以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1に示す本実施形態に係る布線機1は、プロテクタP(図2等参照)への端子挿入、及び、電線布線を、垂直多関節ロボットを用いて自動化させたいわゆるロボット布線機である。布線機1は、プロテクタPへの端子挿入、及び、電線布線を自動化することで、ワイヤハーネスWH(図2等参照)の組立工程における作業負荷軽減や作業工数削減を実現し、生産性向上、原価低減等に貢献するものである。言い換えれば、この布線機1は、プロテクタPを含んで構成されるワイヤハーネスWHの製造装置の一部を構成するものである。以下では、まず、図2、図3、図4、図5を参照して、ワイヤハーネスWH、プロテクタP等の基本的な構成について説明し、その後、布線機1について詳細に説明する。
プロテクタPは、図2に示すように、自動車等の車両に搭載されるワイヤハーネスWHに組み込まれる。ワイヤハーネスWHは、図2に示すように、例えば、車両に搭載される各機器間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の電線Wを束にして集合部品とし、コネクタC等で複数の電線Wを各機器に接続するようにしたものである。ワイヤハーネスWHは、導電性を有する複数の電線Wと、電線Wに装着され当該電線Wを保護するプロテクタPとを備える。各電線Wは、一方の端末に端子Tが設けられ、他方の端末にコネクタCが設けられた端子付き電線である。ここでは、プロテクタPは、複数の電線Wが組み付けられる。ワイヤハーネスWHは、この他、さらに、グロメット、固定具、電気接続箱等を含んで構成されてもよい。
電線Wは、図3に示すように、複数の導電性の金属素線からなる導体部(芯線)W1の外側を絶縁性の被覆部W2によって被覆した絶縁電線によって構成される。導体部W1は、例えば、導電性を有する金属素線を複数束ねた芯線や当該複数の金属素線を撚り合わせた撚り芯線である。被覆部W2は、導体部W1の外周側を被覆する電線被覆である。電線Wは、導体部W1の端末において、被覆部W2が剥ぎ取られており、当該導体部W1の端末が被覆部W2の端末から露出している。電線Wは、当該露出している導体部W1の端末に端子TやコネクタCが接続される。
端子Tは、各電線Wの端末に対してそれぞれ1つずつ組み付けられる。端子Tは、第1の接続相手と接合されることで、当該接続相手との間に電気的な接続部位を形成し、各電線Wと第1の接続相手とを導通接続するものである。ここでは、端子Tは、導電性を有する材料によって形成され、電線Wの端末に圧着接続される圧着端子である。端子Tは、電線圧着部TAと、電気接続部TBとを含んで構成され、導電性を有する材料によって各部が一体で形成される。電線圧着部TAと電気接続部TBとは、電線Wの端末が延在する延在方向(軸線方向)D1に沿って並んで位置する。電線圧着部TAは、複数の圧着バレル片TAaによって、電線Wの導体部W1、被覆部W2に圧着される部分である。電気接続部TBは、接続相手と電気的に接続される部分であり、電線圧着部TAから延在方向D1に沿って突出して板状に形成される。電気接続部TBは、基部TBa、中間部TBb、先端部TBc、突起部TBd、TBe、TBfを含んで構成される。基部TBaは、電線圧着部TAから延在方向D1に沿って延在する平板状の部分である。中間部TBbは、基部TBaの電線圧着部TA側とは反対側の端部から延在方向D1と直交する第1交差方向D2に沿って延在する平板状の部分である。先端部TBcは、中間部TBbの基部TBa側とは反対側の端部から延在方向D1及び第1交差方向D2と交差する第2交差方向D3に沿って爪状に折れ曲がって形成された平板状の部分である。ここでは、第2交差方向D3は、延在方向D1、第1交差方向D2と垂直に交差する方向に対してやや傾斜しており、先端部TBcは、中間部TBbの法線に対してやや傾斜して形成される。突起部TBd、TBe、TBfは、端子TがプロテクタPに保持された状態で、プロテクタPに位置決め、係止される爪状の部分である。突起部TBdは、基部TBaと中間部TBbとが交わる角部から延在方向D1に沿って当該角部の外側(電線圧着部TA側とは反対側)に突出して形成される。突起部TBeと突起部TBfとは、中間部TBbの先端部TBc側の端部から延在方向D1に沿って互いに離間する側に突出して形成される。
コネクタCは、図2に示すように、複数の電線Wの端末に対して共通で1つが組み付けられる。コネクタCは、端子Tによる第1の接続相手とは異なる第2の接続相手と接合されることで、当該接続相手との間に電気的な接続部位を形成し、各電線Wと第2の接続相手とを導通接続するものである。コネクタCは、各電線Wの端末に設けられた端子、当該端子を保持するコネクタハウジング等を含んで構成される。
プロテクタPは、図2、図4、図5に示すように、電線Wの布線対象である。プロテクタPは、複数の電線Wが設けられて、当該電線Wを保護すると共に当該電線Wの配索経路を規制するものである。ここでは、プロテクタPは、絶縁性を有する樹脂材料によって略樋状に形成される。プロテクタPは、電線布線部PAと、電線保持爪部PBと、電線引出開口部PCと、端子保持部PDと、端子係止爪部PE、PFとを含んで構成され、絶縁性を有する材料によって各部が一体で形成される。
電線布線部PAは、電線Wが布線(配索)される部分であり、プロテクタPに対する電線Wの布線方向(配索方向)D4に沿って延在して形成される。言い換えれば、布線方向D4は、電線布線部PAに布線された電線Wが延在する方向に相当する。電線布線部PAは、布線方向D4と直交する断面形状が略コの字型となる略矩形樋状に形成され、布線方向D4に沿って延在する。電線布線部PAは、内部の空間部に電線Wが布線される。
電線保持爪部PBは、電線Wを保持する爪状の部分であり、電線Wを電線布線部PAに固定する電線固定用ロック部を構成する。電線保持爪部PBは、典型的には、電線布線部PAに布線された電線Wを保持する。電線保持爪部PBは、電線布線部PAの端面に爪状に形成される。電線保持爪部PBは、電線布線部PAにおいて電線Wが配索される空間部を挟んで向かい合うように一対が設けられ、当該一対が一組となって電線布線部PAに布線された電線Wを保持する。一対の電線保持爪部PBは、電線布線部PAにおいて布線方向D4に沿って間隔をあけて複数組設けられる。また、電線保持爪部PBは、電線布線部PAと後述する端子保持部PDとのつなぎ部分にもそれぞれ一対ずつ1組が設けられる。
電線引出開口部PCは、電線布線部PAに布線された複数の電線Wを束ねて電線布線部PAの外部に引き出すための開口である。電線引出開口部PCは、電線布線部PAにおいて、布線方向D4と直交する方向に開口して形成される。
端子保持部PDは、電線布線部PAに布線された電線Wの端末に設けられた端子Tを保持する部分である。端子保持部PDは、電線保持爪部PBから布線方向D4と直交する方向(電線引出開口部PCが開口する側)に突出するようにして形成される。端子保持部PDは、電線布線部PAにおいて布線方向D4に沿って間隔をあけて複数設けられる。より詳細には、端子保持部PDは、電線布線部PAに布線される複数の電線Wの各端子Tに対応してそれぞれ1つずつ設けられる。図2等では、端子保持部PDは、そのうちの3つが図示されており、より具体的には、布線方向D4に対して、電線引出開口部PCを挟んで一方側に2つ、他方側に残りの1つが図示されている。
なお、以下では、3つの端子保持部PDを区別して説明する場合には、便宜的に布線方向D4の一方側から他方側に向かって順にそれぞれ「端子保持部PDA」、「端子保持部PDB」、「端子保持部PDC」といい、3つの端子保持部PDを特に区別して説明する必要がない場合には単に「端子保持部PD」という場合がある。ここでは、端子保持部PDは、布線方向D4に対して、電線引出開口部PCを挟んで一方側に端子保持部PDA、端子保持部PDBが設けられ、他方側に端子保持部PDCが設けられるものとして図示している。
各端子保持部PDは、上述した電線Wの端末の延在方向D1が布線方向D4に沿い、かつ、各端子Tが布線方向D4に沿って同じ側を向くように各端子Tを保持する。より詳細には、各端子保持部PDは、布線方向D4に対して電線圧着部TAが電線布線部PAと端子保持部PDとのつなぎ部分側に位置し、電気接続部TBが布線方向D4に沿って電線圧着部TAと並んで位置し、かつ、上述した第1交差方向D2が布線方向D4と直交する位置関係で各端子Tを保持する。
ここでは、端子保持部PDA、PDBは、端子Tの電線圧着部TA、及び、当該電線圧着部TAに圧着された電線Wの端末が布線方向D4に沿って電線引出開口部PC側を向くような位置関係で端子Tを保持する。この構成により、端子保持部PDA、PDBに端子Tが保持された各電線Wは、電線布線部PAにおいて、そのまま布線方向D4に沿って電線引出開口部PC側に向かうように布線されることとなる。一方、端子保持部PDCは、端子Tの電線圧着部TA、及び、当該電線圧着部TAに圧着された電線Wの端末が布線方向D4に沿って電線引出開口部PC側とは反対側を向くような位置関係で端子Tを保持する。この構成により、端子保持部PDCに端子Tが保持された各電線Wは、電線布線部PAと端子保持部PDとのつなぎ部分において、布線方向D4に沿って略180°折り返された後、電線布線部PAにおいて、布線方向D4に沿って電線引出開口部PC側に向かうように布線されることとなる。
端子係止爪部PE、PFは、端子保持部PDに保持された端子Tを係止する爪状の部分であり、端子Tを端子保持部PDに固定する端子固定用ロック部を構成する。端子係止爪部PE、PFは、各端子保持部PDの端面にそれぞれ爪状に形成される。端子係止爪部PEと端子係止爪部PFとは、布線方向D4と直交する方向(第1交差方向D2に相当)に沿って間隔をあけて並んで位置する。端子係止爪部PEは、端子保持部PDの基端部側、すなわち、電線布線部PA側に位置し、端子保持部PDに保持された状態の端子Tの突起部TBdと当接し、当該突起部TBdを係止する。端子係止爪部PFは、端子保持部PDの先端部側、すなわち、電線布線部PA側とは反対側に位置し、端子保持部PDに保持された状態の端子Tの突起部TBeと当接し、当該突起部TBeを係止する。なお、端子保持部PDは、布線方向D4に対して端子係止爪部PE、PFとは反対側に、端子保持部PDに保持された状態の端子Tの突起部TBfを位置決めする位置決め凹部PGも形成されている。
そして、図1に示す布線機1は、上記のように構成されるプロテクタPに対して、端子保持部PDへの端子Tの挿入、及び、電線布線部PAへの電線Wの布線を自動で行うものである。この布線機1は、電線Wの両端に端子TとコネクタCが組み付けられた状態で、プロテクタPに対して組み付けを行う。電線W、端子T、コネクタCは、例えば、この布線機1による組み付け工程の前工程でサブアッシー化され、竿(治具)等にセットされた状態で払い出される。そして、電線W、端子T、コネクタCは、布線機1に対して竿ごと投入され、布線機1内で竿から取り出され、端子Tの位置決め、電線Wの布線作業に供される。プロテクタPは、例えば、パレットから自動供給され、自動で次のパレットに切り替えられる。ここでは、これら前工程等に関する構成については、適宜省略して図示している。
具体的には、布線機1は、端子位置決めユニット10と、ロボットハンドユニット20と、プロテクタ固定ユニット30と、布線サポートユニット40と、端子打ち込みユニット50と、電線打ち込みユニット60と、電線押さえユニット70と、コネクタホルダ80とを備え、各部がフレーム100に組み付けられることで構成される。端子位置決めユニット10は、ロボットハンドユニット20によって端子Tを適正な位置関係で把持できるように、端子Tの姿勢を適正な位置で固定するユニットである。ここでは、端子位置決めユニット10は、1つのプロテクタPに挿入される複数の端子Tに対応して複数設けられる。ロボットハンドユニット20は、プロテクタPに組み付ける電線Wや端子T等を把持して3次元方向(第1方向X、第2方向Y、第3方向Z)に自在に移動するユニットである。ロボットハンドユニット20は、アーム部21、及び、アーム部21の先端部に設けられたハンド部22によって構成される。プロテクタ固定ユニット30は、電線Wや端子Tが組み付けられるプロテクタPを支持し固定するユニットである。布線サポートユニット40は、プロテクタPへの電線Wの布線の際に、組み付け済み端子Tやその他の治具に電線Wが引っ掛からないように当該電線Wの一部を持ち上げるユニットである。端子打ち込みユニット50は、プロテクタPの端子保持部PDに端子Tを打ち込むユニットである。電線打ち込みユニット60は、プロテクタPの電線布線部PAに電線Wを打ち込むユニットである。電線押さえユニット70は、プロテクタPに布線済みの電線Wを次の電線Wの布線の邪魔にならない電線押さえ位置に押し下げるユニットである。コネクタホルダ80は、電線Wの端末に接続されたコネクタCを保持するユニットである。布線機1は、各部を駆動させる動力源を備え、制御装置等によって各部が統括的に制御される全自動型の装置である。布線機1は、制御装置によって種々の処理が実行されることで、各部が連携して動作する。
以下、図6~図84を参照して布線機1の各構成及びその動作について詳細に説明する。なお、以下では、プロテクタP、端子Tの詳細な構成については、適宜図2~図5を参照する場合がある。また、各図においては、図を分かり易くするため、布線機1の各部の説明に係る部分を中心に図示し、それ以外の部分を適宜省略して図示している。例えば、電線Wやロボットハンドユニット20等は、適宜、部分図として省略して図示している。また、以下の説明では、互いに直交する3つの方向を便宜的にそれぞれ「第1方向X」、「第2方向Y」、及び、「第3方向Z」という。ここでは、第1方向X、第2方向Yは、水平方向に沿い、第3方向Zは、鉛直方向に沿う。また、以下の説明では、第3方向Zの一方側を「上側」、第3方向Zの他方側を「下側」という場合がある。
[端子の姿勢矯正と固定動作]
まず、図6~図15を参照して、端子位置決めユニット10等による端子Tの姿勢矯正と固定について説明する。
端子位置決めユニット10は、上述したように、前工程から移載後の端子Tの姿勢を、種々の端子位置決め治具を用いて適正な位置に矯正、固定する端子位置決め部を構成するものである。端子位置決めユニット10は、布線対象であるプロテクタPに電線Wを布線する前、典型的には、端子チャック26(後述の図17等参照)によって端子Tを把持する前に、端子Tを直交する3方向(第1方向X、第2方向Y、第3方向Z)に対して位置決めし姿勢を矯正する。これにより、端子位置決めユニット10は、ロボットハンドユニット20(図1等参照)によって端子Tを適正な位置関係で把持させ端子Tの挿入を確実に行えるようにするものである。端子位置決めユニット10は、フレーム100に支持されている。
具体的には、端子位置決めユニット10は、図6~図15に示すように、プッシャ11と、ラフガイド12と、端子置場13と、端子位置決め壁14と、端子押さえ部材15と、端子倒し機構16と、電線チャック17とを含んで構成される。また、端子倒し機構16は、端子倒し部材16Aと、位置決めシリンダ16Bと、端子倒しカム部16Cとを含んで構成される。端子位置決めユニット10は、エアシリンダへのエアの供給やモータ駆動等によって各部が駆動する。端子置場13、端子位置決め壁14、端子押さえ部材15、端子倒し部材16Aは、端子Tを適正な位置に矯正、固定するための端子位置決め治具を構成するものである。
プッシャ11は、端子Tを端子位置決め治具(端子置場13、端子位置決め壁14、端子押さえ部材15、端子倒し部材16A)で囲われた端子位置決め空間部10S内へ押し下げるものである。プッシャ11は、第3方向Zに沿って往復移動可能な可動部材11Aを含んで構成される。可動部材11Aは、中心軸線が第3方向Zに沿う略円柱状に形成される。可動部材11Aは、先端部が先細り形状に形成され、当該先端部によって端子Tを端子位置決め空間部10S内へ押し下げる。プッシャ11は、例えば、電線Wの曲り癖等によって浮き上がった端子Tを、可動部材11Aが第3方向Zに沿って移動することによって端子位置決め空間部10S内へ押し下げる。
ラフガイド12は、ロボットハンドユニット20(図1等参照)によって前工程から移載してきた電線Wを端子位置決めユニット10内にセットする際に、電線Wの端子T側の端末が当該端子位置決めユニット10内に収まる程度に位置補正を行うものである。ラフガイド12は、板厚方向が第2方向Yに沿う板状に形成される。ラフガイド12は、第3方向Zに沿って延在し、当該第3方向Zの上側の端部に位置決め溝部12aが形成されている。位置決め溝部12aは、略V字形状に形成された溝部であり、電線Wを端子位置決めユニット10内にセットする際に電線Wの端子T側の端末が挿入され位置補正を行う。
端子置場13は、第3方向Z、及び、電線Wの端末を軸とした回転方向に対する端子Tの位置決め基準となるものである。端子置場13は、例えば、プッシャ11で押し下げた端子Tを吸着し第3方向Zの位置決めを行う。端子置場13は、第2方向Yに対してラフガイド12の一方側に隣接して設けられる。端子置場13は、第3方向Zに沿って延在する台座状(柱状)に形成され、第3方向Zの上側の端部に載置面13aが形成されている。載置面13aは、端子Tを載置する面であり、端子位置決め空間部10Sの底面を形成する。載置面13aは、端子Tを載置した状態で端子Tの先端部TBcが第3方向(鉛直方向)Zに沿う位置関係となるように、第1方向X等に対して傾斜して形成される(図10等参照)。また、端子置場13は、載置面13aの略中央に吸引孔13bが形成されている。吸引孔13bは、載置面13aに載置されている当該端子Tを真空吸引するための孔部であり、真空吸引装置につながっている。
端子位置決め壁14は、第1方向X、及び、第2方向Yに対する端子Tの位置決め基準となるものである。端子位置決め壁14は、第1方向Xに対して端子置場13の一方側に隣接して設けられる。端子位置決め壁14は、第3方向Zに沿って延在する略L字形状の壁状に形成される。端子位置決め壁14は、端子位置決め空間部10Sにおいて、第1方向Xの一方側の全面を囲う側面、及び、第2方向Yのラフガイド12側の一部を囲う側面を構成する。
端子押さえ部材15は、第2方向Yに沿って端子Tを端子位置決め壁14側に押して当該端子Tを第2方向Yに対して位置決めするものである。端子押さえ部材15は、第2方向Yに対して端子置場13と隣接して設けられる。ここでは、端子押さえ部材15は、端子置場13に対してラフガイド12側とは反対側に隣接する。言い換えれば、端子押さえ部材15は、第2方向Yに対して、端子置場13を挟んでラフガイド12と対向して位置する。端子押さえ部材15は、第2方向Yに沿って往復移動可能に設けられ、これにより、端子置場13に対して第2方向Yに沿って接近、離間可能である。端子押さえ部材15は、第2方向Yに沿って延在する柱状に形成され、第2方向Yの端子置場13側の端部に押さえ面15aが形成されている。押さえ面15aは、端子Tを押さえて位置決めする面である。押さえ面15aは、端子位置決め空間部10Sにおいて、第2方向Yのラフガイド12側とは反対側の一部を囲う側面を構成する。押さえ面15aは、凹部15bが形成される。凹部15bは、第3方向Zに沿って延在する。端子押さえ部材15は、端子置場13の載置面13aに載置された端子Tに接近した状態で、端子Tの突起部TBeが当該凹部15b内に位置することで、押さえ面15aが突起部TBeを避けて端子Tの端部に当接する(図15等参照)。また、端子押さえ部材15は、端子置場13の載置面13aに載置された端子Tに接近した状態で、押さえ面15aが端子置場13の側面に形成された凹部13cに入り込むように位置する。
端子倒し機構16は、上述したように、端子倒し部材16Aと、位置決めシリンダ16Bと、端子倒しカム部16Cとを含んで構成される。端子倒し部材16Aは、第1方向Xに沿って端子Tを端子位置決め壁14側に押して当該端子Tを第1方向Xに対して位置決めするものである。また、端子倒し部材16Aは、端子Tの位置決め完了後、プッシャ11が退避した状態で、端子Tの起き上がり(回転)を防止する部材としても機能する。端子倒し部材16Aは、第1方向Xに対して端子置場13と隣接して設けられる。ここでは、端子倒し部材16Aは、端子置場13に対して端子位置決め壁14側とは反対側に隣接する。言い換えれば、端子倒し部材16Aは、第1方向Xに対して、端子置場13を挟んで端子位置決め壁14と対向して位置する。端子倒し部材16Aは、第1方向Xに沿って往復移動可能に設けられ、これにより、端子置場13に対して第1方向Xに沿って接近、離間可能である。端子倒し部材16Aは、第3方向Zに沿って延在する柱状に形成され、第3方向Zの上側の端部に押さえ爪部16aが形成されている。押さえ爪部16aは、端子Tを押さえて位置決めする爪状の部分であり、端子倒し部材16Aの第3方向Zの上側の先端部から端子位置決め空間部10S側に突出して形成される。位置決めシリンダ16Bは、端子Tの位置決め動作を行う際に端子倒し部材16Aを動作させるシリンダである。端子倒しカム部16Cは、位置決めシリンダ16Bの第2方向Yに沿った直動運動を、カム孔形状16cの作用によって、端子倒し部材16Aの第1方向Xに沿った直動運動に変換する運動方向変換機構である。端子倒し機構16は、位置決めシリンダ16Bと端子倒しカム部16Cとが協動して端子倒し部材16Aを第1方向Xに沿って往復移動させ、これにより、端子置場13に対して接近、離間させることができる。
電線チャック17は、端子置場13の載置面13aに端子Tが載置された電線Wを把持(保持)するものである。電線チャック17は、例えば、エアシリンダ等にエアを供給することによって一対の把持爪17aが開閉することで電線Wを挟持し当該電線Wを把持する動作を行う。電線チャック17は、第2方向Yに対してラフガイド12と隣接して設けられる。ここでは、電線チャック17は、ラフガイド12に対して端子置場13側とは反対側に隣接する。言い換えれば、電線チャック17は、第2方向Yに対して、ラフガイド12を挟んで端子置場13と対向して位置する。ここでは、電線チャック17は、第2方向Yに沿って並んで2つ設けられる。2つの電線チャック17は、端子置場13の載置面13aに端子Tが載置された状態の電線Wを第2方向Yに沿って把持する。
次に、上記のように構成される端子位置決めユニット10等による端子Tの姿勢矯正と固定動作について説明する。
布線機1は、図6に示すように、まず、ロボットハンドユニット20(図1、図16等参照)等によって前工程から端子T付きの電線Wを端子位置決めユニット10に移載してくる。なお、このロボットハンドユニット20については、後述の図16~図20で詳細に説明する。
次に、布線機1は、図7に示すように、移載してきた電線Wを第3方向Zに沿って下側に下げて電線Wの端子T側の端末をラフガイド12の位置決め溝部12a内に挿入することでおおまかに位置補正しながら、電線Wを端子位置決めユニット10内にセットする。布線機1は、端子Tが端子置場13の載置面13aの第3方向Zの上側に位置し、電線Wが位置決め溝部12aの内側を通って各電線チャック17の一対の把持爪17aの間に位置する位置関係で当該端子T付きの電線Wをセットする。この状態では、電線Wは、第2方向Yに沿って延在する。このとき、各電線チャック17の一対の把持爪17aは、開いた状態(解放状態)となっている。
次に、布線機1は、図8に示すように、プッシャ11の可動部材11Aを第3方向Zに沿って下降し、当該可動部材11Aによって端子Tを端子位置決め空間部10S内へ向けて載置面13a側に押し下げる。このとき、可動部材11Aは、端子Tの略中央(基部TBaと中間部TBbとが交わる部分)に先端部が当接する。可動部材11Aは、端子Tの中間部TBbが第1方向Xに沿い、かつ、先端部TBcが端子位置決め壁14側に位置する位置関係で、当該端子Tを載置面13a側に押し下げる。なおこのとき、プッシャ11は、可動部材11Aの先端部と載置面13aとの間に微小な隙間(例えば、0.1mm程度の隙間)をあけておくことで、可動部材11Aによって端子Tを載置面13aに強く押し付けないようにしている。その後、布線機1は、真空吸引装置によって吸引孔13b(図7等参照)を介して端子Tを真空吸引することで、載置面13aに当該端子Tを吸着させ第3方向Zに対して位置決めする。
この状態で、端子位置決めユニット10(例えば、端子位置決めユニット10の各部を制御する布線機1の制御装置)は、圧力計等によって端子Tの吸引時に吸引孔13b等に発生する負圧を監視する。これにより、端子位置決めユニット10は、端子Tが端子位置決め空間部10Sにおいて載置面13a上に適正にセットされていること、言い換えれば、端子Tの固定状態の良否を確認することができる。例えば、端子位置決めユニット10は、圧力計によって計測される端子Tの吸引時の負圧の大きさが予め設定された圧力管理閾値以上である場合には端子Tの固定状態が適正であるものと判定することができる。一方、端子位置決めユニット10は、圧力計によって計測される端子Tの吸引時の負圧の大きさが予め設定された圧力管理閾値未満である場合には端子Tの固定状態が不適正であるものと判定することができ、例えば、例えば、作業者等に報知する。端子Tは、端子位置決め空間部10Sにおいて載置面13a上に適正にセットされた状態で、基部TBa、中間部TBbが載置面13aに沿って傾斜し、先端部TBcが第3方向(鉛直方向)Zに沿う姿勢となっている。
次に、布線機1は、図9に示すように、端子倒し機構16の位置決めシリンダ16Bを作動し、端子倒しカム部16Cを動作させる。これにより、布線機1は、端子倒しカム部16Cのカム孔形状16cの作用によって端子倒し部材16Aを第1方向Xに沿って移動させ、端子置場13、端子位置決め壁14側に接近させ、端子倒し部材16Aによる端子Tの第1方向Xに対する位置決めを開始する。そして、布線機1は、端子倒し部材16Aが第1方向Xに沿って端子Tを端子位置決め壁14側に押して、端子位置決め壁14と端子倒し部材16Aとの間に当該端子Tを挟み込むようにして第1方向Xに対して位置決めする。またこのとき、布線機1は、図10に示すように、押さえ爪部16aの第3方向Zの下側と端子置場13の載置面13aとの間に、端子Tの突起部TBdの近傍を挟み込むようにすることで端子Tの起き上がり(回転)を押さえる。
また、布線機1は、図11に示すように、上述のような位置決めシリンダ16Bの作動(ストローク)の途中から、端子押さえ部材15の動作も開始する。すなわち、布線機1は、端子押さえ部材15を第2方向Yに沿って移動させ、端子置場13、端子位置決め壁14側に接近させ、端子押さえ部材15による端子Tの第2方向Yに対する位置決めを開始する。このとき、布線機1は、図12に示すように、端子Tの突起部TBeが端子押さえ部材15の凹部15b内に位置し、端子押さえ部材15の押さえ面15aが突起部TBeを避けて端子置場13の凹部13cに入り込むように進出しながら端子Tの端部に当接する。そして、布線機1は、端子押さえ部材15が第2方向Yに沿って端子Tを端子位置決め壁14側に押して、端子位置決め壁14と端子押さえ部材15との間に当該端子Tを挟み込むようにして第2方向Yに対して位置決めする。
次に、布線機1は、図13に示すように、各電線チャック17の一対の把持爪17aを閉じて電線Wを把持する。
次に、布線機1は、図14に示すように、プッシャ11の可動部材11Aを第3方向Zに沿って上昇する。
この結果、布線機1は、図15に示すように、端子位置決めユニット10による端子Tの3方向(第1方向X、第2方向Y、第3方向Z)に対する位置決めが完了し、端子Tの姿勢矯正と固定が完了する。なお、布線機1は、この状態において、再度、圧力計等によって端子Tの吸引時に吸引孔13b等に発生する負圧を監視することで、端子Tの固定状態の良否を確認するようにしてもよい。また、布線機1は、上記の動作中、常に端子Tの固定状態の良否の確認を継続するようにしてもよい。
[電線の移動と布線サポートへの引っ掛け動作]
次に、図16~図28を参照して、ロボットハンドユニット20、プロテクタ固定ユニット30、布線サポートユニット40等による電線Wの移動と布線サポート41への引っ掛けについて説明する。
ロボットハンドユニット20は、上述したように、電線W、端子T等を把持して3次元方向(第1方向X、第2方向Y、第3方向Z)に自在に移動するものであり、アーム部21(図1参照)、及び、ハンド部22によって構成される。アーム部21は、公知の垂直多関節ロボットによって構成されるものであり、3次元方向(第1方向X、第2方向Y、第3方向Z)に自在に移動可能に構成される。アーム部21は、例えば、6軸の垂直多関節ロボットを好適に用いることができるが、これに限らず、より多軸の垂直多関節ロボットを用いてもよい。ハンド部22は、アーム部21の先端部に設けられ、各種チャック類を含んで構成される。ロボットハンドユニット20は、フレーム100に支持されている。
具体的には、ハンド部22は、図16~図20に示すように、電線把持部としての電線チャック23と、電線ガイド保持部としての電線ガイドチャック24と、電線ガイド25と、端子把持部としての端子チャック26とを含んで構成される。
電線チャック23は、電線Wを把持(保持)するものであり、例えば、電線Wのたるみ解消時に電線Wの引っ張りを行うことができる。電線チャック23は、例えば、エアシリンダ等にエアを供給することによって一対の把持爪23aが開閉することで電線Wを挟持し当該電線Wを把持する動作を行う。
電線ガイドチャック24は、電線Wをガイドするものであり、例えば、電線Wの布線動作時に電線チャック23が解放された状態で電線Wをガイドすることができる。電線ガイドチャック24は、例えば、エアシリンダ等にエアを供給することによって一対のガイド爪24aが開閉することで、各ガイド爪24aに形成されたガイド孔24b内に電線Wを保持する動作を行う(図19、図20等参照)。電線ガイドチャック24は、ガイド爪24aが閉じた状態において、ガイド孔24b内に電線Wが挿通された状態とされることで当該ガイド孔24b内に電線Wを保持した状態とすることができる。そして、電線ガイドチャック24は、ガイド爪24a内に電線Wが挿通され当該電線Wを保持した状態で、電線Wの延在方向に沿って当該電線Wと相対移動することで当該電線Wをガイドすることができる。
電線ガイド25は、プロテクタP、組み付け済み端子T、各種治具等に電線Wが引っ掛からないように当該電線Wを持ち上げるものである。電線ガイド25は、例えは、電線Wの布線動作時にハンド部22が回転する際等に、電線チャック23等への電線Wの絡まりを防止することができる。電線ガイド25は、棒状に形成され電線Wを引っ掛けて持ち上げる持ち上げ部25aを含んで構成される。電線ガイド25は、持ち上げ部25aの一端から支持部25bが延在して形成される。電線ガイド25は、支持部25bを介して持ち上げ部25aを電線チャック23に近接させた電線持ち上げ位置に進出させたり、当該持ち上げ部25aを電線持ち上げ位置から退避させ電線チャック23から離間させたりすることができる。電線ガイド25は、例えば、電線チャック23によって電線Wの把持を解放し、かつ、電線ガイドチャック24によって電線Wをガイドする状態で、当該電線Wの一部を持ち上げる。
端子チャック26は、端子Tを把持(保持)するものである。端子チャック26は、例えば、エアシリンダ等にエアを供給することによって一対の把持爪26aが開閉することで、端子Tを挟持し当該端子Tを把持する動作を行う。端子チャック26は、例えば、端子位置決めユニット10にセットされた状態の端子Tの先端部TBcを挟持し当該端子Tを把持する。
ハンド部22は、アーム部21(図1参照)の先端部に設けられたフレーム部27を含んで構成される。ハンド部22は、当該フレーム部27に、電線チャック23、電線ガイドチャック24、電線ガイド25、端子チャック26が組み付けられ支持されており、この状態で各部が上記のように動作する。電線チャック23と電線ガイドチャック24とは、保持する電線Wの延在方向に沿って隣接して位置する。電線ガイド25は、電線チャック23に対して電線ガイドチャック24側とは反対側に隣接して位置する。言い換えれば、電線ガイド25は、電線チャック23を挟んで電線ガイドチャック24と対向して位置する。端子チャック26は、電線ガイドチャック24に対して電線チャック23側とは反対側に間隔をあけて位置する。つまり、ハンド部22は、保持する電線Wの延在方向に沿って一方側から他方側に向けて、電線ガイド25、電線チャック23、電線ガイドチャック24、端子チャック26の順で並んで位置する。そして、ハンド部22は、電線ガイド25、電線チャック23、電線ガイドチャック24が相互に隣接して位置し、端子チャック26が電線ガイドチャック24とは間隔をあけて位置する。
なお、このハンド部22は、上記の構成に加えて、さらに、後述する図82、図83、図84等に図示するように、プロテクタチャック28も含んで構成される(他の図ではプロテクタチャック28の図示を省略している。)。プロテクタチャック28は、プロテクタPを把持(保持)するものである。プロテクタチャック28は、例えば、エアシリンダ等にエアを供給することによって一対の把持爪28aが開閉することでプロテクタPを挟持し当該プロテクタPを把持する動作を行う。ここでは、プロテクタチャック28は、フレーム部27において、電線チャック23、電線ガイドチャック24、電線ガイド25、端子チャック26が設けられた面とは異なる面に組み付けられ支持されている。
図21に戻って説明を続ける。プロテクタ固定ユニット30は、上述したように、プロテクタPを支持し固定するものである。プロテクタ固定ユニット30は、フレーム100に支持されている。ここでは、プロテクタ固定ユニット30は、第1方向Xに沿って延在する複数の部材を組み合わせて構成され、第3方向Zの上面にプロテクタPを載置し支持する。プロテクタ固定ユニット30は、プロテクタPに対する電線Wの布線方向D4を第1方向Xと一致させて当該プロテクタPを支持する。プロテクタ固定ユニット30は、プロテクタPへの端子Tの挿入動作や電線Wの布線動作の際にプロテクタPが動かないように当該プロテクタPを確実に固定して支持する。プロテクタ固定ユニット30は、第1方向Xの略中央部に開口部31が形成されている。開口部31は、第2方向Yに沿って一方側に向けて開口して形成される。開口部31は、後述するようにプロテクタPから引き出された電線Wを電線押さえ位置まで押し下げた際に、当該電線Wが通る空間部として機能する(後述の図64等参照)。
布線サポートユニット40は、上述したように、プロテクタPへの電線Wの布線の際に、組み付け済み端子Tやその他の治具に電線Wが引っ掛からないように当該電線Wの一部を持ち上げる布線サポート部を構成するものである。布線サポートユニット40は、フレーム100に支持されている。
具体的には、布線サポートユニット40は、図21に示すように、布線サポート41と、支持駆動機構42とを含んで構成される。布線サポート41は、電線Wの一部を持ち上げる部材である。布線サポート41は、板厚方向が第2方向Yに沿う略矩形板状に形成され、第1方向Xに沿って棒状に延在する。布線サポート41は、凹部41aが形成されている。凹部41aは、布線サポート41によって持ち上げた電線Wを引っ掛ける部分であり、例えば、直線部分の電線Wの布線において布線サポート41から電線Wが外れないようにする。凹部41aは、布線サポート41の第3方向Zの上側の端部で、かつ、第1方向Xの一方側の端部に略矩形状の切り欠き部として形成されている。凹部41aは、布線サポート41を第2方向Yに沿って貫通し、第3方向Zの上側に向かって開口する。布線サポート41は、支持駆動機構42を介してフレーム100に支持されている。布線サポート41は、プロテクタ固定ユニット30の第2方向Yの側面(言い換えれば、第1方向Xに沿う側面)であって開口部31が形成された側面に沿って当該プロテクタ固定ユニット30と並行するような位置関係で支持される。支持駆動機構42は、布線サポート41をフレーム100に支持すると共に、布線サポート41を布線サポート位置に進出させたり、当該布線サポート41を布線サポート位置から退避させたりすることができる。ここで、布線サポート41の布線サポート位置とは、第3方向Zに対して、布線サポート41がプロテクタ固定ユニット30上のプロテクタPより上側に突出し、当該電線Wの一部を支持し持ち上げる位置である(後述の図27等参照)。布線サポート41は、布線サポート位置にある状態では、凹部41aがプロテクタ固定ユニット30の開口部31の近傍に位置する。
次に、上記のように構成されるロボットハンドユニット20、プロテクタ固定ユニット30、布線サポートユニット40等による電線Wの移動と布線サポート41への引っ掛け動作について説明する。
布線機1は、図16に示すように、まず、ロボットハンドユニット20のハンド部22を端子位置決めユニット10上に移動する。この状態では、布線サポートユニット40は、布線サポート41が布線サポート位置から退避した待機位置に位置している(図21等参照)。
次に、布線機1は、図22に示すように、ロボットハンドユニット20のハンド部22を下降し、端子位置決めユニット10にセットされている電線W、及び、端子Tのつかみ位置に移動する。
次に、布線機1は、図23に示すように、電線チャック23の一対の把持爪23aを閉じて電線Wを把持し、端子チャック26の一対の把持爪26aを閉じて端子Tの先端部TBcを把持する。このとき、布線機1は、同時に、電線ガイドチャック24の一対のガイド爪24aも閉じてガイド孔24bを介して電線Wを保持する。この状態では、電線ガイド25は、持ち上げ部25aが電線持ち上げ位置から退避した待機位置に位置している。
次に、布線機1は、図24に示すように、端子位置決めユニット10による端子Tの位置決め、及び、電線Wの把持を解放する。すなわち、端子位置決めユニット10は、端子押さえ部材15、端子倒し部材16Aを端子置場13から離間する側に後退させ、端子Tの位置決めを解放し、各電線チャック17の一対の把持爪17aを開き、電線Wの把持を解放する。
次に、布線機1は、図25に示すように、ロボットハンドユニット20のハンド部22を電線W、端子Tを把持した状態で第3方向Zの上側に上昇する。
次に、布線機1は、図26に示すように、電線ガイド25の持ち上げ部25aを電線持ち上げ位置に進出させ、電線Wが垂れ下がらないように当該持ち上げ部25aに電線Wを引っ掛けて持ち上げる。
次に、布線機1は、図27に示すように、布線サポートユニット40の布線サポート41を布線サポート位置に進出させた後、ハンド部22を、電線W、端子Tを把持した状態でプロテクタ固定ユニット30上に移動する。このとき、布線機1は、ハンド部22を所定の端子挿入位置に移動する途中、布線サポートユニット40の布線サポート41上に電線Wを載せるように、当該ハンド部22を大きく迂回させながら迂回経路を通す。この結果、布線機1は、プロテクタPへの電線Wの布線の際に、組み付け済み端子Tやその他の治具に電線Wが引っ掛からないように当該電線Wの一部を布線サポート41によって持ち上げておくことができる。これにより、布線機1は、布線中の電線Wが他の部位に引っ掛からないようにすることができる。この場合、布線サポートユニット40は、布線サポート41によって持ち上げた電線Wを凹部41aによって引っ掛けておくこともできるので、例えば、後述するように電線Wを直線部分に布線する際に、布線サポート41から電線Wが外れないようにすることができる。この結果、布線機1は、より確実に布線中の電線Wが他の部位に引っ掛からないようにすることができる。
この結果、布線機1は、図28に示すように、所定の端子挿入位置では、電線ガイド25、及び、布線サポート41によって、プロテクタP、組み付け済み端子T、その他の治具等に電線Wが引っ掛からないようにすることができる。また、布線機1は、ハンド部22が上記のように大回りする動作を行うことで、例えば、ハンド部22が直線動作で端子挿入位置に移動する場合と比較して電線長さに余裕ができ、アーム部21(図1参照)やハンド部22が回転しても電線Wが絡まないようにすることもできる。布線機1は、1つのプロテクタPに対して複数の電線Wを移動する際にそれぞれ上記と略同様の動作を行う。
[プロテクタに対する端子の斜め挿入動作]
次に、図29~図40を参照して、ロボットハンドユニット20、端子打ち込みユニット50等によるプロテクタPに対する端子Tの斜め挿入について説明する。
端子打ち込みユニット50は、上述したように、プロテクタPの端子保持部PDに端子Tを打ち込むものである。端子打ち込みユニット50は、一部の動作においてはプロテクタPの電線保持爪部PBに電線Wを打ち込む動作を行うこともある。端子打ち込みユニット50は、フレーム100に支持されている。
具体的には、端子打ち込みユニット50は、図29~図40に示すように、端子打ち込みパンチ51を含んで構成される。端子打ち込みパンチ51は、プロテクタPの端子保持部PDに端子Tを打ち込む部材である。ここでは、端子打ち込みパンチ51は、電線布線部PAと端子保持部PDとのつなぎ部分に設けられた電線保持爪部PBに対して電線Wの端末を打ち込むことで、端子保持部PDに端子Tを打ち込むものとして機能する。端子打ち込みパンチ51は、第2方向Yに沿って延在する柱状に形成され、第2方向Yの先端部に打ち込み突起部51aが形成されている。打ち込み突起部51aは、端子Tや電線WをプロテクタPに打ち込む爪状の部分であり、端子打ち込みパンチ51の第2方向Yの先端部から第3方向Zの下側に突出して形成される。端子打ち込みパンチ51は、種々の支持駆動機構を介してフレーム100に支持されている。端子打ち込みパンチ51は、プロテクタ固定ユニット30において開口部31が形成された側面側に、当該プロテクタ固定ユニット30と交差するような位置関係で支持される。端子打ち込みユニット50は、支持駆動機構等を介して端子打ち込みパンチ51を第2方向Yに沿って往復移動可能に設けられ、当該端子打ち込みパンチ51がプロテクタ固定ユニット30上のプロテクタPに対して第2方向Yに沿って接近、離間可能である。これにより、端子打ち込みユニット50は、端子打ち込みパンチ51の打ち込み突起部51aを打ち込み位置に進出させたり、当該端子打ち込みパンチ51を打ち込み位置から退避させプロテクタPから離間させたりすることができる。ここで、打ち込み突起部51aの打ち込み位置とは、打ち込み突起部51aが第2方向Yに沿ってプロテクタ固定ユニット30上のプロテクタPの上側に突出し、端子Tや電線WをプロテクタPに打ち込む位置である(後述の図39、図40等参照)。
次に、上記のように構成されるロボットハンドユニット20、端子打ち込みユニット50等によるプロテクタPに対する端子Tの斜め挿入動作について説明する。ここでの端子Tの斜め挿入動作は、上述した[電線の移動と布線サポートへの引っ掛け動作]に続く動作に相当する。
布線機1は、図29に示すように、まず、電線W、端子Tを端子位置決めユニット10から受け取り、電線W、端子Tを把持した状態のハンド部22を、プロテクタ固定ユニット30上のプロテクタPにおける端子保持部PD上に移動する。ここでのロボットハンドユニット20のハンド部22の動作は、上述した[電線の移動と布線サポートへの引っ掛け動作]で説明した動作に相当する。ここでは、布線機1は、一例として、端子保持部PDAに端子Tを挿入するため、端子保持部PDAの第3方向Zの上側の端子挿入開始位置にハンド部22を移動する。この状態では、端子打ち込みユニット50は、端子打ち込みパンチ51が打ち込み位置から退避した待機位置に位置している。
次に、布線機1は、図30に示すように、ハンド部22を端子保持部PDAに向けて下降する。
次に、布線機1は、図31に示すように、ハンド部22によって端子TをプロテクタPの端子保持部PDAに対して傾斜させて挿入する。より詳細には、布線機1は、電線Wが第1方向Xに沿い、端子Tの電気接続部TBが端子保持部PDAの端子係止爪部PE、PF側向く位置関係で、かつ、電気接続部TBが電線圧着部TAより第3方向Zの下側に位置するように当該端子TをプロテクタPに対して傾斜させる。そして、布線機1は、ハンド部22によって、端子Tをこのように傾斜させた姿勢で端子保持部PDAに接近させる。
そして、布線機1は、図32、図33に示すように、端子Tを端子保持部PDAに対して傾斜させた姿勢のまま、ハンド部22によって、突起部TBd、TBeを端子係止爪部PE、PFの下側にもぐりこませるようにして、端子Tの電気接続部TB側を端子保持部PDAに挿入する。つまり、布線機1は、ハンド部22によって、端子Tの電気接続部TB側を斜めに傾けながら端子係止爪部PE、PFの下部位置まで挿入する。これにより、布線機1は、端子保持部PDAへの端子Tの挿入時に端子Tが端子係止爪部PE、PF等と干渉することを回避することができる。
また、布線機1は、図34に示すように、端子チャック26の一対の把持爪26aを開き、端子Tの把持を解放する。これにより、布線機1は、端子TがプロテクタPと接触した際に端子Tに過大な応力が作用することを防止し、例えば、端子Tの変形やプロテクタPの傷付き等が発生することを防止することができる。
そして、布線機1は、図35に示すように、端子チャック26を第3方向Zの上側に上昇させ、プロテクタP側から退避させる。
次に、布線機1は、図36、図37に示すように、ハンド部22の角度を変更し、端子Tの電線圧着部TA側を第3方向Zの下側に降ろしていき端子Tの姿勢を略水平に戻しつつ、電線Wを電線布線部PAと端子保持部PDAとのつなぎ部分の電線保持爪部PBの位置にあわせていく。
次に、布線機1は、図38に示すように、電線チャック23の一対の把持爪23aを開き、電線Wの把持を解放する。
次に、布線機1は、図39に示すように、端子打ち込みユニット50の端子打ち込みパンチ51の打ち込み突起部51aを第2方向Yに沿って打ち込み位置に進出させる。ここでは、布線機1は、打ち込み突起部51aを、電線布線部PAと端子保持部PDAとのつなぎ部分の電線保持爪部PBの直上の打ち込み位置まで移動する。
次に、布線機1は、図40に示すように、端子打ち込みパンチ51の打ち込み突起部51aによって、電線布線部PAと端子保持部PDAとのつなぎ部分の電線保持爪部PBに電線Wを打ち込み、端子Tを端子保持部PDAに固定する。
この結果、布線機1は、端子Tと端子係止爪部PE、PF等との干渉を回避つつ、適正に端子Tを端子保持部PDAに組み付けることができる。布線機1は、1つのプロテクタPに対して複数の端子Tを上記と略同様の動作で端子保持部PDに組み付ける。
[電線布線時のガイド、チャックの動作]
次に、図41~図60を参照して、ロボットハンドユニット20、布線サポートユニット40、端子打ち込みユニット50、電線打ち込みユニット60等によるプロテクタPに対する電線Wの布線について説明する。
電線打ち込みユニット60は、上述したように、プロテクタPの電線布線部PAに電線Wを打ち込むものである。電線打ち込みユニット60は、フレーム100に支持されている。
具体的には、電線打ち込みユニット60は、図41~図60に示すように、電線打ち込みパンチ61を含んで構成される。電線打ち込みパンチ61は、プロテクタPの電線布線部PAに電線Wを打ち込む部材である。電線打ち込みパンチ61は、第2方向Yに沿って延在する柱状に形成され、第2方向Yの先端部に打ち込み突起部61aが形成されている。打ち込み突起部61aは、電線WをプロテクタPに打ち込む爪状の部分であり、電線打ち込みパンチ61の第2方向Yの先端部から第3方向Zの下側に突出して形成される。電線打ち込みパンチ61は、種々の支持駆動機構を介してフレーム100に支持されている。電線打ち込みパンチ61は、プロテクタ固定ユニット30において開口部31が形成された側面とは反対側の側面側に、当該プロテクタ固定ユニット30と交差するような位置関係で支持される。言い換えれば、電線打ち込みパンチ61は、第2方向Yに対して、プロテクタ固定ユニット30を挟んで端子打ち込みパンチ51とは反対側に位置する。電線打ち込みユニット60は、支持駆動機構等を介して電線打ち込みパンチ61を第2方向Yに沿って往復移動可能に設けられ、当該電線打ち込みパンチ61がプロテクタ固定ユニット30上のプロテクタPに対して第2方向Yに沿って接近、離間可能である。これにより、電線打ち込みユニット60は、電線打ち込みパンチ61の打ち込み突起部61aを打ち込み位置に進出させたり、当該電線打ち込みパンチ61を打ち込み位置から退避させプロテクタPから離間させたりすることができる。ここで、打ち込み突起部61aの打ち込み位置とは、打ち込み突起部61aが第2方向Yに沿ってプロテクタ固定ユニット30上のプロテクタPの上側に突出し、電線WをプロテクタPに打ち込む位置である(後述の図46、図47等参照)。
次に、上記のように構成されるロボットハンドユニット20、布線サポートユニット40、端子打ち込みユニット50、電線打ち込みユニット60等によるプロテクタPに対する電線Wの布線動作について説明する。ここでの電線Wの布線動作は、各電線Wごとに上述した[プロテクタに対する端子の斜め挿入動作]に続く動作に相当する。
布線機1は、図41、図42に示すように、端子Tが端子保持部PDに挿入された状態では、電線ガイド25の持ち上げ部25aが電線持ち上げ位置に位置し、布線サポート41が布線サポート位置に位置した状態となっている。これにより、布線機1は、電線Wが垂れ下がらないように持ち上げられた状態となり、プロテクタP、組み付け済み端子T、その他の治具等に電線Wが引っ掛からないようになっている。この状態では、電線チャック23は、一対の把持爪23aが開いて電線Wの把持を解放した状態となっており、電線ガイドチャック24は、一対のガイド爪24aが閉じてガイド孔24bを介して電線Wを保持し、電線Wの布線をガイドする状態となっている。
そして、布線機1は、図43に示すように、上述の通り、端子打ち込みパンチ51の打ち込み突起部51aによって、電線布線部PAと端子保持部PDAとのつなぎ部分の電線保持爪部PBに電線Wを打ち込み、端子Tを端子保持部PDAに固定する。その後、布線機1は、電線布線部PAと端子保持部PDAとのつなぎ部分において、電線Wをカーブさせて布線する際に、電線保持爪部PBに打ち込んだ電線Wが当該電線保持爪部PBから外れないようにするため、電線Wを押さえたままの状態で当該打ち込み突起部51aを待機させておく。
次に、布線機1は、図44に示すように、ハンド部22を第1方向Xに沿って移動させ、電線布線部PAと端子保持部PDAとのつなぎ部分において、当該つなぎ部分の形状にあわせて電線Wをカーブさせながら布線する。この場合、ハンド部22は、電線チャック23によって電線Wの把持を解放した状態で、電線ガイドチャック24によって電線Wをガイドしながら、つなぎ部分の形状に応じてカーブした軌道で移動し、当該カーブに沿った癖付けを行いながら直線部分まで電線Wを布線する。
次に、布線機1は、図45、図46に示すように、電線打ち込みユニット60の電線打ち込みパンチ61の打ち込み突起部61aを第2方向Yに沿って打ち込み位置に進出させる。ここでは、布線機1は、打ち込み突起部61aを、電線布線部PAの直線部分の電線保持爪部PBの直上の打ち込み位置まで移動する。
次に、布線機1は、図47に示すように、電線打ち込みパンチ61の打ち込み突起部61aによって、電線布線部PAの直線部分の電線保持爪部PBに電線Wを打ち込み、当該直線部分において電線Wを電線布線部PAに固定する。
次に、布線機1は、図48に示すように、端子打ち込みパンチ51、及び、電線打ち込みパンチ61をそれぞれ第2方向Yに沿って打ち込み位置から退避させ、プロテクタPから離間させる。
次に、布線機1は、図49、図50に示すように、ハンド部22を第1方向Xに沿って移動させ、第1方向Xに沿って電線布線部PAの直線部分に電線Wを布線する。この状態では、電線チャック23は、一対の把持爪23aが開いて電線Wの把持を解放した状態となっており、電線ガイドチャック24は、一対のガイド爪24aが閉じてガイド孔24bを介して電線Wを保持し、電線Wの布線をガイドする状態となっている。ハンド部22は、電線チャック23によって電線Wの把持を解放した状態で、電線ガイドチャック24によって電線Wをガイドしながら、電線布線部PAの直線部分に電線Wを布線する。このとき、布線機1は、図50に示すように、布線サポート41の凹部41aに当該布線サポート41によって持ち上げた電線Wが引っ掛かることで、直線部分の電線Wの布線において布線サポート41から電線Wが外れないようにすることができる。
次に、布線機1は、図51に示すように、電線チャック23の一対の把持爪23aを閉じて電線Wを把持する。
次に、布線機1は、図52に示すように、ハンド部22を第1方向Xに沿って微小に移動させ、電線Wを引っ張ることで、当該電線Wにおいて、電線保持爪部PBによって保持されている位置から電線チャック23によって把持されている位置までのたるみを解消する。
次に、布線機1は、図53に示すように、電線打ち込みユニット60の電線打ち込みパンチ61の打ち込み突起部61aを第2方向Yに沿って次の打ち込み位置に進出させる。ここでは、布線機1は、図54に示すように、打ち込み突起部61aを、電線布線部PAの直線部分において、電線引出開口部PC近傍に位置する電線保持爪部PBの直上の打ち込み位置まで移動する。
そして、布線機1は、図54に示すように、電線打ち込みパンチ61の打ち込み突起部61aによって、電線布線部PAの電線引出開口部PC近傍に位置する電線保持爪部PBに電線Wを打ち込み、当該電線引出開口部PC近傍の電線Wを電線布線部PAに固定する。その後、布線機1は、電線引出開口部PCにおいて、電線Wを屈曲させて布線する際に、電線保持爪部PBに打ち込んだ電線Wが当該電線保持爪部PBから外れないようにするため、電線Wを押さえたままの状態で当該打ち込み突起部61aを待機させておく。
次に、布線機1は、図55に示すように、電線Wの布線を再開するため、電線チャック23の一対の把持爪23aを開き、電線Wの把持を解放する。
次に、布線機1は、図56に示すように、布線サポートユニット40の布線サポート41を布線サポート位置から退避させる。
次に、布線機1は、図57、図58に示すように、ハンド部22を回転させ第2方向Yに沿って移動させ、電線引出開口部PC近傍において、当該電線引出開口部PCの形状にあわせて電線Wを屈曲させながら布線する。この場合、ハンド部22は、電線チャック23によって電線Wの把持を解放した状態で、電線ガイドチャック24によって電線Wをガイドしながら、電線引出開口部PC近傍の形状に応じて屈曲した軌道で移動し、当該屈曲した角部に沿った癖付けを行いながら電線Wを布線する。ここでは、電線Wは、この屈曲した形状に起因してやや浮き上がった状態となっている。
次に、布線機1は、図59、図60に示すように、電線チャック23の一対の把持爪23aを閉じて電線Wを把持する。そして、布線機1は、ハンド部22を第2方向Yに沿って微小に移動させ、電線Wを引っ張ることで、当該電線Wにおいて、電線引出開口部PC近傍の電線保持爪部PBによって保持されている位置から電線チャック23によって把持されている位置までの浮き上がりを解消する。
この結果、布線機1は、プロテクタPのカーブ部分、直線部分、屈曲部分において、電線Wのたるみや浮き上がりを抑制して、適正に当該電線Wを布線することができる。
[布線電線浮き上がり防止動作(プロテクタから引き出した電線の捌き動作)]
次に、図61~図84を参照して、ロボットハンドユニット20、電線押さえユニット70等による布線した電線Wの浮き上がり防止、より具体的には、プロテクタPから引き出した電線Wの捌きについて説明する。
電線押さえユニット70は、上述したように、プロテクタPに布線済みの電線Wを電線押さえ位置に押し下げる電線押さえ部を構成するものである。この布線機1は、電線Wの布線動作完了時に、布線済みの電線Wが浮き上がった状態であると、次の電線Wの布線動作時に、ロボットハンドユニット20や治具等への電線Wの引っ掛かり、布線済みの電線Wと布線中の電線Wとの絡み等が発生するおそれがある。これを解消すべく、電線押さえユニット70は、プロテクタPに布線済みの電線Wを電線押さえ位置に押し下げてまとめておく動作を行う。電線押さえユニット70は、フレーム100に支持されている。
具体的には、電線押さえユニット70は、図61~図84に示すように、電線下げ機構71と、電線押さえ機構72と、電線押さえガイド機構73とを含んで構成される。
電線下げ機構71は、布線後の電線Wを電線押さえ位置まで押し下げるものである(例えば、図64~図70等参照)。ここで、電線押さえ位置とは、布線後の電線Wが次の電線Wの布線の邪魔にならない位置であり、プロテクタPの電線引出開口部PCから引き出された布線後の電線Wが開口部31等を通って第3方向Zの下側に向かう位置である。電線下げ機構71は、電線下げ治具71A、及び、支持駆動機構71Bを含んで構成される。電線下げ治具71Aは、電線Wを電線押さえ位置まで押し下げる部材であり、押し下げ部71aを含んで構成される。押し下げ部71aは、第1方向Xに沿って棒状に形成され、プロテクタPから引き出された電線Wを第3方向Zに沿って下側(電線押さえ位置側)に向けて押し下げる部分である。電線下げ治具71Aは、押し下げ部71aの一端から支持部71bが延在して形成される。電線下げ治具71Aは、支持部71bを介して支持駆動機構71Bに支持されている。電線下げ治具71Aは、プロテクタ固定ユニット30の第2方向Yの側面(言い換えれば、第1方向Xに沿う側面)であって開口部31が形成された側面に沿って当該プロテクタ固定ユニット30と並行するような位置関係で支持される。電線下げ治具71Aは、押し下げ部71aがプロテクタ固定ユニット30の開口部31の近傍に位置する。ここでは、電線下げ治具71Aは、第1方向Xに沿って布線サポート41と並ぶように位置する。支持駆動機構71Bは、電線下げ治具71Aをフレーム100に支持すると共に、電線下げ治具71Aを第1方向X、及び、第3方向Zに沿って移動することができる。
電線押さえ機構72は、電線押さえ位置にある電線Wが浮き上がらないように押さえるものである(例えば、図67~図73等参照)。電線押さえ機構72は、電線押さえ治具72A、及び、支持駆動機構72Bを含んで構成される。電線押さえ治具72Aは、電線押さえ位置にある電線Wを押さえる部材であり、押さえ部72aを含んで構成される。押さえ部72aは、第1方向Xに沿って棒状に形成され、電線押さえ位置にある電線Wの浮き上がりを押さえる部分である。電線押さえ治具72Aは、押さえ部72aの一端から支持部72bが延在して形成される。電線押さえ治具72Aは、支持部72bを介して支持駆動機構72Bに支持されている。電線押さえ治具72Aは、プロテクタ固定ユニット30の第2方向Yの側面(言い換えれば、第1方向Xに沿う側面)であって開口部31が形成された側面に沿って当該プロテクタ固定ユニット30と並行するような位置関係で支持される。電線押さえ治具72Aは、押さえ部72aがプロテクタ固定ユニット30の開口部31の近傍に位置する。ここでは、電線押さえ治具72Aは、第2方向Yに対して電線下げ治具71Aよりもプロテクタ固定ユニット30から離間して位置する。支持駆動機構72Bは電線押さえ治具72Aをフレーム100に支持すると共に、電線押さえ治具72Aを第1方向X、及び、第3方向Zに沿って移動することができる。
電線押さえガイド機構73は、電線押さえ位置にある電線Wをガイドするものである。電線押さえガイド機構73は、電線押さえガイド73A、及び、支持機構73Bを含んで構成される。電線押さえガイド73Aは、電線押さえ位置にある電線Wの動きを規制しガイドする部材であり、ガイド部73aを含んで構成される。ガイド部73aは、第1方向Xに沿う第1の棒状部分、及び、当該第1の棒状部分の両端から第3方向Zに沿って上側に延在する一対の第2の棒状部分を含み、これら第1の棒状部分、及び、一対の第2の棒状部分によって略コの字型に形成された部分である。ガイド部73aは、電線押さえ位置にある電線Wの動きを、第1方向Xの両側、及び、第3方向Zの下側に対して規制し、当該電線Wを第2方向Yに沿ってコネクタホルダ80側にガイドする。電線押さえガイド73Aは、ガイド部73aの第1の棒状部分から支持部73bが延在して形成される。電線押さえガイド73Aは、支持部73bを介して支持機構73Bに支持されている。電線押さえガイド73Aは、プロテクタ固定ユニット30の第2方向Yの側面(言い換えれば、第1方向Xに沿う側面)であって開口部31が形成された側面に沿って当該プロテクタ固定ユニット30と並行するような位置関係で支持される。電線押さえガイド73Aは、ガイド部73aがプロテクタ固定ユニット30の開口部31の近傍に位置する。ここでは、電線押さえガイド73Aは、第2方向Yに対して電線押さえ治具72Aよりもプロテクタ固定ユニット30から離間して位置する。支持機構73Bは、電線押さえガイド73Aをフレーム100に支持する。
コネクタホルダ80は、上述したように、電線Wの端末に接続されたコネクタCを保持するものである。コネクタホルダ80は、1つのプロテクタPに対して布線される複数の電線Wの端末に共通で設けられた1つのコネクタCを保持する。コネクタホルダ80は、チャック等の動作に応じて、コネクタCを保持する状態と、保持したコネクタCを解放する状態とに切り替えることができる。コネクタホルダ80は、例えば、端子位置決めユニット10に端子T付きの電線Wが移載される際に、当該電線Wの端末に設けられたコネクタCが移載され、これを保持する。コネクタホルダ80は、フレーム100に支持されている。
次に、上記のように構成されるロボットハンドユニット20、電線押さえユニット70等による布線した電線Wの浮き上がり防止動作(プロテクタPから引き出した電線Wの捌き動作)について説明する。ここでの電線Wの浮き上がり防止動作は、各電線Wごとに上述した[電線布線時のガイド、チャックの動作]に続く動作に相当する。
布線機1は、図61に示すように、電線Wが電線引出開口部PCから引き出された状態では、電線Wがプロテクタ固定ユニット30の開口部31を通り、当該電線Wの端末に設けられたコネクタCがコネクタホルダ80に保持された状態となっている。この状態では、電線下げ機構71は、電線下げ治具71Aの押し下げ部71aがプロテクタ固定ユニット30の開口部31から退避した待機位置に位置している。また、電線押さえ機構72は、電線押さえ治具72Aの押さえ部72aがプロテクタ固定ユニット30の開口部31から退避した待機位置に位置している。
この状態から、布線機1は、図62に示すように、電線下げ治具71Aを第3方向Zに沿って上側に上昇させ、かつ、第1方向Xに沿って押し下げ部71aを開口部31側に移動(前進)させる。これにより、電線下げ機構71は、電線下げ治具71Aで電線Wが逸れないように囲んでおく。またこのとき、布線機1は、電線押さえ治具72Aを第3方向Zに沿って上側に上昇させる。
次に、布線機1は、図63に示すように、電線チャック23の一対の把持爪23aを開き、電線Wの把持を解放すると共に、電線ガイドチャック24の一対のガイド爪24aを開き、電線Wの保持を解放する。また、布線機1は、電線ガイド25の持ち上げ部25aを電線持ち上げ位置から退避した待機位置に移動させる。これにより、布線機1は、ハンド部22から電線を解放する
次に、布線機1は、図64に示すように、電線下げ治具71Aを第3方向Zに沿って下側に下降させ、電線引出開口部PCから引き出され開口部31を通る電線Wを、押し下げ部71aによって、第3方向Zに沿って下側に向けて押し下げる。ここでは、電線下げ治具71Aは、電線押さえ治具72Aの押さえ部72aの第3方向Zの下端より下側の電線押さえ位置まで電線Wを押し下げる。
次に、布線機1は、図65に示すように、ロボットハンドユニット20のハンド部22を第3方向Zの上側に移動させ、他の作業を開始させる。
そして、布線機1は、図66に示すように、第1方向Xに沿って電線押さえ治具72Aの押さえ部72aを開口部31側に移動(前進)させる。
次に、布線機1は、図67に示すように、電線押さえ治具72Aを第3方向Zに沿って下側に下降させ、押さえ部72aによって、電線押さえ位置にある電線Wの浮き上がりを押さえる。この状態では、電線押さえガイド機構73は、電線押さえガイド73Aのガイド部73aによって電線押さえ位置にある電線Wの第1方向Xの両側、及び、第3方向Zの下側を囲った状態となる。これにより、布線機1は、電線押さえ治具72Aの押さえ部72aと電線押さえガイド73Aのガイド部73aとによって、電線押さえ位置にある電線Wの第1方向Xの両側、及び、第3方向Zの両側を囲うことで電線Wの動きを規制し、当該電線Wを第2方向Yに沿ってコネクタホルダ80側にガイドすることができる。またこのとき、布線機1は、電線下げ治具71Aを第3方向Zに沿って上側に上昇させる。
次に、布線機1は、図68に示すように、電線下げ治具71Aの押し下げ部71aを第1方向Xに沿って開口部31側から離間(後退)させる。
次に、布線機1は、図69に示すように、電線下げ治具71Aを第3方向Zに沿って下側に下降させ、待機位置に位置させる。
布線機1は、1つのプロテクタPに対して複数の電線Wについて上記と略同様の動作で浮き上がり防止する。図70は、最後の電線Wを電線引出開口部PCから引き出した状態を表しており、ここでは、最後の電線Wに至る前までの途中段階の電線Wの浮き上がり防止動作については説明を省略する。
布線機1は、最後の電線Wを電線引出開口部PCから引き出すと、図70に示すように、上記と同様に、電線下げ治具71Aを第3方向Zに沿って上側に上昇させる。
次に、布線機1は、図71に示すように、電線下げ治具71Aの押し下げ部71aを第1方向Xに沿って開口部31側に移動(前進)させる。
次に、布線機1は、図72に示すように、電線チャック23の一対の把持爪23aを開き、電線Wの把持を解放すると共に、電線ガイドチャック24の一対のガイド爪24aを開き、電線Wの保持を解放する。また、布線機1は、電線ガイド25の持ち上げ部25aを電線持ち上げ位置から退避した待機位置に移動させる。これにより、布線機1は、ハンド部22から電線を解放する。
次に、布線機1は、図73に示すように、電線下げ治具71Aを第3方向Zに沿って下側に下降させ、電線引出開口部PCから引き出され開口部31を通る電線Wを、押し下げ部71aによって、第3方向Zに沿って下側に向けて押し下げる。ここでは、電線下げ治具71Aは、電線押さえ治具72Aの押さえ部72aの第3方向Zの上端より上側の電線押さえ位置まで電線Wを押し下げる。
次に、布線機1は、図74に示すように、ロボットハンドユニット20のハンド部22を第3方向Zの上側に移動させ、他の作業を開始させる。
次に、布線機1は、図75に示すように、電線押さえ治具72Aの押さえ部72aを第1方向Xに沿って開口部31側から離間(後退)させる。
次に、布線機1は、図76に示すように、電線押さえ治具72Aを第3方向Zに沿って上側に上昇させる。
次に、布線機1は、図77に示すように、第1方向Xに沿って電線押さえ治具72Aの押さえ部72aを開口部31側に移動(前進)させる。
次に、布線機1は、図78に示すように、電線押さえ治具72Aを第3方向Zに沿って下側に下降させ、押さえ部72aによって、電線押さえ位置にある電線Wの浮き上がりを押さえる。これにより、布線機1は、電線押さえ治具72Aの押さえ部72aと電線押さえガイド73Aのガイド部73aとによって、電線押さえ位置にある複数の電線Wの第1方向Xの両側、及び、第3方向Zの両側を囲うことで複数の電線Wの動きをまとめて規制し、当該電線Wを第2方向Yに沿ってコネクタホルダ80側にガイドすることができる。またこのとき、布線機1は、電線下げ治具71Aを第3方向Zに沿って上側に上昇させる。
次に、布線機1は、図79に示すように、電線下げ治具71Aの押し下げ部71aを第1方向Xに沿って開口部31側から離間(後退)させる。
次に、布線機1は、図80に示すように、電線下げ治具71Aを第3方向Zに沿って下側に下降させ、待機位置に位置させる。
次に、布線機1は、図81に示すように、電線押さえ治具72Aの押さえ部72aを第1方向Xに沿って開口部31側から離間(後退)させ、待機位置に位置させる。
次に、布線機1は、図82、図83に示すように、ハンド部22のプロテクタチャック28によって、電線Wの布線が完了したプロテクタPを把持する。すなわち、布線機1は、プロテクタチャック28の一対の把持爪28aを閉じてプロテクタPの略中央部(電線引出開口部PC)近傍を把持する。また、布線機1は、コネクタホルダ80によって保持されたコネクタCを解放する。
そして、布線機1は、図84に示すように、ハンド部22を移動し、プロテクタPに端子Tや電線Wが組み付けられたワイヤハーネスWHを完成品として払い出す。
この結果、布線機1は、電線Wの布線動作完了時に、布線済みの電線Wが浮き上がった状態となることを防止し、次の電線Wの布線動作時に、ロボットハンドユニット20や治具等への電線Wの引っ掛かり、布線済みの電線Wと布線中の電線Wとの絡み等が発生することを防止した上で、プロテクタPへの組み付けを完了することができる。
以上で説明した布線機1は、ハンド部22が、電線チャック23によって電線Wの把持を解放し、かつ、電線ガイドチャック24によってガイド孔24bを介して電線Wを保持し当該電線Wをガイドする状態で布線動作を行う。ここで、ハンド部22による布線動作とは、上述したように、ハンド部22が布線方向D4(第1方向X)に移動しながら布線対象であるプロテクタPに電線Wを布線する動作である。この結果、布線機1は、プロテクタPへの電線Wの組み付け作業を適正に行うことができる。これにより、布線機1は、例えば、プロテクタPへの組み付けを人手で行う場合と比較して作業工数を抑制することができ、製造コストを抑制することができる。
また、以上で説明した布線機1は、ハンド部22が、電線チャック23によって電線Wを把持し、かつ、電線ガイドチャック24によってガイド孔24bを介して電線Wを保持し当該電線Wをガイドする状態で余長解消動作を行う。ここで、ハンド部22による余長解消動作とは、上述したように、ハンド部22が布線方向D4(第1方向X)に移動しながら電線Wを引っ張り、当該電線Wのたるみあるいは浮き上がりを解消する動作である。この結果、布線機1は、プロテクタPへの電線Wの組み付け作業において、当該電線Wのたるみや浮き上がりを解消し適正に当該電線Wを布線することができる。
また、以上で説明した布線機1は、ハンド部22が電線Wの一部を持ち上げる電線ガイド25を含んで構成されるので、治具やプロテクタP、組み付け済み端子T等に電線Wが引っ掛からないようにすることができる。この結果、布線機1は、プロテクタPへの電線Wの組み付け作業をより適正に行うことができる。
また、以上で説明した布線機1は、ハンド部22が、電線チャック23によって電線Wを把持し、端子チャック26によって端子Tを把持した状態で端子斜め挿入動作を行う。ここで、ハンド部22による端子斜め挿入動作とは、上述したように、ハンド部22がプロテクタPの端子保持部PDに対して端子Tを傾斜させた姿勢で端子係止爪部PE、PFに当該端子Tをもぐりこませ当該端子Tを端子保持部PDに挿入する動作である。この結果、布線機1は、端子Tと端子係止爪部PE、PF等との干渉を回避つつ、適正に端子TをプロテクタPの端子保持部PDに組み付けることができる。これにより、布線機1は、プロテクタPへの端子Tの組み付け作業を適正に行うことができる。
また、以上で説明した布線機1は、ハンド部22が、上述の端子斜め挿入動作の後、端子チャック26によって端子Tの把持を解放した状態で端子倒し動作を行う。ここで、ハンド部22による端子倒し動作とは、上述したように、プロテクタPの端子保持部PDに対して傾斜させた端子Tを倒し当該端子保持部PDに組み付ける動作である。この結果、布線機1は、端子Tを倒す際に当該端子Tに過大な応力が作用することを防止し、例えば、端子Tの変形やプロテクタPの傷付き等が発生することを防止することができる。この点でも、布線機1は、プロテクタPへの端子Tの組み付け作業を適正に行うことができる。
また、以上で説明した布線機1は、布線対象であるプロテクタPに電線Wを布線する前に、端子Tを直交する3方向に対して位置決めし姿勢を矯正する端子位置決めユニット10を備える。この結果、布線機1は、プロテクタPに電線Wを布線する前、典型的には、端子チャック26によって端子Tを把持する前に、制御の基準となる基準位置に対して当該端子Tを正確に位置出しすることができる。これにより、布線機1は、端子チャック26によって精度よく端子Tを把持することができるので、ハンド部22によるその後の端子Tの移動やプロテクタPへの組み付けを精度よく行うことができる。この点でも、布線機1は、プロテクタPへの端子Tの組み付け作業を適正に行うことができる。
また、以上で説明した布線機1は、端子位置決めユニット10が少なくとも1方向に端子Tを吸引して位置決めし姿勢を矯正する吸引孔13bを有する。この構成により、布線機1は、端子Tの位置決め、姿勢矯正を確実に行うことができる。この点でも、布線機1は、プロテクタPへの端子Tの組み付け作業を適正に行うことができる。
また、以上で説明した布線機1は、端子位置決めユニット10が吸引孔13bに発生する負圧を監視することで端子Tの固定状態の確認を行う。この構成により、布線機1は、端子Tの固定状態の良否を確認することができるので、プロテクタPへの端子Tの組み付け作業をより適正に行うことができる。
また、以上で説明した布線機1は、布線対象であるプロテクタPへの電線Wの布線の際に、電線Wの一部を支持し持ち上げる布線サポートユニット40を備える。この構成により、布線機1は、電線Wの布線時にプロテクタP、組み付け済み端子T、その他の治具等に電線Wが引っ掛からないようにすることができる。この点でも、布線機1は、プロテクタPへの電線Wの組み付け作業を適正に行うことができる。
また、以上で説明した布線機1は、電線押さえユニット70が、電線下げ治具71AによってプロテクタPから引き出された電線Wを電線押さえ位置に押し下げた後、電線押さえ治具72Aによって当該電線押さえ位置にある電線Wの浮き上がりを押さえる。布線機1は、プロテクタPに対して複数の電線Wを布線する場合には、この動作を交互に行う。この結果、布線機1は、電線Wの布線動作完了時に、布線済みの電線Wが浮き上がった状態となることを抑制することができる。これにより、布線機1は、例えば、次の電線Wの布線動作時に、ロボットハンドユニット20や治具等への電線Wの引っ掛かり、布線済みの電線Wと布線中の電線Wとの絡み等が発生することを抑制することができる。この点でも、布線機1は、プロテクタPへの電線Wの組み付け作業を適正に行うことができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係る布線機は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
以上の説明では、電線Wの布線対象は、プロテクタPであるものとして説明したがこれに限らない。
以上の説明では、ハンド部22は、電線ガイド25、端子チャック26を含んで構成されるものとして説明したがこれに限らない。
以上の説明では、布線機1は、端子位置決めユニット10、布線サポートユニット40、電線押さえユニット70を備えるものとして説明したがこれに限らない。
本実施形態に係る布線機は、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。