JP7417055B2 - 非水系電解質二次電池用電極およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、非水系電解質二次電池用電極およびその製造方法に関する。
コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウムなどの層状構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物は、作用電圧が4Vと高く、また大きな容量が得られるため、携帯電話、ノート型パソコン、デジタルカメラ等の電子機器の電源又は車載用バッテリーとして広く用いられている。電子機器および車載用バッテリーの高機能化に伴い、更なる高容量化、充放電サイクル特性の向上に加えて保存特性の向上が求められている。
例えば特許文献1には、リチウム遷移金属複合酸化物に、ストロンチウム、タングステンおよびアンチモンの少なくとも1種と、モリブデンとを含有させた正極活物質が記載され、充填性が良好で、さらに充放電サイクル特性が改善されるとされている。また、特許文献2では、ストロンチウム原子とチタン原子を含有するリチウム遷移金属複合酸化物を用いることで正極の熱安定性を向上させることが提案されている。
特開2007-299668号公報 特開2013-182757号公報
本開示の一態様は、サイクル特性を維持しつつ、保存特性に優れる非水系電解質二次電池を構成可能な非水系電解質二次電池用電極およびその製造方法を提供することを目的とする。
第一態様は、集電体と、集電体上に配置される活物質層とを備える非水系電解質二次電池用電極である。活物質層は、密度が2.4g/cm以上3.6g/cm以下であり、層状構造を有し、ニッケルを含むリチウム遷移金属複合酸化物と、モリブデン複合酸化物と、導電助剤と、結着剤とを含む。モリブデン複合酸化物は、アルカリ金属元素の含有率が1質量%以下であり、ジルコニウム、マグネシウム、コバルト、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、ニッケル、亜鉛およびマンガンからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素とモリブデンとを含む。
第二態様は、層状構造を有し、ニッケルを含むリチウム遷移金属複合酸化物を準備することと、ジルコニウム、マグネシウム、コバルト、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、ニッケル、亜鉛およびマンガンからなる群から選択される少なくとも1種の金属とモリブデンとを含むモリブデン複合酸化物を準備することと、リチウム遷移金属複合酸化物と、モリブデン複合酸化物と、導電助剤と、結着剤とを含む電極組成物を得ることと、電極組成物を集電体上に付与し、加圧して、密度が2.4g/cm以上3.6g/cm以下の活物質層を前記集電体上に形成することと、を含む非水系電解質二次電池用電極の製造方法である。
本開示の一態様によれば、サイクル特性を維持しつつ、保存特性に優れる非水系電解質二次電池を構成可能な非水系電解質二次電池用電極およびその製造方法を提供することができる。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための、非水系電解質二次電池用電極およびその製造方法を例示するものであって、本発明は、以下に示す非水系電解質二次電池用電極およびその製造方法に限定されない。
非水系電解質二次電池用電極
非水系電解質二次電池用電極は、集電体と、集電体上に配置される活物質層とを備える。活物質層の密度は、例えば2.4g/cm以上3.6g/cm以下である。また活物質層は、層状構造を有し、ニッケルを含むリチウム遷移金属複合酸化物(以下、単にリチウム遷移金属複合酸化物ともいう)と、モリブデン複合酸化物と、導電助剤と、結着剤とを含む。モリブデン複合酸化物は、アルカリ金属元素の含有率が1質量%以下であり、ジルコニウム、マグネシウム、コバルト、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、ニッケル、亜鉛およびマンガンからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素とモリブデンとを含む。
活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物を含み、特定のモリブデン複合酸化物、導電助剤および結着剤を含んで、特定の密度を有して形成される活物質層を備える電極を正極として用いて構成される非水系電解質二次電池は、サイクル特性を維持しながら、保存特性に優れる。特許文献1のようにリチウム化合物と、2種以上の遷移金属元素を含む化合物と、モリブデン酸化物と、モリブデン以外の金属酸化物と、を含む原料混合物を熱処理した場合には、モリブデンとモリブデン以外の金属酸化物由来の金属とを組成に含むリチウム遷移金属複合酸化物の他に、リチウムモリブデン複合酸化物が生成すると考えられる。リチウムモリブデン複合酸化物は、電解液へ溶出する場合があり、特に高電圧下でのサイクル特性に影響する場合があると考えられる。本実施形態では、リチウム遷移金属複合酸化物と、アルカリ金属の含有率が1質量%以下であるモリブデン複合酸化物とを含む電極組成物を用いて電極を形成している。この電極を備える非水系電解質二次電池においては、モリブデン複合酸化物の電解液への溶出が抑制され、サイクル特性の低下が効果的に抑制される。また、特定の密度で活物質層が形成されていることで、充電状態でのガスの発生が抑制されて保存特性がより向上する。ここで、本明細書における向上した保存特性とは、非水電解質二次電池の保存時におけるガスの発生が抑制され、外装の変形等が抑制されることを意味する。また、モリブデン複合酸化物中に含まれるアルカリ金属の含有率が1質量%以下であると、モリブデン複合酸化物による電解液の分解がより抑制されて安全性がより向上すると考えられる。
活物質層の密度は、例えば2.4g/m以上3.6g/cm以下であってよく、好ましくは2.6g/m以上3.6g/cm以下、より好ましくは2.7g/m以上3.4g/cm以下、さらに好ましくは2.8g/m以上3.3g/cm以下である。活物質層の密度は、活物質層の質量を活物質層の体積で除して算出される。ここで活物質層の密度は、後述する電極組成物を集電体上に付与した後、加圧することで調整することができる。
電極を構成する活物質層は、モリブデン複合酸化物をリチウム遷移金属複合酸化物とは独立して含む。独立して含むとは、モリブデン複合酸化物からなる粒子とリチウム遷移金属複合酸化物からなる粒子とが互いに強く固着したり、粒子間の界面で複合化合物等を形成したりすることなく、各々の粒子が容易に分離可能な状態で活物質層に含まれていることを意味する。このような活物質層を構成するための電極組成物は、モリブデン複合酸化物とリチウム遷移金属複合酸化物とを、強い剪断力を付与する混合処理または加熱処理等をすることなく、単に混合することで得ることができる。
活物質層におけるモリブデン複合酸化物のリチウム遷移金属複合酸化物に対する割合は、リチウム遷移金属複合酸化物のリチウム以外の金属の総モル数に対するモリブデン複合酸化物におけるモリブデンのモル数の割合として、例えば0.05モル%以上2モル%以下であってよく、好ましくは0.1モル%以上1.5モル%以下、より好ましくは0.2モル%以上1モル%以下である。モリブデン複合酸化物の含有比率が前記範囲であると、保存特性及び充放電サイクル特性をより優れたレベルで両立することができ、安全性がより向上する。
活物質層では、リチウム遷移金属複合酸化物とモリブデン複合酸化物とが独立して存在していることで、例えば充放電に伴うモリブデン複合酸化物から電解液へのモリブデンの溶出が抑制されると考えられる。モリブデンの電解液へ溶出が抑制されることで、充放電サイクル特性の低下が抑制される傾向がある。ここで充放電に伴って電解液に溶出したモリブデンは負極に析出すると考えられる。したがって、モリブデンの電解液への溶出量は、負極に析出したモリブデンを再溶解して、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析を行うことで評価することができる。活物質層におけるモリブデンの溶出割合は、活物質層に含まれるモリブデン複合酸化物の総量に対して、例えば10質量%以下であってよく、好ましくは6質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
本実施形態に係る非水系電解質二次電池用電極を用いて構成される非水電解質二次電池では、安全性が向上する。ここで安全性が向上するとは、例えば充放電に伴う電解液の分解が抑制されることを意味する。安全性の向上は、例えば電解液と活物質を含む試料を示差走査熱量分析することで評価することができる。具体的には、例えば電解液に浸した活物質を含む試料を示差走査熱量分析し、250℃以下の温度範囲における発熱最大ピーク高さを測定し、モリブデン複合酸化物を含まない活物質における発熱最大ピーク高さを100とした場合のモリブデン複合酸化物含む活物質の相対ピーク高さにて安全性を評価することができる。相対ピーク高さが低い程、電解液の分解が抑制され、安全性に優れるといえる。相対ピーク高さは、例えば70以下であってよく、好ましくは60以下、より好ましくは30以下である。
活物質層に含まれるリチウム遷移金属複合酸化物は、層状構造を有し、その組成に遷移金属として少なくともニッケル(Ni)を含む。リチウム遷移金属複合酸化物の組成におけるリチウム以外の金属の総モル数に対するニッケルのモル数の比は、例えば0.3以上1以下であってよく、好ましくは0.4以上0.97以下、より好ましくは0.45以上0.95以下である。
リチウム遷移金属複合酸化物は、その組成にコバルト(Co)を含んでいてもよい。リチウム遷移金属複合酸化物がコバルトを含む場合、その組成におけるリチウム以外の金属の総モル数に対するコバルトのモル数の比は、例えば0より大きく1未満であってよく、好ましくは0.01以上0.45以下、より好ましくは0.02以上0.4以下である。またリチウム遷移金属複合酸化物の組成におけるニッケルのモル数に対するコバルトのモル数の比は、例えば0.01以上1.5以下であってよく、好ましくは0.02以上1以下である。
リチウム遷移金属複合酸化物は、アルミニウム(Al)およびマンガン(Mn)の少なくとも一方である第一金属元素を組成に含んでいてもよい。リチウム遷移金属複合酸化物が第一金属元素を含む場合、その組成におけるリチウム以外の金属の総モル数に対する第一金属元素のモル数の比は、例えば0より大きく0.45以下であってよく、好ましくは0.01以上0.45以下、より好ましくは0.02以上0.4以下である。
リチウム遷移金属複合酸化物が、ニッケルに加えてコバルトおよび第一金属元素を含む場合、コバルトおよび第一金属元素の総モル数に対するニッケルのモル数の比は、例えば0.45以上50以下であってよく、好ましくは0.5以上25以下である。
リチウム遷移金属複合酸化物は、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)およびモリブデン(Mo)からなる群より選択される少なくとも一種である第二金属元素を含んでいてもよい。リチウム遷移金属複合酸化物が第二金属元素を含む場合、その組成におけるリチウム以外の金属の総モル数に対する第二金属元素のモル数の比は、例えば0より大きく0.05以下であってよく、好ましくは0.001以上0.05以下であり、より好ましくは0.002以上0.02以下である。
リチウム遷移金属複合酸化物に含まれるリチウム以外の金属の総モル数に対するリチウムのモル数の比は、例えば0.95以上1.5以下であってよく、好ましくは0.98以上1.25以下である。またリチウム以外の金属の総モル数に対する酸素原子のモル数の比は、例えば1.8以上2.2以下であってよい。
リチウム遷移金属複合酸化物は、例えば下式で表される組成を有していてもよい。
LiNiCo
式中、0.95≦p≦1.5、0.3≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦0.45、0≦w≦0.05、x+y+z+w≦1、MはAlおよびMnの少なくとも一方を含み、少なくともMnを含むことが好ましい。Mは、Mg、Ti、Zr、W、Ta、NbおよびMoからなる群より選択される少なくとも1種である。好ましくは0.98≦p≦1.25、0.4≦x≦0.97、0.01≦y≦0.45、0.01≦z≦0.45、0.001≦w≦0.05であり、より好ましくは0.98≦p≦1.25、0.45≦x≦0.95、0.02≦y≦0.4、0.02≦z≦0.4、0.002≦w≦0.02である。
リチウム遷移金属複合酸化物の体積平均粒径は、例えば1μm以上30μm以下であってよく、好ましくは2μm以上25μm以下である。なお、平均粒径は、レーザー回折式粒径分布測定装置を用いて、体積基準の累積粒度分布を測定し、小粒径側からの体積累積50%に対応する粒径として求められる中心粒径(D50)である。
リチウム遷移金属複合酸化物は、市販品から適宜選択して用いてもよく、後述するように所望の組成を有する複合酸化物を調製し、これをリチウム化合物とともに熱処理してリチウム遷移金属複合酸化物粒子を調製して用いてもよい。
活物質層におけるリチウム遷移金属複合酸化物の含有量は、例えば70質量%以上99質量%以下であってよく、好ましくは80質量%以上98質量%以下である。
モリブデン複合酸化物
モリブデン複合酸化物は、モリブデンに加えて、ジルコニウム、マグネシウム、コバルト、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、ニッケル、亜鉛およびマンガンからなる群から選択される少なくとも1種の第三金属元素を含んでいてよい。モリブデン複合酸化物が特定の第三金属元素を含むことで、モリブデン複合酸化物を含む活物質層を有する電極を含む非水電解質二次電池では、保存特性及び充放電サイクル特性がより向上し、安全性がより向上する。モリブデン複合酸化物としては、例えばモリブデン酸金属塩を用いることができる。
第三金属元素は、保存特性と充放電サイクル特性の観点から、ジルコニウム、マグネシウムおよびコバルトからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、マグネシウム及びコバルトからなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。また、安全性と充放電サイクル特性の観点からは、ジルコニウム、マグネシウムおよびコバルトからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、ジルコニウムおよびマグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
モリブデン複合酸化物におけるモリブデン以外の金属元素の割合は、その価数に応じて適宜選択することができる。モリブデン複合酸化物は、その組成におけるモリブデン以外の金属元素の総モル数のモリブデンのモル数に対する割合が、例えば0.4以上1.1以下であってよく、好ましくは0.45以上1.05以下である。第三金属元素の含有比が前記範囲であると、保存特性及び充放電サイクル特性がより向上し、安全性がより向上する傾向がある。
またモリブデン複合酸化物は、充放電サイクル特性及び保存特性の観点から、アルカリ金属元素の含有率が低いことが好ましい。モリブデン複合酸化物におけるアルカリ金属元素の含有率は、例えば1質量%以下であってよく、好ましくは1質量%未満、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%未満である。また上記の範囲であると安全性がより向上する傾向がある。
モリブデン複合酸化物として具体的には、モリブデン酸ジルコニウム(例えば、Zr(MoO)、モリブデン酸マグネシウム(例えば、MgMoO)、モリブデン酸コバルト(例えば、Co(MoO)、モリブデン酸カルシウム(例えば、CaMoO)、モリブデン酸バリウム(例えば、BaMoO)、モリブデン酸ストロンチウム(例えば、SrMoO)、モリブデン酸ニッケル(例えば、NiMoO)、モリブデン酸亜鉛(例えば、ZnMoO)、モリブデン酸マンガン(例えば、Mn(MoO)等を挙げることができ、これらからなる群から選択される少なくとも1種であってよい。
モリブデン複合酸化物の体積平均粒径は、例えば0.1μm以上50μm以下であってよく、好ましくは0.2μm以上30μm以下である。
リチウム遷移金属複合酸化物に対するモリブデン複合酸化物の体積平均粒径の比は、保存特性、充放電サイクル特性及び安全性の観点から、例えば0.03以上50以下であってよく、好ましくは0.08以上15以下である。
モリブデン複合酸化物は、市販品から適宜選択して用いることができる。また、モリブデンを含む金属化合物を含む混合物を熱処理することで、所望の組成を有するモリブデン複合酸化物を調製してもよい。
活物質層におけるモリブデン複合酸化物の含有量は、例えば0.3質量%以上1.8質量%以下であってよく、好ましくは0.5質量%以上1.2質量%以下である。
活物質層は、リチウム遷移金属複合酸化物およびモリブデン複合酸化物に加えて導電助剤、結着剤、充填剤等の他の成分を更に含んでいてもよい。
導電助剤としては、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サマーブラック等のカーボンブラック;炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維;グラフェン、カーボンナノチューブなどの炭素材料;フッ化カーボン;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもちいてもよい。活物質層における導電助剤の含有量は、活物質層の全固形分に対して、例えば0.5質量%10質量%以下であってよく、好ましくは1質量%以上5質量%以下である。
結着剤は、例えば活物質と導電助剤などとの付着、及び集電体に対する活物質層の付着を助ける材料である。結着剤の例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブチレンゴム、フッ素ゴム、様々な共重合体などが挙げられる。結着剤含有量は、活物質層の全固形分に対して、例えば0.5質量%以上25質量%以下であってよく、好ましくは1質量%以上20質量%以下である。
活物質層は、必要に応じて充填剤を含んでいてよい。充填剤は、例えば活物質層の膨脹を抑制する材料である。充填剤の例としては、炭酸リチウム;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質等が挙げられる。
活物質層は集電体上に形成される。集電体としては、例えば、板状又は箔状のアルミニウム、ニッケル、ステンレス等を用いることができる。集電体の厚みとしては、例えば3μm以上500μm以下とすることができる。
非水電解質二次電池用電極の製造方法
非水系電解質二次電池用電極の製造方法は、層状構造を有し、ニッケルを含むリチウム遷移金属複合酸化物を準備する第1準備工程と、ジルコニウム、マグネシウム、コバルト、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、ニッケル、亜鉛およびマンガンからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素とモリブデンとを含むモリブデン複合酸化物を準備する第2準備工程と、リチウム遷移金属複合酸化物とモリブデン複合酸化物と導電助剤と結着剤とを含む電極組成物を得る電極組成物準備工程と、電極組成物を集電体上に付与し、加圧して、密度が2.4g/cm以上3.6g/cm以下の活物質層を前記集電体上に形成する活物質層形成工程と、を含む。
第1準備工程
第1準備工程では、層状構造を有し、ニッケルを含むリチウム遷移金属複合酸化物を準備する。ニッケルを含むリチウム遷移金属複合酸化物の詳細は既述の通りである。ニッケルを含むリチウム遷移金属複合酸化物は、市販品から適宜選択して準備してもよく、所望の組成を有する複合酸化物、複合水酸化物等を調製し、これをリチウム化合物とともに熱処理してリチウム遷移金属複合酸化物を調製して準備してもよい。例えば、ニッケルを含むリチウム遷移金属複合酸化物は、例えば以下のような共沈法を含む方法によって得ることができる。
溶媒に可溶な原料化合物(酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩等)を目的組成に合わせて溶媒に溶解して混合溶液を得る。得られる混合溶液に対して温度調整、pH調整、錯化剤投入等の手法を適用することにより前駆体の沈殿物を得る。前駆体の沈殿物は例えば、複合水酸化物を含んでいてよい。次いで得られる前駆体の沈殿物を熱処理することによって所望の組成を有する複合酸化物を得ることができる。このような複合物を得る方法の詳細については、例えば、特開2003-292322号公報、特開2011-116580号公報(米国公開特許2012-270107)等を参照してよい。なお、これらはその開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。次いで得られる複合酸化物をリチウム化合物とともに熱処理することで所望の組成を有するリチウム遷移金属複合酸化物を調製することができる。また、前駆体の沈殿物をリチウム化合物とともに熱処理することで所望の組成を有するリチウム遷移金属複合酸化物を調製してもよい。
第2準備工程
第2準備工程では、ジルコニウム、マグネシウム、コバルト、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、ニッケル、亜鉛およびマンガンからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素とモリブデンとを含むモリブデン複合酸化物を準備する。モリブデン複合酸化物の詳細は既述の通りである。モリブデン複合酸化物は、市販品から適宜選択して準備してもよく、所望の組成を有するモリブデン複合酸化物を調製して準備してもよい。
電極組成物準備工程
電極組成物準備工程では、準備されるリチウム遷移金属複合酸化物とモリブデン複合酸化物と導電助剤と結着剤とを少なくとも含む電極組成物を得る。電極組成物は、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物とモリブデン複合酸化物と導電助剤と結着剤とを液媒体に分散・溶解することで調製することができる。液媒体にリチウム遷移金属複合酸化物およびモリブデン複合酸化物を分散することで、過度に機械的エネルギー、熱的エネルギー等が付与されてこれらが化学的に反応したり、物理的に変化したりすることが抑制される。液媒体への分散は具体的には、例えば高速せん断ミキサー、羽根式撹拌装置等を用いて実施することができる。
電極組成物準備工程は、リチウム遷移金属複合酸化物およびモリブデン複合酸化物を含む第1組成物を得る第1組成物準備工程を含んでいてもよい。この場合、電極組成物は、第1組成物と結着剤とを液媒体に分散・溶解することで調製することができる。
第1組成物準備工程では、準備されるリチウム遷移金属複合酸化物とモリブデン複合酸化物とを混合して第1組成物を得る。混合方法としては、モリブデン複合酸化物とリチウム遷移金属複合酸化物とが、機械的エネルギー、熱的エネルギー等の付与により化学的に反応したり、物理的に変化したりすることが抑制される方法であればよい。そのような混合手段として具体的には、例えば高速せん断ミキサー、羽根式撹拌装置等を挙げることができる。
電極組成物におけるリチウム遷移金属複合酸化物に対するモリブデン複合酸化物の混合率は、リチウム遷移金属複合酸化物のリチウム以外の金属の総モル数に対するモリブデン複合酸化物におけるモリブデンのモル数の比率として、例えば0.05モル%以上2モル%以下であってよく、好ましくは0.1モル%以上1.5モル%以下、より好ましくは0.2モル%以上1モル%以下である。モリブデン複合酸化物の混合率が前記範囲であると、保存特性及び充放電サイクル特性をより優れたレベルで両立することができ、安全性がより向上する。
電極組成物におけるリチウム遷移金属複合酸化物およびモリブデン複合酸化物の含有量は、電極組成物の全固形分に対して、例えば70質量99質量%以下であってよく、好ましくは80質量%以上98質量%以下である。
導電助剤としては、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サマーブラック等のカーボンブラック;炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維;グラフェン、カーボンナノチューブなどの炭素材料;フッ化カーボン;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。電極組成物における導電助剤の含有量は、電極組成物の全固形分に対して、例えば0.5質量%10質量%以下であってよく、好ましくは1質量%以上5質量%以下である。
結着剤は、例えば、集電体に対する活物質の付着を助ける材料であってよい。結着剤の例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブチレンゴム、フッ素ゴム、様々な共重合体などが挙げられる。電極組成物における結着剤の含有量は、電極組成物の全固形分に対して、例えば0.5質量%以上25質量%以下であってよく、好ましくは1質量%以上20質量%以下である。
電極組成物は、液媒体として有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤の例としては、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等を挙げることができる。
電極組成物は、必要に応じて充填剤を含んでいてよい。充填剤は、例えば活物質層の膨脹を抑制する材料である。充填剤の例としては、炭酸リチウム;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質等が挙げられる。
活物質層形成工程
活物質層形成工程では、得られる電極組成物を集電体上に付与し、加圧して、密度が2.4g/cm以上3.6g/cm以下の活物質層を前記集電体上に形成する。モリブデン複合酸化物とリチウム遷移金属複合酸化物とを含む電極組成物を用いて、特定の密度を有する活物質層が形成されてなる電極は、これを用いて構成される非水系二次電池において、保存特性及び充放電サイクル特性を優れたレベルで両立させ、安全性をより向上させることを可能にする。
集電体としては、例えば、板状又は箔状のアルミニウム、ニッケル、ステンレス等を用いることができる。集電体の厚みとしては、例えば3μm以上500μm以下とすることができる。
電極組成物は、例えば、流動性を有するスラリーとして調製される。得られるスラリーを集電体上に塗布し、乾燥した後、ロールプレス機等によって加圧することで、密度が2.4g/cm以上3.6g/cm以下の活物質層が形成されてよい。また、電極組成物は固体状に調製され、集電体上に圧着されて、密度が2.4g/cm以上3.6g/cm以下の活物質層が形成されてもよい。活物質層の密度は、例えば、2.7g/cm以上3.4g/cm以下であってよく、好ましくは2.8g/cm以上3.3g/cm以下である。なお、活物質層の密度は、活物質層の質量を活物質層の体積で除して算出される。
集電体上に、モリブデン複合酸化物およびリチウム遷移金属複合酸化物を含み、所定の密度を有する活物質層が形成されて、非水系電解質二次電池用電極が製造される。集電体には必要に応じてリードが配置されて、非水系二次電池の製造に供されてよい。
非水系電解質二次電池
非水系電解質二次電池は、正極としての既述の非水系電解質二次電池用電極と、リチウムを吸蔵・放出可能な負極と、リチウム塩を電解質として含む非水電解質とを備える。非水系二次電池は、必要に応じて、正極と負極との間に配置され、非水電解質を保持するセパレータとを備えていてもよい。
負極は通常、負極集電体上に負極活物質層を形成して構成される。負極活物質としては、金属リチウム、リチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、リチウムの吸蔵及び放出が可能な炭素材料等が挙げられる。通常は安全性の高さの面から、リチウムを吸蔵、放出できる炭素材料が用いられる。負極活物質に用いられる炭素材料としては、例えば、天然黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、人造黒鉛が挙げられる。これら炭素材料の他に、リチウムの吸蔵及び放出が可能な化合物を負極活物質として含んでいてもよい。炭素材料以外の負極活物質としては、例えば、酸化スズ、酸化チタン、酸化ケイ素等の金属酸化物が挙げられる。
電解質を構成する化合物は、リチウムを解離可能で、作動電圧で変質、分解し難い化合物であればよく、リチウム塩であってよい。電解質は、非水系溶媒に溶解されて非水電解液として構成されてよい。非水系溶媒としては、例えば、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルホルメート、γ-ブチロラクトン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の有機溶媒が挙げられる。これらは単独または2種類以上を混合して用いることができる。
リチウム塩としては、例えば、過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、六フッ化リン酸リチウム、トリフルオロメタン酸リチウム等のリチウム塩が挙げられる。これらは単独または2種類以上を混合して用いることができる。リチウム塩は、上述した非水系溶媒と混合して電解液として用いることができる。電解液にゲル化剤等を更に添加してゲル状電解質として使用してもよい。また、電解液を吸液性ポリマーに吸収させて使用してもよい。リチウム塩は電解液中に、通常0.5mol/L以上1.5mol/L以下となるように含有させてよい。セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂等からなる多孔性膜、不織布、織布などが挙げられる。また、非水電解質として、無機系または有機系のリチウムイオン伝導性を有する固体電解質を使用してもよい。
非水系電解液二次電池における、負極、非水系電解質、セパレータ等については例えば、特開2002-075367号公報、特開2011-146390号公報、特開2006-012433号公報、特開2000-302547号公報(米国特許第6475673号明細書)特開2013-058495号公報(米国特許出願公開第2010/015524号明細書)等(これらは、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載された、非水系電解質二次電池用の材料から適宜選択して用いてもよい。
非水系二次電池は、前述の正極と、負極と、電解質と、必要に応じて用いられるセパレータとを、適切な形状に組み立てることにより製造される。更に、必要に応じて外装ケース等の他の構成要素を用いることも可能である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、体積平均粒径は、レーザー散乱法によって得られる体積粒度分布における小粒径側からの体積積算値が50%となる値(D50)を用いた。具体的にはレーザー回折式粒径分布装置((株)島津製作所製SALD-3100)を用いて体積平均粒径を測定した。
[実施例1]
共沈法により、(Ni0.5Co0.2Mn0.3)(OH)(x=2から3)で表される複合水酸化物を得た。得られた複合水酸化物と、炭酸リチウムとを、Li:(Ni+Co+Mn)=1.08:1のモル比となるように混合し、原料混合物を得た。得られた原料混合物を大気雰囲気下、850℃で2.5時間焼成し、引き続き960℃で8時間焼成し、焼結体を得た。得られた焼結体を粉砕し、乾式篩を通した。これにより、組成式Li1.08Ni0.5Co0.2Mn0.3で表される組成を有し、平均粒径が17μmであるリチウム遷移金属複合酸化物を得た。
得られたリチウム遷移金属複合酸化物と、モリブデン酸マグネシウム(MgMoO)とを、モリブデン酸マグネシウムがリチウム遷移金属複合酸化物に対してモリブデンとして0.5mol%となるよう高速せん断ミキサーで混合して、正極組成物E1を得た。
(正極の作製)
得られた正極組成物E1を用いて正極を作製した。具体的には、92質量部の正極組成物E1と、3質量部のアセチレンブラックと、結着材として5質量部のポリフッ化ビニリデン(PVDF)とをN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを集電体であるアルミニウム箔の片面に塗布し、乾燥後、プレス機で正極活物質層の密度が2.8g/cmになるように圧縮成形し、サイズが15cmとなるように裁断して、実施例1の正極を得た。なお、正極活物質層の密度は、正極活物質層の厚みをマイクロメーターで測定して算出される正極活物質層の体積で、正極活物質層の質量を除して算出した。
[実施例2]
モリブデン酸マグネシウムの代わりにモリブデン酸コバルト(CoMoO)を用いたこと以外は実施例1と同様にして正極組成物E2を得た。次いでこれを用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例2の正極を得た。
[実施例3]
正極活物質層の密度が3.1g/cmになるように圧縮成形したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の正極を得た。
[実施例4]
正極活物質層の密度が3.1g/cmになるように圧縮成形したこと以外は実施例2と同様にして、実施例4の正極を得た。
[実施例5]
正極活物質層の密度が3.3g/cmになるように圧縮成形したこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の正極を得た。
[実施例6]
正極活物質層の密度が3.3g/cmになるように圧縮成形したこと以外は実施例2と同様にして、実施例6の正極を得た。
[実施例7]
正極活物質層の密度が3.5g/cmになるように圧縮成形したこと以外は実施例1と同様にして、実施例7の正極を得た。
[実施例8]
正極活物質層の密度が3.5g/cmになるように圧縮成形したこと以外は実施例2同様にして、実施例8の正極を得た。
[比較例1]
モリブデン酸マグネシウムの代わりにモリブデン酸リチウム(LiMoO)を用いたこと以外は実施例1と同様にして正極組成物C1を得た。次いでこれを用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例1の正極を得た。
[比較例2]
モリブデン酸マグネシウムを用いなかったこと以外は実施例1と同様にして正極組成物C2を得た。次いでこれを用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例2の正極を得た。
[比較例3]
正極活物質層の密度が3.1g/cmになるように圧縮成形したこと以外は比較例1と同様にして、比較例3の正極を得た。
[比較例4]
正極活物質層の密度が3.1g/cmになるように圧縮成形したこと以外は比較例2と同様にして、比較例4の正極を得た。
[比較例5]
正極活物質層の密度が3.3g/cmになるように圧縮成形したこと以外は比較例1と同様にして、比較例5の正極を得た。
[比較例6]
正極活物質層の密度が3.3g/cmになるように圧縮成形したこと以外は比較例2と同様にして、比較例6の正極を得た。
[比較例7]
正極活物質層の密度が3.5g/cmになるように圧縮成形したこと以外は比較例1と同様にして、比較例7の正極を得た。
[比較例8]
正極活物質層の密度が3.5g/cmになるように圧縮成形したこと以外は比較例2同様にして、比較例8の正極を得た。
[サイクル特性及び保存特性の評価]
(負極の作製)
97.5質量部の天然黒鉛と、結着剤として1.5質量部のカルボキシメチルセルロース(CMC)及び1.0質量部のスチレンブタジエンゴム(SBR)とを純水に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを集電体である銅箔に塗布し、乾燥後、プレス機で負極活物質層の密度が1.6g/cmになるように圧縮成形した後、サイズが16.64cmとなるように裁断して、負極を得た。
(非水電解質の調製)
エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)を体積比率3:7で混合して混合溶媒を得た。得られた混合溶媒に六フッ化リン酸リチウム(LiPF)をその濃度が、1mol/Lになるように溶解させて、非水電解質を調製した。
(非水系電解質二次電池の組み立て)
上記で作製した正極および負極の集電体に、それぞれリード電極を取り付けたのち120℃で真空乾燥を行った。次いで、正極と負極との間にセパレータを配し、袋状のラミネートパックにそれらを収納した。収納後60℃で真空乾燥して各部材に吸着した水分を除去した。真空乾燥後、ラミネートパック内に、上記非水電解液を注入、封止し、サイクル特性の評価用電池Aとしてのラミネートタイプの非水系電解質二次電池を得た。
(容量維持率の評価)
評価用電池Aを45℃の恒温槽に設置し、充電電圧4.25Vで定電圧充電を行った。充電後、放電電圧2.75Vで定電圧放電を行い、1サイクル目の放電容量Qcyc(1)を測定した。以下充電と放電を繰り返し、最後に360サイクル目の放電容量Qcyc(360)を測定した。得られたQcyc(1)でQcyc(360)を除して360サイクル後の容量維持率Pcyc(=Qcyc(360)/Qcyc(1))(%)を算出した。表1から4に正極活物質層の密度ごとに、容量維持率をサイクル特性の評価指標として示す。
(モリブデン溶出率の評価)
360サイクル終了後の評価用電池Aから負極を取り出し、取り出した負極から負極活物質層を剥ぎ取り、剥ぎ取った負極活物質層を所定量の塩酸で洗浄した。得られる洗浄液中のモリブデンの含有量を誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置を用いて定量した。ICP発光分光分析装置で測定したモリブデン量を正極活物質層中に含有させたモリブデン量で除した値をモリブデン溶出率(%)とした。結果を正極活物質層の密度ごとに表1から4に示す。
(保存特性の評価)
評価用電池Aを用いてガス発生量の測定を行った。評価用電池Aを25℃の恒温槽に入れた後、充放電試験装置(TOSCAT-3100、東洋システム株式会社製)を用いて、2.75Vから4.3Vの条件にて3回充放電を行った。3回充放電の後に、上記充放電装置を用いて60℃にて、充電速度0.2Cでの4.3V定電流定電圧充電を120時間行った。評価用電池Aを25℃の雰囲気下で十分放冷した後、定電流定電圧充電前後での評価用電池Aの体積変化を測定し、定電流定電圧充電中のガス発生量(cm)を求めた。得られたガス発生量を正極組成物の質量で除した規格値について、モリブデン複合酸化物を含まず、正極活物質層の密度が2.8g/cmである比較例2における規格値を100(%)とした場合の各サンプルの規格値を相対ガス発生量(%)として算出した。なお、体積変化は、定電流定電圧充電前及び後の評価用電池Aの体積をアルキメデスの原理を用いて測定した後、その差分を計算することにより求めた。表1から4に正極活物質層の密度ごとに、相対ガス発生量(%)を保存特性の指標として示す。
[安全性の評価]
(非水電解質二次電池の組み立て)
上記の実施例5、実施例6、比較例5及び比較例6で得られた正極に、リード電極を取り付けたのち110℃で真空乾燥を行った。次いで、正極極板を多孔性ポリエチレンからなるセパレータで包み、袋状のラミネートパックにそれを収納しアルゴンドライボックスに入れた。アルゴンドライボックス中で、所定サイズに裁断した金属Li箔をリード付きSUS板に貼り付け、負極を得た。正極と負極の極板を配し、ラミネートパックに収納後、上記で得られた非水電解質を注入、封止し、安全性の評価用電池Bとしてラミネートタイプの非水電解質二次電池(単極セル)を得た。
(安全性評価)
作製した評価用電池Bを用いて示差走査熱量(DSC)測定を行って熱安定性を評価した。まず、評価用電池Bについて、充放電試験装置(TOSCAT-3100、東洋システム株式会社製)を用いて、2.75Vから4.5Vの条件にて3回充放電を行った後、25℃にて、充電速度0.2Cでの4.5V定電流定電圧充電を15時間行った。その後、評価用電池Bを充放電試験装置から取り出し、グローブボックス内で解体し、正極を取り出してその一部を切り出し(5mg)、非水電解液4μLと共にDSC用耐圧密閉パンに入れることでDSC測定用のサンプルを作製した。示差走査熱量計としては「EXSTAR6000」(セイコーインスツル社製)を使用し、60℃から385℃まで5℃/分の速度で昇温したときの250℃以下における発熱最大ピークの高さを測定した。表5に比較例6における発熱最大ピークの高さを100(%)とした場合の各サンプルの相対ピーク高さ(%)を安全性評価の指標として示す。
以上に示されるように、密度が2.4g/cm以上3.6g/cm以下であり、ニッケルを含むリチウム遷移金属複合酸化物と、特定のモリブデン複合酸化物と、導電助剤と、結着剤とを含む活物質層を有する電極を含む非水系電解質二次電池においては、サイクル特性を維持しつつ、保存特性が向上し、また、安全性に優れる。

Claims (10)

  1. 集電体と、前記集電体上に配置される活物質層とを備え、
    前記活物質層は、密度が2.4g/cm以上3.6g/cm以下であり、層状構造を有し、ニッケルを含むリチウム遷移金属複合酸化物と、モリブデン複合酸化物と、導電助剤と、結着剤とを含み、
    前記モリブデン複合酸化物は、アルカリ金属元素の含有率が1質量%以下であり、ジルコニウム、マグネシウム、コバルト、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、ニッケル、亜鉛およびマンガンからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素とモリブデンとを含み、
    前記リチウム遷移金属複合酸化物は、アルミニウムおよびマンガンの少なくとも一方である第一金属元素を組成に含み、組成におけるリチウム以外の金属の総モル数に対する第一金属元素のモル数の比が、0より大きく0.45以下である非水系電解質二次電池用電極。
  2. 前記リチウム遷移金属複合酸化物は、組成におけるリチウム以外の金属の総モル数に対するニッケルのモル数の比が、0.45以上0.95以下である請求項1に記載の非水系電解質二次電池用電極。
  3. 前記モリブデン複合酸化物は、モリブデン以外の金属元素が、ジルコニウム、マグネシウム、コバルト、ニッケル、亜鉛およびマンガンからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1または2に記載の非水系電解質二次電池用電極。
  4. 前記モリブデン複合酸化物は、モリブデン酸ジルコニウム、モリブデン酸マグネシウム、モリブデン酸コバルト、モリブデン酸ニッケル、モリブデン酸亜鉛およびモリブデン酸マンガンからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1から3のいずれか1項に記載の非水系電解質二次電池用電極。
  5. 前記活物質層は、前記モリブデン複合酸化物の前記リチウム遷移金属複合酸化物に対する含有比率が、0.05モル%以上2モル%以下である請求項1から4のいずれか1項に記載の非水系電解質二次電池用電極。
  6. 前記モリブデン複合酸化物は、モリブデン以外の金属の総モル数のモリブデンのモル数に対する比が0.4以上1.1以下である組成を有する請求項1から5のいずれか1項に記載の非水系電解質二次電池用電極。
  7. 前記リチウム遷移金属複合酸化物の体積平均粒径に対する前記モリブデン複合酸化物の体積平均粒径の比が、0.03以上50以下である請求項1からのいずれか1項に記載の非水系電解質二次電池用電極。
  8. 前記リチウム遷移金属複合酸化物は、リチウム以外の金属の総モル数に対するニッケルのモル数が0.3以上1以下である組成を有する請求項1からのいずれか1項に記載の非水系電解質二次電池用電極。
  9. 前記リチウム遷移金属複合酸化物は、下式で表される組成を有する請求項1からのいずれか1項に記載の非水系電解質二次電池用電極。
    LiNiCo
    (式中、0.95≦p≦1.5、0.3≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦0.45、0≦w≦0.05、x+y+z+w≦1、MはAl、MnおよびMgからなる群から選択される少なくとも1種であり、MはTi、Zr、W、Ta、NbおよびMoからなる群から選択される少なくとも1種である)
  10. 層状構造を有し、ニッケルを含むリチウム遷移金属複合酸化物を準備することと、
    ジルコニウム、マグネシウム、コバルト、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、ニッケル、亜鉛およびマンガンからなる群から選択される少なくとも1種の金属とモリブデンとを含むモリブデン複合酸化物を準備することと、
    前記リチウム遷移金属複合酸化物と、前記モリブデン複合酸化物と、導電助剤と、結着剤とを含む電極組成物を得ることと、
    前記電極組成物を集電体上に付与し、加圧して、密度が2.4g/cm以上3.6g/cm以下の活物質層を前記集電体上に形成することと、を含み、
    前記リチウム遷移金属複合酸化物は、アルミニウムおよびマンガンの少なくとも一方である第一金属元素を組成に含み、組成におけるリチウム以外の金属の総モル数に対する第一金属元素のモル数の比が、0より大きく0.45以下である非水系電解質二次電池用電極の製造方法。
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