JP5083810B2 - 偏光板およびその製造方法 - Google Patents
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偏光フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、たとえば、不飽和カルボン酸類、不飽和スルホン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度、好ましくは98モル%以上である。ポリビニルアルコール系樹脂はさらに変性されていてもよく、たとえば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用し得る。また、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000程度、好ましくは1,500〜5,000程度である。
本発明の偏光板は、偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムを積層してなる。保護フィルムとしては、シクロオレフィン系樹脂フィルム、酢酸セルロース系樹脂フィルムなどが好ましく用いられる。本発明の偏光板は、好ましくは偏光フィルムの片面または両面にシクロオレフィン系樹脂からなる保護フィルムが積層されてなる。片面にシクロオレフィン系樹脂からなる保護フィルムが積層される場合、好ましくは、他面に酢酸セルロース系樹脂からなる保護フィルムが積層される。
本発明において、偏光フィルムと保護フィルムとは、接着剤層を介して貼合され、該接着剤層は、アニオン変性ポリビニルアルコール樹脂と水分散性ポリイソシアネート硬化剤とを含む水性接着剤より形成される。本発明で用いる水性接着剤は、広い範囲の保護フィルムに対して良好な接着性を示し、特に、保護フィルムがシクロオレフィン系樹脂フィルムまたは酢酸セルロース系樹脂フィルムである場合における、保護フィルムと偏光フィルムとの接着性に優れている。したがって、本発明によれば、片面にシクロオレフィン系樹脂フィルム、他面に酢酸セルロース系樹脂フィルムを有する、両面において接着性の良好な偏光板を、同一の接着剤を用いて形成することができる。偏光フィルムの両面に保護フィルムを積層する場合、施工のしやすさを考慮すると、両面とも同じ接着剤を用いることが好ましいことから、本発明はこの点においても有利である。また、本発明で用いる水性接着剤は、接着能力に優れることから、接着後の養生時間を短縮することができる。なお、本発明においては、いずれか一方の面に、上記本発明に係る水性接着剤が用いられていればよく、他方の面に使用する接着剤は、これとは異なる接着剤であってもよい。
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の質量比が0.05/5/100の水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が8.5/8.5/100の水溶液に72℃で300秒間浸漬した。引き続き、26℃の純水で20秒間洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。
アニオン変性ポリビニルアルコール樹脂「KL318」の量を1.0部、水分散性ポリイソシアネート硬化剤「バーノック(登録商標) DNW−5000」の量を0.25部としたこと以外は、実施例1と同様にして偏光板を作製し、同様の評価を行なったところ、接着性・耐水性に関し、実施例1と同等の結果が得られた。
アニオン変性ポリビニルアルコール樹脂「KL318」の量を1.8部、水分散性ポリイソシアネート硬化剤「バーノック(登録商標) DNW−5000」の量を0.45部としたこと以外は、実施例1と同様にして偏光板を作製し、同様の評価を行なったところ、接着性・耐水性に関し、実施例1と同等の結果が得られた。
アニオン変性ポリビニルアルコール樹脂「KL318」の量を1.0部、水分散性ポリイソシアネート硬化剤「バーノック(登録商標) DNW−5000」の量を0.5部としたこと以外は、実施例1と同様にして偏光板を作製し、同様の評価を行なったところ、接着性・耐水性に関し、実施例1と同等の結果が得られた。
アニオン変性ポリビニルアルコール樹脂「KL318」の量を1.0部、水分散性ポリイソシアネート硬化剤「バーノック(登録商標) DNW−5000」の量を1.0部としたこと以外は、実施例1と同様にして偏光板を作製し、同様の評価を行なったところ、接着性・耐水性に関し、実施例1と同等の結果が得られた。
アニオン変性ポリビニルアルコール樹脂「KL318」に代えて、アニオン変性されていない部分ケン化ポリビニルアルコールである「クラレポバール PVA−403」((株)クラレ製、ケン化度78.5〜81.5モル%)3.0部を用い、水分散性ポリイソシアネート硬化剤「バーノック(登録商標) DNW−5000」の量を3.0部としたこと以外は、実施例1と同様にして偏光板を作製し、同様の評価を行なったところ、カッター試験において、いずれの保護フィルムも剥離した。また耐水性試験では接着剤層が溶解されてしまい、全く接着性が得られなかった。
水分散性ポリイソシアネート硬化剤「バーノック(登録商標) DNW−5000」に代えて、水溶性ポリアミドエポキシ樹脂(住友化学(株)製の「スミレーズレジン 650」(固形分濃度30%の水溶液)1.5部を用いたこと以外は、比較例1と同様にして偏光板を作製し、同様の評価を行なった。その結果、ノルボルネン系樹脂からなる保護フィルムと偏光フィルムとの接着性が若干低かった。また、耐水性についても、上記実施例1〜5と比較して劣っていた。
(1)接着性試験(カッター試験)
乾燥直後(養生なし)および養生1日後の偏光板について、偏光板の各フィルム間(偏光フィルムとノルボルネン樹脂フィルムとの間および、偏光フィルムとトリアセチルセルロースフィルムとの間)にカッターの刃を入れ、刃を押し進めたときの刃の入り方を、以下の基準で評価した。
A:カッターの刃がフィルム間に入らない。
B:カッターの刃を押し進めたときに、刃がフィルム間に4〜5mm入ったところで止まる。
C:カッターの刃がフィルム間に無理なく入る。
(2)耐水性試験(温水浸漬試験)
常温で1日放置することにより養生した偏光板について、次に示す方法により耐水性を評価した。すなわち、偏光板の吸収軸(延伸方向)を長辺として5cm×2cmの短冊状に偏光板をカットしてサンプルを作製し、長辺方向の寸法を正確に測定した。ここで、サンプルは、偏光フィルムに吸着されたヨウ素に起因して、全面にわたって均一に特有の色を呈している。次に、図1(A)に示すように、当該サンプルの一短辺側を、把持部5で把持し、長手方向の8割ほどを60℃の水槽に浸漬し、4時間保持した。その後、サンプルを水槽から取り出し、水分を拭取った。温水浸漬により、偏光板の偏光フィルムは収縮する。この偏光フィルムの収縮程度を、サンプル短辺の中央における、サンプルの端(保護フィルムの端)から収縮した偏光フィルムの端までの距離を測定することにより評価し、収縮長さとした。図1(B)は、温水浸漬後のサンプルの状態を模式的に示す平面図である。図1(B)に示されるように、温水浸漬により、偏光板の真中に位置する偏光フィルムが縮むことにより、保護フィルム間に偏光フィルムが存在しない領域2が形成される。また、温水浸漬によって、温水に接する偏光フィルムの周縁部からヨウ素が溶出し、偏光板周縁部に色が抜けた部分3が生じる(図1(B)参照)。この色抜け程度を、サンプル短辺の中央における、偏光フィルムの端から偏光板特有の色が残っている領域1までの距離を測定することにより評価し、ヨウ素抜け長さとした。また、上記収縮長さとヨウ素抜け長さとの合計を総侵食長さXとした。すなわち、総侵食長さXとは、サンプル短辺の中央における、サンプルの端(保護フィルムの端)から偏光板特有の色が残っている領域1までの距離である。収縮長さ、ヨウ素抜け長さおよび総侵食長さXが小さいほど、水存在下における接着性(耐水性)が高いと判断することができる。
Claims (6)
- ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの少なくとも片面に接着剤層を介して保護フィルムが積層されてなる偏光板であって、
前記接着剤層は、アニオン変性ポリビニルアルコール樹脂ならびに、1分子内に少なくとも2個のイソシアネート基(−NCO)を有するポリイソシアネート化合物および親水性基と疎水性基とを含有する分散剤を含む組成物である水分散性ポリイソシアネート硬化剤を含む水性接着剤より形成される偏光板。 - 前記水性接着剤は、前記アニオン変性ポリビニルアルコール樹脂100質量部に対し、前記水分散性ポリイソシアネート硬化剤を5〜150質量部含有する請求項1に記載の偏光板。
- 前記偏光フィルムの片面にシクロオレフィン系樹脂からなる保護フィルムが積層され、他面には酢酸セルロース系樹脂からなる保護フィルムが積層されている請求項1または2に記載の偏光板。
- 前記偏光フィルムの両面にシクロオレフィン系樹脂からなる保護フィルムが積層されている請求項1または2に記載の偏光板。
- ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムに、アニオン変性ポリビニルアルコール樹脂ならびに、1分子内に少なくとも2個のイソシアネート基(−NCO)を有するポリイソシアネート化合物および親水性基と疎水性基とを含有する分散剤を含む組成物である水分散性ポリイソシアネート硬化剤を含む水性接着剤を介して、保護フィルムを積層する偏光板の製造方法。
- 前記保護フィルムは、シクロオレフィン系樹脂または酢酸セルロース系樹脂からなる保護フィルムである請求項5に記載の偏光板の製造方法。
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