振幅の入力時においては、弾性仕切り膜44が主液室34Aと副液室34Bの液圧差を緩和して動ばね定数の低減を図ることができる。
特に、本実施形態のものでは、キャップ部材24の弾性連結部68のバネ定数を防振基体16のバネ定数よりも十分高く設定したことにより、両者は直列バネではあるものの、低振幅域で振動入力した場合の弾性連結部68による動特性への影響を小さくすることができる。そのため、液封入式防振装置10としての基本性能を損なうことなく、キャビテーション対策を行うことができる。
また、本実施形態では、仕切り体40に設けた弾性仕切り膜44が第1及び第2挟持部材46,50により変位規制される構造であるため、そのときの衝突により異音が発生しやすい構造である。しかしながら、仮にこの衝突により異音が発生しても、その振動伝達経路には、キャップ部材24に設けた弾性連結部68が存在するため、車体側に伝わる異音を低減することができる。よって、仕切り体40に異音が発生しやい構造を組み込んだものでありながら、キャップ部材24で、車室内への異音伝達を抑制することができる。
図5は、他の実施形態に係る液封入式防振装置10Aの断面図である。以下、先の実施形態と相違する部分を中心に説明する。図において同一の符号を付したものは、特に説明しない限り、同様の構成を有しているものとして説明は省略する。
この例では、第1取付具12は、板状をなしており、その中央部に上方に突出するボルト70が設けられている。このボルト70を介してエンジン側の部材に取り付けられるように構成されている。第1取付具12の上面には、ストッパ金具72が重ね合わせた状態に固設されている。ストッパ金具72は、軸直角方向の一方側に張り出し形成されたストッパ受部74を有する。第2取付具14の筒状部材22には、その上端部における周方向の一箇所に軸直角方向外方に張り出したストッパ凸部76が設けられている。そして、このストッパ凸部76と、これを取り囲むストッパ受部74との間で、ストッパ作用が発揮されるように構成されている。
また、この例では、主液室34Aと副液室34Bとを仕切る仕切り体78として、金属板のプレス成形品が用いられている。この仕切り体78は、筒状部材22の内周面との間でオリフィス流路42を形成する溝部78Aを外周部に有するとともに、周縁部に設けられたフランジ部78Bがダイヤフラム36の補強金具38とともに、第2取付具14のかしめ部32においてかしめ締結されている。
そして、この例では、空気室56を形成するキャップ部材80が、先の実施形態とは異なり、内外層の2分割状態とされている。すなわち、キャップ部材80は、底壁部82Aと筒状部82Bとからなる有底筒状に形成された第1部分82と、前記第1部分82の筒状部82Bの外周を隙間をあけて取り囲む円筒状をなす第2部分84とに分割して設けられている。
第1部分82は、空気室56の室壁の一部(ここでは底面部と側面部)を構成するように、底壁部82Aの上面と筒状部82Bの内周面が空気室56に面している。第1部分82の底壁部82Aの中央部には、車体側の部材への固定部としてのボルト58が下向きに突設されている。また、第1部分82の筒状部82Bは、底壁部82Aの外周縁から上方に延設され、先端ほどわずかに外側に広がる逆テーパ筒状に形成されている。
第2部分84は、上端部に設けられたフランジ部84Aが、筒状部材22のかしめ部32においてかしめ締結されている。また、第1部分82の筒状部82Bを取り囲む第2部分84の筒状部84Bは、筒状部82Bとの間で形成される隙間が軸方向Xで一定となるように、かしめ部32から離れるに従ってわずかに内側に狭まるテーパ筒状に形成されている。第2部分84は、空気室56の室壁の一部(ここでは側面部の上端部)を構成するように、その筒状部84Bの上端部の内周面が空気室56に面している。
そして、これら第1部分82の筒状部82Bと第2部分84の筒状部84Bとの間に、弾性連結部86が全周にわたって介設されている。弾性連結部86は、第1部分82の外周面と第2部分84の内周面に一体に加硫成形された筒状ゴム部分であり、詳細には、内側の第1部分82から外側の第2部分84に向かって上方に傾斜した断面平行四辺形状をなしている。
これにより、キャップ部材80は、その胴部が内外二重筒状をなして、その間が弾性連結部86により一体に形成されており、該弾性連結部86の弾性変形により第1部分82と第2部分84が軸方向Xに相対変位することで、内容積が拡縮可能に構成されている。また、この例の場合、弾性連結部86は、防振装置10Aの主荷重方向である軸方向Xにおいては主として剪断変形となるのに対し、主荷重方向に垂直な軸直角方向Yにおいては主として圧縮変形となる。そのため、軸方向Xでのバネ定数よりも軸直角方向Yにおけるバネ定数の方が高くなっている。キャップ部材80についてその他の構成は、先の実施形態のキャップ部材24と同じである。
以上よりなる図5に示す実施形態であると、図1に示す実施形態での作用効果に加えて、弾性連結部86のバネ定数を、主荷重方向である軸方向Xよりも水平方向である軸直角方向Yにおいて高くしたので、液封入式防振装置10Aのふらつきを抑制することができる。
なお、キャップ部材は、上下もしくは内外層において2分割状態とされ、車体側の部材に固定される金具も空気室の隔壁の一部となるように、分割した金具間を弾性連結部にて連結するものであれば、上記実施形態のものには限定されず、種々の変更が可能である。
また、上記実施形態では、単一のオリフィス通路を持つシングルオリフィス構造の防振装置について説明したが、本発明は、複数の液室間をオリフィス通路にて連通させる液封入式防振装置であれば、ダブルオリフィス構造の防振装置など、種々の液封入式防振装置に適用可能である。
また、上記液封入式防振装置は、上下反転させて車両に組み付けられるものであってもよく、更には、エンジンマウント以外にも、ボディマウント、デフマウントなど、種々の防振装置に適用可能である。その他、一々列挙しないが、本発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の変更が可能である。
本発明の一実施形態に係る液封入式防振装置の縦断面図 同実施形態の仕切り体の縦断面図 (a)は同仕切り体を構成するオリフィス部材の平面図、(b)はその側面図 (a)は同仕切り体を構成する第2挟持部材の平面図、(b)はその側面図 本発明の他の実施形態に係る液封入式防振装置の縦断面図
符号の説明
10,10A…液封入式防振装置
12…第1取付具、14…第2取付具、16…防振基体
22…筒状部材、24…キャップ部材、32…かしめ部
34…液体封入室、34A…主液室、34B…副液室
36…ダイヤフラム、42…オリフィス流路、56…空気室
58…ボルト(固定部)、60…第1部分、62…第2部分
66…内フランジ部、68…弾性連結部
80…キャップ部材、82…第1部分、82B…筒状部
84…第2部分、84B…筒状部
86…弾性連結部
Ki…径方向内方、X…軸方向(主荷重方向)、Y…軸直角方向(主荷重方向に垂直な方向)

Claims (7)

  1. 振動源側と支持側のいずれか一方の部材に取り付けられる第1取付具と、振動源側と支持側のいずれか他方の部材に取り付けられる第2取付具と、前記第1取付具と前記第2取付具との間に介設されたゴム状弾性体からなる防振基体と、前記第2取付具側に支持されたゴム状弾性膜からなるダイヤフラムと、前記第2取付具の内側において前記防振基体と前記ダイヤフラムの間に形成された複数の液室と、前記複数の液室を連通させるオリフィス流路と、を備えた液封入式防振装置において、
    前記第2取付具は、前記ダイヤフラムとの間で密閉された空気室を形成するキャップ部材を備えてなり、
    前記キャップ部材は、前記他方の部材に固定される固定部を備えた第1部分と、前記第1部分よりも前記防振基体側に配された第2部分とに分割して設けられ、前記第1部分と前記第2部分がゴム状弾性体からなる弾性連結部を介して連結されることで、前記空気室を形成する前記キャップ部材の内容積が前記弾性連結部の弾性変形により拡縮可能に設けられた、
    液封入式防振装置。
  2. 前記防振装置の主荷重方向における前記弾性連結部のバネ定数が、前記主荷重方向における前記防振基体のバネ定数よりも高く設定された、
    請求項1記載の液封入式防振装置。
  3. 前記弾性連結部は、前記防振装置の主荷重方向におけるバネ定数よりも、前記主荷重方向に垂直な方向におけるバネ定数が高く設定された、
    請求項1又は2記載の液封入式防振装置。
  4. 前記第2取付具が筒状をなし、前記第2取付具の軸方向が前記防振装置の主荷重方向となるように前記第1取付具が前記防振基体を介して前記第2取付具に連結されており、
    前記キャップ部材は、前記弾性連結部の弾性変形により前記第1部分と前記第2部分が前記軸方向に相対変位することで、内容積が拡縮可能に設けられた、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の液封入式防振装置。
  5. 前記第2取付具は、軸方向の一端部に前記防振基体が連結された筒状部材と、前記筒状部材の他端部に締結された有底筒状の前記キャップ部材とを備えてなり、
    前記筒状部材の内側に、前記防振基体が室壁の一部をなす主液室と、前記ダイヤフラムが室壁の一部をなす副液室が設けられて、前記主液室と前記副液室が前記オリフィス流路を介して連通されており、
    前記キャップ部材は、底部側の前記第1部分と、軸方向の一端部が前記筒状部材の前記他端部に締結された前記第2部分とを備えてなる、
    請求項4記載の液封入式防振装置。
  6. 前記第2部分の他端部に径方向内方に張り出す内フランジ部が設けられ、前記内フランジ部と当該内フランジ部に対して軸方向に対向する前記第1部分との間に前記弾性連結部が介設された、
    請求項5記載の液封入式防振装置。
  7. 前記第1部分が有底筒状に形成され、前記第2部分が前記第1部分の筒状部の外周を隙間をあけて取り囲む筒状をなし、前記第1部分の筒状部と該筒状部を取り囲む前記第2部分の筒状部との間に前記弾性連結部が介設された、
    請求項5記載の液封入式防振装置。
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