JP7430097B2 - 偏光膜用接着組成物および偏光膜 - Google Patents

偏光膜用接着組成物および偏光膜 Download PDF

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Description

本発明は、偏光膜用接着組成物および偏光膜に関する。
液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)は、携帯電話、ノートパソコン、パソコン用モニタの表示部としての使用だけでなく、近年、自動車や屋外で用いる情報表示体として急速に市場拡大している。これに伴い、これらの液晶表示装置に使用される偏光膜(偏光板ともいう)にはより高い信頼性が求められている。
このような偏光膜は、一般に、偏光層(偏光素子ともいう。)の両面が水系または熱硬化系樹脂等を含む接着剤を介して保護層(支持体または支持層ともいう。)により挟持された構成を有し、ロール・トゥ・ロールで連続加工されたのち、LCDの表示部のサイズに合わせ切断される。
偏光膜を構成する偏光層としては、ポリビニルアルコール(以下、単に「PVA」ともいう。)系樹脂にヨウ素イオン等の二色性色素を吸着させ、延伸したものが広く使用されている。偏光膜の層構造としては、例えば、架橋剤となるグリオキザールとポリビニルアルコール系樹脂とを含む水系接着剤を介して、上述したような偏光層に保護層を積層した偏光膜が開示されている(特許文献1参照)。
また、カルボン酸変性のPVAとポリアミド/エピクロルヒドリンとの反応生成物を使用して偏光板の耐湿熱性を改善する方法も開示されている(特許文献2参照)。
特開平7-134212号公報 特開平9-258023号公報
特許文献1によれば塩化亜鉛を使用して耐湿熱性を改善する方法が記載されているが、高い要求レベルに対しては不十分であった。さらに塩化亜鉛は毒物及び劇物取締法で劇物に指定されており、取り扱いに注意が必要である。特許文献2によれば、偏光板の耐湿熱性は改善されているが、エピクロルヒドリン由来の塩素が偏光膜を腐食する懸念があり、長期安定性に対する要求レベルに対しては不十分であった。
液晶表示装置のさらなる品質向上の観点から、偏光膜に求められる特性がさらに厳しくなっており、偏光層と保護層との接着力に求められる要求レベルが一層高くなっている。接着力として求められる特性として、偏光膜を所定のサイズに切断加工したときに、切断された箇所で偏光層と保護層が剥離せず、しっかりと接着していることが挙げられる。くわえて、偏光膜の薄膜化に伴い、高温高湿環境下において光学特性が低下することを抑制する観点から、高温高湿環境下において、偏光層と保護層とがしっかりと接着していることが挙げられる。従来の偏光膜では、上述した切断加工時の剥がれ、および高温高湿環境下での耐水性をバランス良く発揮させることに対する対策が不十分であり、さらなる改良が必要となっている。
本発明は上述のような課題を鑑みたものであり、偏光膜用接着組成物を介して偏光層に保護層を接着した偏光膜に関して、切断加工時における耐剥離性、および高温高湿環境下での耐水性をバランス良く発揮することができる技術を提供する。
すなわち、本発明は、以下の偏光膜用接着組成物および偏光膜に関するが、それらに限定されない。
[1]
ポリビニルアルコール(PVA)を含む偏光層と、トリアセチルセルロース(TAC)、高延伸PET、シクロオレフィンポリマー(COP)およびアクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの高分子材料を含む保護層とを接着する偏光膜用接着組成物であって、以下(a)~(d)の成分を含む、偏光膜用接着組成物。
(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)
(b)下記一般式(I)で示されるジアルデヒド構造を有する架橋剤
Figure 0007430097000001
(上記一般式(I)中、nは1~6の整数を示す。)
(c)カルボン酸
(d)水
[2]
前記偏光膜用接着組成物全体に対する前記(b)ジアルデヒド構造を有する架橋剤の含有率が0.1質量%以上10質量%以下であり、
前記偏光膜用接着組成物全体に対する前記(c)カルボン酸の含有率が0.1質量%以上10質量%以下であり、
前記偏光膜用接着組成物全体に対する前記(d)水の含有量が80質量%以上99質量%以下である、[1]に記載の偏光膜用接着組成物。
[3]
前記(c)カルボン酸が、多価カルボン酸である、[1]又は[2]に記載の偏光膜用接着組成物。
[4]
前記多価カルボン酸がクエン酸である、[3]に記載の偏光膜用接着組成物。
[5]
前記(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)の平均重合度が300以上12000以下であり、前記(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)の鹸化度が70以上99.99以下である、[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の偏光膜用接着組成物。
[6]
前記(b)ジアルデヒド構造を有する架橋剤がグルタルアルデヒドである、[1]~[5]に記載の偏光膜用接着組成物。
[7]
ポリビニルアルコール(PVA)を含む偏光層と、
前記偏光層の一方の面を保護する第1保護層と、
前記偏光層と前記第1保護層とを接着する第1接着層と、
前記偏光層の他方の面を保護する第2保護層と、
前記偏光層と前記第2保護層とを接着する第2接着層と、
を備え、
前記第1保護層および前記第2保護層が、トリアセチルセルロース(TAC)、高延伸PET、シクロオレフィンポリマー(COP)およびアクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの高分子材料を含み、
前記第1接着層および前記第2接着層が、[1]乃至[6]のいずれか1つに記載の偏光膜用接着組成物の硬化物であり、
以下の条件で実施される温水浸漬検査の結果から得られる損傷指数Dが0mm以上0.5mm未満である、偏光膜。
(条件)
5cm角の試験片を作製し、5mm間隔で前記試験片の対角線方向に複数の貫通切れ込みを形成し、ビーカー内の60℃の温水に前記試験片を30分浸漬させたとき、前記貫通切れ込みについて切断箇所の保護層から浸食に伴って収縮した偏光層までの幅を測定し、その中で最大の値を損傷指数D(mm)とする。
[8]
前記第1保護層、前記第2保護層のいずれか一方の保護層が、トリアセチルセルロース(TAC)を含み、他方の保護層がトリアセチルセルロース(TAC)、高延伸PET、シクロオレフィンポリマー(COP)およびアクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの高分子材料を含む[7]に記載の偏光膜。
本発明によれば、偏光膜の切断加工時における耐剥離性、および高温高湿環境下での接着層の耐水性をバランス良く発揮することができる。
本発明の実施形態に係る偏光膜の構成を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
実施形態に係る偏光膜用接着組成物は、ポリビニルアルコール(PVA)を含む偏光層と、トリアセチルセルロース(TAC)、高延伸PET、シクロオレフィンポリマー(COP)およびアクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの高分子材料を含む保護層との接着に用いられる。
本実施形態の偏光膜用接着組成物は、成分として(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)、(b)ジアルデヒド構造を有する架橋剤、(c)カルボン酸、および(d)水を含む。以下、各成分の詳細について説明する。
(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)
未変性のポリビニルアルコール(PVA)としては、たとえば、ポリビニルアルコール樹脂が挙げられる。変性ポリビニルアルコールとしては、ビニルエステル単量体と、これと共重合可能な単量体との共重合体を鹸化して得られたものや、アセトアセチル変性PVAのように、未変性のポリビニルアルコールを変性することによって得られるものが挙げられる。
本実施形態に用いられるビニルエステル単量体は、単独でも複数の化合物の混合物でもよいが、作業の簡便さなどから単独使用の方が推奨される。ビニルエステル単量体としては、例えばギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル等が例示される。重合のし易さ、入手のし易さ等の観点から、酢酸ビニルの使用が好ましい。
ビニルエステル単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等のα-オレフィン単量体、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、(メタ)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド等の不飽和アミド単量体、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸単量体、不飽和カルボン酸のアルキル(メチル、エチル、プロピル等)エステル単量体、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸の無水物、不飽和カルボン酸のナトリウム、カリウム、アンモニウム等との塩、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有単量体、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有単量体又はその塩、アシッドホスホオキシエチルメタアクリレート、アシッドホスホオキシプロピルメタアクリレート等のリン酸基含有単量体、アルキルビニルエーテル単量体などが挙げられる。これら単量体の使用量は、本実施形態の効果を充分に発揮させる観点からは、ビニルエステル単量体100モル%に対し、5モル%以下が好ましく、より好ましくは2モル%以下、更に好ましくは1モル%以下である。
(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)の平均重合度の下限は、300以上が好ましく、1000以上がより好ましく、1500以上がさらに好ましい。一方、(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)の平均重合度の上限は、12000以下が好ましく、10000以下がより好ましく、9000以下がさらに好ましい。ここで、平均重合度は、JIS K 6726(1994)によって定められた方法によって求められる数値である。 (a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)平均重合度を300以上とすることにより、好ましい光学特性を得ることができる。(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)平均重合度を12000以下とすることにより、水への溶解性を高め、(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)を含む接着層の成形性を十分なものとすることができる。
(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)の鹸化度の下限は70以上が好ましく、75以上がより好ましく、80以上がさらに好ましい。一方、(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)の鹸化度の上限は、99.99以下が好ましく、99.5以下がさらに好ましい。
(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)の鹸化度の下限を上記範囲とすることにより、(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)の溶解時の未溶解物量を削減することが可能である。(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)の鹸化度の上限を上記範囲とすることにより、(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)の溶解時のハンドリング性が向上する。
ここで、(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)の鹸化度は、JIS K 6726(1994)に従って測定される。
偏光膜用接着組成物全体に対する(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)の含有率の下限は、偏光層と保護層との接着力を高める観点から、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、4質量%以上がよりいっそう好ましい。また、偏光膜用接着組成物全体に対する(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)の含有率の上限は、偏光膜の製造に適した偏光膜用接着組成物の粘度とする観点から、12質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。
(b)ジアルデヒド構造を有する架橋剤
(b)ジアルデヒド構造を有する架橋剤は、下記一般式(I)で示される化合物である。
Figure 0007430097000002
(上記一般式(I)中、nは1~6の整数を示す。)
(b)ジアルデヒド構造を有する架橋剤として、グルタルアルデヒド、スクシンアルデヒド、マロンジアルデヒドなどのジアルデヒドが挙げられる。このうち、グルタルアルデヒドが好ましく用いられる。
偏光膜用接着組成物全体に対する(b)ジアルデヒド構造を有する架橋剤の含有率の下限は、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましい。一方、(b)ジアルデヒド構造からなる架橋剤の含有率の上限は、10質量%以下が好ましく、9質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましく、6質量%以下がよりいっそう好ましい。
当該架橋剤の含有率の下限を上記範囲とすることにより、(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)の架橋性を十分に高め、ひいては、後述する偏光層と保護層との接着力をより高めるとともに、偏光膜を作製したときの耐水性を高め、ひいては、高温高湿環境下での接着層の耐溶出性を高めることができる。一方、当該架橋剤の含有率の上限を上記範囲とすることにより、適切な架橋反応時間に調節が可能である。
(c)カルボン酸
(c)カルボン酸は、反応促進剤として用いられ、(b)ジアルデヒド構造を有する架橋剤による架橋作用を高める役割を担う。(c)カルボン酸は、1価カルボン酸としては、ピルビン酸が好ましい。多価カルボン酸として、たとえば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、セバシン酸、アゼライン酸、アジピン酸、クエン酸、グルタル酸、酒石酸、イタコン酸、トリメリト酸、ヘミメリト酸、トリメシン酸などが挙げられる。(c)カルボン酸は好ましくは多価カルボン酸である。このうち、多価カルボン酸として、リンゴ酸、クエン酸が好ましく、その中でもクエン酸が最も好ましく用いられる。(b)ジアルデヒド構造を有する架橋剤に加えて、(c)カルボン酸を含むことで架橋性をより高めることができる。
中でも、(b)ジアルデヒド構造を有する架橋剤として、グルタルアルデヒドが用いられる場合、(c)カルボン酸としてクエン酸を用いることが好ましい。グルタルアルデヒドとクエン酸の組み合わせにより、架橋性をさらに高めることができる。
偏光膜用接着組成物全体に対する(c)カルボン酸の含有率の下限は0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。また、(c)カルボン酸の含有率の上限は10質量%以下が好ましく、9質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましく、6質量%以下がよりいっそう好ましい。
(c)カルボン酸の含有率の下限を上記範囲とすることにより、(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)の架橋性をより一層高め、ひいては、後述する偏光層と保護層との接着力をより高めるとともに、偏光膜を作製したときの耐水性を高め、ひいては、高温高湿環境下での耐水性を高めることができる。一方、(c)カルボン酸の含有率の上限を上記範囲とすることにより、偏光膜の製造に適したポットライフを有する偏光膜用接着組成物が得られる。
(d)水
(d)水は、純水または脱イオン水であることが好ましい。本実施形態の偏光膜用接着組成物は(d)水を含むことにより、(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)が溶解するとともに、(b)ジアルデヒド構造を有する架橋剤および(c)カルボン酸が適度に溶解あるいは分散した水溶液となる。このため、後述する偏光層や保護層に対する偏光膜用接着組成物の濡れ性が向上するとともに、加熱により上記架橋剤による(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)の架橋反応が速やかに進行し、所望の接着力を得ることができる。
偏光膜用接着組成物全体に対する(d)水の含有率の下限は80質量%以上が好ましく、82質量%以上がより好ましく、84質量%以上がさらに好ましい。当該(d)水の含有率の上限は、99質量%以下が好ましく、98質量%以下がより好ましく、97質量%以下がさらに好ましく、95質量%以下がよりいっそう好ましい。
(d)水の含有率の下限を上記範囲とすることにより、偏光膜用接着組成物の塗布性やハンドリング性を高めつつ、接着組成物の接着力を十分に高めることができる。一方、(d)水の含有率の上限を上記範囲とすることにより、偏光膜用接着組成物の接着力が高めることができる。
(d)水の含有率を上記範囲とすることにより、偏光膜用接着組成物の接着力が高くなる理由として、以下のように推察される。すなわち、偏光膜用接着組成物を塗布した直後は、水に分散した状態で(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)、(b)ジアルデヒド構造を有する架橋剤および(c)カルボン酸が共存する。その後、徐々に水が乾燥し、偏光膜用接着組成物中の成分(a)~(c)の濃度が低濃度から高濃度に変換するという過程を経ることにより、偏光膜用接着組成物の接着力が高まり、ひいては、偏光膜を切断加工したときの耐剥離性、および高温高湿環境下での接着層の耐水性をバランス良く発揮するといった性能が得られるような好適な架橋構造が得られたものと考えられる。
上記(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)と、(b)ジアルデヒド構造を有する架橋剤と、(c)カルボン酸と、(d)水の混合方法は、攪拌羽根等を用いて動的に混合してもよく、例えば、スタティックミキサー等を用いて静的に混合してもよい。
以上説明した偏光膜用接着組成物を用いて、ポリビニルアルコール(PVA)を含む偏光層と、トリアセチルセルロース(TAC)、高延伸PET、シクロオレフィンポリマー(COP)、アクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの高分子材料を含む保護層とを接着して得られる偏光膜は、切断加工時における耐剥離性に優れるだけでなく、高温高湿環境下での接着層の耐水性を高いレベルで発揮することができる。ひいては、上述した偏光膜用接着組成物を用いた偏光膜を液晶表示装置に使用することにより、液晶表示装置の品質をより一層高めることができる。
以下、本実施形態の偏光膜用接着組成物を用いて接着された偏光層と保護層とを有する偏光膜についてより詳しく説明する。
図1は、実施形態に係る偏光膜10を示す断面図である。図1に示すように、実施形態に係る偏光膜10は、偏光層20と、偏光層20の一方の面を保護する第1保護層40と、偏光層20と第1保護層40とを接着する第1接着層30と、偏光層20の他方の面を保護する第2保護層42と、偏光層20と第2保護層とを接着する第2接着層32と、を備える。偏光膜10は、偏光層20の一方の面に第1接着層30を介して第1保護層40が積層され、偏光層20の他方の面に第2接着層32を介して第2保護層42が積層された積層構造を有する。
以下各層の詳細について説明する。
[偏光層]
偏光層20は、具体的にはポリビニルアルコール(PVA)を含む。
また、本実施形態で使用する偏光層20(偏光素子ともいう。)は、偏光素子としての機能を有するものであれば、限定されず、公知の偏光素子を用いることができるが、例えば、有機高分子フィルムを一軸方向に延伸しヨウ素など二色性色素を吸着配向させた偏光素子、また、PVA(ポリビニルアルコール)系樹脂のフィルムより脱水反応を誘起させたり、ポリ塩化ビニルフィルムの脱塩酸反応により、ポリエンを形成させたポリエン系偏光素子、分子内にカチオン基を含有する変性PVAからなるPVA系フィルムの表面および/または内部に二色性色素を有する偏光素子などが挙げられる。
偏光層20は、好ましくは、PVA系フィルムを一軸方向に2~8倍程度に延伸し二色性色素を吸着配向させた偏光膜である。PVA系フィルムは、以下に挙げる二色性色素を浸漬により吸着させ延伸により容易に配向させることができ、さらに高い光学特性を得ることができるため好適に用いることができる。
二色性色素は、好ましくは、ヨウ素又は二色性染料であり、いずれも本実施形態に用いることができる。二色性染料としては、アゾ系染料、アントラキノン系染料、及びテトラジン系染料などが挙げられ、偏光板の光学特性および耐久性の観点から、アゾ系染料を用いることが好ましい。
アゾ系染料としては、例えば、C.I.Direct Yellow 12、C.I.Direct Yellow 28、 C.I.Direct Yellow 44、C.I.Direct Yellow 142、C.I.Direct Orange 26、C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Orange 71、C.I.Direct Orange 107、C.I.Direct Red 2、C.I.Direct Red 31、C.I.Direct Red 79、C.I.Direct Red 81、C.I.Direct Red 117、C.I.Direct Red 247、C.I.Direct Green 80、C.I.Direct Green 59、C.I.Direct Blue 71、C.I.Direct Blue 78、C.I.Direct Blue 168、C.I.Direct Blue 202、C.I.Direct Violet 9、C.I.Direct Violet 51、C.I.Direct Brown 106、C.I.Direct Brown 223等が挙げられる。
染料は、公知の方法によって製造できる染料を使用してもよく、公知の方法としては、例えば、特開平3-12606号公報に記載の方法、又は特開昭59-145255号公報の記載の方法などが挙げられる。
前記ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリビニルアルコール樹脂及び、変性ポリビニルアルコール樹脂が挙げられる。変性ポリビニルアルコールとしては、ビニルエステル単量体と、これと共重合可能な単量体との共重合体を鹸化して得られたものや、アセトアセチル変性PVAのように、未変性のポリビニルアルコールを変性することによって得られるものが挙げられる。上述のポリビニルアルコール系樹脂材料の中でも、ポリビニルアルコール樹脂を用いることが好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度の下限は、1000以上が好ましく、1300以上がより好ましく、1600以上がさらに好ましい。一方、ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度の上限は、12000以下が好ましく、10000以下がより好ましい。ここで、平均重合度は、JIS K 6726(1994)によって定められた方法によって求められる数値である。ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度を1000以上とすることにより、好ましい強度及び、配向性を得ることができる。一方、ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度を12000以下とすることにより、水への溶解性を十分なものとし、ポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂層の形成を容易にすることができる。
偏光層20を構成するポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂層は、任意の適切な方法(たとえば、樹脂を水または有機溶媒に溶解した溶液を流延成膜する流延法、キャスト法、押出法)で成形され得る。
偏光層20の厚さは、偏光膜10が用いられるLCDの目的や用途に応じて適宜設定され得るが、代表的には5μm以上80μm以下である。市販のPVA系フィルムとしては、例えば、株式会社クラレ製VF-PS(厚さ75μm)を用いることができる。また、延伸してなるPVA系樹脂からなる偏光層は、熱や水分に対して脆弱であるため、当該表面に後述する保護層(支持膜、支持体ともいう。)を設けることが好ましい。
[第1保護層]
第1保護層40は、偏光層20の一方の主表面に後述する第1接着層30を介して積層されている。
第1保護層40は、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)等の環状ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つのフィルム状の高分子材料を含み、好ましくはトリアセチルセルロース(TAC)、高延伸PET、シクロオレフィンポリマー(COP)およびアクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの高分子材料を含む。なお、TACフィルムを用いる場合には、表面に苛性アルカリ等による鹸化処理を施すことにより、-OCOCH3基の一部又は大部分を親水基である-OHに加水分解し、第1接着層30との接着力を高めてもよい。COPフィルムを用いる場合には、硬化後の接着組成物との接着力を向上させるために、コロナ処理やプラズマ処理等の表面改質処理を施してもよい。また、PETフィルムは、破断強度を十分なものとする観点から、同時二軸延伸、逐次二軸延伸など公知の延伸方法により、延伸されたものが好ましい。
第1保護層40の厚さの下限は、偏光膜の物理的な強度を十分なものとする観点から、40μm以上が好ましく、60μm以上がより好ましい。
一方、第1保護層40の厚さの上限は、偏光膜10の薄膜化を図る観点から、200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。
[第1接着層]
第1接着層30は、偏光層20の一方の主表面と第1保護層40との間に介在している。第1接着層30は、上述した偏光膜用接着組成物の硬化物である。
第1接着層30を用いて偏光層20と第1保護層40とを接着する方法としては、上述した偏光膜用接着組成物を用いて偏光層20に第1保護層40を貼り合わせ、加熱により水分を乾燥除去すると共に架橋反応を行わせる方法が挙げられる。加熱条件は、使用する架橋剤の種類や量に応じて、適宜最適な条件が設定される。たとえば、偏光膜用接着組成物中にグルタルアルデヒドとクエン酸を用いた場合の加熱条件は、40℃以上100℃以下で1分以上20分以下である。加熱温度を40℃以上とすることにより、前述の貼り合わせ後、接着組成物の水分を十分に除去できる。これは、偏光層及び保護層間の密着力に影響する。また、100℃以下とすることにより、前述の貼り合わせ後、内在する水分が除去されるよりも早く加熱され蒸し焼き状態を起こし偏光層20の光学特性の劣化を招くことをより好適に抑制できる。
第1接着層30の厚さの下限は、十分な接着力を得る観点から、0.1μm以上が好ましく、0.3μm以上がより好ましく、0.5μm以上がさらに好ましい。一方、第1接着層30の厚さの上限は、偏光膜10の薄膜化を図る観点から、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、2μm以下がさらに好ましい。接着層の厚さを10μm以下とすることにより、前述の水分除去性をより好ましいものとすることができ、また、LCDの表示品位に影響を及ぼす接着層の平滑性に関する偏光膜の歪みをより好適に抑制できる。
[第2保護層]
第2保護層42は、偏光層20の他方の主表面に後述する第2接着層32を介して積層されている。第2保護層42に用いられる樹脂材料および第2保護層42の厚さは、第1保護層40と同様である。ただし、第2保護層42の厚さは、第1保護層40の厚さと同一である必要はなく、上述した第1保護層40の厚さの範囲内で使用環境により適宜最適化することができる。
第1保護層40、第2保護層42のうち、少なくとも一方をTACフィルムとすることが好ましい。TACフィルムは、一般に、前述に挙げた樹脂系フィルムに比べ高い透湿性を有するため、偏光層と保護層を貼り合わせた後においても、接着組成物に由来する水分を容易に除去することができる。これにより、乾燥効率を高くすることが可能である。
[第2接着層]
第2接着層32の組成および第2接着層32の厚さは、第1接着層30と同様である。ただし、第2接着層32の厚さは、第1接着層30の厚さと同一である必要はなく、上述した第1接着層30の厚さの範囲内で使用環境により適宜最適化することができる。
[耐水性の評価方法]
偏光膜10における高温高湿下における第1及び第2の保護層と偏光層の耐水性の評価は、例えば、温度60℃湿度90%、あるいは温度80℃湿度90%試験器に投入し経時での各層の剥がれ状態を観察してもよいし、または、以下(条件)に記載する温水浸漬検査を行う効率的に接着強度を判定することができる。
(条件)
5cm角の偏光膜の試験辺を作製し、5mm間隔で前記試験辺の対角線方向に複数の貫通切れ込みを形成し、ビーカー内の60℃の温水に前記試験片を30分浸漬させる。複数の貫通切れ込みについて切断箇所の保護層から浸食に伴って収縮した偏光層までの幅を測定し、その中で最大の値を損傷指数D(mm)とする。前記の損傷指数D(mm)は、損傷がないときを0mmで示す。
本実施形態で得られる偏光膜10の損傷指数D(mm)は、具体的には0mm以上であり、0.001mm以上であってもよく、また、具体的には0.5mm未満である。損傷指数D(mm)の上限は0.4mm以下がより好ましく、0.3mm以下がさらに好ましい。損傷指数D(mm)の上限を上記範囲とすることにより、接着層の耐水性が十分に高められた偏光膜とすることができるため、高温高湿環境下の使用においても信頼性の高い偏光膜とすることができる。
[偏光膜の製造方法]
実施形態に係る偏光膜10の製造方法は、周知の製膜方法を適用することができる。たとえば、偏光層20の一方の面に偏光膜用接着組成物を塗布したのち、第1保護層40を貼り付ける。これと同時に、偏光層20の他方の面に偏光膜用接着組成物を塗布したのち、第2保護層42を貼り付ける。偏光層20に偏光膜用接着組成物を介して第1保護層40および第2保護層42が積層された積層体をローラを用いて貼り合わせる。この後、60℃、10分間の加熱処理により、偏光膜用接着組成物を硬化させることにより、第1保護層40/第1接着層30/偏光層20/第2接着層32/第2保護層42がこの順で積層された偏光膜が製造される。
以上説明した偏光膜10は、切断加工時における耐剥離性に優れるだけでなく、高温高湿環境下での接着層の耐水性を高いレベルで発揮することができる。
上述した偏光膜10は、携帯電話やノートパソコンなどの電子機器の液晶表示装置を構成する光学部材として好適に使用され得る。上述した偏光膜10を液晶表示装置に使用することにより、液晶表示装置の品質をより一層高めることができる。
上述した偏光膜10は、粘着剤を介して、別途、保護フィルムや離型フィルムを着脱可能に積層してもよい。これによれば、偏光膜10が運搬やハンドリング中にダメージを受けることを抑制し、偏光膜10の品質をより高めることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. ポリビニルアルコール(PVA)を含む偏光層と、トリアセチルセルロース(TAC)、高延伸PET、シクロオレフィンポリマー(COP)およびアクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの高分子材料を含む保護層とを接着する偏光膜用接着組成物であって、以下(a)~(d)の成分を含む、偏光膜用接着組成物。
(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)
(b)下記一般式(I)で示されるジアルデヒド構造を有する架橋剤
Figure 0007430097000003
(上記一般式(I)中、nは1~6の整数を示す。)
(c)カルボン酸
(d)水
2. 前記偏光膜用接着組成物全体に対する前記(b)ジアルデヒド構造を有する架橋剤の含有率が0.1質量%以上10質量%以下であり、
前記偏光膜用接着組成物全体に対する前記(c)カルボン酸の含有率が0.1質量%以上10質量%以下であり、
前記偏光膜用接着組成物全体に対する前記(d)水の含有量が80質量%以上99質量%以下である、1.に記載の偏光膜用接着組成物。
3. 前記(c)カルボン酸が、多価カルボン酸である、1.又は2.に記載の偏光膜用接着組成物。
4. 前記多価カルボン酸がクエン酸である、3.に記載の偏光膜用接着組成物。
5. 前記(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)の平均重合度が300以上12000以下であり、前記(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)の鹸化度が70以上99.99以下である、1.乃至4.のいずれか1つに記載の偏光膜用接着組成物。
6. 前記(b)ジアルデヒド構造を有する架橋剤がグルタルアルデヒドである、1.乃至5.のいずれか1つに記載の偏光膜用接着組成物。
7. ポリビニルアルコール(PVA)を含む偏光層と、
前記偏光層の一方の面を保護する第1保護層と、
前記偏光層と前記第1保護層とを接着する第1接着層と、
前記偏光層の他方の面を保護する第2保護層と、
前記偏光層と前記第2保護層とを接着する第2接着層と、
を備え、
前記第1保護層および前記第2保護層が、トリアセチルセルロース(TAC)、高延伸PET、シクロオレフィンポリマー(COP)およびアクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの高分子材料を含み、
前記第1接着層および前記第2接着層が、1.乃至6.のいずれか1つに記載の偏光膜用接着組成物の硬化物であり、
以下の条件で実施される温水浸漬検査の結果から得られる損傷指数Dが0mm以上0.5mm未満である、偏光膜。
(条件)
5cm角の試験片を作製し、5mm間隔で前記試験片の対角線方向に複数の貫通切れ込みを形成し、ビーカー内の60℃の温水に前記試験片を30分浸漬させたとき、前記貫通切れ込みについて切断箇所の保護層から浸食に伴って収縮した偏光層までの幅を測定し、その中で最大の値を損傷指数D(mm)とする。
8. 前記第1保護層、前記第2保護層のいずれか一方の保護層が、トリアセチルセルロース(TAC)を含み、他方の保護層がトリアセチルセルロース(TAC)、高延伸PET、シクロオレフィンポリマー(COP)およびアクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの高分子材料を含む、7.に記載の偏光膜。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
(接着層の作製)
表1に示す成分および含有率に従い、各成分を混合し、攪拌することにより実施例1の偏光膜用接着組成物1を作製した。
ここで、樹脂の重合度および鹸化度は、JIS K 6726(1994)に定められた方法によって求めた。
表1中、使用した化合物は以下の通りである。
PVA:デンカポバールK-17C、デンカ株式会社製
架橋剤:n=0:グリオキザール、アゼリスジャパン株式会社製
架橋剤:n=3:グルタルアルデヒド、東京化成工業株式会社製
クエン酸:富士フィルム和光純薬株式会社製
リンゴ酸:東京化成工業株式会社製
ピルビン酸:東京化成工業株式会社製
塩酸:富士フィルム和光純薬株式会社製
(実施例2~8、比較例1~6)
各成分および含有率を表1に示したものとしたことを除き、実施例1と同様な手順で各例の偏光膜用接着組成物を得た。
Figure 0007430097000004
(実施例9)
(偏光層の作製)
厚さ75μmの長尺ポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製、VF-PS)をガイドロールにて連続搬送し、30℃の水浴中に浸漬させて1.5倍に膨潤させ、かつ延伸処理して2倍の延伸倍率とした後、ヨウ素とヨウ化カリウム配合の染色浴(30℃)に浸漬して染色処理すると共に延伸処理して3倍の延伸倍率とし、ついでそれをホウ酸とヨウ化カリウムを添加した酸性浴(60℃)中で架橋処理すると共に延伸処理して6.5倍の延伸倍率とし、50℃で5分間乾燥させて偏光層(厚さ:30μm)を得た。
(偏光膜の作製)
得られた偏光層の一方の面に、第1接着層となる偏光膜用接着組成物1を塗布し、第1保護層としてTACフィルム(富士フイルム社製、TG-60、厚さ:60μm)を貼り付けた。これと同時に、偏光層の他方の面に、第2接着層となる偏光膜用接着組成物1を塗布し、第2保護層としてTACフィルム(富士フイルム社製、TG-60、厚さ:60μm)を貼り付け、積層体を作製した。当該積層体を60℃、10分間、加熱し、第1接着層および第2接着層の偏光膜用接着組成物1を硬化させ、偏光膜を得た。いずれのTACフィルムも25℃の2N(規定)の水酸化ナトリウム水溶液に10分間浸漬することにより基材表面を処理したものを使用した。各接着層に用いた組成物および層構成を表2に示す。
(実施例10~19、比較例7~19)
表2に示す層構成としたことを除き、実施例1と同様な手順で実施例10~19、比較例7~19の各偏光膜を作製した。COPフィルムは接着組成物と貼り合わせる面を3m/minの速度で0.35kWの電力でコロナ処理したものを使用した。
表2中、上述のTACフィルム以外の第二保護層の材料は以下の通りである。
アクリル:大倉工業社製、OXIS-FZ、厚さ40μm
COP:日本ゼオン社製、ゼオノア ZB12、厚さ40μm
PC:帝人社製、パンライト PC-2151、厚さ125μm
Figure 0007430097000005
(切断加工時の耐剥離性試験)
実施例9~19および比較例7~19の偏光膜について切断加工時の耐剥離性を調べた。具体的には、実施例9~19および比較例7~19の各偏光膜を用いて、5cm角の試験片を作製し、当該試験片の対角線方向に複数の貫通切れ込みを形成した。複数の貫通切れ込みが形成された試験片について、損傷指数D2が0.5mm未満である場合を耐剥離性が良(○)とし、損傷指数D2が0.5mm以上である場合を耐剥離性が不良(×)とした。
比較例18については、接着組成物調整後、10分後に接着組成物の粘度が上昇し、偏光膜作成が不可であったことから、評価結果を「ゲル化」とした。
評価結果を表2に示す。
(耐水性試験:損傷指数Dの算出)
実施例9~19および比較例7~19の偏光膜について、高温高湿下での耐溶出性を評価する目的で、以下の条件で温水浸漬検査を実施し、耐溶出性を示す指標として、損傷指数D(mm)を算出した。損傷指数D(mm)が0.5mm未満である場合に、偏光膜の耐溶出性が良好であるとされる。
(条件)
5cm角の試験辺を作製し、5mm間隔で前記試験辺の対角線方向に複数の貫通切れ込みを形成し、ビーカー内の60℃の温水に前記試験片を30分浸漬させた。複数の貫通切れ込みについて切断箇所の保護層から浸食に伴って収縮した偏光層までの幅を測定し、その中で最大の値を損傷指数D(mm)とした。
比較例18については、接着組成物調整後、10分後に接着組成物の粘度が上昇し、偏光膜作成が不可であったことから、評価結果を「ゲル化」とした。
評価結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例9~19の偏光膜は、切断加工時の耐剥離性がいずれも良好であり、耐溶出性を示す指標である損傷指数D(mm)が、各比較例と比べて顕著に良好になることが確認された。
10 偏光膜
20 偏光層
30 第1接着層
32 第2接着層
40 第1保護層
42 第2保護層

Claims (7)

  1. ポリビニルアルコール(PVA)を含む偏光層と、トリアセチルセルロース(TAC)、高延伸PET、シクロオレフィンポリマー(COP)およびアクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの高分子材料を含む保護層とを接着する偏光膜用接着組成物であって、以下(a)~(d)の成分を含む偏光膜用接着組成物であり、
    (a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)
    (b)下記一般式(I)で示されるジアルデヒド構造を有する架橋剤
    Figure 0007430097000006
    (上記一般式(I)中、nは1~6の整数を示す。)
    (c)カルボン酸
    (d)水
    前記偏光膜用接着組成物全体に対する前記(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)の含有率が3質量%以上であり、
    前記偏光膜用接着組成物全体に対する前記(b)ジアルデヒド構造を有する架橋剤の含有率が0.1質量%以上1.0質量%以下であり、
    前記偏光膜用接着組成物全体に対する前記(c)カルボン酸の含有率が0.1質量%以上1.5質量%以下であり、
    前記偏光膜用接着組成物全体に対する前記(d)水の含有量が80質量%以上95質量%以下である、偏光膜用接着組成物。
  2. 前記(c)カルボン酸が、多価カルボン酸である、請求項1に記載の偏光膜用接着組成物。
  3. 前記多価カルボン酸がクエン酸である、請求項に記載の偏光膜用接着組成物。
  4. 前記(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)の平均重合度が300以上12000以下であり、前記(a)変性または未変性のポリビニルアルコール(PVA)の鹸化度が70以上99.99以下である、請求項1乃至のいずれか1項に記載の偏光膜用接着組成物。
  5. 前記(b)ジアルデヒド構造を有する架橋剤がグルタルアルデヒドである、請求項1乃至のいずれか1項に記載の偏光膜用接着組成物。
  6. ポリビニルアルコール(PVA)を含む偏光層と、
    前記偏光層の一方の面を保護する第1保護層と、
    前記偏光層と前記第1保護層とを接着する第1接着層と、
    前記偏光層の他方の面を保護する第2保護層と、
    前記偏光層と前記第2保護層とを接着する第2接着層と、
    を備え、
    前記第1保護層および前記第2保護層が、トリアセチルセルロース(TAC)、高延伸PET、シクロオレフィンポリマー(COP)およびアクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの高分子材料を含み、
    前記第1接着層および前記第2接着層が、請求項1乃至のいずれか1項に記載の偏光膜用接着組成物の硬化物であり、
    以下の条件で実施される温水浸漬検査の結果から得られる損傷指数Dが0mm以上0.5mm未満である、偏光膜。
    (条件)
    5cm角の試験片を作製し、5mm間隔で前記試験片の対角線方向に複数の貫通切れ込みを形成し、ビーカー内の60℃の温水に前記試験片を30分浸漬させたとき、前記貫通切れ込みについて切断箇所の保護層から浸食に伴って収縮した偏光層までの幅を測定し、その中で最大の値を損傷指数D(mm)とする。
  7. 前記第1保護層、前記第2保護層のいずれか一方の保護層が、トリアセチルセルロース(TAC)を含み、他方の保護層がトリアセチルセルロース(TAC)、高延伸PET、シクロオレフィンポリマー(COP)およびアクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの高分子材料を含む、請求項に記載の偏光膜。
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