JP2016108426A - 水溶性フィルム及び薬剤包装体 - Google Patents
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Abstract
Description
更に、本発明では、前記水溶性フィルムを用いてなる薬剤包装体も提供するものである。
本発明で用いられるPVA系樹脂(A)としては、公知の方法で製造することができるものである。即ち、ビニルエステル系化合物を重合して得られるビニルエステル系重合体をケン化して得られるものである。
このときのカルボキシル基を有する単量体として、エチレン性不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等)、又はエチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル(マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等)、又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル(マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル等)〔但し、これらのジエステルは共重合体のケン化時に加水分解によりカルボキシル基に変化することが必要である〕、又はエチレン性不飽和カルボン酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)、あるいはエチレン性不飽和モノカルボン酸((メタ)アクリル酸、クロトン酸等)等の単量体、及びそれらの塩が挙げられ、その中でも特にマレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、マレイン酸塩、無水マレイン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、(メタ)アクリル酸等が好適に使用され、更には、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、マレイン酸塩、無水マレイン酸、特にはマレイン酸モノアルキルエステルが最も好適に使用される。
このときは、特に連鎖移動効果の大きいチオールに由来する化合物が有効で以下の化合物が挙げられる。
具体的にはメルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトステアリン酸等が挙げられる。
クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、イタコン酸メチル、イタコン酸エチル、ソルビン酸メチル、ソルビン酸エチル、オレイン酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等が挙げられる。
ステアリン酸アリル、ラウリン酸アリル、ヤシ油脂肪酸アリル、オクチル酸アリル、酪酸アリル等。
エチレン、プロピレン、α−ヘキセン、α−オクテン、α−デセン、α−ドデセン、α−ヘキサデセン、α−オクタデセン等。
プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、テトラデシルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等。
プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル、オクチルアリルエーテル、デシルアリルエーテル、ドデシルアリルエーテル、テトラデシルアリルエーテル、ヘキサデシルアリルエーテル、オクタデシルアリルエーテル等。
又、反応温度は50℃〜沸点程度の範囲から選択される。
通常、かかる方法で製造されたカルボキシル基含有PVAのカルボキシル基はナトリウム塩等のアルカリ金属塩型となっているが、該PVAの乾燥時等にラクトン環の形成により、水への不溶化が心配される時は、かかるナトリウム塩をカルシウム、マグネシウム、銅等の2価の金属塩に置換することによって回避することもできる。
可食困難な味覚としては、苦味、酸味、辛味等が挙げられる。苦味を付与する物質としては、塩化マグネシウムなどの無機金属塩、カフェインやキニーネ、ベルベリンなどの植物性アルカロイド、ジケトピペラジンなどの苦味ペプチド、リモネン、マンネンタケ抽出物などの苦味テルペノイド、スウェルチアマリン、ゲンチオピクロシドなどの苦味配糖体、カテキン、ナリンジンなどのフラボノイド(フラバノン配糖体)、安息香酸デナトニウム、八アセチル化しょ糖、モモルデシン等が挙げられる。酸味を付与する物質としては、酢酸、酒石酸、クエン酸などが挙げられる。辛味を付与する物質としては、ジンゲノール、カプサイシン等のアミド誘導体、タデオナール等のセスキテルペン誘導体、その他香辛料抽出物等が挙げられる。
本発明においては、特に、フィルムの水への溶解性や経時安定性に影響を及ぼさない点、少量でも苦味付与効果が大きい点、香りや色にも影響を及ぼさない点などから、安息香酸デナトニウムを用いる。
また、水やアルコールに溶解させたものを、製膜したPVA系フィルムに含浸させたり、噴霧させたり、フィルム表面に印刷する場合は安息香酸デナトニウム(B)を印刷インキに含有させて印刷する等の方法を用いてもよい。
かかる無機フィラーとしては、その平均粒子径が1〜10μmのものであることが好ましく、かかる平均粒子径が小さすぎるとフィルムのブロッキング抑制効果が少ない傾向があり、大きすぎるとフィルムを成型加工するときに引き伸ばされた際にピンホールとなったり、外観が低下し商品価値が低下する傾向がある。
無機フィラーの具体例としては、例えば、タルク、クレー、二酸化ケイ素、ケイ藻土、カオリン、雲母、アスベスト、石膏、グラファイト、ガラスバルーン、ガラスビーズ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、ウイスカー状炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドーソナイト、ドロマイト、チタン酸カリウム、カーボンブラック、ガラス繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、加工鉱物繊維、炭素繊維、炭素中空球、ベントナイト、モンモリロナイト、銅粉、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アルミニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、クロム酸カリウム、クエン酸カルシウム等が挙げられる。
かかる有機フィラーの具体例としては、例えば、澱粉、メラミン系樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂の他、ポリ乳酸、米澱粉等の生分解性樹脂等も挙げられるが、特にはポリメチル(メタ)アクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、生分解性樹脂が好適に用いられる。
該PVA系フィルムのガラス転移温度を20℃以下とするに当たっては、可塑剤の種類及び添加量、PVA系樹脂のケン化度、製膜時の熱処理温度、フィルム中の水分量を、適宜調整することにより達成できる。
又、該PVA系フィルムの表面はプレーンであってもよいが、ブロッキング性、加工時の滑り性、製品同士の密着性軽減の点から、該フィルムの片面或いは両面にエンボス模様や梨地模様等を施しておくことも好ましい。
かかる薬剤としては、特に制限はないが、水に溶解又は分散させて用いる薬剤が良く、又、アルカリ性、中性、酸性のいずれで有っても良い。更に、薬剤の形状も顆粒、錠剤、粉体、粉末、液状等いずれの形状でも良い。
PVA系樹脂(A)として、20℃における4%水溶液粘度22.0mPa・s、平均ケン化度97.2モル%、マレイン酸モノメチルエステルによる変性量4.0モル%のカルボキシル基変性PVA(A)100重量部、可塑剤(C)としてグリセリン25重量部及びトリメチロールプロパン12重量部、フィラー(D)として二酸化ケイ素(平均粒子径6.4μm)5重量部、界面活性剤(E)としてポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩2重量部、及び、予め安息香酸デナトニウム(B)をPVA系樹脂(A)に対する含有量が1000ppmとなるように溶解させた水355重量部を混合して固形分濃度29%の樹脂組成物の水分散液を得た。
得られた樹脂組成物を80℃にて脱泡し、その水分散液を、80〜90℃に加熱したホットプレート上に流延し、その後80〜90℃で90秒間乾燥して、厚さ76μmのPVA系フィルムを得た。得られたPVA系フィルムのガラス転移温度は−3℃であった。
〔PVA系フィルムの水への溶解性〕
得られたPVA系フィルムを3cm×5cmのサイズにカットし、次に、1リットルビーカーに水(1リットル)を入れ、スターラーにより撹拌しながら水温を5℃に保ちつつ、フィルムを水面と平行に固定できる治具にフィルムを固定して、かかる水中に浸漬し、3cmの撹拌子を用い400rpmで撹拌を続けながらフィルムが溶解するまでの時間(秒)を測定した。ここで溶解とは、かかるフィルムが視認できなくなることをいい、このとき直径1mm以下の不溶微粒子が分散している場合も溶解の意味に含めるものである。
得られたPVA系フィルムを、12cm×10cmのサイズにカットした後、ヒートシーラーを用いて二方向をシールして袋(6cm×10cmのサイズ)を作製し、かかる袋に、市販の衣類用粉末洗剤12gを収納し、更に残りの一辺をヒートシールしてパケット状の薬剤包装体(6cm×10cmのサイズ)を作製した。
次に、1リットルビーカーに25℃の水(1リットル)を入れ、スターラーにより撹拌しながら、上記薬剤包装体を投入し、10分間撹拌を行った。その後、該水溶液を42メッシュの篩いでろ過し、篩い上の残渣を観察し、以下の通り評価した。
(評価方法)
○:残渣なし
×:残渣あり
各フィルム(3cm×3cm)をサンプリングし、この表面を舌で1回軽く舐め異常を感じるかを男性3名、女性2名の計5名で確認し、下記の通り評価した。
(評価方法)
×:苦味を感じる人はいなかった
△:1〜4人が苦味を感じた
○:全員が苦味を感じた
予め、安息香酸デナトニウム(B)を、PVA系樹脂(A)に対する含有量が下記表1に記載の通りとなるように溶解させた水を用いた以外は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたPVA系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。
安息香酸デナトニウムを含有させない以外は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたPVA系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。
Claims (5)
- ポリビニルアルコール系樹脂(A)と安息香酸デナトニウム(B)を含有してなることを特徴とする水溶性フィルム。
- 安息香酸デナトニウム(B)の含有量が、ポリビニルアルコール系樹脂(A)対して10〜50000ppmであることを特徴とする請求項1記載の水溶性フィルム。
- ポリビニルアルコール系樹脂(A)が、アニオン性基変性ポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載の水溶性フィルム。
- 液体洗浄剤の包装に用いることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の水溶性フィルム。
- 請求項1〜4いずれか記載の水溶性フィルムで、液体洗浄剤を包装してなることを特徴とする薬剤包装体。
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