JP2006231567A - インクジェット記録用紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】 指紋の付着、反射光による鑑賞のしにくさ、表面光沢によるギラツキを改善したインクジェット記録用紙に関し、塗布時のヒビワレを改善すること。
【解決手段】 紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体上に少なくとも2層の多孔質インク吸収層を有するインクジェット記録用紙において、該支持体表面のJIS−Z−8741による60度鏡面光沢度が5〜30%で、JIS−B−0601による基準長2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定した際の中心線平均粗さRaが0.8〜3.0μmであり、該支持体とインク吸収層の間に親水性ポリマーからなる下引層を有し、且つインク吸収層の内、支持体から最も離れた層にマット剤を含有し、最も近い層に水酸基を有する高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
【選択図】 なし
【解決手段】 紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体上に少なくとも2層の多孔質インク吸収層を有するインクジェット記録用紙において、該支持体表面のJIS−Z−8741による60度鏡面光沢度が5〜30%で、JIS−B−0601による基準長2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定した際の中心線平均粗さRaが0.8〜3.0μmであり、該支持体とインク吸収層の間に親水性ポリマーからなる下引層を有し、且つインク吸収層の内、支持体から最も離れた層にマット剤を含有し、最も近い層に水酸基を有する高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
【選択図】 なし
Description
本発明は、インクジェット記録用紙に関する。
近年のインクジェット記録の飛躍的な技術革新に伴い、プリント品質は銀塩写真で得られるプリントに匹敵しつつある。インクジェット記録で得られるプリント品質はプリンタ、インク、記録用紙の3つに依存するが、画質面で見るならば前2者の最近の技術革新が大きく、記録用紙の差が最終的なプリント品質に対する重要性が非常に高まってきている。
銀塩写真プリントに近いプリントをインクジェット記録で得るために、記録用紙の側で種々の改良が従来からなされてきているが、特に支持体として紙の両面をポリエチレン等のポリオレフィン樹脂で被覆した支持体を用い、その上にインク吸収層を設けた記録用紙はプラスチックフィルムに比べて比較的低コストであること、その重厚感やしなやかさ、平滑性、光沢性などの面で、銀塩写真のプリントに近い高級感のあるプリントとして最近は広く普及してきている。
支持体上に設けられるインク吸収層としては、大きく膨潤型インク吸収層と空隙型インク吸収層が知られている。
膨潤型インク吸収層はゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンあるいはポリエチレンオキサイドなどの親水性ポリマーから実質的に構成されるものである。膨潤型インク吸収層の特徴は高い光沢性が得られることと、膨潤性ポリマーを使用しているために、ポリマーが膨潤できる範囲であれば大容量のインクを吸収できること、低コストで製造できる利点などが上げられるが、一方で低乾燥性であり印字後直ぐに表面に触れない、インク液滴の吸収速度が遅く高速印字したときに吸収速度が遅いことに伴う画像のムラが出来やすい欠点がある。
空隙型インク吸収層はその製法にいくつかの種類があるが、代表的なものは少量の親水性ポリマーと多量の無機微粒子からなる層であり、微粒子の間に空隙が形成されてここにインクを吸収するものである。この空隙型インク吸収層の特徴は、インク吸収速度は速くプリント時にムラが生じにくいこと、プリント直後に表面が見かけ上乾いていること、等が挙げられ、特に高速印字特性、高画質化などの点で膨潤型のインク吸収層より好ましい。
空隙型インク吸収層は、空隙を形成するために親水性バインダーに対して無機微粒子を多量に含む多孔質層であることが必要で、このような空隙皮膜は非常に剛性が高く固い皮膜になることから、インク吸収層にヒビワレや折れワレが発生しやすい。ヒビワレはインク吸収層の塗布乾燥時に生じる微小な亀裂であり、折れワレはシート状の記録材料を取り扱う際に記録材料が折れ曲がったときインク吸収層に亀裂が生じる現象である。
特に前記のごとく支持体として紙の両面をポリエチレン等のポリオレフィン樹脂で被覆した支持体を用いた場合、支持体はインク吸収できないため乾燥膜厚が厚くなり、ヒビワレ、折れワレがより発生しやすいという課題を抱えている。
ところで、指紋の付きやすさ、反射しやすいことによる鑑賞しにくさを避けたい場合がある。また、顔料インクを使用してプリントしたときに顔料インクが盛り上がって定着されることで、光沢低下や顔料粒子の凝集による金属光沢を発し、光沢度差が拡大してギラツキが生じ不自然なプリントになることがある。このような課題を解決するため、光沢を低下させたマット面や半光沢面のインクジェット記録用紙が知られている。
表面の光沢を落とす方法としては、例えば、1)インク吸収層にマット剤を添加する方法、2)規則的または不規則な形状を有する支持体上にインク吸収層を設けること等が知られている。最高濃度等に影響を与えずに有効に光沢を落とすには2)の方法が有効だが、1)の方法を併用することで光沢を更に細かく制御することが可能になる。
前記空隙型においては、例えば、特開2000−296667号、同2000−296669号、同2000−318308号、同2001−347748号の各公報には前記2)の技術が開示されている。更に、例えば、特開2000−341409号、同2001−347753号の各公報には1)と2)を併用する技術が開示されている。
また、ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体上に気相法シリカを含有するインク吸収層を有し、下引層を設けてヒビワレ、折れワレ、インク吸収性、光沢性等を改良したインクジェット記録材料(例えば、特許文献1、2参照。)、耐水性支持体上に無機微粒子と親水性バインダーを有するインクジェット記録材料(例えば、特許文献3参照。)が知られている。更にポリビニルアルコールを下引層に用いる技術(例えば、特許文献4、5参照。)が知られている。
ところが、このような空隙型のインク吸収層を塗布乾燥する際に、ヒビワレが従来より発生しやすくなることがわかった。一般にインク吸収層が塗布乾燥時の収縮応力に耐えられなくなり、何らかのきっかけで発生した微小な亀裂が成長して、目視で判るヒビワレとなると考えられるが、この場合支持体の微小な凹凸やマット剤への応力集中がきっかけとなり、よりヒビワレやすくなったと考えられる。
従来、支持体上に下引層を設けてインク吸収層の界面接着強度を強めることでヒビワレを改良する技術が種々開示されているが、近年生産性アップ、コストダウン等のために塗布速度を上げた場合、また大判プリンタ用途でインク吸収層の厚くしていくと、特に上記のような表面形状を有する支持体とマット剤を併用した場合には、ヒビワレ耐性が不十分になってきた。
特開2001−96898号公報
特開2000−351270号公報
特開2003−145922号公報
特開2000−355163号公報
特開2001−63203号公報
本発明は上記の実態に鑑みてなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、指紋の付着、反射光による鑑賞のしにくさ、表面光沢によるギラツキを改善したインクジェット記録用紙に関し、塗布時のヒビワレを改善したインクジェット記録用紙を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記構成により達成された。
(請求項1)
紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体上に少なくとも2層の多孔質インク吸収層を有するインクジェット記録用紙において、該支持体表面のJIS−Z−8741による60度鏡面光沢度が5〜30%で、JIS−B−0601による基準長2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定した際の中心線平均粗さRaが0.8〜3.0μmであり、該支持体とインク吸収層の間に親水性ポリマーからなる下引層を有し、且つインク吸収層の内、支持体から最も離れた層にマット剤を含有し、最も近い層に水酸基を有する高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体上に少なくとも2層の多孔質インク吸収層を有するインクジェット記録用紙において、該支持体表面のJIS−Z−8741による60度鏡面光沢度が5〜30%で、JIS−B−0601による基準長2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定した際の中心線平均粗さRaが0.8〜3.0μmであり、該支持体とインク吸収層の間に親水性ポリマーからなる下引層を有し、且つインク吸収層の内、支持体から最も離れた層にマット剤を含有し、最も近い層に水酸基を有する高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
(請求項2)
前記水酸基を有する高分子分散剤がポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用紙。
前記水酸基を有する高分子分散剤がポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用紙。
(請求項3)
前記エマルジョン樹脂のガラス転移温度(Tg)が20℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
前記エマルジョン樹脂のガラス転移温度(Tg)が20℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
(請求項4)
前記親水性ポリマーがポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール誘導体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
前記親水性ポリマーがポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール誘導体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
本発明により、指紋の付着、反射光による鑑賞のしにくさ、表面光沢によるギラツキを改善したインクジェット記録用紙に関し、塗布時のヒビワレを改善することができた。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において用いられる支持体は、JIS−B−0601に規定される基準長2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線表面粗さRaが0.8〜3.0μmであって、JIS−Z−8741による60度鏡面光沢度が5〜30%であり、更に2層以上の多孔質インク吸収層の内、支持体から最も離れた層にマット剤を含有せしめることによって、支持体表面は凹凸面となり、表面の光沢が落ち、指紋の付着、反射光による鑑賞のしにくさが改善される。
中心線表面粗さRaが0.8μm未満であるとギラツキを防止する効果がなくなり、またRa3.0μmを越えるとインク液滴が表面の凹凸によって流れ溜まり、プリント画像上に白抜けや濃い斑点などのマダラ状のムラが生じやすい。また、インク吸収層が空隙を有する硬い多孔質皮膜である場合には、中心線表面粗さRaが3.0μmを越えると製造時に皮膜にひび割れが生じやすくなる。好ましくは中心線表面粗さRaの範囲は1.0〜3.0μmである。しかし、中心線表面粗さRaが上記範囲内であってもギラツキが発生する場合があり、更に表面光沢度を5〜30%の範囲、好ましくは10〜25%に調整する必要がある。
ところが、支持体表面が凹凸面となると、インク吸収層に塗布乾燥時のヒビワレが従来より発生しやすくなることがわかった。これは一般にインク吸収層が塗布乾燥時の収縮応力に耐えられなくなり、何らかのきっかけで発生した微小な亀裂が成長して、目視で判るヒビワレとなると考えられるが、この場合支持体の微小な凹凸やマット剤への応力集中がきっかけとなり、よりヒビワレやすくなったと考えられる。
そこで本発明では、支持体とインク吸収層の間に親水性ポリマーからなる下引層を設け、2層以上の多孔質インク吸収層の内、最も近い層に水酸基を有する高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂を含有せしめることによって、ヒビワレを大幅に改善することができた。
本発明に係る支持体に用いられる紙としては木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えて、ポリプロピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSPまたはLDPの比率は10質量%以上、70質量%以下が好ましい。上記パルプとしては、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
紙中には、例えば、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度はCSFの規定で200〜500mlが好ましく、また叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70質量%であることが好ましい。なお、4メッシュ残分の質量%としては、20質量%以下であることが好ましい。
本発明に係る支持体においては、特に制限はないが、紙の坪量が50〜250g/m2が好ましい。用いる紙は抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理を施して高平滑性を付与することもできる。紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS−P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中に添加できる高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤を使用できる。また、紙のpHはJIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
次いで、上記説明した紙の両面を被覆するポリオレフィン樹脂について説明する。紙の両面を被覆するのに用いられるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、エチレン、プロピレンを主体とする共重合体などのポリオレフィン類が好ましいが、ポリエチレンが特に好ましい。
以下、特に好ましいポリエチレンについて説明する。紙表面及び裏面を被覆するポリエチレン樹脂は、主として低密度ポリエチレン(LDPE)または高密度ポリエチレン(HDPE)であるが、その他に線状低密度ポリエチレン(LLDPE)やポリプロピレン等も一部使用することができる。
特にインク吸収層塗設面側のポリエチレン樹脂層には、写真用印画紙で広く行われているように、ルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン樹脂層中に添加し、不透明度及び白色度を改良する方法も好ましく用いることができる。上記酸化チタンの含有量は、ポリエチレンに対して概ね3〜20質量%、好ましくは4〜13質量%である。
ポリプロピレン樹脂層中には、白地の調整を行うため高い耐熱性を有する顔料や蛍光増白剤を添加することができる。
着色顔料としては、例えば、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、マンガンブルー、セルリアン、タングステンブルー、モリブデンブルー、アンスラキノンブルー等が挙げられる。また蛍光増白剤としては、例えば、ジアルキルアミノクマリン、ビスジメチルアミノスチルベン、ビスメチルアミノスチルベン、4−アルコキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸−N−アルキルイミド、ビスベンズオキサゾリルエチレン、ジアルキルスチルベンなどが挙げられる。
上記説明したポリオレフィン樹脂を紙に塗布する方法は、特に制限なく公知の方法を用いることができるが、加熱溶融したポリオレフィンを紙上に押し出し塗布する方法が好ましい。樹脂を紙に塗布する前に、紙にコロナ放電処理や火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。紙の表裏のポリエチレンの使用量は、インク吸収層の膜厚やバック層を設けた後で、低湿及び高湿下でのカールを最適化するように選択されるが、一般にはポリエチレン層の厚さはインク吸収層側で15〜40μm、バック層尾側で10〜30μmの範囲である。表裏の厚み等により変化するカールを調整するように設定されるのが好ましく、通常は表/裏のポリエチレンの比率は厚みで概ね3/1〜1/3である。
本発明に係る両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体は、該支持体表面のJIS−Z−8741による60度鏡面光沢度が5〜30%で、JIS−B−0601による基準長2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定した際の中心線平均粗さRaが0.8〜4.0μmとなるように、ポリオレフィン樹脂で紙に被覆した後に表面に型付け処理されたものである。
ポリオレフィン樹脂表面に型付けする代表的な方法は、基紙上に溶融したポリオレフィン樹脂を押し出しコーティングした後、型付けロールに圧接して微細な凹凸の模様付けを行うことにより行われている。この模様付けを行う方法には、溶融押し出しして得られる樹脂コート紙に室温付近でエンボシングカレンダー処理する方法と、ポリオレフィン樹脂の押し出しコーティング時にロール表面に模様を彫刻したクーリングロールを使用して冷却しながら凹凸を形成する方法があるが、後者が比較的弱い圧力で型付けすることができ、しかも正確で均質な型付けができることから好ましい。
樹脂表面の形状はクーリングロール表面の形状により、高光沢か、無光沢か、パターン化された形状、例えば、絹目状、マット状等に形成することができるが、本発明では型付けロールを使用して、支持体表面のJIS−Z−8741による60度鏡面光沢度が5〜30%で、JIS−B−0601による基準長2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定した際の中心線平均粗さRaが0.8〜3.0μmとなるようにしたものである。前述のごとく、60度鏡面光沢度は好ましくは10〜25%、中心線平均粗さRaは好ましくは1.0〜3.0μmである。
本発明に係るポリオレフィン樹脂で被覆した紙支持体は、以下の特性を有していることが好ましい。
(1)引っ張り強さは、JIS−P−8113で規定される強度で縦方向が19.6〜294N、横方向が9.8〜196Nであることが好ましい
(2)引き裂き強度は、JIS−P−8116で規定される強度で縦方向が0.20〜2.94N、横方向が0.098〜2.45Nが好ましい
(3)圧縮弾性率は、9.8kN/cm2が好ましい
(4)不透明度は、JIS−P−8138に規定された方法で測定したときに80%以上、特に85〜98%が好ましい
(5)白さは、JIS−Z−8727で規定されるL*、a*、b*が、L*=80〜96、a*=−3〜+5、b*=−7〜+2であることが好ましい
(6)クラーク剛直度は、記録用紙の搬送方向のクラーク剛直度が50〜300cm3/100である支持体が好ましい。
(2)引き裂き強度は、JIS−P−8116で規定される強度で縦方向が0.20〜2.94N、横方向が0.098〜2.45Nが好ましい
(3)圧縮弾性率は、9.8kN/cm2が好ましい
(4)不透明度は、JIS−P−8138に規定された方法で測定したときに80%以上、特に85〜98%が好ましい
(5)白さは、JIS−Z−8727で規定されるL*、a*、b*が、L*=80〜96、a*=−3〜+5、b*=−7〜+2であることが好ましい
(6)クラーク剛直度は、記録用紙の搬送方向のクラーク剛直度が50〜300cm3/100である支持体が好ましい。
(7)紙支持体中の水分は、中紙に対して4〜10%が好ましい。
なお本発明に係る支持体が、後述するバック層を有する場合には支持体の定義にはバック層は含まれるものとする。
本発明のインクジェット記録用紙においては、インク吸収層を有する面側とは反対側の面に、カール調整や帯電防止を目的としてバック層を設けることができる。バック層としては、親水性バインダー、疎水性バインダー、あるいはこれらを組み合わせた混合バインダーからなる層が用いられる。
印字前後のカール調整の両立、表面側の印字した画像を転写しにくくするため、バック層のバインダーとしては疎水性バインダーを用いることが好ましく、特に好ましくは疎水性ラテックスポリマーにより形成した疎水性バック層である。疎水性バック層を設けた場合、バック層自身にはカール調整機能があまりないが、同時に添加する帯電防止剤やマット剤により、表面との滑り性が改善され、その結果プリンタにおける搬送性が改善される。
本発明で用いることのできる疎水性ラテックスポリマーとしては、例えば、エチレン、酢酸ビニル、スチレン、ブタジエン、塩化ビニル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ジビニルベンゼンなどの重合可能なモノマーの単独又は共重合体ラテックス等を挙げることができる。
また本発明に係るバック層には、滑り性を付与するためマット剤、界面活性剤、第4級アンモニウム塩基を有するポリマー等の帯電防止剤、ワックス類、シリコン系化合物またはフッ素系化合物等の滑り性改良剤を含有することができる。バック層に用いられるマット剤としては、平均粒径が0.5〜50μm、好ましくは1〜30μmのマット剤で、シリカ等の無機粒子、メチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレンなどの有機微粒子が挙げられる。
本発明に係る支持体上に設けるバック層の膜厚は、バック層を構成するバインダーの特性により変化するが、好ましく用いられる疎水性バインダーの場合には、記録用紙1m2当たり0.01〜5g、好ましくは0.02〜2gである。
上記説明したバック層は、インク吸収層を形成する前に予め支持体上に設けていてもよく、またインク吸収層を塗布した後で設けてもよい。
次に、支持体上に設けられる多孔質インク吸収層について説明する。本発明に係る多孔質インク吸収層は少なくとも2層以上あり、基本的に無機微粒子と少量の親水性バインダーから形成される多孔質層である。少なくとも2層以上ある多孔質インク吸収層の内、支持体から最も離れた層にマット剤を含有し、最も近い層に水酸基を有する高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂を含有する。
本発明に係る多孔質インク吸収層に用いることのできる無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。そのような無機微粒子は1次粒子のまま用いても、また二次凝集粒子を形成した状態で使用することもできる。
本発明においては、特に微細な空隙が形成できる観点より、無機微粒子としてはシリカ、コロイダルシリカまたは擬ベーマイトが好ましく、特に平均粒径が200nm以下の気相法により合成されたシリカ、コロイダルシリカ及び擬ベーマイトが好ましい。
無機微粒子の平均粒径は無機微粒子そのものを、あるいはインク吸収層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求め、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
本発明に係る多孔質インク吸収層に用いられる親水性バインダーとしては、ゼラチン(例えば、アルカリ処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、アミノ機をフェニルイソシアネートや無水フタル酸等で封鎖した誘導体ゼラチン等)、ポリビニルアルコール(特に平均重合度が300〜4000、ケン化度が80〜99.5%が好ましい)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシルエチルセルロース、寒天、プルラン、デキストラン、アクリル酸、カルボキシメチルセルロース、カゼイン、アルギン酸等が挙げられ、必要に応じて2種類以上を併用することもできる。上記の親水性ポリマーの中でも、湿度が変化した場合に吸湿性能の変化が相対的に小さいポリビニルアルコールが好ましい。
本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が300以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1000〜5000のものが好ましく用いられる。ケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基を、上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号、及び同63−307979号の各公報に記載されているようなビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載された疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。ポリビニルアルコールは重合度や変性の種類違いなど2種類以上を併用することもできる。
上記無機微粒子の使用量は記録用紙1m2当たり3〜50gであり、特に5〜30gが好ましい。また、親水性ポリマー使用量は記録用紙1m2当たり0.5〜10gであり、特に1〜5gであることが好ましい。また、無機微粒子の親水性ポリマーに対する比率は概ね質量比で3〜10である。
マット剤は平均粒子が1〜20μmの有機または無機微粒子であり、例えば、酸化チタン、シリカ、ガラス粉、硫酸バリウム、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂等が挙げられる。また、このマット剤は単分散のものあるいは多分散のものであってもよく、その分散度(標準偏差/平均粒径)は0.2〜10のものを用いることができる。また、マット剤による光沢度を効率よくコントロールするためには、インク吸収層は2層以上からなり、その最上層(支持体から最も離れた層)に添加するのが好ましい。この場合、用いるマット剤の平均粒径は、最上層の乾燥膜厚に対して0.5〜4倍の範囲のものを用いることが好ましい。
マット剤の使用量は粒径や分散度、マット剤を添加する層の膜厚、支持体の平滑度にも依存するが、概ね記録用紙1m2当たり0.02〜0.8g、好ましくは0.04〜0.5g/m2である。
本発明のインクジェット記録用紙においては、主に低湿下でのカール低減のため、本発明に係る多孔質インク吸収層が吸湿性化合物を上述した親水性バインダーに対し、5〜30質量%含有することが好ましい。本発明に用いられる吸湿性化合物としては、常温で液体状のものでも固体状のものでもよく、液体状のものである場合沸点が120℃以上のものが好ましい。
本発明に用いられる吸湿性化合物は、香粧会誌第8巻2号131頁に記載の保湿能力価評価法で求められる水分残存量が30%以上、300%以下であるものが好ましく、40%以上、200%以下であるものがより好ましく、40%以上、150%以下であるものが特に好ましい。
本発明に用いられる吸湿性化合物としては、例えば、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、トリエタノールアミン、エタノールアセトアミド等の有機酸及びその誘導体、アロエ、マロニエ等の植物抽出液、トリエチルグリシン、尿素及びその誘導体、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、プロリン等のアミノ酸、水溶性キチン、キトサン、ペクチン、コンドロイチン硫酸及びその塩等、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、セリン等の水溶性蛋白、コラーゲン加水分解物、ブドウ糖等の糖類及びその誘導体、特開平1−115677号公報及び同1−36749号公報、特開2002−187345号公報に酸化防止剤として記載されているチオエーテル系の化合物の中で、特に水溶性のもの等も挙げることができるが、本発明はこれに限られる訳ではなく、またこれらの1種または2種以上を使用することができる。本発明においては、得られる効果の点から尿素及びその誘導体、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパンの多価アルコール、水溶性チオエーテル類がより好ましい。
本発明のインクジェット記録用紙においては、インク吸収層の内、最も近いインク吸収層に水酸基を有する高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂を含有する。エマルジョン樹脂は、上記説明した親水性バインダーに対して10〜100質量%含有することが好ましい。
本発明で用いることのできるエマルジョン樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体エマルジョン、ポリアクリル酸エステル系エマルジョン、ポリメタクリル酸エステル系エマルジョン、ポリ酢酸ビニル系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン等が好ましく用いられる。
エマルジョン樹脂の乳化重合時に使用される分散剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール等の水酸基を有する高分子分散剤を挙げることができる。更には特開2003−63135号公報に記載の水酸基を含む高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂を挙げることができる。この中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。
本発明に係る高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂は、空隙形成時に柔軟性を付与し、ヒビワレの発生を抑制するため柔軟な性質を有するものが適しており、ガラス転移温度(Tg)が20℃以下であることが好ましく、−40〜10℃であることがより好ましい。
また、本発明のインクジェット記録用紙においては、上記説明した親水性バインダーに対して10〜100質量%のオイル分散物を含有することが好ましい。オイル分散物としては、一般に疎水性の高沸点有機溶媒として知られている有機化合物を、高速ホモジナイザーや高圧ホモジナイザー等の乳化分散機を用いて、親水性バインダー中に好ましくは界面活性剤の存在下で微小油滴として乳化分散して調製する。この際、酢酸エチル、酢酸プロピル、メチルエチルケトン、アセトン等の低沸点有機溶媒等を補助溶媒として用いて乳化分散することが、より微小な油滴を形成でき好ましい。また、この乳化分散時に他の疎水性有機化合物(例えば、紫外線吸収剤や蛍光増白剤、画像安定剤等)を併用することもできる。
本発明に係る疎水性の高沸点有機溶媒の具体例としては、フタル酸エステル類(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート等)、リン酸エステル類(例えば、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等)、脂肪酸エステル類(例えば、ステアリン酸ブチル、セバチン酸ビス(2−エチルヘキシル)、エチレングリコールジステアレート、グリセロールトリブチレート等)、アミド類(例えば、N,N−ジエチルウラウリルアミド、N,N−ジエチル−2−(2,5−ジ−t−アミノフェノキシ)ブタンアミド等)、エーテル類(例えば、エチレングリコールジブチルエーテル、デシルエーテル、ジベンジルエーテル等)、シリコンオイル及び流動パラフィン等を挙げることができる。
本発明のインクジェット記録用紙の多孔質インク吸収層には、上記説明した以外の各種の添加剤を適宜添加することができ、中でもカチオン媒染剤は印字後の耐水性や耐湿性を改良するために好ましい。
カチオン媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基及び第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が用いられるが、長期保存時の変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の媒染能が充分高いことなどから、第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好ましい。
好ましいポリマー媒染剤としては、上記第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体やその他のモノマーとの共重合体または縮重合体として得られる。
カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、エピクロルヒドリン・ジアルキルアミン付加重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・SO2共重合物、ポリビニルイミダゾール、ビニルピロリドン・ビニルイミダゾール共重合物、ポリビニルピリジン、ポリアミジン、キトサン、カチオン化澱粉、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド重合物、(2−メタクロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウムクロライド重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレート重合物などが挙げられる。また、化学工業時報平成10年8月15,25日に述べられるカチオン性ポリマー、三洋化成工業株式会社発行「高分子薬剤入門」に述べられる高分子染料固着剤が例として挙げられる。
また、本発明のインクジェット記録用紙では、画像の耐水性や耐湿性を改良するため、多価金属イオンを含有させることが好ましい。多価金属イオンは2価以上の金属イオンであれば特に限定されるものではないが、好ましい多価金属イオンとしてはアルミニウムイオン、ジルコニウムイオン、チタニウムイオン等が挙げられる。
これらの多価金属イオンは、水溶性または非水溶性の塩の形態でインク受容層に含有させることができる。アルミニウムイオンを含む塩の具体例としては、フッ化アルミニウム、ヘキサフルオロアルミン酸(例えば、カリウム塩)、塩化アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム(例えば、ポリ塩化アルミニウム)、テトラクロロアルミン酸塩(例えば、ナトリウム塩)、臭化アルミニウム、テトラブロモアルミン酸塩(例えば、カリウム塩)、ヨウ化アルミニウム、アルミン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩)、塩素酸アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、チオシアン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、硫酸アンモニウムアルミニウム(アンモニウムミョウバン)、硫酸ナトリウムアルミニウム、リン酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、リン酸水素アルミニウム、炭酸アルミニウム、ポリ硫酸珪酸アルミニウム、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムブチレート、エチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセトネート)等を挙げることができる。
これらの中でも、塩化アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、塩基性硫酸珪酸アルミニウムが好ましく、塩基性塩化アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウムが最も好ましい。
またジルコニウムイオンを含む塩の具体例としては、二フッ化ジルコニウム、三フッ化ジルコニウム、四フッ化ジルコニウム、ヘキサフルオロジルコニウム酸塩(例えば、カリウム塩)、ヘプタフルオロジルコニウム酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩やアンモニウム塩)、オクタフルオロジルコニウム酸塩(例えば、リチウム塩)、フッ化酸化ジルコニウム、二塩化ジルコニウム、三塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、ヘキサクロロジルコニウム酸塩(例えば、ナトリウム塩やカリウム塩)、酸塩化ジルコニウム(塩化ジルコニル)、二臭化ジルコニウム、三臭化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、臭化酸化ジルコニウム、三ヨウ化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム、過酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、硫化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、p−トルエンスルホン酸ジルコニウム、硫酸ジルコニル、硫酸ジルコニルナトリウム、酸性硫酸ジルコニル三水和物、硫酸ジルコニウムカリウム、セレン酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硝酸ジルコニル、リン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニウム、酢酸ジルコニル、酢酸ジルコニルアンモニウム、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニル、ステアリン酸ジルコニル、リン酸ジルコニル、シュウ酸ジルコニウム、ジルコニウムイソプロピレート、ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセチルアセトネート、アセチルアセトンジルコニウムブチレート、ステアリン酸ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセテート、ビス(アセチルアセトナト)ジクロロジルコニウム、トリス(アセチルアセトナト)クロロジルコニウム等が挙げられる。
これらの化合物の中でも、プリント後の滲み防止効果を得る観点において、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、塩化ジルコニル、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニルが好ましく、特に炭酸ジルコニルアンモニウム、塩化ジルコニル、酢酸ジルコニルが好ましい。
これらの多価金属イオンは単独で用いてもよいし、異なる2種以上を併用してもよい。多価金属イオンを含む化合物はインク受容層を形成する塗布液に添加してもよいし、あるいは多孔質層を一旦塗布した後、特に多孔質層を一旦塗布乾燥した後に、インク受容層にオーバーコート法により供給してもよい。前者のように多価金属イオンを含む化合物をインク吸収層を形成する塗布液に添加する場合、水や有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒に均一に溶解して添加する方法、あるいはサンドミルなどの湿式粉砕法や乳化分散などの方法により微細な粒子に分散して添加する方法を用いることができる。インク受容層が複数の層から構成される場合には、1層のみ添加してもよく、また2層以上の層あるいは全ての構成層の塗布液に添加することもできる。また、後者のように多孔質インク受容層を一旦形成した後、オーバーコート法で添加する場合には、多価金属イオンを含む化合物を溶媒に均一に溶解した後、インク受容層に供給するのが好ましい。
これらの多価金属イオンは、記録用紙1m2当たり、概ね0.05〜20ミリモル、好ましくは0.1〜10ミリモルの範囲で用いられる。
本発明のインクジェット記録用紙は、多孔質インク吸収層を形成する親水性バインダーの硬膜剤を添加することが好ましい。
本発明で用いることのできる硬膜剤としては、水溶性バインダーと硬化反応を起こすものであれば特に制限はないが、ホウ酸及びその塩が好ましいが、その他にも公知のものが使用でき、一般的には水溶性バインダーと反応し得る基を有する化合物あるいは水溶性バインダーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性バインダーの種類に応じて適宜選択して用いられる。
本発明で用いることのできる硬膜剤としては、例えば、エポキシ系硬膜剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウムミヨウバン等が挙げられる。
ホウ酸またはその塩とは、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことを言い、具体的にはオルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸及び八ホウ酸及びそれらの塩が挙げられる。硬膜剤としてのホウ素原子を有するホウ酸及びその塩は、単独の水溶液でも、また2種以上を混合して使用してもよい。特に好ましいのはホウ酸とホウ砂の混合水溶液である。ホウ酸とホウ砂の水溶液は、それぞれ比較的希薄水溶液でしか添加することができないが、両者を混合することで濃厚な水溶液にすることができ、塗布液を濃縮化することができる。また、添加する水溶液のpHを比較的自由にコントロールすることができる利点がある。
上記硬膜剤の総使用量は、上記親水性バインダー1g当たり1〜600mgが好ましい。
本発明のインクジェット記録用紙においては、上記以外に、例えば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報及び同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号公報、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報及び同3−13376号公報、特公平2−35675号公報、特開平9−254529号公報、特開2000−263928号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたは非イオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報及び特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
本発明のインクジェット記録用紙において、支持体とインク吸収層の間に親水性ポリマーからなる下引層を有する。
下引層に用いられる親水性ポリマーとしては、ゼラチンもしくはゼラチン誘導体、ポリビニルアルコールもしくはポリビニルアルコール誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシセルロース、澱粉もしくは澱粉誘導体、カラギーナン、アラビアゴム、プルランなどの公知の親水性ポリマーを使用することができる。これらの親水性ポリマーは2種以上を併用することもできる。
好ましい親水性ポリマーはゼラチンもしくはゼラチン誘導体及びポリビニルアルコールもしくはポリビニルアルコール誘導体であり、特に好ましくはポリビニルアルコールもしくはポリビニルアルコール誘導体である。
ポリビニルアルコールはインク吸収層との接着性がよいこと、弾性率が低くインク吸収層乾燥時の応力緩和ができ、ヒビワレの発生を防止できることから特に好ましい。本発明に好ましく用いられるポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルから得られるケン化度70〜100%で重合度100〜5000のものが用いられる。好ましくはケン化度85%以上で重合度は1000以上のものである。
これらのポリビニルアルコールは市販のもの、例えば、株式会社クラレ、日本合成化学工業株式会社等より容易に入手できる。本発明で用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる一般的なポリビニルアルコールの他にカルボン酸変性ポリビニルアルコール、アンモニウム塩変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、末端アルキル変性ポリビニルアルコール、末端カルボン酸変性ポリビニルアルコール、末端チオール変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。特にシラノール変性ポリビニルアルコールが好ましい。
これらの親水性ポリマーの付量は0.02〜0.3g/m2が好ましく、0.03〜0.1g/m2が特に好ましい。付量が少ないとインク吸収層と支持体の接着力が弱いため、ヒビワレ部分の膜が立体的に浮き上がり膜剥がれ起こし、目視でより顕著に目立つようになる。付量が多すぎると逆に地割れのような大柄なヒビワレと乾燥風での吹きムラを引き起こしやすくなる。このような現象の原因は十分解明はできていないが、おそらく下引層がクッション剤的に応力緩和の作用があるためと考えられる。
下引層中には硬膜剤、界面活性剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、調色剤、蛍光増白剤、マット剤あるいはpH調整剤を適宜使用することができる。
下引層が含有する親水性ポリマーが、セラチンもしくはゼラチン誘導体及びポリビニルアルコールもしくはポリビニルアルコール誘導体である場合には、該下引き層がこれらのポリマーに適した硬膜剤を含有することでヒビワレを更に軽減でき、好ましい態様である。これらの硬膜剤は下引層塗布後のインク吸収層塗布前に付与することより、インク吸収層を塗布する際には下引層が硬膜されて膨潤を抑制する。このためインク吸収層塗布乾燥時の固い多孔質膜の収縮応力を低下し、ヒビワレを起こしにくくするものと考えられる。
下引層に用いられる親水性ポリマーが主としてセラチンもしくはゼラチン誘導体である場合、好ましい硬膜剤としては、例えば、ビニルスルホン系硬膜剤、アクリロイル系硬膜剤、アルデヒド系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、活性ハロゲン型硬膜剤などが使用される。また、親水性ポリマーがポリビニルアルコールもしくはポリビニルアルコール誘導体である場合には、好ましい硬膜剤としては、例えば、ホウ酸硼砂などのホウ素系硬膜剤及びエポキシ系硬膜剤である。これら硬膜剤は親水性ポリマー1g当たり概ね0.001〜0.5gである。該下引き層がこれらのポリマーに適した硬膜剤を含有することで、ヒビワレを更に軽減でき好ましい態様である。
上記下引層はポリオレフィン樹脂層上に設けられるが、下引層の塗布に先立ちポリオレフィン樹脂層をプラズマ処理、火炎処理、コロナ放電処理などの表面活性化処理することが接着性の観点で好ましい。
本発明に係る多孔質インク吸収層は支持体上に単層の形態で設けても、あるいは二層以上の多孔質インク吸収層を積層させた形態をよい。上記いずれの多孔質インク吸収層の形態においても、総インク吸収層の総乾燥膜厚は30〜45μmである。
本発明に係る支持体上に、上記説明した多孔質インク吸収層を塗布する方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,681,294号明細書記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられ、また複数の多孔質インク吸収層を形成する場合には、全ての層を同時に塗布する方法が好ましい。
多孔質インク吸収層を形成する塗布液を支持体上に塗布した後、乾燥して記録用紙を得るが、この際、通常はロール状に巻かれた支持体上に塗布液を連続して塗布し、乾燥後にロール状に再度巻き取られる。この乾燥過程で支持体中の水分が通常の乾燥時間内(おおよそ30分以内)であれば変動することは殆どない。乾燥は概ね0〜80℃の範囲で乾燥することが好ましい。80℃を越えるとポリオレフィン樹脂が軟化して搬送を困難にしたり、記録層表面の光沢にムラが出たりする。好ましい乾燥温度は0〜70℃である。
本発明のインクジェット記録用紙の記録面の膜面pHは3.0〜7.5が好ましい。膜面pHが3.0以上の場合には、インクジェットで記録した際に染料が析出して金属状に光沢が変化する、所謂ブロンジングを引き起こしにくく、また膜面pHが7.5以下であれば十分な滲み耐性を発揮することができる。
本発明において、上記記録面の膜面pH測定はJ.TAPPI紙パルプ試験方法No.49に記載の方法に従って、行った。
本発明において、記録面の膜面pHは、記録面を形成する塗工液のpHを調整することにより所定の範囲にすることができる。また記録面を形成した後、適当なpH調整剤をオーバーコートすることにより所定の範囲にすることもできる。pH調整剤としては適当な酸やアルカリの水溶液を用いることもでき、この場合使用する酸やアルカリの種類、濃度は、調整するpHの幅によって適宜選択することができる。
本発明のインクジェット記録用紙を用いて画像記録する際には、水性インクを用いた記録方法が好ましく用いられる。なお、本発明のインクジェット記録用紙は、特に水溶性染料インクを用いたインクジェット記録において特に効果が大きく好ましいが、顔料インクを用いたインクジェット記録でも使用することができる。
上記水性インクとは、下記着色剤及び液媒体その他の添加剤を有する記録液体である。着色剤としては、インクジェットで公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料あるいは食品用色素等の水溶性染料あるいは水分散性顔料が使用できる。
水性インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類;エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。中でも、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンやグリセリン等の多価アルコール類、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエーテル等は好ましいものである。
その他の水性インクの添加剤としては、例えば、pH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤及び防錆剤、等が挙げられる。
水性インク液は記録用紙に対する濡れ性を良好にするために、20℃において、通常25〜60mN/m、好ましくは30〜50mN/mの範囲内の表面張力を有するのが好ましい。上記インクのpHは好ましくは5〜10であり、特に好ましくは6〜9である。
以下に本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、実施例中で「%」は特に断りのない限り絶乾質量%を示す。
実施例1
〔記録用紙の作製〕
《支持体の作製》
含水率6.5%、坪量180g/m2の写真用原紙の裏側に溶融押しだし塗布法により密度が0.91の低密度ポリエチレンと0.96の高密度ポリエチレンを平均密度が0.94となるように混合したポリエチレンを30μmの厚さで被覆し、次いで表側にアナターゼ型酸化チタン5.5質量%含有させた密度が0.91の低密度ポリエチレンを35μmの厚さで被覆し、紙の両面をポリエチレンで被覆した支持体を作製した。溶融押し出し塗布直後に、表面に種々の規則的な凹凸の高さを有するクーリングロールを使用して冷却しながらポリエチレン表面に型付け処理を行った。
〔記録用紙の作製〕
《支持体の作製》
含水率6.5%、坪量180g/m2の写真用原紙の裏側に溶融押しだし塗布法により密度が0.91の低密度ポリエチレンと0.96の高密度ポリエチレンを平均密度が0.94となるように混合したポリエチレンを30μmの厚さで被覆し、次いで表側にアナターゼ型酸化チタン5.5質量%含有させた密度が0.91の低密度ポリエチレンを35μmの厚さで被覆し、紙の両面をポリエチレンで被覆した支持体を作製した。溶融押し出し塗布直後に、表面に種々の規則的な凹凸の高さを有するクーリングロールを使用して冷却しながらポリエチレン表面に型付け処理を行った。
この支持体表側のJIS−Z−8741による60度鏡面光沢度が12%で、JIS−B−0601による基準長2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定した際の中心線平均粗さRaが1.5μmであった。
裏側にコロナ放電を行った後、スチレン/ブタジエンラテックス層を厚みが0.4g/m2になるように塗布した。裏側のラテックス層には平均粒径が約3μmのシリカ系マット剤とカチオン性の帯電防止剤、シリコン系分散液とフッ素系界面活性剤をバインダー樹脂に対してそれぞれ10質量%、5質量%、2質量%及び3質量%含有する。
次いで表側にコロナ放電を行い、表1のようになるようにそれぞれバーコーターで下引層を塗布した。ゼラチン下引塗布液は、ゼラチン水溶液に硬膜剤としてゼラチンに対してクロムミヨウバンを10%添加した。ポリビニルアルコール下引塗布液は水溶液をそのまま塗布した。使用したポリビニルアルコールは下記の通り。
PVA235:クラレ(株)製、ポリビニルアルコール、ケン化度;86.5〜89.5%
R1130:クラレ(株)製、シラノール変性ポリビニルアルコール、ケン化度;98.0〜99.0%
《インク吸収層の形成》
次に、インク吸収層を形成するための塗布液を以下のようにして調製した。
R1130:クラレ(株)製、シラノール変性ポリビニルアルコール、ケン化度;98.0〜99.0%
《インク吸収層の形成》
次に、インク吸収層を形成するための塗布液を以下のようにして調製した。
〈酸化チタン分散液−1の調製〉
平均粒径が約0.25μmの酸化チタン25kg(石原産業製:タイペークCR−50)を、pH7.5のトリポリリン酸ナトリウムを150g、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製:PVA235)500g、カチオンポリマーP−1の150g及びSN381(消泡剤、サンノブコ(株))を10g含有する水溶液90Lに添加し、高圧ホモジナイザー(三和工業(株)製)で分散した後、全量を100Lに仕上げて均一な酸化チタン分散液−1を得た。
平均粒径が約0.25μmの酸化チタン25kg(石原産業製:タイペークCR−50)を、pH7.5のトリポリリン酸ナトリウムを150g、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製:PVA235)500g、カチオンポリマーP−1の150g及びSN381(消泡剤、サンノブコ(株))を10g含有する水溶液90Lに添加し、高圧ホモジナイザー(三和工業(株)製)で分散した後、全量を100Lに仕上げて均一な酸化チタン分散液−1を得た。
〈シリカ分散液−1の調製〉
1次粒子の平均粒径が約0.007μmの気相法シリカ(日本アエロジル工業(株)製:A300)150kgを、三田村理研工業(株)製のジェットストリーム・インダクターミキサーTDSを用いて、硝酸でpH=2.5に調整した540Lの純水(エタノール10Lを含有)中に室温で吸引分散した後、全量を600Lに純水で仕上げシリカ分散液−1を調製した。
1次粒子の平均粒径が約0.007μmの気相法シリカ(日本アエロジル工業(株)製:A300)150kgを、三田村理研工業(株)製のジェットストリーム・インダクターミキサーTDSを用いて、硝酸でpH=2.5に調整した540Lの純水(エタノール10Lを含有)中に室温で吸引分散した後、全量を600Lに純水で仕上げシリカ分散液−1を調製した。
〈シリカ分散液−2の調製〉
カチオンポリマーP−1を2.3kg、エタノール1.4L、n−プロパノール1.9Lを含有する水溶液(pH=2.3)10.2Lに、シリカ分散液−1の78Lを攪拌しながら添加し、次いでホウ酸280gとホウ砂280gを含有する水溶液11.3Lを添加し、前記の消泡剤SN381を1g添加し、次いでアニオン性蛍光増白剤(UVITEX NEW LIQUID チバスペシャリティケミカルズ製)を100g添加した。この混合液を三和工業(株)製高圧ホモジナイザーで分散し、全量を純水で120Lに仕上げてシリカ分散液−2を調製した。
カチオンポリマーP−1を2.3kg、エタノール1.4L、n−プロパノール1.9Lを含有する水溶液(pH=2.3)10.2Lに、シリカ分散液−1の78Lを攪拌しながら添加し、次いでホウ酸280gとホウ砂280gを含有する水溶液11.3Lを添加し、前記の消泡剤SN381を1g添加し、次いでアニオン性蛍光増白剤(UVITEX NEW LIQUID チバスペシャリティケミカルズ製)を100g添加した。この混合液を三和工業(株)製高圧ホモジナイザーで分散し、全量を純水で120Lに仕上げてシリカ分散液−2を調製した。
〈シリカ分散液−3の調製〉
カチオンポリマーP−2を2.35kgを含有する水溶液(pH=2.3)13.0Lに、シリカ分散液−1の76Lを攪拌しながら添加し、次いでホウ酸310gとホウ砂310gを含有する水溶液10.3Lを添加し、次いでアニオン性蛍光増白剤(UVITEX NEW LIQUID チバスペシャリティケミカルズ製)を200g添加した。この混合液を三和工業(株)製高圧ホモジナイザーで分散し、全量を純水で120
Lに仕上げてシリカ分散液−2を調製した。
カチオンポリマーP−2を2.35kgを含有する水溶液(pH=2.3)13.0Lに、シリカ分散液−1の76Lを攪拌しながら添加し、次いでホウ酸310gとホウ砂310gを含有する水溶液10.3Lを添加し、次いでアニオン性蛍光増白剤(UVITEX NEW LIQUID チバスペシャリティケミカルズ製)を200g添加した。この混合液を三和工業(株)製高圧ホモジナイザーで分散し、全量を純水で120
Lに仕上げてシリカ分散液−2を調製した。
〈オイル分散液−1の調製〉
下記耐光性改良剤ST−1の8.4kg、ジイソデシルフタレート9kg及び酢酸エチル18Lを混合し、50℃で加熱溶解した。これを酸処理ゼラチン3.5kg、カチオンポリマーP−1、1.7kg、サポニン50%水溶液6Lを含有する水溶液75Lに添加混合して高圧ホモジナイザー(三和工業(株)製)で乳化分散し、減圧で酢酸エチル除去後に全量を110Lに仕上げた。
下記耐光性改良剤ST−1の8.4kg、ジイソデシルフタレート9kg及び酢酸エチル18Lを混合し、50℃で加熱溶解した。これを酸処理ゼラチン3.5kg、カチオンポリマーP−1、1.7kg、サポニン50%水溶液6Lを含有する水溶液75Lに添加混合して高圧ホモジナイザー(三和工業(株)製)で乳化分散し、減圧で酢酸エチル除去後に全量を110Lに仕上げた。
〈インク吸収層塗布液の調製〉
第1層、第2層、第3層、第4層の塗布液を以下の手順で調製した。
第1層、第2層、第3層、第4層の塗布液を以下の手順で調製した。
(第1層塗布液の調製)
シリカ分散液−2の500mlに40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
シリカ分散液−2の500mlに40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
ポリビニルアルコール(クラレ工業(株)製:PVA235とPVA245の7/3の混合物)の5%水溶液 296ml
オイル分散液−1 30ml
酸化チタン分散液−1 33ml
エマルジョンAE−803(昭和高分子(株)製:エマルジョン樹脂ポリゾール、固形分45%) 25ml
純水で全量を1000mlに仕上げる。
オイル分散液−1 30ml
酸化チタン分散液−1 33ml
エマルジョンAE−803(昭和高分子(株)製:エマルジョン樹脂ポリゾール、固形分45%) 25ml
純水で全量を1000mlに仕上げる。
(第2層塗布液の調製)
シリカ分散液−2の600mlに40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
シリカ分散液−2の600mlに40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
ポリビニルアルコール(クラレ工業(株)製:PVA235とPVA245の7/3の混合物)の5%水溶液 300ml
オイル分散液−1 45ml
吸湿性化合物−1(HOCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2OH) 8g
純水で全量を1000mlに仕上げる。
オイル分散液−1 45ml
吸湿性化合物−1(HOCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2OH) 8g
純水で全量を1000mlに仕上げる。
(第3層塗布液の調製)
シリカ分散液−3の600mlに40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
シリカ分散液−3の600mlに40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
ポリビニルアルコール(クラレ工業(株)製:PVA235とPVA245の7/3の混合物)の5%水溶液 290ml
オイル分散液−1 30ml
純水で全量を1000mlに仕上げる。
オイル分散液−1 30ml
純水で全量を1000mlに仕上げる。
(第4層塗布液の調製)
シリカ分散液−2の600mlに40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
シリカ分散液−2の600mlに40℃で攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
ポリビニルアルコール(クラレ工業(株)製:PVA235とPVA245の7/3の混合物)の5%水溶液 280ml
サポニン50%水溶液 2ml
ベタイン型界面活性剤−1(5%水溶液) 3ml
マット剤分散液 35ml
純水で全量を1000mlに仕上げる。
サポニン50%水溶液 2ml
ベタイン型界面活性剤−1(5%水溶液) 3ml
マット剤分散液 35ml
純水で全量を1000mlに仕上げる。
マット剤分散液の調製
メタクリル酸エステル系粒子MX1500H(綜研化学(株)製、平均粒径15μm)を180g、MX500(綜研化学(株)製、平均粒径5μm)を2.5kgを前記PVA235を3g含有する純水7L中に添加し、ホモミキサーで分散し、全量7.8Lに仕上げた。
メタクリル酸エステル系粒子MX1500H(綜研化学(株)製、平均粒径15μm)を180g、MX500(綜研化学(株)製、平均粒径5μm)を2.5kgを前記PVA235を3g含有する純水7L中に添加し、ホモミキサーで分散し、全量7.8Lに仕上げた。
上記のようにして得られた第1層〜第3層の塗布液をTCPD−30フィルター(アドバンテック東洋(株)製)で、また第4層の塗布液をTCPD−40フィルター(アドバンテック東洋(株)製)で濾過した。
〈塗布〉
次いでポリオレフィンで両面を被覆した前記支持体に、第1層(45μm)、第2層(50μm)、第3層(50μm)、第4層(40μm)の順になるように各層を塗布した。かっこ内はそれぞれの湿潤膜厚を示し、第1層〜第4層は同時塗布した。
次いでポリオレフィンで両面を被覆した前記支持体に、第1層(45μm)、第2層(50μm)、第3層(50μm)、第4層(40μm)の順になるように各層を塗布した。かっこ内はそれぞれの湿潤膜厚を示し、第1層〜第4層は同時塗布した。
なお、上記塗布時に、第3層インク吸収層塗布液の送液ラインに、ジルコニウム原子を含有する化合物(第1希元素化学工業(株)製:酢酸ジルコニルZA)を0.1ミリモル/m2になる流量比でインライン混合した。
塗布はそれぞれの塗布液を40℃でスライドホッパー型コーターで塗布速度200m/分で行い、塗布直後に7℃に保たれた冷却ゾーンで20秒間冷却した後、20〜30℃の風で30秒間、45℃の風で60秒間、55℃の風で60秒間順次乾燥して記録用紙1を得た。なお、上記インク吸収層の乾燥膜厚は35μmであった。
次いで第1層に添加したエマルジョンAE803を添加固形分が同じになるようにして、下記エマルジョンに置き換えることによって表1のように記録用紙2〜18を作製した。
A:エマルジョン1
特開2003−63135号公報記載の方法で、高分子分散剤として前記PVA235を用い、モノマーとしてメタクリル酸メチル、アクリル酸ブチルを用いTgが−20℃、固形分30%になるように重合した。
特開2003−63135号公報記載の方法で、高分子分散剤として前記PVA235を用い、モノマーとしてメタクリル酸メチル、アクリル酸ブチルを用いTgが−20℃、固形分30%になるように重合した。
B:エマルジョン2
エマルジョン1と同様にして、Tgが30℃、固形分30%になるように重合した。
エマルジョン1と同様にして、Tgが30℃、固形分30%になるように重合した。
C:エマルジョン3
高分子分散剤を酸処理ゼラチンに置き換えた以外は、エマルジョン1と同様にして重合した。
高分子分散剤を酸処理ゼラチンに置き換えた以外は、エマルジョン1と同様にして重合した。
〔評価〕
得られた各記録用紙について以下の方法でヒビワレを評価した。目視及びルーペで観察し、塗膜面0.3m2当たりのヒビワレ個数を調べた。通常10個以内であれば実用上は大きな問題はない。結果を表1に示す。
得られた各記録用紙について以下の方法でヒビワレを評価した。目視及びルーペで観察し、塗膜面0.3m2当たりのヒビワレ個数を調べた。通常10個以内であれば実用上は大きな問題はない。結果を表1に示す。
表1の結果から、本発明のインクジェット記録用紙はヒビワレ耐性に優れたものであることがわかった。
実施例2
支持体の表側のJIS−Z−8741による60度鏡面光沢度が8%、JIS−B−0601による基準長2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定した際の中心線平均粗さRaが2.3であり、1次粒子の平均粒径を約0.012μmの気相法シリカ(日本アエロジル工業(株)製:A200)に変更した以外は、実施例1と同様にして作製したインクジェット記録用紙のヒビワレを評価した結果、実施例1と同傾向の結果を得た。
支持体の表側のJIS−Z−8741による60度鏡面光沢度が8%、JIS−B−0601による基準長2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定した際の中心線平均粗さRaが2.3であり、1次粒子の平均粒径を約0.012μmの気相法シリカ(日本アエロジル工業(株)製:A200)に変更した以外は、実施例1と同様にして作製したインクジェット記録用紙のヒビワレを評価した結果、実施例1と同傾向の結果を得た。
Claims (4)
- 紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体上に少なくとも2層の多孔質インク吸収層を有するインクジェット記録用紙において、該支持体表面のJIS−Z−8741による60度鏡面光沢度が5〜30%で、JIS−B−0601による基準長2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定した際の中心線平均粗さRaが0.8〜3.0μmであり、該支持体とインク吸収層の間に親水性ポリマーからなる下引層を有し、且つインク吸収層の内、支持体から最も離れた層にマット剤を含有し、最も近い層に水酸基を有する高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
- 前記水酸基を有する高分子分散剤がポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用紙。
- 前記エマルジョン樹脂のガラス転移温度(Tg)が20℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
- 前記親水性ポリマーがポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール誘導体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005045855A JP2006231567A (ja) | 2005-02-22 | 2005-02-22 | インクジェット記録用紙 |
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---|---|---|---|---|
JP2008080600A (ja) * | 2006-09-27 | 2008-04-10 | Fujifilm Corp | インクジェット記録媒体の製造方法 |
JP2010058346A (ja) * | 2008-09-02 | 2010-03-18 | Fujifilm Corp | インクジェット記録媒体及びその製造方法 |
-
2005
- 2005-02-22 JP JP2005045855A patent/JP2006231567A/ja active Pending
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