JP7422615B2 - 窒化アルミニウム粉末の包装方法 - Google Patents

窒化アルミニウム粉末の包装方法 Download PDF

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Description

本発明は、窒化アルミニウム粉末の新規な包装方法に関するものである。詳しくは、簡易な操作で長期間保管における窒化アルミニウム粉末の劣化を高度に抑制できる包装方法に関するものである。
窒化アルミニウムは、電気絶縁性、熱伝導性、機械的強度、ハロゲンプラズマ耐性に優れているため、窒化アルミニウム粉末をフィラーとして樹脂に充填して得られる放熱シートや放熱グリース等、また、窒化アルミニウム粉末を焼結して得られる放熱基板、絶縁板、半導体製造装置用部材等に幅広く利用されている。
窒化アルミニウム粉末は、水分と接することによって粉末表面が分解してしまうため、水分を含む空気中で保管すると徐々に酸素含有量が増加して劣化してしまい、長期間安定して保管することが困難である。そのため、窒化アルミニウム粉末の保管は、窒素などの不活性ガス中で行う必要がある。
窒化アルミニウム粉末の保管容器として、コストや取り扱い性の観点から、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、ナイロン製などの樹脂袋が広く使用される。これら樹脂袋に窒化アルミニウム粉末を充填し、その後袋内部の空気を乾燥状態の不活性ガスで置換することで、窒化アルミニウム粉末の包装が行われる。しかしながら、単に樹脂製の袋に窒化アルミニウム粉末を充填して、その後袋内を不活性ガスで置換したとしても、袋内の水分を高度に除くことは出来ず、長期間保管した際に窒化アルミニウム粉末の劣化を高度に抑制することは困難であった。
前記のように、通常実施される包装方法では、樹脂袋中で保管した窒化アルミニウム粉末の劣化を高度に防ぐことは困難であった。これは、樹脂袋内を不活性ガスで置換したとしても水分を含む空気を十分に減少させることが出来ないためであると予想される。この対策として、例えば窒素雰囲気下で充填作業を実施すれば、窒化アルミニウム粉末の劣化を高度に防ぐことも可能であると考えられるが、そのために複雑な設備等が必要となるとともに、作業も非常に繁雑となってしまう。
そこで本発明は、簡易な操作で、長期間保管における窒化アルミニウム粉末の劣化を高度に抑制することが出来る包装方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を行った結果、不活性ガスの置換が不十分となる原因が、窒化アルミニウム粉末充填時における樹脂袋の内壁と窒化アルミニウム粉末との摩擦により発生する静電気により、充填時に窒化アルミニウム粉末が樹脂袋の内壁等に付着し、充填物の嵩密度が十分に高くならず、気相部を不活性ガスで置換しても窒化アルミニウム粉末の粒子間に水分を含んだ空気が多量に存在するためであるとの知見を得た。
前記知見に基づき、更に検討を行った結果、内壁の表面抵抗値が低い樹脂袋に窒化アルミニウム粉末を充填し、樹脂袋内を不活性ガスで置換した後、密閉して保管することにより、窒化アルミニウム粉末を高い嵩密度で充填でき、その結果、窒化アルミニウム粉末の粒子間に存在する水分を含んだガスを減少させることができ、充填後の気相部のガス置換により樹脂袋中の水分量が高度に抑制され、窒化アルミニウム粉末の劣化を高度に抑制できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、内壁の表面抵抗値が1×1014Ω以下である樹脂袋に窒化アルミニウム粉末を充填し、次いで、樹脂袋内の気相部を不活性ガスで置換して樹脂袋を密閉する、窒化アルミニウム粉末の包装方法である。
前記窒化アルミニウム粉末は、バインダーを含有する複合粒子であることが好ましい。また、前記樹脂袋内の気相部を不活性ガスで置換する前に、充填された窒化アルミニウム粉末の圧密化処理を行うことが好ましい。
本発明の包装方法によれば、窒化アルミニウム粉末を特定の樹脂袋に充填後、気相部を不活性ガスで置換するという簡易な操作で窒化アルミニウム粉末の劣化を高度に抑制することが出来る。それにより、長期間にわたり品質が変わらない状態で窒化アルミニウム粉末を保管することが可能となる。
本発明により窒化アルミニウム粉末の劣化を高度に抑制できる理由は、以下のように推察される。すなわち、内壁の表面抵抗値が1×1014Ω以下である樹脂袋を使用することにより、窒化アルミニウム粉末充填時における樹脂袋の内壁と窒化アルミニウム粉末との摩擦による静電気の発生が抑制され、窒化アルミニウム粉末が樹脂袋の内壁に付着することを高度に防止できる。その結果、充填時に粒子間の空隙の発生を抑制することが容易となり、この状態で樹脂袋内の気相部を不活性ガスで置換して樹脂袋を密閉することで、樹脂袋内の水分を含む空気の量を大きく減らすことが可能となる。そのため、樹脂袋内では窒化アルミニウムと水分との反応が抑制され、劣化を抑制することが出来る。
本発明は、窒化アルミニウム粉末を、内壁の表面抵抗値が1×1014Ω以下である樹脂袋に充填し、次いで、樹脂袋内の気相部を不活性ガスで置換して樹脂袋を密閉するものである。以下本発明を詳細に説明する。
窒化アルミニウム粉末は、化学式AlNで表わされるアルミニウムの窒化物の粉末である。本発明の窒化アルミニウム粉末の粒径は特に限定されないが、平均体積粒径が1~300μmの範囲であることが好ましく、20~200μmの範囲であることがより好ましく、40~110μmの範囲であることがさらに好ましい。粒径が小さい場合、窒化アルミニウム粉末を樹脂袋に充填する作業や、樹脂袋内の気相部を不活性ガスで置換する作業において、窒化アルミニウム粉末が舞いやすく、作業性が低くなってしまい、本発明の包装方法によって包装することが難しくなる。粒径が大きい場合は特に問題はないが、比表面積が小さくなるため、相対的に水分に触れる部分が少なくなり、従来の包装方法でも窒化アルミニウム粉末の分解は起こりにくいため、本発明の効果は粒径が300μm以下の場合に特に顕著であり、特に好ましい形態である。なお、本発明における平均体積粒径の測定は、レーザー回折法により行う。
本発明の窒化アルミニウム粉末は、重装嵩密度が0.80~1.30g/cmの範囲内であることが好ましく、0.90~1.25g/cmの範囲内であることがより好ましい。重装嵩密度が前記範囲内にあることにより、本発明の包装方法により、窒化アルミニウム粒子間の空隙を少なくすることが容易となり、粉体粒子間の水分を含んだ空気を十分に追い出した状態としやすくなる。
本発明の窒化アルミニウム粉末の形状は特に限定されず、球状、略球状、不定形状などあらゆる形状の窒化アルミニウム粉末を使用しても良い。また、本発明の窒化アルミニウム粉末は、窒化アルミニウム粒子が単独で存在していても良いし、複数の窒化アルミニウム粒子が複合化した複合粒子を含んでいても良い。
本発明の窒化アルミニウム粉末は、複数の窒化アルミニウム粒子とバインダーとを含有する窒化アルミニウム複合粒子を含むことが好ましい。粒径数μmの窒化アルミニウム粒子は焼結性が高いが、成形性が低く焼結の際に所望の形状に成形することが難しい。そこで、粒径数μmの窒化アルミニウム粒子を複合化して粒径数十μmの複合粒子とすることで、高い焼結性を有しつつ、成形性を向上させることが出来る。バインダーは、前記複合粒子がばらばらになり、成形性が低下することを防ぐために使用される。
前記窒化アルミニウム複合粒子に含有されるバインダーとしては、例えば有機高分子体が挙げられる。このような有機高分子体からなるバインダーと窒化アルミニウム粒子との複合粒子は、樹脂袋の内壁との摩擦により静電気を帯びやすく、樹脂袋の内壁に極めて付着しやすい。そのため、通常の樹脂袋を使用した充填作業では嵩密度を高く充填することが出来ず、水分を含む空気が粒子間の空隙に残存してしまって十分に減らすことが困難であり、保管可能期間が著しく短くなってしまう傾向にある。一方、本発明の包装方法では、前記のような静電気を帯びやすいバインダーを含む窒化アルミニウム複合粒子においても、樹脂袋の内壁に付着することを高度に防止でき、樹脂袋内の水分を含む空気の量を大きく減らすことが可能となる。このように、窒化アルミニウム粉末がバインダーを含有する複合粒子である場合には、従来の包装方法では窒化アルミニウム粉末の劣化を抑制することが特に困難であったため、本発明による窒化アルミニウム粉末の劣化抑制効果が極めて高く、特に好ましい形態である。
本発明の窒化アルミニウム複合粒子に含有されるバインダーとしては、セラミック粉末の成形に用いられる公知の有機高分子体が何ら制限されず使用できる。例えば、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポチエチルメタクリレート、ポリ2-エチルヘキシルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリアクリレート、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド及びポリプロピレンオキサイド等の含酸素有機高分子体;石油レジン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の炭化水素系合成樹脂;ポリ塩化ビニル;ワックス及びそのエマルジョン等の有機高分子体が1種または2種以上混合して使用される。バインダーとして使用する有機高分子体の分子量は特に制限されないが、一般には3,000~1,000,000、好ましくは5,000~300,000のものが好適である。
本発明の窒化アルミニウム複合粒子におけるバインダーの含有量は特に限定されないが、通常は窒化アルミニウム100質量部に対して0.1~30質量部の範囲で配合され、好ましくは1~10質量部の範囲、より好ましくは2~5質量部の範囲で配合される。
前記窒化アルミニウム複合粒子は、複数の窒化アルミニウム粒子とバインダーの他、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じてその他の化合物を含有しても良い。その他の化合物としては、例えば、焼結助剤、安定剤、分散剤などが挙げられる。
焼結助剤は、窒化アルミニウムの焼結反応を促進するために少量添加されるものであり、酸化イットリウム(Y)、酸化ランタン(LaO)、酸化セリウム(CeO)、酸化ホルミウム(HoO)、酸化イッテリビウム(Yb)、酸化ガドリニウム(Gd)、酸化ネオジウム(NdO)、酸化サマリウム(Sm)、酸化ジスプロシウム(Dy)などの希土類化合物;酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ストロンチウム(SrO)などのアルカリ土類金属化合物;またはこれら化合物の混合物が挙げられる。焼結助剤の含有量は特に限定されないが、通常は窒化アルミニウム100質量部に対して、0.5~5質量部の範囲で配合される。
前記窒化アルミニウム複合粒子に含有される窒化アルミニウム粒子の粒径・形状は特に限定されないが、一般的には、平均体積粒径1~10μm程度の球状または略球状粒子である。
前記窒化アルミニウム粉末が窒化アルミニウム複合粒子を含む場合、該窒化アルミニウム粉末中に小粒径の窒化アルミニウム粒子が多量に単独で存在すると成形性向上という窒化アルミニウム複合粒子の効果が限定的になってしまう場合があり、大粒径の窒化アルミニウム粒子が多量に単独で存在すると焼結性向上と言う窒化アルミニウム複合粒子の効果が限定的になってしまう場合があるため、窒化アルミニウム粉末中における窒化アルミニウム複合粒子の割合は、70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法は特に限定されないが、還元窒化法で製造した窒化アルミニウム粒子を含むことが好ましい。還元窒化法では、アルミナと炭素の混合物を窒素またはアンモニア雰囲気下で加熱して窒化アルミニウム粒子を得て、その後余剰の炭素を除去するために酸素の存在下に500~900℃で加熱処理を行う。この加熱処理により、窒化アルミニウム粒子の表面に安定な酸化被膜が形成される。このような酸化皮膜が形成された窒化アルミニウム粒子は水分による保管中の劣化が少ないものとなるため、これを本発明の包装方法により包装した状態で保管することにより、より長期間にわたって劣化が極めて少ない状態で保管することが容易となり、本発明の効果が特に大きい形態である。
前記還元窒化法で製造した窒化アルミニウム粒子においては、酸素含有量が0.4~1.3質量%であることが好ましく、0.6~1.2質量%であることがより好ましく、0.7~1.1質量%であることがさらに好ましい。酸素含有量が上記範囲にあることは、前記酸化皮膜が十分に形成されており、水分による劣化が少ない窒化アルミニウム粒子であると言うことが出来る。酸素含有量は、窒化アルミニウム粒子を酸素存在下で加熱する際の条件により、調整することが出来る。
すなわち、本発明の包装方法は、アルミナと炭素の混合物を窒素またはアンモニア雰囲気下で加熱する還元窒化法により窒化アルミニウム粒子を得る工程、前記還元窒化法によって得られた窒化アルミニウム粒子を酸素の存在下に500~900℃で加熱処理を行い酸素濃度が0.4~1.3質量%となるように調整する工程、前記加熱処理を行った窒化アルミニウム粒子を内壁の表面抵抗値が1×1014Ω以下である樹脂袋に充填する工程、前記樹脂袋内の気相部を不活性ガスで置換して樹脂袋を密閉する工程を含むものであることが好ましい形態であると言える。
また、窒化アルミニウム粉末が窒化アルミニウム複合粒子を含む場合は、例えばスプレードライ法によって窒化アルミニウム複合粒子を形成させればよい。すなわち、窒化アルミニウム複合粒子の製造法としては、例えば、上記窒化アルミニウム粒子の製造工程において、窒化アルミニウム粒子を製造した後に、窒化アルミニウム粒子と、バインダー、焼結助剤などとを溶媒に分散させたスラリーを調整し、前記スラリーをスプレードライ処理することで行う方法を挙げることが出来る。
本発明の包装方法では、内壁の表面抵抗値が1×1014Ω以下である樹脂袋に窒化アルミニウム粉末を充填する。表面抵抗値は材質表面の帯電しやすさの指標であり、1×1014Ωを超えるもの帯電しやすく、静電気が発生するとそれを除くことが困難である。そのため、表面抵抗値が1×1014Ωを超える材料を樹脂袋の内壁とすると、窒化アルミニウム粉末充填時に発生した静電気により、窒化アルミニウム粉末が舞ってしまい、高い嵩密度で充填することが困難である。一方、樹脂袋の内壁の表面抵抗値を1×1014Ω以下とすることにより、窒化アルミニウム粉末を充填した際にも樹脂袋の内壁に静電気が発生しにくく、窒化アルミニウム粉末が樹脂袋の内壁に付着しにくくなり、高い嵩密度で充填することが出来るようになるため、粒子間に水分を含む空気が残存しにくくなる。そのため、袋内の水分を含む空気の大部分は気相部に存在することになるため、気相部を不活性ガスで置換することにより、袋内の水分量は窒化アルミニウム粉末の劣化を抑制できる程度に十分低い量まで低減することが容易となり、保存安定性が向上すると推察される。前記樹脂袋の内壁の表面抵抗値は、より高い静電気の防止効果を得られることから、1×1013Ω以下であることがより好ましい。前記樹脂袋の内壁の表面抵抗値の下限は特に限定されないが、大幅に表面抵抗値を低下させるためには、樹脂の種類の選択や加工に大きな手間とコストが必要となるため、本発明の効果と手間・コストを勘案すると、樹脂袋の内壁の表面抵抗値は1×10Ω以上であることがより好ましく、1×1011Ω以上であることがさらに好ましい。なお、表面抵抗値は、一般的な絶縁抵抗計を使用し、温度23℃±1℃、相対湿度45%~55%の条件で測定すれば良い。
本発明の包装方法に使用する樹脂袋としては、例えば、表面抵抗値が1×1014Ωを超える汎用樹脂に、界面活性剤を添加または塗布したり、導電性の充填剤を添加したりすることで、表面抵抗値を1×1014Ω以下に調整した樹脂材料を内壁として使用したものを用いることが出来る。前記汎用樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンなどが挙げられる。
本発明の包装方法に使用する樹脂袋は、1種類の材質のみから構成されたもの、すなわち、1層構造であっても良く、2種類以上の材質から構成されたもの、すなわち、2層以上で構成された構造であっても良い。2層以上の場合は、窒化アルミニウム粉末が接する内壁の表面抵抗値が1×1014Ω以下であれば、外壁や内壁と外壁に挟まれた中間部材の表面抵抗値は特に限定されずに使用可能である。2層以上の構造の場合、内壁と外壁・中間部材で異なる機能を付与することも可能であり、例えば、内壁として上記のように表面抵抗値が1×1014Ω以下である樹脂を使用し、外壁・中間部材として後述する水蒸気の透過率が低い樹脂を使用することも可能である。なお、内壁以外は樹脂以外の材質としても良い。
前記樹脂袋内には、外部から水分(水蒸気)の浸入が少ないことが好ましい。そのため、樹脂袋の内壁、中間部材、外壁のいずれかの材質として、水蒸気の透過性が低いものを使用することが好ましい。そのような材質として、例えば樹脂では、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。
本発明の包装方法においては、樹脂袋に窒化アルミニウム粉末を充填した後、気相部を不活性ガスで置換する前に、充填された窒化アルミニウム粉末の圧密化処理を行うことが好ましい。圧密化処理は樹脂袋内の窒化アルミニウム粉末の嵩密度を向上させることであり、いかなる方法を用いても良い。圧密化処理の方法としては、例えば窒化アルミニウム粉末に対して上方から圧力を加える方法や窒化アルミニウム粉末が充填された樹脂袋を振動させる方法などが挙げられるが、簡便に行うことが出来ることから、窒化アルミニウム粉末が充填された樹脂袋を振動させる方法が好ましい。窒化アルミニウム粉末が充填された樹脂袋を振動させる方法では、振動の方向は特に限定されないが、窒化アルミニウム粉末が入った樹脂袋を上下に数回動かす方法が好ましい。なお、上下に数回動かす際に、下方の床に樹脂袋の底を接触させるようにすると、さらに効率的に嵩密度を向上させることが出来、これをより好ましい圧密化処理の方法として挙げることができる。
本発明の包装方法における樹脂袋内の窒化アルミニウム粉末は、嵩密度が0.80~1.30g/cmであることが好ましい。樹脂袋内における窒化アルミニウム粉末の嵩密度を0.80~1.30g/cmとすることによって、窒化アルミニウム粒子間の水分を含んだ空気を十分に追い出した状態とすることが容易となる。前記嵩密度は、0.85~1.25g/cmであることがより好ましい。なお、本発明において嵩密度は、樹脂袋内で窒化アルミニウム粉末が占める容積と、樹脂袋内の窒化アルミニウム粉末の重量から算出することが出来る。
本発明の包装方法において樹脂袋内に充填する窒化アルミニウム粉末の量は特に制限されないが、1~20kgとすることが特に好ましい。充填する窒化アルミニウム粉末の量が少ない場合も本発明の効果は得られるが、従来の包装方法でも窒化アルミニウム粉末の粒子間の空隙の絶対量が少ないため、本発明の包装方法を採用した場合と採用しない場合での保存安定性の差が小さく、本発明の包装方法を採用する効果が少なくなる。窒化アルミニウム粉末の量が多い場合、樹脂袋の耐久性の観点から充填後の輸送が困難になってしまう場合があり、包装体として取り扱い性が悪くなってしまう。
本発明の包装方法では、窒化アルミニウム粉末を樹脂袋に充填した後、前記樹脂袋内の気相部を不活性ガスで置換する。前記のように、本発明の包装方法では、窒化アルミニウムの粒子間の空隙に水分を含む空気が少ないため、この状態で気相部を不活性ガスで置換することで、前記樹脂袋中の水分量を窒化アルミニウムが高い保存安定性が得られる程度にまで抑制することが容易に出来る。
前記不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などを利用することが可能であり、安価に入手することが容易であることから、窒素であることが好ましい。
本発明の包装方法では、樹脂袋の気相部を不活性ガスで置換した後に樹脂袋を密閉することで、樹脂袋内部と外部の気体の交換を抑制できる。そのため、前記のような窒化アルミニウムが高い保存安定性が得られる状態を長期間保持することが出来る。前記樹脂袋の密閉方法は特に限定されず公知の方法を使用可能であり、例えば、開口部を縛ったり、ヒートシールにより密閉したりすれば良い。
本発明の包装方法により包装された窒化アルミニウム粉末の用途は特に限定されず、フィラー用途、焼結体作製用途などに使用することが可能である。窒化アルミニウムは一般に酸素含有量が多いと熱伝導性が低下するが、本発明の窒化アルミニウム粉末の包装方法によれば、長期間保管しても特に酸素含有量の増加による劣化が少ないことから、前記窒化アルミニウム粉末は放熱材料用途として使用することが特に好ましい。前記放熱材料用途としては、例えば、放熱シートや放熱グリース等の樹脂組成物に充填するフィラー用途としての使用や、前記窒化アルミニウム粉末を焼結して得られる放熱基板、絶縁板、半導体製造装置用部材等の焼結体製造の原料として使用が挙げられる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
各試験方法は以下のとおりである。
(樹脂袋内壁の表面抵抗値の測定)
日東精工アナリテック(株)製絶縁抵抗計ハイレスタUX MCP-HT800を用いて、1000ボルトの電圧を印加し、1分後の抵抗値を読み取り表面抵抗値を算出した。
(窒化アルミニウム粉末の酸素含有量の評価)
窒化アルミニウム複合粒子を焼却してバインダーを取り除いたのち、(株)堀場製作所製セラミックス中酸素窒素分析装置EMGA-620Wを用いて測定した。
(平均体積粒径の測定)
日機装(株)製 MICROTRAC MT3300EXを用いて、レーザー回折法により測定した。
(重装嵩密度の測定)
筒井理化学機械(株)製「A・B・D粉体特性測定器」を用いて重装嵩密度を測定した。
(樹脂袋内の窒化アルミニウム粉末の嵩密度の測定)
窒化アルミニウム粉末を充填した部分の樹脂袋のサイズを測定することで、樹脂袋内の窒化アルミニウム粉末の体積を算出した。窒化アルミニウム粉末の充填量を、前記の算出した体積で除することで、樹脂袋内の窒化アルミニウム粉末の嵩密度を算出した。
実験に使用した窒化アルミニウム粉末は以下のとおりである。
・窒化アルミニウム粉末A:窒化アルミニウム複合粒子(還元窒化法で製造された窒化アルミニウム粒子と、バインダーとして窒化アルミニウム粒子100質量部に対して4質量部のポリブチルメタクリレートとを含有する)を99質量%以上含有する。平均体積粒径80μm、重装嵩密度0.91g/cm、酸素含有量0.80%。
・窒化アルミニウム粉末B:窒化アルミニウム複合粒子(還元窒化法で製造された窒化アルミニウム粒子と、バインダーとして窒化アルミニウム粒子100質量部に対して4質量部のポリブチルメタクリレートとを含有する)を99質量%以上含有する。平均体積粒径80μm、重装嵩密度1.10g/cm、酸素含有量0.80%。
<実施例1>
窒化アルミニウム粉末A10kgを、内壁が界面活性剤を練り込んだ低密度ポリエチレン(表面抵抗値が8×1011Ω)である樹脂袋(容量60L)に充填し、樹脂袋の底を床につけるように5回上下に動かして圧密化処理を行った。これにより、樹脂袋内の窒化アルミニウム粉末の嵩密度は0.89g/cmとなった。次いで、60秒間窒素を樹脂袋内に吹き込んで気相部を窒素で置換し、開口部を縛って袋を密閉して窒化アルミニウム包装体を得た。こうして得られた窒化アルミニウム包装体を、温度0℃~40℃、湿度20%~80%に制御した屋内倉庫で3年間保管した。その後、内部の窒化アルミニウム粉末の一部を取り出し酸素含有量を測定し、保管前に測定した酸素含有量と比較したところ、酸素含有量の上昇率は5%以下であった。
<実施例2>
窒化アルミニウム粉末B10kgを、内壁が界面活性剤を練り込んだ低密度ポリエチレン(表面抵抗値が8×1011Ω)である樹脂袋(容量60L)に充填し、樹脂袋の底を床につけるように5回上下に動かして圧密化処理を行った。これにより、樹脂袋内の窒化アルミニウム粉末の嵩密度は1.08g/cmとなった。次いで、60秒間窒素を樹脂袋内に吹き込んで気相部を窒素で置換し、開口部を縛って袋を密閉して窒化アルミニウム包装体を得た。こうして得られた窒化アルミニウム包装体を、温度0℃~40℃、湿度20%~80%に制御した屋内倉庫で3年間保管した。その後、内部の窒化アルミニウム粉末の一部を取り出し酸素含有量を測定し、保管前に測定した酸素含有量と比較したところ、酸素含有量の上昇率は5%以下であった。
<比較例1>
窒化アルミニウム粉末A10kgを、内壁がポリエチレン(表面抵抗値は1×1014Ωを超える)の樹脂袋(容量60L)に充填し、樹脂袋の底を床につけるように5回上下に動かして圧密化処理を行った。これにより、樹脂袋内の窒化アルミニウム粉末の嵩密度は0.79g/cmとなった。次いで、60秒間窒素を樹脂袋内に吹き込んで気相部を窒素で置換し、開口部を縛って袋を密閉して窒化アルミニウム包装体を得た。こうして得られた窒化アルミニウム包装体を、温度0℃~40℃、湿度20%~80%に制御した屋内倉庫で3年間保管した。その後、内部の窒化アルミニウム粉末の一部を取り出し酸素含有量を測定し、保管前に測定した酸素含有量と比較したところ、酸素含有量の上昇率は15%以上であった。
上記のように、本発明の包装方法により包装した窒化アルミニウム粉末(実施例1、2)は、3年間保管した後も酸素含有量の上昇率が5%以下の変化率と窒化アルミニウム複合粒子の劣化が少なかったのに対して、樹脂袋の内壁の表面抵抗値が1×1014Ωを超える比較例1では、3年間保管した後に、酸素含有量の上昇率が15%以上であり、窒化アルミニウム複合粒子の大きな劣化が見られた。これにより、本発明の包装方法によって、長期間保管した際の窒化アルミニウムの劣化を抑制できることが示された。

Claims (2)

  1. 内壁の表面抵抗値が1×1014Ω以下である樹脂袋に、窒化アルミニウム粒子とバインダーとを含有する窒化アルミニウム複合粒子を含む窒化アルミニウム粉末を充填し、次いで、樹脂袋内の気相部を不活性ガスで置換して樹脂袋を密閉する、窒化アルミニウム粉末の包装方法。
  2. 前記樹脂袋内の気相部を不活性ガスで置換する前に、充填された窒化アルミニウム粉末の圧密化処理を行う請求項1に記載の包装方法。
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