次に、本開示を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。図1は、部品実装システム1の構成の概略を示す斜視図である。図2は、ヘッドユニット50の構成の概略を示す構成図である。図3は、部品実装システム1の電気的な接続関係を示すブロック図である。なお、本実施形態において、図1の左右方向がX軸方向であり、前後方向がY軸方向であり、上下方向がZ軸方向である。
部品実装システム1は、電子部品などの部品Pを基板Sに実装(装着)する実装処理を行う部品実装装置10と、システム全体を管理する管理装置110とを備える。
部品実装装置10は、図1に示すように、部品供給装置20と、基板搬送装置30と、移動装置40と、ヘッドユニット50と、パーツカメラ90と、マークカメラ92と、ノズルストッカ94と、制御装置100(図3参照)とを備える。部品供給装置20は、例えばテープに部品Pを所定間隔で収容したリール22を備えたテープフィーダであり、図示しないモータの駆動によりリール22からテープを引き出して部品Pを供給位置に供給する。基板搬送装置30は、例えば前後方向(Y軸方向)に間隔を空けて設けられ左右方向に架け渡された1対のコンベアベルト32を備え、図示しないモータの駆動によりコンベアベルトを32を駆動することにより基板Sを図1の左から右へと搬送する。移動装置40は、Y軸方向に沿って設けられたガイドレール46と、ガイドレール46に沿って移動するY軸スライダ48と、Y軸スライダ48にX軸方向に沿って設けられたガイドレール42と、ガイドレール42に沿って移動するX軸スライダ44とを備える。X軸スライダ44には、ヘッドユニット50が取り付けられている。移動装置40は、X軸スライダ44とY軸スライダ48とを移動させることにより、ヘッドユニット50をXY方向に移動させる。
ヘッドユニット50は、図2に示すように、ロータリヘッド54と、R軸アクチュエータ56と、Q軸アクチュエータ59(図3参照)と、Z軸アクチュエータ60と、側面カメラ70とを備える。
ロータリヘッド54は、複数のノズル80が同一円周上に複数取り付けられるものであり、回転軸と同軸の円周上にノズル80を保持するノズルホルダ52が所定角度間隔で複数配置されている。例えば、ロータリヘッド54は、ノズルホルダ52が30度間隔で配置されて計12個のノズル80が取り付けられるように構成されたり、ノズルホルダ52が45度間隔で配置されて計8個のノズル80が取り付けられるように構成されている。ノズルホルダ52は、Z軸方向に延伸された中空円筒部材として構成されている。このノズルホルダ52は、上端部52aにノズルホルダ52の軸部よりも大きな径の円柱状に形成されており、上端部52aよりも下方の所定位置に軸部よりも大きな径のフランジ部52bが形成されている。フランジ部52bの下方の円環面と、ロータリヘッド54の上面に形成された図示しない窪みとの間には、スプリング(コイルスプリング)55が配置されている。このため、スプリング55は、ロータリヘッド54の上面の窪みをスプリング受けとしてノズルホルダ52(フランジ部52b)を上方に付勢する。ロータリヘッド54の下面中央には、光を反射可能な円筒状の反射体54aが取り付けられている。
R軸アクチュエータ56は、ロータリヘッド54に接続される回転軸57と、回転軸57に接続された駆動モータ58とを備え、駆動モータ58の駆動により、ロータリヘッド54を回転させる。R軸アクチュエータ56は、駆動モータ58を所定角度(例えば30度や45度)ずつ駆動させることにより、ロータリヘッド54に取り付けられた各ノズル80を周方向に所定角度ずつ旋回移動させる。
Q軸アクチュエータ59は、図示は省略するが、各ノズルホルダ52の円筒外周に設けられたギヤに噛み合わされた駆動ギヤと、駆動ギヤの回転軸に接続された駆動モータとを備え、各ノズルホルダ52を軸回り(Q方向)に回転させる。これにより、各ノズルホルダ52に取り付けられている各ノズル80も、それぞれ軸回りに回転可能となる。
Z軸アクチュエータ60は、Z軸方向に延伸しボールネジナット62を移動させるネジ軸64と、ボールネジナット62に固定されたZ軸スライダ66と、ネジ軸64に接続された駆動モータ68とを備える送りネジ機構として構成されている。このZ軸アクチュエータ60は、駆動モータ68を回転駆動することにより、Z軸スライダ66をZ軸方向に移動させる。Z軸スライダ66には、ロータリヘッド54側に張り出して、実装位置を含む所定範囲に位置するノズルホルダ52の上端部52aに当接可能な略L字状のレバー部67が形成されている。このため、Z軸スライダ66のZ軸方向の移動に伴ってレバー部67がZ軸方向に移動すると、所定範囲内に位置するノズルホルダ52(ノズル80)をZ軸方向に移動させることができる。
側面カメラ70は、ヘッドユニット50の下部に設けられCCDやCMOS等の撮像素子72aを内蔵するカメラ本体72と、撮像素子72aに画像を結像させる光学系74とを備える。光学系74は、ロータリヘッド54の反射体54aに向けて光を発光するLEDなどの発光体が複数設けられている。光学系74は、その内部に、外部から入射した光を屈折させて撮像素子72aに導くミラーを備える。側面カメラ70は、ロータリヘッド54の複数のノズル配置位置のうち所定位置にあるノズル80やノズル80に吸着された部品Pの側面を撮像可能である。なお、側面カメラ70は、主に部品Pの高さ位置や傾きを検出するために、部品Pの下端部を撮像できればよく、視野範囲(撮像範囲)が狭いものとなっている。
パーツカメラ90は、図1に示すように、部品供給装置20と基板搬送装置30との間に配置されている。パーツカメラ90は、その上方が撮像範囲であり、ノズル80に保持(吸着)された部品Pなどの対象物を下方から撮像して撮像画像を生成する。
マークカメラ92は、X軸スライダ44の下面に設けられている。マークカメラ92は、対象物を上方から撮像して撮像画像を生成する。マークカメラ92の対象物としては、部品供給装置20のテープフィーダから供給された部品P、基板Sに付されたマーク、ノズルストッカ94内のノズル80のマーク(IDマークM)などが挙げられる。
ノズルストッカ94は、複数のノズル80を各収容部に収容可能に構成されている。ノズルストッカ94にストックされているノズル80は、ヘッドユニット50のノズルホルダ52に自動で交換可能である。また、作業者は、部品実装装置10の作動停止中に、ノズルストッカ94内にストックされているノズル80のうち、実装処理に不要な種類のノズル80を取り出し、実装処理に必要な種類のノズル80を収容することができる。
ここで、本実施形態のノズル80は、部品Pに接触する先端部材の交換が可能な交換式ノズル80Aと、交換が不能な非交換式ノズルとを有する。以下、交換式ノズル80Aの構成を説明する。図4は、交換式ノズル80Aの構成の概略を示す構成図である。なお、非交換式ノズルの説明は省略するが、先端部材を交換するための構成を除いて、交換式ノズル80Aと同様の構成となっている。
交換式ノズル80Aは、図4に示すように、ノズル本体81と、先端部材89とを備える。ノズル本体81は、スリーブ82と、パイプ83と、ピン84と、アダプタ85と、ボール86と、ホルダ87と、スプリング88と、を備える。なお、ノズル本体81には、上下方向に貫通し、内部にエアを通すエア通路81aが形成されている。エア通路81aは、図示しない圧力切替弁を介して真空ポンプに接続されている。
スリーブ82は、上側円筒部82aと、円盤部82bと、下側円筒部82cとを有する。上側円筒部82aは、ノズルホルダ52に取付可能な外径に形成されており、径方向に貫通し上下方向を長手方向とする一対の長穴82dが側面に形成されている。円盤部82bは、ノズルストッカ94の収容部よりも大きな外径に形成されると共に、外周縁に切欠C(図7参照)が形成されている。なお、ノズル80(交換式ノズル80A)は、収容部の縁に形成された突起に切欠Cが係合する所定向き(回転向き)で、収容部の縁に円盤部82bが支持される状態で、収容部に収容される。円盤部82bの上面には、ノズル80(交換式ノズル80A)の識別情報(ノズルID)を示すIDマークMが付されている。ノズルIDには、ノズル80の形状やサイズ、交換式ノズル80Aか非交換式ノズルのいずれであるかの情報などが含まれる。なお、ノズルID自体にこれらの情報を持たせてもよいし、ノズルIDに対してこれらの情報を紐付けておいてもよい。
パイプ83は、スリーブ82内を摺動可能な外径に形成され、径方向に貫通すると共にスリーブ82の長穴82d内を挿通するピン84が取り付けられている。このパイプ83は、ピン84が長穴82d内を移動可能な範囲で上下移動する。アダプタ85は、パイプ83の下端部に嵌め込まれた小径部85aと、パイプ83の外径と同径の大径部85bとを有する段付き円筒部材である。大径部85bには、径方向に貫通した貫通穴85cが形成され、この貫通穴85cにボール86が収容されている。ボール86は、大径部85bの径方向の厚みよりも大きな外径に形成されており、貫通穴85cに収容された状態で径方向の内外に露出する。アダプタ85は、パイプ83と一体的に上下移動する。
ホルダ87は、パイプ83とアダプタ85(大径部85b)とに摺動可能な内径の筒状部87aと、筒状部87aの下端部から外方に突出したフランジ部87bとを有する。筒状部87aの内周面にはボール86の露出部分が嵌まる窪みが形成されている。ホルダ87は、窪みに嵌まるボール86を内周面で押さえるボール押さえとして機能すると共にボール86を介してアダプタ85と連結されて一体的に上下移動する。スプリング88は、スリーブ82の円盤部82bの下面を上端のスプリング受けとして、下部円筒部81cを囲うように取り付けられたコイルスプリングである。また、スプリング88は、下端がホルダ87のフランジ部87bの上面に当接可能となっている。このため、パイプ83とアダプタ85とホルダ87とが一体的に上方に移動することにより、フランジ部87bがスプリング88を押し上げると、スプリング88は、フランジ部87bに対し下方への付勢力を付与する。これにより、スプリング88は、パイプ83とアダプタ85とホルダ87との上方への移動量を規制し、ボール86を保持するようにホルダ87を位置決めする。
先端部材89は、部品吸着時に先端面(下端面)が部品Pに接触する先端チップ89aと、先端チップ89aを保持してアダプタ85(大径部85b内)に取付可能とするアタッチメント89bとを組み合わせて構成されている。先端チップ89aは、例えば、水平方向の断面形状(端面形状)が矩形状や円形状などに形成されて、そのサイズが異なるなど、形状やサイズが異なる複数の種類がある。アタッチメント89bの外周面にはボール86の露出部分が嵌まる窪みが形成されている。先端部材89は、この窪みにボール86が嵌まることで、アダプタ85にロックされて脱落が防止される。作業者は、スプリング88の付勢力に抗してホルダ87を上方にずらしてボール86の押さえを解放することで、先端部材89のロックを解除して先端部材89を交換することができる。このように、先端部材89を交換可能とすることで、複数種類のノズル80を揃える場合に、ノズル全体を全数揃えなくてもよく、購入が必要となる部品数を少なくすることができるから、コストダウンを図ると共に納期を短縮することもできる。なお、交換式ノズル80Aの構成は、一例であり図4の構成に限られるものではない。
制御装置100は、図3に示すように、CPU101を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU101の他に、ROM102、HDD103、RAM104、入出力インタフェース105などを備える。これらは、バス106を介して接続されている。制御装置100は、側面カメラ70やパーツカメラ90、マークカメラ92からの画像信号などを入出力インタフェース105を介して入力する。なお、X軸スライダ44,Y軸スライダ48,Z軸アクチュエータ60,R軸アクチュエータ56およびQ軸アクチュエータ59には、それぞれ図示しない位置センサが装備されており、制御装置100はそれらの位置センサからの位置情報も入力する。また、制御装置100は、部品供給装置20や基板搬送装置30、X軸スライダ44を移動させるX軸アクチュエータ45、Y軸スライダ48を移動させるY軸アクチュエータ49、Z軸アクチュエータ60(駆動モータ68)、Q軸アクチュエータ59(駆動モータ)、R軸アクチュエータ56(駆動モータ58)への駆動信号などを入出力インタフェース105を介して出力する。
管理装置110は、例えば、汎用のコンピュータである。管理装置110は、図3に示すように、CPU111やROM112、基板Sの生産ジョブなどを記憶するHDD113、RAM114、入出力インタフェース115などを備える。これらは、バス116を介して接続されている。管理装置110は、マウスやキーボード等の入力デバイス117から入力信号が入出力インタフェース115を介して入力される。また、管理装置110は、ディスプレイ118への画像信号を入出力インタフェース115を介して出力する。ここで、基板Sの生産ジョブは、部品実装装置10においてどの部品Pをどの順番で基板Sへ実装するか、また、そのように部品Pを実装した基板Sを何枚作製するかなどを定めたデータである。この生産ジョブは、作業者により予め入力され、生産を開始する際に管理装置110から部品実装装置10へ送信される。
次に、こうして構成された部品実装システム1の部品実装装置10の動作について説明する。基板Sへの部品Pの実装処理では、制御装置100は、まず、基板搬送装置30により基板Sを所定位置まで搬入して保持させる。次に、制御装置100は、部品供給装置20により供給位置に部品Pを供給させ、移動装置40により供給位置の上方にヘッドユニット50を移動させてノズル80に部品Pを吸着させる。続いて、制御装置100は、移動装置40によりヘッドユニット50をパーツカメラ90の上方に移動させ、ノズル80に吸着させた部品をパーツカメラ90に撮像させる。制御装置100は、撮像された画像を処理して、部品Pの位置ずれが解消されるように当該部品Pの目標実装位置を補正してから、移動装置40によりヘッドユニット50を基板Sの上方へ移動させて部品Pを目標実装位置に実装させる。制御装置100は、必要な部品Pの実装が終了すると、基板搬送装置30により基板Sの保持を解除して機外へ搬出させる。制御装置100は、このような実装処理を、管理装置110から送信される生産ジョブに基づいて行う。また、制御装置100は、生産ジョブに基づいて、実装処理を行う前に、実装対象の部品の種類に応じた種類のノズル80をヘッドユニット50に取り付け、取り付けたノズル80のサイズなどを確認する。以下、交換式ノズル80Aのサイズの検出処理について説明する。図5は、ノズルサイズ検出処理の一例を示すフローチャートであり、制御装置100のCPU101により実行される。
ノズルサイズ検出処理では、制御装置100のCPU101は、まず、ヘッドユニット50(ロータリヘッド54)に新たなノズル80が取り付けられたか否かを判定する(S100)。なお、ノズル80の取り付けは、生産ジョブに基づいて、実装処理に不要な種類のノズル80をノズルストッカ94に収容してから、ノズルストッカ94に収容されているノズル80のうち実装処理に必要な種類のノズル80をノズルホルダ52に取り付けることにより行われる。また、制御装置100は、ノズル80をノズルストッカ94から取り出す前に、マークカメラ92でIDマークMを撮像して認識することにより、ノズルIDを取得することができる。このため、CPU101は、実装処理で使用すべきノズル80のサイズや形状などの種類をノズルIDから確認した上で、必要なノズル80をノズルホルダ52に取り付けることができる。
次にCPU101は、新たに取り付けたノズル80のノズルIDから、ノズル80の形状やサイズ、交換式ノズル80Aか否かなどの情報を取得し(S110)、新たに取り付けたノズル80が交換式ノズル80Aであるか否かを判定する(S120)。CPU101は、交換式ノズル80Aでなく非交換式ノズルであると判定すると、そのまま本処理を終了する。非交換式ノズルの場合、取り付け前のIDマークMの認識で取得したノズルIDから、ノズル80の形状やサイズを確認した上でノズルホルダ52に取り付けるから、取り付けた後に改めてサイズを検出する必要はない。一方、作業者が先端部材89を交換可能な交換式ノズル80Aでは、ノズルIDから取得される形状やサイズと先端部材89(先端チップ89a)の形状やサイズが異なっている場合がある。その場合、部品Pの吸着ミスなどの不良につながるため、サイズを確認することが求められる。本実施形態では、S120で交換式ノズル80Aであると判定すると、側面カメラ70で撮像された側面画像(側方画像)によるサイズ検出を行う(S130)。
図6は、側面画像によるサイズ検出の一例を示すフローチャートである。この処理では、CPU101は、まず、検出対象のノズル80(交換式ノズル80A)の先端部材89(先端チップ89a)の水平方向における断面形状が矩形状であるか否かを判定する(S200)。CPU101は、矩形状であると判定すると、さらに、S110で取得したサイズの情報から、矩形の一辺とそれに直交する他辺のそれぞれの長さの情報を取得する(S210)。次に、側面のうち一辺に沿った方向の両端部(一辺の両端部)をそれぞれ側面カメラ70の視野範囲に入れて撮像するためのR軸アクチュエータ56の旋回量Rθ(旋回角度)とQ軸アクチュエータ59の回転量Qθ(回転角度)とを設定し(S220)、設定した旋回量Rθと回転量Qθでロータリヘッド54(ノズルホルダ52を含む)を駆動し側面カメラ70で先端部材89の一辺の両端部をそれぞれ撮像する(S230)。
図7,図8は、側面画像によるサイズ検出の様子を示す説明図である。図7,図8では、交換式ノズル80Aが取り付けられたロータリヘッド54を下方から見た様子を示し、黒塗りの矩形状の範囲が側面カメラ70の水平方向の視野範囲(撮像範囲)である。図示するように、視野範囲は、交換式ノズル80Aの矩形状の先端部材89よりも狭い一定の範囲である。ここで、ノズル80(交換式ノズル80A)は、切欠Cが所定向きとなるようにノズルストッカ94に収容されており、その所定向きでノズルホルダ52に取り付けられるから、取り付け時の向きが一定の向きとなる。また、切欠Cの位置に対し、矩形状の先端部材89の側面の向き(一辺と他辺の向き)も定まり、各辺の長さ情報から各辺の両端部の位置も定まることになる。このため、CPU101は、一辺を含む側面が視野範囲に正対し且つ一端部が視野範囲に入るように、周方向の旋回量Rθと軸回りの回転量Qθとを設定することができる。その旋回量Rθと回転量Qθでロータリヘッド54を駆動することにより、図8に示すように、一辺(例えば矩形の短辺)を含む側面が視野範囲に正対してその一端部を側面カメラ70の視野範囲に入れることができる。これにより、側面カメラ70で、先端部材89の一辺の一端部を含む側面画像を撮像することができる。なお、一辺の他端部など他の端部を撮像する場合も同様である。こうして、側面カメラ70で側面画像を撮像すると、CPU101は、撮像した画像を処理して一辺の両端部の位置を認識し、検出した両端部の位置から一辺の長さを演算する(S240)。
同様に、CPU101は、側面のうち他辺に沿った方向の両端部(他辺の両端部)をそれぞれ撮像するための旋回量Rθと回転量Qθとを設定し(S250)、設定した旋回量Rθと回転量Qθでロータリヘッド54を駆動し側面カメラ70で他辺の両端部をそれぞれ撮像する(S260)。CPU101は、画像を撮像すると、撮像した画像を処理して他辺の両端部の位置を認識し、他辺の長さを演算する(S270)。即ち、CPU101は、矩形状の先端部材89のサイズとして、矩形の一辺とそれに直交する他辺との二辺の長さを検出する。こうして各辺(二辺)の長さを検出すると、CPU101は、検出した各辺の長さと、S210で取得した各辺の長さとが一致するか否かに基づいて、先端部材89のサイズの適否を確認して(S280)、本処理を終了する。S280では、先端部材89のサイズを確認することで、形状も含めて種類を確認することができる。
一方、CPU101は、S200で先端部材89が矩形状でないと判定すると、S110で取得したサイズの情報から、円形状の先端部材89(先端チップ89a)の外径(ノズル直径)の情報を取得する(S290)。次に、CPU101は、先端部材89の側面の端部(水平方向における外径端)を撮像するための旋回量Rθと回転量Qθとを設定する(S300)。続いて、CPU101は、設定した旋回量Rθと回転量Qθとでロータリヘッド54を駆動し側面カメラ70で側面の端部を撮像する(S310)。なお、円形状の場合、旋回量Rθだけを設定すれば側面の端部を撮像することはできるが、サイズの近い矩形状の先端部材89との誤認を防止するため、一周分を撮像する回転量Qθなど複数箇所を撮像するための回転量Qθを設定し、複数の回転角度で側面画像を撮像する。
CPU101は、画像を撮像すると、撮像した画像を処理して端部の位置を認識し、認識した位置から外径を演算する(S320)。即ち、CPU101は、円形状の先端部材89のサイズとして、外径を検出する。そして、CPU101は、検出した外径と、S290で取得した外径の情報とが一致するか否かに基づいて、先端部材89のサイズの適否を確認して(S280)、本処理を終了する。なお、矩形状以外の形状として真円の円形状を例示したが、これに限られず、楕円形状などの他の形状であってもよい。楕円形状の場合、例えばCPU101は、楕円の長軸の外径である長径と短軸の外径である短径の情報を取得し、長軸の両端部と短軸の両端部をそれぞれ撮像するための旋回量Rθと回転量QθとをS220,S250と同様に設定すればよい。そして、CPU101は、側面カメラ70で各端部の側面画像を撮像し、長径と短径をそれぞれ演算して、先端部材89のサイズの適否を確認すればよい。
CPU101は、こうしてノズルサイズ検出処理のS130のサイズ検出を行うと、上述したS280でサイズが適していないと確認されたサイズエラーがあるか否かを判定する(S140)。CPU101は、サイズエラーがあると判定すると、先端部材89のサイズエラーを報知して(S150)、ノズルサイズ検出処理を終了する。これにより、作業者に先端部材89の交換を促して適切なノズル80を使用して実装処理を行うことができるから、部品Pの吸着ミスなどの不良が発生するのを防止することができる。一方、CPU101は、サイズエラーがないと判定すると、エラーを報知することなく、ノズルサイズ検出処理を終了する。
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のロータリヘッド54がヘッド(ロータリヘッド)に相当し、側面カメラ70がカメラ(側面カメラ)に相当し、IDマークMを撮像するマークカメラ92とノズルサイズ検出処理のS110,S120を実行する制御装置100が判定処理部に相当し、ノズルサイズ検出処理のS130を実行する制御装置100が検出処理部に相当する。本実施形態では、部品実装装置10の動作を説明することによりノズルサイズ検出方法の一例も明らかにしている。
以上説明した実施形態の部品実装装置10は、側面カメラ70で撮像された側面画像を処理して交換式ノズル80Aの先端部材89のサイズの検出処理を行う。これにより、先端部材89のサイズ違いによる部品Pの吸着不良などが生じるのを防止することができる。また、交換式ノズル80Aが取り付けられた場合にサイズの検出処理を行うから、必要以上に処理時間がかかるのを抑制することができる。
また、側面カメラ70の視野範囲が先端部材89の側面のサイズ(幅)より狭くても、先端部材89のサイズ情報に基づいて側面の端部が視野範囲内に入るように交換式ノズル80Aを移動(旋回、回転)させることで検出用の画像を適切に撮像することができる。
また、部品実装装置10は、交換式ノズル80Aのサイズの情報から旋回量Rθと回転量Qθとを交換式ノズル80Aの移動量に設定しロータリヘッド54を駆動して側面画像を撮像する。このため、比較的簡易な処理で側面カメラ70の視野範囲内に先端部材89の側面の端部を確実に入れることができる。
また、交換式ノズル80Aが矩形状の場合、一辺の両端部を認識して一辺の長さを演算すると共に他辺の両端部を認識して他辺の長さを演算するから、二辺の長さに基づいてサイズをより確実に検出することができ、誤検出を防止することができる。
また、部品実装装置10は、ノズル本体81に付されたIDマークMから交換式ノズル80Aと判定した場合に検出処理を行い、非交換式ノズルであると判定した場合に検出処理を省略する。交換式ノズル80Aは、ノズル本体81のIDからだけでは、先端部材89の形状やサイズが不明確であり間違いを検出できないから本開示を適用する意義が高い。また、非交換式ノズルの場合には検出処理を省略することで、必要以上に処理時間がかかるのを確実に防止することができる。
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、ノズル本体81にIDマークMが付されていたが、ノズル本体81だけでなく先端部材89にも、先端部材89のIDマークが付されていてもよい。ただし、この先端部材89のIDマークは、ノズル取り付け前にマークカメラ92などで撮像することができないために、ノズル検出処理を行うものとしてもよい。
上述した実施形態では、矩形状の先端部材89では二辺の長さに基づいてサイズを検出したが、これに限られるものではない。例えば、側面画像から、先端部材89の側面の端部が正しい位置に検出されない場合に、サイズ情報と異なる先端部材89であると判定してもよい。即ち、画像から検出した端部の位置が、サイズ情報に基づく正しい位置と異なる場合には、サイズエラーと判定してもよい。このようにすれば、検出処理をさらに容易に行うことができる。
上述した実施形態では、ノズルの先端部材が矩形状か円形状かで異なる処理を行ったが、これに限られず、形状に拘わらず同じ処理を行ってもよく、常に二方向の両端部を検出してサイズを確認するものなどとしてもよい。
上述した実施形態では、交換式ノズル80Aの移動量として、周方向の旋回量Rθと軸回りの回転量Qθとを例示したが、これに限られず、交換式ノズル80Aと側面カメラ70との相対的な移動量であればよい。また、ロータリヘッド54を例示したが、1のノズルのみが取り付けられるシングルヘッドなどとしてもよい。その場合、交換式ノズル80Aの相対的な移動量として回転量Qθのみを設定すればよい。また、側面カメラ70がヘッドユニット50に取り付けられるものに限られず、ヘッドユニット50とは別に部品実装装置10内に取り付けられていてもよい。また、交換式ノズル80Aと側面カメラ70との相対的な移動量は、回転方向の移動量(回転角度)に限られず、直線方向の移動量などとしてもよく、移動装置40による移動量を設定するものなどとしてもよい。
上述した実施形態では、側面カメラ70の視野範囲が先端部材89(先端チップ89a)のサイズより狭いものを例示したが、これに限られず、視野範囲が先端部材89のサイズより広いものなどでもよい。この場合も、交換式ノズル80Aの移動量として、少なくとも回転量Qθを設定して二方向を撮像するものなどとすればよい。
上述した実施形態では、ノズル本体81に付されたIDマークMから交換式ノズル80Aと判定した場合に検出処理を行ったが、これに限られるものではない。例えば、ノズルストッカ94の複数の収容部のうち、交換式ノズル80A用の収容部を定めておき、その収容部からノズル80が取り付けられた場合に、交換式ノズル80Aが取り付けられたと判定して検出処理を行うものなどとしてもよい。
上述した実施形態では、側面カメラ70で撮像した側面画像に基づいてサイズ検出処理を行ったが、これに限られず、他のカメラで撮像した画像に基づいてサイズ検出処理を行ってもよい。図9は、変形例のノズルサイズ検出処理を示すフローチャートである。変形例では、実施形態と同じ処理には同じステップ番号を付して詳細な説明を省略する。この変形例では、CPU101は、S120で交換式ノズル80Aであると判定すると、移動装置40を制御してヘッドユニット50をパーツカメラ90上に移動させ(S125)、パーツカメラ90で交換式ノズル80Aの下面を撮像した下面画像(下方画像)によるサイズ検出を行う(S130a)。即ち、この変形例では、側面画像に代えて、パーツカメラ90で撮像した下面画像を用いて、サイズ検出を行うのである。なお、サイズ検出の詳細は省略するが、実施形態と同様に行うことができる。また、部品Pを撮像するパーツカメラ90の視野範囲は、側面カメラ70よりも広く、交換式ノズル80Aの先端部材89の下端面全体が画像内に含まれる場合がある。その場合、CPU101は、下面画像から矩形状の領域や円形状の領域を抽出して先端部材89の辺の長さや外径を認識し、ノズルサイズの情報と照合することでサイズ検出を行うものとすればよい。このように、側面カメラ70ではなくパーツカメラ90などの他のカメラで撮像された画像を用いても、交換式ノズル80Aのサイズ検出を適切に行うことができる。なお、このような変形例に対し、上述した実施形態では、交換式ノズル80Aが取り付けられた際に、ヘッドユニット50を別の場所(パーツカメラ90上の位置など)に移動させることなく、速やかに画像を撮像して検出処理を行うことができるという効果がある。
ここで、本開示の部品実装装置は、以下のように構成してもよい。例えば、本開示の部品実装装置において、前記カメラは、前記先端部材を側方から撮像可能であって前記先端部材の水平方向のサイズよりも水平方向の視野範囲の狭い側面カメラであり、前記ヘッドには、前記側面カメラと前記ノズルとが水平方向に相対移動可能に取り付けられており、前記検出処理部は、実装対象の部品の種類に応じた前記先端部材のサイズ情報を取得し、該取得したサイズ情報に基づいて、前記先端部材の側面の端部が前記視野範囲内に入るように前記側面カメラと前記ノズルとの相対移動を伴って前記側面カメラに撮像させた画像を処理して、前記先端部材の前記端部を認識して前記検出処理を行うものとしてもよい。こうすれば、ヘッドにノズルが取り付けられた際に、ヘッドを移動させなくても側面カメラでノズルの先端部材を速やかに撮像して検出処理を行うことができる。また、水平方向の視野範囲の狭い側面カメラであっても、先端部材のサイズ情報から側面カメラとノズルとの相対移動を伴って画像を撮像させることで、先端部材の側面の端部を適切に撮像することができる。さらに、先端部材の側面の端部が画像から検出されなければ、サイズ情報と異なる先端部材であることが判明するから、検出処理を容易に行うことができる。
本開示の部品実装装置において、前記ヘッドは、複数の前記ノズルが同一円周上に配置されるように取り付けられ、複数の前記ノズルが周方向に旋回可能であると共に前記ノズルがそれぞれの軸回りに回転可能に構成されたロータリヘッドであり、前記検出処理部は、前記先端部材の前記端部が前記視野範囲内に入るように前記相対移動量として前記周方向の旋回量と前記軸回りの回転量とを設定し、該設定した旋回量と回転量とに基づいて前記ロータリヘッドを制御して前記側面カメラに撮像させた画像を処理して、前記検出処理を行うものとしてもよい。こうすれば、ノズルがロータリヘッドに取り付けられるものにおいて、旋回量と回転量とを設定することで、カメラの視野範囲内に先端部材の側面の端部を確実に入るようにして画像を撮像することができるから、先端部材のサイズをより適切に検出することができる。
本開示の部品実装装置において、前記ノズルの先端部材は、水平方向の断面の外形が矩形状であり、前記検出処理部は、前記検出処理において、前記先端部材の側面のうち前記断面の一辺に沿った方向の両端部を認識して前記一辺の長さを演算すると共に前記一辺に直交する他辺に沿った方向の両端部を認識して前記他辺の長さを演算するものとしてもよい。こうすれば、断面の外形が矩形状の先端部材において、二辺の長さに基づいてサイズをより確実に検出することができる。
本開示の部品実装装置において、前記先端部材が取り付けられるノズル本体に該ノズルの種類を示す識別情報が付されており、前記判定処理部は、前記識別情報を認識することにより、前記判定処理を行い、前記検出処理部は、前記判定処理で前記交換式ノズルであると判定された場合に前記検出処理を行い、前記判定処理で前記交換式ノズルでないと判定された場合に前記検出処理を省略するものとしてもよい。このようなノズルは、先端部材のサイズが不明確となりやすいから本開示を適用する意義が高い。また、交換式ノズルでない場合には検出処理を省略するから、必要以上に処理時間がかかるのを確実に防止することができる。
本開示のノズルサイズ検出方法は、部品の種類に応じて部品実装装置のヘッドに交換可能に取り付けられるノズルのノズルサイズ検出方法であって、(a)前記ヘッドに取り付けられた前記ノズルが、部品に接する先端部材を異なるサイズに交換可能な交換式ノズルであるか否かの判定処理を行うステップと、(b)前記判定処理で前記交換式ノズルであると判定された場合、前記ノズルの前記先端部材をカメラに撮像させるステップと、(c)前記撮像された画像を処理して前記先端部材のサイズの検出処理を行うステップと、を含むことを要旨とする。本開示のノズルサイズ検出方法は、本開示の部品実装装置と同様に、交換式ノズルにおいて、先端部材のサイズを適切に検出することができる。このノズルサイズ検出方法において、上述した部品実装装置のいずれかの機能を実現するステップを追加してもよい。