JP7431711B2 - 免疫測定方法及び免疫測定用キット - Google Patents

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Description

本発明は、免疫測定方法及び免疫測定用キットに関する。
従来、生体物質を含有する試料、例えば生体サンプル中のタンパク質等を測定する方法として、タンパク質が結合し得る磁性粒子表面に、生体サンプル中のタンパク質等を結合させ、生体サンプル中の目的タンパク質等以外の不純物を除くために、磁性粒子を洗浄しタンパク質等が結合した粒子を回収して、タンパク質の結合量を測定する工程を含む免疫測定方法が知られている。(特許文献1及び2等)
上記の免疫測定において、測定対象物質との反応速度が十分でないこと等に起因して、陽性の検体を測定した場合のシグナル(発光量等)が十分でないことが問題となっている。
このため、陽性の検体を測定した場合のシグナルと、陰性の検体を測定した場合のシグナルの差も、十分でないため、正確な測定ができない(正常値と判定されるべき検体が、誤って異常値と判定される等)ことが大きな問題となっている。
また、測定値毎に値が大きくぶれて、再現性よく測定できない問題もある。
特開2000-40608号公報 国際公開第2012/173002号
本発明は、正確性が高く、高感度な免疫測定方法及び免疫測定用キットを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち、本発明は、試料中の測定対象物質(G)の濃度を測定する免疫測定方法であって、
測定対象物質と特異的に結合する物質(D)を固定化した固相担体(a1)と、測定対象物質(G)とを、一般式(1)で表される化合物(C)の含有量が3~10重量%である溶液中で反応させて、物質(D)と測定対象物質(G)との複合体(J1)を形成させる工程(1)、又は、
標識物質(b)により標識された物質であって測定対象物質と特異的に結合する物質(F3)と、測定対象物質(G)とを、一般式(1)で表される化合物(C)の含有量が3~10重量%である溶液中で反応させて、物質(F3)と測定対象物質(G)との複合体(J2)を形成させる工程(2)を含む免疫測定方法;免疫測定用試薬として固相担体試薬(A)と、標識試薬(B)と、免疫測定用緩衝液(W)を含む免疫測定用キットであって、
固相担体試薬(A)が、測定対象物質と特異的に結合する物質(D)を固定化した固相担体(a1)又は測定対象物質(G)若しくはその類似物質(G’)を固定化した固相担体(a2)を含有し、
標識試薬(B)が、標識物質(b)により標識された測定対象物質(F1)、その類似物質(F2)又は標識物質(b)により標識された物質であって測定対象物質と特異的に結合する物質(F3)を含有し、
免疫測定用緩衝液(W)が、一般式(1)で表される化合物(C)を含有する前記の免疫測定方法に用いられる免疫測定用キットである。
HO-[(AO)/(AO)]-H (1)
[一般式(1)において、Aは、エチレン基であり;Aは、プロピレン基であり;xは250~800の整数であり;yは55~200の整数であり;[(AO)/(AO)]は、x個ある2価の基である(AO)単位及びy個ある2価の基である(AO)単位の結合順序が、任意であることを示す。]
本発明の免疫測定方法及び免疫測定用キットは、正確性が高く、高感度な臨床検査を可能とする。
本発明は、試料中の測定対象物質(G)の濃度を測定する免疫測定方法であって、
測定対象物質と特異的に結合する物質(D)を固定化した固相担体(a1)と、測定対象物質(G)とを、上記一般式(1)で表される化合物(C)の含有量が3~10重量%である溶液中で反応させて、物質(D)と測定対象物質(G)との複合体(J1)を形成させる工程(1)、又は、
標識物質(b)により標識された物質であって測定対象物質と特異的に結合する物質(F3)と、測定対象物質(G)とを、一般式(1)で表される化合物(C)の含有量が3~10重量%である溶液中で反応させて、物質(F3)と測定対象物質(G)との複合体(J2)を形成させる工程(2)を含む免疫測定方法である。
測定対象物質(G)と、測定対象物質と特異的に結合する物質(D)との反応、又は、標識物質により標識された測定対象物質と特異的に結合する物質(D1)と、測定対象物質(G)との反応[測定対象物質(G)存在下の反応]を、一般式(1)で表される化合物(C)の存在下で行うことにより、免疫測定における測定対象物質と各物質との反応速度・反応効率が向上することで、陽性の検体を測定した場合のシグナル(発光量等)が増加する結果、正確性の高い免疫測定が可能となるものと推測される。
本発明の免疫測定方法は、
測定対象物質と特異的に結合する物質(D)を固定化した固相担体(a1)と測定対象物質(G)とを、一般式(1)で表される化合物(C)の存在下で反応させて、物質(D)と測定対象物質(G)との複合体(J1)を形成させる工程(1)を含む方法、又は、
標識物質(b)により標識された物質であって測定対象物質と特異的に結合する物質(F3)と、測定対象物質(G)とを、一般式(1)で表される化合物(C)の含有量が3~10重量%である溶液中で反応させて、物質(F3)と測定対象物質(G)との複合体(J2)を形成させる工程(2)を含む方法である限り、試料中の測定対象物質(G)を定量する免疫測定方法として免疫測定の分野で一般的に行われる方法に用いることができ、具体的には、文献[例えば、酵素免疫測定法第2版(石川栄治ら編集、医学書院)1982年]記載のサンドイッチ法、競合法及び特開平6-130063号公報記載の免疫測定方法等に用いることができる。
本発明における免疫測定方法の内、固相担体(a1)を含有する固相担体試薬(A)を使用し、かつ、固相担体(a1)として、後述の抗原(X)又は抗体(Y)を有する磁性粒子(H)を使用する方法[物質(D)又は測定対象物質(G)若しくはその類似物質(G’)として、後述の抗原(X)又は抗体(Y)を用いる]としては、具体的には以下のサンドイッチ法並びに競合法(1-1)、(1-2)、(2-1)及び(2-2)が含まれる。
<サンドイッチ法:本発明における工程(1)を含む方法>
本発明の免疫測定方法[本発明における工程(1)を含む方法]をサンドイッチ法に適用する具体例としては以下の方法が挙げられる。
即ち、測定対象物質(G)を含む試料と、測定対象物質と特異的に結合する物質(D)[物質(D)として後述の抗原(X)又は抗体(Y)を用いる]を固定化した磁性粒子(H){固相担体試薬(A)中の固相担体(a1)}とを化合物(C)の存在下で接触させて、磁性粒子(H)表面に測定対象物質と特異的に結合する物質(D)と測定対象物質(G)との複合体(J1)を形成させる。
その後、前記複合体(J1)に、標識物質(b)により標識された物質であって測定対象物質と特異的に結合する物質(F3){標識試薬(B)中の(F3)}を接触させて、磁性粒子(H)に固定化された測定対象物質と特異的に結合する物質(D)と測定対象物質(G)と標識された物質であって測定対象物質と特異的に結合する物質(F3)との複合体{(D)/(G)/(F3)}[標識複合体(L)]を形成させ、標識複合体(L)をB/F分離して、標識複合体(L)中の標識物質(b)量を測定し、その結果に基づいて試料中の測定対象物質量が測定される。
なお、上記サンドイッチ法におけるB/F分離とは、上記標識複合体(L)と、標識複合体(L)の形成に関与しなかった物質(F3)との分離を意味し、具体的には、標識複合体(L)、複合体(J1)、及び、物質(D)を固定化した磁性粒子(H)と、他の成分[試料中の測定対象物質(G)以外の成分、標識複合体(L)の形成に関与しなかった物質(F3)等]との分離を意味する。
また、B/F分離工程は標識複合体(L)の形成後には必須の工程であるが、磁性粒子(H)表面に物質(D)と測定対象物質(G)との複合体(J1)を形成させた後においても実施することができる。この場合のB/F分離は、具体的には、複合体(J1)、及び、磁性粒子(H)と、他の成分[試料中の測定対象物質(G)以外の成分等]との分離を意味する。
<競合法(1-1):本発明における工程(1)を含む方法>
本発明の免疫測定方法[本発明における工程(1)を含む方法]を競合法に適用する具体例としては以下の方法が挙げられる。
即ち、測定対象物質(G)を含む試料と、測定対象物質と特異的に結合する物質(D)[物質(D)として後述の抗原(X)又は抗体(Y)を用いる]を固定化した磁性粒子(H){固相担体試薬(A)中の固相担体(a1)}とを化合物(C)の存在下で接触させて、磁性粒子(H)表面に測定対象物質と特異的に結合する物質(D)と測定対象物質(G)との複合体(J1)を形成させる。
その後、磁性粒子(H)に固定化された(G)と反応していない物質(D)と、標識物質(b)により標識された測定対象物質(F1)又はその類似物質(F2){識試薬(B)中の(F1)又は(F2)}とを接触させて、磁性粒子(H)に固定化された測定対象物質と特異的に結合する物質(D)と標識物質(b)により標識された測定対象物質(F1)又はその類似物質(F2)との複合体{(D)/(F1)又は(F2)}[標識複合体(M)]を形成させ、標識複合体(M)が固定化された磁性粒子(H)をB/F分離して、複合体(M)中の標識物質(b)量を測定し、その結果に基づいて試料中の測定対象物質量が測定される。
なお、上記競合法(1-1)におけるB/F分離とは、上記標識複合体(M)と、標識複合体(M)の形成に関与しなかった他の成分[物質(F1)又はその類似物質(F2)]との分離を意味し、具体的には、物質(D)を固定化した磁性粒子(H)、複合体(J1)、及び、標識複合体(M)と、他の成分[試料中の測定対象物質(G)以外の成分、標識複合体(M)の形成に関与しなかった物質(F1)又はその類似物質(F2)等]との分離を意味する。
また、B/F分離工程は標識複合体(M)の形成後には必須の工程であるが、磁性粒子(H)表面に物質(D)と測定対象物質(G)との複合体(J1)を形成させた後においても実施することができる。この場合のB/F分離は、具体的には、複合体(J1)、及び、磁性粒子(H)と、他の成分[試料中の測定対象物質(G)以外の成分等]との分離を意味する。
<競合法(1-2):本発明における工程(1)を含む方法>
本発明における工程(1)を含む方法のもう一つの具体例としては以下の方法が挙げられる。
即ち、測定対象物質(G)を含む試料と、標識物質(b)により標識された測定対象物質(F1)又はその類似物質(F2){識試薬(B)中の(F1)又は(F2)}と、測定対象物質と特異的に結合する物質(D)[物質(D)として後述の抗原(X)又は抗体(Y)を用いる]を固定化した磁性粒子(H){固相担体試薬(A)中の固相担体(a1)}とを化合物(C)の存在下で接触させて、磁性粒子(H)上の物質(D)に、試料中の測定対象物質(G)と物質(F1)又はその類似物質(F2)とを競合反応させる。
この競合反応により、磁性粒子(H)上に、物質(D)と物質(G)との複合体(J1)、及び、物質(D)と物質(F1)又はその類似物質(F2)との標識複合体(M)を形成させる。
その後、標識複合体(M)を担持した磁性粒子(H)をB/F分離して、標識複合体(M)中の標識物質(b)量を測定し、その結果に基づいて試料中の測定対象物質を測定すればよい。
なお、上記競合法(1-2)におけるB/F分離とは、上記標識複合体(M)と、標識複合体(M)の形成に関与しなかった他の成分[物質(F1)又はその類似物質(F2)]との分離を意味し、具体的には、物質(D)を固定化した磁性粒子(H)、複合体(J1)、及び、標識複合体(M)と、他の成分[試料中の測定対象物質(G)以外の成分、標識複合体(M)の形成に関与しなかった物質(F1)又はその類似物質(F2)等]との分離を意味する。
<競合法(2-1):本発明における工程(2)を含む方法>
本発明の免疫測定方法[本発明における工程(2)を含む方法]を競合法に適用する具体例としては以下の方法が挙げられる。
即ち、測定対象物質(G)を含む試料と、標識物質(b)により標識された物質であって測定対象物質と特異的に結合する物質(F3){標識試薬(B)中の(F3)、(F3)として標識物質(b)により標識された抗原(X)又は抗体(Y)を用いる}とを化合物(C)の存在下で接触させて、物質(F3)と測定対象物質(G)との複合体(J2)を形成させる。
その後、(G)と反応していない物質(F3)と、測定対象物質(G)及び/又はその類似物質(G’)[物質(G)及び物質(G’)として後述の抗原(X)又は抗体(Y)を用いる]を固定化した磁性粒子(H){固相担体試薬(A)中の固相担体(a2)}を接触させて、磁性粒子(H)に固定化された測定対象物質(G)又はその類似物質(G’)と標識物質(b)により標識された物質であって測定対象物質と特異的に結合する物質(F3)との複合体{(G)又は(G’)/(F3)}[標識複合体(N)]を形成させ、標識複合体(N)が固定化された磁性粒子(H)をB/F分離して、複合体(N)中の標識物質(b)量を測定し、その結果に基づいて試料中の測定対象物質量が測定される。
なお、上記競合法(2-1)におけるB/F分離とは、上記標識複合体(N)と、標識複合体(N)の形成に関与しなかった他の成分[物質(F3)]との分離を意味し、具体的には、物質(G)又は物質(G’)を固定化した磁性粒子(H)、及び、標識複合体(N)と、他の成分[試料中の測定対象物質(G)以外の成分、標識複合体(N)の形成に関与しなかった物質(F3)、及び、複合体(J2)等]との分離を意味する。
また、B/F分離工程は標識複合体(N)の形成後には必須の工程であるが、物質(F3)と測定対象物質(G)との複合体(J2)を形成させた後においても実施することができる。この場合のB/F分離は、具体的には、磁性粒子(H)と、他の成分[未反応の測定対象物質(G)、試料中の測定対象物質(G)以外の成分、複合体(J2)等]との分離を意味する。
<競合法(2-2):本発明における工程(2)を含む方法>
本発明における工程(2)を含む方法のもう一つの具体例としては以下の方法が挙げられる。
即ち、測定対象物質(G)を含む試料と、標識物質(b)により標識された物質であって測定対象物質と特異的に結合する物質(F3){標識試薬(B)中の(F3)、(F3)として標識物質(b)により標識された抗原(X)又は抗体(Y)を用いる}と、測定対象物質(G)及び/又はその類似物質(G’)[物質(G)及び物質(G’)として後述の抗原(X)又は抗体(Y)を用いる]を固定化した磁性粒子(H){固相担体試薬(A)中の固相担体(a2)}とを化合物(C)の存在下で接触させて、物質(F3)に、試料中の測定対象物質(G)と磁性粒子(H)上の物質(G)又は物質(G’)とを競合反応させる。
この競合反応により、物質(F3)と物質(G)との複合体(J2)、及び、磁性粒子(H)上に物質(G)又は物質(G’)と物質(F3)との標識複合体(N)を形成させる。
その後、標識複合体(N)を担持した磁性粒子(H)をB/F分離して、標識複合体(N)中の標識物質(b)量を測定し、その結果に基づいて試料中の測定対象物質を測定すればよい。
なお、上記競合法(2-2)におけるB/F分離とは、上記標識複合体(N)と、標識複合体(N)の形成に関与しなかった他の成分[物質(F3)]との分離を意味し、具体的には、物質(G)又は物質(G’)を固定化した磁性粒子(H)、及び、標識複合体(N)と、他の成分[試料中の測定対象物質(G)以外の成分、標識複合体(N)の形成に関与しなかった物質(F3)、及び、複合体(J2)等]との分離を意味する。
本発明の免疫測定方法の測定の対象となる試料中の測定対象物質(G)としては、一般的に免疫測定の分野で測定されるものであれば特に限定はされず、例えば血清、血液、血漿、尿等の生体体液、リンパ液、血球、各種細胞類等の生体由来の試料中に含まれるヌクレオチド鎖(オリゴヌクレオチド鎖、ポリヌクレオチド鎖);染色体;核酸(デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)等);ペプチド鎖(例えばC-ペプチド、アンジオテンシンI等);タンパク質〔例えばプロカルシトニン、免疫グロブリンA(IgA)、免疫グロブリンE(IgE)、免疫グロブリンG(IgG)、免疫グロブリンM(IgM)、免疫グロブリンD(IgD)、β2-ミクログロブリン、アルブミン、ヘモグロビン、ミオグロビン、トランスフェリン、プロテインA、C反応性蛋白質(CRP)、フェリチン、トロポニンT(TnT)、ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)、これらの分解産物〕;血液凝固関連因子(例えばフィブリノーゲン、フィブリン分解産物、プロトロンビン、トロンビン等);酵素〔例えばアミラーゼ(例えば膵型、唾液腺型、X型等)、アルカリホスファターゼ(例えば肝性、骨性、胎盤性、小腸性等)、酸性ホスファターゼ(例えばPAP等)、γ-グルタミルトランスファラーゼ(例えば腎性、膵性、肝性等)、リパーゼ(例えば膵型、胃型等)、クレアチンキナーゼ(例えばCK-1、CK-2、mCK等)、乳酸脱水素酵素(例えばLDH1~LDH5等)、グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(例えばASTm、ASTs等)、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(例えばALTm、ALTs等)、コリンエステラーゼ(例えばChE1~ChE5等)、ロイシンアミノペプチダーゼ(例えばC-LAP、AA、CAP等)、レニン、プロテインキナーゼ、チロシンキナーゼ等〕及びこれら酵素のインヒビター;ホルモン(例えばPTH、TSH、インシュリン、LH、FSH、エストラジオール、プロラクチン等);レセプター(例えばエストロゲン、TSH等に対するレセプター);リガンド(例えばエストロゲン、TSH等);細菌(例えば結核菌、肺炎球菌、ジフテリア菌、髄膜炎菌、淋菌、ブドウ球菌、レンサ球菌、腸内細菌、大腸菌、ヘリコバクター・ピロリ等);ウイルス(例えばルベラウイルス、ヘルペスウイルス、肝炎ウイルス、ATLウイルス、AIDSウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、ポリオウイルス、EBウイルス、HAV、HBV、HCV、HIV、HTLV等);真菌(例えばカンジダ、クリプトコッカス等);スピロヘータ(例えばレプトスピラ、梅毒トレポネーマ等);クラミジア、マイコプラズマ等の微生物;当該微生物に由来するタンパク質又はペプチド或いは糖鎖抗原;気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎等のアレルギーの原因となる各種アレルゲン(例えばハウスダスト、例えばコナヒョウダニ、ヤケヒョウダニ等のダニ類、例えばスギ、ヒノキ、スズメノヒエ、ブタクサ、オオアワガエリ、ハルガヤ、ライムギ等の花粉、例えばネコ、イヌ、カニ等の動物、例えば米、卵白等の食物、真菌、昆虫、木材、薬剤、化学物質等に由来するアレルゲン等);脂質(例えばリポタンパク質等);プロテアーゼ(例えばトリプシン、プラスミン、セリンプロテアーゼ等);腫瘍マーカータンパク抗原(例えばPSA、PGI、PGII等);糖鎖抗原〔例えばAFP(例えばL1からL3等)、hCG(hCGファミリー)、トランスフェリン、IgG、サイログロブリン、Decay-accelerating-factor(DAF)、癌胎児性抗原(例えばCEA、NCA、NCA-2、NFA等)、CA19-9、PIVKA-II、CA125、前立腺特異抗原、癌細胞が産生する特殊な糖鎖を有する腫瘍マーカー糖鎖抗原、ABO糖鎖抗原等〕;糖鎖(例えばヒアルロン酸、β-グルカン、上記糖鎖抗原等が有する糖鎖等);糖鎖に結合するタンパク質(例えばヒアルロン酸結合タンパク、βグルカン結合タンパク等);リン脂質(例えばカルジオリピン等);リポ多糖(例えばエンドトキシン等);化学物質(例えばT3、T4、FT3、FT4、トリブチルスズ、ノニルフェノール、4-オクチルフェノール、フタル酸ジ-n-ブチル、フタル酸ジシクロヘキシル、ベンゾフェノン、オクタクロロスチレン、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル等の環境ホルモン);人体に投与・接種される各種薬剤及びこれらの代謝物;アプタマー;核酸結合性物質;これらの抗体等が挙げられる。
本発明の一般式(1)で表される化合物による感度向上は、測定対象物質(G)を、血清に含まれる測定対象物質(好ましくは抗体、ホルモン、癌マーカー及び心疾患マーカー等)とすることで、特に効果的に発揮される。
上記における測定対象物質(G)の類似物質(G’)(アナログ)とは、測定対象物質と特異的に結合する物質(D)が有する測定対象物質(G)との結合部位と結合し得るもの、言い換えれば、測定対象物質(G)が有する測定対象物質と特異的に結合する物質(D)との結合部位を有するもの、更に言い換えれば、測定対象物質(G)と測定対象物質と特異的に結合する物質(D)との反応時に共存させると(G)と(D)との反応と競合し得るものであれば何れでもよい。
後に詳述する測定対象物質と特異的に結合する物質(D)としては、例えば「抗原(X)」-「抗体(Y)」間反応、「糖鎖」-「タンパク質」間反応、「糖鎖」-「レクチン」間反応、「酵素」-「インヒビター」間反応、「タンパク質」-「ペプチド鎖」間反応、「染色体又はヌクレオチド鎖」-「ヌクレオチド鎖」間反応、又は、「ヌクレオチド鎖」-「タンパク質」間反応等の相互反応によって、試料中の測定対象物質(G)又はその類似物質(G’)と結合するもの等が挙げられ、上記各組合せにおいて何れか一方が測定対象物質(G)又はその類似物質(G’)である場合、他の一方がこの測定対象物質と特異的に結合する物質(D)である。
測定対象物質(G)と特異的に結合する物質(D)としては、「抗原(X)」-「抗体(Y)」間反応によって、測定対象物質(G)又はその類似物質(G’)と結合するものが好ましい。[(G)が抗原(X)である場合、(D)はその抗体であり、(G)が抗体(Y)である場合、(G)はその抗原であることが好ましい。]
本発明の免疫測定方法には、測定対象物質と特異的に結合する物質(D)を固定化した固相担体(a1)又は測定対象物質(G)若しくはその類似物質(G’)を固定化した固相担体(a2)を含有する固相担体試薬(A)を用いることが好ましい。
固相担体(a1)及び(a2)としては、一般的に免疫測定の分野で測定されるものであれば特に限定はされず、例えばガラスビーズ、ポリスチレンビーズ、磁性粒子、マイクロプレート、ラテックス等が代表的なものとして挙げられる。これらの内、免疫測定における測定時間の短時間化及び正確性の観点から、特開2014-210680号公報及び特開2013-019889号公報に記載の金属酸化物を含有するシリカ粒子を用いることが好ましい。
また、磁性粒子は、測定の感度及び測定時間短縮の観点から、後述の抗原(X)又は抗体(Y)を有する磁性粒子(H)[測定対象物質と特異的に結合する物質(D)又は測定対象物質(G)若しくはその類似物質(G’)として、抗原(X)又は抗体(Y)を固定化した磁性粒子等]であることが好ましい。
金属酸化物を含有するシリカ粒子としては、シリカのマトリックス中に体積平均粒子径が1~20nmで超常磁性を有する金属酸化物を分散されているものが好ましい。超常磁性とは、外部磁場の存在下で物質の個々の原子磁気モーメントが整列し誘発された一時的な磁場を示し、外部磁場を取り除くと、部分的な整列が損なわれ磁場を示さなくなることをいう。
尚、本発明における金属酸化物及び金属酸化物を含有するシリカ粒子の体積平均粒子径は、任意の200個の粒子について走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JSM-7000F」)で観察して測定された粒子径の平均値である。
体積平均粒子径が1~20nmで超常磁性を示す超常磁性金属酸化物としては、鉄、コバルト、ニッケル及びこれらの合金等の酸化物が挙げられるが、磁界に対する感応性が優れていることから、酸化鉄が特に好ましい。超常磁性金属酸化物は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
酸化鉄としては、公知の種々の酸化鉄を用いることができる。
酸化鉄の内、特に化学的な安定性に優れることから、マグネタイト、γ-ヘマタイト、マグネタイト-α-ヘマタイト中間酸化鉄及びγ-ヘマタイト-α-ヘマタイト中間酸化鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、大きな飽和磁化を有し、外部磁場に対する感応性が優れていることから、マグネタイトが更に好ましい。
金属酸化物を含有するシリカ粒子中の超常磁性金属酸化物の含有量の下限は、金属酸化物を含有するシリカ粒子の重量を基準として、60重量%が好ましく、更に好ましくは65重量%であり、上限は95重量%が好ましく、更に好ましくは80重量%である。
超常磁性金属酸化物の含有量が60重量%以上であると、得られた金属酸化物を含有するシリカ粒子の磁性が十分であり、実際の用途面における分離操作を短時間で行えるので好ましい。また、95重量%以下であると、合成が容易である。
超常磁性金属酸化物の製造方法は、特に限定されないが、Massartにより報告されたものをベースとして水溶性鉄塩及びアンモニアを用いる共沈殿法(R.Massart,IEEE Trans.Magn.1981,17,1247)や水溶性鉄塩の水溶液中の酸化反応を用いた方法により合成することができる。
金属酸化物を含有するシリカ粒子の体積平均粒子径は、好ましくは1~5μm、更に好ましくは1~3μmである。
体積平均粒子径が1μm以上であると、分離回収を短時間で行える傾向にあり、5μm以下であると、表面積が適度であり、固定化する物質[測定対象物質と特異的に結合する物質(D)、測定対象物質(G)及びその類似物質(G’)等]の結合量を適度にすることができ、結合効率がよい。
金属酸化物を含有するシリカ粒子の体積平均粒子径は、後述の水中油型エマルションを作製する際の混合条件(せん断力等)を調節して水中油型エマルションの粒子径を調整することにより制御することができる。また、金属酸化物を含有するシリカ粒子製造時の水洗工程の条件変更や通常の分級等の方法によっても体積平均粒子径を所望の値とすることができる。
本発明における金属酸化物を含有するシリカ粒子は、例えば体積平均粒子径が1~20nmの超常磁性金属酸化物粒子、前記超常磁性金属酸化物粒子の重量に基づいて30~500重量%の(アルキル)アルコキシシラン及び必要に応じて分散剤を含有する分散液と、水、水溶性有機溶媒、非イオン性界面活性剤及び(アルキル)アルコキシシランの加水分解用触媒を含有する溶液とを混合して水中油型エマルションを形成後、(アルキル)アルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応を行い、超常磁性金属酸化物がシリカに包含された磁性粒子の水性分散体を得た後、磁性粒子の水性分散体を遠心分離及び/又は集磁により固液分離し、水又はメタノール等で洗浄することにより得られる。
また、必要に応じて、更に、上記の操作で得た磁性粒子、(アルキル)アルコキシシラン、水、水溶性有機溶媒、非イオン性界面活性剤及び(アルキル)アルコキシシランの加水分解用触媒を混合し、(アルキル)アルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応を実施し、コア-シェル構造を有するシリカ粒子としても良い。
上記及び以下において、(アルキル)アルコキシシランとは、アルキルアルコキシシラン又はアルコキシシランを意味する。
金属酸化物を含有するシリカ粒子は、超常磁性金属酸化物がシリカに包含され、粒子表面での存在量が比較的少ないことから、多くの測定対象物質と特異的に結合する物質(D)、測定対象物質(G)及びその類似物質(G’)等をその表面に固定化することができる。
本発明において、前記の抗原(X)としては、一般的この分野で測定されるものであれば特に限定はされず、具体的には下記免疫測定に用いられる抗原が含まれる。
血清、血液、血漿、尿等の生体体液、リンパ液、血球、各種細胞類等の生体由来の試料中に含まれるヌクレオチド鎖(オリゴヌクレオチド鎖、ポリヌクレオチド鎖);染色体;核酸(デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)等);ペプチド鎖(例えばC-ペプチド、アンジオテンシンI等);タンパク質〔例えばプロカルシトニン、免疫グロブリンA(IgA)、免疫グロブリンE(IgE)、免疫グロブリンG(IgG)、免疫グロブリンM(IgM)、免疫グロブリンD(IgD)、β2-ミクログロブリン、アルブミン、ヘモグロビン、ミオグロビン、トランスフェリン、プロテインA、C反応性蛋白質(CRP)、フェリチン、トロポニンT(TnT)、ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)、これらの分解産物〕;血液凝固関連因子(例えばフィブリノーゲン、フィブリン分解産物、プロトロンビン、トロンビン等);酵素〔例えばアミラーゼ(例えば膵型、唾液腺型、X型等)、アルカリホスファターゼ(例えば肝性、骨性、胎盤性、小腸性等)、酸性ホスファターゼ(例えばPAP等)、γ-グルタミルトランスファラーゼ(例えば腎性、膵性、肝性等)、リパーゼ(例えば膵型、胃型等)、クレアチンキナーゼ(例えばCK-1、CK-2、mCK等)、乳酸脱水素酵素(例えばLDH1~LDH5等)、グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(例えばASTm、ASTs等)、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(例えばALTm、ALTs等)、コリンエステラーゼ(例えばChE1~ChE5等)、ロイシンアミノペプチダーゼ(例えばC-LAP、AA、CAP等)、レニン、プロテインキナーゼ、チロシンキナーゼ等〕及びこれら酵素のインヒビター;ホルモン(例えばPTH、TSH、インシュリン、LH、FSH、エストラジオール、プロラクチン等);レセプター(例えばエストロゲン、TSH等に対するレセプター);リガンド(例えばエストロゲン、TSH等);細菌(例えば結核菌、肺炎球菌、ジフテリア菌、髄膜炎菌、淋菌、ブドウ球菌、レンサ球菌、腸内細菌、大腸菌、ヘリコバクター・ピロリ等);ウイルス(例えばルベラウイルス、ヘルペスウイルス、肝炎ウイルス、ATLウイルス、AIDSウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、ポリオウイルス、EBウイルス、HAV、HBV、HCV、HIV、HTLV等);真菌(例えばカンジダ、クリプトコッカス等);スピロヘータ(例えばレプトスピラ、梅毒トレポネーマ等);クラミジア、マイコプラズマ等の微生物;当該微生物に由来するタンパク質又はペプチド或いは糖鎖抗原;気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎等のアレルギーの原因となる各種アレルゲン(例えばハウスダスト、例えばコナヒョウダニ、ヤケヒョウダニ等のダニ類、例えばスギ、ヒノキ、スズメノヒエ、ブタクサ、オオアワガエリ、ハルガヤ、ライムギ等の花粉、例えばネコ、イヌ、カニ等の動物、例えば米、卵白等の食物、真菌、昆虫、木材、薬剤、化学物質等に由来するアレルゲン等);脂質(例えばリポタンパク質等);プロテアーゼ(例えばトリプシン、プラスミン、セリンプロテアーゼ等);腫瘍マーカータンパク抗原(例えばPSA、PGI、PGII等);糖鎖抗原〔例えばAFP(例えばL1からL3等)、hCG(hCGファミリー)、トランスフェリン、IgG、サイログロブリン(Tg)、Decay-accelerating-factor(DAF)、癌胎児性抗原(例えばNCA、NCA-2、NFA等)、PIVKA-II、CA125、前立腺特異抗原、癌細胞が産生する特殊な糖鎖を有する腫瘍マーカー糖鎖抗原、ABO糖鎖抗原等〕;糖鎖(例えばヒアルロン酸、β-グルカン、上記糖鎖抗原等が有する糖鎖等);糖鎖に結合するタンパク質(例えばヒアルロン酸結合タンパク、βグルカン結合タンパク等);リン脂質(例えばカルジオリピン等);リポ多糖(例えばエンドトキシン等);化学物質(例えばT3、T4、FT3、FT4、トリブチルスズ、ノニルフェノール、4-オクチルフェノール、フタル酸ジ-n-ブチル、フタル酸ジシクロヘキシル、ベンゾフェノン、オクタクロロスチレン、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル等の環境ホルモン);人体に投与・接種される各種薬剤及びこれらの代謝物;アプタマー;核酸結合性物質等が挙げられる。
本発明において、抗体(Y)としては、一般的この分野で測定されるものであれば特に限定はされず、具体的には抗原(X)として例示したものに対する抗体が挙げられる。尚、本発明において用いられる抗体には、パパインやペプシン等の蛋白質分解酵素、或いは化学的分解により生じるFab、F(ab’)フラグメント等の分解産物も包含される。
本発明において、磁性粒子に抗原(X)又は抗体(Y)を固定化[測定対象物質と特異的に結合する物質(D)又は測定対象物質(G)若しくはその類似物質(G’)として固定化]して磁性粒子(H)とする方法としては、上述の磁性粒子に、抗原(X)又は抗体(Y)を物理吸着させる方法が挙げられるが、より効率良く測定対象物質等、具体的には、抗原(X)又は抗体(Y)を固定化させる観点から、グルタルアルデヒド、アルブミン、カルボジイミド、ストレプトアビジン、ビオチン及び官能基を有するアルキルアルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機化合物を磁性粒子の表面に結合させ、それらを介して、抗原(X)又は抗体(Y)を磁性粒子に固定化させるのが好ましく、更に好ましくは官能基(エチレン性不飽和基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基及びイソシアネート基等)を有するアルキルアルコキシシランを介して固定化させる方法である。
このような官能基を有するアルキルアルコキシシランとしては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、前記の抗原(X)又は抗体(Y)を有する磁性粒子(H)としては、前記抗原(X)に対する抗体(XA)を介して磁性粒子に結合してなる磁性粒子(H1)及び/又は前記抗体(Y)に対する抗原(YA)を介して磁性粒子に結合してなる磁性粒子(H2)であることが好ましい。
抗原(YA)としては、前記の抗原(X)と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
また、抗体(XA)としては、前記の抗体(Y)と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
また、上記の磁性粒子(H1)及び(H2)における抗体(XA)として好ましいのは、F(ab’)及びFabである。
前記の磁性粒子(H1)を製造する方法としては、まず、公知の方法(特開2014-210680号公報及び特開2013-019889号公報に記載の方法等)等で、抗体(XA)を有する磁性粒子(H)[抗体(XA)を固定化した磁性粒子]を製造し、その後、公知の方法等で、磁性粒子(H)上の抗体(XA)に、抗原(X)を結合させる方法等が挙げられる。
また、前記の磁性粒子(H2)を製造する方法としては、まず、公知の方法(特開2014-210680号公報及び特開2013-019889号公報に記載の方法等)等で、抗原(YA)を有する磁性粒子(H)[抗原(YA)を固定化した磁性粒子]を製造し、その後、公知の方法等で、磁性粒子(H)上の抗原(YA)に、抗体(Y)を結合させる方法等が挙げられる。
固相担体試薬(A)中の固相担体(a1)又は(a2)の含有量は、固相担体の洗浄性の観点から、0.001~10重量%が好ましく、更に好ましくは0.01~1重量%である。
固相担体試薬(A)中には、固相担体(a)又は(a2)以外に、ゼラチン、ゼラチン以外のタンパク質、血清(マウス血清等)、糖類、界面活性剤、無機塩、エチレンジアミン四酢酸及び水を含有してもよい。
ゼラチンとしては、公知のゼラチンが含まれ、分子量及び性状に限定はなく、いかなる動物(ホ乳類、鳥類及び魚類等)から取得したものであってもよい。
ゼラチンとしては、例えばコラーゲンを酸又はアルカリによる化学処理後、加熱処理して製造した酸処理ゼラチン及びアルカリ処理ゼラチン等が挙げられる。更にこのゼラチンをアミノ基、イミノ基、カルボキシル基、メルカプト基及び水酸基等の官能基を周知の方法を利用し導入し、化学的に修飾したゼラチン誘導体を用いることもできる。
ゼラチンの含有量は、固相担体試薬(A)の保存安定性の観点から、固相担体試薬(A)の重量を基準として、1~8重量%が好ましく、更に好ましくは2~5重量%である。
ゼラチン以外のタンパク質としては、一般的に免疫測定の分野で使用されるものであれば特に限定はされず、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン及びスキムミルク等が挙げられる。タンパク質は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
タンパク質の含有量は、固相担体試薬(A)の保存安定性の観点から、固相担体試薬(A)の重量を基準として、0~15重量%が好ましく、更に好ましくは0.1~15重量%である。
また、血清の含有量は、固相担体試薬(A)の重量を基準として、0~15重量%が好ましく、更に好ましくは0.1~10重量%である。
糖類としては、単糖類、二糖類及び多糖類が含まれる。
単糖類としては、トリオース(ケトトリオース等)、テトロース(ケトテトロース等)、ペントース(ケトペントース、アルドペントース及びデオキシ糖類等)、ヘキソース[ケトヘキソース(プシコース、フルクトース、ソルボース及びタガトース等)、アルドヘキソース(アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース及びタロース等)及びデオキシ糖(フコース、フクロース及びラムノース等)等]並びにヘプトース(セドヘプツロース等)等が挙げられる。
二糖類としては、上記単糖類の内、2分子が脱水縮合してグリコシド結合を形成したものが含まれ、具体的には、スクロース、ラクトース、マルトース及びセロビオース等が挙げられる。
多糖類としては、上記単糖類の内、3分子以上が脱水縮合してグリコシド結合を形成したものが含まれ、具体的には、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、セルロース、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸及びヘパリン等が挙げられる。
糖類は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
糖類としては、固相担体試薬(A)の保存安定性の観点から、二糖類が好ましく、更に好ましくはスクロース及びラクトースである。
糖類の含有量は、固相担体試薬(A)の保存安定性の観点から、固相担体試薬(A)の重量を基準として、5~40重量%が好ましく、更に好ましくは10~20重量%である。
界面活性剤としては、後に詳述する(B)の説明で例示する界面活性剤等が挙げられ、好ましいものも同様である。
また、界面活性剤の含有量は、固相担体試薬(A)の重量を基準として、0~2重量%が好ましく、更に好ましくは0.01~1重量%である。
無機塩としては、アルカリ金属塩[ハロゲン化物(塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム及びフッ化ナトリウム等)、硫酸塩(硫酸ナトリウム及び硫酸カリウム等)、硝酸塩(硝酸ナトリウム及び硝酸カリウム等)及びリン酸塩(リン酸ナトリウム及びリン酸カリウム等)]、アルカリ土類金属塩[ハロゲン化物(塩化カルシウム及び塩化マグネシウム等)及び硫酸塩(硫酸マグネシウム等)]等が挙げられる。
無機塩は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらの内、固相担体試薬(A)の保存安定性の観点から、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、リン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム及び硝酸カリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
無機塩の含有量は、固相担体試薬(A)の保存安定性の観点から、固相担体試薬(A)の重量を基準として、0.1~2重量%が好ましく、更に好ましくは0.5~1重量%である。
また、エチレンジアミン四酢酸の含有量は、固相担体試薬(A)の重量を基準として、0~2重量%が好ましく、更に好ましくは0.01~1重量%である。
本発明の免疫測定方法には、具体的な免疫測定方法(サンドイッチ法及び競合法等)の説明でも述べたように、標識物質(b)により標識された測定対象物質(F1)、標識物質(b)により標識された測定対象物質の類似物質(F2)又は標識物質(b)により標識された物質であって測定対象物質と特異的に結合する物質(F3)を含有する標識試薬(B)を用いることが好ましい。
標識物質(b)により標識された測定対象物質(F1)に用いられる測定対象物質としては、上述の測定対象物質(G)と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
標識物質(b)により標識された測定対象物質の類似物質(F2)に用いられる測定対象物質の類似物質としては、上述の測定対象物質(G)の類似物質と同様のものが挙げられる。
標識物質(b)により標識された物質であって測定対象物質と特異的に結合する物質(F3)に用いられる測定対象物質と特異的に結合する物質としては、上述の測定対象物質と特異的に結合する物質(D)と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
標識するために用いられる標識物質(b)としては、
例えば酵素免疫測定法(EIA)において用いられるアルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、ペルオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコース-6-リン酸脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、ルシフェラーゼ、チロシナーゼ、酸性ホスファターゼ等の酵素類;
例えば放射免疫測定法(RIA)において用いられる99mTc、131I、125I、14C、3H、32P等の放射性同位元素;
例えば蛍光免疫測定法(FIA)において用いられるフルオレセイン、ダンシル、フルオレスカミン、クマリン、ナフチルアミン又はこれらの誘導体、グリーン蛍光タンパク質(GFP)等の蛍光性物質;
例えばルシフェリン、イソルミノール、ルミノール、ビス(2,4,6-トリフロロフェニル)オキザレート等の発光性物質;
例えばフェノール、ナフトール、アントラセン又はこれらの誘導体等の紫外部に吸収を有する物質;
例えば4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、3-アミノ-2,2,5,5-テトラメチルピロリジン-1-オキシル、2,6-ジ-t-ブチル-α-(3,5-ジ-t-ブチル-4-オキソ-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン)-p-トリオキシル等のオキシル基を有する化合物に代表されるスピンラベル化剤としての性質を有する物質等が挙げられる。
これらの内、感度等の観点から、酵素、蛍光性物質が好ましく、更に好ましいのはアルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ及びグルコースオキシダーゼであり、特に好ましいのはペルオキシダーゼである。
標識物質(b)を測定対象物質、測定対象物質の類似物質及び測定対象物質と特異的に結合する物質に結合させるには、一般的に免疫測定の分野で用いられる方法、例えば公知のEIA、RIA及びFIA等において一般に行われている公知の標識方法[例えば、医化学実験講座、第8巻、山村雄一監修、第1版、中山書店、1971;図説 蛍光抗体、川生明著、第1版、(株)ソフトサイエンス社、1983;酵素免疫測定法、石川栄治、河合忠、室井潔編、第2版、医学書院、1982等]等を利用すればよい。
標識物質(b)の使用量は、用いる標識物質(b)の種類により異なるため一概には言えないが、例えばペルオキシダーゼ(以降、PODと略記する)を標識物質(b)として使用する場合には、測定対象物質、測定対象物質の類似物質又は測定対象物質と特異的に結合する物質と標識物質(b)とを、例えば好ましくは1:1~20(更に好ましくは1:1~10、特に好ましくは1:1~2)のモル比となるように、緩衝液中に含有させて用いればよい。
緩衝液としては、一般的に免疫測定の分野で用いられている、例えばトリス緩衝液、リン酸緩衝液、ベロナール緩衝液、ホウ酸緩衝液及びグッド緩衝液等が挙げられ、そのpHは、抗原抗体反応を抑制しない範囲であればよく、5~9が好ましい。
また、このような緩衝液中には、目的の抗原抗体反応を阻害しないものであれば、例えばアルブミン、グロブリン、水溶性ゼラチン、ポリエチレングリコール等の安定化剤、界面活性剤及び糖類等を含有させておいてもよい。
標識試薬(B)中の標識物質(b)により標識された測定対象物質(F1)、標識物質(b)により標識された測定対象物質の類似物質(F2)及び標識物質(b)により標識された物質であって測定対象物質と特異的に結合する物質(F3)の含有量は、感度の観点から、それぞれ0.01~40μg/mLが好ましく、更に好ましくは0.1~20μg/mLである。
標識試薬(B)は、上記以外に、タンパク質、界面活性剤及び高分子化合物を含んでいてもよい。
タンパク質としては、一般的に免疫測定の分野で測定されるものであれば特に限定はされず、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン、スキムミルク等が挙げられる。タンパク質は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
タンパク質の含有量は、感度及び試薬の保存安定性の観点から、標識試薬(B)の重量を基準として、0.001~8重量%が好ましい。
界面活性剤としては、公知の非イオン界面活性剤、両性界面活性剤及びアニオン界面活性剤等が挙げられるが、界面活性剤としては、非特異的吸着の低減の観点から、水溶性の非イオン界面活性剤が好ましい。
尚、水溶性とは、25℃の水100gに10g溶解することを意味する。
水溶性の非イオン界面活性剤として、具体的には、HLBが12以上のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ポリオキシエチレンオクチルエーテル等)及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル等が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、粒子の洗浄性の観点から、標識試薬(B)の重量を基準として、0.001~4重量%である。
高分子化合物としては、一般的に免疫測定の分野で使用されるものであれば特に限定はされず、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、Blockmaster(JSR(株)製)及びLipidure(日油(株)製)が挙げられる。
高分子化合物は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
高分子化合物の含有量は、非特異的吸着の抑制の観点から、標識試薬(B)の重量を基準として、高分子化合物の純分が、0.001~3重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.5~1重量%である。
前記の工程(1)及び(2)においては、前述の通り、一般式(1)で表される化合物(C)の存在下で反応を進行させる。
HO-[(AO)/(AO)]-H (1)
一般式(1)において、Aは、エチレン基である。
一般式(1)において、Aは、プロピレン基でありる。
一般式(1)において、xは250~800の整数であり、正確性の観点から好ましくは250~600の整数である。
一般式(1)において、yは55~200の整数であり、正確性の観点から好ましくは55~120の整数であり、更に好ましくは60~100の整数である。
また、一般式(1)において、[(AO)/(AO)]は、x個ある2価の基である(AO)単位及びy個ある2価の基である(AO)単位の結合順序が、任意であることを示す。
一般式(1)におけるx及びyは、正確性の観点から、(x/y)の値が3.0~7.0の関係であることが好ましい。
また、x及びyは、正確性の観点から、(44×x+58×y)の値が15,000~35,000の関係であることが好ましい。
前記の一般式(1)で表される化合物(C)は、正確性の観点から、下記の一般式(2)で表される化合物(C1)であることが好ましい。
HO-(AO)-(AO)-(AO)-H (2)
一般式(2)において、A及びAは、エチレン基である。
一般式(2)において、Aは、プロピレン基である。
一般式(2)において、p及びrは、それぞれ(p+r)の値が250~800の関係にある整数である。(p+r)の値は、正確性の観点から250~600の整数であることが好ましい。
一般式(2)において、qは55~200の整数であり、正確性の観点から好ましくは55~120の整数であり、更に好ましくは60~100の整数である。
一般式(2)におけるp、q及びrは、正確性の観点から、[(p+r)/q]の値が3.0~7.0の関係であることが好ましい。
また、p、q及びrは、正確性の観点から、[44×(p+r)+58×q]の値が15,000~35,000の関係であることが好ましい。
本発明の免疫測定方法において、工程(1)及び工程(2)における反応溶液中の前記の化合物(C)の含有量は、反応溶液の重量[固相担体(a)の重量を除く]を基準として、3~10重量%であり、正確性の観点から、3~9重量%であることが好ましく、3~6重量%であることが更に好ましい。
化合物(C)の含有量が3重量%未満であると、正確性が低くなるという問題がある。
これは、化合物(C)による反応促進効果が十分でないでないことが影響しているものと推測される。
また、化合物(C)の含有量が10重量%より大きい場合も、正確性が低くなり、特に再現性が低くなるという問題がある。
これは、比較的分子量が大きい化合物(C)が過剰に存在することにより、反応系中の測定対象物質(G)由来の成分(不純物を含む)が析出し、再現性が低下するためと推測される。
化合物(C)は、前記の工程(1)又は(2)における反応を実施する際に添加されるが、測定の正確性の観点から予め水及び/又は緩衝液[後述の免疫測定用緩衝液(W)に用いる緩衝液等]に溶解させておくことが好ましい。
標識物質(b)の量の測定方法としては、放射免疫測定法(RIA)、酵素免疫測定法(EIA)、蛍光免疫測定法(FIA)及び化学発光免疫測定法(CLIA及びCLEIA)が挙げられ、短時間での免疫測定における感度の観点から好ましいのはEIA、CLIA及びCLEIAであり、更に好ましいのはCLEIAである。
例えば、標識物質量の測定を化学発光法により行う場合、化学発光試薬(E)を用いる。
化学発光試薬(E)は、上記の標識物質(b)に基づき選択され、例えば、標識物質(b)がペルオキシダーゼである場合、2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオン化合物及び化学発光増強剤を必須構成成分とする化学発光試薬第1液と、酸化剤及び水を必須構成成分とする化学発光試薬第2液とを含む。
2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオン化合物としては、例えば、特開平2-291299号公報、特開平10-319015号公報及び特開2000-279196号公報等に記載の公知の2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオン化合物及びこれらの混合物等が使用できる。
これらの内、ルミノール、イソルミノール、N-アミノヘキシル-N-エチルイソルミノール(AHEI)、N-アミノブチル-N-エチルイソルミノール(ABEI)及びこれらの金属塩(アルカリ金属塩等)が好ましく、更に好ましいのはルミノール及びその金属塩、特に好ましいのはルミノールのナトリウム塩である。
化学発光増強剤としては、例えば、特開昭59-500252号公報、特開昭59-171839号公報及び特開平2-291299号公報等に記載の公知の化学発光増強剤及びこれらの混合物等が使用できる。これらの内、化学発光増強効果等の観点から、フェノールが好ましく、更に好ましいのはp-ヨードフェノール、4-(シアノメチルチオ)フェノール及び4-シアノメチルチオ-2-クロロフェノール、特に好ましいのは4-(シアノメチルチオ)フェノールである。
化学発光試薬第1液は、酵素の蛍光強度の観点からはアルカリ性であることが好ましく、第1液のpHは、7~11が好ましく、更に好ましくは8~10である。
尚、pHは、JIS K0400-12-10:2000に準拠して測定温度25℃で測定される。
化学発光試薬第2液が含有する酸化剤としては、例えば、特開平8-261943号公報及び特開2000-279196号公報等に記載の公知の酸化剤等[無機の過酸化物(過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム及び過ホウ酸カリウム等)、有機過酸化物(過酸化ジアルキル及び過酸化アシル等)、ペルオクソ酸化合物(ペルオクソ硫酸及びペルオクソリン酸等)等]が挙げられる。
これらの内、保存安定性等の観点から、過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム及び過ホウ酸カリウムが好ましく、更に好ましいのは過酸化水素である。
本発明の免疫測定用キットは、固相担体試薬(A)と、標識試薬(B)と、免疫測定用緩衝液(W)を含む免疫測定用キットである。
本発明の免疫測定用キットにおける固相担体試薬(A)としては、上述の固相担体試薬(A)を用いることができ、標識試薬(B)としては、上述の標識試薬(B)を用いることができる。
また、本発明の免疫測定用キットにおける免疫測定用緩衝液(W)は、前記の化合物(C)を含有する。
本発明の免疫測定用キットに用いる免疫測定用緩衝液(W)が含有する緩衝液としては、一般的に免疫測定の分野で用いられている、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、ベロナール緩衝液、ホウ酸緩衝液及びグッド緩衝液等が挙げられ、そのpHは、本発明の効果を阻害しない範囲であればよく、5~9が好ましい。
また、このような緩衝液中には、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、塩(塩化ナトリウム及びエチレンジアミン四酢酸等)、アルブミン(ウシ血清アルブミン等)、グロブリン、タンパク質(カゼイン加水分解物)、水溶性ゼラチン、ポリエチレングリコール等の安定化剤、界面活性剤[上記の標識試薬(B)の説明で例示した界面活性剤等]及び糖類[上記の固相担体試薬(A)の説明で例示した糖類等]等を含有させておいてもよい。
免疫測定用緩衝液(W)が含有する化合物(C)の濃度は、免疫測定用緩衝液(W)の重量を基準として、3~10重量%であることが好ましく、3~9重量%であることが更に好ましく、3~6重量%であることが特に好ましい。
本発明の免疫測定用キットは、更に化学発光試薬(E)を含むことが好ましい。
また、本発明の免疫測定用キットは、ルミノール発光試薬(E1)[2,3-ジヒドロ-1,4-フタラジンジオン化合物がルミノール及び/又はその金属塩である化学発光試薬第1液]及び過酸化水素液(E2)[酸化剤が過酸化水素である化学発光試薬第2液]を含む化学発光試薬(E)を構成品として含み、標識試薬(B)中の標識物質(b)がペルオキシダーゼである免疫測定用キットであることが好ましい。
本発明の免疫測定用キットにおける固相担体試薬(A)、標識試薬(B)及び化学発光試薬(E)の各構成成分の組成、含有量及びこれらの好ましい範囲等は上述の免疫測定方法で説明したものと同様である。
以下、実施例により、本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において部は重量部を示す。
<実施例1>
以下に示す方法により、固相担体試薬(A-1)、標識試薬(B-1)、免疫反応緩衝液(W-1)、ルミノール発光試薬(E1)及び過酸化水素液(E2)から構成される本発明の免疫測定用キット(S-1)を得た。
磁性粒子(PH-1)の作製:
<磁性金属酸化物粒子の作製>
反応容器に塩化鉄(III)6水和物186部、塩化鉄(II)4水和物68部及び水1288部を仕込んで溶解させて50℃に昇温し、撹拌下温度を50~55℃に保持しながら、25重量%アンモニア水280部を1時間かけて滴下し、水中にマグネタイト粒子を得た。得られたマグネタイト粒子に分散剤であるオレイン酸64部を加え、2時間撹拌を継続した。室温に冷却後、デカンテーションにより固液分離して得られたオレイン酸が吸着したマグネタイト粒子を水1000部で洗浄する操作を3回行い、さらにアセトン1000部で洗浄する操作を2回行い、40℃で2日間乾燥させることで、体積平均粒子径が15nmの超常磁性金属酸化物粒子を得た。
<コア層の作製>
超常磁性金属酸化物粒子80部をテトラエトキシシラン240部に加えて分散し、分散液(1)を調製した。
次に、反応容器に水5050部、25重量%アンモニア水溶液3500部、非イオン界面活性剤(「NSA-17」、三洋化成工業(株)製)400部を加えてクリアミックス(エムテクニック(株)製)を用いて混合し溶液(2)を得た。50℃に昇温後、クリアミックスの回転数6,000rpmで攪拌しながら、上記分散液(1)を溶液(2)に1時間かけて滴下後、50℃で1時間反応させた。反応後、2,000rpmで20分間遠心分離して微粒子の存在する上清を除き、コア層を得た。
<磁性粒子の作製>
反応容器にコア層80部、脱イオン水2500部、25重量%アンモニア水溶液260部、エタノール2500部、テトラエトキシシラン1200部を加えてクリアミックス(エムテクニック(株)製)を用いて混合し、クリアミックスの回転数6,000rpmで攪拌しながら2時間反応させた。反応後、2,000rpmで20分間遠心分離して微粒子の存在する上清を除去した。遠心分離後沈殿した粒子に脱イオン水を4000部加えて粒子を再分散させ、分散した粒子を、磁石を用いて粒子を集磁し上清を除く操作を10回行った。
次に、得られた固相に水5000部を加えて粒子を分散させて600rpmで10分間遠心分離後、微粒子の存在する上清を除く操作を20回行い、続いて得られた固相に水5000部を加えて粒子を分散させて300rpmで10分間遠心分離することにより、大きな粒子径の粒子を沈降させて除去することで分級を行った。
さらに、磁石を用いて粒子を集磁し上澄み液を除去した。その後、水5000部を加えてコアシェル粒子を分散させた後に、磁石を用いて粒子を集磁し上清を除く操作を10回行い、目的とする体積平均粒子径2.0μmの磁性粒子(PH-1)を得た。得られた磁性粒子(PH-1)中の超常磁性金属酸化物粒子の含有量を測定した結果、含有量は81重量%であった。
<粒子(超常磁性金属酸化物粒子及び磁性粒子)の体積平均粒子径の測定方法>
走査型電子顕微鏡(型番:JSM-7000F、メーカー名:日本電子株式会社)を用いて、任意の200個の超常磁性金属酸化物粒子を観察して粒子径を測定し、体積平均粒子径を求めた。
磁性粒子についても同様の方法で、体積平均粒子径を求めた。
<超常磁性金属酸化物粒子の含有量の測定方法>
磁性粒子の任意の20個について、走査型電子顕微鏡(型番JSM-7000F、メーカー名日本電子株式会社)で観察し、エネルギー分散型X線分光装置(型番INCA Wave/Energy、メーカー名オックスフォード社)により超常磁性金属酸化物粒子の含有量を測定し、その平均値を含有量Sとした。また、同測定にてシリカの含有量を測定し、その平均値を含有量Tとした。以下の計算式(1)にて、超常磁性金属酸化物粒子の含有量を求めた。
超常磁性金属酸化物粒子の含有量(重量%)=(S)/(S+T)×100・・・(1)
<抗Tgモノクローナル抗体F(ab’)の作製>
抗Tgモノクローナル抗体(マウス)(Hytest社製)10mgを、pH4.0の0.1M酢酸緩衝液2mlに溶解し、0.2mgのペプシンを加え37℃で3時間インキユベートした。1M炭酸緩衝液(pH9.0)を適量加えて中性(pH:7.0)にして反応を停止させた後、0.2M塩化ナトリウム含有0.02Mリン酸緩衝液(pH7.2)で平衡化したウルトラゲルAcA-44(LKB)カラム(02,OX70cm、シグマアルドリッチ社製)でゲル濾過を行い、続いて5mM EDTA・2Naを含有した0.05Mリン酸緩衝液(pH6.0)で透析し、抗Tgモノクローナル抗体F(ab’)を得た。
磁性粒子(H1-1)及び固相担体試薬(A-1)の作製:
1重量%γ-アミノプロピルトリエトキシシラン含有アセトン溶液40mLの入った蓋付きポリエチレン瓶に製造した磁性粒子(PH-1)40mgを加え、25℃で1時間反応させ、ネオジウム磁石で磁性粒子を集磁後、液をアスピレーターで吸引除去した。次いで脱イオン水40mLを加えて蓋をし、ポリスチレン瓶をゆっくりと2回倒置攪拌した後、ネオジウム磁石で磁性粒子を集磁後、液をアスピレーターで吸引除去して磁性粒子を洗浄した。この洗浄操作を5回行った。次いで、この洗浄後の磁性粒子を2重量%グルタルアルデヒド含有水溶液40mLの入った蓋付きポリエチレン瓶に加え、25℃で1時間反応させた。そして、脱イオン水40mLを加えて蓋をし、ポリスチレン瓶をゆっくりと2回倒置攪拌したのち、ネオジウム磁石で磁性粒子を集磁後、液をアスピレーターで吸引除去して磁性粒子を洗浄した。この洗浄操作を10回行った。
更にこの洗浄後の磁性粒子を、抗Tgモノクローナル抗体F(ab’)を10μg/mLの濃度で含む0.02Mリン酸緩衝液(pH8.7)120mLの入った蓋付きポリエチレン瓶に加え、25℃で1時間反応させた。反応後、ネオジウム磁石で磁性粒子を集磁後、抗Tgモノクローナル抗体F(ab’)含有リン酸緩衝液を除去した。
次いで、磁性粒子を0.001重量%のTg(サイログロブリン、Hytest社製)及び1重量%の牛血清アルブミン含有の0.02Mリン酸緩衝液(pH7.0)40mLの入った蓋付きポリエチレン瓶に加え、25℃で12時間静置することで、Tg-抗Tgモノクローナル抗体F(ab’)複合体が結合してなる磁性粒子(H1-1)(Tgが抗Tgモノクローナル抗体F(ab’)を介して磁性粒子に結合したもの)を調整した。ネオジウム磁石で磁性粒子(H1-1)を集磁後、上清を除去した。
次に、磁性粒子(H1-1)の濃度が0.01重量%になるように、後述の希釈液で希釈し、磁性粒子(H1-1)を含有する固相担体試薬(A-1)を調製した。
希釈液の作製:
10重量%のBSA、0.1重量%のナロアクティーCL-100[ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、三洋化成工業(株)製]、0.1重量%のEDTA(エチレンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸二ナトリウム塩二水和物、(株)同仁化学研究所製)、5重量%のマウス血清[コスモ・バイオ(株)製]及び0.02Mリン酸ナトリウム(pH7.0)を含有する希釈液を調整し、冷蔵(2~10℃)で保存した。
免疫測定用緩衝液(W-1)の作成:
表1に示した各成分を表1に記載の重量部混合し、免疫測定用緩衝液(W-1)を得た。
なお、表1における各成分として、以下のものを用いた。
リン酸緩衝液:0.02Mリン酸緩衝液(pH7.0)
化合物(C-1)~化合物(C-6):以下に記載の方法で製造したものを使用
化合物(C’-1):PEG-20000[三洋化成工業(株)製、数平均分子量20000のポリエチレングリコール]
EDTA:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩
BSA:(牛血清アルブミン)
化合物(C-1)の製造:
撹拌機、温度計、圧力計、耐圧滴下ボンベ、減圧及び窒素導入ラインの付いた2Lオートクレーブ中にポリオキシプロピレングリコール(オキシプロピレン基の繰り返し数:55)3208重量部(1モル部)、水酸化カリウム40部を加え撹拌を開始し窒素封入し100℃に昇温した後、圧力-0.1MPaGで1時間脱水した。
次いで130℃に昇温し、圧力0.3MPaG以下でプロピレンオキサイド812重量部(14モル部)を7時間かけて逐次滴下し、同温度で圧平衡になるまで2時間撹拌した(1段階目)。
次いで圧力0.3MPaG以下でエチレンオキサイド12188重量部(277モル部)を5時間かけて逐次滴下し、同温度で圧平衡になるまで1時間撹拌した(2段階目)。
その後60℃に冷却し、酢酸40重量部で中和し、化合物(C-1)[一般式(1)におけるxの値が277であり、yの値が69である化合物]を得た。
化合物(C-2)の製造:
撹拌機、温度計、圧力計、耐圧滴下ボンベ、減圧及び窒素導入ラインの付いた2Lオートクレーブ中にプロピレングリコール76重量部(1モル部)、水酸化カリウム8部を加え撹拌を開始し窒素封入し100℃に昇温した後、圧力-0.1MPaGで1時間脱水した。
次いで130℃に昇温し、圧力0.3MPaG以下でプロピレンオキサイド4118重量部(71モル部)及びエチレンオキサイド12672重量部(288モル部)の混合物を50時間かけて滴下し、同温度で圧平衡になるまで3時間撹拌した。
その後60℃に冷却し、酢酸8重量部で中和し、化合物(C-2)[一般式(1)におけるxの値が288であり、yの値が72である化合物]を得た。
化合物(C-3)の製造:
撹拌機、温度計、圧力計、耐圧滴下ボンベ、減圧及び窒素導入ラインの付いた2Lオートクレーブ中にプロピレングリコール76重量部(1モル部)、水酸化カリウム10部を加え撹拌を開始し窒素封入し100℃に昇温した後、圧力-0.1MPaGで1時間脱水した。
次いで130℃に昇温し、圧力0.3MPaG以下でプロピレンオキサイド5336重量部(92モル部)及びエチレンオキサイド16368重量部(372モル部)の混合物を50時間かけて滴下し、同温度で圧平衡になるまで3時間撹拌した。
その後60℃に冷却し、酢酸10重量部で中和し、化合物(C-3)を得た。[一般式(1)におけるxの値が372であり、yの値が93である化合物]
化合物(C-4)の製造:
撹拌機、温度計、圧力計、耐圧滴下ボンベ、減圧及び窒素導入ラインの付いた2Lオートクレーブ中にプロピレングリコール76重量部(1モル部)、水酸化カリウム21部を加え撹拌を開始し窒素封入し100℃に昇温した後、圧力-0.1MPaGで1時間脱水した。
次いで130℃に昇温し、圧力0.3MPaG以下でプロピレンオキサイド10382重量部(179モル部)及びエチレンオキサイド31680重量部(720モル部)の混合物を75時間かけて滴下し、同温度で圧平衡になるまで3時間撹拌した。
その後60℃に冷却し、酢酸21重量部で中和し、化合物(C-4)[一般式(1)におけるxの値が720であり、yの値が180である化合物]を得た。
化合物(C-5)の製造:
撹拌機、温度計、圧力計、耐圧滴下ボンベ、減圧及び窒素導入ラインの付いた2Lオートクレーブ中にポリオキシプロピレングリコール(オキシプロピレン基の繰り返し数:55)3208重量部(1モル部)、水酸化カリウム36部を加え撹拌を開始し窒素封入し100℃に昇温した後、圧力-0.1MPaGで1時間脱水した。
次いで130℃に昇温し、圧力0.3MPaG以下でエチレンオキサイド11220重量部(255モル部)を5時間かけて滴下し、同温度で圧平衡になるまで1時間撹拌した。
その後60℃に冷却し、酢酸36重量部で中和し、化合物(C-5)[一般式(1)におけるxの値が255であり、yの値が55である化合物]を得た。
化合物(C-6)の製造:
撹拌機、温度計、圧力計、耐圧滴下ボンベ、減圧及び窒素導入ラインの付いた2Lオートクレーブ中にポリオキシプロピレングリコール(オキシプロピレン基の繰り返し数:55)3208重量部(1モル部)、水酸化カリウム78部を加え撹拌を開始し窒素封入し100℃に昇温した後、圧力-0.1MPaGで1時間脱水した。
次いで130℃に昇温し、圧力0.3MPaG以下でプロピレンオキサイド2378重量部(41モル部)を10時間かけて逐次滴下し、同温度で圧平衡になるまで2時間撹拌した(1段階目)。
次いで圧力0.3MPaG以下でエチレンオキサイド25652重量部(583モル部)を5時間かけて逐次滴下し、同温度で圧平衡になるまで1時間撹拌した(2段階目)。
その後60℃に冷却し、酢酸78重量部で中和し、化合物(C-6)[一般式(1)におけるxの値が583であり、yの値が96である化合物]を得た。
標識試薬(B-1)の作製:
抗ヒトIgGポリクローナル抗体(ウサギ)(ダコジャパン(株)製)、西洋ワサビ由来POD(東洋紡(株)製)を用い、文献(エス・ヨシタケ、エム・イマガワ、イー・イシカワ、エトール;ジェイ.バイオケム,Vol.92,1982,1413-1424)に記載の方法でPOD標識抗ヒトIgGポリクローナル抗体(ウサギ)(F3)を調製した。これを0.5重量%の牛血清アルブミン及び界面活性剤として1重量%ナロアクティーCL-100を含有する0.02Mリン酸緩衝液(pH7.0)で、POD標識抗ヒトIgGポリクローナル抗体(ウサギ)(F3)濃度として100nMの濃度に希釈し、標識試薬(B-1)を調製し、冷蔵(2~10℃)で保存した。
ルミノール発光試薬(E1)の調製:
ルミノールのナトリウム塩[シグマ アルドリッチ ジャパン(株)製]0.7g及び4-(シアノメチルチオ)フェノール0.1gを1,000mLメスフラスコに仕込んだ。3-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]プロパンスルホン酸/水酸化ナトリウム緩衝液(10mM、pH=8.6)を溶液の容量が1,000mLになるように仕込み、25℃で均一混合してルミノール発光試薬(E1)を調製した。測定に用いるまで冷蔵(2~10℃)保存した。
過酸化水素液(E2)の調製:
過酸化水素[和光純薬工業(株)製、試薬特級、濃度30重量%]6.6gを1,000mLメスフラスコに仕込んだ。脱イオン水を溶液の容量が1,000mLになるように仕込み、25℃で均一混合して過酸化水素液(E2)を調製した。測定に用いるまで冷蔵(2~10℃)保存した。
<実施例2~8、22~23及び比較例1~2>
実施例1における免疫測定用キット(S-1)の製造において、使用する免疫測定用緩衝液(W-1)に代えて、以下の方法で得られる免疫測定用緩衝液(W-2)~(W-10)及び(W’-1)~(W’-2)をそれぞれ使用したこと以外は実施例1と同様にして、免疫測定用キット(S-2)~(S-8)、(S-22)~(S-23)及び(S’-1)~(S’-2)を得た。
<免疫測定用緩衝液(W-2)~(W-10)及び(W’-1)~(W’-2)の作成>
表1に示した各成分を表1に記載の重量部混合し、免疫測定用緩衝液(W-2)~(W-10)及び(W’-1)~(W’-2)を得た。
<実施例9>
実施例1における磁性粒子(PH-1)の作製中の<コア層の作製>において、超常磁性金属酸化物粒子の投入量を80部から63部に変更した以外は、実施例1における磁性粒子(PH-1)の作製と同様に実施し、体積平均粒子径2.0μmの磁性粒子(PH-2)を得た。得られた磁性粒子(PH-2)中の超常磁性金属酸化物粒子の含有量を測定した結果、含有量は61重量%であった。
実施例1の以降の操作において、磁性粒子(PH-1)に代えて、磁性粒子(PH-2)を用いた以外は同様にして実施し、磁性粒子(H1-1)に代えて、Tg-抗Tgモノクローナル抗体F(ab’)複合体が結合してなる磁性粒子(H1-2)(Tgが抗Tgモノクローナル抗体F(ab’)を介して磁性粒子に結合したもの)を含有する固相担体試薬(A-2)を作製したこと以外は、実施例1と同様に実施して、本発明の免疫測定用キット(S-9)を得た。
<実施例10>
実施例1における磁性粒子(PH-1)の作製中の<コア層の作製>において、超常磁性金属酸化物粒子の投入量を80部から92部に変更した以外は、実施例1における磁性粒子(PH-1)の作製と同様に実施し、体積平均粒子径2.0μmの磁性粒子(PH-3)を得た。得られた磁性粒子(PH-2)中の超常磁性金属酸化物粒子の含有量を測定した結果、含有量は90重量%であった。
実施例1の以降の操作において、磁性粒子(PH-1)に代えて、磁性粒子(PH-3)を用いた以外は同様にして実施し、磁性粒子(H1-1)に代えて、Tg-抗Tgモノクローナル抗体F(ab’)複合体が結合してなる磁性粒子(H1-3)(Tgが抗Tgモノクローナル抗体F(ab’)を介して磁性粒子に結合したもの)を含有する固相担体試薬(A-3)を作製したこと以外は、実施例1と同様に実施して、本発明の免疫測定用キット(S-10)を得た。
<実施例11>
実施例1における磁性粒子(PH-1)の作製中の<磁性粒子の作製>において、「600rpmで10分間遠心分離」する工程に代えて、「1200rpmで10分間遠心分離」する工程を実施し、また、「300rpmで10分間遠心分離」する工程に代えて、「600rpmで10分間遠心分離」する工程を実施した以外は、実施例1における磁性粒子(PH-1)の作製と同様に実施し、体積平均粒子径1.0μmの磁性粒子(PH-4)を得た。得られた磁性粒子(PH-4)中の超常磁性金属酸化物粒子の含有量を測定した結果、含有量は81重量%であった。
実施例1の以降の操作において、磁性粒子(PH-1)に代えて、磁性粒子(PH-4)を用いた以外は同様にして実施し、磁性粒子(H1-1)に代えて、Tg-抗Tgモノクローナル抗体F(ab’)複合体が結合してなる磁性粒子(H1-4)(Tgが抗Tgモノクローナル抗体F(ab’)を介して磁性粒子に結合したもの)を含有する固相担体試薬(A-4)を作製したこと以外は、実施例1と同様に実施して、本発明の免疫測定用キット(S-11)を得た。
<実施例12>
実施例1における磁性粒子(PH-1)の作製中の<磁性粒子の作製>において、「600rpmで10分間遠心分離」する工程に代えて、「200rpmで10分間遠心分離」する工程を実施し、また、「300rpmで10分間遠心分離」する工程に代えて、「100rpmで10分間遠心分離」する工程を実施した以外は、実施例1における磁性粒子(PH-1)の作製と同様に実施し、体積平均粒子径5.0μmの磁性粒子(PH-5)を得た。得られた磁性粒子(PH-5)中の超常磁性金属酸化物粒子の含有量を測定した結果、含有量は81重量%であった。
実施例1の以降の操作において、磁性粒子(PH-1)に代えて、磁性粒子(PH-5)を用いた以外は同様にして実施し、磁性粒子(H1-1)に代えて、Tg-抗Tgモノクローナル抗体F(ab’)複合体が結合してなる磁性粒子(H1-5)(Tgが抗Tgモノクローナル抗体F(ab’)を介して磁性粒子に結合したもの)を含有する固相担体試薬(A-5)を作製したこと以外は、実施例1と同様に実施して、本発明の免疫測定用キット(S-12)を得た。
<実施例13>
実施例1における固相担体試薬(H1-1)及び固相担体試薬(A-1)の作製において、抗Tgモノクローナル抗体F(ab’)に代えて以下の方法で作製した抗Tgモノクローナル抗体Fabを用いることで、磁性粒子(H1-1)に代えて、Tg-抗Tgモノクローナル抗体Fab複合体が結合してなる磁性粒子(H1-6)(Tgが抗Tgモノクローナル抗体Fabを介して磁性粒子に結合したもの)を含有する固相担体試薬(A-6)を作製したこと以外は、実施例1と同様に実施して、本発明の免疫測定用キット(S-13)を得た。
<抗Tgモノクローナル抗体Fabの作製>
抗Tgモノクローナル抗体(マウス)(Hytest社製)10mgを、0.2M塩化ナトリウム含有0.02Mリン酸緩衝液(pH7.2)2mlに溶解し、0.2mgのパパインを加え37℃で3時間インキユベートした。反応液に終濃度が0.03Mとなるようにヨードアセトアミドを添加し完全に溶解させて反応を停止した後、0.2M塩化ナトリウム含有0.02Mリン酸緩衝液(pH7.2)で平衡化したウルトラゲルAcA-44(LKB)カラム(02,OX70cm、シグマアルドリッチ社製)でゲル濾過を行い、続いてNAbTM Protein A Plus Spin Column(5 mL、サーモフィッシャー社製)に供し、カラムの素通り液を回収することで、抗Tgモノクローナル抗体Fabを得た。
<実施例14>
実施例1における免疫測定用キット(S-1)の製造において、固相担体試薬(A-1)に代えて、以下の方法で得られる固相担体試薬(A-7)を使用し、標識試薬(B-1)に代えて標識試薬(B-2)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、免疫測定用キット(S-14)を得た。
<固相担体試薬(A-7)の作製>
1重量%γ-アミノプロピルトリエトキシシラン含有アセトン溶液40mLの入った蓋付きポリエチレン瓶に、実施例1で得た製造した磁性粒子(PH-1)40mgを加え、25℃で1時間反応させ、ネオジウム磁石で磁性粒子を集磁後、液をアスピレーターで吸引除去した。次いで脱イオン水40mLを加えて蓋をし、ポリスチレン瓶をゆっくりと2回倒置攪拌した後、ネオジウム磁石で磁性粒子を集磁後、液をアスピレーターで吸引除去して磁性粒子を洗浄した。この洗浄操作を5回行った。次いで、この洗浄後の磁性粒子を2重量%グルタルアルデヒド含有水溶液40mLの入った蓋付きポリエチレン瓶に加え、25℃で1時間反応させた。そして、脱イオン水40mLを加えて蓋をし、ポリスチレン瓶をゆっくりと2回倒置攪拌したのち、ネオジウム磁石で磁性粒子を集磁後、液をアスピレーターで吸引除去して磁性粒子を洗浄した。この洗浄操作を10回行った。
更にこの洗浄後の磁性粒子を、抗Tgモノクローナル抗体(マウス)(Hytest社製)を10μg/mLの濃度で含む0.02Mリン酸緩衝液(pH8.7)120mLの入った蓋付きポリエチレン瓶に加え、25℃で1時間反応させた。反応後、ネオジウム磁石で磁性粒子を集磁後、抗Tgモノクローナル抗体含有リン酸緩衝液を除去することで、抗Tgモノクローナル抗体が結合してなる磁性粒子(H-1)を得た。
次に、磁性粒子(H-1)の濃度が0.01重量%になるように、前記の固相担体試薬(A-1)の作製で使用した「希釈液」で希釈し、磁性粒子(H-1)を含有する固相担体試薬(A-7)を調製した。
<標識試薬(B-2)の作製>
実施例1における標識試薬(B-1)の作製において、抗ヒトIgGポリクローナル抗体(ウサギ)に代えて、抗Tgマウスモノクローナル抗体(Hytest社製)を用いた以外は同様にして実施し、標識試薬(B-2)[100nMのPOD標識抗Tgマウスモノクローナル抗体を含有する試薬]を調製し、冷蔵(2~10℃)で保存した。
<実施例15~21>
実施例14の免疫測定用キット(S-14)の製造において、使用する免疫測定用緩衝液(W-1)に代えて、前記の免疫測定用緩衝液(W-2)~(W-8)をそれぞれ使用したこと以外は実施例14と同様にして、免疫測定用キット(S-15)~(S-21)を得た。
Figure 0007431711000001
<実施例24~46及び比較例3~4>
実施例1~23で得た免疫測定用キット(S-1)~(S-23)又は比較例1~2で得た免疫測定用キット(S’-1)~(S’-2)を用いて、以下の方法(サンドイッチ法)で免疫測定を実施し、感度及び同時再現性を評価した。
また、各免疫測定用キットが有する免疫測定用緩衝液(W)について、以下の方法で濁度を評価した。
<感度の評価>
免疫測定用キットの固相担体試薬(A)をそれぞれ0.025mL、試験管に入れ、試験管の外側からネオジウム磁石で磁性粒子を10秒間集め、試験管中の液をアスピレーターで除き、ネオジウム磁石を側面から十分に離した。
次に、試験管に、免疫測定用緩衝液(W)0.2mLと、プール血清[免疫測定用キット(S-1)~(S-13)及び(S-22)~(S-23)並びに免疫測定用キット(S’-1)~(S’-2)を用いた測定では、5IU/mLの抗サイログロブリン抗体(TgAb)を含有するプール血清を用い、免疫測定用キット(S-14)~(S-21)を用いた測定では、50ng/mLのTgを含有するプール血清を用いた]0.05mLとを注入し、試験管中で37℃3分間反応させ、複合体[免疫測定用キット(S-1)~(S-13)及び(S-22)~(S-23)並びに免疫測定用キット(S’-1)~(S’-2)を用いた測定では、Tgを固定化した磁性粒子/TgAb複合体、免疫測定用キット(S-14)~(S-21)を用いた測定では、抗Tgモノクローナル抗体を固定化した磁性粒子/Tg複合体]を形成させた。
反応後、試験管の外側からネオジウム磁石で磁性粒子を10秒間集め、試験管中の液をアスピレーターで除き、ネオジウム磁石を側面から十分に離した。その後、生理食塩水0.5mLを加えて磁性粒子を分散させて集磁後、アスピレーターで液を除く洗浄操作を2回行った。
続いて、各免疫測定用キットに対応する標識試薬(B)0.05mLを試験管に注入し、試験管中で37℃3分間反応させ、複合体[免疫測定用キット(S-1)~(S-13)及び(S-22)~(S-23)並びに免疫測定用キット(S’-1)~(S’-2)を用いた測定では、Tgを固定化した磁性粒子/TgAb/POD標識抗ヒトIgGポリクローナル抗体複合体、免疫測定用キット(S-14)~(S-21)を用いた測定では、抗Tgモノクローナル抗体を固定化した磁性粒子/Tg/POD標識抗Tgマウスモノクローナル抗体複合体]を形成させた。
反応後、試験管の外側からネオジウム磁石で磁性粒子を10秒間集め、試験管中の液をアスピレーターで除き、ネオジウム磁石を側面から十分に離した。その後、生理食塩水0.5mLを加えて磁性粒子を分散させて集磁後、アスピレーターで液を除く洗浄操作を2回行った。
最後に、化学発光試薬第1液(E1)0.07mLと化学発光試薬第2液(E2)0.07mLとを同時に加え、37℃で45秒間発光反応させ、化学発光試薬を添加後43~45秒の平均発光量をルミノメーター[ベルトールドジャパン社製「Lumat LB9507」]で測定した。この時の平均発光量を平均発光量(Z1)とした。
また、上記の操作において、「プール血清」に代えて、前記の固相担体試薬(A-1)の作製で使用した「希釈液」を用いる以外は同様にして、平均発光量をルミノメーターで測定した。この時の平均発光量を平均発光量(Z2)とした。
[平均発光量(Z1)]/[平均発光量(Z2)]の値を算出し、この値を感度とした。
感度が高いほど、測定の正確性に優れることを示す。
<濁度の評価>
各免疫測定用緩衝液(W)0.2mLと上記のプール血清[免疫測定用キット(S-1)~(S-13)及び(S-22)~(S-23)並びに免疫測定用キット(S’-1)~(S’-2)の場合は、5IU/mLの抗サイログロブリン抗体(TgAb)を含有するプール血清を用い、免疫測定用キット(S-14)~(S-21)の場合は、50ng/mLのTgを含有するプール血清を用いた]0.05mLとを25℃で混合し、分光光度計((株)島津製作所製、UV-1800、光路長:10mm)を用いて、600nmの吸光度を測定した。
上記の方法で測定できる吸光度は、0.7以下であることが好ましく、0.45以下であることが更に好ましい。
上記の範囲外の場合、測定の過程で測定試料由来のタンパク質等が析出していることを意味し、測定の再現性が悪化するおそれがある。
<同時再現性の評価>
上記の<感度の測定>において、プール血清を以下のように変更して用いる以外は同様にして、平均発光量をルミノメーターで測定した。
・「5IU/mLの抗サイログロブリン抗体(TgAb)を含有するプール血清」を「50IU/mLの抗サイログロブリン抗体(TgAb)を含有するプール血清」に変更
・「50ng/mLのTgを含有するプール血清」を「500ng/mLのTgを含有するプール血清」に変更
同一のプール血清を計20回測定し、20回の測定における平均発光量の標準偏差、及び、20回の測定における平均発光量の平均値を算出し、次いで、「標準偏差/平均値」の値を算出し、これを変動係数とした。
変動係数の値が少ないほど、測定の再現性が高いことを表し、好ましい。
Figure 0007431711000002
本発明の免疫測定用キット及び免疫測定方法は正確性及び感度に優れることから、放射免疫測定法、酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法及び化学発光免疫測定法等の臨床検査に幅広く適用できる。

Claims (5)

  1. 試料中の測定対象物質(G)の濃度を測定する免疫測定方法であって、
    測定対象物質と特異的に結合する物質(D)を固定化した固相担体(a1)と、測定対象物質(G)とを、一般式(1)で表される化合物(C)の含有量が3~10重量%である溶液中で反応させて、物質(D)と測定対象物質(G)との複合体(J1)を形成させる工程(1)、又は、
    標識物質(b)により標識された物質であって測定対象物質と特異的に結合する物質(F3)と、測定対象物質(G)とを、一般式(1)で表される化合物(C)の含有量が3~10重量%である溶液中で反応させて、物質(F3)と測定対象物質(G)との複合体(J2)を形成させる工程(2)を含む免疫測定方法。
    HO-[(AO)/(AO)]-H (1)
    [一般式(1)において、Aは、エチレン基であり;Aは、プロピレン基であり;xは250~800の整数であり;yは55~200の整数であり;[(AO)/(AO)]は、x個ある2価の基である(AO)単位及びy個ある2価の基である(AO)単位の結合順序が、任意であることを示す。]
  2. 一般式(1)で表される化合物(C)が、一般式(2)で表される化合物(C1)である請求項1に記載の免疫測定方法。
    HO-(AO)-(AO)-(AO)-H (2)
    [一般式(2)において、A及びAは、エチレン基であり;Aは、プロピレン基であり;p及びrは、それぞれ(p+r)の値が250~800の関係にある整数であり;qは55~200の整数である。]
  3. 前記固相担体(a1)が、磁性粒子である請求項1又は2に記載の免疫測定方法。
  4. 免疫測定用試薬として固相担体試薬(A)と、標識試薬(B)と、免疫測定用緩衝液(W)を含む免疫測定用キットであって、
    固相担体試薬(A)が、測定対象物質と特異的に結合する物質(D)を固定化した固相担体(a1)又は測定対象物質(G)若しくはその類似物質(G’)を固定化した固相担体(a2)を含有し、
    標識試薬(B)が、標識物質(b)により標識された測定対象物質(F1)、その類似物質(F2)又は標識物質(b)により標識された物質であって測定対象物質と特異的に結合する物質(F3)を含有し、
    免疫測定用緩衝液(W)が、一般式(1)で表される化合物(C)を含有する請求項1~3のいずれか1項に記載の免疫測定方法に用いられる免疫測定用キット。
  5. 更にルミノール発光試薬(E1)及び過酸化水素液(E2)を含有する化学発光試薬(E)を含み、標識試薬(B)中の標識物質(b)がペルオキシダーゼである請求項4に記載の免疫測定用キット。
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