JP2004331818A - 水溶性樹脂組成物およびフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】過硼酸ソーダを含有する薬剤を包装しても、該薬剤の水溶液中でも完全に溶解し、保管中や運送中フィルムを放置してもしわが発生しないフィルムを作製できる水溶性樹脂組成物およびそれから得られたフィルムを提供すること。
【解決手段】ポリビニルアルコール系樹脂と23℃における1重量%水溶液の相対粘度が1.7以上のポリビニルピロリドンを含有し、かつポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、該ポリビニルピロリドンを110〜400重量部配合してなる水溶性樹脂組成物およびかかる組成物から成形されるフィルム。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する。)系樹脂とポリビニルピロリドンを含有する水溶性樹脂組成物に関し、更に詳しくは、過硼酸ソーダ等のアルカリ性物質を含有する薬剤を包装しても、不溶化することがなく、さらにはPVAの不溶化剤である硼酸系水溶液に接触したり、さらされても水溶性が維持されて完全に水に溶解し、しかも保管中や運送中にそのフィルム表面にしわ等の発生がおこることなく、美麗な形状を保つことができる水溶性フィルムの製造に有用な水溶性樹脂組成物及びそのフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種水溶性樹脂等はその水溶性を生かして、農薬や洗剤等の薬剤を該樹脂フィルムからなる袋に入れた薬剤の分包(ユニット包装)が提案され、幅広く用いられている。
水溶性樹脂としてはPVAは代表的であるが、ポリビニルピロリドン(以下、PVPと略記する)、ポリエチレングリコール等その他の樹脂も使用されることが多い。しかもかかる樹脂は2種併用してその相乗効果を得ようとすることもしばしば行われており、例えば、PVAとPVPとの組成物が低温でも水溶性が良好な点で注目されている。
【0003】
かかる併用系のフィルムとしては、ケン化度75〜99モル%、分子量約2000〜20000のPVA、分子量約10000〜360000(本発明者の検討によれば相対粘度表記で1.1〜1.6となる)のPVP、エトキシル化アルキルフェノール界面活性剤、多価アルコールをそれぞれ特定量含有する組成物からなる水溶性フィルムが提案され、該フィルムは硝酸塩肥料水溶液に易溶性であることも示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭60−158245号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、ユニット包装される薬剤(洗剤等)の中には、酸化漂白の効果を高めるために過硼酸ソーダ等が添加されることが多くなり、かかる過硼酸ソーダが含まれている薬剤を包装した状態でも水溶性の良好なフィルムが求められ、さらにはかかる薬剤をフィルムに包装して水中に投入した時に、かかる薬剤が水に溶けて硼酸系水溶液となってもフィルムが不溶化せず完全に溶解するという水溶性も求められ、また、フィルムそのものあるいは薬剤包装体を保管や運送中に長時間放置しておいても包装フィルムが吸湿して包装体表面にしわが生じて商品価値を低下させることが多く、上記の特許文献1に開示されるフィルムについてはかかる要求を満足することができない。
即ち、特許文献1に開示の水溶性フィルムは、硝酸塩肥料等の薬剤を包装して、そのフィルムの一部が水に溶解して硝酸塩が溶け出しても、硝酸塩水溶液は通常pHが中性付近であり、かかる水溶液中では残りのフィルムは完全に溶解するものの、硼酸などの酸性水溶液や過硼酸ソーダなどのアルカリ水溶液中では、硼酸イオンがPVAの架橋を引き起こしてフィルムの溶解性を著しく低下させるという欠点があり、また、かかるフィルムで薬剤を包装した包装体を数日放置すると、包装体表面にしわが発生し商品価値が著しく損なわれることが判明した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は上記の如き現況に鑑み鋭意研究した結果、PVA系樹脂と23℃における1重量%水溶液の相対粘性率が1.7以上のポリビニルピロリドンを含有し、かつポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、該ポリビニルピロリドンを110〜400重量部配合してなる水溶性樹脂組成物およびそれから成形されるフィルムが、上記課題を解決することを見出し本発明を完成した。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明で用いられるPVA系樹脂は、特に制限されるものではないが、20℃における4重量%水溶液粘度は、5〜60mPa・sが好ましく、さらには10〜35mPa・sである。かかる4重量%水溶液粘度が5mPa・s未満では得られるフィルムの機械強度が低下することがあり、60mPa・sを越えるとフィルム製膜時の水溶液粘度が高くなり作業性が悪くなることがあり好ましくない。
【0008】
また、かかるPVA系樹脂のケン化度も特に限定されないが、70〜99.9モル%であることが好ましく、さらには80〜99.9モル%である。かかるケン化度が70モル%未満では、フィルムの製膜性が低下したり包装対象の薬剤がアルカリ性のときには、経時的にフィルムの溶解性が悪くなったりすることがある。逆に99.9モル%を越えるとフィルムの溶解性が低下することがあり好ましくない。
尚、PVA系樹脂の粘度の測定はJIS K 6726 5.8、ケン化度の測定はJIS K 6726 5.2に準じて行われる。
【0009】
上記のPVA系樹脂としては未変性のPVA系樹脂や変性PVA系樹脂が挙げられ、まず、未変性のPVA系樹脂について述べる。
かかる未変性のPVA系樹脂は公知の方法で製造することができる。即ち、ビニルエステル系化合物を重合し、得られるポリビニルエステル系重合体をケン化して製造されるものである。
【0010】
かかるビニルエステル系化合物としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等が単独又は併用で用いられるが、実用上は酢酸ビニルが好ましい。
【0011】
ビニルエステル系化合物の重合は、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の公知のラジカル重合触媒を用いて行われる。又、反応温度は50℃〜沸点程度の範囲から選択される。
【0012】
ケン化触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒を用いることができる。尚、場合によっては、酸触媒によりケン化することも可能である。
【0013】
本発明においては、上記の未変性のPVA系樹脂以外にも上記のビニルエステル系化合物の重合時にビニルエステル系化合物と共重合可能な単量体を使用した変性PVA系樹脂が有用で、特にアニオン性基変性PVA系樹脂を用いることが得られたフィルムを長期間保管しても冷水溶解性を維持できる点で好ましく、かかる変性PVA系樹脂について説明する。
かかるアニオン性基変性PVA系樹脂のアニオン性基の種類としては、カルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられる。
まずカルボキシル基変性PVA系樹脂の製造方法について説明する。
【0014】
かかる変性PVA系樹脂は任意の方法で製造することができ、例えば、カルボキシル基を有する単量体と上記のビニルエステル系化合物を共重合した後に、共重合体をケン化する方法等を挙げることができる。なお、共重合時に必要に応じてその他の単量体や連鎖移動剤を併用してもよい。
【0015】
カルボキシル基を有する単量体としては、エチレン性不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等)、又はエチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル(マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等)、又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル(マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル等)〔但し、これらのジエステルは共重合体のケン化時に加水分解によりカルボキシル基に変化することが必要である〕、又はエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)、あるいはエチレン性不飽和モノカルボン酸〔(メタ)アクリル酸、クロトン酸等〕等の単量体、及びそれらの塩が挙げられ、その中でも特にマレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸塩、無水マレイン酸が好ましく、更にはマレイン酸モノアルキルエステル等が挙げられる。
【0016】
その他の単量体としては、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、ソルビン酸メチル、ソルビン酸エチル、オレイン酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等のエチレン性不飽和モノカルボン酸のアルキルエステル、ステアリン酸アリル、ラウリン酸アリル、ヤシ油脂肪酸アリル、オクチル酸アリル、酪酸アリル等の飽和カルボン酸のアリルエーテル、エチレン、プロピレン、α−ヘキセン、α−オクテン、α−デセン、α−ドデセン、α−ヘキサデセン、α−オクタデセン等のα−オレフィン、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、テトラデシルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル、オクチルアリルエーテル、デシルアリルエーテル、ドデシルアリルエーテル、テトラデシルアリルエーテル、ヘキサデシルアリルエーテル、オクタデシルアリルエーテル等のアルキルアリルエーテル、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、3−ブテントリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライド等のカチオン性基を有する単量体が挙げられる。
【0017】
連鎖移動剤としては、メルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトステアリン酸等が挙げられる。
【0018】
共重合は通常メタノール、エタノールあるいはイソプロピルアルコール等のアルコールを溶媒とする溶液重合が実施される。勿論、乳化重合、懸濁重合も可能である。かかる溶液重合において単量体の仕込み方法としては、まずビニルエステル系化合物の全量と前記のカルボキシル基を有する単量体の一部を仕込み、重合を開始し、残りの単量体を重合期間中に連続的に又は分割的に添加する方法、一括仕込みする方法等任意の手段を用いて良い。
【0019】
かかる共重合は、上記の未変性のPVA系樹脂の重合のところで述べた触媒の存在下、50℃〜沸点程度で実施される。また、ケン化にあたっては、得られた共重合体をアルコールに溶解して上記で述べたケン化触媒の存在下に行なわれる。アルコールとしてはメタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられる。
【0020】
次にスルホン酸基変性PVAについて述べる。
スルホン酸基変性PVAは、スルホン酸基を有する単量体と前記ビニルエステル系化合物を、上記カルボキシル基変性PVA系樹脂の共重合のところで述べた方法と同様の方法で共重合した後、共重合体をケン化すればよい。かかるスルホン酸基を有する単量体としては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、N−スルホイソブチレンアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等およびそれらのナトリウム、カリウム塩等が挙げられる。
また、かかる変性PVA系樹脂は、PVAにビニルスルホン酸もしくはその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸もしくはその塩等をマイケル付加(後反応)させる方法により製造してもよい。
【0021】
上記のカルボキシル基やスルホン酸基で変性されたアニオン性基変性PVA系樹脂の変性量は、0.5〜10モル%から選ぶのが実用的であって、更には2〜6モル%、特には3〜5モル%が好ましい。かかる変性量が0.5モル%未満では、得られたフィルムを長期間保管すると冷水溶解性が低下することがあり、10モル%を越えると、得られたフィルムが着色することがあり実用的でない。
【0022】
本発明で用いられるPVPは、23℃における1重量%水溶液の相対粘度が1.7以上であることが必要であり、好ましくは1.7〜6.2である。
かかる相対粘度が1.7未満では、長期間放置するとフィルムにしわが発生し、過硼酸水溶液への溶解性が低下することがあり不適当である。
かかる相対粘度が6.2を越えると、過硼酸水溶液への溶解性が低下することがあり、しかも製膜性が困難となることがあり好ましくない。
なお、本発明者が検討したところ相対粘度が1.7のPVPは分子量が約400000、相対粘度が6.2のPVPは分子量が約2000000に相当するものであった。
【0023】
かかるPVPの製造方法としては、アセチレンとホルムアルデヒドを反応させ、さらに水素で飽和結合とした後ラクトンとし、さらにアンモニアを反応させて生成した2−ピロリドンにアセチレンを反応させN−ビニルピロリドンを得た後に、かかるN−ビニルピロリドンを少量のアンモニアの存在下で過酸化物触媒で重合したり,アゾ系触媒で重合するときに重合率が大きくなるように重合条件を調整すればよいが、好ましくはN−ビニルピロリドンを重合するときに触媒の種類として、触媒の分解物が重合の阻害をしないものを選択したり、また原料のN−ビニルピロリドン中に含まれる2−メチルピロリドン、アンモニア、ピロリドン、4−ヒドロキシブチルアミン等の塩基性化合物を酸処理して中和したり、吸着剤処理して除去してから重合するのが好ましい。
上記で用いられる触媒としては、過酸化水素やアゾイソブチロニトリル、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート等が挙げられ、酸処理は、ギ酸、酢酸、シュウ酸、乳酸、硫酸、リン酸、亜リン酸、塩酸等の水溶液で塩基性物質を中和する方法が挙げられ、吸着剤処理は、活性白土、ゼピオライト、活性炭、ゼオライト、活性アルミ、固体酸(シリカ等の担体に無機酸を担持させ焼成したもの)等で塩基性物質を吸着する方法が挙げられる。
【0024】
本発明の水溶性樹脂組成物は上記のようなPVA系樹脂とPVPを含有するもので、両者の配合量は、PVA系樹脂100重量部に対して、PVP110〜400重量部とすることが必要で、更には150〜250重量部である。かかる配合量が110重量部未満では、硼酸系物質との反応性が大きくなり硼酸水溶液への溶解性が低下して不適であり、400重量部を越えるとフィルムの製膜性が困難となり、またフィルムが吸湿しやすくなりしわが発生して不適当である。
【0025】
上記の水溶性樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、フィラー、界面活性剤、可塑剤、香料、防錆剤、着色剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤等を含有させることも可能である。
【0026】
かかるフィラーはフィルムのブロッキング防止に有力で、無機フィラーや有機フィラーがいずれも使用できる。
無機フィラーとしては、例えば、タルク、クレー、二酸化ケイ素、ケイ藻土、カオリン、雲母、アスベスト、石膏、グラファイト、ガラスビーズ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドーソナイト、ドロマイト、チタン酸カリウム、カーボンブラック、銅粉等が挙げられる。
又、有機フィラーとしては、例えば、メラミン系樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂の他、ポリ乳酸、澱粉、セルロース等の生分解性樹脂等が挙げられる。
【0027】
上記フィラーの平均粒子径は0.5〜20μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜15μmである。該平均粒子径が0.5μm未満ではフィルムのブロッキング抑制効果が少なく、20μmを越えるとフィラーの分散性が悪くなることがあり好ましくない。
【0028】
上記フィラーの含有量については、PVA系樹脂とPVPの合計量100重量部に対して0.5〜15重量部、好ましくは1.5〜8重量部、特に好ましくは2〜7重量部であり、かかる含有量が0.5重量部未満ではフィルムのブロッッキング抑制効果が少ないことがあり、15重量部を越えると製膜性が低下したり、フィルムの強度が低下することがあり好ましくない。
【0029】
該界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルノニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル等が挙げられ、これらは1種又は2種以上併用して用いられる。
【0030】
該可塑剤としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、N−メチルピロリドン、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、2,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、還元麦芽糖水あめ類、還元乳糖、還元水あめ等が挙げられ、これらは単独又は併用して用いられる。
また、必要に応じて本発明の特徴を損なわない範囲で、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等を併用してもよい。
【0031】
かくして本発明の水溶性樹脂組成物が得られるのであるが、かかる組成物は薬剤包装等に用いられる水溶性フィルムとして有用であり、かかるフィルムについて以下に説明する。
かかるフィルムを得るに当っては、フィルムにピンホールが生じないことやフィルムの膜厚が一定にできる点で流延法やキャスト法を採用することが好ましい。
【0032】
これらの方法を行うにあたってはまず、上記の水溶性樹脂組成物を水と混合して固形分濃度が10〜50重量%(好ましくは15〜35重量%)の水溶液を得る。
上記水溶液の固形分濃度が10重量%未満ではフィルムの乾燥に長時間を要する等の生産性が低下し、50重量%を越えると水溶液が高粘度となってドープの脱泡に時間を要することがあり、またフィルム製膜時にダイラインが発生し好ましくない。
【0033】
かかる水溶液を表面温度が50〜100℃、好ましくは70〜95℃のエンドレスベルトやドラムロールの金属表面に流延し、乾燥し、必要に応じて熱処理して水溶性フィルムを得ることができる。
上記金属表面の温度が50℃未満では乾燥に時間を要することがあり、100℃を越えると製膜時に発泡することがあり好ましくない。
【0034】
また、アプリケーターを用いて、上記水溶液をポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンフィルム等のプラスチック基材あるいは金属基材上にキャストして、乾燥させてフィルムを得ることもできる。
【0035】
かくして得られたフィルムの厚みは、用途により一概に言えないが、通常5〜100μm、特には10〜80μmであることが好ましく、かかる厚みが5μm未満ではフィルムの機械的強度が低下することがあり、逆に100μmを越えると冷水での溶解速度が遅くなることがあり、又製膜時の効率も低下することがあり好ましくない。
【0036】
該フィルムの表面はプレーンであってもよいが、該フィルムの片面或いは両面にエンボス模様や梨地模様等を施しておいても良い。
【0037】
かかるフィルムは各種の包装用途等に有用であるが、特に洗剤や農薬等の薬剤のユニット包装用途に有用である。
かかる薬剤としては、その使用形態が水に溶解又は分散させて用いる薬剤が対象とされ、アルカリ性、中性、酸性のいずれで有っても良い。更に、薬剤の形状も顆粒、錠剤、粉体、粉末、液状等いずれの形状でも良い。また、薬剤の含有成分として殺菌性を付与したり、腐敗防止の目的で硼酸系物質を配合してなる薬剤の場合に本発明の効果が充分発揮される。即ち、硼酸、硼酸ソーダ、硼酸カリウム、過硼酸ソーダ、過硼酸カリウム等の硼酸系物質、特に過硼酸ソーダを含有する薬剤を包装したフィルムは、薬剤が水に溶けて硼酸系水溶液となった雰囲気下でもフィルムがゲル化したり不溶化したりすることがなく完全に溶解し、本発明の効果を十分に発揮することができる。
【0038】
本発明のフィルムを用いて薬剤を包装するに当たっては、予め該フィルムを袋状にしておいてから薬剤を収納、包装する方法、フィルム上に薬剤を単位ごとに配置し、その間隙をヒートシール等に包装する方法等が挙げられるかかるフィルムは各種の包装用途等に有用である。
【0039】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
尚、例中「%」、「部」とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
実施例1
4%水溶液粘度22mPa・s(20℃)、ケン化度97モル%、マレイン酸モノメチルエステルによる変性量4.0モル%のカルボキシル基変性PVA100部と、23℃における1%水溶液の相対粘度が3.1のPVP〔BASF社製「Luviskol K80」〕200部、可塑剤(グリセリン)10部及び界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル)2部、フィラー(澱粉、平均粒子径15μm)20部及び水780部を混合して固形分濃度30%の水溶性樹脂組成物の水溶液を得た。
得られた水溶液を表面温度が80℃のステンレス板上に流延し、105℃の熱風乾燥機中で15分間乾燥して、厚さ50μmのフィルムを得た。該フィルムについて以下のごとき評価を行った。
【0040】
(溶解性)
▲1▼硼酸系水溶液への溶解性
得られたフィルムを、12cm×10cmのサイズにカットした後、ヒートシーラーを用いて二方向をシールして袋(6cm×10cmのサイズ)を作製し、かかる袋に、pH9.0、水分量1.5%の液体洗浄剤(ラウリン酸80%、ペンタエチレングリコール10%、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル10%)を30g収納し、更に残りの一辺をヒートシールしてパケット状の薬剤包装体(6cm×10cmのサイズ)を製造した。
1リットルビーカーに25℃の硼酸系水溶液〔過硼酸ソーダを水に溶解し3%の水溶液として調製〕1リットルを入れ、スターラーにより撹拌(300rpm)しながら、上記の薬剤包装体を投入し、10分間撹拌をつづけ、薬剤及びフィルムを溶解させた。5分後及び10分後に該水溶液を42メッシュの篩いでろ過し、篩い上の残渣を観察、以下の通り評価した。
○・・・5分間撹拌後に残渣なし
△・・・5分間撹拌後には残渣が見られたものの10分間撹拌後には残渣なし
×・・・10分間撹拌後も残渣あり
【0041】
▲2▼過硼酸ソーダ含有薬剤を包装した包装体の水への溶解性
上記で作製した包装袋に、市販の衣類用粉末洗剤(P&G社製、「アリエール」)100部と過硼酸ソーダ25部を配合した洗剤混合物12gを収納し、更に残りの一辺をヒートシールしてパケット状の薬剤包装体を製造した。
1リットルビーカーに25℃の水1リットルを入れ、スターラーにより撹拌(300rpm)しながら、上記薬剤包装体を投入し、10分間撹拌を行い、該洗剤混合物及びフィルムを溶解させた。5分後及び10分後に、該水溶液を42メッシュの篩いでろ過し、篩い上の残渣を観察し、以下の通り評価した。
○・・・5分間撹拌後に残渣なし
△・・・5分間撹拌後には残渣が見られたものの10分間撹拌後には残渣なし
×・・・10分間撹拌後も残渣あり
【0042】
(外観)
上記で▲2▼で作製した薬剤包装体を23℃、50%の雰囲気下に3日間放置して包装体の外観を以下のように評価した。
○・・・包装体表面にしわがない
×・・・包装体表面にしわが発生
【0043】
実施例2
実施例1で用いたカルボキシル基変性PVAに替えて4%水溶液粘度30mPa・s(20℃)、ケン化度97モル%、マレイン酸モノメチルエステルによる変性量4.0モル%のカルボキシル基変性PVAを使用した以外は同様に実施して評価した。
【0044】
実施例3
実施例1で用いたカルボキシル基変性PVAに替えて4%水溶液粘度30mPa・s(20℃)、ケン化度90モル%、マレイン酸モノメチルエステルにより4.0モル%変性したカルボキシル基変性PVAを使用した以外は同様に実施して評価した。
【0045】
実施例4
実施例1で用いたカルボキシル基変性PVAに替えて4%水溶液粘度31mPa・s(20℃)、ケン化度90モル%、マレイン酸モノメチルエステルにより5.0モル%変性したカルボキシル基変性PVAを使用した以外は同様に実施して評価した。
【0046】
実施例5
実施例1で用いたPVPに替えて23℃における1%水溶液の相対粘度が3.7のPVP〔BASF社製「Luviskol K85」〕を200部を用いた以外は同様に実施して評価した。
【0047】
実施例6
実施例1で用いたPVPの配合量を250部、水の配合量を890部に変更した以外は同様に実施して評価した。
【0048】
実施例7
実施例1で用いたカルボキシル基変性PVAに替えて、4%水溶液粘度7mPa・s(20℃)、ケン化度91モル%、アリルスルホン酸ナトリウムによる変性量3.0モル%のスルホン酸変性ポリビニルアルコールを用いた以外は同様に実施して評価した。
【0049】
実施例8
実施例1で用いたカルボキシル基変性PVAに替えて4%水溶液粘度14mPa・s(20℃)、ケン化度80モル%、未変性のPVAを用いた以外は同様に実施して評価した。
【0050】
比較例1
実施例1において、PVPとして23℃における1%水溶液の相対粘度が1.2〔BASF社製「Luviskol K30」〕のものを使用した以外は同様に実施して評価した。
【0051】
比較例2
実施例1において、PVPの配合量を100部に変更し、水を540部に変更した以外は同様に実施して評価した。
【0052】
比較例3
実施例1において、PVPの配合量を500部に変更し、水を1580部に変更した以外は同様に実施して評価した。
実施例1〜8、比較例1〜3の評価結果を表1に示す。
【0053】
〔表1〕
Figure 2004331818
▲1▼硼酸系水溶液への溶解性
▲2▼過硼酸ソーダ含有薬剤を包装した包装体の水への溶解性
【0054】
【発明の効果】
本発明の水溶性樹脂組成物は、ポリビニルアルコール系樹脂と23℃における1重量%水溶液の相対粘度が1.7以上のポリビニルピロリドンを含有し、かつポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、該ポリビニルピロリドンを110〜400重量部配合してなるので、かかる組成物から得られたフィルムは、過硼酸ソーダ等のアルカリ性物質を含有する薬剤を包装しても、過硼酸ソーダの水溶液中でも完全に溶解し、しかも保管中や運送中フィルム表面にしわ等の発生がおこることがなく美麗な形状を保つことができる。

Claims (4)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂と23℃における1重量%水溶液の相対粘度が1.7以上のポリビニルピロリドンを含有し、かつポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、該ポリビニルピロリドンを110〜400重量部配合してなることを特徴とする水溶性樹脂組成物。
  2. ポリビニルアルコール系樹脂の20℃における4重量%水溶液粘度が5〜60mPa・s、ケン化度が70〜99.9モル%であることを特徴とする請求項1記載の水溶性樹脂組成物。
  3. ポリビニルアルコール系樹脂がアニオン性基変性ポリビニルアルコールであり、かつアニオン性基変性量が0.5〜10モル%であることを特徴とする請求項1あるいは2記載の水溶性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3いずれか記載の水溶性樹脂組成物から成形されることを特徴とするフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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