JP7430066B2 - 自動車外板用成形体、自動車および自動車の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車外板用成形体、自動車および自動車の製造方法に関する。
近年、バンパー、フェンダー等の自動車外板として、軽量化の観点から、従来の金属製外板に代わって樹脂製外板が用いられている。自動車外板において、通常、静電塗装により表面塗装が自動化されている。前記塗装において、従来、樹脂製外板と自動車車体とをそれぞれ別に塗装する方法(オフライン塗装)、樹脂製外板を自動車車体に取り付けて樹脂製外板および自動車車体を一体塗装する方法(オンライン塗装)が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、自動車における各種成形品として、射出成形品が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2004-255683号公報 特開2001-353749号公報
自動車の生産工程の簡略化、生産時間の短縮化、および塗装工程での塗料ロスの低減といった観点から、オンライン塗装が望ましい。しかしながら、樹脂製外板は鋼板に比べて耐熱性が劣るため、一般的に高温で行われるオンライン塗装は困難であった。
本発明の一態様に係る課題は、オンライン塗装に耐えられる耐熱性を有する自動車外板用成形体を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく検討した結果、以下の自動車外板用成形体により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、例えば以下の[1]~[8]に関する。
[1]プロピレン系樹脂を含む表層(I)と、繊維強化プロピレン系樹脂を含む中間層(II)とを有する、自動車外板用成形体。
[2]前記表層(I)として第1の表層(I-1)および第2の表層(I-2)とを有し、表層(I-1)と、中間層(II)と、表層(I-2)とをこの順番に有する、前記[1]に記載の自動車外板用成形体。
[3]成形体の中心部分での断面において、中間層(II)の厚さが、全体厚さの50~90%の範囲にある、前記[1]または[2]に記載の自動車外板用成形体。
[4]前記表層(I)が、プロピレン単独重合体を含む樹脂組成物から形成される層であるか、または、プロピレン系ブロック共重合体と、無機充填剤とを含む樹脂組成物から形成される層である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の自動車外板用成形体。
[5]繊維強化プロピレン系樹脂が、ガラス繊維強化プロピレン系樹脂である、前記[1]~[4]のいずれかに記載の自動車外板用成形体。
[6]サンドイッチ成形体である、前記[1]~[5]のいずれかに記載の自動車外板用成形体。
[7]前記[1]~[6]のいずれかに記載の自動車外板用成形体を有する自動車。
[8]前記[1]~[6]のいずれかに記載の自動車外板用成形体にプライマー塗装を行い、プライマー塗装品を得る工程(1)と、前記プライマー塗装品を自動車車体に取り付ける工程(2)と、プライマー塗装品が取り付けられた自動車車体に対してオンラインにて塗装を行う工程(3)と、工程(3)後の自動車車体を乾燥する工程(4)とをこの順番で有する、自動車の製造方法。
本発明の一態様によれば、オンライン塗装に耐えられる耐熱性を有する自動車外板用成形体を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
以下の説明において、特に言及しない限り、プロピレン系樹脂、繊維、添加剤成分、プライマー、塗料などは、それぞれ1種または2種以上用いることができる。
[自動車外板用成形体]
本発明の一実施形態に係る自動車外板用成形体(以下「本実施形態の成形体」ともいう)は、プロピレン系樹脂を含む表層(I)と、繊維強化プロピレン系樹脂を含む中間層(II)とを有する。
自動車外板としては、例えば、バンパー、フェンダー、サイドドア、エンジンフード、バックドア、ルーフパネル、フューエルリッドカバー、トランク、サイドスカートが挙げられ、バンパー、フェンダーが好ましい。
<表層(I)>
表層(I)は、プロピレン系樹脂を含む。
プロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンと、エチレンおよび炭素数4以上のα-オレフィンから選択される少なくとも1種との共重合体が挙げられる。前記共重合体は、プロピレン系ランダム共重合体であっても、プロピレン系ブロック共重合体であってもよい。
炭素数4以上のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、2-エチル-1-ブテン、2,3-ジメチル-1-ブテン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、メチル-1-ヘキセン、ジメチル-1-ペンテン、エチル-1-ペンテン、トリメチル-1-ブテン、メチルエチル-1-ブテン、1-オクテン、メチル-1-ペンテン、エチル-1-ヘキセン、ジメチル-1-ヘキセン、プロピル-1-ヘプテン、メチルエチル-1-ヘプテン、トリメチル-1-ペンテン、プロピル-1-ペンテン、ジエチル-1-ブテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン等の炭素数4~20のα-オレフィンが挙げられる。これらの中でも、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンが好ましい。
プロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体およびプロピレン系ブロック共重合体が好ましい。プロピレン系ブロック共重合体はインパクトポリプロピレンとも呼ばれ、通常、ポリプロピレンホモポリマーとプロピレン-エチレン共重合体との混合物である。
プロピレン系樹脂は、無水マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたプロピレン系樹脂を含んでいてもよい。このような変性プロピレン系樹脂において、不飽和カルボン酸またはその誘導体の含有割合は、好ましくは0.01~10質量%である。
プロピレン系樹脂の、JIS K7210に準拠した得られた230℃、2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.1~500g/10分であり、より好ましくは0.2~400g/10分、さらに好ましくは0.3~300g/10分である。
本実施形態の成形体は、表層(I)として、第1の表層(I-1)と、第2の表層(I-2)とを有することが好ましい。この場合、本実施形態の成形体は、第1の表層(I-1)と、中間層(II)と、第2の表層(I-2)とをこの順番に有することが好ましい。このような態様であると、加熱下での成形体の反りが抑制される傾向にある。例えば板状成形体の場合、第1の表層(I-1)が前記成形体の一方の主面を構成し、第2の表層(I-2)が前記成形体の他方の主面を構成する。
なお、第1の表層(I-1)および第2の表層(I-2)のうち、少なくとも一方がプロピレン系樹脂を含む層であればよいが、いずれもプロピレン系樹脂を含む層であることが好ましい。この場合、第1の表層(I-1)に含まれるプロピレン系樹脂および第2の表層(I-2)に含まれるプロピレン系樹脂は、同一であっても異なってもよいが、同一であることが好ましい。より具体的には、第1の表層(I-1)および第2の表層(I-2)は、同一のプロピレン系樹脂組成物から形成された層であることが好ましい。
第1の表層(I-1)および第2の表層(I-2)等の表層(I)は、プロピレン系樹脂を含有する樹脂組成物(以下「プロピレン系樹脂組成物」ともいう)から形成された層であることが好ましい。
プロピレン系樹脂組成物中のプロピレン系樹脂の含有割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。
プロピレン系樹脂組成物は、添加剤成分を含有することができる。添加剤成分としては、例えば、オレフィン系エラストマーのようなエラストマーなどの衝撃強度改質剤;タルク、炭酸カルシウム、金属粉、カーボンブラック、グラファィト、酸化チタン、酸化亜鉛などの無機充填剤;顔料、染料などの着色剤;酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、結晶核剤、分散剤、難燃剤、難燃助剤、可塑剤が挙げられる。プロピレン系樹脂組成物中の添加剤成分の含有割合は特に限定されないが、例えば、0.01~30質量%である。
プロピレン系樹脂組成物の一実施形態は、プロピレン系樹脂と、無機充填剤と、衝撃強度改質剤とを含有し、好ましくは、プロピレン系樹脂と、タルクと、オレフィン系エラストマーとを含有する。
表層(I)およびその形成に用いられるプロピレン系樹脂組成物は、成形体の外観が向上することから、繊維を実質的に含有しないことが好ましい。ここで繊維としては、後述する繊維強化プロピレン系樹脂に含まれる繊維が挙げられる。「実質的に」とは、表層(I)およびプロピレン系樹脂組成物中の繊維の含有割合が、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下であることを意味する。
<中間層(II)>
中間層(II)は、繊維強化プロピレン系樹脂を含む。繊維強化プロピレン系樹脂は、本実施形態の成形体に優れた耐熱性および機械的強度を付与する。
繊維強化プロピレン系樹脂におけるプロピレン系樹脂としては、<表層(I)>の欄に記載したプロピレン系樹脂が挙げられる。ただし、繊維強化プロピレン系樹脂に含まれるプロピレン系樹脂と、表層(I)に含まれるプロピレン系樹脂とは、同一の樹脂であっても異なる樹脂であってもよい。
繊維強化プロピレン系樹脂における繊維としては、例えば、ガラス繊維;炭素繊維;アルミニウム繊維、アルミニウム合金繊維、銅繊維、黄銅繊維、鋼繊維、ステンレス鋼繊維、チタン繊維などの金属繊維;綿繊維、絹繊維、木質繊維、セルロース繊維などの天然繊維;炭化ケイ素繊維、チッ化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維などのセラミック繊維;全芳香族ポリアミド(アラミド)、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、全芳香族ポリエーテル、全芳香族ポリカーボネート、全芳香族ポリアゾメチン、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリ(パラ-フェニレンベンゾビスチアゾール)、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリアリレート、フッ素系ポリマーなどの合成樹脂からなる合成繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、例えば、Eガラス、Cガラス、Sガラスおよび耐アルカリガラス等のガラスを溶融紡糸して得られた、フィラメント状の繊維が挙げられる。繊維の中でも、剛性および耐熱性等の観点から、ガラス繊維および炭素繊維が好ましい。
繊維には、必要に応じて、カップリング剤処理、界面活性剤処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、プラズマ照射処理等の表面処理が施されていてもよい。カップリング剤としては、例えば、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン、およびこれらの加水分解物が挙げられる。
繊維は、短繊維でも長繊維でもよいが、得られる成形体の物性面が優れることから長繊維が好ましく、成形時の流動性の観点からは短繊維が好ましい。また、短繊維と長繊維との混合繊維を用いることもできる。短繊維は、チョップドファイバー(カットファイバー)状短繊維でも、フィブリルを有するパルプ状短繊維でもよい。
繊維の平均繊維長は、好ましくは0.1~20.0mm、より好ましくは0.3~15.0mm、さらに好ましくは0.5~13.0mmである。平均繊維長は、任意の100本の繊維について、その長さを測定し、平均した値である。
繊維の平均繊維径は、好ましくは0.1~300μm、より好ましくは0.1~200μm、さらに好ましくは1~100μm、特に好ましくは1~30μmである。平均繊維径は、任意の100本の繊維について、その径を測定し、平均した値である。
繊維強化プロピレン系樹脂における繊維の含有量は、プロピレン系樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1~100質量部、より好ましくは1~70質量部、さらに好ましくは5~60質量部、特に好ましくは10~50質量部である。このような態様であると、得られる成形体の耐熱性、機械的強度および軽量化の観点から好ましい。
繊維強化プロピレン系樹脂は、リサイクル材であってもかまわない。バージン材とリサイクル材とを任意の比率で配合して用いられても構わない。
繊維強化プロピレン系樹脂は、添加剤成分を含有することができる。添加剤成分としては、例えば、オレフィン系エラストマーのようなエラストマーなどの衝撃強度改質剤;タルク、炭酸カルシウム、金属粉、カーボンブラック、グラファィト、酸化チタン、酸化亜鉛などの無機充填剤;顔料、染料などの着色剤;酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、結晶核剤、分散剤、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、発泡剤などの添加剤成分が挙げられる。繊維強化プロピレン系樹脂中の添加剤成分の含有割合は特に限定されないが、例えば、0.01~30質量%である。
繊維強化プロピレン系樹脂中のプロピレン系樹脂および繊維の合計の含有割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
中間層(II)は、比重を調整する等の観点から、空隙部を有してもよい。空隙部は、例えば、発泡剤を含有する繊維強化プロピレン系樹脂を金型内に充填して発泡させることにより形成することができ、あるいは、充填された繊維強化プロピレン系樹脂内にガスを注入して形成することができる。
発泡剤としては、例えば熱によりガスを発生するものであればよく、化学発泡剤、物理発泡剤が挙げられる。例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ベンゼンスルホヒドラジド、N,N-ジニトロペンタメチレンテトラミン、テレフタルアジドが挙げられる。繊維強化プロピレン系樹脂中の発泡剤の含有割合は、例えば0.01~3質量%である。
本実施形態の成形体の中心部分(例えば重心部分)での断面において、中間層(II)の厚さが、全体厚さの50~90%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは60~85%、さらに好ましくは70~80%の範囲にある。このような態様であれば、前記成形体は耐熱性および機械的強度により優れる傾向にある。
本実施形態の成形体における中間層(II)と表層(I)との体積比率は、成形体の形状・種類・用途、各層を形成する樹脂材料などに応じて適宜設定可能である。表層(I)と中間層(II)との合計に対して、中間層(II)は、50~90体積%を占めることが好ましく、より好ましくは60~85体積%、さらに好ましくは70~80体積%である。
本実施形態の成形体は、耐熱性に優れ、例えば後述する荷重たわみ温度試験(曲げ応力1.80MPa)において測定される荷重たわみ温度が好ましくは120℃を超え、より好ましくは140℃以上である。
<成形体の製造方法>
本実施形態の成形体は、射出成形法などの従来公知の成形法により製造することができ、サンドイッチ成形法により製造することが好ましい。すなわち、本実施形態の成形体は、サンドイッチ成形体であることが好ましい。
サンドイッチ成形法は、表層(I)を形成するための樹脂材料、好ましくはプロピレン系樹脂組成物を金型内に射出して充填物(これが表層(I)となる)を形成する工程と、中間層(II)を形成するための樹脂材料、すなわち繊維強化プロピレン系樹脂を前記金型内の充填物内に射出して中間層(II)を形成する工程とを有し、必要に応じて、表層(I)を形成するための樹脂材料、好ましくはプロピレン系樹脂組成物をさらに金型内に射出する工程を有してもよい。
表層(I)を形成するための樹脂材料は、通常、射出成形機により、第1のシリンダ内で溶融可塑化させた後、金型内に射出される。中間層(II)を形成するための樹脂材料は、通常、射出成形機により、第2のシリンダ内で溶融可塑化させた後、射出成形機により金型内の充填物内に射出される。
表層(I)および中間層(II)を形成するための樹脂材料の量、射出速度および射出時間は、表層(I)および中間層(II)の比率等に応じて任意に設定することができ、金型形状や樹脂材料の粘度により最適化することが好ましい。樹脂材料の溶融可塑化温度は、好ましくは220~250℃、より好ましくは230~240℃であり、金型温度は、好ましくは40~60℃、より好ましくは45~55℃である。
[自動車およびその製造方法]
本発明の一実施形態に係る自動車は、本実施形態の成形体を有する。
本発明の一実施形態に係る自動車の製造方法(以下「本実施形態の製造方法」ともいう)は、本実施形態の成形体にプライマー塗装を行い、プライマー塗装品を得る工程(1)と、前記プライマー塗装品を自動車車体に取り付ける工程(2)と、プライマー塗装品が取り付けられた自動車車体に対してオンラインにて塗装を行う工程(3)と、工程(3)後の自動車車体を乾燥する工程(4)とをこの順番で有する。
工程(1)で用いられるプライマーとしては、従来公知のプライマーを用いることができ、例えば、熱可塑性ポリオレフィン樹脂系、熱可塑性ポリウレタン樹脂/尿素樹脂系、熱硬化性ポリエステル樹脂/メラミン樹脂/エポキシ樹脂系のプライマーが挙げられる。プライマーとしては、工程(3)で中塗り塗料および/または上塗り塗料を用いて静電塗装する場合は前記成形体表面に導電性を付与する観点から、導電性プライマーが好ましい。導電性プライマーにおける導電材としては、例えば、導電性カーボン、導電性酸化チタン、金属粉、金属酸化物、カーボンファイバー、金属被覆ファイバー、金属フレークが挙げられる。
なお、本実施形態の製造方法では、プライマー塗装をオフラインで行い、その後、中塗りおよび上塗りなどの塗装をオンラインで行う。このため、本実施形態の成形体自体は導電性を有する必要はなく、前記成形体自体は導電材を含有する必要はない。
プライマーの塗装方法としては、例えば、エアースプレー、エアレススプレー、ハケ塗り等の方法が挙げられる。プライマーから形成された下塗り塗膜の膜厚は、好ましくは1~40μm、より好ましくは2~20μmである。
工程(2)においてプライマー塗装品を自動車車体に取り付け、工程(3)においてプライマー塗装品および自動車車体を一体的に塗装する(オンライン塗装)。このような方法は、プライマー塗装品と自動車車体とを別々に塗装するよりも、自動車の生産性向上、塗料ロスの低減の観点から好ましい。
工程(3)および工程(4)において、例えば、工程(3)で中塗りおよび上塗り(例:ベース、クリア)を行い、工程(4)で乾燥を行ってもよく、工程(3)および工程(4)を繰返し、中塗りおよび乾燥、上塗りおよび乾燥を行ってもよい。
中塗り塗料および上塗り塗料の塗装方法については特に制限はなく、例えば、スプレー塗装法、静電塗装法などの公知の塗装方法を用いることができる。プライマー塗装品と自動車車体とを一体的に塗装するオンライン塗装では、静電塗装法が好ましい。
中塗り塗料および上塗り塗料の種類については、樹脂成形体の塗装用に一般的に用いられている塗料を使用することができ、例えば、ラッカー系塗料、ウレタン系塗料、アクリル系塗料、アルキッド系塗料、エポキシ系塗料、ポリエステル系塗料が挙げられる。本実施形態の成形体は耐熱性に優れることから、自動車車体を構成する鋼板に塗装される塗料と同じ中塗り塗料および上塗り塗料を使用することができる。このため、中塗り塗料および上塗り塗料としては、自動車外板塗装に使用されている塗料、例えば、アクリルアルキッド樹脂塗料、アミノアルキッド樹脂塗料、ポリエステル樹脂塗料を使用することができる。
中塗り塗料および上塗り塗料などの塗装後において、工程(4)での加熱温度は好ましくは120~160℃、より好ましくは130~150℃である。
中塗り塗料から形成された中塗り塗膜および上塗り塗料から形成された上塗り塗膜の膜厚は、それぞれ独立に、好ましくは5~150μm、より好ましくは10~100μmである。
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以下の実施例等の記載において、特に言及しない限り、「部」は「質量部」を示す。
[樹脂材料]
以下の樹脂材料を用いた。
表層(スキン層):(株)プライムポリマー製J106MG(ホモポリプロピレン)
中間層(コア層):(株)プライムポリマー製E7000(短繊維ガラス強化ポリプロピレン;ガラス繊維量30質量%)98質量%と、東洋インキ(株)製LM0144(黒顔料マスターバッチ:層構成の確認を容易にするために中間層(コア層)を着色するために添加)2質量%との混合物
[成形]
射出機:日本製鋼所 J1000EL III、サンドイッチ成形装置(モールドマスタープレート)および追加ノズルを設置
金型 :840mm×400mmの板型、厚さ3mm-t板および2mm-t板
表層成形条件:樹脂温度240℃、型温度50℃、射出時間7.4秒(2mm-t)または10秒(3mm-t)、保圧30MPa、保圧時間5秒、冷却時間30秒
中間層成形条件:樹脂温度240℃、型温度50℃、射出時間2.7秒(2mm-t)または4.0秒(3mm-t)、射出遅延時間0.1秒、保圧なし、冷却時間30秒
比較例1では、中間層は形成しなかった。
[評価]
得られた成形体について、JIS K7191に準拠し荷重たわみ温度試験(曲げ応力1.80MPa)およびJIS K7171に準拠し曲げ試験を実施した。
Figure 0007430066000001

Claims (7)

  1. プロピレン系樹脂を含み、繊維の含有割合が3質量%以下である表層(I)と、
    繊維強化プロピレン系樹脂を含む中間層(II)と
    を有し、中心部分での断面において、前記中間層(II)の厚さが、全体厚さの50~90%の範囲にある、自動車外板用成形体。
  2. 前記表層(I)として第1の表層(I-1)および第2の表層(I-2)とを有し、表層(I-1)と、中間層(II)と、表層(I-2)とをこの順番に有する、請求項1に記載の自動車外板用成形体。
  3. 前記表層(I)が、プロピレン単独重合体を含む樹脂組成物から形成される層であるか、または、プロピレン系ブロック共重合体と、無機充填剤とを含む樹脂組成物から形成される層である、請求項1または2に記載の自動車外板用成形体。
  4. 繊維強化プロピレン系樹脂が、ガラス繊維強化プロピレン系樹脂である、請求項1~のいずれかに記載の自動車外板用成形体。
  5. サンドイッチ成形体である、請求項1~のいずれかに記載の自動車外板用成形体。
  6. 請求項1~のいずれかに記載の自動車外板用成形体を有する自動車。
  7. 請求項1~のいずれかに記載の自動車外板用成形体にプライマー塗装を行い、プライマー塗装品を得る工程(1)と、前記プライマー塗装品を自動車車体に取り付ける工程(2)と、プライマー塗装品が取り付けられた自動車車体に対してオンラインにて塗装を行う工程(3)と、工程(3)後の自動車車体を乾燥する工程(4)とをこの順番で有する、自動車の製造方法。
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