JP2005074874A - インクジェット記録材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明の目的は、インク吸収性が高く、ひび割れ耐性に優れ、かつ長時間にわたり安定した品質を製造することが可能なインクジェット記録材料を提供することにある。
【解決手段】 支持体上にインク受容層を有するインクジェット記録材料において、該インク受容層が、架橋性基を有する有機化合物及びカチオン性ポリマー存在下で分散されたシリカ分散物と、ヒドロキシル基を有する親水性高分子とを含有することを特徴とするインクジェット記録材料。
【選択図】 なし
【解決手段】 支持体上にインク受容層を有するインクジェット記録材料において、該インク受容層が、架橋性基を有する有機化合物及びカチオン性ポリマー存在下で分散されたシリカ分散物と、ヒドロキシル基を有する親水性高分子とを含有することを特徴とするインクジェット記録材料。
【選択図】 なし
Description
本発明は、新規のインクジェット記録材料に関し、詳しくは、インク吸収性が高く、ひび割れ耐性に優れ、かつ長時間にわたり安定した品質を製造することが可能なインクジェット記録材料に関する。
近年、インクジェット記録材料は、急速にその画質向上が図られ、写真画質に迫りつつある。特に、写真画質に匹敵する画質をインクジェット記録で達成するために、インクジェット記録用紙の面からも改良が進んでおり、高平滑性の支持体上に顔料と親水性ポリマーから成る微小なインク受容層を設けた空隙型の記録用紙は、高い光沢を有し、鮮やかな発色を示し、インク吸収性及び乾燥性に優れていることから、最も写真画質に近いものの一つになりつつある。非吸水性支持体を使用した場合は、吸水性支持体に見られるようなプリント後のコックリング(いわゆる皺)の発生がなく、高平滑な表面を維持できるため、より高品位なプリントを得ることができる。更に、水溶性染料インクを用いたプリント画像は、鮮明性が高く、かつ均一な表面光沢を有する写真画質に匹敵するカラープリントが得られる。
その中でも、特に、微細な空隙径を持つインクジェット記録材料は、写真用インクジェット記録用紙として90年代後半から急速に普及し、その工業的な地位を確立するに至っている。写真用インクジェット記録用紙としての多孔質媒体に要求される特性としては、(1)均一な表面、また時として光沢度の高い表面を有し、(2)着弾したインクを素早く吸収し、(3)発色性が高いことが挙げられる。このような特性を持つインクジェット記録用紙として、微細な粒子径の無機微粒子と親水性バインダーを含有する塗布液を塗布したものが広く知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、無機微粒子と親水性バインダーを含む塗布液は、非常にデリケートなため、その形成された多孔質皮膜は、脆弱なため塗布乾燥中あるいは乾燥後の取扱いによっては、インク吸収性の低下やひび割れを生じやすい等の課題を抱えている。
しかし、近年のインクジェットプリンターの写真画質化・高速化に伴い、プリンターが吐出するインク量が増加し、吐出間隔も短くなっている。そのため、インクジェット記録材料にはより一層のインク吸収性が求められている。
そのため、インク吸収性をさらに改良するため、インク受容層中の高分子材料などを架橋剤を用いて、架橋する方法がとられてきた。
例えば、ヒドロキシル基を有する親水性高分子を架橋する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法によれば、耐水性とインク吸収性の向上が図れるが、これは、具体的には、ポリビニルアルコールを架橋したものであり、本発明に係る構成とは明らかに異なる。また、この方法では、シリカ微粒子を分散した後、これを含む塗布液調製時に架橋剤を添加しているが、この方法では塗布液を長時間停滞したときに、経時に伴い粘度上昇が激しく、現在求められている高品質のインクジェット記録材料を安定して多量に製造するに適するものではなかった。
一方、インクジェット記録材料のインク受容層を構成するポリマー中のカルボキシル基を架橋する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。また、カチオン性のポリマーそのものを架橋する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照。)が、上記方法による架橋を行う目的は耐水性の改良にあり、インク吸収性の改良に関しては一切言及がなされていない。
また、シリカ微粒子をシランカップリング剤で架橋することにより、印字濃度向上及び高い分散安定性を付与したインクジェット記録材料が開示されている(例えば、特許文献5参照。)が、インク吸収性の改良に関しては、一切言及されていない。
また、インク受容層のインク吸収性の改良として、気相法シリカと親水性バインダーとの比を特定の範囲に規定した方法が提案されているが、この方法では、ひび割れ耐性とインク吸収性とがトレードオフの関係にあり、いずれの性能を同時に満足するまでは至っていない。
また、インク受容層の減率乾燥前に、ホウ酸またはその塩をインク受容層表面にオーバーコートし、ひび割れを防止する方法(例えば、特許文献6参照。)が開示されているが、上記方法を実施するためには専用設備が必要となり、高品質のインクジェット記録材料を安価に提供することはできなかった。
特開平11−348409号公報 (特許請求の範囲)
特開平10−315615号公報 (特許請求の範囲)
特開2000−52647号公報 (特許請求の範囲)
特開2001−253164号公報 (特許請求の範囲)
特開2003−127532号公報 (特許請求の範囲)
特開平11−192777号公報 (特許請求の範囲)
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、インク吸収性が高く、ひび割れ耐性に優れ、かつ長時間にわたり安定した品質を製造することが可能なインクジェット記録材料を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
支持体上にインク受容層を有するインクジェット記録材料において、該インク受容層が、架橋性基を有する有機化合物及びカチオン性ポリマー存在下で分散されたシリカ分散物と、ヒドロキシル基を有する親水性高分子とを含有することを特徴とするインクジェット記録材料。
(請求項2)
前記架橋性基を有する有機化合物が、カルボジイミド基及びオキサゾリン基からなる群から選ばれる2つ以上の基を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録材料。
(請求項3)
前記ヒドロキシル基を有する親水性高分子が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録材料。
(請求項4)
前記インク受容層が、ホウ酸またはその塩を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録材料。
(請求項5)
前記シリカ分散物が、ホウ酸またはその塩を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録材料。
(請求項1)
支持体上にインク受容層を有するインクジェット記録材料において、該インク受容層が、架橋性基を有する有機化合物及びカチオン性ポリマー存在下で分散されたシリカ分散物と、ヒドロキシル基を有する親水性高分子とを含有することを特徴とするインクジェット記録材料。
(請求項2)
前記架橋性基を有する有機化合物が、カルボジイミド基及びオキサゾリン基からなる群から選ばれる2つ以上の基を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録材料。
(請求項3)
前記ヒドロキシル基を有する親水性高分子が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録材料。
(請求項4)
前記インク受容層が、ホウ酸またはその塩を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録材料。
(請求項5)
前記シリカ分散物が、ホウ酸またはその塩を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録材料。
本発明によれば、インク吸収性が高く、ひび割れ耐性に優れ、かつ長時間にわたり安定した品質を製造することが可能なインクジェット記録材料を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を進めた結果、支持体上にインク受容層を有するインクジェット記録材料において、該インク受容層が、架橋性基を有する有機化合物及びカチオン性ポリマー存在下で分散されたシリカ分散物と、ヒドロキシル基を有する親水性高分子とを含有するインクジェット記録材料により、インク吸収性が高く、ひび割れ耐性に優れ、かつ長時間にわたり安定した品質を製造することが可能なインクジェット記録材料を実現できることを見いだし、本発明に至った次第である。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明のインクジェット記録材料においては、インク受容層が架橋性基を有する有機化合物を含有することが特徴の一つである。
本発明でいう架橋とは、共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合、ファンデルワールス結合、疎水結合などにより結合されたことをいう。
本発明に係る架橋性基を有する有機化合物としては、従来公知のものが使用でき、例えば、カルボジイミド基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物、アルデヒド基を有する化合物、N−メチロール基を有する化合物、アクリロイル基を有する化合物、ビニルスルホン基を有する化合物、活性ハロゲン基を有する化合物、エチレンイミノ基を有する化合物、グリオキザール基を有する化合物、メラミンを有する化合物等を挙げることができるが、本発明においては、カルボジイミド基及びオキサゾリン基からなる群から選ばれる2つ以上の基を有する化合物であることが好ましい。
カルボジイミド基は、下記一般式(1)で表される。
一般式(1)
R1−N=C=N−R2
上記一般式(1)において、R1、R2は同一であっても異なっていても良く、それぞれ任意の置換基を表し、例えば、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ環基、アルケニル基、アリール基またはアシル基等が挙げられる。また、R1、R2のいずれか一方、またはR1、R2のいずれもが、任意のポリマー構造を有することも可能である。
R1−N=C=N−R2
上記一般式(1)において、R1、R2は同一であっても異なっていても良く、それぞれ任意の置換基を表し、例えば、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ環基、アルケニル基、アリール基またはアシル基等が挙げられる。また、R1、R2のいずれか一方、またはR1、R2のいずれもが、任意のポリマー構造を有することも可能である。
本発明に用いることのできるカルボジイミド基を有する化合物の具体例としては、カルボジイミド、N,N′−ジメチルカルボジイミド、N−エチル,N′−イソプロピルカルボジイミド、N,N′−ジイソプロピルカルボジイミド、N,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N′−ジフェニルカルボジイミド,N,N′−ジアセチルカルボジイミド、N,N′−ビス(2−プロペン)−カルボジイミド、N,N′−ジピロリジルカルボジイミド、N,N′−ジエトキシカルボジイミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミドメソ−パラ−トルエンスルホン酸塩、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、カルシウムシアナミド等が挙げられ、また、日清紡績株式会社製のカルボジライトV−02、V−02、V−02−L2、V−04、V−06、E−01、E−02なども好ましく用いることができる。
オキサゾリン基としては、下記一般式(2)で表される。
上記一般式(2)において、R1〜R5の全ては、同一であっても、一部が同一であって他が異なっていても、全て異なっていても良く、それぞれ任意の置換基を表し、例えば、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ環基、アルケニル基、アリール基またはアシル基等が挙げられる。また、R1〜R5のうち、少なくともひとつが任意のポリマー構造を有することも可能である。
本発明に用いることのできるオキサゾリン化合物としては、例えば、2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−エチル−2−オキサゾリン、2−(n−プロピル)−2−オキサゾリン、2−(イソプロピル)−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2−ピロリジル−2−オキサゾリン、2−アセチル−2−オキサゾリン、2−(2−プロペン)−2−オキサゾリン、4,5−ジメチル−2−オキサゾリン、2,4,4−トリメチル−2−オキサゾリン、5−フェニル−2−(2−プロピニルアミノ)−2−オキサゾリン−4−オン、4−エトキシメチレン−2−フェニル−2−オキサゾリン−5−オン等が挙げられ、また、株式会社日本触媒社製のエポクロスシリーズK−1010E、K−2010E、K−1020E、K−2020E、K−1030E、K−2030E、WS−500、WS−700、RPS−1005なども好ましく用いることができる。
次いで、カチオン性ポリマー存在下で、公知の分散装置を用いてシリカ微粒子を分散したシリカ分散物について説明する。
本発明で用いることのできるカチオン性ポリマーの例としては、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、エピクロルヒドリン・ジアルキルアミン付加重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・SO2共重合物、ポリビニルイミダゾール、ビニルピロリドン・ビニルイミダゾール共重合物、ポリビニルピリジン、ポリアミジン、キトサン、カチオン化澱粉、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド重合物、(2−メタクロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウムクロライド重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレート重合物等が挙げられる。
また、化学工業時報平成10年8月15、25日に述べられるカチオン性ポリマー、三洋化成工業株式会社発行「高分子薬剤入門」に述べられる高分子染料固着剤が例として挙げられる。
次いで、カチオン性ポリマーの存在下で分散されるシリカについて説明する。
通常、インク受容層に用いら、多孔質構造を形成する無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料を挙げることができるが、本発明においては、インクジェット記録材料で高品位なプリントを得る観点から、無機微粒子としては、シリカを用い、更には、コロイダルシリカ、もしくは気相法により合成された微粒子シリカが好ましく、気相法で合成されたシリカが特に好ましい。この気相法で合成されたシリカは、表面がアルミニウムで修飾されたものであっても良い。表面がアルミニウムで修飾された気相法シリカのアルミニウム含有率は、シリカに対して質量比で0.05〜5%のものが好ましい。
本発明のインクジェット記録材料においては、用いるシリカ微粒子の平均一次粒子径が、10nm以下であることが好ましく、更に好ましく3〜10nm、より好ましくは5〜10nmである。
上記シリカ微粒子は、一次粒子のままで、あるいは二次粒子もしくはそれ以上の高次凝集粒子で多孔質インク受容層に存在していても良いが、上記平均一次粒子径は、電子顕微鏡で観察した時に多孔質インク受容層中で独立の粒子を形成しているものの粒径をいう。
上記シリカ微粒子の多孔質インク受容層塗布液における含有量は、5〜40質量%であることが好ましく、特に7〜30質量%が好ましい。上記シリカ微粒子は、十分なインク吸収性があり、皮膜のひび割れ等が少ない多孔質インク受容層を形成する必要があり、多孔質インク受容層中には、10g/m2以上の付き量になることが好ましく、更には10〜55g/m2になることが好ましく、特に好ましくは10〜25g/m2である。
また、本発明のインクジェット記録材料では、インク受容層がヒドロキシル基を有する親水性高分子を含有していることが一つの特徴である。
インクジェット記録材料で用いられている親水性バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、カゼイン、澱粉、寒天、カラギーナン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール等の親水性ポリマーが挙げられるが、本発明においてはヒドロキシル基を有する親水性高分子を用いることが特徴の1つであり、ヒドロキシル基を有する親水性高分子がポリビニルアルコールであることが特に好ましい。
インクジェット記録材料で用いられている親水性バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、カゼイン、澱粉、寒天、カラギーナン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール等の親水性ポリマーが挙げられるが、本発明においてはヒドロキシル基を有する親水性高分子を用いることが特徴の1つであり、ヒドロキシル基を有する親水性高分子がポリビニルアルコールであることが特に好ましい。
このポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1000以上のものが好ましく用いられ、特に、平均重合度が1500〜5000のものが好ましく用いられ、更に、ケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平1−206088号に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号及び同63−307979号に記載されているようなビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号の記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載されているような疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
更に、変性ポリビニルアルコールとして、シリル基で変性したポリビニルアルコールも本発明ではポリビニルアルコールに含まれる。
また、ポリビニルアルコールは重合度、ケン化度や変性等の種類違いのものを2種類以上併用してもよい。
また、ポリビニルアルコールと共に、ゼラチン、ポリエチレンオキサイドまたはポリビニルピロリドンを併用することもできるが、これらの親水性ポリマーはポリビニルアルコールに対して好ましくは0〜50質量%、特に好ましくは0〜20質量%の範囲で用いることができる。
本発明においては、インク受容層あるいはシリカ分散物が、ホウ酸またはその塩を含有することが好ましい。
ホウ酸またはその塩としては、硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことを示し、具体的にはオルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸およびそれらの塩が含まれる。
ホウ酸またはその塩の使用量は、塗布液の無機微粒子や親水性バインダーの量により広範に変わり得るが、親水性バインダーに対して概ね1〜60質量%、好ましくは5〜40質量%である。
ホウ酸またはその塩などの架橋剤は、本発明に用いられる多孔質層形成用の水溶性塗布液を塗布する際に、該塗布液中に添加してもよく、あるいは架橋剤を含まない多孔質層形成用の水溶性塗布液を塗布、乾燥した後、架橋剤を含有する溶液をオーバーコートするなどして供給することができる。
本発明では、上記ホウ酸に加えて、他の架橋剤を併用することもでき、そのような架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤(例えば、ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系架橋剤(例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系架橋剤(例えば、2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(例えば、1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミ明礬、イソシアネート系化合物等が挙げられる。
架橋剤の使用量は、親水性バインダーの種類、架橋剤の種類、無機微粒子の種類や親水性バインダーに対する比率等により変化するが、例えば、親水性バインダーとしてポリビニルアルコールを用いる場合には、通常、ポリビニルアルコール1g当たり5〜500mg、好ましくは10〜300mgである。
次いで、上記説明した事項を除くインクジェット記録材料の構成要素を説明する。
本発明のインクジェット記録材料では、画像の耐水性や、耐湿性を改良するため、多価金属イオンを含有させることが好ましい。多価金属イオンは2価以上の金属イオンであれば特に限定されるものでは無いが、好ましい多価金属イオンとしては、アルミニウムイオン、ジルコニウムイオン、チタニウムイオン等が挙げられる。
本発明のインクジェット記録材料では、画像の耐水性や、耐湿性を改良するため、多価金属イオンを含有させることが好ましい。多価金属イオンは2価以上の金属イオンであれば特に限定されるものでは無いが、好ましい多価金属イオンとしては、アルミニウムイオン、ジルコニウムイオン、チタニウムイオン等が挙げられる。
これらの多価金属イオンは、水溶性または非水溶性の塩の形態で多孔質インク受容層に含有させることができる。アルミニウムイオンを含む塩の具体例としては、フッ化アルミニウム、ヘキサフルオロアルミン酸(例えば、カリウム塩)、塩化アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム(例えば、ポリ塩化アルミニウム)、テトラクロロアルミン酸塩(例えば、ナトリウム塩)、臭化アルミニウム、テトラブロモアルミン酸塩(例えば、カリウム塩)、ヨウ化アルミニウム、アルミン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩)、塩素酸アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、チオシアン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、硫酸アンモニウムアルミニウム(アンモニウムミョウバン)、硫酸ナトリウムアルミニウム、燐酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、燐酸水素アルミニウム、炭酸アルミニウム、ポリ硫酸珪酸アルミニウム、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムブチレート、エチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセトネート)等を挙げることができる。
これらの中でも、塩化アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、塩基性硫酸珪酸アルミニウムが好ましく、塩基性塩化アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウムが最も好ましい。
また、ジルコニウムイオンを含む塩の具体例としては、二フッ化ジルコニウム、三フッ化ジルコニウム、四フッ化ジルコニウム、ヘキサフルオロジルコニウム酸塩(例えば、カリウム塩)、ヘプタフルオロジルコニウム酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩やアンモニウム塩)、オクタフルオロジルコニウム酸塩(例えば、リチウム塩)、フッ化酸化ジルコニウム、二塩化ジルコニウム、三塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、ヘキサクロロジルコニウム酸塩(例えば、ナトリウム塩やカリウム塩)、酸塩化ジルコニウム(塩化ジルコニル)、二臭化ジルコニウム、三臭化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、臭化酸化ジルコニウム、三ヨウ化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム、過酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、硫化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、p−トルエンスルホン酸ジルコニウム、硫酸ジルコニル、硫酸ジルコニルナトリウム、酸性硫酸ジルコニル三水和物、硫酸ジルコニウムカリウム、セレン酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硝酸ジルコニル、リン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニウム、酢酸ジルコニル、酢酸ジルコニルアンモニウム、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニル、ステアリン酸ジルコニル、リン酸ジルコニル、シュウ酸ジルコニウム、ジルコニウムイソプロピレート、ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセチルアセトネート、アセチルアセトンジルコニウムブチレート、ステアリン酸ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセテート、ビス(アセチルアセトナト)ジクロロジルコニウム、トリス(アセチルアセトナト)クロロジルコニウム等が挙げられる。
これらの化合物の中でも、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、塩化ジルコニル、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニルが好ましく、特に、炭酸ジルコニルアンモニウム、塩化ジルコニル、酢酸ジルコニルが好ましい。
これらの多価金属イオンは、単独で用いても良いし、異なる2種以上を併用してもよい。多価金属イオンを含む化合物は、多孔質インク受容層を形成する塗布液に添加してもよいし、あるいは多孔質インク受容層を一旦塗布した後、特に多孔質インク受容層を一旦塗布乾燥した後に、多孔質インク受容層にオーバーコート法により供給してもよい。前者のように多価金属イオンを含む化合物をインク吸収層を形成する塗布液に添加する場合、水や有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒に均一に溶解して添加する方法、あるいはサンドミルなどの湿式粉砕法や乳化分散などの方法により微細な粒子に分散して添加する方法を用いることができる。多孔質インク受容層が複数の層から構成される場合には、1層のみ添加してもよく、また2層以上の層、あるいは全ての構成層の塗布液に添加することもできる。また、後者のように多孔質インク受容層を一旦形成した後、オーバーコート法で添加する場合には、多価金属イオンを含む化合物を溶媒に均一に溶解した後、多孔質インク受容層に供給するのが好ましい。
これらの多価金属イオンは、インクジェット記録材料1m2当り、概ね0.05〜20ミリモル、好ましくは0.1〜10ミリモルの範囲で用いられる。
本発明のインクジェット記録材料には、上記説明した構成要素の他に、各種の公知の添加剤を添加することができる。例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、またはこれらの共重合体、尿素樹脂、またはメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、カチオン界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
本発明に用いる支持体は、従来インクジェット記録材料用として公知のものを適宜使用でき、吸水性支持体であってもよいが、非吸水性支持体であることが好ましい。
本発明で用いることのできる吸水性支持体としては、例えば、一般の紙、布、木材等を有するシートや板等を挙げることができる。紙支持体としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプを主原料としたものが使用可能である。又、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の各種繊維状物質も原料として適宜使用することができる。
上記紙支持体中には必要に応じて、サイズ剤、顔料、紙力増強剤、定着剤等、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することができる。
紙支持体は、前記の木材パルプなどの繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。また、必要に応じて抄紙段階または抄紙機にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理したり、各種コート処理したり、カレンダー処理したりすることもできる。
本発明で用いることのできる非吸水性支持体には、透明支持体または不透明支持体がある。透明支持体としてはポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアテセート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料を有するフィルム等が挙げられ、中でもOHPとして使用されたときの輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、50μm〜200μmが好ましい。
又、不透明支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆるRCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに硫酸バリウム等の白色顔料を添加してなるいわゆるホワイトペットが好ましい。
前記各種支持体と多孔質インク受容層の接着強度を大きくする等の目的で、多孔質インク受容層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。更に、本発明に係るインクジェット記録材料は必ずしも無色である必要はなく、着色された記録シートであってもよい。
本発明のインクジェット記録材料では、原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるために特に好ましい。
そのようなポリエチレンでラミネートした紙支持体について以下に説明する。
紙支持体に用いられる原紙は木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ或いはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしてはLBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることが出来るが短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSP及びまたはLDPの比率は10質量%〜70質量%が好ましい。
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することが出来る。
抄紙に使用するパルプの濾水度はCSFの規定で200〜500mlが好ましく、又、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。原紙の坪量は30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。原紙は抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることも出来る。原紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS−P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良く、表面サイズ剤としては前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。原紙のpHはJIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することが出来る。
多孔質インク受容層側のポリエチレン層には、写真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量は、ポリエチレンに対して通常3質量%〜20質量%、好ましくは4質量%〜13質量%である。
ポリエチレン被覆紙は光沢紙として用いることも、又、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも本発明で使用できる。上記ポリエチレン被覆紙においては紙中の含水率を3質量%〜10質量%に保持するのが特に好ましい。
本発明のインクジェット記録材料は、多孔質インク受容層を含む各構成層を、各々単独にあるいは同時に、公知の塗布方式から適宜選択して、支持体上に塗布、乾燥して製造することができる。塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,761,419号、同第2,761,791号公報に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
同時重層塗布を行う際の各塗布液の粘度としては、スライドビード塗布方式を用いる場合には、5〜100mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは10〜50mPa・sの範囲である。また、カーテン塗布方式を用いる場合には、5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは25〜500mPa・sの範囲である。
また、塗布液の15℃における粘度としては、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、さらに好ましくは3,000〜30,000mPa・sであり、最も好ましいのは10,000〜30,000mPa・sである。
塗布および乾燥方法としては、塗布液を30℃以上に加温して、塗布を行った後、形成した塗膜の温度を1〜15℃に一旦冷却し、10℃以上で乾燥することが好ましく、より好ましくは、乾燥条件として、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件で行うことである。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜均一性の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
以下、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、実施例中で「%」は、特に断りの無いかぎり質量%を表す。
《インクジェット記録材料の作製》
〔記録材料1の作製〕
(シリカ分散液D−1の調製)
予め均一に分散されている、平均一次粒子径が約7nmの気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:アエロジル300)を20.5%を含むシリカ分散液S−1(pH2.6、エタノール0.5%含有 密度1.12g/cm3)の400Lを、カチオン性ポリマーP−1を13%、架橋性基を有する有機化合物として日本触媒社製エポクロスWS−500(オキザリン化合物)を1.13%、エタノールを3%含有する水溶液C−1(pH=6.86)の95Lに、室温で3000rpmで攪拌しながら添加し、次いでホウ酸を2%、ホウ砂を5%含む混合水溶液A−1を53Lを攪拌しながら、徐々に添加した。
〔記録材料1の作製〕
(シリカ分散液D−1の調製)
予め均一に分散されている、平均一次粒子径が約7nmの気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:アエロジル300)を20.5%を含むシリカ分散液S−1(pH2.6、エタノール0.5%含有 密度1.12g/cm3)の400Lを、カチオン性ポリマーP−1を13%、架橋性基を有する有機化合物として日本触媒社製エポクロスWS−500(オキザリン化合物)を1.13%、エタノールを3%含有する水溶液C−1(pH=6.86)の95Lに、室温で3000rpmで攪拌しながら添加し、次いでホウ酸を2%、ホウ砂を5%含む混合水溶液A−1を53Lを攪拌しながら、徐々に添加した。
次いで、三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで、3kN/cm2の圧力で分散し、全量を純水で630Lに仕上げて、ほぼ透明なシリカ分散液D−1を得た。
(水系塗布液E−1の調製)
上記調製したシリカ分散液D−1を用いて、以下に記載の各添加剤を順次混合して、インク受容層用の水系塗布液A−1を調製した。なお、液温はすべて40℃で行ない、各添加量は、塗布液1L当りの量で表示した。
シリカ分散液D−1 650ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製;PVA203)10%水溶液 100ml
ポリビニルアルコール平均重合度(3800 ケン化度88%)5%水溶液
178ml
純水で全量を1000mlに仕上げる。
上記調製したシリカ分散液D−1を用いて、以下に記載の各添加剤を順次混合して、インク受容層用の水系塗布液A−1を調製した。なお、液温はすべて40℃で行ない、各添加量は、塗布液1L当りの量で表示した。
シリカ分散液D−1 650ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製;PVA203)10%水溶液 100ml
ポリビニルアルコール平均重合度(3800 ケン化度88%)5%水溶液
178ml
純水で全量を1000mlに仕上げる。
(記録材料の作製)
上記調製した水系塗布液E−1を、湿潤膜厚が170μmとなるよう、両面をポリエチレンで被覆した紙支持体(RC紙)上に、液温40℃でスライドホッパー型コーターを用いて塗布した。
上記調製した水系塗布液E−1を、湿潤膜厚が170μmとなるよう、両面をポリエチレンで被覆した紙支持体(RC紙)上に、液温40℃でスライドホッパー型コーターを用いて塗布した。
なお、上記RC紙は、幅が約1.5m、長さが約4000mのロール状に巻かれた下記の紙支持体を用いた。
使用したRC紙は、含水率が8%で、坪量が170g/m2の写真用原紙表面を、アナターゼ型酸化チタンを6%含有するポリエチレンを、厚さ35μmで押し出して溶融塗布し、裏面には厚さ40μmのポリエチレンを、厚さ35μmで押し出し溶融塗布した。表面側はコロナ放電した後、ポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA235)を用いて、RC紙1m2当り0.05gとなるように下引層を塗布し、裏面側にはコロナ放電した後、RC紙1m2当り、Tgが約80℃のスチレン・アクリル酸エステル系ラテックスバインダー約0.4g、帯電防止剤(カチオン性ポリマー)0.1gおよび約2μmのシリカ0.1gをマット剤として含有するバック層を塗布した。
水系塗布液E−1の塗布後の乾燥は、5℃に保った冷却ゾーンを15秒間通過させて膜面の温度を13℃にまで低下させた後、複数設けた乾燥ゾーンにて20〜40℃の温風を6〜7分間吹付けて乾燥を行った後、ロール状に巻き取って記録材料1を得た。
〔記録材料2の作製〕
上記記録材料1の作製において、シリカ分散液D−1の調製に用いた日本触媒社製のエポクロスWS−500に代えて、日清紡績社製のカルボジライトV−02(カルボジイミド化合物)を用いた以外は同様にして、記録材料2を作製した。
上記記録材料1の作製において、シリカ分散液D−1の調製に用いた日本触媒社製のエポクロスWS−500に代えて、日清紡績社製のカルボジライトV−02(カルボジイミド化合物)を用いた以外は同様にして、記録材料2を作製した。
〔記録材料3の作製〕
上記記録材料1の作製において、シリカ分散液D−1の調製に用いた日本触媒社製のエポクロスWS−500に代えて、日清紡績社製のカルボジライトV−02−2L(カルボジイミド化合物)を用いた以外は同様にして、記録材料3を作製した。
上記記録材料1の作製において、シリカ分散液D−1の調製に用いた日本触媒社製のエポクロスWS−500に代えて、日清紡績社製のカルボジライトV−02−2L(カルボジイミド化合物)を用いた以外は同様にして、記録材料3を作製した。
〔記録材料4の作製〕
上記記録材料1の作製において、シリカ分散液D−1の調製に用いた日本触媒社製のエポクロスWS−500に代えて、日清紡績社製のカルボジライトV−04(カルボジイミド化合物)を用いた以外は同様にして、記録材料4を作製した。
上記記録材料1の作製において、シリカ分散液D−1の調製に用いた日本触媒社製のエポクロスWS−500に代えて、日清紡績社製のカルボジライトV−04(カルボジイミド化合物)を用いた以外は同様にして、記録材料4を作製した。
〔記録材料5の作製〕
上記記録材料1の作製において、シリカ分散液D−1の調製に用いた日本触媒社製のエポクロスWS−500に代えて、大日本インキ化学工業株式会社製バーノックDNW−5000(イソシアネート化合物)を用いた以外は同様にして、記録材料5を作製した。
上記記録材料1の作製において、シリカ分散液D−1の調製に用いた日本触媒社製のエポクロスWS−500に代えて、大日本インキ化学工業株式会社製バーノックDNW−5000(イソシアネート化合物)を用いた以外は同様にして、記録材料5を作製した。
〔記録材料6の作製〕
上記記録材料1の作製において、シリカ分散液D−1の調製に用いたA−1液を除いてシリカ分散液を調製した後、水系塗布液調製時に、ホウ酸1.1g、ホウ砂2.7gを添加した以外は同様にして、記録材料6を作製した。
上記記録材料1の作製において、シリカ分散液D−1の調製に用いたA−1液を除いてシリカ分散液を調製した後、水系塗布液調製時に、ホウ酸1.1g、ホウ砂2.7gを添加した以外は同様にして、記録材料6を作製した。
〔記録材料7の作製:比較例〕
上記記録材料1の作製において、シリカ分散液D−1の調製に用いた日本触媒社製のエポクロスWS−500を除いた以外は同様にして、記録材料7を作製した。
上記記録材料1の作製において、シリカ分散液D−1の調製に用いた日本触媒社製のエポクロスWS−500を除いた以外は同様にして、記録材料7を作製した。
〔記録材料8の作製:比較例〕
上記記録材料1の作製において、シリカ分散液D−1の調製に用いた日本触媒社製のエポクロスWS−500を除いてシリカ分散液を調製した後、水系塗布液調製時に、日本触媒社製エポクロスWS500の濃度が0.11%となるように添加した以外は同様にして、記録材料8を作製した。
上記記録材料1の作製において、シリカ分散液D−1の調製に用いた日本触媒社製のエポクロスWS−500を除いてシリカ分散液を調製した後、水系塗布液調製時に、日本触媒社製エポクロスWS500の濃度が0.11%となるように添加した以外は同様にして、記録材料8を作製した。
〔記録材料9の作製:比較例〕
上記記録材料2の作製において、シリカ分散液の調製に用いた日清紡績社製のカルボジライトV−02を除いてシリカ分散液を調製した後、水系塗布液調製時に、日本触媒社製のカルボジライトV−02の濃度が0.11%となるように添加した以外は同様にして、記録材料9を作製した。
上記記録材料2の作製において、シリカ分散液の調製に用いた日清紡績社製のカルボジライトV−02を除いてシリカ分散液を調製した後、水系塗布液調製時に、日本触媒社製のカルボジライトV−02の濃度が0.11%となるように添加した以外は同様にして、記録材料9を作製した。
〔記録材料10の作製:比較例〕
上記記録材料1の作製において、シリカ分散液D−1の調製に用いた日本触媒社製のエポクロスWS−500を除き、更に水系塗布液E−1の調製時にポリビニルアルコール(クラレ社製;PVA203)10%水溶液の添加量を100mlから90mlに、ポリビニルアルコール平均重合度(3800 ケン化度88%)5%水溶液の添加量を178mlから167mlに変更した以外は同様にして、記録材料10を作製した。
上記記録材料1の作製において、シリカ分散液D−1の調製に用いた日本触媒社製のエポクロスWS−500を除き、更に水系塗布液E−1の調製時にポリビニルアルコール(クラレ社製;PVA203)10%水溶液の添加量を100mlから90mlに、ポリビニルアルコール平均重合度(3800 ケン化度88%)5%水溶液の添加量を178mlから167mlに変更した以外は同様にして、記録材料10を作製した。
《記録材料の評価》
上記作製した記録材料1〜10について、下記の各評価を行った。
上記作製した記録材料1〜10について、下記の各評価を行った。
(インク吸収性の評価)
各記録材料に、セイコーエプソン社製インクジェットプリンターPM950Cを用いて緑のベタ画像印字を行い、印字直後の印字部分を指でこすって画像の乱れを目視で評価し、下記の基準に則りインク吸収性の評価を行った。
各記録材料に、セイコーエプソン社製インクジェットプリンターPM950Cを用いて緑のベタ画像印字を行い、印字直後の印字部分を指でこすって画像の乱れを目視で評価し、下記の基準に則りインク吸収性の評価を行った。
○:指で擦ってもほとんど画像の乱れなし
△:指で擦ると、やや画像がこすれて汚れる
×:指で擦ると、画像がこすれて汚れる
(ひび割れ耐性の評価)
各記録材料の塗布面を0.1m2にわたってルーペを用いてひび割れの状態を観察し、下記の基準に則りひび割れ耐性の評価を行った。
△:指で擦ると、やや画像がこすれて汚れる
×:指で擦ると、画像がこすれて汚れる
(ひび割れ耐性の評価)
各記録材料の塗布面を0.1m2にわたってルーペを用いてひび割れの状態を観察し、下記の基準に則りひび割れ耐性の評価を行った。
◎:ひび割れの発生がほとんど観察されない
○:0.5mm未満の微小なひび割れが数点観察される
△:0.5mm以上の粗大なひび割れが数点観察される
×:0.5mm以上の粗大なひび割れが全面に観察される
(増粘性の評価)
各記録材料の作製で用いた各塗布液の調液直後の粘度及び40℃で3時間攪拌しながら停滞した後の粘度を、それぞれ落下式粘度計で測定し、調液直後の粘度と停滞後の粘度との差ΔVisを求め、下記の基準に則り増粘性を評価した。
○:0.5mm未満の微小なひび割れが数点観察される
△:0.5mm以上の粗大なひび割れが数点観察される
×:0.5mm以上の粗大なひび割れが全面に観察される
(増粘性の評価)
各記録材料の作製で用いた各塗布液の調液直後の粘度及び40℃で3時間攪拌しながら停滞した後の粘度を、それぞれ落下式粘度計で測定し、調液直後の粘度と停滞後の粘度との差ΔVisを求め、下記の基準に則り増粘性を評価した。
○:ΔVisが15mPa・s未満である
△:ΔVisが15mPa・s以上、60mPa・s未満である
×:ΔVisが60mPa・s以上である
以上により得られた結果を、表1に示す。
△:ΔVisが15mPa・s以上、60mPa・s未満である
×:ΔVisが60mPa・s以上である
以上により得られた結果を、表1に示す。
表1の結果より明らかなように、架橋性基を有する有機化合物及びカチオン性ポリマー存在下で分散されたシリカ分散物と、ヒドロキシル基を有する親水性高分子とを含有する塗布液を用いてインク受容層を形成した本発明の記録材料は、比較例に対し、オキサゾリン基もしくはカルボジイミド基を含む化合物を添加することにより、インク吸収性、ひび割れ耐性を有することが分かる。
また、架橋性基を有する有機化合物を塗布液に直接添加した記録材料7、8は、塗布液停滞による粘度変動が大きく安定した塗布を行うことができなかった。これに対し、オキサゾリン基もしくはイミド基を含む化合物をシリカ分散液に添加した本発明の記録材料1〜4は、優れたインク吸収性、ひび割れ耐性を維持すると共に,調液後も増粘しない、安定した塗布液を得ることができた。
Claims (5)
- 支持体上にインク受容層を有するインクジェット記録材料において、該インク受容層が、架橋性基を有する有機化合物及びカチオン性ポリマー存在下で分散されたシリカ分散物と、ヒドロキシル基を有する親水性高分子とを含有することを特徴とするインクジェット記録材料。
- 前記架橋性基を有する有機化合物が、カルボジイミド基及びオキサゾリン基からなる群から選ばれる2つ以上の基を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録材料。
- 前記ヒドロキシル基を有する親水性高分子が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録材料。
- 前記インク受容層が、ホウ酸またはその塩を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録材料。
- 前記シリカ分散物が、ホウ酸またはその塩を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録材料。
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003309811A Pending JP2005074874A (ja) | 2003-09-02 | 2003-09-02 | インクジェット記録材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005074874A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009025728A (ja) * | 2007-07-23 | 2009-02-05 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 偏光板およびその製造方法 |
-
2003
- 2003-09-02 JP JP2003309811A patent/JP2005074874A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009025728A (ja) * | 2007-07-23 | 2009-02-05 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 偏光板およびその製造方法 |
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