次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、部品実装システム1の構成の概略を示す構成図である。図2は、ヘッドユニット60の構成の概略を示す構成図であり、図3は、ロータリヘッド64および側面カメラ80の構成の概略を示す構成図であり、図4は、側面カメラ80の光学系84の構成の概略を示す構成図であり、図5は、制御装置100と管理装置110との電気的な接続関係を示すブロック図である。
部品実装システム1は、電子部品(以下、「部品」という)Pを回路基板(以下、「基板」という)Sに実装(装着)する部品実装機10と、システム全体の管理を行う管理装置110とを備える。なお、本実施例において、図1の左右方向がX軸方向であり、前後方向がY軸方向であり、上下方向がZ軸方向である。
部品実装機10は、図1に示すように、部品Pを収容したリールやトレイを備える部品供給装置20と、基板Sを搬送する基板搬送装置30と、搬送された基板Sをバックアップするバックアップ装置40と、部品Pを吸着ノズル61で吸着して基板Sに実装するヘッドユニット60と、ヘッドユニット60をXY方向に移動させるXYロボット50と、実装機全体を制御する制御装置100(図5参照)とを備える。基板搬送装置30とバックアップ装置40とXYロボット50とヘッドユニット60とは、筐体12内に収容されている。また、部品実装機10は、これらの他に、吸着ノズル61に吸着させた部品Pの吸着姿勢を下方から撮像するためのパーツカメラ90や、基板Sに付された基板位置決め基準マークを上方から撮像するためのマークカメラ92、実装する部品Pのサイズに合わせて交換するための複数種類の吸着ノズル61をストックするノズルストッカ94なども備えている。
部品供給装置20は、図1に示すように、筐体12の前側に着脱可能に取り付けられたテープフィーダ22を備える。テープフィーダ22は、部品Pが所定間隔で収容されているテープが巻回されたリール22aを備えており、図示しない駆動モータを駆動してリール22aからテープを引き出すことにより部品Pを部品供給位置まで送り出す。
基板搬送装置30は、図1に示すように、ベルトコンベア装置32を備えており、ベルトコンベア装置32の駆動により基板Sを図1の左から右(基板搬送方向)へと搬送する。基板搬送装置30の基板搬送方向(X軸方向)中央部には、搬送された基板Sを裏面側からバックアップするバックアップ装置40が設けられている。
XYロボット50は、図1に示すように、装置上部にY軸方向に沿って設けられたガイドレール56と、ガイドレール56に沿って移動が可能なY軸スライダ58と、Y軸スライダ58の側面にX軸方向に沿って設けられたガイドレール52と、ガイドレール52に沿って移動が可能でヘッドユニット60が取り付けられたX軸スライダ54とを備える。
ヘッドユニット60には、図2に示すように、吸着ノズル61を保持する複数のノズルホルダ62が回転軸と同軸の円周上に所定角度間隔(例えば30度)で配置されたロータリヘッド64と、ロータリヘッド64を回転させるR軸アクチュエータ66と、ノズルホルダ62をZ軸方向に移動させるZ軸アクチュエータ70と、吸着ノズル61および吸着ノズル61に吸着された部品Pの側面と基板Sの表面とを撮像可能な側面カメラ80とを備える。
ノズルホルダ62は、Z軸方向に延伸された中空円筒部材として構成されている。ノズルホルダ62の上端部62aは、ノズルホルダ62の軸部よりも大きな径の円柱状に形成されている。また、ノズルホルダ62は、上端部62aよりも下方の所定位置に、軸部よりも大きな径のフランジ部62bが形成されている。このフランジ部62bの下方の円環面と、ロータリヘッド64の上面に形成された図示しない窪みとの間には、スプリング(コイルスプリング)65が配置されている。このため、スプリング65は、ロータリヘッド64の上面の窪みをスプリング受けとして、ノズルホルダ62(フランジ部62b)を上方に付勢する。
ロータリヘッド64は、図3に示すように、周方向に配置されたノズルホルダ62(図2参照)に複数(例えば12個)の吸着ノズル61が装着されている。また、ロータリヘッド64の下面中央には、光を反射可能な円筒状の反射体64aが取り付けられている。なお、本実施例のロータリヘッド64は、その内部に、各ノズルホルダ62を個別に回転させるQ軸アクチュエータ69(図5参照)を備えている。このQ軸アクチュエータ69は、図示は省略するが、ノズルホルダ62の円筒外周に設けられたギヤに噛み合わされた駆動ギヤと、駆動ギヤの回転軸に接続された駆動モータとを備える。このため、本実施例では、複数のノズルホルダ62が、軸回り(Q方向)にそれぞれ個別に回転可能となり、これに伴って各吸着ノズル61もそれぞれ個別に回転可能となる。
R軸アクチュエータ66は、図2に示すように、ロータリヘッド64に接続される回転軸67と、回転軸67に接続された駆動モータ68を備えている。このR軸アクチュエータ66は、駆動モータ68を所定角度(例えば30度)ずつ間欠的に駆動させることにより、ロータリヘッド64を所定角度ずつ間欠回転させる。これにより、ロータリヘッド64に配置された各吸着ノズル61は周方向に所定角度ずつ旋回移動する。ここで、吸着ノズル61は、移動可能な複数の位置のうち図3中の12時の位置にあるときに、部品供給装置20から部品供給位置に供給される部品Pを吸着すると共に基板Sへの部品Pの実装を行う。このため、この12時の位置を、実装位置A0という。また、図3中の11時の位置は、吸着ノズル61が周方向(図中矢印方向)に移動する際に実装位置A0の一つ前(直前)の位置であるため、実装直前位置A1といい、図3中の1時の位置は、吸着ノズル61が周方向(図中矢印方向)に移動する際に実装位置A0の一つ後(直後)の位置であるため、実装直後位置A2という。
Z軸アクチュエータ70は、図2に示すように、Z軸方向に延伸されボールネジナット72を移動させるネジ軸74と、ボールネジナット72に取り付けられたZ軸スライダ76と、回転軸がネジ軸74に接続された駆動モータ78とを備える送りネジ機構として構成されている。このZ軸アクチュエータ70は、駆動モータ78を回転駆動することにより、Z軸スライダ76をZ軸方向に移動させる。Z軸スライダ76には、ロータリヘッド64側に張り出した略L字状のレバー部77が形成されている。レバー部77は、実装位置P0を含む所定範囲に位置するノズルホルダ62の上端部62aに当接可能となっている。このため、Z軸スライダ76のZ軸方向の移動に伴ってレバー部77がZ軸方向に移動すると、所定範囲内に位置するノズルホルダ62(吸着ノズル61)をZ軸方向に移動させることができる。
側面カメラ80は、図3および図4に示すように、ヘッドユニット60の下部に設けられCCDやCMOS等の撮像素子82aを内蔵するカメラ本体82と、撮像素子82aに画像を結像させる光学系84とを備える。光学系84は、ノズルヘッド64側に左入射口86a、右入射口86b、上入射口86cの3つの入射口が形成され、カメラ本体82側にカメラ接続口86dが形成されている。なお、上入射口86cは実装位置A0にある吸着ノズル51の基端部に対向する位置に形成され、左入射口86aは実装直前位置A1にある吸着ノズル51の先端部に対向する位置に形成され、右入射口86bは実装直後位置A2にある吸着ノズル51の先端部に対向する位置に形成されている。また、光学系84は、ノズルヘッド64側の外周面に、ロータリヘッド64の反射体64aに向けて光を発光するLEDなどの発光体87が複数設けられている。光学系84は、その内部に、各入射口86a,86b,86cからそれぞれ入射した光を屈折させて撮像素子82aに導く複数のミラー(左ミラー88a,右ミラー88b,中ミラー88c,上ミラー88d,奥ミラー88e,88f)を備える。左ミラー88aは、左入射口86aに配置され、左入射口86aから入射される光を中ミラー88cへ屈折させ、右ミラー88cは、右入射口86bに配置され、右入射口86bから入射される光を中ミラー88cへ屈折させる。また、中ミラー88cは、左ミラー88aと右ミラー88bとの間に配置され、左ミラー88aからの光を奥ミラー88eの左下領域へ屈折させると共に右ミラー88bからの光を奥ミラー88eの右下領域へ屈折させる。また、上ミラー88dは、上入射口86cに配置され、基板Sに対して略45度の方向から入射される光を奥ミラー88eの中領域へ屈折させる。また、上入射口86cは、奥ミラー88eの上ミラー88dからの光を受ける領域よりも上の領域が開放されており、上ミラー88dの上部から入射される光が奥ミラー88eの上領域へ直接届くようになっている。奥ミラー88e,88fは、奥ミラー88eに入射される光を平行移動させて撮像素子82aへ向かうように屈折させる。以上から、実装直前位置A1にある吸着ノズル61の方向からの光は、左入射口86aに入射し、左ミラー88a,中ミラー88cおよび奥ミラー88e,88f(第1の光学系)により屈折されて撮像素子82aの第1領域Aに到達する。実装直後位置A2にある吸着ノズル61の方向からの光は、右入射口86bに入射し、右ミラー88b,中ミラー88cおよび奥ミラー88e,88f(第1の光学系)により屈折されて撮像素子82aの第1領域Bに到達する。吸着ノズル61の下方の斜め45度の方向からの光は、上ミラー88dおよび奥ミラー88e,88f(第2の光学系)により屈折されて撮像素子82aの第2領域に到達する。実装位置A0にある吸着ノズル61の方向からの光は、上入射口86cに入射して直接奥ミラー88eに届き、奥ミラー88e,88f(第3の光学系)により屈折されて撮像素子82aの第3領域に到達する。これにより、撮像素子82aは、それぞれ異なる方向からの画像を異なる領域で結像する。
このようにして、側面カメラ80は、1回の撮像動作で、実装位置A0にある吸着ノズル61(ノズル撮像エリア)と、実装直前位置A1にある吸着ノズル61(実装直前撮像エリア)と、実装直後位置A2にある吸着ノズル61(実装直後撮像エリア)とを撮像して、それぞれの撮像画像を取得することができる。また、実装位置A0にある吸着ノズル61が基板S上に位置している状態で側面カメラ80を撮像すると、上述の3つの撮像画像に加えて、基板Sの表面(基板撮像エリア)の撮像画像も取得することができる。図6は、側面カメラ80の撮像により取得される画像の一例である。図6は、吸着ノズル61が部品Pを基板S上に実装した直後の実装直後位置A2における吸着ノズル61の先端部の側面画像(以下、実装直後画像という)と、吸着ノズル61が部品Pを実装する直前の実装直前位置A1における吸着ノズル61の先端部の側面画像(以下、実装直前画像という)と、実装位置A0における吸着ノズル61の基端部の側面画像(以下、ノズル画像という)と、基板Sの画像(以下、基板画像という)とを示す。
制御装置100は、図5に示すように、CPU101を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU101の他に、ROM102、HDD103、RAM104、入出力インタフェース105などを備える。これらは、バス106を介して接続されている。制御装置100は、側面カメラ80やパーツカメラ90、マークカメラ92からの画像信号などを入出力インタフェース105を介して入力する。なお、X軸スライダ54,Y軸スライダ58,Z軸アクチュエータ70,Q軸アクチュエータ69およびR軸アクチュエータ66には、それぞれ図示しない位置センサが装備されており、制御装置100はそれらの位置センサからの位置情報も入力する。また、制御装置100は、部品供給装置20や基板搬送装置30、バックアップ装置40、X軸スライダ54を移動させるX軸アクチュエータ55、Y軸スライダ58を移動させるY軸アクチュエータ59、Z軸アクチュエータ70(駆動モータ78)、Q軸アクチュエータ69(駆動モータ)、R軸アクチュエータ66(駆動モータ68)、図示しない真空ポンプと吸着ノズル61との連通と遮断とを行う電磁弁79への駆動信号などを入出力インタフェース105を介して出力する。
管理装置110は、例えば、汎用のコンピュータである。管理装置110は、図5に示すように、CPU111やROM112、基板の生産データなどを記憶するHDD113、RAM114、入出力インターフェース115などを備える。これらは、バス116を介して接続されている。管理装置110は、マウスやキーボード等の入力デバイス117から入力信号が入出力インターフェース115を介して入力される。また、管理装置110は、ディスプレイ118への画像信号を入出力インターフェース115を介して出力する。ここで、基板の生産データは、部品実装機10においてどの部品Pをどの順番で基板へ実装するか、また、そのように部品Pを実装した基板Sを何枚作製するかなどを定めたデータである。この生産データは、作業者により予め入力され、生産を開始する際に管理装置110から部品実装機10へ送信される。
次に、こうして構成された部品実装機10の動作についての詳細を説明する。図7は、制御装置100のCPU101により実行される部品実装処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、管理装置110から生産データを受信し、生産開始が指示されたときに実行される。
部品実装処理では、制御装置100のCPU101は、まず、基板搬送装置30を制御して基板Sを搬送する基板搬送処理を行う(S100)。続いて、CPU101は、ロータリヘッド64の実装位置A0が部品供給装置20の部品供給位置に移動するようX軸アクチュエータ55およびY軸アクチュエータ59を制御し(S110)、実装直前位置A1にある吸着ノズル61を実装位置A0に旋回移動させながら、その吸着ノズル61を下降するようR軸アクチュエータ66およびZ軸アクチュエータ70を制御し、吸着ノズル61に負圧を作用させて吸着ノズル61に部品Pを吸着するよう電磁弁79を制御する吸着動作を行う(S120)。CPU101は、吸着動作を行うと、次に吸着する部品Pがあるか否かを判定する(S130)。そして、CPU101は、次に吸着する部品Pがあると判定すると、S120に戻って吸着動作を繰り返し、次に吸着する部品Pがないと判定すると、次のS140の処理に進む。
次に、CPU101は、基板Sの実装位置の真上にロータリヘッド64の実装位置A0が移動するようX軸アクチュエータ55およびY軸アクチュエータ59を制御して、基板S上にヘッドユニット60を移動させる(S140)。なお、ヘッドユニット60の移動はパーツカメラ90の上方を経由して行われる。ヘッドユニット60がパーツカメラ90の上方を通過する際には、パーツカメラ90により吸着ノズル61に吸着されている部品Pを撮像し、得られた画像に基づいて吸着ノズル61に対する部品Pの位置ずれ量を検出する。
ヘッドユニット60が実装位置に移動すると、CPU101は、部品Pを基板Sに実装する実装動作を実行し(S150)、実装動作が正常に行われたか否かを確認する実装確認処理を行う(S160)。そして、CPU101は、次に実装する部品Pがあるか否かを判定し(S170)、次に実装する部品Pがあると判定すると、S150に戻って実装動作と実装確認処理を繰り返し、次に実装する部品Pがないと判定すると、部品実装処理を終了する。
S150の実装動作は、図8の実装動作実行処理を実行することにより行われる。図8の実装動作実行処理では、CPU101は、実装直前位置A1にある吸着ノズル61を実装位置A0に旋回移動させながら、その吸着ノズル61を下降するようR軸アクチュエータ66およびZ軸アクチュエータ70を制御し(S200)、吸着ノズル61に吸着されている部品Pが基板S上に接触するのを待つ(S210)。なお、S210の判定は、例えば、Z軸アクチュエータ70に装着されている位置センサからの検出値に基づいて行うことができる。CPU101は、部品Pが基板Sに接触したと判定すると、側面カメラ80による撮像を行い(S220)、吸着ノズル61に正圧を作用させて部品Pを基板S上に実装するよう電磁弁79を制御する(S230)。ここで、側面カメラ80の撮像により得られる画像には、実装位置A0での吸着ノズル61の側面画像(ノズル画像)と、実装直前位置A1での吸着ノズル61の側面画像(実装直前画像)と、実装直後位置A2での吸着ノズル61の側面画像(実装直後画像)と、基板Sの実装位置の表面画像(基板画像)とが含まれる。その後、CPU101は、吸着ノズル61を上昇するようZ軸アクチュエータ70を制御し(S240)、吸着ノズル61がZ軸方向に所定量(例えば、1mm)だけ上昇するのを待つ(S250)。ここで、S240の処理では、吸着ノズル61をZ軸方向にのみ移動させ、X軸,Y軸およびR軸の方向には移動させない。また、S250の判定は、例えば、Z軸アクチュエータ70に装着されている位置センサからの検出値に基づいて行うことができる。吸着ノズル61のZ軸が所定量だけ上昇すると、CPU101は、側面カメラ80による撮像を行って(S260)、実装動作実行処理を終了する。尚、CPU101は、側面カメラ80による撮像を行った後、後述する実装確認処理を実行し、実装確認処理にて実装エラーが生じていないことを確認すると、次の部品Pの実装動作を行うために、X軸,Y軸およびR軸の方向の移動を開始する。
図9は、実施例の側面カメラ80の撮像タイミングを説明する説明図であり、図10は、図9の撮像タイミングでの吸着ノズル61および基板Sの様子を示す説明図である。図示するように、側面カメラ80による撮像は、吸着ノズル61に吸着されている部品Pが基板Sに接触した第1のタイミングと、部品Pの実装後、吸着ノズル61が所定量だけZ軸方向に上昇した第2のタイミングとに実行される。第1のタイミングで側面カメラ80を撮像した際に得られる画像は、図10(a)の撮像エリア(基板撮像エリア)内に示すように、吸着ノズル61に吸着されている部品Pが基板Sの表面に接触している様子を斜め上から見た画像となる。また、第2のタイミングで側面カメラ80を撮像した際に得られる画像は、図10(b)の撮像エリア(基板撮像エリア)内に示すように、部品Pの実装後、吸着ノズル61が基板Sから離れている様子を斜め上から見た画像となる。
S160の実装確認処理は、図11の実装確認処理を実行することにより行われる。図11の実装確認処理では、制御装置100のCPU101は、まず、第1のタイミングと第2のタイミングとでそれぞれ側面カメラ80を撮像して得られた撮像画像に対して画像処理を施すことにより、部品Pの実装確認を行う(S300)。ここで、S300の処理は、第1のタイミングの撮像で得られた撮像画像から基板撮像エリア内の基板画像(図10(a)参照)を抽出し、抽出した基板画像のうち実装位置に対応する画素の輝度値を調べることで実装位置に部品Pが存在するか否かを判定する。これにより、基板Sの実装位置に対して置かれた部品Pに位置ズレ(実装エラー)が生じているか否かを判定することができる。また、S300の処理は、第2のタイミングの撮像で得られた撮像画像から基板撮像エリア内の基板画像(図10(b)参照)を抽出し、抽出した基板画像を、第1のタイミングの撮像で得られた基板画像と比較して、それらの差分を判定することで、前後で基板Sの実装位置の部品Pに変化が生じているか否かを判定する。これにより、部品Pの実装後、吸着ノズル61がその部品Pを持ち帰る持ち帰りエラー(実装エラー)が生じているか否かを判定することができる。ここで、第1のタイミングの撮像画像と第2のタイミングの撮像画像との差分の判定は、双方の撮像画像に写っている吸着ノズル61を基準に行うものとしてもよいし、双方の撮像画像に写っている周辺部品や半田に基づいて部品Pの実装位置を推定することで推定した実装位置を基準に行うものとしてもよい。また、これらの基準を作業者が選択できるようにしてもよい。いま、基板Sに反りが生じている場合を考える。この場合、吸着ノズル61で部品Pを基板Sに押し付けている状態(第1のタイミング)で基板Sを撮像したときと、実装動作が完了した後、吸着ノズル61を上昇させ吸着ノズル61による押し付け力が開放された状態で(第2のタイミング)で基板Sを撮像したときとで、基板Sの撮像位置がずれることがある。この場合、双方の撮像画像に写っている周辺部品や半田に基づいて特定される部品Pの実装位置を基準として双方の撮像画像の差分を判定すれば、部品Pの位置を正確に認識することができる。
また、実施例では、S300の処理は、撮像画像から実装直前撮像エリア内の実装直前画像を抽出し、抽出した実装直前画像のうち吸着ノズル61の先端部周辺にある画素の輝度値を調べることで実装直前位置A1にある吸着ノズル61が部品Pを吸着しているか否か(吸着ノズル61に部品Pがあるか否か)も判定する。上述したように、部品Pの持ち帰りの判定は、第1のタイミングの撮像画像(基板画像)と第2のタイミングの撮像画像(基板画像)との比較により行った。この場合、撮像画像(実装直前画像)に基づいて実装直前位置A1の吸着ノズル61に部品Pが吸着されている(部品Pがある)ことを確認しておくことで、実装直前位置A1の吸着ノズル61が実装位置A0へ移動して実装動作を行う際の第1のタイミングの撮像画像(基板画像)と第2のタイミングの撮像画像(基板画像)との単純比較により部品Pの持ち帰りを判定することができる。即ち、実装直前位置A1の吸着ノズル61に部品Pがない場合、次に実装位置A0に移動して実装動作を行う際の第1のタイミングの撮像画像(基板画像)と第2のタイミングの撮像画像(基板画像)とに変化が生じず、単純比較では部品Pの持ち帰りを判定することができない。このため、実装直前位置A1の吸着ノズル61に部品Pがあるか否かが不明な場合、第1のタイミングの撮像画像(基板画像)の中で部品Pを認識する処理(認識処理)を行う必要が生じる。こうした認識処理は、画像処理を複雑化すると共に誤認識を生じさせる原因ともなるため、好ましくない。本実施例では、撮像画像(実装直前画像)に基づいて実装直前位置A1の吸着ノズル61に部品Pがあることを確認しておき、実装直前位置A1の吸着ノズル61が実装位置A0に移動し実装動作を行う際の第1のタイミングの撮像画像(基板画像)と第2のタイミングの撮像画像(基板画像)と単純比較により部品Pの持ち帰りを判定することで、認識処理を不要とし、持ち帰りの判定をより単純で正確に行うことができる。
そして、CPU101は、上述した画像処理に基づいて実装エラーが生じているか否かを判定し(S310)、実装エラーが生じていないと判定すると、実装確認処理を終了する。一方、CPU101は、実装エラーが生じていると判定すると、実装エラーが部品Pの持ち帰りエラーであるか否かを判定する(S320)。CPU101は、実装エラーが部品Pの持ち帰りエラーでないと判定すると、実装確認処理を終了する。この場合、実装エラー(実装位置ズレ)が生じている基板Sは、後工程で図示しない検査装置により検査を行った上で、廃棄処分とすることができる。尚、CPU101は、実装確認処理を終了した後、図7の部品実装処理を終了させることで、実装エラーが生じている基板Sに対して以降の部品Pの実装を行わないものとしてもよい。
一方、CPU101は、実装エラーが部品Pの持ち帰りエラーであると判定すると、部品Pの実装動作を行った吸着ノズル61を実装位置A0から実装直後位置A2へ移動させた後(S330)、側面カメラによる撮像を行い(S340)、撮像により得られた撮像画像に対して画像処理を施す(S350)。S350の処理は、撮像画像から実装直後撮像エリア内の実装直後画像を抽出し、抽出した実装直後画像の吸着ノズル61の先端部周辺にある画素の輝度値を調べることで、実装直後位置A2にある吸着ノズル61に部品P(持ち帰り部品)が存在するか否かを判定する。CPU101は、実装直後撮像エリアに持ち帰り部品が存在すると判定すると(S360)、その部品Pを図示しない廃棄ボックスに廃棄する(S370)。そして、CPU101は、次の部品Pの実装のために吸着ノズル61を新しいノズルに交換して(S380)、実装確認処理を終了する。尚、CPU101は、吸着ノズル61を新しいノズルに交換すると、側面カメラ80による撮像を行い、得られた撮像画像からノズル撮像エリア内のノズル画像を抽出し、抽出したノズル画像に基づいて吸着ノズル61が装着されているか否かを判定する。これにより、吸着ノズル61が交換されているか否かを確認することができる。吸着ノズル61を交換し、実装確認処理を終了すると、CPU101は、図7の部品実装処理のS170に戻って処理を進めることで、次の部品Pの実装を再開する。
CPU101は、S360で実装直後撮像エリアに持ち帰り部品が存在しないと判定すると、基板S上に部品Pが落ちている可能性があると判断し、部品実装機10を自動停止し(S390)、部品Pの抜き取りを作業者に指示するためのエラー表示を行う(S400)。そして、CPU101は、作業者から生産再開の指示があるまで待機し(S410)、生産再開の指示がなされると、部品実装処理を再開させるために、吸着ノズル61を新しいノズルに交換して(S380)、実装確認処理を終了する。尚、CPU101は、S400のエラー表示に代えて、実装確認処理を終了すると共に、実装確認処理を終了した後、図7の部品実装処理を終了させることで、持ち帰りエラーが生じている基板Sに対して以降の部品Pの実装を行わないものとしてもよい。この場合も、持ち帰りエラーが生じている基板Sは、後工程で図示しない検査装置により検査を行った上で、廃棄処分とすることができる。
ここで、図11の実装確認処理は、サイズが所定サイズ未満の小型部品を実装する場合を対象として行われる。部品Pの実装は、基板Sに印刷された半田ペースト上に吸着ノズル61に吸着されている部品Pを押し付け、吸着ノズル61に正圧エアー力を部品Pに作用させることにより行う。このため、部品Pのサイズが小さいと、部品Pの押し付けに伴い半田ペーストが盛り上がり、半田が吸着ノズル61に付着する場合がある。一方、吸着ノズル61は、実装する部品Pのサイズに合わせて選択される。小型部品を実装する場合、選択される吸着ノズル61の内径が小さくなり、正圧エアー力が小さくなる。このため、半田が吸着ノズル61の吸着口に付着した場合、半田の粘着力が吸着ノズル61からの正圧エアー力に打ち勝ち、部品Pが吸着ノズル61についたままZ軸が上昇する場合がある(部品Pの持ち帰り)。一方、大型部品を実装する場合には、選択される吸着ノズル61の内径も大きくなり、正圧エアー力が大きくなる。また、部品サイズが大きいため、部品Pを半田ペーストに押し付けたときの基板Sに対する接着力も大きく、部品Pの厚みも高いため、部品Pを半田ペーストに押し付けたときの半田の盛り上がりも小さくなる。このように、大型部品を実装する場合には、吸着ノズル61に半田が付着する可能性が低い上に、仮に吸着ノズル61に半田が付着しても持ち帰りが発生する可能性は殆どないと考えられる。サイズが所定サイズ未満の小型部品を実装する場合を対象として実装確認処理を行うのは、こうした理由に基づく。
以上説明した実施例の部品実装機10は、ヘッドユニット60に側面カメラ80を備え、側面カメラ80の光学系84として、実装位置A0の吸着ノズル61が部品Pを基板Sの実装位置に実装する際に、実装直前位置A1の吸着ノズル61と実装直後位置A2の吸着ノズル61と基板Sの表面(実装位置)とを同時に撮像するよう複数のミラー88a~88fを設ける。これにより、複数の位置を別々のカメラで撮像するものに比して、装置を簡素化することができると共に装置の小型化を図ることができる。また、1回の撮像で実装直前画像と実装直後画像と基板画像とを取得できるため、撮像時間を短縮することができる。
また、実施例の部品実装機10は、実装位置A0にある吸着ノズル61のZ軸が下降し部品Pが基板Sに接触した第1のタイミングと、部品Pを実装後、吸着ノズル61が所定量上昇した第2のタイミングとにそれぞれ側面カメラ80による撮像を行う。これにより、基板Sに部品Pが正しい実装位置に実装されたか否かの判定に加えて、部品Pの実装後、吸着ノズル61がその部品Pを持ち帰っていないか否かの判定も可能となり、実装エラーの状況をより正確に把握することができる。
さらに、実施例の部品実装機10は、側面カメラ80で実装位置A0のノズル撮像エリアも撮像するから、実装位置A0で吸着ノズル61が存在するか否かも判定することができる。これにより、特に、吸着ノズル61の交換時に吸着ノズル61が装着されているか否かを確認することができる。
実施例の部品実装機10では、図11の実装確認処理において、S320で部品Pの持ち帰りが発生したと判定すると、吸着ノズル61を実装直後位置A2に移動させて側面カメラ80による撮像を行うものとしたが、こうした撮像を行わないものとしてもよい。
実施例の部品実装機10では、吸着ノズル61が下降し部品Pが基板Sに接触したタイミング(第1のタイミング)と、部品Pを実装した後、吸着ノズル61が所定量だけ上昇したタイミング(第2のタイミング)とで側面カメラ80による撮像を行って基板画像を取得するものとしたが、第2のタイミングでの撮像を行わないものとしてもよい。この場合、第2のタイミングでの撮像を行うものに比して、XY方向の移動やR方向の移動を早いタイミングで開始させることができる。図12は、変形例の側面カメラ80の撮像タイミングを説明する説明図であり、図13は、図12の撮像タイミングでの吸着ノズル61および基板Sの様子を示す説明図である。図示するように、側面カメラ80による撮像は、吸着ノズル61に吸着されている部品Pが基板Sに接触した第1のタイミングで実行される。第1のタイミングでの撮像により得られる撮像画像は、図13の撮像エリア内(基板撮像エリア)に示すように、吸着ノズル61に吸着されている部品Pが基板Sの表面に接触している様子を斜め上から見た画像となる。この場合、基板撮像エリア内の基板画像からは、実装位置A0にある吸着ノズル61が部品Pを持ち帰ったか否かを判定することはできないが、部品Pが基板Sの実装位置に実装されたか否かを判定することはできる。ここで、実装直前位置A1にあった吸着ノズル61が実装位置A0に移動して部品Pを実装する場合には、実装位置A0にあった吸着ノズル61は実装直後位置A2に移動する。このため、側面カメラ80の撮像により得られた撮像画像のうち実装直後撮像エリア内の画像は、直前に実装動作を行った吸着ノズル61が正常に部品Pを実装していれば、部品Pが写っておらず、直前に実装動作を行った吸着ノズル61が部品Pを持ち帰っていれば、部品Pが写っていることとなる。したがって、撮像画像のうち実装直後撮像エリア内の画像を調べることにより、直前に実装動作を行った吸着ノズル61の部品Pの持ち帰りを判定することができる。
実施例の部品実装機10では、側面カメラ80で実装直後位置A2の吸着ノズル61と実装直前位置A1の吸着ノズル61を同時撮像して実装直後画像と実装直前画像とを取得するものとしたが、これに限定されるものではなく、実装直後位置A2と実装直前位置A1のいずれか一方のみを撮像するものとしてもよい。また、側面カメラ80で実装位置A0の吸着ノズル61を撮像してノズル画像を取得するものとしたが、実装位置A0の吸着ノズル61を撮像しないものとしてもよい。
実施例の部品実装機10では、実装直後位置A2の吸着ノズル61を撮像して実装直後画像を取得するためのカメラと、実装直前位置A1の吸着ノズル61を撮像して実装直前画像を取得するためのカメラと、基板Sの実装位置を撮像して基板画像を取得するためのカメラとを1台の側面カメラ80で兼用するものとしたが、これに限られず、それぞれのカメラを別々に設けるものとしてもよい。
実施例の部品実装機10では、実装エラーが生じた場合に、図11の実装確認処理に従って実装エラーに対処するものとしたが、これに限定されるものではなく、対処方法(例えば、S370の部品Pの廃棄の有無や、S380のノズル交換の有無、S390の自動停止の有無、実装エラーが生じた基板Sの廃棄の有無、実装エラー発生後も以降の部品Pの実装を続けるか否か等)を作業者が選択できるようにしてもよい。
実施例の部品実装機10では、制御装置100は、図11の実装確認処理のS300において、側面カメラ80の撮像画像のうち実装直前画像に基づいて実装直前位置A1の吸着ノズル61に部品Pがあるか否かも判定した。この場合、実装直前位置A1にある吸着ノズル61に部品Pがあると判定すると、実装確認処理の後に行われる図7の部品実装処理のS150において次の部品Pの実装動作を行い、実装直前位置A1にある吸着ノズル61に部品Pがないと判定すると、部品Pが移動途中で落下したと判断し、部品実装機10を自動停止(エラー停止)するものとしてもよい。
実施例の部品実装機10では、側面カメラ80を、吸着ノズル61に吸着されている部品Pが基板Sに正常に実装されたか否かを判定するための画像(基板画像)の取得に用いるものとしたが、これに限定されるものではなく、部品供給装置20により供給される部品Pを吸着ノズル61で吸着する際に部品Pが正常に吸着されたか否かを判定するための画像の取得に用いるものとしてもよい。この場合、例えば、部品実装機10(制御装置100)は、図7の部品実装処理のS120において、実装位置A0にある吸着ノズル61を下降し部品Pに接触する第1のタイミングで側面カメラ80による撮像を行うものとしてもよいし、吸着ノズル61に部品Pを吸着させた後、吸着ノズル61を所定量上昇させた第2のタイミングで側面カメラ80による撮像を行うものとしてもよいし、第1のタイミングおよび第2のタイミングの両方で側面カメラ80による撮像を行うものとしてもよい。第1のタイミングで撮像を行う場合、実施例の基板撮像エリアに相当するエリア内の画像に基づいて吸着ノズル61が正しい位置で部品Pの吸着動作を行っているかを判定することができる。また、第2のタイミングで撮像を行う場合、実施例の基板撮像エリアに相当するエリア内の画像に基づいて吸着ノズル61に部品Pが吸着されていない吸着ミスが生じていないかを判定することができる。また、側面カメラ80で撮像して得られた撮像画像のうち、実装直前位置A1の画像に基づいて部品吸着前の吸着ノズル61に異常(例えば吸着ノズル61の破損や付着物の有無など)がないかを確認したり、実装直後位置A2の画像に基づいて部品Pの吸着状態(例えば部品Pの吸着姿勢の良否や部品Pの有無など)を確認したりするものとしてもよい。
実施例では、本発明を、ロータリヘッド64に実装された吸着ノズル61を側面カメラ80で撮像するものに適用して説明したが、これに限られず、回転しないヘッドに実装された吸着ノズルを側面カメラで撮像するものに適用するものとしてもよい。
ここで、本実施例の主要な要素と発明の開示の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。即ち、ロータリヘッド64が「ヘッド」に相当し、XYロボット50が「水平移動手段」に相当し、Z軸アクチュエータ70が「垂直移動手段」に相当し、図7の部品実装処理を実行する制御装置100のCPU101が「実装制御手段」に相当し、側面カメラ80が「撮像手段」に相当し、ミラー88a~88c,88e,88fが「第1の光学系」に相当し、ミラー88d~88fが「第2の光学系」に相当する。また、ミラー88e,88fが「第3の光学系」に相当する。また、図8の実装処理のS210,S220,S250,S260の処理を実行する制御装置100のCPU101が「撮像制御手段」に相当し、図11の実装確認処理を実行する制御装置100のCPU101が「判定手段」に相当する。
なお、本発明は上述した実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。