JP7415789B2 - 作業機械、作業機械の制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、旋回体を駆動する油圧モーターを備える作業機械および作業機械の制御方法に関する。
クレーンまたは油圧ショベルなどの旋回系の作業機械は、旋回体および前記旋回体を駆動する油圧モーターを備える。さらに、前記作業機械は、周囲で作業する作業者に危険が及ぶことを防ぐ安全装置を備える。
例えば、前記作業機械が、周囲の作業者を検出する作業者センサーの検出結果および前記旋回体の旋回方向に基づいて危険度を判定し、前記危険度に応じて前記作業機械の停止、低速動作または動作維持を制御することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平4-52330号公報
ところで、前記クレーンにおいて、前記旋回体の急停止は、吊り荷の過大な横揺れに繋がり危険である。即ち、旋回中の前記旋回体を安全に停止させるためにはある程度の時間を要する。そのため、前記旋回体が始動する前に、前記旋回体の周辺の安全確認が十分に行われることが重要である。
但し、障害物が前記旋回体の周辺に存在する場合であっても、その障害物が前記旋回体と接触しない位置に存在する場合にまで前記旋回体の始動が禁止されると、前記クレーンの作業効率が悪化するおそれがある。
一方、前記障害物が前記旋回体と接触しない位置に存在する場合でも、吊り荷または前記吊り荷を吊り下げるロープを支持するブームが、前記障害物と接触する可能性がある。この場合、前記旋回体の始動の禁止とは異なる対応が必要である。
従って、安全性と作業効率との両立のためには、前記旋回体の近傍の領域とその周辺の領域とのそれぞれについて、前記障害物の検出に応じた対処が個別に実行されることが重要である。但し、コスト面において、前記障害物を検出するためのセンサーなどの検出装置の数は少ないことが望ましい。上記のような課題は、クレーンだけでなく、例えば油圧ショベルなどの他の作業機械においても同様に生じ得る。
本発明の目的は、極力少ないセンサーなどの検出装置を用いて、旋回体の近傍の領域とその周辺の領域とのそれぞれについて障害物の検出に応じた適切な対処を実行可能な作業機械および作業機械の制御方法を提供することにある。
本発明の一の局面に係る作業機械は、下部基体と、旋回体と、旋回モーターと、障害物検出装置と、駆動操作部と、制御装置と、を備える。前記旋回体は、前記下部基体の上部に旋回可能に設けられ、前記旋回体には、吊荷を吊り下げるロープを支持するブームが連結されている。前記旋回モーターは、前記旋回体を駆動する。前記障害物検出装置は、前記旋回体に設けられ、固有の監視範囲内において設定される指定領域に存在する障害物を検出する。前記駆動操作部は、前記旋回モーターの動作を指示する駆動操作を受け付ける。前記制御装置は、前記駆動操作に応じて前記旋回モーターの動作を制御する。前記制御装置は、第1旋回制御部と、第2旋回制御部と、を備える。前記第1旋回制御部は、前記旋回モーターが停止している場合に、前記旋回体を基準として設定される第1監視領域を前記指定領域として設定した上で、前記第1監視領域で前記障害物が検出されるか否かに応じて、前記駆動操作に応じた前記旋回モーターの始動を禁止するか許容するかを制御する。前記第2旋回制御部は、前記第1監視領域よりも前記旋回体から離れたところに設定される1つ以上の第2監視領域を前記指定領域として設定した上で、前記1つ以上の第2監視領域で前記障害物が検出されるか否かに応じて、前記旋回モーターの始動が許容された後における前記駆動操作に応じた前記旋回モーターの動作を制限するか否かを制御する。
本発明の他の局面に係る作業機械の制御方法は、前記下部基体と、前記旋回体と、前記旋回モーターと、前記障害物検出装置と、前記駆動操作部と、制御装置と、を備える作業機械を制御する方法である。前記作業機械の制御方法は、前記制御装置が実行する工程として、以下の第1工程および第2工程を含む。前記第1工程は、前記旋回モーターが停止している場合に、前記旋回体を基準として設定される第1監視領域を前記指定領域として設定した上で、前記第1監視領域で前記障害物が検出されるか否かに応じて、前記駆動操作に応じた前記旋回モーターの始動を禁止するか許容するかを制御する工程である。前記第2工程は、前記第1監視領域よりも前記旋回体から離れたところに設定される1つ以上の第2監視領域を前記指定領域として設定した上で、前記1つ以上の第2監視領域で前記障害物が検出されるか否かに応じて、前記旋回モーターの始動が許容された後における前記駆動操作に応じた前記旋回モーターの動作を制限するか否かを制御する工程である。
前記作業機械およびその制御方法によれば、極力少ないセンサーなどの検出装置を用いて、旋回体の近傍の領域とその周辺の領域とのそれぞれについて障害物の検出に応じた適切な対処を実行可能な作業機械および作業機械の制御方法を提供することが可能になる。
図1は、実施形態に係るクレーンの側面図である。 図2は、実施形態に係るクレーンにおける制御関連機器の構成を表すブロック図である。 図3は、実施形態に係るクレーンにおける制御装置の構成を表すブロック図である。 図4は、実施形態に係るクレーンにおけるTOFセンサーユニットの構成を表すブロック図である。 図5は、実施形態に係るクレーンにおける障害物検出装置および監視カメラの配置図である。 図6は、実施形態に係るクレーンにおける第1監視制御の手順の一例を表すフローチャートである。 図7は、実施形態に係るクレーンにおける第2監視制御の手順の一例を表すフローチャートである。 図8は、実施形態に係るクレーンにおける無効領域設定処理の手順の一例を表すフローチャートである。 図9は、実施形態に係るクレーンにおける第1監視領域を表す平面図である。 図10は、実施形態に係るクレーンにおける第2監視領域を表す平面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
[クレーン10の概略構成]
本発明の実施形態に係るクレーン10は、旋回系の作業機械の一例である。クレーン10は、吊り荷9を吊り上げつつ移動させる作業機械である。以下、クレーン10が移動式クレーンである場合の例について説明する。
図1に示されるように、クレーン10は、下部走行体11、上部旋回体12、ブーム21、フック30、起伏ロープ31および吊りロープ32を備える。上部旋回体12は、下部走行体11に旋回可能に支持される旋回フレームと、キャブ13と、ガントリ15と、ウインチ装置16と、カウンターウェイト17とを含む。ウインチ装置16は、第1ウインチ装置161および第2ウインチ装置162を含む。
ガントリ15は、上部旋回体12の前記旋回フレームから起立する状態で当該旋回フレームに固定されている。カウンターウェイト17は、上部旋回体12の前記旋回フレームに連結され、当該旋回フレームの後部に配置されている。
下部走行体11は、上部旋回体12を旋回可能に支持する台座部分である。上部旋回体12は、下部走行体11の上部に、下部走行体11に対し旋回可能に設けられている。上部旋回体12は、下部走行体11に設けられた旋回モーター441によって旋回駆動される(図2参照)。下部走行体11は、下部基体の一例である。
キャブ13は、操縦室である。キャブ13は、上部旋回体12の前記旋回フレームに連結され、当該旋回フレームの前部に配置されている。
上部旋回体12、ブーム21、フック30、起伏ロープ31および吊りロープ32は、一体に旋回する旋回部120を構成している。
旋回モーター441は、油圧モーターである。クレーン10は、旋回モーター441にブレーキ力を作用させる旋回ブレーキ装置440も備える(図2参照)。旋回ブレーキ装置440は、いわゆるネガティブブレーキであり、油圧が作用していない状況下で旋回モーター441にブレーキ力を作用させる。
図1に示されるクレーン10は移動式クレーンである。そのため、下部走行体11は、走行装置14を備える。走行装置14は、下部走行体11のフレームに連結されている。図1は、走行装置14がクローラー式の装置である例を示す。
ブーム21は、その根元部が上部旋回体12の前記旋回フレームに連結されていることにより、上部旋回体12に支持されている。ブーム21は、上部旋回体12の前記旋回フレームから一方向に延びるように形成され、吊り荷9を吊り下げる吊りロープ32を支持する。ブーム21は、上部旋回体12と連結された前記根元部を中心にして起伏可能である。
吊りロープ32は、ブーム21の先端部に設けられたブームポイントアイドラーシーブ22に掛けられている。起伏ロープ31は、ガントリ15の先端部に設けられたガントリシーブ23に掛けられている。
第1ウインチ装置161は、起伏ロープ31を介してブーム21を支える。また、第2ウインチ装置162は、吊りロープ32を介してフック30を支える。
第1ウインチ装置161は、起伏ロープ31の巻き取り、または、繰り出しを行うことにより、ブーム21の仰角を変更する。即ち、ブーム21は、第1ウインチ装置161および起伏ロープ31によって仰角を変更可能に駆動される。
第2ウインチ装置162は、吊りロープ32の巻き取り、または、繰り出しを行うことにより、フック30を昇降させる。
吊り荷9は、フック30に吊される。カウンターウェイト17は、ブーム21、フック30および吊り荷9の荷重とのバランスをとる。
図2に示されるように、クレーン10は、エンジン41、油圧ポンプユニット42、油圧制御弁43、パイロット圧弁43xおよび複数の油圧アクチュエータ44などの駆動系の機器と、操作装置5と、制御装置6と、表示装置7とを備える。
操作装置5および表示装置7などのヒューマンインターフェースのための装置は、キャブ13内に設けられている。さらに、クレーン10は、クレーン10が備える各種の機器の状態を検出する状態検出装置45、複数のカメラ46および映像切替器47も備える。
操作装置5は、操縦者の操作を受け付ける装置である。表示装置7は情報を表示する装置であり、例えば液晶表示ユニットなどのパネル表示装置である。また、表示装置7は、カメラ46により撮影される監視映像も表示可能である。
操作装置5は、乗降遮断装置51、旋回操作装置52、旋回ブレーキ操作装置53および操作入力装置54などを含む。
乗降遮断装置51は、乗降遮断レバー511を備える。乗降遮断装置51は、乗降遮断レバー511に対する2種類の操作に応じて、パイロット圧弁43xの状態を切り替えることを指示する信号を制御装置6へ出力する。制御装置6は、乗降遮断レバー511に対する操作内容に応じたパイロット圧制御信号をパイロット圧弁43xへ出力する。
旋回操作装置52は、中立位置から2方向へ変位可能な旋回レバー521を備える。旋回操作装置52は、駆動操作部の一例である。旋回操作装置52は、旋回レバー521に対する操作方向および操作量に応じて、旋回モーター441の回転方向および回転速度を指示する操作信号を制御装置6へ出力する。制御装置6は、旋回レバー521に対する操作内容に応じて油圧制御弁43のうち旋回モーター441に対応する部分を制御する。具体的には次の通りである。
本実施形態では、油圧制御弁43は、旋回切換弁と、一対の電磁比例弁と、を含む。油圧ポンプユニット42は、作動油を吐出するメインポンプと、パイロット油を吐出するパイロットポンプと、を含む。前記旋回切換弁は、前記メインポンプと旋回モーター441との間に介在している。前記旋回切換弁は、一対のパイロットポートを有するパイロット操作式の油圧切換弁である。旋回モーター441は、作動油の供給を受ける一対のポートを有する。前記一対の電磁比例弁は、前記パイロットポンプと、前記旋回切換弁の前記一対のパイロットポートとの間に介在している。前記一対の電磁比例弁の一方は、旋回切換弁の一対のパイロットポートのうちの一方と接続され、前記一対の電磁比例弁の他方は、旋回切換弁の一対のパイロットポートのうちの他方と接続されている。パイロット圧弁43xは、前記パイロットポンプと前記一対の電磁比例弁との間に介在している。
制御装置6は、旋回レバー521に対する操作方向および操作量に対応する前記操作信号の入力を受けると、前記一対の電磁比例弁のうち前記操作方向に対応する一方の電磁比例弁に前記操作量に応じた駆動制御信号を出力する。前記駆動制御信号が入力された前記一方の電磁比例弁は、前記駆動制御信号に応じたパイロット圧が前記旋回切換弁の前記一対のパイロットポートのうち前記一方の電磁比例弁に対応するパイロットポートに供給されることを許容するように開閉動作する。
旋回切換弁は、そのスプールが前記パイロットポートに応じた方向に前記パイロット圧に応じたストロークで変位することにより、旋回モーター441を駆動するための作動油をメインポンプから旋回モーター441の一対のポートのうちの一方に択一的に導くとともに、旋回モーター441に供給される作動油の流量である旋回流量を前記ストロークに対応した流量に調節する。
旋回ブレーキ操作装置53は、ブレーキボタン531を備える。旋回ブレーキ操作装置53は、ブレーキボタン531に対するON操作またはOFF操作に応じて、旋回ブレーキ装置440をブレーキON状態またはブレーキOFF状態に切り替えることを指示する信号を制御装置6へ出力する。
制御装置6は、ブレーキボタン531に対する操作内容に応じて、旋回ブレーキ装置440を前記ブレーキON状態または前記ブレーキOFF状態に切り替える。前記ブレーキON状態は、旋回モーター441にブレーキ力を作用する状態であり、前記ブレーキOFF状態は、旋回モーター441に対するブレーキ力を解除する状態である。
なお、前記ブレーキON状態は、旋回ブレーキ装置440のブレーキ状態を意味し、前記ブレーキOFF状態は、旋回ブレーキ装置440のブレーキ解除状態を意味する。また、ブレーキボタン531に対する前記ON操作および前記OFF操作は、それぞれブレーキ操作およびブレーキ解除操作の一例である。
操作入力装置54は、前記操縦者による情報入力を受け付ける。例えば、操作入力装置54は、表示装置7と一体に構成されたタッチパネルなどである。また、操作入力装置54が、前記操縦者の音声操作による情報入力を受け付ける装置であってもよい。
状態検出装置45は、荷重計451、起伏角度検出装置452、旋回角度検出装置453および障害物検出装置454などを含む。制御装置6は、状態検出装置45および操作装置5などの他の機器とCAN(Controller Area Network)などの車載ネットワーク100を通じて通信可能である。各種の状態検出装置45の検出結果は、車載ネットワーク100を通じて制御装置6へ伝送される。
荷重計451は、吊り荷9の重さを検出する。起伏角度検出装置452は、ブーム21の起伏角度、即ち、ブーム21の仰角を検出するセンサーを含む。旋回角度検出装置453は、上部旋回体12が下部走行体11の基準方向から旋回した角度を検出するセンサーを含む。
障害物検出装置454は、上部旋回体12を基準として予め設定される複数の監視領域T0に存在する障害物を検出する少なくとも1つのセンサーを含む。前記障害物は、主に人である。
本実施形態において、障害物検出装置454は、前方領域Ta0,左前方領域Tb0,左横領域Tc0,左後方領域Td0,右前方領域Te0,右横領域Tf0,右後方領域Tg0および下中央領域Th0からなる8つの監視領域T0それぞれに存在する前記障害物を個別に検出可能である。
前方領域Ta0,左前方領域Tb0,左横領域Tc0,左後方領域Td0,右前方領域Te0,右横領域Tf0および右後方領域Tg0は、上部旋回体12の周囲の領域である。以下の説明において、これら7つの監視領域T0のことを外周監視領域と称する場合がある。
一方、下中央領域Th0は、上部旋回体12の底部に形成されたメンテナンスホール12a内の領域である。
本実施形態において、障害物検出装置454は、7つの監視領域T0(前記外周監視領域)に対応する7つのTOF(Time of Flight)センサーユニット454a~454gと、下中央領域Th0に対応する人感センサー454hとを含む。
TOFセンサーユニット454a~454gの各々は、固有の監視範囲内において予め設定される指定領域に存在する前記障害物を検出するとともに、前記障害物の三次元の位置を検出する。
図4に示されるように、TOFセンサーユニット454a~454g各々は、赤外光を用いて、視野範囲における二次元の画素ごとの前記障害物までの距離を検出するTOFセンサー4541を含む。即ち、TOFセンサー4541は、前記視野範囲における前記障害物の三次元の位置を検出可能である。前記視野範囲は、前記固有の監視範囲の一例である。本実施形態では、各TOFセンサー4541は、上部旋回体12に取り付けられているが、TOFセンサー4541の取付位置は、上部旋回体12に限られない。
さらに、TOFセンサーユニット454a~454gの各々は、データ処理装置4542および通信インターフェイス4543を含む。通信インターフェイス4543は、車載ネットワーク100を通じて制御装置6などの他の機器と通信する装置である。
データ処理装置4542は、制御装置6から前記指定領域のデータを取得し、TOFセンサー4541により前記視野範囲における前記指定領域内で検出される前記障害物のうちTOFセンサー4541に最も近い前記障害物の位置の検出結果を、車載ネットワーク100を通じて制御装置6へ出力する。
TOFセンサー4541の検出結果の情報量が多いため、TOFセンサー4541の検出データがそのまま車載ネットワーク100で伝送されると、他のデータの通信に支障が生じ得る。データ処理装置4542による上記の処理により、障害物検出装置454の検出結果の伝送のための通信負荷が軽減される。
人感センサー454hは、下中央領域Th0に存在する人を検出する。人感センサー454hは、例えば赤外線センサーまたは光学式センサーなどである。なお、下中央領域Th0に存在する人は前記障害物の一例である。
複数のカメラ46は、上部旋回体12に配置され、8つの監視領域T0の映像を撮影する。本実施形態において、クレーン10は、8つの監視領域T0に対応する8つのカメラ46を備える。以下の説明において、カメラ46により撮影される監視領域T0の映像のことを監視映像と称する。なお、1つのカメラ46が複数の監視領域T0を撮影してもよい。
映像切替器47は、制御装置6から車載ネットワーク100を通じて伝送される映像選択信号に従って、8つの監視領域T0の監視映像を含む複数の候補映像のうちの1つの映像信号を表示装置7に出力する。即ち、制御装置6は、映像切替器47を制御することにより、前記複数の候補映像のうちの1つを表示装置7に表示させる。なお、制御装置6は、映像切替器47を制御することにより、前記複数の候補映像のうちの2つ以上の映像を表示装置7に表示させてもよい。
エンジン41は、油圧ポンプユニット42を駆動するディーゼルエンジンである。パイロット圧弁43xは、制御装置6から供給される前記パイロット圧制御信号に従って、ON状態(許容状態の一例)およびOFF状態(阻止状態の一例)の一方から他方に切り替わる。
パイロット圧弁43xは、前記ON状態において、油圧制御弁43(具体的には、油圧制御弁43の前記旋回切換弁)にパイロット圧を作用させ、前記OFF状態において、油圧制御弁43へのパイロット圧を遮断する。前記パイロット圧は、油圧ポンプユニット42の前記パイロットポンプから出力される圧油(パイロット油)の圧力である。具体的に、本実施形態では、パイロット圧弁43xは、乗降遮断レバー511に対する操作内容に応じて制御装置6から出力される前記パイロット圧制御信号によって前記ON状態と前記OFF状態との間で切り替わることが可能な電磁弁により構成される。
乗降遮断レバー511に対する2種類の操作は、パイロット圧弁43xを前記OFF状態に切り替えることを指示する操作、およびパイロット圧弁43xを前記ON状態に切り替えることを指示する操作である。
パイロット圧弁43xを前記ON状態に切り替えることを指示する操作は、旋回モーター441の動作準備を指示する準備操作の一例である。乗降遮断レバー511は、前記準備操作を受け付ける準備操作部の一例である。パイロット圧弁43xを前記OFF状態に切り替えることを指示する操作は、休止操作の一例である。
パイロット圧弁43xが前記OFF状態であることによって前記パイロット圧が油圧制御弁43に作用することが阻止されているときの油圧制御弁43は、制御装置6から上部旋回体12の旋回を指示する駆動制御信号を受信しても作動油を旋回モーター441などの油圧アクチュエータ44に供給できない。具体的には、パイロット圧弁43xが前記OFF状態に切り替わることにより前記パイロットポンプと前記一対の電磁比例弁との間のラインであるパイロットラインが遮断された場合、旋回レバー521に対する旋回操作に応じて制御装置6から前記駆動制御信号が前記一対の電磁比例弁の一方に入力されたとしても、旋回切換弁のパイロットポートにはパイロット圧が供給されない。従って、油圧制御弁43の旋回切換弁は、パイロット圧弁43xが前記OFF状態である場合には、前記メインポンプから吐出される作動油を旋回モーター441に供給することができない。後述するように、油圧制御弁43は、制御装置6の一部である旋回制御部63によって制御される。
本実施形態では、パイロット圧弁43xが前記OFF状態であることによって前記パイロット圧が油圧制御弁43するに作用することが阻止され、これにより、旋回モーター411が作動油の供給を受けることができないときの旋回モーター411の状態のことを休止状態と称する。旋回モーター411の状態が前記休止状態であるときには、旋回モーター411を旋回制御部63の制御により始動できない。即ち、前記休止状態は、旋回モーター411が制御装置6の旋回制御部63の制御により始動されることが阻止された状態である。
一方、パイロット圧弁43xが前記ON状態であることによって前記パイロット圧が油圧制御弁43に作用することが許容されているときの油圧制御弁43は、制御装置6から上部旋回体12の旋回を指示する駆動制御信号を受信したときに作動油を旋回モーター441などの油圧アクチュエータ44に供給することができる。具体的には、パイロット圧弁43xが前記ON状態に切り替わることにより前記パイロットラインの遮断が解除された場合、旋回レバー521に対する旋回操作に応じて制御装置6から前記駆動制御信号が前記一対の電磁比例弁の一方に入力されると、旋回切換弁のパイロットポートにはパイロット圧が供給される。従って、油圧制御弁43の旋回切換弁は、パイロット圧弁43xが前記ON状態である場合には、前記メインポンプから吐出される作動油を旋回モーター441に供給することができる。
本実施形態では、パイロット圧弁43xが前記ON状態であることによって前記パイロット圧が油圧制御弁43に作用することが許容され、これにより、旋回モーター411が作動油の供給を受けることができるときの旋回モーター411の状態のことを待機状態と称する。旋回モーター411の状態が前記待機状態であるときには、旋回モーター411を旋回制御部63の制御により始動することが可能である。即ち、前記待機状態は、旋回モーター411が制御装置6の旋回制御部63の制御により始動されることが可能な状態である。
また、後述するように、制御装置6の他の一部である主制御部61は、乗降遮断レバー511に対する操作に応じてパイロット圧弁43xを制御する。主制御部61およびパイロット圧弁43xは、前記準備操作に応じて、旋回モーター441の状態を前記休止状態から前記待機状態へ移行させる状態切替部の一例である。なお、乗降遮断レバー511の変位に応じてパイロット圧弁43xの状態を変化させる機械機構が、主制御部61の代わりに採用されてもよい。
油圧制御弁43は、制御装置6から供給される駆動制御信号に従って油圧アクチュエータ44への作動油の供給を制御する。但し、油圧制御弁43は、パイロット圧弁43xが前記ON状態であることによって前記パイロット圧が油圧制御弁43に作用することが許容されている状態においてのみ動作可能である。前記作動油は、油圧ポンプユニット42の前記メインポンプから供給される圧油である。
油圧アクチュエータ44は、上部旋回体12を回転駆動する旋回モーター441を含む。旋回モーター441は、油圧モーターである。さらに、油圧アクチュエータ44は、ウインチ装置16を駆動する他の油圧モーターも含む。旋回モーター441は、アクチュエータの一例である。上部旋回体12は、前記アクチュエータによって駆動される可動部の一例である。
制御装置6は、操作装置5に対してエンジン始動操作が行われることによりエンジン41を始動させる。さらに、制御装置6は、操作装置5に対する操作または各種の状態検出装置45の検出結果に応じて、油圧制御弁43などの制御対象へ制御信号を出力する。また、制御装置6は、表示装置7を制御する。
図3に示されるように、制御装置6は、MPU(Micro Processing Unit)601、RAM(Random Access Memory)602、不揮発性メモリー603および通信インターフェイス604などを備える。なお、RAM602および不揮発性メモリー603は、コンピューター読み取り可能な記憶装置である。
MPU601は、予め不揮発性メモリー603に記憶されたプログラムを実行することにより、各種のデータ処理および制御を実行するプロセッサーの一例である。
RAM602は、MPU601によって実行される前記プログラムおよびMPU601が導出もしくは参照するデータを一時記憶する揮発性のメモリーである。
不揮発性メモリー603は、MPU601によって実行される前記プログラムおよびMPU601が参照するデータを予め記憶する。例えば、不揮発性メモリー603がEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)またはフラッシュメモリーなどであることが考えられる。
通信インターフェイス604は、車載ネットワーク100を通じて状態検出装置45などの他の機器と通信する装置である。MPU601は、通信インターフェイス604を通じて状態検出装置45の検出結果を取得する。さらに、MPU601は、通信インターフェイス604を通じて他の機器へ制御信号を出力する。
制御装置6のMPU601が予め定められた制御プログラムを実行することにより、制御装置6は、主制御部61、状態判定部62、旋回制御部63および表示制御部64などとして動作する。
主制御部61は、車載ネットワーク100を通じて状態検出装置45の検出結果を取得する処理を実行する。さらに、主制御部61は、乗降遮断装置51に対する操作に応じてパイロット圧弁43xを前記パイロット圧OFF状態または前記パイロット圧ON状態に切り替える。
状態判定部62は、状態検出装置45の検出結果に基づいてクレーン10の各種の状態を判定する。旋回制御部63は、油圧制御弁43を制御することにより油圧アクチュエータ44における旋回モーター441の動作を制御する。旋回制御部63および油圧制御弁43は前記アクチュエータの動作を制御する駆動制御部の一例である。
表示制御部64は、操作入力装置54に対する操作に応じて出力画面データを生成し、前記出力画面データに従った画面を表示装置7に表示させる。さらに、表示制御部64は、映像切替器47を制御することにより表示装置7に表示させる前記監視映像を選択する。
その他、制御装置6は、不図示のウインチ制御部としても動作する。前記ウインチ制御部は、ウインチ装置16を駆動する油圧モーターを制御する。
ところで、クレーン10において、上部旋回体12の急停止は、吊り荷9の過大な横揺れに繋がり危険である。即ち、旋回中の上部旋回体12を安全に停止させるためにはある程度の時間を要する。そのため、上部旋回体12が始動する前に、上部旋回体12の周辺の安全確認が十分に行われることが重要である。
但し、前記障害物が上部旋回体12の周辺に存在する場合であっても、その障害物が上部旋回体12と接触しない位置に存在する場合にまで上部旋回体12の始動が禁止されると、クレーン10の作業効率が悪化するおそれがある。
一方、前記障害物が上部旋回体12と接触しない位置に存在する場合でも、吊り荷9または吊りロープ32を支持するブーム21が、前記障害物と接触する可能性がある。この場合、上部旋回体12の始動の禁止とは異なる対応が必要である。
従って、安全性と作業効率との両立のためには、上部旋回体12の近傍の領域とその周辺の領域とのそれぞれについて、前記障害物の検出に応じた対処が個別に実行されることが重要である。但し、コスト面において、前記障害物を検出するためのセンサーの数は少ないことが望ましい。
クレーン10において、制御装置6は、後述する第1監視制御および第2監視制御を実行する。これにより、クレーン10は、極力少ないセンサーを用いて、上部旋回体12の近傍の領域とその周辺の領域とのそれぞれについて前記障害物の検出に応じた適切な対処を実行可能である。
[第1監視制御]
以下、図6に示されるフローチャートを参照しつつ、前記第1監視制御の手順の一例について説明する。
制御装置6の主制御部61は、エンジン41が始動したときに前記第1監視制御を開始させる。エンジン41が始動したときに、旋回モーター441の状態は前記休止状態であり、旋回モーター441を含む油圧アクチュエータ44は停止している。
前記第1監視制御は、旋回モーター441を含む油圧アクチュエータ44が停止している状況下で実行される。以下の説明において、S101,S102などの符号は、前記第1監視制御における複数の工程の識別符号を表す。
<工程S101>
前記第1監視制御において、まず、旋回制御部63は、障害物検出装置454のTOFセンサーユニット454a~454gの各々について、上部旋回体12を基準として設定される第1監視領域T1を前記指定領域として設定する(図9参照)。
本実施形態では、工程S101の処理により、7つの監視領域T0(前記外周監視領域)の内側部分により構成される領域である7つの第1監視領域T1が前記指定領域として設定される。さらに、旋回制御部63は、下中央領域Th0も第1監視領域T1として取り扱う。
8つの第1監視領域T1は、8つの監視領域T0のうち、上部旋回体12を基準にして予め設定された円範囲Tx0の内側の領域である。この円範囲Tx0は、平面視において、8つの監視領域T0の少なくとも一部に重なるように設定されている。図9および図10に示される例において、円範囲Tx0は、上部旋回体12の旋回中心P0を中心とする予め定められた半径の円による表される範囲である。
円範囲Tx0は、上部旋回体12が旋回するときに上部旋回体12が通過する範囲である。即ち、第1監視領域T1は、上部旋回体12が旋回するときに上部旋回体12と接触する可能性が高い前記障害物を検出するための領域である。
本実施形態において、前方領域Ta0、左前方領域Tb0および右後方領域Tg0の3つの監視領域T0は、上部旋回体12の左旋回方向に予め対応付けられている。これら3つの監視領域T0における3つの第1監視領域T1は、上部旋回体12が前記左旋回方向へ旋回するときに上部旋回体12と前記障害物との接触事故を特に警戒すべき領域である。
同様に、左後方領域Td0および右前方領域Te0の2つの監視領域T0は、上部旋回体12の右旋回方向に予め対応付けられている。これら2つの監視領域T0における2つの第1監視領域T1は、上部旋回体12が前記右旋回方向へ旋回するときに上部旋回体12と前記障害物との接触事故を特に警戒すべき領域である。
本実施形態において、障害物検出装置454は、上部旋回体12の2つの旋回方向に対応する5つの第1監視領域T1について個別に前記障害物を検出可能である。なお、前記右旋回方向および前記左旋回方向が、上部旋回体12の2つの旋回方向である。
工程S101の処理が実行されることにより、TOFセンサーユニット454a~454g各々において、データ処理装置4542は、制御装置6から第1監視領域T1を表すデータを前記指定領域のデータとして取得する。さらに、データ処理装置4542は、TOFセンサー4541により前記視野範囲における第1監視領域T1内で検出される前記障害物のうちTOFセンサー4541に最も近い前記障害物の位置の検出結果を制御装置6へ出力する。
なお、人感センサー454hは、前記指定領域の設定に関係なく、下中央領域Th0での人の検出結果を制御装置6へ出力する。
<工程S102>
次に、状態判定部62が、障害物検出装置454の検出結果を取得し、8つの第1監視領域T1内において前記障害物が検出されているか否かをそれぞれ判定する。
そして、状態判定部62は、8つの第1監視領域T1のうちの少なくとも1つの第1監視領域T1内で前記障害物が検出されていると判定する場合には処理を工程S103へ移行させる。一方、一方、状態判定部62は、8つの第1監視領域T1の何れにおいても前記障害物が検出されていないと判定する場合には処理を工程S109へ移行させる。
工程S102において、状態判定部62は、後述する無効領域設定処理によって複数の監視領域T0の一部が無効領域に設定されている場合、前記無効領域における前記障害物の検出結果を考慮に入れずに前記障害物の検出有無を判定する。
<工程S103>
工程S103において、旋回制御部63は、旋回インターロックフラグをONに設定し、処理を工程S104へ移行させる。前記旋回インターロックフラグは、旋回モーター441の始動を禁止するか許容するかを表すフラグである。
旋回モーター441が停止しているときで、かつ、旋回操作装置52が旋回レバー521に対する旋回操作を受け付けたときに、旋回制御部63は、前記旋回インターロックフラグがOFFである場合にのみ旋回モーター441を始動させる。即ち、前記旋回インターロックフラグがONであることは、旋回モーター441の始動を禁止することを意味し、前記旋回インターロックフラグがOFFであることは、旋回モーター441の始動を許容することを意味する。
前記旋回インターロックフラグをONに設定する工程S103の処理は、旋回モーター441の始動を禁止する旋回インターロック処理の一例である。
<工程S104>
工程S104において、状態判定部62は、旋回モーター441の状態が前記待機状態であるか前記休止状態であるかを判定する。
そして、状態判定部62は、旋回モーター441の状態が前記待機状態であると判定した場合に処理を工程S105へ移行させ、旋回モーター441の状態が前記休止状態であると判定した場合に処理を工程S112へ移行させる。
<工程S105>
工程S105において、状態判定部62は、旋回レバー521の位置が前記中立位置であるか否かを判定する。そして、状態判定部62は、旋回レバー521の位置が前記中立位置であると判定する場合に処理を工程S106へ移行させる。一方、状態判定部62は、旋回レバー521の位置が前記中立位置でないと判定する場合に処理を工程S107へ移行させる。
<工程S106>
工程S106において、表示制御部64が、第1自動映像出力を実行した上で、処理を工程S108へ移行させる。
前記第1自動映像出力は、障害物検出装置454による第1監視領域T1での前記障害物の検出に応じて、前記障害物が検出された第1監視領域T1に対応する前記監視映像を自動的に表示装置7に表示させるための処理である。
表示制御部64は、前記旋回インターロック処理により旋回モーター441の始動が禁止されており、かつ、旋回レバー521に対する前記旋回操作が行われていない場合に、工程S106の処理を実行する。
工程S106において、表示制御部64は、複数の第1監視領域T1のうちの2つ以上の第1監視領域T1で前記障害物がそれぞれ検出されている場合に、前記2つ以上の第1監視領域T1において検出された障害物のうち、上部旋回体12の旋回中心P0の位置に最も近い位置で検出されている障害物に対応する前記監視映像を表示装置7に表示させる。旋回中心P0の位置は、上部旋回体12における予め定められた基準位置の一例である。
例えば、TOFセンサーユニット454a~454gの各々のデータ処理装置4542が、TOFセンサー4541の位置を基準とする前記障害物の位置を表す一次座標データを旋回中心P0の位置を基準とする二次座標データへ変換し、前記二次座標データを制御装置6へ送信するように構成されていてもよい。
また、データ処理装置4542は、前記一次座標データを制御装置6へ送信するように構成され、主制御部61は、前記一次座標データを前記二次座標データへ変換するように構成されてもよい。
表示制御部64は、前記二次座標データに基づいて旋回中心P0の位置から各障害物までの距離を導出する。
工程S106の処理により、もし上部旋回体12が旋回したとすれば上部旋回体12と接触する可能性が高い最寄りの障害物の存在が、前記監視映像の表示によって速やかに前記操縦者に通知される。
<工程S107>
工程S107において、表示制御部64が、工程S106と同様に前記第1自動映像出力を実行した上で、処理を工程S108へ移行させる。
表示制御部64は、前記旋回インターロック処理により旋回モーター441の始動が禁止されている場合に、旋回レバー521に対して上部旋回体12の駆動を指示する前記旋回操作が行われたときに、図6の工程S107の処理を実行する。前記旋回操作は、前記アクチュエータの動作を指示する駆動操作の一例である。
表示制御部64は、工程S107において、複数の第1監視領域T1のうちの2つ以上の第1監視領域T1で前記障害物がそれぞれ検出されている状況下では、前記2つ以上の第1監視領域T1のうち、前記旋回操作による上部旋回体12の旋回の指示方向に対応する第1監視領域T1の前記監視映像を他の前記監視映像よりも優先して表示装置7に表示させる。
例えば、前記指示方向が左旋回方向である場合、表示制御部64は、前方領域Ta0、左前方領域Tb0および右後方領域Tg0の3つの監視領域T0の前記監視映像を他の監視映像よりも優先して表示装置7に表示させる。
同様に、前記指示方向が右旋回方向である場合、表示制御部64は、左後方領域Td0および右前方領域Te0の2つの監視領域T0の前記監視映像を他の監視映像よりも優先して表示装置7に表示させる。
工程S107の処理により、もし上部旋回体12が操縦者の意図に従った旋回方向へ旋回したとすれば旋上部旋回体12と接触する可能性が高い前記障害物の存在が、前記監視映像の表示によって速やかに前記操縦者に通知される。
なお、前記指示方向に対応する複数の第1監視領域T1で前記障害物がそれぞれ検出されている場合、表示制御部64は、前記指示方向に対応する前記複数の第1監視領域T1において検出された複数の障害物のうち、上部旋回体12の旋回中心P0の位置に最も近い位置で検出されている障害物に対応する前記監視映像を優先して表示装置7に表示させる。
<工程S108>
工程S108において、表示制御部64は、表示装置7および不図示のブザーを通じて、前記障害物の検出に対応する予め定められた警報を出力した上で、処理を工程S102へ移行させる。これにより、第1監視領域T1が前記指定領域として設定されたままの状態で、工程S102以降の処理が繰り返される。
なお、クレーン10は、監視領域T0ごとに設けられた不図示の複数の警報装置を備えていてもよい。この場合、工程S108において、主制御部61は、前記障害物が検出された監視領域T0に対応する前記警報装置を通じて危険通知処理を実行するように構成されていてもよい。例えば、危険通知の音を出力するスピーカーおよび危険通知の光を出射する警報ライトの一方または両方が、前記警報装置として採用される。
<工程S109>
工程S109において、状態判定部62は、複数の第1監視領域T1の何れにおいても前記障害物が検出されないと判定されてからの経過時間を計時するタイマーをスタートさせる。その後、状態判定部62は処理を工程S110へ移行させる。
<工程S110>
工程S110において、状態判定部62は、旋回モーター441の状態が前記待機状態であるか前記休止状態であるかを判定する。
そして、状態判定部62は、旋回モーター441の状態が前記待機状態であると判定した場合に処理を工程S111へ移行させ、旋回モーター441の状態が前記休止状態であると判定した場合に処理を工程S112へ移行させる。
<工程S111>
工程S111において、状態判定部62は、旋回ブレーキ装置440が前記ブレーキON状態であるか前記ブレーキOFF状態であるかを判定する。
そして、状態判定部62は、旋回ブレーキ装置440が前記ブレーキON状態であると判定した場合に処理を工程S112へ移行させ、旋回ブレーキ装置440が前記ブレーキOFF状態であると判定した場合に処理を工程S113へ移行させる。
<工程S112>
工程S112において、表示制御部64は、表示装置7に表示させる映像を元の映像に戻した上で、処理を工程S102へ移行させる。これにより、第1監視領域T1が前記指定領域として設定されたままの状態で、工程S102以降の処理が繰り返される。
前記元の映像は、表示制御部64が前記障害物の検出に応じて自動的に前記監視映像を表示装置7に表示させる前に表示装置7に表示されていた映像である。
なお、前記監視映像が前記障害物の検出に応じて自動的に表示装置7に表示される前においては、その時点における表示装置7の映像の表示状態がそのまま維持される。
<工程S113>
工程S113において、旋回制御部63は、後述する第2監視制御を開始させる。前記第2監視制御が終了したとき、旋回制御部63は、処理を工程S101へ移行させる。これにより、第1監視領域T1が前記指定領域として再設定され(S101)、その後に工程S102以降の処理が繰り返される。
以上に示されるように、旋回制御部63は、少なくとも旋回モーター441が停止している状況下で第1監視領域T1において前記障害物が検出されている場合に、旋回モーター441の始動を禁止する前記旋回インターロック処理を実行する(図6の工程S101~S103を参照)。
前記旋回インターロック処理により、作業者が上部旋回体12の近傍の第1監視領域T1に存在する状況下で上部旋回体12が旋回することが回避される。
[第2監視制御]
次に、図7に示されるフローチャートを参照しつつ、前記第2監視制御の手順の一例について説明する。
前記第2監視制御は、旋回モーター441を含む油圧アクチュエータ44が停止している状況下で、旋回モーター441の状態が前記待機状態であり、かつ、旋回ブレーキ装置440が前記ブレーキOFF状態であるときに開始される。以下の説明において、S201,S202などの符号は、前記第2監視制御における複数の工程の識別符号を表す。
<工程S201>
前記第2監視制御において、まず、旋回制御部63は、障害物検出装置454のTOFセンサーユニット454a~454gの各々について、第1監視領域T1よりも上部旋回体12から離れたところに予め設定される第2監視領域T2を前記指定領域として設定する(図10参照)。
本実施形態では、工程S201の処理により、7つの監視領域T0(前記外周監視領域)から7つの第1監視領域T1を除いた残りの部分、すなわち、7つの監視領域T0の外側部分により構成される領域である7つの第2監視領域T2が前記指定領域として設定される。これらの7つの第2監視領域T2は、7つのTOFセンサーユニット454a~454gにそれぞれ対応する領域である。
7つの第2監視領域T2は、8つの監視領域T0のうち、上部旋回体12を基準にして設定された円範囲Tx0の外側の領域である。
工程S201の処理が実行されることにより、TOFセンサーユニット454a~454g各々において、データ処理装置4542は、制御装置6から第2監視領域T2を表すデータを前記指定領域のデータとして取得する。さらに、データ処理装置4542は、TOFセンサー4541により前記視野範囲における第2監視領域T2内で検出される前記障害物のうちTOFセンサー4541に最も近い前記障害物の位置の検出結果を制御装置6へ出力する。
なお、前記第2監視制御において、人感センサー454hによる前記障害物の検出に対応する処理は特に実行されない。
<工程S202>
次に、状態判定部62は、障害物検出装置454の検出結果を取得し、7つの第2監視領域T2において前記障害物が検出されているか否かをそれぞれ判定する。
そして、状態判定部62は、7つの第2監視領域T2のうちの少なくとも1つの第2監視領域T2内で前記障害物が検出されていると判定する場合には処理を工程S203へ移行させる。一方、状態判定部62は、7つの第2監視領域T2の何れにおいても前記障害物が検出されていないと判定する場合には処理を工程S206へ移行させる。
工程S202において、状態判定部62は、前記無効領域設定処理によって複数の監視領域T0の一部が無効領域に設定されている場合、前記無効領域における前記障害物の検出結果を考慮に入れずに前記障害物の検出有無を判定する。前記無効領域設定処理については後述する。
<工程S203>
工程S203において、表示制御部64は、第2自動映像出力を実行した上で、処理を工程S204へ移行させる。
前記第2自動映像出力は、障害物検出装置454による第2監視領域T2での前記障害物の検出に応じて、前記障害物が検出された第2監視領域T2に対応する前記監視映像を自動的に表示装置7に表示させるための処理である。
工程S203において、表示制御部64は、複数の第2監視領域T2のうちの2つ以上の第2監視領域T2で前記障害物がそれぞれ検出されている場合に、前記2つ以上の第2監視領域T2において検出された障害物のうち、上部旋回体12の旋回中心P0の位置に最も近い位置で検出されている前記障害物に対応する前記監視映像を表示装置7に表示させる。
工程S203の処理により、第2監視領域T2から第1監視領域T1へ侵入する可能性がある前記障害物の存在が、前記監視映像の表示によって速やかに前記操縦者に通知される。
<工程S204>
工程S204において、旋回制御部63は、旋回モーター441の動作制限を設定し、処理を工程S205へ移行させる。前記動作制限の設定は、旋回モーター441の始動が許容された後における旋回操作装置52に対する旋回指示の操作(前記旋回操作)に応じた旋回モーター441の動作を制限するための処理である。前記動作制限は、旋回モーター441の始動の禁止以外の制限である。
例えば、旋回制御部63は、工程S204において旋回モーター441の回転速度を制限する速度制限処理を実行することにより前記動作制限を設定するように構成されていてもよい。具体的には、旋回制御部63は、前記速度制限処理において、速度制限フラグをONに設定することにより前記動作制限を設定する。旋回制御部63は、前記速度制限フラグがONに設定されている場合、予め定められた制限速度を超えない範囲内で、旋回操作装置52に対する旋回指示の操作(前記旋回操作)に応じて旋回モーター441を動作させる。
なお、旋回モーター441の回転速度の制限は、旋回モーター441または上部旋回体12の動作速度の実測値のフィードバックによって直接的に実現されてもよい。また、旋回モーター441の回転速度の制限は、旋回モーター441に対応する油圧制御弁43の開度の制限または旋回モーター441に作用する油圧の制限などによって間接的に実現されてもよい。
また、旋回制御部63は、工程S204において方向制限処理を実行することにより前記動作制限を設定するように構成されていてもよい。前記方向制限処理は、前記障害物が検出される第2監視領域T2に対応する旋回方向へ上部旋回体12を旋回させる旋回モーター441の動作を禁止する一方、前記障害物が検出されない第2監視領域T2に対応する旋回方向へ上部旋回体12を旋回させる旋回モーター441の動作を許容するための処理である。具体的には次の通りである。
上述したように、8つの監視領域T0のうち、前方領域Ta0、左前方領域Tb0および右後方領域Tg0の3つの監視領域T0は、上部旋回体12の2つの旋回方向の一方である左旋回方向に予め対応付けられ、左後方領域Td0および右前方領域Te0の2つの監視領域T0は、前記2つの旋回方向の他方である右旋回方向に予め対応付けられている。従って、前記3つの監視領域T0に対応する3つの第2監視領域T2は、左旋回方向に対応するように設定され、前記2つの監視領域T0に対応する2つの第2監視領域T2は、右旋回方向に対応するように設定されている。例えば、旋回制御部63は、前記3つの第2監視領域T2の少なくとも1つにおいて前記障害物が検出され、前記2つの第2監視領域T2の何れにおいても前記障害物が検出されない場合には、左旋回方向へ上部旋回体12を旋回させる旋回モーター441の動作を禁止する一方、右旋回方向へ上部旋回体12を旋回させる旋回モーター441の動作を許容する。
さらに、旋回制御部63は、前記速度制限処理と前記方向制限処理との両方を実行してもよい。この場合、旋回制御部63は、上部旋回体12を許容される旋回方向へ旋回させるときの旋回モーター441の回転速度を制限する。
<工程S205>
工程S205において、表示制御部64は、表示装置7および不図示のブザーを通じて、前記障害物の検出に対応する予め定められた警報を出力した上で、処理を工程S208へ移行させる。
なお、クレーン10が、前記複数の警告装置を備える場合、工程S205において、主制御部61は、複数の警告装置のうち前記障害物が検出された監視領域T0に対応する警告装置を通じて前記危険通知処理を実行するように構成されていてもよい。
<工程S206>
一方、工程S206において、表示制御部64は、工程S112と同様に、表示装置7に表示させる映像を前記元の映像に戻した上で、処理を工程S207へ移行させる。
なお、前記監視映像が前記障害物の検出に応じて自動的に表示装置7に表示される前においては、その時点における表示装置7の映像の表示状態がそのまま維持される。
<工程S207>
工程S207において、旋回制御部63は、旋回モーター441の動作制限を解除し、処理を工程S208へ移行させる。
<工程S208>
工程S208において、状態判定部62は、旋回レバー521が前記中立位置に存在するか否かを判定する。
そして、状態判定部62は、旋回レバー521が前記中立位置に存在すると判定する場合に処理を工程S209へ移行さる。一方、状態判定部62は、旋回レバー521が前記中立位置に存在していないと判定する場合に処理を工程S212へ移行させる。
<工程S209>
工程S209において、旋回制御部63は、前記旋回インターロックフラグをOFFに設定し、処理を工程S210へ移行させる。
旋回モーター441が停止中であり、前記旋回インターロックフラグがOFFである状況下で旋回操作装置52が旋回レバー521に対する旋回操作を受け付けたときに、旋回制御部63は、旋回モーター441を始動させる。
<工程S210>
工程S210において、状態判定部62は、旋回モーター441が停止中であるか否かを判定する。そして、状態判定部62は、旋回モーター441が停止中であると判定する場合に処理を工程S211へ移行させる。一方、状態判定部62は、旋回モーター441が停止中ではないと判定する場合に処理を工程S213へ移行させる。
<工程S211>
工程S211において、状態判定部62は、複数の第1監視領域T1の何れにおいても前記障害物が検出されないと判定されてから予め定められた許容時間が経過したか否かを判定する。
状態判定部62は、前記許容時間が経過したと判定する場合に前記第2監視制御を終了させる。これにより、図6に示される前記第1監視制御が再び実行される。
一方、状態判定部62は、前記許容時間が経過していないと判定する場合に処理を工程S202へ移行させる。これにより、第2監視領域T2が前記指定領域として設定されたままの状態で、工程S202以降の処理が繰り返される。
<工程S212>
工程S212において、表示制御部64は、表示装置7および不図示のブザーを通じて、操縦者に旋回レバー521を前記中立位置に戻すことを促すための通知である中立通知を出力し、処理を工程S202へ移行させる。
工程S208、S209およびS212の処理は、旋回モーター441が、インターロックの解除によって旋回レバー521の操作から遅れたタイミングで旋回モーター441が突然始動することを防ぐための処理である。
<工程S213>
工程S213の処理は、旋回モーター441が始動した後に実行される。工程S213において、状態判定部62は、予め定められた再開条件が成立するか否か判定しつつ待機する。
前記再開条件は、旋回モーター441が始動した後に前記第1監視制御を再開する条件であり、旋回モーター441が停止したことを必須条件として含む。例えば、前記再開条件は、旋回モーター441が停止し、さらに、旋回ブレーキ装置440が前記ブレーキON状態に変化したというブレーキON条件を含んでいてもよい。
また、前記再開条件は、旋回モーター441が停止した状態が予め定められた時間継続するという停止継続条件を含んでいてもよい。前記再開条件は、前記ブレーキON条件および前記停止継続条件のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
また、前記再開条件は、旋回モーター441の状態が前記待機状態から前記休止状態へ移行したという休止移行条件を含んでいてもより。前記再開条件は、前記ブレーキON条件、前記停止継続条件および前記休止移行条件のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
そして、状態判定部62は、前記再開条件が成立すると判定する場合に、処理を工程S214へ移行させる。
<工程S214>
工程S214において、旋回制御部63は、旋回モーター441の前記動作制限を解除し、前記第2監視制御を終了させる。これにより、図6に示される前記第1監視制御が再び実行される。
以上に示されるように、制御装置6の旋回制御部63は、旋回モーター441が停止している場合に、上部旋回体12を基準として設定される1つ以上の第1監視領域T1を前記指定領域として設定した上で、前記1つ以上の第1監視領域T1で前記障害物が検出されるか否かに応じて、旋回レバー521に対する旋回操作に応じた旋回モーター441の始動を禁止するか許容するかを制御する(図6の工程S101~S103および図7の工程S209を参照)。この制御を実行する旋回制御部63は、第1旋回制御部の一例である。
さらに、旋回制御部63は、第1監視領域T1よりも上部旋回体12から離れたところに設定される1つ以上の第2監視領域T2を前記指定領域として設定した上で、前記1つ以上の第2監視領域T2で前記障害物が検出されるか否かに応じて、旋回モーター441の始動が許容された後における旋回レバー521に対する旋回操作に応じた旋回モーター441の動作を制限するか否かを制御する(図7の工程S201、S202、S204、S207およびS209)。この制御を実行する旋回制御部63は、第2旋回制御部の一例である。すなわち、旋回制御部63は、第1旋回制御部と、第2旋回制御部とを含む。
即ち、制御装置6の旋回制御部63は、安全性と作業効率との両立のために、上部旋回体12の近傍の第1監視領域T1とその周辺の第2監視領域T2とのそれぞれについて、前記障害物の検出に応じた対処を個別に実行する。
具体的には、旋回制御部63の前記第1監視制御により、上部旋回体12が始動する前に、上部旋回体12の周辺の第1監視領域T1における安全確認が十分に行われる。
さらに、旋回制御部63の前記第2監視制御により、前記障害物が監視領域T0に存在する場合であっても、その障害物が上部旋回体12と接触しない第2監視領域T2に存在する場合にまで上部旋回体12の始動が禁止されることはない。そのため、クレーン10の作業効率の悪化が回避される。
但し、前記障害物が上部旋回体12と接触しない第2監視領域T2に存在する場合には、吊り荷9または吊りロープ32を支持するブーム21が、前記障害物と接触する可能性がある。この場合、旋回制御部63は、前記第2監視制御において、上部旋回体12の始動の禁止とは異なる対応として、旋回モーター441の動作を制限する(図7の工程S204を参照)。これにより、作業効率の低下が回避されつつ安全性が確保される。
また、TOFセンサーユニット454a~454g各々は、前記指定領域の設定変更によって第1監視領域T1と第2監視領域T2とについて個別に前記障害物を検出する。これにより、クレーン10は、極力少ないTOFセンサー4541を用いて、第1監視領域T1とその周辺の第2監視領域T2とのそれぞれについて前記障害物の検出に応じた適切な対処を実行可能である。
また、旋回制御部63は、旋回モーター441の動作が制限された状態で旋回モーター441が始動した場合、旋回モーター441が始動した後に旋回モーター441が停止したことを条件に旋回モーター441の動作の制限を解除する(図7の工程S213、S214を参照)。従って、操縦者の意図に反して上部旋回体12が加速することが回避される。
工程S213、S214の処理を実行する旋回制御部63は第2旋回制御部の一例である。なお、図7に示される例では、前記再開条件が、旋回モーター441の動作の制限を解除する条件を兼ねている。しかしながら、旋回モーター441の動作の制限を解除する条件が、前記再開条件とは別に判定されてもよい。
また、表示制御部64は、旋回モーター441の状態が前記待機状態であると判定されている場合に、前記障害物が検出された監視領域T0に対応する監視映像を自動的に表示装置7に表示させるための処理である前記第1自動映像出力または前記第2自動映像出力を実行する(図6の工程S104~S107、S110、S113および図7の工程S202、S203を参照)。
一方、表示制御部64は、旋回モーター441の状態が前記休止状態であると判定されている場合に、前記第1自動映像出力および前記第2自動映像出力を実行しない(図6の工程S104、S110、S112を参照)。
一般に、旋回モーター441の状態が前記休止状態に保持された状況下で、作業者が、クレーン10の上部旋回体12の周辺で各種の準備作業を行う。
従って、クレーン10においては、前記準備作業が行われるときに、障害物検出装置454が前記作業者を検出するたびに前記監視映像が自動的に表示装置7に表示されることがない。そのため、前記操縦者による表示装置7の画面での情報の確認作業が阻害されない。即ち、前記操縦者が映像表示の自動制御の機能を停止しなくても、表示装置7の表示内容が不必要に自動的に切り替わることが回避される。
一方、旋回モーター441の状態が前記待機状態であるときは、前記操縦者による映像制御の切替操作を要することなく、前記障害物の検出に応じた前記第1自動映像出力または前記第2自動映像出力が実行される。
また、表示制御部64は、旋回モーター441が停止中であり、旋回ブレーキ装置440が前記ブレーキON状態である場合に、前記第1自動映像出力を実行する(図6の工程S111、S102、S106、S107を参照)。前記第1自動映像出力は、第1監視領域T1での前記障害物の検出に応じた自動映像出力である。
一方、表示制御部64は、旋回モーター441が停止中であり、旋回モーター441の始動が禁止されていない状況下で旋回ブレーキ装置440が前記ブレーキOFF状態である場合に、前記第1自動映像出力を実行することなく、前記第2自動映像出力を実行する(図7の工程S209、S210、S211、S202、S203を参照)。前記第2自動映像出力は、第2監視領域T2での前記障害物の検出に応じた自動映像出力である。
一般に、操縦者は、上部旋回体12の周辺の状況の確認を終えて上部旋回体12の旋回開始を決断したときに、旋回ブレーキ装置440を前記ブレーキON状態から前記ブレーキOFF状態へ切り替える操作を行う。
従って、前記操縦者が上部旋回体12の周辺の状況を確認しているときに、表示制御部64は、前記第1自動映像出力を実行することによって前記操縦者の安全確認作業を適切に支援する。
一方、前記操縦者が上部旋回体12の旋回開始を決断してから上部旋回体12の旋回が開始するまでにおいて、表示制御部64は、前記第2自動映像出力を実行する。これにより、表示制御部64は、前記操縦者が次に行うべき第2監視領域T2の安全確認作業を、前記操縦者による切替操作を要することなく適切に支援する。
[無効領域設定処理]
図2に示すように、制御装置6は、無効領域設定部65をさらに備えていてもよい。この場合、制御装置6のMPU601が予め定められたプログラムを実行することにより、制御装置6の無効領域設定部65は無効領域設定処理を実行する。
以下、図8に示されるフローチャートを参照しつつ、無効領域設定部65により実行される前記無効領域設定処理の手順の一例について説明する。
前記無効領域設定処理は、障害物検出装置454の検出結果にかかわらず前記障害物が検出されていないと判定される領域を設定する処理である。
無効領域設定部65は、エンジン41が動作しており、かつ、旋回モーター441が停止しているときに前記無効領域設定処理を実行する。以下の説明において、S301,S302などの符号は、前記無効領域設定処理における複数の工程の識別符号を表す。
<工程S301>
前記無効領域設定処理において、無効領域設定部65は、前記障害物が検出されている監視領域T0の監視映像である注目映像を表示装置7が表示中であるか否かを判定する。
そして、無効領域設定部65は、表示装置7が前記注目映像を表示中であると判定する場合に処理を工程S302へ移行させる。一方、無効領域設定部65は、表示装置7が前記注目映像を表示中でないと判定する場合に処理を工程S304へ移行させる。
<工程S302>
工程S302において、無効領域設定部65は、前記注目映像が表示装置7に表示されている状況下において、操作入力装置54に対する予め定められた無効設定操作が検出されるか否かを判定する。
そして、無効領域設定部65は、操作入力装置54に対する前記無効設定操作が検出された場合に、処理を工程S303へ移行させ、前記無効設定操作が検出されない場合に、処理を工程S304へ移行させる。
<工程S303>
工程S303において、無効領域設定部65は、前記注目映像に対応する監視領域T0において検出されている前記障害物の位置を含む無効領域を設定する。その後、無効領域設定部65は、処理を工程S301へ移行させる。
例えば、無効領域設定部65は、前記注目映像に対応する第1監視領域T1または第2監視領域T2における、前記障害物の位置から予め定められた距離の範囲内の一部または当該範囲の全部の領域を前記無効領域として設定するように構成されていてもよい。
また、無効領域設定部65は、前記注目映像に対応する第1監視領域T1または第2監視領域T2の全体を、前記無効領域として設定するように構成されていてもよい。
前述したように、前記無効領域は、前記障害物の検出有無の判定の対象から除外される(図6の工程S102および図7の工程S202を参照)。
従って、前記無効領域が設定されている場合、旋回制御部63は、前記無効領域での前記障害物の検出に応じた旋回モーター441の始動の禁止または旋回モーター441の動作の制限を実行しない。即ち、旋回制御部63は、前記無効領域が設定されている場合には、前記無効領域での前記障害物の検出に応じた旋回モーター441の始動を禁止するための制御を実行しないように構成され、前記無効領域での前記障害物の検出に応じた前記旋回モーターの動作を制限するための制御を実行しないように構成される。
同様に、前記無効領域が設定されている場合、表示制御部64は、前記無効領域での前記障害物の検出に応じた前記第1自動映像出力または前記第2自動映像出力を実行しない。即ち、表示制御部64は、前記無効領域が設定されている場合には、前記無効領域での前記障害物の検出に応じた前記第1自動映像出力または前記第2自動映像出力を実行しないように構成される。
<工程S304>
工程S304において、無効領域設定部65は、予め定められた無効解除条件が成立するか否かを判定する。そして、無効領域設定部65は、前記無効解除条件が成立すると判定する場合に処理を工程S305へ移行させる。一方、無効領域設定部65は、前記無効解除条件が成立しないと判定する場合に工程S301からの処理を繰り返す。
前記無効解除条件は、前記無効領域の設定を解除するための条件である。例えば、前記無効解除条件は、前記再開条件における前記休止移行条件と同一の条件であってもよい。また、前記無効解除条件は、前記再開条件における前記ブレーキON条件および前記休止移行条件のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
<工程S305>
工程S305において、無効領域設定部65は、前記無効領域の設定を解除した上で、工程S301からの処理を繰り返す。
以上に示されるように、無効領域設定部65は、旋回モーター441が停止しているときに第1監視領域T1または第2監視領域T2で前記障害物が検出されており、かつ、前記障害物が検出されている領域の前記監視映像である前記注目映像が表示装置7に表示されている状況下で工程S302および工程S303の処理を実行する。
第1監視領域T1または第2監視領域T2で検出されている前記障害物は、TOFセンサーユニット454a~454gにおける前記指定領域または下中央領域Th0において検出されている前記障害物である。
工程S302および工程S303において、無効領域設定部65は、予め定められた前記無効設定操作が検出されたときに、表示装置7に表示されている前記注目映像に対応する第1監視領域T1または第2監視領域T2において検出されている前記障害物の位置を含む前記無効領域を設定する。
従って、クレーン10が動作する上で特に問題のない物が前記障害物として検出されている場合に、前記無効領域の設定によってクレーン10の作業効率の悪化を回避することができる。
また、操縦者が前記注目映像を確認可能な状況でのみ前記無効領域の設定が可能であるため、安全性も確保される。
さらに、無効領域設定部65は、予め定められた前記無効解除条件が成立したときに自動的に前記無効領域の設定を解除する(図8の工程S305を参照)。これにより、前記無効領域の設定が不必要に維持されることが回避され、安全性が確保される。
[第1応用例]
以下、クレーン10の第1応用例について説明する。本応用例に係るクレーンは、クレーン10における7つのTOFセンサーユニット454a~454gが、前記障害物の3次元の位置を計測するステレオカメラ装置に置き換えられた構成を備える。
前記ステレオカメラ装置は、監視領域T0を異なる方向から撮影する一対のカメラと、前記一対のカメラにより得られる一対の撮影画像に対する画像処理により物体(動く物体または静止する物体)の3次元の位置を導出する画像処理装置とを備える。
前記画像処理装置は、導出した前記3次元の位置が前記指定領域内である場合に、その3次元の位置を前記障害物の位置として制御装置6へ出力する。
本応用例において、前記ステレオカメラ装置における前記一対のカメラの一方が、前記監視映像を撮影するカメラ46を兼ねるように構成されていてもよい。
[第2応用例]
以下、クレーン10の第2応用例について説明する。本応用例に係るクレーンは、クレーン10における油圧ポンプユニット42、パイロット圧弁43xおよび油圧アクチュエータ44が、それぞれ発電機、給電回路、給電遮断回路および電動アクチュエータに置き換えられた構成を備える。本応用例において、旋回モーター441は電動モーターである。
前記発電機は、エンジン41によって駆動されることにより発電し、電力を前記給電回路および前記給電遮断回路へ供給する。
本応用例における旋回制御部63は、旋回操作装置52に対する前記旋回操作に従って前記給電回路から旋回モーター441などの前記電動モーターへの電力供給を制御する。前記給電遮断回路は、主制御部61による制御に従って、前記給電回路から旋回モーター441への給電ラインを遮断する遮断状態および前記給電ラインを接続する接続状態の一方から他方へ切り替わる。
主制御部61は、乗降遮断レバー511に対する遮断操作に応じて前記給電遮断回路を前記接続状態から前記遮断状態へ切り替え、乗降遮断レバー511に対する接続操作に応じて前記給電遮断回路を前記遮断状態から前記接続状態へ切り替える。
本応用例において、主制御部61および前記給電遮断回路は、乗降遮断レバー511に対する準備操作に応じて、旋回モーター441の状態を前記休止状態から前記待機状態へ移行させる状態切替部の一例である。なお、乗降遮断レバー511の変位に応じて前記給電遮断回路の状態を変化させる機械機構が、主制御部61の代わりに採用されてもよい。
なお、前記実施形態およびその応用例では、作業機械がクレーンであるが、前記作業機械は、油圧ショベルなどの他の作業機械であってもよい。
また、前記実施形態およびその応用例では、上部旋回体12が本発明における旋回体を構成するが、このような態様に限られない。前記旋回体は、例えば、上部旋回体12のうち、キャブ13、ガントリ15、ウインチ装置16およびカウンターウェイト17の少なくとも一つを除いた部分によって構成されていてもよい。
5 :操作装置
6 :制御装置
7 :表示装置
9 :吊り荷
10 :クレーン
11 :下部走行体
12 :上部旋回体
12a :メンテナンスホール
13 :キャブ
14 :走行装置
15 :ガントリ
16 :ウインチ装置
17 :カウンターウェイト
21 :ブーム
22 :ブームポイントアイドラーシーブ
23 :ガントリシーブ
30 :フック
31 :起伏ロープ
32 :吊りロープ
41 :エンジン
42 :油圧ポンプユニット
43 :油圧制御弁
43x :パイロット圧弁
44 :油圧アクチュエータ
45 :状態検出装置
46 :カメラ
47 :映像切替器
51 :乗降遮断装置
52 :旋回操作装置
53 :旋回ブレーキ操作装置
54 :操作入力装置
61 :主制御部
62 :状態判定部
63 :旋回制御部
64 :表示制御部
65 :無効領域設定部
100 :車載ネットワーク
120 :旋回部
161 :第1ウインチ装置
162 :第2ウインチ装置
440 :旋回ブレーキ装置
441 :旋回モーター
451 :荷重計
452 :起伏角度検出装置
453 :旋回角度検出装置
454 :障害物検出装置
454a~454g:センサーユニット
454h :人感センサー
511 :乗降遮断レバー
521 :旋回レバー
531 :ブレーキボタン
601 :MPU
602 :RAM
603 :不揮発性メモリー
604 :通信インターフェイス
4541 :TOFセンサー
4542 :データ処理装置
4543 :通信インターフェイス
P0 :旋回中心
T0 :監視領域
T1 :第1監視領域
T2 :第2監視領域
Ta0 :前方領域
Tb0 :左前方領域
Tc0 :左横領域
Td0 :左後方領域
Te0 :右前方領域
Tf0 :右横領域
Tg0 :右後方領域
Th0 :下中央領域
Tx0 :円範囲

Claims (10)

  1. 下部基体と、
    前記下部基体の上部に旋回可能に設けられ、吊荷を吊り下げるロープを支持するブームが連結された旋回体と、
    前記旋回体を駆動する旋回モーターと、
    前記旋回体に設けられ、固有の監視範囲内において設定される指定領域に存在する障害物を検出する障害物検出装置と、
    前記旋回モーターの動作を指示する駆動操作を受け付ける駆動操作部と、
    前記駆動操作に応じて前記旋回モーターの動作を制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、
    前記旋回モーターが停止している場合に、前記旋回体を基準として設定される第1監視領域を前記指定領域として設定した上で、前記第1監視領域で前記障害物が検出されるか否かに応じて、前記駆動操作に応じた前記旋回モーターの始動を禁止するか許容するかを制御する第1旋回制御部と、
    前記第1監視領域よりも前記旋回体から離れたところに設定される1つ以上の第2監視領域を前記指定領域として設定した上で、前記1つ以上の第2監視領域で前記障害物が検出されるか否かに応じて、前記旋回モーターの始動が許容された後における前記駆動操作に応じた前記旋回モーターの動作を制限するか否かを制御する第2旋回制御部と、を備える作業機械。
  2. 前記作業機械がクレーンである請求項1に記載の作業機械。
  3. 前記第2旋回制御部は、前記1つ以上の第2監視領域で前記障害物が検出される場合に、前記旋回モーターの回転速度を制限するための処理である速度制限処理を実行する、請求項1または請求項2に記載の作業機械。
  4. 前記1つ以上の第2監視領域は、前記旋回体の2つの旋回方向の一方に対応するように設定された一方の第2監視領域と、前記2つの旋回方向の他方に対応するように設定された他方の第2監視領域と、を含み、
    前記障害物検出装置は、前記一方の第2監視領域および前記他方の第2監視領域において個別に前記障害物を検出可能であり、
    前記第2旋回制御部は、前記一方の第2監視領域および前記他方の第2監視領域のうち前記障害物が検出される領域に対応する旋回方向へ前記旋回体を旋回させる前記旋回モーターの動作を禁止する一方、前記一方の第2監視領域および前記他方の第2監視領域のうち前記障害物が検出されない領域に対応する旋回方向へ前記旋回体を旋回させる前記旋回モーターの動作を許容するための処理である方向制限処理を実行する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の作業機械。
  5. 前記第2旋回制御部は、前記旋回モーターの動作が制限された状態で前記旋回モーターが始動した場合、前記旋回モーターが始動した後に前記旋回モーターが停止したことを条件に前記旋回モーターの動作の制限を解除する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の作業機械。
  6. 前記障害物検出装置は、前記指定領域における前記障害物の位置を検出することが可能なように構成され、
    前記作業機械は、
    映像を表示可能な表示装置と、
    無効領域設定部と、をさらに備え、
    前記無効領域設定部は、前記旋回モーターが停止しているときに前記指定領域で前記障害物が検出されており、かつ、前記障害物が検出されている前記指定領域の監視映像が前記表示装置に表示されている状況下において、予め定められた無効設定操作が検出されたときに無効領域を設定するように構成され、
    前記無効領域は、前記表示装置に表示されている前記監視映像に対応する前記指定領域において検出されている前記障害物の位置を含む領域であり、
    前記第1旋回制御部は、前記無効領域が設定されている場合には、前記無効領域での前記障害物の検出に応じた前記旋回モーターの始動の禁止するための制御を実行しないように構成され、
    前記第2旋回制御部は、前記無効領域が設定されている場合には、前記旋回モーターの動作を制限するための制御を実行しないように構成され、
    前記無効領域設定部は、予め定められた無効解除条件が成立したときに前記無効領域の設定を解除する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の作業機械。
  7. 前記旋回モーターの動作準備を指示する準備操作と予め定められた休止操作とを受け付ける準備操作部と、
    前記旋回モーターの状態を、前記準備操作に応じて休止状態から待機状態へ移行させ、前記休止操作に応じて前記待機状態から前記休止状態へ移行させることが可能なように構成された状態切替部と、をさらに備え、
    前記休止状態は、前記旋回モーターが前記制御装置の制御により始動されることが阻止された状態であり、
    前記待機状態は、前記旋回モーターが前記制御装置の制御により始動されることが可能な状態であり、 前記無効解除条件は、前記旋回モーターの状態が前記待機状態から前記休止状態へ移行したという条件を含む、請求項6に記載の作業機械。
  8. 前記障害物検出装置は、
    視野範囲における前記障害物の三次元の位置を検出するTOFセンサーと、
    前記制御装置から前記指定領域のデータを取得し、前記TOFセンサーにより前記視野範囲における前記指定領域内で検出される前記障害物のうち前記TOFセンサーに最も近い前記障害物の位置の検出結果を前記制御装置へ出力するデータ処理装置と、を備える、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の作業機械。
  9. 下部基体と、
    前記下部基体の上部に旋回可能に設けられ、吊荷を吊り下げるロープを支持するブームが連結された旋回体と、
    前記旋回体を駆動する旋回モーターと、
    前記旋回体に設けられ、固有の監視範囲内において設定される指定領域に存在する障害物を検出する障害物検出装置と、
    前記旋回モーターの動作を指示する駆動操作を受け付ける駆動操作部と、
    前記駆動操作に応じて前記旋回モーターの動作を制御する制御装置と、を備える作業機械の制御方法であって、
    前記制御装置が実行する工程として、
    前記旋回モーターが停止している場合に、前記旋回体を基準として設定される第1監視領域を前記指定領域として設定した上で、前記第1監視領域で前記障害物が検出されるか否かに応じて、前記駆動操作に応じた前記旋回モーターの始動を禁止するか許容するかを制御する工程と、
    前記第1監視領域よりも前記旋回体から離れたところに設定される1つ以上の第2監視領域を前記指定領域として設定した上で、前記1つ以上の第2監視領域で前記障害物が検出されるか否かに応じて、前記旋回モーターの始動が許容された後における前記駆動操作に応じた前記旋回モーターの動作を制限するか否かを制御する工程と、を含む作業機械の制御方法。
  10. 前記作業機械がクレーンである請求項9に記載の作業機械の制御方法。
JP2020086194A 2019-05-17 2020-05-15 作業機械、作業機械の制御方法 Active JP7415789B2 (ja)

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