JP7427954B2 - 床材 - Google Patents

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本発明は、屋内や屋外の建造物等の床面に敷設される床材に関する。
近年、屋内の床面には、フローリング材が多く用いられている。フローリング材には、合板,中密度繊維板(MDF),パーティクルボード,樹脂板等に塗装を施したり、化粧シートをラミネートしたりしたもの等が知られている。
フローリング材には、表面の耐傷付性や耐衝撃性が強く求められている。そのため、基材となる合板や樹脂板等には、より高密度で硬く、耐傷付性や耐衝撃性に優れるものが使われるようになっている。このような高密度で硬く高強度の基材は、床衝撃音遮断性能(遮音性)が著しく低くなってしまう。
また、ホテル等の高層建築では、上層の居者と下層の居者との間のトラブルを避けるため、床材に遮音性を求められることが多くなってきている。このような床材の遮音性能を向上させる手段としては、例えば、床材に対して溝を刻んで床材の剛性を下げると共に裏面全面に軟質層を設ける手段が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。また、例えば、床材の裏面に連続気泡率の高い樹脂発泡体等の軟質層を設ける手段(例えば、下記特許文献2参照)も知られている。
しかしながら、上述したような従来の手段では、好適な遮音性を確保するため、軟質層の層厚を厚くしたり、軟質層に不織布やウレタン発泡体等の柔らかくて弾性の低い材料を用いたりすることから、クッション性が大きくなり易く、歩行性に難点を生じ易くなってしまう。
なお、軟質層の層厚を厚くしてしまうと、冷蔵庫等の重量物を置いた場合の沈み込み量も大きくなってしまう。くわえて、軟質層に柔らかくて弾性の低い材料を用いると、重量物を長期間静置した場合に、厚さ方向にヘタリを生じてしまい、床材接合部の接合強度や剛性によってはサネ折れやサネ外れ等を生じてしまう可能性も考えられる。
さらには、リフォーム需要の増加等、昨今の建築事情を鑑みると、床材は、総厚の増加が避けられるようになってきている。他方、床材接合部の接合強度や剛性の確保の観点からすると、床材は、表面材に、ある程度の厚さが要求される。このため、床材においては、総厚を薄くしながら遮音性を確保することが困難である。
例えば、特許文献3においては、床面の高さレベルを抑えながら遮音性を確保することを提案している。この特許文献3に記載されている手段は、床構造によって遮音性を確保するようにしていることから、リフォーム用途や高層マンション等のように、構造を容易に変更できない状況や建築物に対して適用することが困難である。
特開平3-166462号公報 特開2007-198084号公報 特開2009-068186号公報
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、全体の厚さをできるだけ抑えながらも、耐傷付性及び耐摩耗性に優れると共に、耐衝撃性及び床衝撃音遮断性能(遮音性)を有し、かつ良好な歩行感を併せ持つ床材を提供することにある。
前述した課題を解決するための、本発明に係る床材は、表面側から少なくとも化粧シート層及び合板層がこの順に積層され、床面側に少なくとも2層の軟質層が積層されており、前記化粧シート層は、熱可塑性樹脂からなる基材シート上に、絵柄模様層、第一接着剤層、無延伸のポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル系樹脂層、第二接着剤層、透明熱可塑性樹脂層、及び紫外線硬化型樹脂からなる表面保護層がこの順に積層されると共に、少なくとも前記透明熱可塑性樹脂層にエンボスが形成されたものであり、前記ポリエステル系樹脂層の厚さは、150μm以上300μm以下であり、前記透明熱可塑性樹脂層の厚さは、50μm以上150μm以下であり、前記ポリエステル系樹脂層と前記透明熱可塑性樹脂層とを合わせた厚さは、250μm以上400μm以下であることを特徴とする。
また、本発明に係る床材は、上述した床材において、前記軟質層は、日本工業規格「JISK 6400-2 D」に則って測定した圧縮硬さの異なる少なくとも2層からなり、最も柔らかい層の前記圧縮硬さが、55N以上70N以下であり、前記合板層の厚さは、3mm以上7mm以下であり、少なくとも2層からなる前記軟質層の厚さは、5mm以上7mm以下であり、全体の厚さは、8mm以上12mm以下であると好ましい。
また、本発明に係る床材は、上述した床材において、少なくとも2層からなる前記軟質層は、最も硬い層の前記圧縮硬さと前記最も柔らかい層の前記圧縮硬さとの差が、50N以上100N以下であると好ましい。
本発明に係る床材は、床面側に少なくとも2層の軟質層が積層されており、ポリエステル系樹脂層の厚さが150μm以上300μm以下であり、透明熱可塑性樹脂層の厚さが50μm以上150μm以下であり、ポリエステル系樹脂層と透明熱可塑性樹脂層とを合わせた厚さが250μm以上400μm以下であることから、全体の厚さをできるだけ抑えながらも、耐傷付性及び耐摩耗性に優れると共に、耐衝撃性及び床衝撃音遮断性能(遮音性)を有し、かつ良好な歩行感を併せ持つようになる。
本発明に係る床材の主な実施形態の概略構成を表す断面図である。
本発明に係る床材の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は図面に基づいて説明する以下の実施形態のみに限定されるものではない。
〈主な実施形態〉
本発明に係る床材の主な実施形態を図1に基づいて説明する。
図1において、基材シート1は、熱可塑性樹脂からなり、塩化ビニル樹脂(PVC)以外であれば、各種の熱可塑性樹脂が利用可能である。しかしながら、無公害性,価格,性能,着色の容易さ等の点を考慮すると、充填剤及び着色顔料を添加したポリプロピレン樹脂(PP)等のポリオレフィン系樹脂材料が好適に利用できる。基材シート1は、厚さが40μm以上100μm以下であると好ましい。
基材シート1の表面(上面)には、印刷された絵柄模様層2が設けられる。絵柄模様層2は、その絵柄の種類が任意であって、特に限定されるものではない。例えば、木目柄,石目柄,布目柄,砂目柄,抽象柄,幾何学図形,文字又は記号,或いはそれらの組み合わせ等、所望により適用可能である。
絵柄模様層2は、使用される印刷インキの種類を特に限定されるものではなく、床材に従来から使用されている任意の印刷インキを使用することができる。具体的には、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂系,塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂系,ブチラール系,アクリル系,ウレタン系,ポリエステル系,エポキシ系,アルキド系,ポリアミド系等のバインダ樹脂に、有機又は無機の染料又は顔料や、必要に応じて、体質顔料,充填剤,粘着付与剤,分散剤,消泡剤,安定剤等、各種の添加剤を適宜添加し、適切な希釈溶剤で所望の粘度に調整された、従来公知の任意の印刷インキである。
絵柄模様層2上には、第一接着剤層3が塗布されている。第一接着剤層3は、ウレタン系,アクリル系,ポリエステル系等の中から任意に選択されるものである。
第一接着剤層3上には、ポリエステル系樹脂層4が設けられている。ポリエステル系樹脂層4は、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリ乳酸等が用いられ、特に、無延伸のポリエチレンテレフタレートが好適である。ポリエステル系樹脂層4は、第一接着剤層3や後述する第二接着剤層5との密着性を向上させるため、必要に応じて、易接着層を設けることや、コロナ処理等を施すことも可能である。ポリエステル系樹脂層4は、厚さが150μm以上300μm以下となっている。
ポリエステル系樹脂層4上には、第二接着剤層5が塗布されている。第二接着剤層5は、後述する透明熱可塑性樹脂層6に応じて、ウレタン系,アクリル系,ポリエステル系等の中から任意に選択されるものである。
第二接着剤層5上には、透明熱可塑性樹脂層6が設けられている。透明熱可塑性樹脂層6は、例えば、塩化ビニル樹脂(PVC)以外であれば、各種の熱可塑性樹脂が利用可能である。透明熱可塑性樹脂層6は、複層とすることも可能である。透明熱可塑性樹脂層6は、層数を4層以上にすることも可能であるが、4層以上にすると、製造時に用いる押出機の構造が複雑になってしまい、作業が煩雑になってしまうことから、3層以下が好ましい。透明熱可塑性樹脂層6は、目的とする特性に対応して、種々の樹脂を各層に適宜組み合せて利用することが可能である。透明熱可塑性樹脂層6は、厚さが、50μm以上150μm以下となっている。さらに、ポリエステル系樹脂層4と透明熱可塑性樹脂層6とを合わせた厚さは、250μm以上400μm以下となっている。
本実施形態に係る床材に適用される好ましいポリプロピレン樹脂(PP)としては、例えば、自由末端長鎖分岐を付与したポリプロピレン樹脂(a)と、自由末端長鎖分岐を付与していないポリプロピレン樹脂(b)との混合物が挙げられる。特に、上記(a)と上記(b)との混合物は、質量平均分子量/数平均分子量として定義される分子量分布Mw/Mnが1以上5以下の範囲内であると好適である。加えて、上記(a)と上記(b)との混合物は、沸騰ヘプタン可溶残分率として規定されるアイソタクチック指数が、1%以上90%以下の範囲内であるとさらに好適である。このようなポリプロピレン樹脂であると、床材を鋼板基材に貼り合わせて折り曲げ加工したときに、白化や割れ等を生じてしまうことを抑制することができる。
なお、分子量分布は、分子量Miの分子がNi個存在するとき、数平均分子量Mn=Σ(Mi×Ni)/ΣNiに対する質量平均分子量Mw=Σ(Ni×Mi)/Σ(Ni×Mi)の割合Mw/Mnとして定義される値である。分子量分布Mw/Mnは、1に近いほど分子量の分布が狭く、均一性が高くなる。分子量分布Mw/Mnを5以下にすると、分子量を必要十分な大きさに揃えることができるので、白化や割れ等の抑制を図ることができる。分子量分布Mw/Mnは、一般的に、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)によって測定することができる。
また、沸騰ヘプタン可溶残分率として規定されるアイソタクチック指数は、ポリプロピレン樹脂中の結晶化度を調べる指標として有用である。具体的には、試料を沸騰n-ヘプタンで一定時間抽出して、抽出されない部分の質量百分率(%)を求めてアイソタクチックインデックスを算出する。
詳しくは、円筒濾紙を110±5℃で2時間乾燥し、恒温恒湿の室内で2時間以上放置してから、円筒濾紙中に試料(粉体またはフレーク状)8g以上10g以下を入れ、秤量カップ、ピンセットを用いて精秤する。これをヘプタン約80ccの入った抽出器の上部にセットし、抽出器と冷却器を組み立てる。これをオイルバスまたは電気ヒータで加熱し、12時間抽出する。加熱は、冷却器からの滴下数が1分間130滴以上であるように調節する。続いて、抽出残分の入った円筒濾紙を取り出し、真空乾燥器に入れて80℃、100mmHg以下の真空度で5時間乾燥する。乾燥後、恒温恒湿中に2時間放置した後、精秤して、アイソタクチック指数((P/Po)×100)を算出する。ここで、Poは抽出前の試料質量(g)、Pは抽出後の試料質量(g)である。
アイソタクチック指数を90%以下にすることにより、ポリプロピレン結晶の起因によるシート剛性を抑制することができる。アイソタクチック指数を下げる方法としては、例えば、非晶質ポリプロピレン成分(例えば、シンジオタクチックポリプロピレンや、アダクチックポリプロピレン等)を一部に使う方法や、エチレンやα-オレフィン等のオレフィンモノマーを1種類以上ランダム共重合させる方法や、各種ゴム成分(例えば、エチレン-プロピレンゴム(EPR),エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM),スチレン-ブタジエンゴム(SBR),アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR),ブタジエンゴム(BR),イソプレンゴム(IR)等の成分)を添加する方法等が挙げられる。
上記(a)と上記(b)との混合物は、溶融張力が100mN以上500mN以下の範囲内であると好ましい。溶融張力が500mNを超えると、溶融粘度が高くなり過ぎて、安定して成膜することが難しくなってしまう。他方、溶融張力が100mN未満であると、長鎖分岐成分が不十分となり、目的とする性能を得ることが難くなってしまう。なお、上記溶融張力は、2.0mm径のノズルキャピラリレオメータを使用し、温度230℃、60mm/分で押し出して、2mm/分で引き取るときに要する張力である。
上記(a)と上記(b)との混合物は、日本工業規格「JIS K 6760」で規定されている、230℃におけるメルトフローレートが、5g/10min以上50g/10min以下の範囲内であると好ましく、10g/10min以上30g/10min以下の範囲内であるとさらに好ましく、特に、10g/10min以上25g/10min以下の範囲内であると非常に好ましい。
上記メルトフローレートが、50g/10minを超えると、Tダイによる溶融押出の際に、Tダイから溶融押出された樹脂が、中央に集まろうとする効果(ネックイン)が大きくなってしまい、Tダイから溶融押出された樹脂の端部の厚さが増大してしまう。樹脂の端部の厚さが増大すると、冷却効率が低下してしまうと共に、巾方向の厚み安定性に影響を与えてしまうため、安定した製膜が難しくなってしまう。
他方、上記メルトフローレートが、5g/10min未満であると、溶融樹脂のドローレゾナンスが悪くなり、Tダイから出た直後の溶融樹脂の速度(初速)と冷却ロールに触れた直後の樹脂の速度とのギャップに溶融樹脂が対応できなくなってしまい、安定した製膜が難しくなってしまう。
このようにすることにより、上記(a)と上記(b)との混合物は、一定値以上の分子量で、安定した製膜を容易に行うことができる。
また、透明熱可塑性樹脂層6には、紫外線吸収剤を添加することも可能である。紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系,トリアジン系,ベンゾフェノン系等から適宜選定される。
ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤としては、2-(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等や、これらの混合物、変性物、重合物、誘導体等を挙げることができる。
トリアジン系の紫外線吸収剤としては、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-イソ-オクチルオキシフェニル)-s-トリアジン等や、これらの混合物、変性物、重合物、誘導体等を挙げることができる。
ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤としては、オクタベンゾンや、これの変性物、重合物、誘導体等を挙げることができる。
紫外線吸収剤は、水酸基を含有するものであると、イソシアネートの添加による架橋で樹脂成分と結合できるため、特に好ましい。紫外線吸収剤は、所望の耐候性に応じて、添加部数が適宜設定される。通常、樹脂固形分に対して、0.1質量%以上50質量%以下、好ましくは1質量%以上30質量%以下である。
透明熱可塑性樹脂層6には、光安定剤を添加することも可能である。光安定剤としては、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ポペリジニル)セバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステル等や、これらの混合物、変性物、重合物、誘導体等を挙げることができる。
光安定剤は、所望の耐候性に応じて、添加部数が適宜設定される。通常、樹脂固形分に対して、0.1質量%以上50質量%以下、好ましくは1質量%以上30質量%以下である。
透明熱可塑性樹脂層6には、上記以外の添加剤、例えば、熱安定剤,難燃剤,ブロッキング防止剤等を添加することも可能である。
熱安定剤としては、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)]-プロピオネート、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイトに代表される燐系酸化防止剤等や、これらの混合物、すなわち、1種、又は2種以上を組み合わせたものを挙げることができる。
難燃剤としては、水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウム,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム等の無機系化合物や、燐酸エステル系等の有機系化合物等を挙げることができる。
ブロッキング防止剤としては、珪酸アルミニウム,酸化珪素,ハイドロタルサイト,炭酸カルシウム等の無機系化合物や、脂肪酸アミド等の有機系化合物等を挙げることができる。
透明熱可塑性樹脂層6上には、表面保護層7が設けられている。表面保護層7は、床材の最表面の耐摩耗性,耐傷付性,耐溶剤性等の物性を向上させるものである。表面保護層7は、(メタ)アクリル系樹脂,シリコーン系樹脂,ポリエステル系樹脂,ウレタン系樹脂,アミド系樹脂,エポキシ系樹脂等の紫外線硬化型樹脂である。表面保護層7は、物性面及び可撓性面の兼ね合いから、厚さが、3μm以上20μm以下であると好適である。透明熱可塑性樹脂層6及び表面保護層7には、エンボスEが形成されている。
表面保護層7には、各種機能を賦与するために、艶調整剤,滑剤,帯電防止剤,結露防止剤,抗菌剤,防黴剤,減摩剤,着色剤,充填剤等の各種の機能性添加剤を添加することも可能である。また、表面保護層7には、必要に応じて、先に説明したような紫外線吸収剤,光安定剤,熱安定剤等を添加することも可能である。
さらに、表面保護層7には、汚染防止性能や粘着テープ離型性が求められる場合、シリコーン骨格を持つ離型剤を添加することも可能である。この場合、離型剤の種類は特に限定されないが、樹脂組成物に対して反応性を有する末端官能基を持つシリコーン離型剤を用いることで、汚染防止性能や粘着テープ離型性等の耐久性を向上することができる。
くわえて、表面保護層7は、同種又は異種の2層以上から構成することも可能である。例えば、シリカ,アルミナ,炭化珪素等の高硬度耐摩耗性粒子を含有する第一の層の上に、係る粒子を含有しない第二の層を設けて、耐摩耗性や耐傷付性と表面光沢や表面平滑性との両立を図ることや、全面に設けられた第一の層の上に、それとは艶状態の異なる第二の層を任意の模様状に設けて、艶変化による視覚的な立体感の表現を図ることができる。
そして、基材シート1の裏面(下面)には、プライマ層8が設けられている。プライマ層8は、例えば、ポリエステル系樹脂,ポリウレタン系樹脂,これらの混合物等を適用すると好ましい。プライマ層8は、厚さが1μm以上であると好ましい。厚さが1μm未満であると、後述する第三接着剤層9の溶剤の種類によっては溶解して消失してしまうおそれがあり、密着性の向上に難点を生じるからである。
また、プライマ層8は、例えば、ポリオールとイソシアネートとの2液型にすると、基材シート1との密着性及び自身の凝集力を向上させることができるので好ましい。ポリオールとしては、アクリルポリオール,ポリエステルポリオール等が挙げられる。イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネートや4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系や、ヘキサメチレンジイソシアネート,イソホロンジイソシアネート,キシレンジイソシアネート等の脂肪族系等が挙げられる。反応性の早さや耐熱性等を考慮すると、芳香族系が好ましい。
プライマ層8の下面(裏面)には、第三接着剤層9が設けられている。第三接着剤層9は、必要に応じて適宜設けられるものである。第三接着剤層9は、基材シート1に対して、後述する合板層10を接着できるものであれば、特に限定されるものではない。第三接着剤層9としては、例えば、2液型ウレタン水性接着剤,1液型酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤,湿気硬化型ウレタン樹脂系ホットメルト接着剤等が挙げられ、特に、湿気硬化型ウレタン樹脂系ホットメルト接着剤であると好ましい。第三接着剤層9は、乾燥後の厚さが、10μm以上100μm以下であると好ましい。
第三接着剤層9の下面(裏面)には、合板層10が設けられている。合板層10は、設定条件等が決まれば、あとは従来公知の材料や製造技術等により、所望のものを調整して得ることが可能である。合板層10は、厚さが3mm以上7mm以下となっている。合板層10の材質として最も代表的なものは、積層合板等の木質基材である。
積層合板は、複数枚(通常奇数枚)の木材単板を、その繊維方向を交互に直交させて積層接着してなるものである。木材単板の材種としては、ラワン材等の広葉樹材,パイン材(松材)等の針葉樹材,これらの混合材等が挙げられる。最表面の木材単板としては、例えば、クルイン材,カプール材,メンクラン材等、シリカ分を含み硬質で耐久性の高い南洋材系の材種であると、更に表面強度や耐キャスター性等に優れ、特に好適である。
合板層10は、積層合板の他にも、例えば、単板積層材,配向性ボード,パーティクルボード,高密度繊維板等、従来公知の各種の木質系ボード類が任意に適用可能である。さらに、合板層10は、木質基材以外にも、例えば、陶磁器,コンクリート板等の無機質系基材、鉄,アルミニウム,真鍮,ステンレス鋼等の金属系基材、熱可塑性樹脂の異形押出成形体,繊維強化プラスチック(FRP)等の合成樹脂系基材等を適用することも可能である。
合板層10の下面(裏面)には、第四接着剤層11が設けられている。第四接着剤層11は、必要に応じて適宜設けられるものである。第四接着剤層11は、合板層10に対して、後述する軟質層12を接着できるものであれば、特に限定されるものではない。第四接着剤層11としては、例えば、2液型ウレタン水性接着剤,1液型酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤,湿気硬化型ウレタン樹脂系ホットメルト接着剤等が挙げられ、特に、湿気硬化型ウレタン樹脂系ホットメルト接着剤であると好ましい。第四接着剤層11は、乾燥後の厚さが、10μm以上100μm以下であると好ましい。
第四接着剤層11の下面(裏面)には、軟質層12が設けられている。軟質層12は、日本工業規格「JISK 6400-2 D」に則って測定した圧縮硬さの異なる第一軟質層12A及び第二軟質層12Bの2層からなっている。軟質層12は、最も柔らかい層(例えば、第二軟質層12B)の圧縮硬さが、55N以上70N以下であり、最も硬い層(例えば、第一軟質層12A)と最も柔らかい層との圧縮硬さの差が、50N以上100N以下となっている。軟質層12は、厚さが5mm以上7mm以下となっている。
軟質層12、すなわち、第一,二軟質層12A,12Bは、設定条件等が決まれば、あとは従来公知の材料や製造技術等により、所望のものを調整して得ることが可能である。具体的には、例えば、発泡倍率20倍以上70倍以下の発泡ポリウレタン系シートからなるものであると、好適である。
なお、本実施形態においては、基材シート1,絵柄模様層2,第一接着剤層3,ポリエステル系樹脂層4,第二接着剤層5,透明熱可塑性樹脂層6,表面保護層7等により、化粧シート層13が構成されている。
つまり、本実施形態に係る床材は、表面側(図1中、上面側)から化粧シート層13,プライマ層8,第三接着剤層9及び合板層10がこの順に積層され、床面側(図1中、下面側)に第一,二軟質層12A,12Bからなる軟質層12が第四接着剤層11を介して積層されている。そして、化粧シート層13は、基材シート1上に、絵柄模様層2,第一接着剤層3,ポリエステル系樹脂層4,第二接着剤層5,透明熱可塑性樹脂層6,表面保護層7がこの順に積層されたものとなっている。本実施形態に係る床材は、全体の厚さが、8mm以上12mm以下となっている。
このような本実施形態に係る床材においては、床面側(図1中、下面側)に第一,二軟質層12A,12Bからなる軟質層12が積層され、ポリエステル系樹脂層4の厚さが150μm以上300μm以下であり、透明熱可塑性樹脂層6の厚さが50μm以上150μm以下であり、ポリエステル系樹脂層4と透明熱可塑性樹脂層6とを合わせた厚さが250μm以上400μm以下であることから、土足での使用に耐え得る耐傷付性及び耐摩耗性を有すると共に、耐衝撃性及び遮音性を有することができ、かつ歩行感が良好なクッション性を有することができる。
これにより、冷蔵庫等の重量物を置いた場合の沈み込み量の抑制や、重量物を長期間静置した場合の厚さ方向でのヘタリの抑制も併せて図ることができる。
したがって、本実施形態に係る床材によれば、全体の厚さをできるだけ抑えながらも、耐傷付性及び耐摩耗性に優れると共に、耐衝撃性及び遮音性を有し、かつ良好な歩行感を併せ持つことができる。
また、軟質層12が、圧縮硬さの異なる第一,二軟質層12A,12Bからなり、第二軟質層12Bの圧縮硬さが55N以上70N以下であり、軟質層12の厚さが5mm以上7mm以下であり、合板層10の厚さが3mm以上7mm以下であり、床材の全体の厚さが8mm以上12mm以下であるので、上述した効果をより確実に得ることができる。
なお、軟質層12は、第一軟質層12Aと第二軟質層12Bとの圧縮硬さの差が、50N未満であると、柔らかくなり過ぎて、歩行感に難点を生じるおそれがあり、あまり好ましくない。他方、第一軟質層12Aと第二軟質層12Bとの圧縮硬さの差が、100Nを超えると、硬くなり過ぎて、遮音性に難点を生じるおそれがあり、あまり好ましくない。
〈他の実施形態〉
前述した実施形態では、第一軟質層12A及び第二軟質層12Bの二層からなる軟質層12を適用した床材の場合について説明したが、本発明はこれに限らない。他の実施形態として、例えば、三層以上からなる軟質層を適用した床材であっても、前述した実施形態の場合と同様な作用効果を発現し得る。
前述した実施形態では、基材シート1と合板層10との間にプライマ層8を設けた床材の場合について説明したが、本発明はこれに限らない。他の実施形態として、例えば、基材シート1と合板層10との密着性に特に問題を生じることがなければ、プライマ層8を省略することも可能である。
本発明に係る床材の実施例を具体的に説明するが、本発明は以下に説明する実施例のみに限定されるものではない。
[試験体及び比較体の作製]
<実施例1>
≪化粧シート層13≫
基材シート1として、55μmのポリオレフィン系無機充填シート(リケンテクノス株式会社製「OW(型番)」)を用い、表面側にグラビア印刷法によって木目模様を印刷することにより、絵柄模様層2を設けた。
次に、コロナ処理を予め施した200μmの無延伸のポリエチレンテレフタレート(東レ株式会社製「ルミラー(登録商標)」)をドライラミネートすることにより、第一接着剤層3及びポリエステル系樹脂層4を設けた。続いて、ポリエステル系樹脂層4上に、ウレタン樹脂系接着剤を塗布して温風乾燥することにより、第二接着剤層5を設けた。
そして、多軸エクストルーダでTダイから溶融した二つの透明熱可塑性樹脂の層を押し出して第二接着剤層5上に積層することにより、透明熱可塑性樹脂層6を設けた。
ここで、透明熱可塑性樹脂層6は、第一の層に、透明マレイン酸変性ポリプロピレン(理研ビタミン株式会社製)を用い、第二の層に、フェノール系酸化防止剤(BASFジャパン株式会社製「IRGANOX1010(登録商標)」)を0.2重量部、ヒンダードアミン系光安定剤(BASFジャパン株式会社製「TINUVIN622(登録商標)」)を0.3重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製「TINUVIN326(登録商標)」)を0.5重量部添加したポリプロピレン樹脂を用いた。なお、透明熱可塑性樹脂層6は、第一の層を厚さ15μmとし、第二の層を厚さ85μmとした。
そして、基材シート1,絵柄模様層2,第一接着剤層3,ポリエステル系樹脂層4,第二接着剤層5,透明熱可塑性樹脂層6の積層体を導管エンボス版とゴムロールとでニップして、エンボス加工とラミネートとを同時に行った。
次に、エンボス加工された透明熱可塑性樹脂層6に対して表面処理を行った後、硬化剤(東洋インキ株式会社製「UR150Bワニス(商品名)」)を10重量部添加したウレタン系樹脂(東洋インキ株式会社製「URV238ワニス(商品名)」)に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製「TINUVIN326(登録商標)」)を0.5重量部、ヒンダードアミン系光安定剤(BASFジャパン株式会社製「TINUVIN622(登録商標)」)を1重量部添加したものをトップコート樹脂として、乾燥後の塗布量が5g/mとなるようにグラビアコートでコートすることにより、表面保護層7を設けた。
≪プライマ層8≫
続いて、基材シート1の裏面に対して表面処理を行った後、ポリオール(東洋インキ株式会社製「ラミスターEM(登録商標)」)100重量部に対して、シリカ10重量部を添加して含有させて、イソシアネート(東洋インキ株式会社製「LPNYB硬化剤(商品名)」)3重量部を加えたものをプライマ塗工液として、乾燥後の塗布量が3g/mとなるようにグラビアコートでコートすることにより、プライマ層8を設けた。
≪合板層10≫
合板層10として、側面に実加工が施された、縦300mm×横600mm×厚さ6mmの積層合板からなる床材用基材を用意した。合板層10は、日本工業規格「JISK 7171」に準拠した曲げ弾性率を測定した結果、786MPaであった。
≪軟質層12≫
第一軟質層12Aとして、日本工業規格「JIS K 6400-2 D」に準拠して測定した圧縮硬さ150N、厚さ2mmの発泡ポリウレタンシート(株式会社ブリヂストン製「RL2.0t(型番)」)を用意した。第二軟質層12Bとして、日本工業規格「JISK 6400-2 D」に準拠して測定した圧縮硬さ60N、厚さ4mmの発泡ポリウレタンシート(株式会社ブリヂストン製「CF4.0t(型番)」)を用意した。第一軟質層12Aと第二軟質層12Bとを貼り合わることにより、厚さ6mmの軟質層とした。
≪床材≫
プライマ層8に湿気硬化型ウレタン樹脂系ホットメルト接着剤(DIC株式会社製「タイフォース(登録商標)」)を50μmとなるように塗布することにより、第三接着剤層9を設けた。第三接着剤層9と合板層10の表面(上面)とを貼り合わせて接着する。次に、第一軟質層12Aに湿気硬化型ウレタン樹脂系ホットメルト接着剤(DIC(株)製「タイフォース(登録商標)」)を50μmとなるように塗布することにより、第四接着剤層11を設けた。第四接着剤層11と合板層10の裏面(下面)とを貼り合わせて接着する。これにより、床材の試験体1を得た。
<実施例2:ポリエステル系樹脂層4の厚さA1>
上述した実施例1において、ポリエステル系樹脂層4の厚さを300μmとした以外は、上述した実施例1と同様にして床材を作製することにより、試験体2を得た。
<実施例3:ポリエステル系樹脂層4の厚さA2>
上述した実施例1において、ポリエステル系樹脂層4の厚さを150μmとした以外は、上述した実施例1と同様にして床材を作製することにより、試験体3を得た。
<実施例4:透明熱可塑性樹脂層6の厚さA1>
上述した実施例1において、透明熱可塑性樹脂層6の厚さを150μmとした以外は、上述した実施例1と同様にして床材を作製することにより、試験体4を得た。
<実施例5:透明熱可塑性樹脂層6の厚さA2>
上述した実施例1において、透明熱可塑性樹脂層6の厚さを50μmとした以外は、上述した実施例1と同様にして床材を作製することにより、試験体5を得た。
<実施例6:第一,二軟質層12A,12Bの圧縮硬さの差A1>
上述した実施例1において、第二軟質層12Bの圧縮硬さを50Nとした以外は、上述した実施例1と同様にして床材を作製することにより、試験体6を得た。
<実施例7:第一,二軟質層12A,12Bの圧縮硬さの差A2>
上述した実施例1において、第一軟質層12Aの圧縮硬さを110Nとした以外は、上述した実施例1と同様にして床材を作製することにより、試験体7を得た。
<実施例8:第一,二軟質層12A,12Bの厚さA1>
上述した実施例1において、第一軟質層12Aの厚さを3mmとした以外は、上述した実施例1と同様にして床材を作製することにより、試験体8を得た。
<実施例9:第一,二軟質層12A,12Bの厚さA2>
上述した実施例1において、第二軟質層12Bの厚さを3mm(圧縮硬さ70N)とした以外は、上述した実施例1と同様にして床材を作製することにより、試験体9を得た。
<比較例1:ポリエステル系樹脂層4の厚さB1>
上述した実施例1において、ポリエステル系樹脂層4の厚さを350μmとし、透明熱可塑性樹脂層6の厚さを50μmとした以外は、上述した実施例1と同様にして床材を作製することにより、比較体1を得た。
<比較例2:ポリエステル系樹脂層4の厚さB2>
上述した実施例1において、ポリエステル系樹脂層4の厚さを125μmとし、透明熱可塑性樹脂層6の厚さを150μmとした以外は、上述した実施例1と同様にして床材を作製することにより、比較体2を得た。
<比較例3:透明熱可塑性樹脂層6の厚さB1>
上述した実施例1において、ポリエステル系樹脂層4の厚さを150μmとし、透明熱可塑性樹脂層6の厚さを200μmとした以外は、上述した実施例1と同様にして床材を作製することにより、比較体3を得た。
<比較例4:透明熱可塑性樹脂層6の厚さB2>
上述した実施例1において、ポリエステル系樹脂層4の厚さを300μmとし、透明熱可塑性樹脂層6の厚さを25μmとした以外は、上述した実施例1と同様にして床材を作製することにより、比較体4を得た。
<比較例5:第一,二軟質層12A,12Bの圧縮硬さの差B1>
上述した実施例1において、第二軟質層12Bの圧縮硬さを40Nとした以外は、上述した実施例1と同様にして床材を作製することにより、比較体5を得た。
<比較例6:第一,二軟質層12A,12Bの圧縮硬さの差B2>
上述した実施例1において、第一軟質層12Aの圧縮硬さを100Nとした以外は、上述した実施例1と同様にして床材を作製することにより、比較体6を得た。
<比較例7:第一,二軟質層12A,12Bの厚さB1>
上述した実施例1において、第一軟質層12Aの厚さを3mmとし、第二軟質層12Bの厚さを5mm(圧縮硬さ40N)とした以外は、上述した実施例1と同様にして床材を作製することにより、比較体7を得た。
<比較例8:第一,二軟質層12A,12Bの厚さB2>
上述した実施例1において、第二軟質層12Bの厚さを2mm(圧縮硬さ70N)とした以外は、上述した実施例1と同様にして床材を作製することにより、比較体8を得た。
[試験方法]
<A.耐摩耗性>
試験体1~9及び比較体1~8に対して、フローリングの日本農林規格(JAS)で規定されている耐摩耗試験に準拠して試験を行い、柄の消失が始まるまでの回転数を確認した。摩耗紙の交換は500回転毎とした。その結果を下記の表1,2に示す。なお、試験結果において、「◎」は8000回転で柄の消失無し、「○」は5001~8000回転で柄の消失有り、「△」は3001~5000回転で柄の消失有り、「×」は3000回転以下で柄の消失有り、を示す。
<B.耐傷付性>
試験体1~9及び比較体1~8に対して、日本工業規格「JIS K 5600」で規定されている鉛筆硬度試験に準拠して試験を行い、傷の付き方を確認した。その結果を下記の表1,2に示す。なお、試験結果において、「◎」は7H以上で傷なし、「○」は4H~6Hで傷なし、「△」はH~3Hで傷なし、「×」はHより軟らかいレベルで傷なし、を示す。
<C.耐衝撃性>
試験体1~9及び比較体1~8に対して、日本工業規格「JIS A 6519」で規定されている転倒衝突時の床のかたさ試験に準拠して試験を行い、転倒衝撃値(Gs値)を測定した。その結果を下記の表1,2に示す。なお、試験結果において、「〇」は100以上、「×」は100未満、を示す。
<D.遮音性>
試験体1~9及び比較体1~8に対して、日本工業規格「JIS A 1418」に準拠した方法で軽量床衝撃音レベルを測定した。その結果を下記の表1,2に示す。なお、試験結果において、「◎」は許容レベルLL-40,45、「〇」は許容レベルLL-50、「×」は許容レベルLL-55、を示す。
<E.歩行感>
試験体1~9及び比較体1~8に対して、両面テープを用いてコンクリートスラブ上に施工し、その上を試験者(10名)が実際に歩行して、床鳴り,歩行感,床の柔らかさについて官能評価を行った。その結果を下記の表1,2に示す。なお、試験結果において、「◎」は10人全員が良い評価、「〇」は8~9人が良い評価、「△」5~7人が良い評価、「×」は半数以上が悪い評価、を示す。
<F.透明熱可塑性樹脂層6の生産性>
試験体1~9及び比較体1~8を作製する際に、透明熱可塑性樹脂層6を押出積層するときの生産性を確認した。その結果を下記の表1,2に示す。なお、試験結果において、「◎」は安定して生産可能、「○」はやや安定して生産可能、「△」は慎重に生産する必要性有り、「×」は生産が非常に困難、を示す。
<G.化粧シート層13のロールラミネート加工性>
試験体1~9及び比較体1~8を作製するにあたって、化粧シート層13のロールラミネート加工性を確認した。その結果を下記の表1,2に示す。なお、試験結果において、「◎」はインラインでのロールラミネートが可能、「○」は加工にやや慎重性を要するものの、インラインでのロールラミネートが可能、「△」は加工にかなりの慎重性を要するものの、インラインでのロールラミネートが可能、「×」はロールラミネートできず、枚葉での貼り合せのみ可、を示す。
<H.化粧シート層13のバリ処理性>
試験体1~9及び比較体1~8を丸ノコで切断加工及びハンドルータにより表面が合板層10に達する切削加工試験を行い、化粧シート層13のバリを確認した。その結果を下記の表1,2に示す。なお、試験結果において、「◎」はバリの発生なし、「○」はバリが極一部に発生するものの、容易に修正可能、「△」はバリが一部に発生するものの、修正可能、「×」はバリが略全面に発生し、手作業による修正困難、を示す。
[試験結果]
試験体1~9の条件及び試験結果を表1に示し、比較体1~8の条件及び試験結果を表2に示す。なお、「総厚」は、mm単位で表したときの小数第二位を四捨五入して小数第一位までとした値である。
Figure 0007427954000001
Figure 0007427954000002
表2からわかるように、比較体1においては、ポリエステル系樹脂層4が厚いことから、耐摩耗性及び耐傷付性に優れるものの、加工性及びバリ処理性が悪く、実用化が難しいものとなった。他方、比較体2においては、ポリエステル系樹脂層4が薄いことから、加工性及びバリ処理性に優れるものの、耐摩耗性及び耐傷付性が悪いものとなってしまった。
比較体4においては、ポリエステル系樹脂層4が十分な厚さを有していることから、耐摩耗性及び耐傷付性に優れるものの、透明熱可塑性樹脂層6が薄いことから、透明熱可塑性樹脂層6にシワの発生やロールとられ等を生じてしまい、生産性が悪く、実用化が難しいものとなった。他方、比較体3においては、透明熱可塑性樹脂層6がポリエステル系樹脂層4よりも厚くなっていることから、耐摩耗性が悪くなってしまうばかりか、生産性も悪く、実用化も難しいものとなった。
比較体5においては、第二軟質層12Bが柔らかく、第一軟質層12Aと第二軟質層12Bとの圧縮硬さの差が大きくなっていることから、歩行感が悪いものとなってしまった。また、比較体7においては、軟質層12が厚くなっていることから、遮音性に優れるものの、第一軟質層12Aと第二軟質層12Bとの圧縮硬さの差が大きくなっていることから、歩行感が悪いものとなってしまった。
比較体6においては、第一軟質層12Aと第二軟質層12Bとの圧縮硬さの差が小さくなっていることから、耐衝撃性及び遮音性が悪いものとなってしまった。また、比較体8においては、軟質層12が薄くなっていることから、歩行感に優れるものの、耐衝撃性及び遮音性が悪いものとなってしまった。
これに対し、試験体1~9においては、すべての試験で良好な結果を得ることができた。特に、ポリエステル系樹脂層4を必要十分に厚くした試験体2においては、優れた耐摩耗性を示した。また、ポリエステル系樹脂層4の厚さに対する透明熱可塑性樹脂層6の厚さの割合を小さくするように透明熱可塑性樹脂層6を必要十分に薄くした試験体5においては、優れた耐傷付性を示した。また、第一軟質層12Aを必要十分に厚くした試験体8においては、優れた遮音性を示した。さらに、ポリエステル系樹脂層4及び透明熱可塑性樹脂層6を必要十分に薄くした試験体3においては、優れた加工性及びバリ処理性を示した。
これらのことから、本発明に係る床材は、全体の厚さをできるだけ抑えながらも、耐傷付性及び耐摩耗性に優れると共に、耐衝撃性及び遮音性を有し、かつ良好な歩行感を併せ持つことが確認できた。
本発明に係る床材は、全体の厚さをできるだけ抑えながらも、耐傷付性及び耐摩耗性に優れると共に、耐衝撃性及び床衝撃音遮断性能(遮音性)を有し、かつ良好な歩行感を併せ持つので、屋内や屋外の建造物等において、極めて有益に利用することができる。
1 基材シート
2 絵柄模様層
3 第一接着剤層
4ポリエステル系樹脂層
5 第二接着剤層
6 透明熱可塑性樹脂層
7 表面保護層
8 プライマ層
9 第三接着剤層
10 合板層
11 第四接着剤層
12 軟質層
12A 第一軟質層
12B 第二軟質層
13 化粧シート層

Claims (3)

  1. 表面側から少なくとも化粧シート層及び合板層がこの順に積層され、
    床面側に少なくとも2層の軟質層が積層されており、
    前記化粧シート層は、熱可塑性樹脂からなる基材シート上に、絵柄模様層、第一接着剤層、無延伸のポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル系樹脂層、第二接着剤層、透明熱可塑性樹脂層、及び紫外線硬化型樹脂からなる表面保護層がこの順に積層されると共に、少なくとも前記透明熱可塑性樹脂層にエンボスが形成されたものであり、
    前記ポリエステル系樹脂層の厚さは、150μm以上300μm以下であり、
    前記透明熱可塑性樹脂層の厚さは、50μm以上150μm以下であり、
    前記ポリエステル系樹脂層と前記透明熱可塑性樹脂層とを合わせた厚さは、250μm以上400μm以下である
    ことを特徴とする床材。
  2. 前記軟質層は、日本工業規格「JIS K 6400-2 D」に則って測定した圧縮硬さの異なる少なくとも2層からなり、最も柔らかい層の前記圧縮硬さが、55N以上70N以下であり、
    前記合板層の厚さは、3mm以上7mm以下であり、
    少なくとも2層からなる前記軟質層の厚さは、5mm以上7mm以下であり、
    全体の厚さは、8mm以上12mm以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の床材。
  3. 少なくとも2層からなる前記軟質層は、最も硬い層の前記圧縮硬さと前記最も柔らかい層の前記圧縮硬さとの差が、50N以上100N以下である
    ことを特徴とする請求項2に記載の床材。
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