JP2010043158A - 偏光板用接着剤、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】得られた偏光板が光学特性に係る耐熱性を満足することができる、水系の偏光板用接着剤を提供すること。
【解決手段】偏光子の少なくとも片面に透明保護フィルムを設けるために用いる偏光板用接着剤であって、前記偏光板用接着剤は、カルボキシル基を2個以上および/または酸無水物基を1個以上有する多価カルボン酸化合物(但し、多価カルボン酸化合物にポリビニルアルコール系樹脂は含まれない)を含有してなる水溶液であり、かつ、当該水溶液における固形分の50重量%以上が前記多価カルボン酸化合物である。
【選択図】なし
【解決手段】偏光子の少なくとも片面に透明保護フィルムを設けるために用いる偏光板用接着剤であって、前記偏光板用接着剤は、カルボキシル基を2個以上および/または酸無水物基を1個以上有する多価カルボン酸化合物(但し、多価カルボン酸化合物にポリビニルアルコール系樹脂は含まれない)を含有してなる水溶液であり、かつ、当該水溶液における固形分の50重量%以上が前記多価カルボン酸化合物である。
【選択図】なし
Description
本発明は、偏光板用接着剤に関する。また本発明は当該偏光板用接着剤を用いた偏光板に関する。当該偏光板はこれ単独で、またはこれを積層した光学フィルムとして液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等の画像表示装置を形成しうる。
液晶表示装置には、その画像形成方式から液晶パネル表面を形成するガラス基板の両側に偏光子を配置することが必要不可欠である。偏光子は、一般的には、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性材料で染色を行った後、架橋剤を用いて架橋を行い、一軸延伸することにより製膜することにより得られる。前記偏光子は延伸により作成されるため、収縮し易い。またポリビニルアルコール系フィルムは親水性ポリマーを使用していることから、非常に変形し易い。またフィルム自体の機械的強度が弱いため、フィルムが裂けたりする問題がある。そのため、偏光子の両側または片側にトリアセチルセルロースなどの透明保護フィルムを貼り合わせて、強度を補った偏光板が用いられている。前記偏光板は、偏光子と透明保護フィルムを接着剤により貼り合わせることにより製造されている。
近年の液晶表示装置は用途が拡大し、携帯端末から家庭用の大型TVまで幅広く展開が進んできており、各用途に応じて、それぞれの規格が設けられるようになってきている。特に携帯端末用途では、使用者が持ち歩くことが前提であるため、耐久性に対する要求は非常に厳しい。例えば、偏光板には、高温条件下においても偏光度等の光学特性が変化しない耐熱性が求められている。また、結露が生じるような加湿条件下においても、偏光度等の光学特性が変化しない耐湿性が求められている。
前記偏光子と透明保護フィルムの接着に用いる偏光板用接着剤としては、水系接着剤が好ましく、例えば、ポリビニルアルコール水溶液に架橋剤を混合したポリビニルアルコール系接着剤が使用されている。しかし、ポリビニルアルコール系接着剤は、前記耐湿性、耐熱性等の光学耐久性が十分ではなく、加湿条件下や高温条件下において偏光度等の光学特性が変化してしまう。また、ポリビニルアルコール系接着剤は、ポリビニルアルコール水溶液に架橋剤を混合した状態で用いるため、ポットライフが短く、偏光板作成にあたっての使用期間が制限されることが問題とされる。
上記問題に対して、アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂と架橋剤を含有する偏光板用接着剤が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載の偏光板用接着剤によれば、前記耐久性をある程度は向上することができるものの、十分であるとはいえない。また、特許文献1に記載の偏光板用接着剤は、ポットライフの点においても好ましくない。
上記の他、偏光板用接着剤としては、エチレン/アクリレート系またはメタクリレート系モノマー/マレイン酸または無水マレイン酸の共重合体と、光増加剤、アクリロキシ化合物等を含有する光硬化性接着剤を用いることが提案されている(特許文献2)。しかし、光硬化性接着剤は、接着剤層の形成にあたり、光照射工程が必須となるため、偏光板の作成にあたっての作業が煩雑になり、また、アクリロキシ化合物等の反応性の高い化合物を含有しているため、ポットライフの点においても好ましくない。
本発明は、得られた偏光板が光学特性に係る耐熱性を満足することができる、水系の偏光板用接着剤を提供することを目的とする。
また本発明は、光学耐熱性に加えて、光学耐水性を満足できる光学耐久性を有し、さらにはポットライフが長い、水系の偏光板用接着剤を提供することを目的とする。
さらに本発明は、前記偏光板用接着剤を用いた偏光板を提供することを目的とする。さらに本発明は、当該偏光板を積層した光学フィルムを提供すること、さらには、当該偏光板、光学フィルムを用いた液晶表示装置等の画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す偏光板用接着剤により前記目的に達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、偏光子の少なくとも片面に透明保護フィルムを設けるために用いる偏光板用接着剤であって、
前記偏光板用接着剤は、カルボキシル基を2個以上および/または酸無水物基を1個以上有する多価カルボン酸化合物(但し、多価カルボン酸化合物にポリビニルアルコール系樹脂は含まれない)を含有してなる水溶液であり、かつ、当該水溶液における固形分の50重量%以上が前記多価カルボン酸化合物であることを特徴とする偏光板用接着剤、に関する。
前記偏光板用接着剤は、カルボキシル基を2個以上および/または酸無水物基を1個以上有する多価カルボン酸化合物(但し、多価カルボン酸化合物にポリビニルアルコール系樹脂は含まれない)を含有してなる水溶液であり、かつ、当該水溶液における固形分の50重量%以上が前記多価カルボン酸化合物であることを特徴とする偏光板用接着剤、に関する。
前記偏光板用接着剤において、多価カルボン酸化合物としては、カルボキシル基および/またはその無水物基を有する不飽和カルボン酸をモノマーユニットとして含有するカルボン酸含有ポリマーを好適に用いることができる。
前記カルボン酸含有ポリマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸のモノマーユニットとしてマレイン酸および/またはその無水物のモノマーユニットを含有するマレイン酸系重合体を用いることができる。
前記マレイン酸系重合体としては、例えば、無水マレイン酸−ビニルアルキルエーテル共重合体および/または無水マレイン酸−αオレフィン共重合体を用いることができる。
前記カルボン酸含有ポリマーは、モノマーユニットの重合度が1000〜40000であることが好ましい。
前記無水マレイン酸−ビニルアルキルエーテル共重合体および/または無水マレイン酸−αオレフィン共重合体としては、一般式(1)および一般式(2):
(式中、R1は、−CH3、−CH2CH3、−CH(CH3)2、−C(CH3)3、−OCH3、−OCH2CH3、−OCH(CH3)2、または−OC(CH3)3であり、R2は−Hまたは−CH3である。m、nは重合度であり、m+n=1000〜40000である。)で表されるモノマーユニットを有するものを例示できる。
前記偏光板用接着剤において、多価カルボン酸化合物としては、カルボキシル基を2個以上および/または酸無水物基を1個以上有する分子量1000以下の低分子多価カルボン酸化合物を好適に用いることができる。
前記偏光子において、低分子多価カルボン酸化合物としては、例えば、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、クエン酸、ブタンテトラカルボン酸およびブタンテトラカルボン酸無水物から選ばれるいずれか少なくとも1つを用いることができる。
また本発明は、偏光子の少なくとも一方の面に、接着剤層を介して透明保護フィルムが設けられている偏光板において、前記接着剤層が前記偏光板用接着剤により形成されていることを特徴とする偏光板、に関する。
また本発明は、前記偏光板が、少なくとも1枚積層されていることを特徴とする光学フィルム、に関する。
さらに本発明は、前記偏光板または前記光学フィルムが用いられていることを特徴とする画像表示装置、に関する。
本発明の偏光板用接着剤は、カルボキシル基を2個以上および/または酸無水物基を1個以上有する多価カルボン酸化合物(但し、多価カルボン酸化合物にポリビニルアルコール系樹脂は含まれない)を主たる成分として含有する水溶液であり、当該多価カルボン酸化合物自体が接着剤として用いられ、偏光子と透明保護フィルムを貼り合せて得られる偏光板の耐熱性を向上させている。
偏光子としては、通常、ポリビニルアルコール系フィルムが用いられるが、前記多価カルボン酸化合物は、ポリビニルアルコール系樹脂中の水酸基と反応して、ポリビニルアルコール系樹脂に架橋構造を導入したり、また、透明保護フィルムと反応したりして、偏光子と透明保護フィルムを強固に密着させることができ、得られる偏光板の耐熱性が向上して、高温条件下においても偏光度等の光学特性の劣化を小さく抑えることができると考えられる。
また、本発明の偏光板用接着剤には、前記多価カルボン酸化合物の他に、従来より、偏光板用接着剤として用いられているポリビニルアルコール系樹脂を併用することができるが、本発明の偏光板用接着剤の主成分として、ポリビニルアルコール系樹脂を用いず、前記多価カルボン酸化合物のみを用いる場合には、ポリビニルアルコール系樹脂に係るポットライフの問題もなく、ポットライフが長く、長期の使用を確保できる。
また、従来、ポリビニルアルコール系接着剤に用いる架橋剤としては、アミン系、イソシアネート系、エポキシ系、アルデヒド系、アミノ−ホルムアルデヒド系等の化合物が用いられている。これら架橋剤のなかでアルデヒド系、アミノ−ホルムアルデデヒド系の化合物が賞用されているが、当該架橋剤の材料にはアルデヒド化合物を用いているため、環境安全性のうえで好ましくなかった。本発明の本発明の偏光板用接着剤は、前記多価カルボン酸化合物を用いていれば、アルデヒド化合物を用いる必要はなく、環境安全性のうえでも好ましい。
本発明の偏光板用接着剤は、カルボキシル基を2個以上および/または酸無水物基を1個以上有する多価カルボン酸化合物を含有してなる水溶液である。前記多価カルボン酸化合物としては、各種の化合物を用いることができるが、多価カルボン酸化合物にポリビニルアルコール系樹脂は含まれない。
前記多価カルボン酸化合物としては、例えば、カルボキシル基および/またはその無水物基を有する不飽和カルボン酸をモノマーユニットとして含有するカルボン酸含有ポリマーがあげられる。前記カルボン酸含有ポリマーは、前記不飽和カルボン酸をモノマーユニットとして含有するが、カルボン酸含有ポリマーは当該不飽和カルボン酸の単独重合体であってもよく、当該不飽和カルボン酸と、不飽和カルボン酸以外の他のエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとの共重合体であってもよい。
前記不飽和カルボン酸は、カルボキシル基および/またはその無水物を有し、かつ、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーであり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸や、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート等のカルボキシアルキル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を1つ有するモノマー;マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などのカルボキシル基を2つ有するモノマー;無水マレイン酸などの酸無水物基含有モノマー等があげられる。なお、上記、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸および/またはメタクリル酸をいい、本発明の(メタ)とは同様の意味である。
一方、上記不飽和カルボン酸と共重合することができる、他のエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとしては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソプロピルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニル−t−ブチルエーテル等のビニルアルキル(炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖)エーテル;エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等の炭素数2〜10の直鎖または分岐鎖のαオレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル等があげられる。その他、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとしては、スチレン等のビニル基含有モノマー、アリルアルコール等のアリル基含有モノマーを例示できる。なお、ビニルエステルは、加水分解することで、カルボン酸含有ポリマー中にビニルアルコール単位を導入することができる。
前記カルボン酸含有ポリマーは、モノマーユニットの重合度が1000〜40000であることが、水への溶解性の点から好ましく、さらに前記重合度は、1000〜20000であること、さらにはさらには1500〜10000であるのが好ましい。また、カルボン酸含有ポリマーには、不飽和カルボン酸に由来する少なくとも2つのカルボキシル基が導入されていればよいが、不飽和カルボン酸のモノマーユニットは、カルボン酸含有ポリマーにおける全重合度の割合{(不飽和カルボン酸のモノマーユニット/全モノマーユニット)×100}は、不飽和カルボン酸との共重合モノマーが電子供与性モノマー(例えば、スチレン、ビニルアルキルエーテル、ビニルエステル等のビニル基を有するモノマー)の場合には、50%になる。一方、前記共重合モノマーが電子供与性でないモノマーの場合には特に制限はないが、前記割合は1〜80%、さらには20〜80%、さらには40〜80%であるのが好ましい。なお、重合度の測定は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、ポリエチレンオキサイド換算により行った。装置:HLC‐8220GPC(東ソー(株)製)、カラム:G6000PWXL/G3000PWXL(東ソー(株)製)、検出器:RI‐8020。
前記カルボン酸含有ポリマーとしては、不飽和カルボン酸のモノマーユニットとしてマレイン酸および/またはその無水物のモノマーユニットを含有するマレイン酸系重合体であることが好ましい。マレイン酸系重合体は、マレイン酸および/またはその無水物をモノマーユニットとする、共重合体が好ましいが、単独重合体でもよい。マレイン酸の単独重合体としては、比較的低分子量のものが用いられる。前記マレイン酸系重合体において、マレイン酸および/またはその無水物と共重合する共重合モノマーとしては、上記例示の各種の共重合モノマーを用いることができるが、水溶性の確保の点から、ビニルアルキルエーテルおよび/またはαオレフィンを用いるのが好ましい。マレイン酸系重合体としては、無水マレイン酸−ビニルアルキルエーテル共重合体および/または無水マレイン酸−αオレフィン共重合体が、好ましい。
無水マレイン酸−ビニルアルキルエーテル共重合体および/または無水マレイン酸−αオレフィン共重合体は、例えば、下記一般式(1)および一般式(2):
(式中、R1は、−CH3、−CH2CH3、−CH(CH3)2、−C(CH3)3、−OCH3、−OCH2CH3、−OCH(CH3)2、または−OC(CH3)3であり、R2は−Hまたは−CH3である。m、nは重合度であり、m+n=1000〜40000である。)で表されるモノマー単位を有するものが好ましい。
mは無水マレイン酸のモノマーユニットの重合度であり、nはビニルアルキルエーテルまたはαオレフィンのモノマーユニットの重合度である。なお、m、nは、共重合体中における、各モノマー単位重合度であり、前記一般式(1)、(2)のモノマーユニットがブロック体であることを示すものではない。m+nは、前記同様に、1000〜40000であり、1000〜30000、さらには1500〜15000であるのが好ましい。また、無水マレイン酸のモノマーユニットは、上記共重合体における全重合度の割合{(m/m+n)×100(%)}は、20〜80%、さらには40〜60%、さらには45〜50%であるのが好ましい。
前記カルボン酸含有ポリマーは、溶液調整の簡便性確保のため、前記カルボン酸含有ポリマーとして水溶性の良好なものを用いるのが好ましい。マレイン酸−ビニルアルキルエーテル共重合体とマレイン酸−αオレフィン共重合体を比較した場合には、マレイン酸−αオレフィン共重合体に比べて、マレイン酸−ビニルアルキルエーテル共重合体の方が、極性が高く水溶性が高いため好ましい。
また、前記多価カルボン酸化合物としては、上記カルボン酸含有ポリマーの代わりに、または併用して、カルボキシル基を2個以上および/または酸無水物基を1個以上有する分子量1000以下の低分子多価カルボン酸化合物を用いることができる。
カルボキシル基を2個有する前記低分子多価カルボン酸化合物としては、相溶性の点から脂肪族系の低分子多価カルボン酸化合物が好ましく、例えば、マレイン酸、フタル酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3−ジエチルコハク酸、イタコン酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸等があげられる。また、酸無水物基を1個以上有する前記多価カルボン酸化合物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸等の前記脂肪族ジカルボン酸の無水物等があげられる。また、前記以外の低分子多価カルボン酸化合物としては、クエン酸、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン酸、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸等や、トリメリト酸、メロファン酸、トリメシン酸、プレーニト酸、ヘミメリト酸、ピロメリト酸、メリト酸等の芳香族多価カルボン酸、さらにはこれらの無水物等があげられる。また、本発明で用いられる低分子多価カルボン酸化合物としては、前記例示の低分子多価カルボン酸化合物のオリゴマー等を例示できる。これら低分子の多価カルボン酸化合物は1種または2種以上を混合して用いることができる。
前記多価カルボン酸化合物としては、特に分子量500以下、さらには300以下のものが、相溶性の点から好適である。かかる低分子の多価カルボン酸化合物としては、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、クエン酸、ブタンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸無水物が好ましい。
本発明の偏光板用接着剤は、前記多価カルボン酸化合物を主成分とする水溶液であり、かつ、当該水溶液における固形分(水以外の成分)の50重量%以上が前記多価カルボン酸化合物である。前記固形分における前記多価カルボン酸化合物の割合は高いことが、光学耐久性(特に光学耐湿性)、ポットライフの点から好ましく、前記割合は、60重量%以上であるのが好ましく、さらには70重量%以上であるのが好ましい。最も好ましくは、添加剤を除く、固形分の全部が前記多価カルボン酸化合物であることが好ましい。
また本発明の偏光板用接着剤は、前記多価カルボン酸化合物を主成分とする水溶液であり、当該水溶液の固形分濃度は、偏光板用接着剤の使用態様により適宜に調整することができる。前記水溶液の固形分濃度は、通常、2〜30重量%であるのが好ましく、さらには2〜20重量%であるのが好ましく、さらには3〜12重量%であるのが好ましい。
なお、本発明の偏光板用接着剤である水溶液の固形分としては、前記多価カルボン酸化合物の他に、従来、偏光板用接着剤として用いられている、ポリビニルアルコール系樹脂を用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリビニルアルコール樹脂や、アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール樹脂があげられる。
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られたポリビニルアルコール;その誘導体;更に酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のケン化物;ポリビニルアルコールをアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化等した変性ポリビニルアルコールがあげられる。前記単量体としては、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸(ソーダ)、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン誘導体等があげられる。これらポリビニルアルコール系樹脂は一種を単独でまたは二種以上を併用することができる。
前記ポリビニルアルコール系樹脂は特に限定されないが、接着性の点からは、平均重合度100〜5000程度、好ましくは1000〜4000、平均ケン化度85〜100モル%程度、好ましくは90〜100モル%である。
アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂とジケテンとを公知の方法で反応して得られる。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂を酢酸等の溶媒中に分散させておき、これにジケテンを添加する方法、ポリビニルアルコール系樹脂をジメチルホルムアミドまたはジオキサン等の溶媒にあらかじめ溶解しておき、これにジケテンを添加する方法等があげられる。またポリビニルアルコールにジケテンガスまたは液状ジケテンを直接接触させる方法があげられる。
アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂のアセトアセチル基変性度は、0.1モル%以上であれば特に制限はない。0.1モル%未満では接着剤層の耐水性が不充分であり不適当である。アセトアセチル基変性度は、好ましくは0.1〜40モル%程度、さらに好ましくは1〜20モル%、特に好ましくは2〜7モル%である。アセトアセチル基変性度が40モル%を超えると、耐水性の向上効果が小さい。アセトアセチル基変性度はNMRにより測定した値である。
また、前記水溶液の固形分としては、ポリビニルアルコール系接着剤に用いられている架橋剤があげられる。前記架橋剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂と反応性を有する官能基を少なくとも2つ有する化合物を使用できる。例えば、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレン基とアミノ基を2個有するアルキレンジアミン類;トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびこれらのケトオキシムブロック物またはフェノールブロック物等のイソシアネート類;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジまたはトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等のエポキシ類;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等のモノアルデヒド類;グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、フタルジアルデヒド等のジアルデヒド類;メチロール尿素、メチロールメラミン、アルキル化メチロール尿素、アルキル化メチロール化メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物等のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂、;更にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、ニッケル等の二価金属、又は三価金属の塩及びその酸化物があげられる。また、架橋剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤を用いることができる。
前記架橋剤の配合量は、ポリビニルアルコール系樹脂の種類等に応じて適宜設計できるが、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、通常、1〜60重量部程度、好ましくは10〜55重量部程度、さらに好ましくは20〜50重量部である。
なお、本発明の偏光板用接着剤には、前記固形分として、添加剤として、各種粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、金属化合物フィラー、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤などの安定剤等を配合することもできる。
本発明の偏光板用接着剤である前記水溶液の調製法は特に制限されない。通常は、前記多価カルボン酸化合物を水に溶解することに調製することができる。なお、偏光板用接着剤である水溶液の濃度は、一旦、所定濃度の水溶液を調製した後に適宜に、再度、水を加えて調整することもできる。前記溶液の調製にあたっては、適宜に、水酸化ナトリウム等のアルカリ等によりpHを制御することができる。
本発明の偏光板は、透明保護フィルムと偏光子を、前記接着剤を用いて貼り合わせることにより製造する。得られた偏光板では、偏光子の片側または両側に、前記偏光板接着剤により形成された接着剤層を介して、透明保護フィルムが設けられている。
前記接着剤の塗布は、透明保護フィルム、偏光子のいずれに行ってもよく、両者に行ってもよい。前記接着剤の塗布は、乾燥後の接着剤層の厚みが10〜300nm程度になるように行なうのが好ましい。接着剤層の厚みは、均一な面内厚みを得ることと、十分な接着力を得る点から、好ましくは10〜250nm、さらに好ましくは20〜200nmである。
接着剤層の厚みを調整する方法としては、特に制限されるものではないないが、例えば、接着剤水溶液の固形分濃度や接着剤の塗布装置を調整する方法があげられる。このような接着剤層厚みの測定方法としては、特に制限されるものではないが、SEM(Scanning Electron Microscopy)や、TEM(Transmission Electron Microscopy)による断面観察測定が好ましく用いられる。接着剤の塗布操作は特に制限されず、ロール法、噴霧法、浸漬法等の各種手段を採用できる。
接着剤を塗布した後における、偏光子と透明保護フィルムの貼り合わせは、ロールラミネーター等により行うことができる。貼り合わせ後の乾燥工程の乾燥温度は、5〜150℃程度、好ましくは30〜120℃で、120秒間以上、さらには300秒間以上である。
偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性材料を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、5〜80μm程度である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作成することができる。必要に応じてホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
前記偏光子の片面または両面に設けられる透明保護フィルムを形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーのブレンド物なども前記透明保護フィルムを形成するポリマーの例としてあげられる。なお、偏光子には、通常、透明保護フィルムが接着剤層により貼り合わされるが、透明保護フィルムとして、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂を用いることができる。透明保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などがあげられる。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以下の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現できないおそれがある。
また、透明保護フィルムとしては、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、例えば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。これらのフィルムは位相差が小さく、光弾性係数が小さいため偏光板の歪みによるムラなどの不具合を解消することができ、また透湿度が小さいため、加湿耐久性に優れる。
透明保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より1〜500μm程度である。特に1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましい。
なお、偏光子の両側に透明保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムを用いてもよい。
本発明の透明保護フィルムとしては、セルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂および(メタ)アクリル樹脂から選ばれるいずれか少なくとも1つを用いるのが好ましい。
セルロース樹脂は、セルロースと脂肪酸のエステルである。このようセルロースエステル系樹脂の具体例としは、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネート等があげられる。これらのなかでも、セルローストリアセテートが特に好ましい。セルローストリアセテートは多くの製品が市販されており、入手容易性やコストの点でも有利である。セルローストリアセテートの市販品の例としては、富士フイルム社製の商品名「UV−50」、「UV−80」、「SH−80」、「TD−80U」、「TD−TAC」、「UZ−TAC」や、コニカ社製の「KCシリーズ」等があげられる。一般的にこれらセルローストリアセテートは、面内位相差(Re)はほぼゼロであるが、厚み方向位相差(Rth)は、〜60nm程度を有している。
なお、厚み方向位相差が小さいセルロース樹脂フィルムは、例えば、上記セルロース樹脂を処理することにより得られる。例えばシクロペンタノン、メチルエチルケトン等の溶剤を塗工したポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ステンレスなどの基材フィルムを、一般的なセルロース系フィルムに貼り合わせ、加熱乾燥(例えば80〜150℃で3〜10分間程度)した後、基材フィルムを剥離する方法;ノルボルネン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂などをシクロペンタノン、メチルエチルケトン等の溶剤に溶解した溶液を一般的なセルロース樹脂フィルムに塗工し加熱乾燥(例えば80〜150℃で3〜10分間程度)した後、塗工フィルムを剥離する方法などがあげられる。
また、厚み方向位相差が小さいセルロース樹脂フィルムとしては、脂肪置換度を制御した脂肪酸セルロース系樹脂フィルムを用いることができる。一般的に用いられるトリアセチルセルロースでは酢酸置換度が2.8程度であるが、好ましくは酢酸置換度を1.8〜2.7に制御することによってRthを小さくすることができる。上記脂肪酸置換セルロース系樹脂に、ジブチルフタレート、p−トルエンスルホンアニリド、クエン酸アセチルトリエチル等の可塑剤を添加することにより、Rthを小さく制御することができる。可塑剤の添加量は、脂肪酸セルロース系樹脂100重量部に対して、好ましくは40重量部以下、より好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは1〜15重量部である。
環状ポリオレフィン樹脂の具体例としては、好ましくはノルボルネン系樹脂である。環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1−240517号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載されている樹脂があげられる。具体例としては、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等のα−オレフィンとその共重合体(代表的にはランダム共重合体)、および、これらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、ならびに、それらの水素化物などがあげられる。環状オレフィンの具体例としては、ノルボルネン系モノマーがあげられる。
環状ポリオレフィン樹脂としては、種々の製品が市販されている。具体例としては、日本ゼオン株式会社製の商品名「ゼオネックス」、「ゼオノア」、JSR株式会社製の商品名「アートン」、TICONA社製の商品名「トーパス」、三井化学株式会社製の商品名「APEL」があげられる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、Tg(ガラス転移温度)が好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上、特に好ましくは130℃以上である。Tgが115℃以上であることにより、偏光板の耐久性に優れたものとなりうる。上記(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定きれないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。(メタ)アクリル系樹脂からは、面内位相差(Re)、厚み方向位相差(Rth)がほぼゼロのフィルムを得ることができる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂を採用し得る。例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)があげられる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキルがあげられる。より好ましくはメタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂があげられる。
(メタ)アクリル系樹脂の具体例として、例えば、三菱レイヨン株式会社製のアクリペットVHやアクリペットVRL20A、特開2004−70296号公報に記載の分子内に環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、分子内架橋や分子内環化反応により得られる高Tg(メタ)アクリル樹脂系があげられる。
(メタ)アクリル系樹脂として、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を用いることもできる。高い耐熱性、高い透明性、二軸延伸することにより高い機械的強度を有するからである。
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報などに記載の、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂があげられる。
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、好ましくは下記一般式(化4)で表される環構造を有する。
式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜20の有機残基を示す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂の構造中の一般式(化1)で表されるラクトン環構造の含有割合は、好ましくは5〜90重量%、より好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは10〜50重量%である。ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂の構造中の一般式(化1)で表されるラクトン環構造の含有割合が5重量%よりも少ないと、耐熱性、耐溶剤性、表面硬度が不十分になるおそれがある。ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂の構造中の一般式(化1)で表されるラクトン環構造の含有割合が90重量%より多いと、成形加工性に乏しくなるおそれがある。
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、質量平均分子量(重量平均分子量と称することも有る)が、好ましくは1000〜2000000、より好ましくは5000〜1000000、さらに好ましくは10000〜500000、特に好ましくは50000〜500000である。質量平均分子量が上記範囲から外れると、成型加工性の点から好ましくない。
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、Tgが好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上、特に好ましくは130℃以上である。Tgが115℃以上であることから、例えば、透明保護フィルムとして偏光板に組み入れた場合に、耐久性に優れたものとなる。上記ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定されないが、成形性などの観点から、好ましくは170℃以下である。
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、射出成形により得られる成形品の、ASTM−D−1003に準じた方法で測定される全光線透過率が、高ければ高いほど好ましく、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上である。全光線透過率は透明性の目安であり、全光線透過率が85%未満であると、透明性が低下するおそれがある。
前記透明保護フィルムは、正面位相差が40nm未満、かつ、厚み方向位相差が80nm未満であるものが、通常、用いられる。正面位相差Reは、Re=(nx−ny)×d、で表わされる。厚み方向位相差Rthは、Rth=(nx−nz)×d、で表される。また、Nz係数は、Nz=(nx−nz)/(nx−ny)、で表される。[ただし、フィルムの遅相軸方向、進相軸方向及び厚さ方向の屈折率をそれぞれnx、ny、nzとし、d(nm)はフィルムの厚みとする。遅相軸方向は、フィルム面内の屈折率の最大となる方向とする。]。なお、透明保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、透明保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
一方、前記透明保護フィルムとして、正面位相差が40nm以上および/または、厚み方向位相差が80nm以上の位相差を有する位相差板を用いることができる。正面位相差は、通常、40〜200nmの範囲に、厚み方向位相差は、通常、80〜300nmの範囲に制御される。透明保護フィルムとして位相差板を用いる場合には、当該位相差板が透明保護フィルムとしても機能するため、薄型化を図ることができる。
位相差板としては、高分子素材を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板の厚さも特に制限されないが、20〜150μm程度が一般的である。
高分子素材としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。これらの高分子素材は延伸等により配向物(延伸フィルム)となる。
液晶ポリマーとしては、例えば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の各種のものなどをあげられる。主鎖型の液晶ポリマーの具体例としては、屈曲性を付与するスペーサー部でメソゲン基を結合した構造の、例えばネマチック配向性のポリエステル系液晶性ポリマー、ディスコティックポリマーやコレステリックポリマーなどがあげられる。側鎖型の液晶ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート又はポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサー部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するものなどがあげられる。これらの液晶ポリマーは、例えば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコール等の薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化ケイ素を斜方蒸着したものなどの配向処理面上に液晶性ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより行われる。
位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであって良く、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであっても良い。
位相差板は、nx=ny>nz、nx>ny>nz、nx>ny=nz、nx>nz>ny、nz=nx>ny、nz>nx>ny、nz>nx=ny、の関係を満足するものが、各種用途に応じて選択して用いられる。なお、ny=nzとは、nyとnzが完全に同一である場合だけでなく、実質的にnyとnzが同じ場合も含む。
例えば、nx>ny>nz、を満足する位相差板では、正面位相差は40〜100nm、厚み方向位相差は100〜320nm、Nz係数は1.8〜4.5を満足するものを用いるのが好ましい。例えば、nx>ny=nz、を満足する位相差板(ポジティブAプレート)では、正面位相差は100〜200nmを満足するものを用いるのが好ましい。例えば、nz=nx>ny、を満足する位相差板(ネガティブAプレート)では、正面位相差は100〜200nmを満足するものを用いるのが好ましい。例えば、nx>nz>ny、を満足する位相差板では、正面位相差は150〜300nm、Nz係数は0を超え〜0.7を満足するものを用いるのが好ましい。また、上記の通り、例えば、nx=ny>nz、nz>nx>ny、またはnz>nx=ny、を満足するものを用いることができる。
透明保護フィルムは、適用される液晶表示装置に応じて適宜に選択できる。例えば、VA(Vertical Alignment,MVA,PVAを含む)の場合は、偏光板の少なくとも片方(セル側)の透明保護フィルムが位相差を有している方が望ましい。具体的な位相差として、Re=0〜240nm、Rth=0〜500nmの範囲である事が望ましい。三次元屈折率で言うと、nx>ny=nz、nx>ny>nz、nx>nz>ny、nx=ny>nz(ポジティブAプレート,二軸,ネガティブCプレート)の場合が望ましい。VA型では、ポジティブAプレートとネガティブCプレートの組み合わせ、または二軸フィルム1枚で用いるのが好ましい。液晶セルの上下に偏光板を使用する際、液晶セルの上下共に、位相差を有している、または上下いずれかの透明保護フィルムが位相差を有していてもよい。
例えば、IPS(In−Plane Switching,FFSを含む)の場合、偏光板の片方の透明保護フィルムが位相差を有している場合、有していない場合のいずれも使用できる。例えば、位相差を有していない場合は、液晶セルの上下(セル側)ともに位相差を有していない場合が望ましい。位相差を有している場合は、液晶セルの上下ともに位相差を有している場合、上下のいずれかが位相差を有している場合が望ましい(例えば、上側にnx>nz>nyの関係を満足する二軸フィルム、下側に位相差なしの場合や、上側にポジティブAプレート、下側にポジティブCプレートの場合)。位相差を有している場合、Re=−500〜500nm、Rth=−500〜500nmの範囲が望ましい。三次元屈折率で言うと、nx>ny=nz、nx>nz>ny、nz>nx=ny、nz>nx>ny(ポジティブAプレート,二軸,ポジティブCプレート)が望ましい。
なお、前記位相差を有するフィルムは、位相差を有しない透明保護フィルムに、別途、貼り合せて上記機能を付与することができる。
透明保護フィルムの偏光子と接着する面には、易接着処理を施すことができる。易接着処理としては、プラズマ処理、コロナ処理等のドライ処理、アルカリ処理(ケン化処理)等の化学処理、易接着剤層を形成するコーティング処理等があげられる。これらのなかでも、易接着剤層を形成するコーティング処理やアルカリ処理が好適である。易接着剤層の形成には、ポリオール樹脂、ポリカルボン酸樹脂、ポリエステル樹脂等の各種の易接着材料を使用することができる。なお、易接着剤層の厚みは、通常、0.001〜10μm程度、さらには0.001〜5μm程度、特に0.001〜1μm程度とするのが好ましい。
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであってもよい。
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
またアンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜20μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜70重量部程度であり、5〜50重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
本発明の偏光板は、実用に際して他の光学層と積層した光学フィルムとして用いることができる。その光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、本発明の偏光板に更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、偏光板に更に視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは偏光板に更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましい。
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また前記透明保護フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また微粒子含有の透明保護フィルムは、入射光及びその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制しうる利点なども有している。透明保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行うことができる。
反射板は前記の偏光板の透明保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が透明保護フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。上記した位相差板の具体例としては、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアミドの如き適宜なポリマーからなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性フィルムや液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであってもよい。
また上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板又は反射型偏光板と位相差板を適宜な組み合わせで積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射型)偏光板と位相差板の組み合わせとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっても形成しうるが、前記の如く予め楕円偏光板等の光学フィルムとしたものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。
視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償位相差板としては、例えば位相差フィルム、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いうる。
また良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性によっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、更にその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
輝度向上フィルムと上記反射層等の間に拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層等に向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、拡散板は偏光を元の自然光状態にもどす。この非偏光状態、すなわち自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層等の間に、偏光を元の自然光状態にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
前記の輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を透過するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
可視光域等の広い波長範囲で1/4波長板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。従って、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層又は2層以上の位相差層からなるものであってよい。
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組み合わせにして2層又は3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
また、偏光板は、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていてもよい。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
偏光板に前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板やその他の光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
前述した偏光板や、偏光板を少なくとも1層積層されている光学フィルムには、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層を設けることもできる。粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
また上記に加えて、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層が好ましい。
粘着層は、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘着層に添加されることの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層などであってもよい。
偏光板や光学フィルムの片面又は両面への粘着層の付設は、適宜な方式で行いうる。その例としては、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で偏光板上または光学フィルム上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着層を形成してそれを偏光板上または光学フィルム上に移着する方式などがあげられる。
粘着層は、異なる組成又は種類等のものの重畳層として偏光板や光学フィルムの片面又は両面に設けることもできる。また両面に設ける場合に、偏光板や光学フィルムの表裏において異なる組成や種類や厚さ等の粘着層とすることもできる。粘着層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜500μmであり、1〜200μmが好ましく、特に1〜100μmが好ましい。
粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
なお本発明において、上記した偏光板を形成する偏光子や透明保護フィルムや光学フィルム等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
本発明の偏光板または光学フィルムは液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと偏光板または光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による偏光板または光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
液晶セルの片側又は両側に偏光板または光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による偏光板または光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に偏光板または光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1/4波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1/4波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、各例中、部および%は特記ない限り重量基準である。
実施例1
(偏光子)
平均重合度2400、ケン化度99.9モル%の厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の温水中に60秒間浸漬し膨潤させた。次いで、ヨウ素/ヨウ化カリウム(重量比=0.5/8)の濃度0.3%の水溶液に浸漬し、3.5倍まで延伸させながらフィルムを染色した。その後、65℃のホウ酸エステル水溶液中で、トータルの延伸倍率が6倍となるように延伸を行った。延伸後に、40℃のオーブンにて3分間乾燥を行い、偏光子を得た。
(偏光子)
平均重合度2400、ケン化度99.9モル%の厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の温水中に60秒間浸漬し膨潤させた。次いで、ヨウ素/ヨウ化カリウム(重量比=0.5/8)の濃度0.3%の水溶液に浸漬し、3.5倍まで延伸させながらフィルムを染色した。その後、65℃のホウ酸エステル水溶液中で、トータルの延伸倍率が6倍となるように延伸を行った。延伸後に、40℃のオーブンにて3分間乾燥を行い、偏光子を得た。
(透明保護フィルム)
厚さ40μmのトリアセチルセルロースフィルムを用いた。
厚さ40μmのトリアセチルセルロースフィルムを用いた。
(接着剤の調製)
カルボン酸含有ポリマーとして、無水マレイン酸−ビニルエチルエーテル共重合体(ISP社製の商品名Gantrez,重合度1700,型番AN−119)を、80℃の熱水中で撹拌し、固形分濃度10重量%の前記共重合体水溶液を調製した。なお、前記共重合体の全重合度の割合{(m/m+n)×100}は、m:n=1:1であり、50%である。固形分中の前記共重合体の割合は100重量%である。
カルボン酸含有ポリマーとして、無水マレイン酸−ビニルエチルエーテル共重合体(ISP社製の商品名Gantrez,重合度1700,型番AN−119)を、80℃の熱水中で撹拌し、固形分濃度10重量%の前記共重合体水溶液を調製した。なお、前記共重合体の全重合度の割合{(m/m+n)×100}は、m:n=1:1であり、50%である。固形分中の前記共重合体の割合は100重量%である。
(偏光板の作成)
上記透明保護フィルムを2枚用意し、それぞれの片面に、上記接着剤を乾燥後の接着剤層の厚みが100nmとなるように塗布した。次いで、上記接着剤の塗布された透明保護フィルムを偏光子の両面にラミネータにより貼り合せた後、60℃で5分間乾燥させて、偏光板を作成した。
上記透明保護フィルムを2枚用意し、それぞれの片面に、上記接着剤を乾燥後の接着剤層の厚みが100nmとなるように塗布した。次いで、上記接着剤の塗布された透明保護フィルムを偏光子の両面にラミネータにより貼り合せた後、60℃で5分間乾燥させて、偏光板を作成した。
実施例2
(接着剤の調製)
実施例1において、接着剤の調製にあたり、前記共重合体とともに、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水溶性接着剤(日本合成化学(株)製,商品名「ゴーセファイマーマーZ200)と架橋剤(大日本インキ化学工業(株)製,商品名「ウオーターゾル S‐695」)とを用い、前記共重合体と前記ポリビニルアルコール系樹脂と前記架橋剤の固形分の重量比が順に10:3:2になる割合になるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度7.5重量%の水溶液を調製した。固形分中の前記共重合体の割合は66.7重量%である。
(接着剤の調製)
実施例1において、接着剤の調製にあたり、前記共重合体とともに、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水溶性接着剤(日本合成化学(株)製,商品名「ゴーセファイマーマーZ200)と架橋剤(大日本インキ化学工業(株)製,商品名「ウオーターゾル S‐695」)とを用い、前記共重合体と前記ポリビニルアルコール系樹脂と前記架橋剤の固形分の重量比が順に10:3:2になる割合になるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度7.5重量%の水溶液を調製した。固形分中の前記共重合体の割合は66.7重量%である。
(偏光板の作成)
実施例1において、接着剤を上記で得られたものに変えたこと以外は実施例1と同様にして、偏光板を作成した。
実施例1において、接着剤を上記で得られたものに変えたこと以外は実施例1と同様にして、偏光板を作成した。
実施例3
(接着剤の調製)
クエン酸を、80℃の熱水中で撹拌し、固形分濃度10重量%のクエン酸水溶液を調製した。固形分中のクエン酸の割合は100重量%である。
(接着剤の調製)
クエン酸を、80℃の熱水中で撹拌し、固形分濃度10重量%のクエン酸水溶液を調製した。固形分中のクエン酸の割合は100重量%である。
(偏光板の作成)
実施例1において、接着剤を上記で得られたものに変えたこと以外は実施例1と同様にして、偏光板を作成した。
実施例1において、接着剤を上記で得られたものに変えたこと以外は実施例1と同様にして、偏光板を作成した。
実施例4
(接着剤の調製)
ブタンテトラカルボン酸を、80℃の熱水中で撹拌し、固形分濃度10重量%のブタンテトラカルボン酸水溶液を調製した。固形分中のブタンテトラカルボン酸の割合は100重量%である。
(接着剤の調製)
ブタンテトラカルボン酸を、80℃の熱水中で撹拌し、固形分濃度10重量%のブタンテトラカルボン酸水溶液を調製した。固形分中のブタンテトラカルボン酸の割合は100重量%である。
(偏光板の作成)
実施例1において、接着剤を上記で得られたものに変えたこと以外は実施例1と同様にして、偏光板を作成した。
実施例1において、接着剤を上記で得られたものに変えたこと以外は実施例1と同様にして、偏光板を作成した。
実施例5
(接着剤の調製)
マレイン酸を、80℃の熱水中で撹拌し、固形分濃度10重量%のマレイン酸水溶液を調製した。固形分中のマレイン酸の割合は100重量%である。
(接着剤の調製)
マレイン酸を、80℃の熱水中で撹拌し、固形分濃度10重量%のマレイン酸水溶液を調製した。固形分中のマレイン酸の割合は100重量%である。
(偏光板の作成)
実施例1において、接着剤を上記で得られたものに変えたこと以外は実施例1と同様にして、偏光板を作成した。
実施例1において、接着剤を上記で得られたものに変えたこと以外は実施例1と同様にして、偏光板を作成した。
比較例1
(接着剤の調製)
ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水溶性接着剤(日本合成化学(株)製,商品名「ゴーセファイマーマーZ200)と架橋剤(大日本インキ化学工業(株)製,商品名「ウオーターゾル S‐695」)とを用い、前記ポリビニルアルコール系樹脂と前記架橋剤の固形分の重量比が順に3:2の割合になるように調整して、固形分濃度5重量%のポリビニルアルコール系接着剤(水溶液)を調製した。
(接着剤の調製)
ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水溶性接着剤(日本合成化学(株)製,商品名「ゴーセファイマーマーZ200)と架橋剤(大日本インキ化学工業(株)製,商品名「ウオーターゾル S‐695」)とを用い、前記ポリビニルアルコール系樹脂と前記架橋剤の固形分の重量比が順に3:2の割合になるように調整して、固形分濃度5重量%のポリビニルアルコール系接着剤(水溶液)を調製した。
(偏光板の作成)
実施例1において、接着剤を上記で得られたものに変えたこと以外は実施例1と同様にして、偏光板を作成した。
実施例1において、接着剤を上記で得られたものに変えたこと以外は実施例1と同様にして、偏光板を作成した。
(評価)
実施例および比較例で得られた偏光板用接着剤および偏光板について下記評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例および比較例で得られた偏光板用接着剤および偏光板について下記評価を行なった。結果を表1に示す。
<光学耐久性>
得られた偏光板を、30cm×30cmに切り出し、耐久性試験条件下に放置した前後での光学特性の変化を表1に示す。
耐熱性:温度80℃および100℃の加熱条件にそれぞれ1000時間放置。
耐湿性:温度60℃、湿度95%RHの湿熱条件下に1000時間放置。
光学特性は、積分球付き分光光度計(日本分光製、V7100)を用いて、偏光度(P)の耐久性試験前後での変化量(ΔP)として示す。測定波長は、波長550nmで行った。なお、偏光度(P)は、2枚の同じ偏光板を両者の透過軸が平行となるように重ね合わせた場合の透過率(平行透過率:H0)および、両者の透過軸が直交するように重ね合わせた場合の透過率(直交透過率:H90)を以下の式に適用することにより求められるものである。
偏光度(%)={(H0−H90)/(H0+H90)}1/2×100
各透過率は、グランテラープリズム偏光子を通して得られた完全偏光を100%として、JIS Z8701の2度視野(C光源)により視感度補整したY値で示したものである。
得られた偏光板を、30cm×30cmに切り出し、耐久性試験条件下に放置した前後での光学特性の変化を表1に示す。
耐熱性:温度80℃および100℃の加熱条件にそれぞれ1000時間放置。
耐湿性:温度60℃、湿度95%RHの湿熱条件下に1000時間放置。
光学特性は、積分球付き分光光度計(日本分光製、V7100)を用いて、偏光度(P)の耐久性試験前後での変化量(ΔP)として示す。測定波長は、波長550nmで行った。なお、偏光度(P)は、2枚の同じ偏光板を両者の透過軸が平行となるように重ね合わせた場合の透過率(平行透過率:H0)および、両者の透過軸が直交するように重ね合わせた場合の透過率(直交透過率:H90)を以下の式に適用することにより求められるものである。
偏光度(%)={(H0−H90)/(H0+H90)}1/2×100
各透過率は、グランテラープリズム偏光子を通して得られた完全偏光を100%として、JIS Z8701の2度視野(C光源)により視感度補整したY値で示したものである。
<ポットライフ:可使時間>
各例で調製した接着剤のポットライフを計測した。ポットライフは、接着剤を調製後に10分間撹拌してから、接着剤50mlをディスポカップ(100ml)に入れ、1時間後、3時間後、1日後、10日後、1カ月後に、ゲル化しているか否かを確認した。ゲル化の確認は、接着剤が糸をひくような状態(このような状態になると一気に固まる)になることを目視により確認した。ポットライフは、長ければ長いほど好ましく、工程や環境(使用)条件の自由度が大きくなる。なお、表1には、上記測定でゲル化を確認した時間を記載した。ゲル化しなかった場合は「○」とした。
各例で調製した接着剤のポットライフを計測した。ポットライフは、接着剤を調製後に10分間撹拌してから、接着剤50mlをディスポカップ(100ml)に入れ、1時間後、3時間後、1日後、10日後、1カ月後に、ゲル化しているか否かを確認した。ゲル化の確認は、接着剤が糸をひくような状態(このような状態になると一気に固まる)になることを目視により確認した。ポットライフは、長ければ長いほど好ましく、工程や環境(使用)条件の自由度が大きくなる。なお、表1には、上記測定でゲル化を確認した時間を記載した。ゲル化しなかった場合は「○」とした。
表1中、共重合体1:無水マレイン酸−ビニルエチルエーテル共重合体(ISP社製の商品名Gantrez,重合度1700,型番AN−119)、
BTCA:ブタンテトラカルボン酸、
Z200:ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水溶性接着剤(日本合成化学(株)製,商品名「ゴーセファイマーマーZ200)と架橋剤(大日本インキ化学工業(株)製,商品名「ウオーターゾル S‐695」)の混合物、を示す。
BTCA:ブタンテトラカルボン酸、
Z200:ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水溶性接着剤(日本合成化学(株)製,商品名「ゴーセファイマーマーZ200)と架橋剤(大日本インキ化学工業(株)製,商品名「ウオーターゾル S‐695」)の混合物、を示す。
表1より、本発明の接着剤を用いた、実施例で得られる偏光板は、光学耐熱性に優れていることが分かる。また、接着剤として、固形分中の多価カルボン酸化合物の割合が多い場合(実施例1、3−5では100%)では、光学耐湿性、ポットライフにおいても優れていることが分かる。
Claims (11)
- 偏光子の少なくとも片面に透明保護フィルムを設けるために用いる偏光板用接着剤であって、
前記偏光板用接着剤は、カルボキシル基を2個以上および/または酸無水物基を1個以上有する多価カルボン酸化合物(但し、多価カルボン酸化合物にポリビニルアルコール系樹脂は含まれない)を含有してなる水溶液であり、かつ、当該水溶液における固形分の50重量%以上が前記多価カルボン酸化合物であることを特徴とする偏光板用接着剤。 - 多価カルボン酸化合物が、カルボキシル基および/またはその無水物基を有する不飽和カルボン酸をモノマーユニットとして含有するカルボン酸含有ポリマーであることを特徴とする請求項1記載の偏光板用接着剤。
- カルボン酸含有ポリマーが、不飽和カルボン酸のモノマーユニットとしてマレイン酸および/またはその無水物のモノマーユニットを含有するマレイン酸系重合体であることを特徴とする請求項2記載の偏光板用接着剤。
- マレイン酸系重合体が、無水マレイン酸−ビニルアルキルエーテル共重合体および/または無水マレイン酸−αオレフィン共重合体であることを特徴とする請求項3記載の偏光板用接着剤。
- カルボン酸含有ポリマーは、モノマーユニットの重合度が1000〜40000であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の偏光板用接着剤。
- 無水マレイン酸−ビニルアルキルエーテル共重合体および/または無水マレイン酸−αオレフィン共重合体が、一般式(1)および一般式(2):
(式中、R1は、−CH3、−CH2CH3、−CH(CH3)2、−C(CH3)3、−OCH3、−OCH2CH3、−OCH(CH3)2、または−OC(CH3)3であり、R2は−Hまたは−CH3である。m、nは重合度であり、m+n=1000〜40000である。)で表されるモノマーユニットを有することを特徴とする請求項4または5記載の偏光板用接着剤。 - 多価カルボン酸化合物が、カルボキシル基を2個以上および/または酸無水物基を1個以上有する分子量1000以下の低分子多価カルボン酸化合物であることを特徴とする請求項1記載の偏光板用接着剤。
- 低分子多価カルボン酸化合物が、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、クエン酸、ブタンテトラカルボン酸およびブタンテトラカルボン酸無水物から選ばれるいずれか少なくとも1つであることを特徴とする請求項7記載の偏光板用接着剤。
- 偏光子の少なくとも一方の面に、接着剤層を介して透明保護フィルムが設けられている偏光板において、前記接着剤層が請求項1〜8のいずれかに記載の偏光板用接着剤により形成されていることを特徴とする偏光板。
- 請求項9記載の偏光板が、少なくとも1枚積層されていることを特徴とする光学フィルム。
- 請求項9記載の偏光板または請求項10記載の光学フィルムが用いられていることを特徴とする画像表示装置。
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