JP7421329B2 - 小麦ふすま加工品 - Google Patents

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Description

本発明は、小麦ふすま加工品に関する。
小麦ふすまは主に粉砕された小麦の外皮からなり、不溶性食物繊維、ビタミン、ミネラル等を豊富に含むことから、健康食品素材として注目されている。しかし、小麦ふすまは特有の臭気(いわゆるふすま臭)を有することや、組織が強靭で、食せば硬さを感じることから、小麦ふすま配合食品は一般に食味に劣ることが知られている。この小麦ふすまの食味の問題に対処した技術として、特許文献1には、小麦ふすまに水を特定量配合し、特定の温度と圧力をかけて二軸エクストルーダーにて処理することが記載されている。特許文献1記載の技術によれば、小麦ふすまのふすま臭を低減しながら、食感も改善できるとされる。また、特許文献2には、小麦ふすま等の呈味原料を配合したスティック状焼菓子において、特定の乳化剤を特定量配合し、臭気や食感を改善することが記載されている(特許文献2)。
特開2016-178902号公報 特開2018-198565号公報
本発明者が検討を進めたところ、パンやスポンジケーキなどの比重が小さく柔らかなベーカリー製品に小麦ふすまを配合した場合には、当該小麦ふすまとして特許文献1に記載されるような二軸エクストルーダーによる処理品を用いたり、特許文献2に記載されるように乳化剤を配合したりしても、得られるベーカリー製品において、小麦ふすまの欠点とされる臭気や食感を十分に改善することができないことがわかってきた。また、このような小麦ふすまの配合では、生地物性(べたつき、ホイップ性等)が悪化し、結果、作業効率が低下することも明らかとなってきた。
本発明は、各種食品の原料として好適な小麦ふすま加工品であって、得られる食品においてふすま臭を十分に抑えることができ、また、この食品を口溶けのよい食感とすることができる小麦ふすま加工品の提供に関する。また本発明は、例えば、比重が小さく柔らかなベーカリー製品の原料に用いた場合であっても、得られるベーカリー製品においてふすま臭を十分に抑えることができ、また、このベーカリー製品を口溶けのよい食感とすることができ、さらに生地物性も改質することができベーカリー製品の製造効率も高めることができる小麦ふすま加工品の提供に関する。
本発明者は上記課題について鋭意検討を行った。その結果、食品に配合する小麦ふすま原料として、小麦ふすまに乳化剤を特定量作用させた小麦ふすま加工品を用いることにより、上記課題を解決できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
すなわち本発明は、小麦ふすま及び乳化剤を含有し、かつ下記(i)~(iii)を満たす小麦ふすま加工品に関する。

(i)前記小麦ふすま加工品中、(A)炭水化物の含有量に対する(a)アラビノキシランの含有量の比の値が0.20~0.40、
(ii)前記小麦ふすま加工品中、(A)炭水化物の含有量に対する(B)乳化剤の含有量の比の値が0.05~0.50、
(iii)前記小麦ふすま加工品中、(a)アラビノキシランの含有量が10~35質量%。
また本発明は、小麦ふすまと乳化剤とを極性液媒体の存在下で蒸煮処理することを含む、小麦ふすま加工品の製造方法に関する。
本発明において成分含有量ないしそれらの比の値は、特段の断りのない限り質量基準である。
本発明の小麦ふすま加工品は、各種食品の原料として用いることができ、得られる食品においてふすま臭を十分に抑えることができ、また、この食品を口溶けのよい食感とすることができる。また、本発明の小麦ふすま加工品は、例えば、比重が小さく柔らかなベーカリー製品の原料として用いた場合であっても、得られるベーカリー製品においてふすま臭を十分に抑えることができ、また、このベーカリー製品を口溶けのよい食感とすることができ、さらに生地物性も改質することができベーカリー製品の製造効率を高めることができる。
さらに本発明の小麦ふすま加工品の製造方法によれば、上記の優れた特性を有する小麦ふすま加工品を得ることができる。
本発明の小麦ふすま加工品(以下、単に「本発明の加工品」とも称す。)の好ましい実施形態について以下に説明する。
本発明の加工品は、小麦ふすまを主体とし、乳化剤を特定量、小麦ふすまと一体となって含有する組成物である。本発明の小麦ふすま加工品中の小麦ふすまの含有量は、有用成分量を確保する観点から、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、75質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上がより更に好ましい。本発明の加工品において、小麦ふすまを除く残部には乳化剤が含まれ、さらに本発明の効果を損なわない範囲で、穀粉、糖類、蛋白質、油脂、塩類、アミノ酸類などが含まれていてもよい。
本発明の加工品に用いる小麦ふすまは特に制限されず、小麦の外皮を粉砕したものを用いることが好ましい。通常は小麦の外皮を焙煎し、粉砕したものを用いる。本発明の加工品に用いる小麦ふすまとして、食品原料として市販されているものを広く用いることができる。また、小麦ふすまとして、脱脂処理により脂質含有量を低減させたものも好適に用いることができる。商業的に入手可能な小麦ふすまの一例として、ウィートブランMP(商品名、日清ファルマ社製)、ウィートブランM(商品名、日清ファルマ社製)、小麦ふすま(商品名、日本製粉社製)などを挙げることができる。本発明の加工品に用いる小麦ふすまは、含水率が通常は1質量%以上であり、2質量%以上でもよい。この含水率は5質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましい。原料として用いる小麦ふすまの含水率は、後述する本発明の加工品の含水率の測定と同様にして決定される。
本発明の加工品に含まれる(A)炭水化物は、通常は当該加工品が含有する小麦ふすま由来の炭水化物である。また、本発明の加工品は、小麦ふすま以外にも炭水化物含有成分を含んでもよい。その場合、成分(A)は小麦ふすま由来の炭水化物と小麦ふすま以外に由来する炭水化物の総和である。
本発明の加工品は上記の通り小麦ふすまを主体とする組成物である。当該加工品中の炭水化物の含有量は、乳化剤との相互作用により吸水性を低減し口溶けや生地物性を改質する観点から、40質量%以上であることが好ましく、45質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。また、同様の観点から、本発明の加工品中の炭水化物の含有量は70質量%以下であることが好ましく、67質量%以下であることがより好ましく、65質量%以下であることが更に好ましい。
本発明の加工品中の(A)炭水化物の含有量は、後述する実施例に記載の方法により決定することができる。
小麦ふすまは、主要成分としてアラビノキシランを含有する。「アラビノキシラン」は、キシロース成分からなる主鎖にアラビノース成分からなる側鎖が結合して構成される、ヘミセルロースの1種である。アラビノキシランは一般的に水溶性食物繊維として機能することが知られている。
すなわち、本発明の加工品は小麦ふすまを主体とし、それゆえアラビノキシランを10~35質量%含有する。アラビノキシランは、本発明の加工品の(A)炭水化物の一部を構成する。本発明の加工品中のアラビノキシランの含有量は、有用成分量を確保する観点、乳化剤との相互作用により吸水性を低減し口溶けや生地物性を改質する観点から、12質量%以上であることが好ましく、13質量%以上であることがより好ましく、14質量%以上であることが更に好ましい。また、当該加工品中のアラビノキシランの含有量は、ふすま臭抑制の観点から、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、18質量%以下であることが更に好ましく、16質量%以下であることがより更に好ましい。
本発明の加工品はアラビノキシランとして、当該加工品中の小麦ふすまに由来するアラビノキシランを含む。加えて、本発明の加工品は、配合した小麦ふすま以外の成分由来のアラビノキシランを含有してもよい。また、小麦ふすまとは別に、単離したアラビノキシラン自体を配合してもよい。本発明においてアラビノキシランの含有量は、後述する実施例に記載の方法により決定することができる。
本発明の加工品に含まれるアラビノキシランの分子量に特に制限はない。アラビノキシランの重量平均分子量(Mw)は通常は300以上であり、10000以上が好ましく、50000以上がより好ましい。また、アラビノキシランのMwは通常は1000000以下であり、500000以下が好ましく、200000以下がより好ましい。
また、上記アラビノキシランを構成するアラビノース成分とキシロース成分との比についても、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜設定することができる。キシロース成分に対するアラビノース成分のモル比(Ara/Xyl)は、通常は0.01/1以上であり、0.05/1以上が好ましく、0.1/1以上がより好ましい。またAra/Xylは通常は10/1以下であり、2/1以下が好ましく、1.2/1以下がより好ましい。
なお、本明細書においてアラビノキシランの量を説明する場合、アラビノキシランの固形分量(不揮発成分量)を意味する。
本発明の加工品中、(A)炭水化物の含有量に対する(a)アラビノキシランの含有量の比の値((a)/(A))は、0.20~0.40である。(a)/(A)は、有用成分量を確保する観点から、0.21以上であることが好ましく、0.23以上とすることがより好ましく、0.25以上とすることが更に好ましく、0.27以上とすることがより更に好ましい。また、ふすま臭抑制の観点から、(a)/(A)は0.38以下であることが好ましく、0.37以下がより好ましく、0.35以下がさらに好ましく、0.33以下がさらに好ましく、0.30以下がさらに好ましい。
本発明の加工品は乳化剤を含有する。本発明の加工品は小麦ふすまと乳化剤を各特定量、一体に含有することにより、ふすま臭を抑制でき、さらに小麦ふすまの吸水性が効果的に抑制され、また、小麦ふすま特有の硬いざらざらとした食感を、口溶け感の良い食感へと改質することができる。
さらに、本発明の加工品をベーカリー製品の穀粉原料として用いることにより、焼成前の生地物性を吸水性が抑制された性状へと改質することができ、ベーカリー製品の製造効率を高めることができる。より詳細には、生地のホイップ性を高めたり、生地を、べたつきを抑えた性状へと改質したりすることができる。
本発明の加工品において小麦ふすまは、その表面が乳化剤により被覆された状態にあることが好ましい。本発明において「小麦ふすま表面が乳化剤により被覆された」とは、小麦ふすま表面の少なくとも一部に乳化剤が結着していることを意味する。またこの場合、本発明の加工品中の乳化剤の少なくとも一部が小麦ふすま表面を被覆していることを意味する。「結着」とは、物理的吸着、化学的吸着(疎水的相互作用、イオン性相互作用)、化学結合(水素結合、イオン結合、共有結合等)などを介した結着状態を意味する。このような小麦ふすま表面への乳化剤の結着状態は、例えば、後述する蒸煮処理により作り出すことができる。
小麦ふすまに由来するふすま臭抑制の観点、及び吸水性を低減し口溶け、生地物性を改質する観点から、当該加工品中の乳化剤の含有量は、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。また、乳化剤由来の異味の発現を抑える観点から、当該加工品中の乳化剤の含有量は、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の加工品に含まれる上記乳化剤の種類に特に制限はなく、食品添加物として使用される乳化剤の1種又は2種以上を用いることができる。当該加工品のふすま臭抑制と口どけ感の向上の両立をより高いレベルで実現する観点、吸水性を低減し生地物性を改質する観点から、上記乳化剤はHLB(Hydrophile-Lipophile Balance、親水性親油性バランス)が2以上の乳化剤を含むことが好ましく、HLBが3以上の乳化剤を含むことがより好ましく、HLBが4以上の乳化剤を含むことがさらに好ましく、HLBが5以上の乳化剤を含むことがよりさらに好ましく、HLBが6以上の乳化剤を含むことがよりさらに好ましい。また、上記乳化剤は、加工品の乳化剤臭抑制の観点から、HLBが20以下の乳化剤を含むことが好ましく、HLBが16以下の乳化剤を含むことがより好ましく、HLBが14以下の乳化剤を含むことも好ましく、HLBが12以下の乳化剤を含むことも好ましい。
本発明の加工品に含まれる乳化剤に占める、HLBが2~20の乳化剤(好ましくはHLBが2~16の乳化剤、より好ましくはHLBが3~16の乳化剤、さらに好ましくはHLBが4~14の乳化剤、さらに好ましくはHLBが5~12の乳化剤、さらに好ましくはHLBが6~12の乳化剤)の割合は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上が特に好ましい。また、本発明の加工品に含まれる乳化剤のすべてが、HLBが2~20、好ましくはHLBが2~16、より好ましくはHLBが3~16、さらに好ましくはHLBが4~14、さらに好ましくはHLBが5~12の乳化剤、さらに好ましくはHLBが6~12の乳化剤であることが好ましい。
本発明の加工品に含まれる乳化剤のHLBは、乳化剤の購入先のカタログの情報及びメーカーからの品質規格書より確認することができる。乳化剤として非売品を用いる場合には、HLBはグリフィン法により決定される。
上記乳化剤としては、例えばショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、モノアシルグリセロール(グリセリンモノ脂肪酸エステル)、有機酸モノアシルグリセロール(グリセリン脂肪酸有機酸エステル)から選ばれる1種または2種以上の乳化剤を使用することができる。
上記各乳化剤を構成する脂肪酸の種類に特に制限はなく、例えば、炭素数8~24、好ましくは炭素数12~22の脂肪酸を構成脂肪酸とする乳化剤を用いることができる。当該脂肪酸の具体例としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等を挙げることができる。
また、上記有機酸モノアシルグリセロールを構成する有機酸としては、例えば、コハク酸、クエン酸、ジアセチル酒石酸、及び酒石酸を挙げることができる。
なかでも本発明の加工品に含まれる乳化剤は、ふすま臭抑制の観点、吸水性を低減し口溶けや生地物性を改質する観点から、ショ糖脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選択される1種又は2種以上を含むことが好ましい。本発明の加工品に含まれる乳化剤に占めるショ糖脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選択される1種又は2種以上の割合は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上が特に好ましい。本発明の加工品に含まれる乳化剤のすべてがショ糖脂肪酸エステル又はポリグリセリン脂肪酸エステルであることが好ましい。
また、上記乳化剤の融点は、生地加工の作業性の観点から、40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましい。また、小麦ふすまへの効率的な結着、エクストルーダー等の加工機への負荷低減の観点から、上記乳化剤の融点は、110℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましい。
本発明の加工品において、(A)炭水化物の含有量に対する(B)乳化剤の含有量の比の値((B)/(A))は0.05~0.50である。(B)/(A)は、ふすま臭抑制の観点、吸水性を低減し口溶けや生地物性を改質する観点から、0.06以上であることが好ましく、0.07以上であることがより好ましい。また、(B)/(A)は、乳化剤由来の異味の発現を抑える観点から、0.45以下であることが好ましく、0.40以下であることがより好ましく、0.38以下であることがさらに好ましく、0.30以下であることがよりさらに好ましく、0.25以下であることがよりさらに好ましい。
本発明の加工品の含水率(水分量)は、通常は1質量%以上であり、2質量%以上でもよい。また、食品衛生の観点から、本発明の加工品の水分量は5質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましい。含水率は、加熱乾燥式水分計(例えば、MX-50(研精工業社製))により決定される。具体的には、試料を5g精秤して水分計内にセットし、120℃で水分を蒸散させ、試料質量の変化が無くなった時点の試料質量(Wg)を計測し、質量変化量の、測定前試料全体に占める割合(100×[5-W]/5)を含水率とする。
本発明の加工品は、小麦ふすまと乳化剤とを各特定量、一体に含有することにより、吸水性が効果的に抑制されている。その結果、当該加工品を食品に配合した場合、得られる小麦ふすま含有食品を、口溶けのよい食感へと改質することができる。さらに、本発明の加工品を配合してベーカリー製品を製造する場合には、小麦ふすまが本来的に有する吸水性の高さからその配合により通常生じ得る生地の不具合を生じずに、作業性に優れた生地物性へと改質することができる。例えば、生地のべとつきを抑えて機器等への生地の付着を防いだり、また、ケーキ生地等のホイップ性を高めたりすることができる。
本発明の加工品の吸水率は、口溶け感を向上し、かつ作業性をより高める観点から、含水率3質量%の状態の当該加工品を吸水させたときに、200質量%以下が好ましく、180質量%以下がより好ましく、170質量%以下が更に好ましく、165質量%以下がより更に好ましい。また、本発明の加工品の吸水率は、小麦ふすまを配合した食品を食したときの粉感抑制の観点から、含水率3質量%の状態の当該加工品を吸水させたときに、50質量%以上であることが好ましく、100質量%以上であることがより好ましく、120質量%以上であることが更に好ましく、135質量%以上であることがより更に好ましい。
本発明において、吸水率(質量%)とは、吸水後の試料の質量と吸水前の試料の質量とを比較することで算出される。具体的には、後述する実施例に記載の方法により決定することができる。なお、本発明の加工品の含水率が3質量%を越える場合、120℃の電気乾燥機で乾燥することにより含水率を3質量%に調整してから、吸水率を測定する。また、吸水率は測定する対象の試料の粒径が100μm以上150μm以下のものとする。よって、吸水率を測定する際には、粒径が当該範囲となるように必要があれば粉砕を行ったうえで、篩により目開き150μmを通過し、目開き100μm上に残るものを分取して行う。
続いて、本発明の小麦ふすま加工品の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」と称す。)の好ましい実施形態について以下に説明する。
本発明の製造方法は、小麦ふすまと乳化剤とを極性液媒体の存在下で蒸煮処理することを含む。本発明の製造方法は、通常は、蒸煮処理物を乾燥する工程を含む。また、乾燥した蒸煮処理物を粉砕する工程を含んでもよい。
本発明において「極性液媒体の存在下で蒸煮する」とは、通常よりも広義の意味に用いる。すなわち、加温(好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上に加温)した極性液媒体(蒸気の状態を含む)の存在下で小麦ふすまと乳化剤とを混合する形態はすべて、本発明における「極性液媒体の存在下で蒸煮する」形態に包含される。
上記「極性液媒体」は、非炭化水素化合物からなる、常温(25℃)で液体の化合物である。極性液媒体として、1種又は2種以上の化合物を用いることができる。「極性液媒体」の好ましい例として、水、エタノール等のアルコール、並びにこれらの混合溶媒が挙げられる。
本発明の製造方法の好ましい実施形態について、より詳しく説明する。
本発明の製造方法の一実施形態(実施形態-1)では、小麦ふすまと乳化剤とを混合する混合工程と、この混合工程により得られた混合物に極性液媒体として水を加えて撹拌しながら、混合物を蒸煮処理する蒸煮工程とを有する。蒸煮工程により得られた混合物を乾燥する乾燥工程を経て、本発明の加工品を得ることができる。実施形態-1は、乾燥工程後の混合物を粉砕して粉末状とする粉砕工程を有することが好ましい。
<混合工程>
実施形態-1の混合工程では、小麦ふすまと乳化剤とを混合し、混合物を得る。この混合物は、通常は混合粉体である。
小麦ふすま100質量部に対する乳化剤の混合量は、ふすま臭抑制や吸水率低減、生地物性を改質する観点から、3質量部以上であることが好ましく、4質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることがさらに好ましい。また、乳化剤由来の異味の発現を抑える観点から、乳化剤の混合量は、小麦ふすま100質量部に対して45質量部以下であることが好ましく、35質量部以下であることがより好ましく、30質量部以下であることがさらに好ましく、25質量部以下であることがよりさらに好ましく、20質量部以下であることがよりさらに好ましく、10質量部以下であることがよりさらに好ましい。
<蒸煮工程>
実施形態-1の蒸煮工程における水の配合量は、ふすま臭抑制の観点、吸水性を抑制し口溶けや生地物性を改質する観点から、小麦ふすま100質量部に対して、10質量部以上であることが好ましく、15質量部以上であることがより好ましく、20質量部以上であることがさらに好ましい。また、製造作業性の観点から、投入される水の配合量は、小麦ふすま100質量部に対して、40質量部以下であることが好ましく、35質量部以下であることがより好ましく、30質量部以下であることがさらに好ましい。
蒸煮処理の温度はふすま臭抑制の観点、吸水性を低減し口溶けや生地物性を改質する観点から、105℃以上であることが好ましく、108℃以上であることがより好ましく、110℃以上であることがさらに好ましい。また、過加熱による風味低下の抑制の観点、吸水性を効果的に抑制する観点から、蒸煮処理の温度は140℃以下であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましく、120℃以下が更に好ましい。
さらに、蒸煮処理時の圧力は、ふすま臭抑制の観点から、0.3MPa以上であることが好ましく、0.5MPa以上であることがより好ましく、1MPa以上であることがさらに好ましい。また、設備負荷低減の観点から、蒸煮処理時の圧力は10MPa以下であることが好ましく、5MPa以下であることがより好ましく、3MPa以下であることがさらに好ましい。
蒸煮混練処理に用いる攪拌機は、上記条件を満たす攪拌機であれば特に制限されない。例えば、エクストルーダー、エバポレーター、ニーダー、スパライラルミキサー、ミルなど、蒸煮混練処理に通常用いられる装置を用いることができる。
<乾燥工程>
上記蒸煮処理後の混合物は、例えば電気乾燥機などを用いて乾燥させることができる。乾燥温度は、蒸煮処理後の混合物を十分に乾燥させる観点から、30℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがより好ましく、60℃以上であることがさらに好ましい。また、高温による混合物の過度な酸化を抑制する観点から、乾燥温度は110℃以下であることが好ましく、105℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることがさらに好ましい。また、同様の観点から乾燥時間は0.5時間以上であることが好ましく、1時間以上であることがより好ましく、また4時間以下であることが好ましく、3時間以下であることがより好ましい。
<粉砕工程>
乾燥させた蒸煮処理後の混合物は、例えばブレンダー(7011-HS、WARING社製)などの粉砕機を用いて粉砕処理を行う。得られた粉砕物の体積平均粒径(メジアン径)は、比重低下による粒子浮遊抑制の観点から、20μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。また、吸水性の低減の観点から、該体積平均粒径は250μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましい。粉砕処理の温度及び時間に特に制限はなく、通常は20~30℃で、1~2時間程度粉砕し、上記粒径の範囲内とすることが好ましい。
本発明の製造方法の別の実施形態(実施形態-2)では、加温したアルコール中に乳化剤を溶解し、この乳化剤を溶解したアルコール溶液と小麦ふすまとを加温状態で混合する混合工程を含む。その後、乾燥(アルコールを揮発除去)することにより、本発明の加工品を得ることができる。乾燥後の加工品は粉砕処理に付して粉末状とすることが好ましい。
<混合工程>
実施形態-2では、乳化剤を、加温したアルコール中に溶解する。アルコールとしては、エタノール、メタノールなどを用いることができ、エタノールが好ましい。乳化剤を溶解した加温アルコール溶液において、乳化剤の濃度は、ふすま臭抑制の観点、吸水性を抑制し口溶けや生地物性を改質する観点から、1~30質量%とすることが好ましく、3~20質量%とすることがより好ましい。
使用するアルコールは、乳化剤を溶解する前に予め調温しておくことが好ましい。アルコールを加温する温度は、乳化剤を溶解させる観点から、45~70℃であることが好ましく、55~65℃であることがより好ましい。通常は加温しながら撹拌し、乳化剤をアルコールに溶解させる。
次いで、乳化剤を溶解したアルコール溶液と、小麦ふすまとを混合する。この混合温度は45~70℃であることが好ましく、55~65℃であることがより好ましい。混合する小麦ふすまの配合量は、ふすま臭抑制の観点、吸水性を抑制し口溶けや生地物性を改質する観点から、乳化剤1質量部に対し10質量部以上であることが好ましく、また30質量部以下であることが好ましい。乳化剤を溶解したアルコール溶液と小麦ふすまとの混合は、通常は、加温しながら撹拌することにより行われる。混合時間は特に制限されず、例えば、10~30分間とすることができる。
<乾燥(留去)工程>
実施形態-2において、上記混合工程により得られた、小麦ふすま、乳化剤及びアルコールの混合物は乾燥処理に付される。例えば、エバポレーターなどを用いて減圧し、アルコールを留去することにより乾燥することができる。こうして本発明の加工品を得ることができる。
乾燥工程後の加工品は、実施形態-1と同様に粉砕し、粉末状とすることが好ましい。
本発明の加工品は、各種の食品原料として、通常の小麦ふすまに代えて広く用いることができる。なかでも、ベーカリー製品の原料として好適であり、特に、パンやスポンジケーキなどの比重が小さく柔らかなベーカリー製品の原料として用いることが好ましい。
本発明の加工品を食品原料として用いる場合、その配合量は特に制限されず、目的に応じて適宜に調整される。例えば、ベーカリー製品の製造に用いる場合、通常の穀粉原料の少なくとも一部を、本発明の加工品に置き換えて用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[小麦ふすま又は小麦ふすま加工品中の炭水化物含有量の測定方法]
小麦ふすま又は小麦ふすま加工品(以下、単に「小麦ふすま等」ともいう。)中の炭水化物量は、次に示す方法により灰分、蛋白質及び脂質を測定し、並びに前述の方法により水分(含水率)を測定し、その後それらの合計を全量からの差し引くことにより算出した。
[灰分の測定方法]
マッフル炉SSTS-13K(いすゞ製作所製)を使用し、550℃で空焼きした磁製るつぼの質量を計り、その後小麦ふすま等の試料10gを計り取った。試料を入れた磁製るつぼをマッフル炉内で550℃まで徐々に加熱し灰化させた後、デシケーター内で1時間放冷し、質量を計り、次の式により灰分を計算した。
灰分(質量%)=100×[加熱後質量(g)-磁性るつぼ質量(g)]/加熱前質量(g)
[蛋白質含有量の測定方法]
蛋白質は、改良ケルダール法によって測定した。小麦ふすま等を約10g精秤し、ケルダールフラスコに入れ、水100mL及び濃硫酸5mLを添加し、加熱して溶液を沸騰させ、溶液が透明になった時点で加熱を止めて室温になるまで放置した。その後10Mの水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱蒸留し、蒸留液を4%ホウ酸水溶液に捕集した。捕集液を0.05Mの硫酸標準溶液にて滴定し窒素量を定量した。蛋白質含有量既知の物質で作成した窒素‐蛋白質換算の検量線を用い、蛋白質含有量を算出した。
[脂質含有量の測定方法]
円筒ろ紙に精秤した小麦ふすま等約30gを入れ、ソックスレー抽出管にてクロロホルム:メタノール=3:1(体積比)の混合溶媒を使用し、ウォーターバス(TBM212AA(アドバンテック東洋))にて65℃で1日間還流した。抽出液から溶媒を留去した後、ヘキサン(HPLC用(和光純薬))に脂質成分を溶解させ、遠心分離機(CF7D2(日立製作所))を用いて20℃、4300rpmにて10分間遠心分離し、ヘキサン層を回収した。窒素ブローによりヘキサンを揮発後に残渣質量を測定し、次の式により脂質含有量を算出した。
脂質含有量(質量%)=100×[残渣質量(g)/小麦ふすま等質量(g)]
[アラビノキシラン含有量の測定方法]
<試料溶液の調製>
試料10mgに対して1mol/Lの塩酸を2mL加え、30分間撹拌した。撹拌後、100℃に加熱し、次いで15分以上かけて放冷した。放冷後、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を2mL、超純水を2mL加えて撹拌した。撹拌後、3000rpmで10分間遠心分離を行い、上澄み液を回収した。上澄み液回収後、残った残渣については、上記の手順(1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を2mL、超純水を2mL加えて撹拌)をもう一度行い、遠心後の上澄み液を1回目に回収した上澄み液とあわせ、下記の液体クロマトグラフィー(LC)を用いた分析に供した。
<LC分析条件>
-移動相の調製-
1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLと超純水900mLをよく混和して脱気し、移動相とした。
-LC条件-
機種 :DIONEX DX320(日本ダイオネクス株式会社製)
検出器 :ペルスドアンペロメトリック検出器(PAD)
カラム :CarboPAC PA1 (4×250mm)
カラム温度:室温
移動相 :A液 100mmol/L水酸化ナトリウム水溶液
:B液 超純水
流速 :1.0mL/min
注入量 :25μL
上記の条件で、保持時間12.5分(アラビノース)、21.9分(キシロース)のピーク面積からアラビノースとキシロースの含有量を定量し、両者の合計量をアラビノキシランの量とした。
[調製例1] 小麦ふすま加工品の調製
<実施例1~10>
市販の小麦ふすま(商品名;ウィートブランMP 日清ファルマ社製。以下同じ。)380gと、乳化剤20gをそれぞれ量り取り、混合粉体とした。2軸エクストルーダー(東洋精機社製、2D15W型、ダイ径φ2.5mm。以下同じ。)内に、横型撹拌機(日清エンジニアリング社製、FCμ-030F。以下同じ。)を用いて流量0.45kg/hrで前記粉体を供給し、ポンプを用いて流量0.14kg/hrで水120gを供給しながら、2軸エクストルーダー内のスクリュー回転数を10rpm、温度を120℃、圧力を0.3MPaの条件とし、蒸煮処理を行った。ノズルの出口径は2.5mmとした。得られた混合物を電気乾燥機(条件100℃、1hr)にて、水分3質量%となるまで乾燥した後、ブレンダー(7011-HS、WARING社製。以下同じ。)にて粉砕処理を行った。得られた粉砕品を目開き500μmの篩にかけ、体積平均粒径(メジアン径)が150μm、10%径が20μm、90%径が550μmに調製した。
こうして、含水率3質量%の小麦ふすま加工品を得た。
<実施例11及び12>
3L丸底フラスコに、乳化剤5gを入れ、次いで予め55℃に調整した95%エタノール1Lを入れた。丸底フラスコをエバポレーターに装着し、55℃にて10分、1000rpmで攪拌し、乳化剤を溶解した。その後、丸底フラスコへ小麦ふすま100gを入れ、同温度にて更に10分、1000rpmで撹拌した。その後、10Torr(13.3hPa)の真空とし、エタノールを留去し、固形物を得た。得られた固形物をブレンダーにて粉砕処理を行った。得られた粉砕品を目開き500μmの篩にかけ、体積平均粒径(メジアン径)が150μm、10%径が20μm、90%径が550μmに調製した。
こうして、含水率3質量%の小麦ふすま加工品を得た。
<比較例1及び2>
市販の小麦ふすまを400g量り取り、2軸エクストルーダー内に横型撹拌機を用いて流量0.45kg/hrで小麦ふすまを供給し、ポンプを用いて流量0.14kg/hrで水120gを供給しながら、2軸エクストルーダー内のスクリュー回転数を10rpm、温度を120℃、圧力を0.3MPaの条件とし、蒸煮処理を行った。ノズルの出口径は2.5mmとした。得られた混捏物を電気乾燥機(条件100℃、1hr)にて、水分3質量%となるまで乾燥した後、ブレンダーにて粉砕処理を行った。得られた粉砕品を目開き500μmの篩にかけ、体積平均粒径(メジアン径)が150μm、10%径が20μm、90%径が550μmに調製した。
こうして、含水率3質量%の小麦ふすま加工品を得た。
上記各実施例、比較例では、得られる小麦ふすま加工品中において、ふすま臭に影響するアラビノキシランの含有量がほぼ同量となるように、使用する小麦ふすまの種類を調整した。
[試験例1] 吸水性試験
小麦ふすま加工品の試料(含水率3質量%)を15mLコニカルチューブに2g計量し、イオン交換水を10g入れ、軽く撹拌して均一に分散させた。10分間静置後、遠心分離機にて、3000rpm、30分、25℃の条件で遠心分離を行った。遠心分離後、水を除去し、沈殿物である吸水後の小麦ふすま加工品の質量を測定し、次の式により吸水率を算出した。結果を下記表1に示す。

吸水率(質量%)=
[(吸水後の試料の質量-吸水前の試料の質量)/吸水前の試料の質量]×100
[試験例2] 起泡性試験
表2に示す配合組成に従って、スポンジケーキ用生地を調製した。以下に具体的な手順を示す。
[実施例1~12及び比較例1の小麦ふすま加工品を用いたスポンジケーキ用生地の調製]
5コートホバートミキサーに全卵を390g、消泡性油脂(マリッシュスーパー(花王(株)製))を30g、水を90g添加し、中速にて10秒撹拌した。砂糖315g、起泡性油脂(マリッシュゴールド(花王(株)製))を30g計量してホバートミキサーに添加し、低速にて30秒攪拌後、中速にて60秒撹拌した。次いで薄力粉102gと小麦ふすま加工品(実施例1~12及び比較例1)198gを計量し、均一混合した後にホバートミキサーに添加してスポンジケーキ用生地を調製した。
[比較例2の小麦ふすま加工品を用いたスポンジケーキ用生地の調製]
5コートホバートミキサーに全卵を390g、消泡性油脂(マリッシュスーパー(花王(株)製))を30g、水を90g添加し、中速にて10秒撹拌した。砂糖315g、起泡性油脂(マリッシュゴールド(花王(株)製))を30g計量してホバートミキサーに添加し、低速にて30秒攪拌後、中速にて60秒撹拌した。次いで薄力粉102g、小麦ふすま加工品(比較例2、小麦ふすまのみを蒸煮、乾燥、粉砕処理したもの)188g、乳化剤(リョートーシュガーエステルS-570(三菱ケミカルフーズ(株)製)10gを計量し、均一混合した後にホバートミキサーに添加してスポンジケーキ用生地を調製した。
上記によって得られた生地を、低速にて30秒間撹拌後、中速にて撹拌し、生地比重が0.50g/cmに到達するまでの時間を計測した。結果を表1に示す。
[試験例3] スポンジケーキの食味評価試験
前記試験例2で調製したスポンジケーキ用生地について、生地比重を0.50g/cmとした後に、6号のスポンジケーキ型に生地を320g量り取り、オーブンにて上火175℃、下火180℃で35分間焼成した。焼成したスポンジケーキを20℃で一昼夜冷却後、官能評価を実施した。
得られた各スポンジケーキのふすま臭と口どけ感について、6名の専門パネルにより下記評価基準に基づき評価した。各専門パネルの評価結果はすべて同じであった。結果を表1に示す。
<評価基準>
ふすま臭(口中での咀嚼時に感じるふすま臭)
5点:ふすま臭を感じない
4点:微かにふすま臭を感じる
3点:弱いふすま臭を感じる
2点:ふすま臭を感じる
1点:比較例1と同等の、強いふすま臭を感じる
口溶け感(口中での咀嚼時に感じる口溶け感)
5点:極めて口溶けが良い
4点:口溶けがより滑らかである
3点:口溶けが良い
2点:口溶けが悪い
1点:比較例1と同様に、極めて口溶けが悪い
Figure 0007421329000001
Figure 0007421329000002
乳化剤を加えず、小麦ふすまのみを蒸煮、乾燥、粉末処理した比較例1及び2では、吸水率が218質量%と高い吸水性を示した。さらに、比較例1の加工品を用いてケーキ生地を調製した場合、ホイップ性に劣り、生地比重が規定の値となるまでに時間を要し、さらにこのケーキ生地を用いて作製したスポンジケーキはふすま臭を強く感じ、口溶けは極めて悪いものであった。また、小麦ふすまのみを蒸煮、乾燥、粉末処理した比較例2の加工品を用いて、ケーキ生地の調製の際に乳化剤を混合した場合であっても、得られたケーキ生地は生地比重が規定の値となるまでに時間を要し、このケーキ生地を用いて作製したスポンジケーキはふすま臭を感じ、口溶け感にも劣っていた。
これに対し本発明の実施例1~12は、小麦ふすま加工品の吸水率が効果的に抑えられ、これらの加工品を用いて調製したケーキ生地では、速やかに生地比重が規定の値に達し、さらに該ケーキ生地を用いて作製したスポンジケーキはふすま臭を感じず、あるいは弱いふすま臭を感じる程度であり、また、硬いざらついた食感が改善されて口溶け感も良好であった。
すなわち、小麦ふすま加工品における炭水化物とアラビノキシランの含有量の割合、炭水化物と乳化剤の含有量の割合、及びアラビノキシランの含有量を本発明の規定の範囲内とすることで、得られる小麦ふすま加工品では吸水性が効果的に抑えられ、また該加工品を用いて食品組成物又は食品を製造する場合であっても、該加工品の混合物は作業性に優れており(物性に優れ)、さらに得られる食品組成物又は食品におけるふすま臭の発生を効果的に抑え、かつ口溶けが良いものとすることができる。

Claims (7)

  1. 小麦ふすま及び乳化剤を含有し、かつ下記(i)~(iii)を満たす小麦ふすま加工品であって
    (i)前記小麦ふすま加工品中、(A)炭水化物の含有量に対する(a)アラビノキシランの含有量の比の値が0.20~0.40、
    (ii)前記小麦ふすま加工品中、(A)炭水化物の含有量に対する(B)乳化剤の含有量の比の値が0.05~0.50、
    (iii)前記小麦ふすま加工品中、(a)アラビノキシランの含有量が10~35質量%
    前記(B)乳化剤の融点が40~120℃である、小麦ふすま加工品
  2. 含水率3質量%の状態で吸水率が200質量%以下である、請求項1記載の小麦ふすま加工品。
  3. (B)乳化剤のHLBが2~20である、請求項1又は2記載の小麦ふすま加工品。
  4. 前記小麦ふすま加工品中、(B)乳化剤の含有量が3~30質量%である、請求項1~3のいずれか1項記載の小麦ふすま加工品。
  5. (B)乳化剤が小麦ふすま表面を被覆してなる、請求項1~のいずれか1項記載の小麦ふすま加工品。
  6. 請求項1~のいずれか1項記載の小麦ふすま加工品を配合してなるベーカリー製品。
  7. 小麦ふすまと乳化剤とを極性液媒体の存在下で蒸煮処理することを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の小麦ふすま加工品の製造方法。
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