JP7425908B2 - 加工卵用配合飼料及び加工卵の製造方法 - Google Patents

加工卵用配合飼料及び加工卵の製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、加工卵用配合飼料及び加工卵の製造方法に関し、より詳細には、加工卵の食感を改善し、及び/又は加工卵の破損を低減するための、加工卵用配合飼料及び加工卵の製造方法に関する。
ゆで卵は、おでん種の他、サラダやラーメンのトッピングなどの煮卵として、殻を剥いた状態で販売される場合がある。例えば、調理済おでんは、ゆで卵とその他のおでん種が汁とともに、店頭で、又はプラスチックフィルムの袋に収容されて販売されているが、製造又は輸送中にゆで卵が破損するという問題がある。ゆで卵の破損を低減させる手段として、ゆで卵の浸漬液のpHを低くする方法や、ゆで卵を、トランスグルタミナーゼを含有する溶液に浸漬する方法も報告されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、産卵鶏用配合飼料に特定の物質を添加して機能性を有する卵の生産技術が知られている。例えば、特許文献2には、28~130ppmのヨウ素を含有する配合飼料が開示されており、この飼料を鶏に投与して産生させた卵がヒトの脂質代謝の向上に伴う、老化抑制、神経機能活性に寄与することが記載されている。また、特許文献3には、4.2ppm以上のヨウ素を含有する鳥卵を有効成分とする脂肪蓄積抑制剤が開示され、50ppm程度のヨウ素含有飼料を産卵鶏に与えると、約1週間後には、1個当たり約300μgのヨウ素を含有する卵が産生されることが記載されている。しかしながら、飼料によって加熱加工した鶏卵の特性を変える技術は知られていない。
特開2017-175976号公報 特開2007-54041号公報 特許第6752285号公報
本開示は、家禽用配合飼料の栄養設計により、当該飼料を給餌して生産された家禽卵を用いた加工卵の物性を変化させ、好ましい食感の加工卵を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、家禽用飼料に含まれるヨウ素含量を制御することで、これを給餌した家禽から採取した卵を加工したときの白身の弾力を向上させることができ、好ましい食感の加工卵、例えば、ゆで卵を提供できることを見出した。すなわち、本開示は以下の実施形態を含む。
(1)12.5mg/kg以上のヨウ素を含有する加工卵用配合飼料であって、この配合飼料を給餌した家禽により産生された卵を用いて製造された加工卵の食感を改善し、及び/又は加工卵の破損を低減するための、配合飼料。
(2)ヨウ素の含量が25~200mg/kgである(1)に記載の配合飼料。
(3)家禽が、ニワトリ又は鶉である(1)又は(2)に記載の配合飼料。
(4)加工卵が、ゆで卵である(1)~(3)のいずれか一項に記載の配合飼料。
(5)ゆで卵の白身の弾力を向上するための(4)に記載の配合飼料。
(6)12.5mg/kg以上のヨウ素を含有する配合飼料を給餌した家禽により産生された卵を用意し、この卵の形状を保ったまま加工する工程、を含む加工卵の製造方法。
(7)加工卵が、おでん又は煮卵用のゆで卵である(6)に記載の製造方法。
(8)12.5mg/kg以上のヨウ素を含有する配合飼料を7日間以上毎日鶏に与えて、ヨウ素含量の高められた鶏卵を得る、ことを特徴とする加工卵製造用鶏卵の生産方法。
(9)12.5mg/kg以上のヨウ素を含有する配合飼料を給餌した家禽により産生された卵を用意し、当該卵と他の食品素材とを混合して加熱する工程、を含む卵加工製品の製造方法。
(10)卵加工製品が、ゲル状、ペースト状又は流動状である(9)に記載の卵加工製品の製造方法。
本開示の配合飼料を家禽に給餌することにより、当該家禽から採取した卵を加工したときの加工卵の物性を変化させ、好ましい食感の加工卵を提供することができる。
図1は、ヨウ素含量を変化させた飼料(試験区1~6)を用いて生産した鶏卵中のヨウ素含量と、当該飼料に含まれるヨウ素含量との関係をプロットした図である。 図2は、ヨウ素含量を変化させた飼料(試験区1~6)を用いて生産した鶏卵の白身の硬度をテクスチャーアナライザーで測定したときの結果である。 図3は、ヨウ素含量を変化させた飼料(試験区1~6)を用いて生産した鶏卵の白身の硬度と、飼料中のヨウ素含量との関係をプロットした結果である。 図4は、ヨウ素含量を変化させた飼料(試験区1~6)を用いて生産した鶏卵の白身の弾力と、飼料中のヨウ素含量との関係をプロットした結果である。 図5は、対照飼料(対照区)又はヨウ素添加飼料(ヨウ素区)を用いて生産した鶏卵の、ゆで卵の剥き時間と外観を評価した結果である。 図6は、テクスチャーアナライザーを用いて卵加工製品(プリン)のテクスチャーを分析した一例である。 図7は、対照飼料(対照区)又はヨウ素添加飼料(ヨウ素区)を用いて生産した鶏卵により作製した卵加工製品(プリン)のもろさ、硬さ及び付着性を分析した結果である。
次に、本開示の各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示は、12.5mg/kg以上のヨウ素を含有する加工卵用配合飼料であって、当該配合飼料を給餌した家禽により産生された卵を用いて製造された加工卵の食感を改善し、及び/又は加工卵の破損を低減するための、配合飼料である。
本開示における卵とは、鶏、鶉、烏骨鶏、アヒル等の鳥類の卵が挙げられ、鶏卵が好ましい。ニワトリとしては、採卵に用いられるものであれば特に制限されず、白色レグホン、ロードアイランドレッド、名古屋コーチン、比内鶏、白色プリマスロック、シャモ種、アローカナ、烏骨鶏等が挙げられる。
これらの品種を改良して採卵用に飼育される商業鶏(コマーシャル鶏)銘柄には、ジュリア、ジュリアライト(白い卵の代表的な鶏)やボリスブラウン(赤い卵の代表的な鶏)などがある。雌のひなは120日齢頃まで育雛用のケージで群飼され、その後採卵用の成鶏ケージに移動される。産卵鶏は、ジュリア147日齢、ジュリアライト145日齢、ボリスブラウン143日齢に50%産卵に到達することを標準性能とし、ピーク産卵率93~96%から徐々に産卵率が低下し80~100週令まで生産に供される(ゲンコーポレーション ジュリア(第9版)・ジュリアライト(第3版)、ボリスブラウン(第7版)マニュアル)。
本開示において、加工卵とは卵の形状を保った卵加工食品を意味し、卵黄が卵白で覆われた略卵型の形状を有するものをいう。ゆで卵、蒸し卵、ポーチドエッグ等が挙げられ、特にゆで卵が好ましい。ゆで卵は、固ゆで卵でも、半熟卵でも、その間の硬さのもののいずれでもよいが、破損防止の観点からは、中程度以上の硬さのものが好ましい。本開示の卵加工食品、例えばゆで卵は、おでん、煮卵、味付け卵等に用いることができる。
(加工卵用配合飼料)
本開示の配合飼料は、加工卵の食感を改善し、及び/又は加工卵の破損を低減するために用いるという用途に特徴がある。「食感」とは、加工卵を食したときに感じる歯切れ、歯ごたえ、硬さ、軟らかさ、伸び、弾力等の感覚的または官能的な要素を指す。また、「破損」とは、ゆで卵の殻剥き時に白身の一部が崩れるか、又は卵の表面に多くの擦傷ができて製品の見栄えが悪くなることなどをいう。加工卵の破損を低減することにより、卵加工食品としての歩留まりを向上させてコストを抑制し、さらには食品廃棄物量を減少させることができるという効果を有する。
このような用途に特に適した配合飼料は、飼料の総重量に対して、12.5mg/kg以上のヨウ素を含有することを特徴とする。ヨウ素源としては、ヨウ素酸カルシウム、ヨウ素酸カリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ化チモール、ヨウ化銅、次ヨードサリチル酸、過ヨウ素酸カルシウム、カルシウムヨードビヘメイト等のヨウ素化合物;昆布、ケルプ等のヨウ素を高含有する海藻類又はその処理物などが挙げられる。家禽類の健康、ヨウ素の卵への移行率等の観点から、ヨウ素源としては、ヨウ素酸カルシウム、ヨウ素酸カリウム、及びヨウ化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。また、ヨウ素酸カルシウム、ヨウ素酸カリウム、及びヨウ化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種とともに、海藻類を併用することがより好ましい。ヨウ素含量の上限は特に限定されないが、飼料の総重量に対するヨウ素含量を2g/kg以下とすることで、産卵率の低下が抑えられる傾向にある。
配合飼料に含まれるヨウ素含量は、家禽類の種類によって適宜調整することができる。産卵鶏の場合には、例えば、1日につき1羽当たり1.25~20mgのヨウ素摂取量とすることが好ましく、1日につき1羽当たり2.5~15mgのヨウ素摂取量とすることがより好ましい。産卵鶏が1日につき1羽当たり約100gの飼料を摂取すると仮定した場合、飼料中のヨウ素含量は、12.5~200mg/kgとすることが好ましく、25~150mg/kgとすることがより好ましい。さらに好ましいヨウ素含量は25~100mg/kgである。
なお、産卵鶏におけるヨウ素の要求量は飼料1kg当たり0.2mg(日本飼料標準家禽(2011年版)による)であり、実際の市販飼料中のヨウ素含量は飼料1kg当たり0.3mg~2.0mgとなっている。この市販飼料を用いて飼育された産卵鶏から産出される普通卵のヨウ素含量は、1個当たり約17μg程度(日本食品標準成分表2020年版(八訂)による)であり、多くとも1個当たり約30μg程度である。
本開示の配合飼料におけるヨウ素以外の成分としては、一般的な採卵家禽用配合飼料を用いることができる。例えば、ニワトリ用の配合飼料としては、トウモロコシや大豆粕を主体とするマッシュ飼料などがあり、当業分野で公知のものを特に制限なく使用可能である。そのような飼料原料の例には、米、玄米、ライ麦、小麦、大麦、トウモロコシ、マイロ、大豆などの穀類;大豆粕、菜種粕、コーングルテンミール、コーンジャームミール、コーングルテンフィード、コーンスチープリカーなどの製造粕類;豚、牛、鶏などの動物由来の動物性油脂;あまに油粕、ヤシ油粕などの植物性油粕類;大豆油脂、米油などの植物性油脂類;硫酸マグネシウム、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸亜鉛、ヨウ化カリウム、硫酸コバルト、炭酸カルシウム、リン酸三カルシウム、塩化ナトリウム、リン酸カルシウム、塩化コリンなどの無機塩類;リジン、メチオニンなどのアミノ酸類;ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD3、ビタミンE、パントテン酸カルシウム、ニコチン酸アミド、葉酸などのビタミン類;魚粉、チキンミール、ポークチキンミールなどの動物質飼料などが挙げられる。
本開示の産卵鶏用配合飼料は、上記含量でヨウ素を含む限り、産卵鶏の週齢に合わせて各成分の配合量を適宜増減させてもよい。例えば、産卵前期(19~45週齢頃)は、鶏の成長と同時に産卵率も上昇するので粗蛋白質量を増やしてもよく、産卵中期(46~65週齢頃)及び産卵後期(65週齢以降)には、鶏の日齢の増加に伴って卵殻強度が低下するため卵殻の原料であるカルシウム等の添加量を増やしてもよい。
(給餌時期及び方法)
本開示の配合飼料の給餌時期は、産卵鶏の育成期及び成鶏期のいずれの時期でもよいが、卵の生産性を上げる観点から成鶏期に給餌することが好ましい。給餌方法についても特に限定されず、不断給餌又は制限給餌等が挙げられるが、いつでも好きなだけ餌が食べられる状態で自由に摂取させる不断給餌が好ましい。また、飼料の形態についても、マッシュ飼料、ペレット飼料及びクランブル飼料の何れでもよい。
(加工卵の製造方法)
本開示の他の実施形態は、12.5mg/kg以上のヨウ素を含有する配合飼料を給餌した家禽により産生された卵(以下、「加工卵製造用卵」という。)を用意し、この卵の形状を保ったまま加工する工程、を含む加工卵の製造方法である。この製造方法は、殻付生卵、又は卵加工食品の破損を低減させるための加工卵の製造方法として用いることができる。従って、本開示の他の形態は、12.5mg/kg以上のヨウ素を含有する配合飼料を給餌した家禽により産生された卵を用意し、卵の形状を保ったまま加工する工程、を含む、殻付生卵、又は卵加工食品の破損を低減させる方法である。
ヨウ素を所定量以上含有する本開示の配合飼料を毎日家禽類に与えると、約1週間後には目的とする加工卵製造用卵が産出される。例えば、50mg/kg程度のヨウ素を含有する飼料を産卵鶏に与えると、全卵可食部100g当たり約0.8mgのヨウ素を含有する卵が産出される。よって、本開示の異なる視点における加工卵製造用鶏卵の生産方法は、12.5mg/kg以上のヨウ素を含有する配合飼料を7日間以上、好ましくは2週間又は3週間以上毎日鶏に与えて、ヨウ素含量の高められた鶏卵を得ることを特徴とする。
本開示の加工卵製造用卵のヨウ素含有率は、全卵可食部100gに対して約0.2mg以上であれば特に制限されず、例えば、全卵可食部100g当たり約0.25~2.5mgであることが好ましい。市場で主に流通している殻付き鶏卵の可食部は1個当たり約45~66gであることから、本開示の加工卵製造用鶏卵のヨウ素含有率は、1個当たり約0.12~1.25mgのヨウ素含量に相当する。
本開示の加工卵製造用鶏卵は、市販品としても入手可能である。例えば、1個当たり約0.12mg以上のヨウ素を含有する鶏卵の市販品としては、日本農産工業(株)の「ヨード卵光」(「ヨード卵」は登録商標)が挙げられる。
(作用効果)
本開示の加工卵用配合飼料が、12.5mg/kg以上のヨウ素を含有することで、加工卵の食感を改善し、及び/又は加工卵の破損を低減することできる理由は必ずしも明らかではないが、本開示の加工卵にヨウ素が所定の濃度以上含まれることでこのような作用効果を生じると考えられる。本発明は如何なる理論にも拘束されるものではないが、加熱による卵白の変性・凝固で主な影響を与える蛋白質は、卵白成分の約54%を占めるオボアルブミンといわれている。オボアルブミンは、卵白蛋白質中遊離のSH基をもつ唯一の蛋白質で、1分子当たりの4つのSH基と1つのSS結合が熱安定性に対する構造特性に影響を及ぼすと考えられる。飼料のヨウ素を強化し、鶏卵中へ移行したヨウ素がSH基へ影響を与えることは報告されていないが、本開示において、鶏卵中へ移行したヨウ素が卵白のSH結合へ影響を与える可能性が示唆される。例えば、加熱により卵白が変性する際に、ジスルフィド結合によるネットワーク形成が促進されると卵白の硬度や弾力が増加する可能性がある。卵白の硬度が増加すると、ゆで卵の殻をむくときの破損を低減させ、ゆで卵の製造歩留まりの向上に寄与する。一方、卵白の弾力が増加することにより新たな食感の卵加工食品を開発することも可能である。
(卵加工製品の製造方法)
本開示の他の実施形態に係る卵加工製品の製造方法は、上記加工卵製造用卵と他の食品素材とを混合して加熱する工程を含む。この卵加工製品は、ゲル状、ペースト状又は流動状の卵加工製品であってもよい。他の食品素材としては、目的食品の原料として公知の素材、添加物、及び水性原料を公知の範囲で用いることができ、例えば、水、牛乳、小麦粉、澱粉その他の原料が挙げられる。これらの原料を混合し、公知の方法で加工して得ることができる。通常、蒸し、焙焼などの加熱を行ない最終食品とされる。それらは、卵の熱凝固性、乳化性、起泡性等のいずれかを利用したものであり、厚焼き卵、薄焼き卵、オムレツなどの卵焼き類、プリン、カスタードクリーム、カルボナーラソース、アングレーズソース、茶碗蒸し、卵豆腐等を挙げることができる。
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。なお、以下の実施例において、各種成分の添加量を示す数値の単位%は、質量%を意味する。
[実施例1]加熱卵白の硬度ならびに弾力評価
<材料および方法>
供試鶏として開始時42週令のジュリアライトを用い、1試験区あたり50羽にて、以下のような試験区設定及び飼料設計を行った。試験区は表1に示したヨウ素含量(mg/kg)となるように対照区飼料にヨウ素酸カルシウム(ヨウ素として5%含有)を添加した。対照区には、一般的な採卵鶏飼料であるヘルシーL17(とうもろこし、大豆粕を主体とする市販マッシュ飼料、CP17%、ME2850kcak/kg(日本農産工業社製))を用いた。飼養管理は、ジュリアライトマニュアル第3版((株)ゲン・コーポレーション)に準じた。給餌は、自由摂取とした。
Figure 0007425908000001
各試験区の飼料に切り替えから約3週間経過した45週令の鶏から採取した鶏卵を用いてゆで卵を作製し、鶏卵中のヨウ素含量並びに加熱卵白の硬度及び弾力を測定した。試験方法及びその結果は以下のとおりである。
<鶏卵中ヨウ素含量>
卵黄及び卵白のヨウ素含量を日本食品分析センターに依頼して分析した。その結果、卵白1区~3区は定量下限0.05mg/可食部100g以下となった。卵黄・卵白どちらも飼料中ヨウ素含量の増加にともないヨウ素含量が高くなる結果となった(表2、図1)。
Figure 0007425908000002
<加熱卵白の硬度および弾力測定>
方法
10℃で14日間保管した各鶏卵を常温から茹で、沸騰後16分間加熱した後、水冷した後殻をむき、ゆで卵を作出した。このゆで卵の鋭端10mmの箇所から6mmの厚さでスライスした卵白を用いた。各試験区n=10にて測定を実施した。
硬度ならびに弾力の測定は、島津製作所製のテクスチャーアナライザーEZ-SX 500Nにて測定した。プランジャーはP/5(直径5mm円柱プロープ)を用い、圧縮速度1mm/秒にて加熱した卵白の硬度ならびに弾力を測定した。ここで、硬度とは、上記で調製した卵白に対して、上記測定条件で測定される最大荷重(gf)で表し、スライスした試験片が破断する荷重を意味する。また、弾力とは、上記測定条件にてプランジャーに係る荷重が10gf~20gfに増加するときの傾き(gf/mm)で表し外から加えられた力に対しもとに戻ろうとする力を意味する。
結果
各区加熱した卵白の硬度及び弾力を測定した。飼料中ヨウ素12.5~100mg/kgの範囲において、ヨウ素含量の増加にともない卵白の硬度ならびに弾力は高くなる傾向が得られた(図2、図3)。一方、ヨウ素200mg/kg添加区では反対に低下する傾向が観察された。上記の結果から、飼料中のヨウ素含量をコントロールすることにより加熱卵白の硬度ならびに弾力の向上が可能となることが明らかになった。
[実施例2]ゆで卵の剥き時間と外観の評価
<材料および方法>
ゆで卵の剥き時間を評価するため、供試鶏として開始時60週令のボリスブラウンを用い、各区50羽にて、対照区及び試験区の設定並びに飼料設計を行った。対照区は、株式会社ジャパンフィード製造の成鶏用配合飼料「ヘルシーL17」(表3)を不断給与した。試験区は、対照区飼料にヨウ素酸カルシウムを外添し、飼料中ヨウ素含量90mg/kgとした飼料を不断給与した。
ゆで卵の外観評価用には、開始時25週令のボリスブラウンを使用し、対照区に株式会社ジャパンフィード製造の成鶏用配合飼料「ヘルシーL18」(表3)を用いたこと以外は上記と同様の方法にて飼料を不断給与した。
<評価手順>
特開2009-39013号公報に記載の方法を一部改変して実施した。10℃設定の冷蔵庫において対照区卵とヨウ素区卵を産卵日から7日間保管した。その後、各鶏卵サンプルを沸騰水中で16分間加熱して凝固させ、氷水中で30分間冷却し、ゆで卵とした。
剥き時間の測定は、ゆで卵を割り始める直前にストップウォッチをスタートし、剥き終え置いた直後に止め計測した。各区10個の剥き時間を測定し、平均値を算出した。
外観評価は、凝固卵白に全く傷が無いものとそれ以外に分類した。各区120個を評価し、傷のないゆで卵の割合を算出した。その結果を以下の表4及び図5に示す。
<結果と考察>
表4及び図5に示したように、剥き時間は、対照区に対しヨウ素区で5.6秒短かった。また傷なしゆで卵の割合は対照区に対しヨウ素区で12.5%高くなった。現状業務用にゆで卵を製造する過程において、剥く過程でゆで卵に傷がついてしまうことによる歩留の悪さが課題となっている。本発明において、飼料にヨウ素を添加し卵の弾力が増すことにより、より迅速にかつ歩留良くゆで卵を製造できる可能性が示唆された。
[実施例3]プリンテクスチャー分析
<材料と方法>
供試鶏として開始時25週令のボリスブラウンを用い、各区50羽にて、対照区及び試験区の設定並びに飼料設計を行った。対照区は、株式会社ジャパンフィード製造の成鶏用配合飼料「ヘルシーL18」(表3)を不断給与した。試験区は、対照区飼料にヨウ素酸カルシウムを外添し、飼料中ヨウ素含量90mg/kgとした飼料を不断給与した。
<評価手順>
プリン作成用材料の割合は、以下の表5の通りに設定した。以下の手順で対照区卵とヨウ素区卵を用いた2種類のプリンを作成した。
1.前日に集卵し、10℃の冷蔵庫で保管した卵を割卵し、卵白と卵黄を分けた。卵は十分な個数を均一化して用いた。
2.卵を計量した。
3.卵と砂糖を混ぜた。
4.牛乳を加え泡立てないよう混ぜた。
5.茶こしで濾した。
6.カップに95gずつ分注し、アルミホイルを被せた。
7.鍋に少量の湯を沸騰させ蒸し器を設置し、対照区と試験区を円状に交互に配置した。
8.蓋をして22分間加熱した。
9.22分後に火を消し、さらに10分間蒸らした。
上記のように作成したプリンのテクスチャーを、テクスチャーアナライザー(島津製作所EZ-SX500N)を用いて行った。対照区と試験区のそれぞれのプリンについて、底から5mmの地点まで、速さ10mm/sでストロークを2回行った。
各区12個を測定し、もろさ、硬さおよび付着性の平均値を算出した。
・硬さ=最大試験力
・もろさ=凸点最大試験力-凹点最小試験力
・付着性=試験力最小点を含む負の試験力を示す部分の面積
<結果と考察>
その結果を表6、図6及び図7に示す。図6は、テクスチャーアナライザーによる分析結果の一例であり、実線はヨウ素区、点線は対照区の卵を用いたプリンの分析結果である。図7は、表6の結果をグラフ化したものである。
もろさは対照区に対しヨウ素区で14.7gf大きかった。
硬さは対照区に対しヨウ素区で11.7gf大きかった。
付着性は対照区に対しヨウ素区で76.2gf/mm大きかった。
昨今、昔ながらの喫茶店風の固めレトロプリンがブームとなっている。本発明により飼料中のヨウ素を強化した鶏卵をプリンに用いることにより、より固さを増し、さらにねっとり・もっちりとした付着性による好食感の獲得および保形性の向上が期待できる。これらにより本発明の鶏卵を用いたプリンなどの食品における、呈味の改善および製品歩留まりの改善効果が期待できる。
本発明の配合飼料を用いて生産された鶏卵は、ゆで卵にしたときの白身の硬度及び弾力が向上し、加工鶏卵分野における幅広い用途への応用が見込まれる。したがって、本発明の配合飼料は、加工食品の特性を制御する新規は飼料として利用できる可能性がある。

Claims (3)

  1. 12.5~100mg/kgのヨウ素を含有する加工卵用配合飼料であって、前記加工卵がゆで卵であり、前記配合飼料を給餌した家禽により産生されたゆで卵の工業的製造工程において、殻剥き時間を短縮し、かつ傷なしゆで卵の歩留まりを向上するための配合飼料。
  2. 前記家禽が、ニワトリ又は鶉である請求項1に記載の配合飼料。
  3. 前記ゆで卵の白身の弾力を向上するための請求項1又は2に記載の配合飼料。
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