本発明に係る脱穀装置は、処理物の量が増大した場合であっても、選別性能の低下を防止できるように構成される。以下、本実施形態の脱穀装置1について説明する。
図1は、本実施形態の脱穀装置1を備えるコンバイン20の側面図である。図2は、本実施形態の脱穀装置1を備えるコンバイン20の平面図である。また、図3は脱穀装置1の断面図である。なお、以下では、本実施形態のコンバイン20について所謂普通型コンバインを例に挙げて説明する。もちろん、コンバイン20は自脱型コンバインであっても良い。
ここで、理解を容易にするために、本実施形態では、特に断りがない限り、「前」(図1及び図2に示す矢印Fの方向)は機体前後方向(走行方向)における前方を意味し、「後」(図1及び図2に示す矢印Bの方向)は機体前後方向(走行方向)における後方を意味するものとする。また、「上」(図1に示す矢印Uの方向)及び「下」(図1に示す矢印Dの方向)は、機体の鉛直方向(垂直方向)での位置関係であり、地上高さにおける関係を示すものとする。更に、左右方向または横方向は、機体前後方向に直交する機体横断方向(機体幅方向)、即ち、「左」(図2に示す矢印Lの方向)及び「右」(図2に示す矢印Rの方向)は、夫々、機体の左方向及び右方向を意味するものとする。
図1及び図2に示されるように、コンバイン20は、機体フレーム2とクローラ走行装置3とを備えている。走行機体17の前方に、植立穀稈を刈り取る刈取り部4が設けられる。刈取り部4には、植立穀稈を掻き込む掻き込みリール5と、植立穀稈を切断する刈刃6と、刈取穀稈を掻き込むオーガ7と、が備えられる。
走行機体17の前部における右側に、運転キャビン8が設けられている。運転キャビン8に、運転者が搭乗する運転部9と、運転部9を覆うキャビン10と、が備えられる。運転部9の下方にエンジンルームERが設けられている。エンジンルームERに、エンジンEの他、排気浄化装置、冷却ファン、ラジエータ等が収容されている。エンジンEの動力は、動力伝達構造(図示しない)によって、クローラ走行装置3、脱穀装置1における扱胴22、揺動駆動機構43等に伝達される。扱胴22、揺動駆動機構43に関しては後述する。
刈取り部4の後方に、刈取穀稈(「作物」に相当)を脱穀処理する脱穀装置1が設けられる。刈取り部4と脱穀装置1とに亘って、刈取穀稈を脱穀装置1に向けて搬送するフィーダ11が設けられる。脱穀装置1の側方に、脱穀処理後の穀粒を貯留する穀粒タンク12が設けられる。穀粒タンク12は上下方向に延びる軸心周りで揺動可能に構成され、穀粒タンク12は、作業位置とメンテナンス位置とに亘って揺動開閉可能に構成されている。脱穀装置1の後部に、回転刃13aを備えた排ワラ細断装置13が設けられている。
コンバイン20に、穀粒タンク12内の穀粒を外部に排出する穀粒排出装置14が設けられている。穀粒排出装置14に、穀粒タンク12内の穀粒を上方に向けて搬送する縦搬送部15と、縦搬送部15からの穀粒を機体外側に向けて搬送する横搬送部16と、が備えられている。穀粒排出装置14は、縦搬送部15の軸心周りで旋回可能に構成されている。縦搬送部15の下端部は、穀粒タンク12の底部に連通接続されている。横搬送部16のうち縦搬送部15側の端部は、縦搬送部15の上端部に連通接続され、かつ、上下揺動可能に支持されている。
本実施形態では脱穀装置1は走行機体17に設けられる。脱穀装置1は、作物を脱穀する脱穀ユニット41と、選別ユニット42と、を備える。したがって、脱穀ユニット41と選別ユニット42とは走行機体17に設けられる。脱穀ユニット41は脱穀装置1における上部に配置され、脱穀ユニット41の下部には受網23が設けられる。選別ユニット42(ただし、本実施形態では後述する「還元量検出部71」を除く)は、脱穀ユニット41の下方に配置され、受網23から漏下してきた処理物(「脱穀処理物」に相当)から穀粒を選別するよう構成されている。選別ユニット42は、揺動選別装置24(「選別部」の一例)と、一番物回収部26と、二番物回収部27と、二番物還元部32と、還元量検出部71と、を備えている。
脱穀ユニット41は、扱室21に扱胴22を収容し、扱胴22の下部に受網23を有する。扱室21は、前側の前壁51と、後側の後壁52と、左右の側壁50(図4参照)と、上部を覆う天板53と、で取り囲まれる空間として形成される。扱室21のうち前壁51よりも下側部分に、収穫物(「作物」に相当)が供給される供給口54aが形成され、この供給口54aの底部に案内底板59が配置されている。また、扱室21のうち後壁52よりも下側部分に、排塵口54bが形成されている。
扱胴22は、胴体60と回転支軸55(「扱胴軸」の一例)とを有する。図3に示されるように、胴体60は、前端部の掻込部57と、掻込部57の後方位置の扱処理部58と、で一体形成される。掻込部57は、扱胴22の前端側ほど小径となる先細り状の基台部57aの外周部に2重螺旋の螺旋羽根57bを備えている。扱処理部58は、複数の棒状の扱歯支持部材58aと複数の扱歯58bとを有する。複数の棒状の扱歯支持部材58aは、夫々、筒状の胴体60の周方向に所定間隔で互いに離間して設けられる。複数の扱歯58bの夫々は、複数の扱歯支持部材58aの夫々の外周部から突設し、前後向き姿勢の回転軸心Xに沿って所定間隔で互いに離間して取り付けられている。
回転支軸55は、回転軸心Xに沿って延び、前壁51と後壁52とに対して前後方向に貫通する。胴体60及び回転支軸55は、回転軸心Xまわりに一体回転する。つまり、回転支軸55の前端が軸受を介して前壁51に回転自在に支持され、これと同様に回転支軸55の後端が軸受を介して後壁52に回転自在に支持されている。この脱穀ユニット41では、回転支軸55の前端部に対して回転駆動機構56から駆動回転力が伝えられる。
天板53の内面部(下面部)に、プレート状の複数の送塵弁53aが、前後方向に沿って所定の間隔で設けられている。複数の送塵弁53aは、扱室21において扱胴22と共に回転する処理物に後側に移動させる力を作用させるように平面視で回転軸心Xに対して傾斜する姿勢で設けられている。
受網23は、扱胴22の下方と、扱胴22の両側方と、に亘る領域を取り囲むように円弧状に形成されている。前後方向に沿って所定の間隔で配置される複数の縦フレームと、各々の縦フレームに対して支持される前後向き姿勢の横フレームと、の組み合わせによって、受網23に間隙が形成されている(図4参照)。受網23に形成された隙間から、処理物の漏下が可能である。
本実施形態の脱穀装置1では扱室21に供給される刈取穀稈を収穫物と称し、この扱室21で扱処理された収穫物を処理物(「脱穀処理物」に相当)と称している。処理物には穀粒と切れワラ等とが含まれる。また、一番物とは、主として穀粒を含む処理物であり、二番物とは、単粒化が不充分な穀粒と、切れワラ等と、を含む処理物である。
脱穀ユニット41では、フィーダ11からの収穫物が供給口54aを介して扱室21に供給される。供給された収穫物は、掻込部57の螺旋羽根57bによって案内底板59に沿って扱胴22の後方に掻き込まれ、扱処理部58に供給される。扱処理部58では、扱胴22の回転に伴い収穫物が扱歯58b及び受網23によって扱き処理される結果、脱穀が行われる。
このように脱穀が行われる際には、扱胴22と共に処理物が回転することによって、処理物が送塵弁53aと接触して扱室21の後部に搬送されつつ脱穀処理が行われる。脱穀処理によって得られた穀粒と短い切れワラ等が受網23から漏下して選別ユニット42に落下する。これに対し、受網23を漏下できない処理物(穀稈や、長寸の切れワラ等)は、排塵口54bから扱室21の外に排出される。
図3に示されるように、選別ユニット42に、揺動選別装置24と唐箕25とが備えられている。唐箕25から選別風が揺動選別装置24に供給される。揺動選別装置24は、選別風が供給される環境において揺動作動し、脱穀処理物のうち、選別処理物として穀粒(一番物)を選別する。選別処理物とは、揺動選別装置24によって選別された穀粒である。また、揺動選別装置24の下方に、一番物回収部26と二番物回収部27とが配置されている。
唐箕25は、選別ユニット42に設けられ、処理物の搬送方向に沿って選別風を発生させる。唐箕25に、複数の回転羽根25bを有する唐箕本体が備えられ、唐箕本体がファンケース25aの内部に収容されている。ファンケース25aの上部に、選別風を上部グレンパン61の上面部に沿って送り出すための上部吐出口25cが形成されている。ファンケース25aの後部に、選別風を後方に送り出すための後部吐出口25dが形成されている。
一番物回収部26は、脱穀処理物のうち、選別処理物として選別された処理物を一番物として回収する。処理物は、一番物案内部62によって一番物回収部26に案内される。即ち、一番物回収部26は、一番物案内部62によって案内された一番物(一番物の穀粒)を横方向に搬送する一番物スクリュとして構成されている。一番物回収部26によって回収された一番物は、一番物回収搬送部29によって穀粒タンク12に向けて上方に搬送される(揚送される)。一番物回収搬送部29によって搬送された一番物は、貯留スクリュ30によって右方に搬送され、穀粒タンク12へ供給される。一番物回収搬送部29はバケット式のコンベヤによって構成されている。
二番物回収部27は、脱穀処理物のうち、選別処理物として選別されなかった処理物を二番物として回収する。選別処理物として選別されなかった処理物とは、揺動選別装置24において選別されなかった穀粒や、穀稈や、長寸の切れワラ等が相当し、二番物と称される。このような二番物は、二番物案内部63によって二番物回収部27に案内される。即ち、二番物回収部27は、二番物案内部63によって案内された二番物を横方向に搬送する二番物スクリュとして構成されている。二番物回収部27によって回収された二番物は、二番物還元部32によって前斜め上方に搬送され、揺動選別装置24よりも上側(選別ユニット42の上流側)に還元される。二番物還元部32は、スクリュ式のコンベヤによって構成されている。
一番物回収部26は、電気モータである一番物回収モータM1(図2参照)によって駆動され、二番物回収部27は、電気モータである二番物回収モータM2(図2参照)によって駆動される。
一番物回収モータM1の動力は一番物回収部26に伝達され、一番物回収部26から一番物回収搬送部29に伝達され、一番物回収搬送部29から貯留スクリュ30に伝達される。ここで、一番物回収搬送部29は、脱穀装置1の右側部(右壁の外部)に設けられ、一番物回収モータM1は、脱穀装置1の左側部に設けられている。即ち、一番物回収モータM1は、脱穀装置1の側部のうち、一番物回収搬送部29が設けられている側と反対側の側部に設けられている。
二番物回収モータM2の動力は、二番物回収部27に伝達され、二番物回収部27から二番物還元部32に伝達される。ここで、二番物還元部32は、脱穀装置1の右側部(右壁の外部)に設けられ、二番物回収モータM2は、脱穀装置1の左側部に設けられている。即ち、二番物回収モータM2は、脱穀装置1の側部のうち、二番物還元部32が設けられている側と反対側の側部に設けられている。
揺動選別装置24は、処理物から穀粒を選別する。揺動選別装置24は、受網23の下方に配置され、処理物は受網23から漏下する。この揺動選別装置24は、偏心軸等を用いた偏心カム式の揺動駆動機構43によって前後方向に揺動作動し、上面視で矩形状に形成された枠状のシーブケース33を備えている。
シーブケース33に、第1グレンパン34、複数の第1篩線35、第2篩線36、第2グレンパン37、第1チャフシーブ38、第2チャフシーブ39、グレンシーブ40、上部グレンパン61、下部グレンパン65が備えられている。
上部グレンパン61よりも後側に複数のチャフリップ38Aを有する第1チャフシーブ38が配置され、この第1チャフシーブ38よりも後側に第2チャフシーブ39が配置されている。なお、複数のチャフリップ38Aは処理物が搬送される搬送方向(前後方向)に沿って並べられ、複数のチャフリップ38Aの各々は、後端側ほど斜め上方に向かう傾斜姿勢で配置されている。下部グレンパン65は、第1チャフシーブ38の前端部の下方に配置されている。下部グレンパン65の後方に、下部グレンパン65と連なる状態で、網状体のグレンシーブ40が配置されている。第2チャフシーブ39は、第1チャフシーブ38の後端部の下方、かつ、グレンシーブ40の後方に配置される。
シーブケース33に、唐箕25の上部吐出口25cから供給される選別風を上部グレンパン61の上面部に沿って供給する風路と、唐箕25の後部吐出口25dから供給される選別風を下部グレンパン65の上面部に沿って供給する風路と、が形成されている。揺動選別装置24の後端部(図3では右端部)と、受網23の後端部と、によって排出部28が形成されている。
本実施形態の揺動選別装置24では、唐箕25からの選別風が機体前側から機体後側に供給され、揺動駆動機構43によってシーブケース33が揺動することによって、シーブケース33の内部の処理物が機体後方に搬送される。このような理由から、以下の説明では、揺動選別装置24において、処理物の搬送方向の上流側を前端あるいは前側と称し、下流側を後端あるいは後側と称している。
グレンシーブ40は、金属製の複数の線材を網状に組み合わせた網状体として構成され、網目から穀粒を漏下させるように構成されている。このグレンシーブ40の上方には第1チャフシーブ38が設けられ、第1チャフシーブ38のチャフリップ間を流通した穀粒がグレンシーブ40に漏下する。
シーブケース33は、受網23から漏下する処理物の多くを受け止める。選別ユニット42において受網23から漏下する処理物のうち、上部グレンパン61で受け止められたものは、シーブケース33の揺動に伴い第1チャフシーブ38の前端に供給される。
第1チャフシーブ38は選別風による風選別と、揺動に伴う比重選別とによって処理物を後側に搬送すると同時に、処理物に含まれる穀粒を漏下させる。このような選別が行われた処理物のうち、切れワラ等の茎稈類は第2チャフシーブ39に受け渡され、この第2チャフシーブ39の後端からシーブケース33の後方に送り出され、排出部28から排ワラ細断装置13に向けて排出される。排出部28から排出された茎稈類は、排ワラ細断装置13によって細断され、脱穀装置1の外部へ排出される。また、受網23を介して第2チャフシーブ39に直接、漏下してくる穀粒は、第2チャフシーブ39で穀粒と切れワラ等の茎稈類とに選別される。
ここで、受網23から漏下する処理物の状態を考えると、扱室21に供給された収穫物のうち、穀粒、単粒化が不充分な穀粒、ワラの小片等は扱室21の内部で搬送される際に早期に受網23を漏下する。このような理由から受網23のうち搬送方向の上流領域での処理物の漏下量は、受網23のうち搬送方向の下流領域よりも多くなる傾向がある。また、前述したように第1チャフシーブ38の前端側部分に上部グレンパン61から処理物が供給されるため、この第1チャフシーブ38の前端側部分を漏下する処理物の量は、第1チャフシーブ38の後端側部分と比較して多い。
また、第1チャフシーブ38のうち前端側部分を漏下した処理物は、漏下直後に、その一部が選別風によって後側に送られることによって取り除かれ、穀粒を多く含む処理物がグレンシーブ40の上面部で受け止められる。更に、グレンシーブ40に供給された処理物に選別風の風圧と揺動力とが作用するため、処理物に含まれるワラ等はグレンシーブ40の上面部で後方に送られ、グレンシーブ40を漏下する処理物には多くの穀粒が含まれる。グレンシーブ40を漏下した穀粒は、一番物案内部62から一番物回収部26に流下して回収され、一番物回収搬送部29によって穀粒タンク12に貯留される。
また、グレンシーブ40には、第1チャフシーブ38の後部領域からの処理物が供給されるが、グレンシーブ40で漏下しなかった処理物のうち切れワラ類は、選別風によって後方に送られるため、グレンシーブ40の後部領域での選別効率を大きく低下させることなく選別処理が行われる。
更に、グレンシーブ40の最後端よりも前側で漏下した一番物(穀粒)は、一番物案内部62から一番物回収部26に流下して回収され、一番物回収搬送部29によって穀粒タンク12に貯留される。
これに対し、グレンシーブ40の最後端の部位を漏下した処理物、あるいは、第2チャフシーブ39から落下した処理物は、二番物案内部63から二番物回収部27に流下して回収され、二番物還元部32によって揺動選別装置24の上流側に戻される。第2チャフシーブ39から落下しなかった処理物、即ち、選別処理によって発生したワラ屑などの塵埃が揺動選別装置24の後端から後方へ送られ、排出部28から排ワラ細断装置13に排出される。
上述したように、二番物は二番物還元部32によって揺動選別装置24の前部である上流側に還元される。具体的には、二番物は、脱穀ユニット41における受網23の側方であって、二番物が受網23を通らない(流通しない)位置に還元される。したがって、脱穀ユニット41の側壁50のうち、円弧状の受網23における径方向外側の位置に挿通孔が形成され、この挿通孔に二番物還元部32の二番物排出口32Aが設けられる。即ち、二番物還元部32の二番物排出口32Aは、円弧状の受網23における径方向外側の位置に設けられ、この位置において二番物が排出される。このように、脱穀装置1に、二番物還元部32によって還元される二番物の還元量を検出する還元量検出部71が備えられている。図4乃至図6に、二番物排出口32Aの配置形態が示される。
本実施形態では、図4に示されるように、二番物排出口32Aは受網23側に向けて設けられる。図5に示されるように、二番物排出口32Aの近傍に回転羽根32Bが設けられている。二番物還元部32にスクリュ式のコンベヤが備えられ、回転羽根32Bはスクリュ式のコンベヤと一体回転する。二番物還元部32によって搬送された二番物は、回転羽根32Bによって二番物排出口32Aから径方向外側に放出される(図6の破線矢印で示されるように排出される)。
二番物排出口32Aには、放出された二番物を揺動選別装置24の処理物移送方向上手側に向けて案内する案内部32Cが設けられる。案内部32Cは、二番物排出口32Aに対向する内周面部を有する筒状の一部を呈する形状で構成される。言い換えると、案内部32Cは、帯板を円弧状に曲げた形状に形成されている。このような案内部32Cの内周面部によって、回転羽根32Bによって放出された二番物の排出方向が規制され、二番物は移送方向上手側に向かって排出される。
図5及び図6に示されるように、還元量検出部71は、脱穀ユニット41における側壁50の内部側部分に支持されている。二番物還元部32における回転羽根32Bによって二番物が二番物排出口32Aから放出され、還元量検出部71は、二番物に接触することによって、還元される二番物の還元量を測るように構成されている。還元量検出部71に、揺動アーム72と、計測部73と、計測部73及び揺動アーム72を支持する支持フレーム74と、還元量検出部71の上方を覆うカバー体75と、が備えられている。揺動アーム72は、二番物還元部32によって放出される二番物の放出延長上(放物線上)に位置し、放出された二番物が接触することによって揺動する。計測部73は、揺動アーム72の揺動角に基づいて還元量を測る。
支持フレーム74は、二番物排出口32Aの上方に備えられている。支持フレーム74は、帯板が略L字形に折り曲げられたものであって、両側端部に取り付け部74aが備えられ、取り付け部74aが側壁50にボルト連結されている。計測部73のケース内部にポテンショメータが内装されており、計測部73は支持フレーム74の機体内側箇所に対してボルト連結されている。計測部73の回転軸76が支持フレーム74を挿通して機体外側(側壁50側)に突出している。その回転軸76に揺動アーム72が取り付けられ、揺動アーム72と回転軸76とが一体回動可能に構成されている。揺動アーム72は、回転軸76から下方に延び、案内部32Cによって二番物が案内される案内経路内に位置する状態で備えられている。揺動アーム72は横軸芯としての回転軸76の軸芯まわりで揺動可能に支持されている。
カバー体75は、支持フレーム74の上部縁に沿って設けられ、揺動アーム72、計測部73、及び、支持フレーム74の夫々の上方を覆う構成となっている。このようなカバー体75を備えることによって、受網23を通して漏下する脱穀処理物のうち細かな塵埃が揺動アーム72や計測部73に降りかかって計測動作を阻害することを防止できる。
図7に示されるように、揺動アーム72の上端部は回転軸76よりも上方に延ばされている。支持フレーム74にバネ受け部77が支持される。揺動アーム72のうちの回転軸76よりも上方に延びる箇所と、バネ受け部77と、に亘ってコイルバネ78が張設されている。揺動アーム72は、コイルバネ78の引っ張り付勢力によって、揺動アーム72のうちのコイルバネ78の位置する側と反対側の遊端部が二番物排出口32Aに近づくように揺動付勢されている。カバー体75に係止部79が設けられ、揺動アーム72の上端部が係止部79に接当して、揺動アーム72はバネ付勢力に抗して下向き待機姿勢で位置保持される。
二番物が、二番物排出口32Aを通して回転羽根32Bによって放出され、揺動アーム72に接触すると、その押圧力によって揺動アーム72がコイルバネ78の付勢力に抗して揺動する。揺動アーム72が揺動すると、揺動アーム72のうち回転軸76よりも下側の部分が二番物排出口32Aから離間する。その揺動角度が計測部73によって計測され、その計測結果に基づいて二番物の還元量を求めることができる。
上述したように揺動選別装置24は処理物から穀粒を選別処理物として選別するが、還元量検出部71によって検出された還元量に応じて選別処理物として選別する選別量が変更可能に構成される。還元量に応じて選別処理物として選別する選別量が変更可能とは、還元量に応じて揺動選別装置24の選別能力が変更可能であることを意味する。揺動選別装置24の選別能力は、受網23から漏下する処理物の量に対して、一番物回収部26によって回収される一番物の量の割合、即ち、選別度(あるいは選別効率)に相当する。
ここで、刈取り部4によって刈り取られる作物の単位時間当たりの量が一定である場合、脱穀ユニット41によって脱穀される処理物の単位時間当たりの量も大きく変化せず、一定となる。このため、単位時間あたりに受網23から選別ユニット42に漏下する処理物も、一定量となる。係る場合において、二番物還元部32からの還元量が増大すると、揺動選別装置24において選別待ちの処理物や二番物が次第に増大することが想定される。
このような場合、脱穀装置1が適切に脱穀処理を行えないことから、本実施形態では、揺動選別装置24は、還元量が多い程、選別量が増大されるように構成される。選別量が増大されるとは、一番物回収部26による一番物の回収量が増大することを意味する。したがって、還元量が予め設定された所定の閾値量よりも多くなる程、揺動選別装置24は、一番物回収部26における一番物の回収量が増大するように構成される。
本実施形態では、選別量の増大にチャフリップ38Aが利用される。上述したように、第1チャフシーブ38に複数のチャフリップ38Aが備えられ、複数のチャフリップ38Aの夫々は、後端側ほど斜め上方に向かう傾斜姿勢で配置されている。本実施形態では、チャフリップ38Aの夫々の開度が変更可能に構成されている。開度が変更可能とは、傾斜姿勢が変更されることを意味する。具体的には、チャフリップ38Aが前後方向に対して平行に近くなる程、開度が小さくなり、チャフリップ38Aが上下方向に対して平行に近くなる程、開度が大きくなる。
本実施形態では、チャフリップ38Aは、還元量が多い程、開度が大きくなるように構成される。即ち、還元量が多い程、チャフリップ38Aの傾斜姿勢が上下方向に対して平行に近くなるように変更される。これにより、第1チャフシーブ38における一番物の選別量が増大し、揺動選別装置24における選別待ちの処理物や二番物の増大を抑制することが可能となる。
二番物は、上述したように単粒化が不充分な穀粒と、切れワラ等とを含む処理物である。そこで、二番物還元部32による二番物の還元量が多い程、第1チャフシーブ38やグレンシーブ40において切れワラ等が除かれるように、唐箕25は選別風の風量が増大する構成であると好適である。これにより、第1チャフシーブ38やグレンシーブ40において切れワラ等を除外する能力が向上し、チャフリップ38Aの開度が大きい場合であっても、一番物回収部26に対する切れワラ等の混入を低減できる。
ここで、本実施形態の選別ユニット42には、受網23から漏下する処理物の量を検出する層厚センサ80(「脱穀処理物検出部」の一例)が備えられる。具体的には、層厚センサ80は、受網23を介してシーブケース33上に漏下してきた処理物の層厚を検出する。このような層厚センサ80は公知であるので、ここでは説明は省略する。層厚センサ80によって検出される処理物の量、すなわちシーブケース33上の処理物の層厚に応じて、揺動選別装置24における選別量が変更される構成も可能である。なお、層厚センサ80が設けられる前後方向の位置は、図3に示される位置よりも前側であっても良い。
上述した構成において、チャフリップ38Aの開度は、シーブケース33上の処理物の層厚が所定の閾値を超え、多くなる程、大きくすると良い。これにより、シーブケース33上の処理物の量が増大することを抑制できる。なお、層厚センサ80は還元量検出部71とは各別に(独立して)上述した制御を行っても良い。
また、層厚センサ80の検出結果(シーブケース33上の処理物の層厚)に応じてチャフリップ38Aの開度及び唐箕25の選別風の風量の双方を変更しても良い。具体的には、例えばシーブケース33上の処理物の層厚が所定の閾値を超える場合には、チャフリップ38Aの開度を大きくするとともに唐箕25の選別風の風量を増大すると良い。また、シーブケース33上の処理物の層厚が所定の閾値以下である場合には、チャフリップ38Aの開度を小さくするとともに唐箕25の選別風の風量を減少する構成も可能である。
また、上述したように、扱室21における天板53の内面部(下面部)に、複数の送塵弁53aが設けられている。これらの送塵弁53aは、扱室21において扱胴22とともに回転する処理物に後側に移動させる力を作用させる。送塵弁53aは、天板53に対する取付角度を変更可能に構成される。これにより、胴体60内の送り量が変更可能とされる。そこで、二番物還元部32による二番物の還元量が多い程、送塵弁53aの前後方向に対する傾斜を制御し、胴体60内の作物の送り量が低減する構成も可能である。
即ち、二番物還元部32による二番物の還元量が所定の閾値を超え、多くなる程、胴体60における作物の送り量が小さくなるように設定することによって、扱室21から作物が落ち難くなり、シーブケース33上の処理物の量の増大を抑制できる。
更に、二番物還元部32による二番物の還元量が多い程、脱穀ユニット41自体に供給する作物の量を低減する構成も可能である。これにより、シーブケース33上の処理物の量の増大が抑制される。このような方法としては、例えば、二番物還元部32による二番物の還元量が多い程、走行機体17の走行速度を低減する構成であると好適である。
以上のように、脱穀装置1は、二番物還元部32による二番物の還元量に応じて、揺動選別装置24の選別能力を制御する。換言すれば、二番物還元部32による二番物の還元量に基づいて、揺動選別装置24による選別量(揺動選別装置24の選別能力)がフィードバック制御される。したがって、チャフリップ38Aの開度や、唐箕25による選別風の風量や、送塵弁53aの前後方向に対する傾斜や、走行機体17の走行速度が、フィードバック制御におけるゲインの調整パラメータに相当する。
図8に二番物の還元量の時系列変化が示され、図9に還元量に応じて開度が変更されるチャフリップ38Aの形態が示される。時間t1以降の還元量の増大に伴い、チャフリップ38Aの開度が大きくなり、時間t2で還元量の増大が停止している。その後、時間t3からt4に向かうにつれ、還元量が減少する。これに伴い、チャフリップ38Aの開度も時間t1以前と同様の開度に戻っている。このように、本実施形態の脱穀装置1であれば、二番物の還元量が増大した場合であっても、脱穀機能の低減が抑制される。
〔その他の実施形態〕
図10及び図11に、還元量検出部71が二番物の還元量を感度良く検出できる構成の一例が示される。図10及び図11に示される実施形態では、案内部32Cは、揺動アーム72の揺動軌跡に沿った面形状を有し、かつ、揺動アーム72の揺動軸芯方向において揺動アーム72と隣り合う状態で揺動アーム72の側方に設けられている。案内部32Cは脱穀ユニット41の側壁50に片持ち支持されている。なお、案内部32Cは側壁50に両持ち支持されても良い。
還元量検出部71が二番物の還元量を精度良く検出するために、揺動アーム72が二番物の還元量に応じて精度良く揺動することが好ましい。特に、二番物は案内部32Cによって揺動選別装置24の移送方向上手側に案内されるため、二番物排出口32Aから放出された二番物は、案内部32Cの案内面部に集中し易い。このため、揺動アーム72の揺動に伴って、揺動アーム72と案内部32Cとの離間距離が変化すると、還元量検出部71の検出精度に影響が及ぶ。特に、揺動アーム72が揺動するほど揺動アーム72と案内部32Cとの離間距離が小さくなる構成であると、二番物の還元量が所定の量を超えた時点で、揺動アーム72が急激に揺動範囲の最大まで振り切れてしまうことが考えられる。こうなると、揺動アーム72が振り切れた状態で計測部73の検出値が最大値で張り付いたままとなって、二番物の還元量が多い場合に還元量検出部71が還元量を精度良く計測できない場合が考えられる。つまり、揺動アーム72が揺動するほど揺動アーム72と案内部32Cとの離間距離が小さくなる構成であると、二番物の還元量が少ない場合に還元量検出部71の検出感度が鈍く、二番物の還元量が多い場合に還元量検出部71の検出感度が過敏になる。このため、揺動アーム72が振り切れることなく、二番物の還元量が多い場合でも還元量を精度良く計測できる構成が望ましい。また、二番物の還元量は少ない場合が多いため、二番物の還元量が少ない場合であっても還元量検出部71が二番物の還元量を感度良く検出できる構成が好ましい。
図10に示される実施形態では、案内部32Cの支持基端部領域は円弧状に形成され、案内部32Cは先端側(側壁50から離れる側)ほど直線状に近付くように形成されている。揺動アーム72が下向き待機姿勢で位置保持される状態で、揺動アーム72と案内部32Cとが接近する。このとき、揺動アーム72と案内部32Cとの離間距離が、回転軸76の位置する揺動基端部と、揺動アーム72のうちの回転軸76よりも下側に位置する遊端部と、に亘って同じである。
二番物が二番物排出口32Aから放出されると、二番物は揺動アーム72と接触し、揺動アーム72は揺動する。このとき、揺動アーム72の下側領域と案内部32Cとの離間距離は、揺動アーム72の揺動基端部と案内部32Cとの離間距離よりも大きくなる。図10に、揺動アーム72が揺動した状態が実線で示され、実線で示された揺動アーム72の長手方向中央部分と、案内部32Cと、の離間距離が距離d1で示されている。
二番物と揺動アーム72との接触量が増大し、揺動アーム72が更に揺動すると、揺動アーム72の下側領域と案内部32Cとの離間距離は更に大きくなる。図10に、揺動アーム72が更に揺動した状態が破線で示され、破線で示された揺動アーム72の長手方向中央部分と、案内部32Cと、の離間距離が距離d2で示されている。距離d2は距離d1よりも大きい。つまり、揺動アーム72の揺動量が大きくなるほど、案内部32Cと揺動アーム72との間の隙間(揺動アーム72において基端部と遊端部とに亘る案内部32C側の端縁と、案内部32Cと、の間の空間、領域)が大きくなって、揺動アーム72の側部と案内部32Cとの間の隙間を二番物がすり抜け易くなる。換言すると、案内部32Cは、揺動アーム72が二番物と接触して揺動した際に、揺動量が大きくなるほど、揺動アーム72の側部と案内部32Cとの離間距離が大きくなるように構成されている。
案内部32Cは、図11に示されるような折り曲げ形状に形成されても良い。案内部32Cにおける支持基端部と先端部との間で、案内部32Cは、機体前寄りの向きに折り曲げ形成されている。案内部32Cは、揺動アーム72の揺動軌跡に沿って平坦状の面形状を有し、かつ、揺動アーム72の揺動軸芯方向において揺動アーム72と隣り合う状態で揺動アーム72の側方に設けられている。
図11に示される案内部32Cの形状では、案内部32Cは、揺動アーム72が二番物と接触して揺動した際に、揺動量の大小に拘わらず、揺動アーム72の側部と案内部32Cとの離間距離が同じになるように構成されている。図11に、揺動アーム72が揺動した状態が実線で示され、実線で示された揺動アーム72の長手方向中央部分と、案内部32Cと、の離間距離が距離d11で示されている。揺動アーム72が更に揺動した状態が破線で示され、破線で示された揺動アーム72の長手方向中央部分と、案内部32Cと、の離間距離が距離d12で示されている。距離d11と距離d12とは同じである。つまり、揺動アーム72の揺動量に関係なく、案内部32Cと揺動アーム72との間の隙間の大きさは一定または略一定である。
図12に、二番物の還元量と揺動アーム72の揺動量との関係が折線グラフで示される。揺動アーム72が揺動するほど揺動アーム72と案内部32Cとの離間距離が小さくなる構成が『第一パターン』で示される。揺動アーム72が揺動するほど揺動アーム72と案内部32Cとの離間距離が大きくなる構成、即ち図10で示される構成が『第二パターン』で示される。揺動アーム72の揺動量の大小に拘わらず、揺動アーム72の側部と案内部32Cとの離間距離が同じ構成、即ち図11で示される構成が『第三パターン』で示される。
二番物の還元量がゼロとF1との間の範囲では、第二パターンの折線グラフにおける揺動アーム72の揺動量が、第一パターンの折線グラフにおける揺動アーム72の揺動量よりも大きい。また、二番物の還元量がゼロとF1との間の範囲では、第三パターンの折線グラフにおける揺動アーム72の揺動量が、第一パターンの折線グラフにおける揺動アーム72の揺動量よりも大きい。このことから、第二パターン及び第三パターンでは、第一パターンの場合と比較して、二番物の還元量が少なくても揺動アーム72がしっかりと揺動し、還元量の低領域における還元量検出部71の計測感度が高い。
第一パターンの折線グラフでは、還元量がF2の領域に差し掛かると、揺動アーム72の揺動量が急激に大きくなり、還元量がF3の領域になると揺動アーム72の揺動量が最大まで振り切れ、還元量検出部71は、それ以上の還元量を計測できなくなる。第二パターン及び第三パターンの折線グラフでは、還元量がF2の領域に差し掛かっても、揺動アーム72の揺動量は急激に大きくならず、第一パターンの折線グラフが第二パターン及び第三パターンの折線グラフを逆転する。
第一パターンでは、揺動アーム72の揺動量が大きくなるほど、揺動アーム72の側部と案内部32Cとの離間距離が小さくなるため、二番物が多くなるほど、揺動アーム72との接触度合いが増し、揺動アーム72の揺動量が一層大きくなる。第二パターンでは、揺動アーム72の揺動量が大きくなるほど、揺動アーム72の側部と案内部32Cとの離間距離が大きくなるため、揺動アーム72の側部と案内部32Cとの間の隙間を二番物がすり抜け易くなり、揺動アーム72の揺動量が抑制される。第二パターンでは、揺動量の大小に拘わらず、揺動アーム72の側部と案内部32Cとの離間距離が同じであるため、第一パターンの場合と比較して、二番物と揺動アーム72との接触頻度は少なく、揺動アーム72の揺動量が抑制される。
第二パターンの折線グラフでは、F3よりも大きなF4の領域に還元量が差し掛かると、揺動アーム72の揺動量が最大または略最大に達する。このように、第二パターンの場合だと、第一パターンの場合と比較して、還元量検出部71は、二番物の還元量が少ない場合でも還元量の計測を感度良く可能であり、かつ、還元量の大小を幅広い範囲で計測できる。
また、第三パターンの折線グラフでは、F3よりも大きなF4の領域に還元量が差し掛かると、揺動アーム72の揺動量が最大または略最大に達する。このように、第三パターンの場合だと、第一パターンの場合と比較して、揺動アーム72の振り切れが生じにくくなって、還元量検出部71は還元量の大小を幅広い範囲で計測できる。
上記実施形態では、還元量検出部71が側壁50の内部側部分に支持される構成としたが、図13及び図14に示されるように、還元量検出部71が側壁50の外部側部分に支持される構成であっても良い。
この実施形態では、還元量検出部71は、上記実施形態と同様に、揺動アーム72と、計測部73と、を備えている。図13及び図14に示されるように、揺動アーム72と計測部73とを支持する支持フレーム90は、略箱状に構成され、側壁50の外面部にボルト連結にて固定されて支持されている。計測部73は、支持フレーム90の外側面部90Aに支持されている。計測部73の回転軸76が支持フレーム90の外側面部90Aを挿通して側壁50の位置する側に突出している。揺動アーム72の回動支軸91が支持フレーム90の内側面部90Bを挿通する枢支ボス92によって回動可能に支持されている。回動支軸91は内側面部90Bを挿通して計測部73の位置する側に延びている。揺動アーム72は、側壁50よりも機体内側において、回動支軸91から下方に向けて延びる。揺動アーム72は、案内部32Cによって二番物が案内される案内経路内に位置する状態で備えられている。
図15に示されるように、回動支軸91における側壁50よりも外側箇所に、径方向外方に延びる連係部材93と、棒体を略L字状に曲げた接当部材94とが、回動支軸91と一体的に回動する状態で備えられている。また、計測部73の回転軸76に径方向外方に延びる操作アーム95が備えられている。操作アーム95の遊端側に側壁50側に向けて延びる係止ピン96が備えられている。係止ピン96は、連係部材93に形成された挿通孔97を通して挿通する状態で連係部材93に係合連係されている。挿通孔97は径方向に長い長孔である。連係部材93と支持フレーム90のバネ受け部98との間にコイルバネ99が張設され、コイルバネ99の付勢力によって揺動アーム72が下向きの待機姿勢(図15参照)に復帰付勢される。接当部材94が支持フレーム90の前側面部90Cに接当して揺動アーム72が待機姿勢で位置保持される。二番物の還元量が増加すると、揺動アーム72が二番物に押されて揺動する。最大揺動位置では、接当部材94が支持フレーム90の後側面部90Dに接当して規制される(図16参照)この構成によって、計測部73の回転軸76と、揺動アーム72の回動支軸91との軸心合わせを精度良く行う必要がなく、組み付けが容易になる。
回転羽根32Bによって二番物排出口32Aから放出された二番物が揺動アーム72に接触すると、その押圧力によって揺動アーム72がコイルバネ99の付勢力に抗して二番物排出口32Aから離間する方向に揺動する。それに連れて、操作アーム95、係止ピン96、及び、連係部材93を介して計測部73の回転軸76が回動操作され、揺動アーム72の揺動角度が計測される。そして、揺動角度の計測結果に基づいて二番物の還元量を求めることができる。
上記実施形態では、還元量検出部71が、揺動アーム72と、揺動アーム72の揺動角度を計測する計測部73と、を備える構成としたが、この構成に代えて、次のように構成するものでもよい。
この実施形態では、図17乃至図19に示されるように、案内部32Cによって規制された排出方向の先に還元量検出部71が設けられる。そして、還元量検出部71は、直方体状の感圧部100と、受圧部101、支持部102とを有する。感圧部100は公知の圧電体を用いて構成される。感圧部100はブラケット103を介して、脱穀ユニット41の非回転部分に固定される(図19参照)。受圧部101は、薄板状に設けられる。感圧部100が案内部32Cによって案内された二番物からの圧力を検出できるように、受圧部101は支持部102を介して感圧部100と接続される。感圧部100は二番物からの圧力に応じて更に歪み易くするために、支持部102が接続される端部と、ブラケット103に固定される端部との間において、当該2つの端部を結ぶ方向と、感圧部100及び受圧部101の積層方向との双方に直交する方向に沿って貫通する貫通穴104が設けられる。これにより、還元量検出部71が、二番物の還元量を検出することが可能となる。
上記実施形態では、脱穀装置1がコンバイン20に搭載される場合の例を挙げて説明したが、脱穀装置1はコンバイン20とは異なる作業車両に搭載しても良いし、脱穀装置1のみを搭載する作業車両に適用しても良い。
上記実施形態では、揺動選別装置24は、還元量に応じて、処理物として選別する選別量が変更されるとして説明したが、例えば還元量に応じて揺動選別装置24の選別量を変更せずに、還元量検出部71による還元量が所定量を超えた場合に報知するように構成することも可能である。
上記実施形態では、揺動選別装置24は、還元量が多い程、選別量が増大されるとして説明したが、揺動選別装置24は、還元量が増大する変化量に応じて、選別量を増大させるための変化量を変更しても良いし、還元量が設定値を超えた場合に、選別量の増大量を変更しても良い。
上記実施形態では、チャフリップ38Aは、還元量が多い程、開度が大きくされるとして説明したが、チャフリップ38Aは、還元量が増大する変化量に応じて、開度の変化量を変更しても良いし、還元量が設定値を超えた場合に、開度を変更しても良い。更には、還元量が予め設定された基準量よりも少ない場合には、チャフリップ38Aの開度を小さくするように構成しても良い。
上記実施形態では、唐箕25は、還元量が多い程、選別風の風量が増大されるとして説明したが、唐箕25は、還元量が増大する変化量に応じて、風量の変化量を変更しても良いし、還元量が設定値を超えた場合に、選別風の風量を変更しても良い。
上記実施形態では、選別ユニット42は層厚センサ80が備えられるとして説明したが、選別ユニット42は層厚センサ80を備えずに構成することも可能である。
また、層厚センサ80及び還元量検出部71の双方の検出結果に基づいて(双方の検出結果を考慮して)、チャフリップ38Aの開度を変更するように構成することも可能である。
上記実施形態では、扱胴22は、還元量が多い程、胴体60内の作物の送り量が低減されるとして説明したが、扱胴22は、還元量が増大する変化量に応じて、送り量の変化量を変更しても良いし、還元量が設定値を超えた場合に、送り量を変更しても良い。もちろん、還元量に拘らず、胴体60内の作物の送り量を変更しないように構成することも可能である。
上記実施形態では、還元量に応じて走行機体17の走行速度が低減されるとして説明したが、走行機体17は、還元量が増大する変化量に応じて、走行速度を低減する変化量を変更しても良いし、還元量が設定値を超えた場合に、走行速度を変更しても良い。
上記実施形態では、一番物回収部26及び二番物回収部27が、電気モータによって駆動される構成としたが、この構成に代えて、エンジンEからの動力が伝動ベルトを介して伝達される構成としてもよい。
図20乃至図23に、還元量検出部71が二番物の還元量を感度良く検出できる構成の一例が示される。図20乃至図23に示される実施形態では、機体右側の側壁50の右側面部に、上下に延びる二番物還元部32が支持される。二番物回収部27によって回収された二番物は、二番物還元部32によって上方に搬送され、揺動選別装置24よりも上側に還元される。
二番物還元部32の上端部に、二番物排出口32Aと、箱状に形成された案内部32Cと、が備えられている。二番物排出口32Aは機体右側の側壁50よりも機体右側(脱穀装置1に対して外側)に位置する。案内部32Cは、二番物排出口32Aの機体前方に位置する状態で、二番物排出口32Aと側壁50との間に介在する。案内部32Cは、二番物排出口32Aの機体前方に位置する。案内部32Cは、平面視において二番物排出口32Aよりも前側に位置する箇所ほど側壁50に近付くように形成されている。つまり、案内部32Cは、二番物排出口32Aの位置及び形状に対応して右側の側壁50よりも機体右側へ膨出するように形成されている。また、案内部32Cは、二番物排出口32Aよりも前側に位置する箇所ほど上下方向において幅広に形成されている。つまり、案内部32Cは、二番物排出口32Aよりも前側に位置する箇所ほど末広がり形状となるように形成されている。
回転羽根32Bは図22の平面視で反時計回りに回転する。回転羽根32Bによって二番物排出口32Aから放出された二番物は、案内部32Cの内周側面部に沿って、揺動選別装置24の移送方向上手側へ案内される。
図20乃至図23に示される案内部32Cの上端部に天板32tが形成され、この天板32tに開口部が形成されている。そして、この開口部を覆うように、膨出部110が天板32tに設けられている。膨出部110は天板32tよりも上側に膨出し、膨出部110の内部に膨出空間Hが形成されている。
膨出部110に揺動アーム72の回転軸76が支持される。揺動アーム72は、天板32tの開口部を貫通し、膨出空間Hと、案内部32Cにおける揺動選別装置24側の空間と、に亘って揺動可能である。膨出部110のうち、回転軸76の真上に位置する部分が最も高い位置となるように、膨出部110は形成されている。また、膨出部110の機体前部に傾斜面110aが形成され、傾斜面110aは機体前側ほど案内部32Cの上端部に近付く。なお、揺動アーム72を判り易く示すため、図22の傾斜面110aは、前下側の部分のみを示している。
図20乃至図23に示される案内部32Cの内周側面部は、揺動アーム72の揺動軌跡に沿って平坦状の面形状を有する。揺動アーム72は、揺動アーム72の揺動軸芯方向において案内部32Cの内周側面部と隣り合う状態で案内部32Cの内周側面部の側方に設けられている。案内部32Cは、揺動アーム72が二番物と接触して揺動した際に、揺動量の大小に拘わらず、揺動アーム72の側部と案内部32Cとの離間距離が同じになるように構成されている。つまり、揺動アーム72の揺動量に関係なく、案内部32Cと揺動アーム72との間の隙間の大きさは一定または略一定である。
二番物排出口32Aから放出された二番物の量が多くなって、揺動アーム72が大きく揺動すると、揺動アーム72と傾斜面110aの前下端部とが当接し、揺動アーム72の揺動が止まる。換言すると、揺動アーム72と傾斜面110aの前下端部とが当接することによって、揺動アーム72の揺動が最大に振り切れる。この状態で、揺動アーム72のうち遊端部以外の略全体が、案内部32Cよりも上側に位置し、膨出部110に収納される。このとき、案内部32Cの内周側面部に沿って放出された二番物は、揺動アーム72の遊端部のみに触れるため、二番物の多くが揺動アーム72と触れることなく、揺動選別装置24の移送方向上手側へ案内される。
膨出部110の機体左側部にステー111が備えられ、ステー111は膨出部110に支持されている。また、図示はしないが、ステー111は機体右側の側壁50に連結支持されている。ステー111に計測部73が支持される。ステー111に貫通孔が形成され、回転軸76は当該貫通孔を貫通する。回転軸76のうち、ステー111を挟んで揺動アーム72の位置する側と反対側の端部に操作アーム112が備えられ、操作アーム112は回転軸76の径方向外方に延びる。また、計測部73の回転軸に操作アーム113が備えられ、操作アーム113は径方向外方に延びている。操作アーム112と操作アーム113との一方に丸孔が形成され、操作アーム112と操作アーム113との他方に長孔が形成されている。長孔は当該他方の長手方向に沿って延びる。そして、当該一方の丸孔と当該他方の長孔とに一本のピン114が挿通されることによって、操作アーム112と操作アーム113とがピン連結される。これにより、回転軸76と一体回転する揺動アーム72と、計測部73と、が操作アーム112と操作アーム113とピン114とを介して連動連結される。
なお、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。