JP7410324B2 - ロボット - Google Patents

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JP7410324B2 JP2022553863A JP2022553863A JP7410324B2 JP 7410324 B2 JP7410324 B2 JP 7410324B2 JP 2022553863 A JP2022553863 A JP 2022553863A JP 2022553863 A JP2022553863 A JP 2022553863A JP 7410324 B2 JP7410324 B2 JP 7410324B2
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Description

本発明は、産業用ロボット等のロボットに関する。
ロボットの関節部における減速機構ではグリースやオイルなどの潤滑剤が使用されている。このような潤滑剤に含まれる鉄粉の性状や含有状況と減速機構の損耗の程度との間には相関関係があることが知られている。このため、潤滑剤中の鉄粉の性状や含有状況に基づいて減速機構の内部破損その他の損耗状態を診断することが行われている。このような診断を行う目的で潤滑剤に含まれる鉄粉の大きさや濃度を観察するに際し、潤滑剤を一定量抜き取ることが行われている。なお、減速機構で使用される潤滑剤に関する問題に対応する種々の提案がある。例えば、潤滑剤が潤滑室内で熱膨張したり、他の物体との接触や衝突時によって潤滑室が変形したりしても外部に漏れ出すことを防止する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、減速機構の潤滑剤を交換する周期を延長してロボットの稼働率を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、潤滑剤粘度の温度依存性を利用して潤滑剤がオイル受け部材に垂れ落ちる量を加減し、より高温で低粘度の潤滑剤はオイル受け部材から長いオイル流路を廻るようにして冷却を促進し潤滑剤の温度を所定範囲に維持する技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2019-34383号公報 特開2020-41562公報 特開2015-161234号公報
ところで、減速機構の損耗状態を診断する目的で潤滑剤の鉄粉等の性状や含有状況を観察するには、潤滑室内での鉄粉等の濃度分布が均一であるときに潤滑剤を採取することが望ましい。潤滑剤中の鉄粉はロボットの稼働時には歯車や減速機など減速機構要素の回転・搖動によって攪拌され、濃度分布は比較的均一となりやすい。一方、潤滑剤を採取する際には作業者がロボットに近づくため、一般的にはロボットを停止させる必要がある。ロボットが停止していると鉄粉は重力によって潤滑室内を沈降していく。このため、ロボット停止後ある程度時間が経つと、潤滑室から潤滑剤を採取しても、潤滑剤中の鉄粉の分布状況を正確に把握することができない。特に潤滑剤がオイルなどの粘性が低いものである場合は、グリースなどの粘性が高いものである場合よりも鉄粉の沈降速度が速く、観察に適した採取が可能な時間は限られたものとなる。また、鉄粉は潤滑室下部に沈殿するため、潤滑剤の通常の採取作業におけるように、潤滑室の潤滑剤液面上から採取するのでは、鉄粉が沈殿している場所での採取が困難なものとなる。
そこで、ロボット停止後に時間が経過しても、潤滑剤に含まれる鉄粉状態の観察に適した形態で潤滑剤を採取できることが望まれている。
本開示のロボットの一態様は、第1アームと第2アームとの間に挟み込まれた減速機構を介して前記第1アームと第2アームとが相対変位するロボットアームの駆動部に設けられ、潤滑剤が収容される潤滑剤容器部と、前記潤滑剤容器部内の潤滑剤の液面下に設けられ鉛直方向上向きに凹形状をなす凹部を有する受け部材と、を含んで構成される。
一態様によれば、ロボット停止後に時間が経過しても、鉄粉の分布状況を観察するに適した形態で受け部材から潤滑剤を採取することが可能である。
本開示のロボットにおける減速機構と潤滑剤容器部を示す断面図である。 ロボットの潤滑剤容器部から受け部材に溜まった鉄粉を採取する様子を図1の一方のアーム側から見た図である。 ロボットの潤滑剤容器部から受け部材に溜まった鉄粉を採取する様子を図1と同じ視点で示す図である。 本開示の他の態様のロボットにおける一方のアームの姿勢と受け部材の凹部との関係を示す図である。 図4を側面視で示す断面図である。 図4のロボットにおける一方のアームが揺動した場合を示す図である。
図1は、本開示のロボットにおける減速機構と潤滑剤容器部を示す断面図である。
図1において、ロボット1における図示の部分は、第1アーム2と第2アーム3との間に挟み込まれた減速機構4を介して第1アーム2と第2アーム3とが相対変位するロボットアームの駆動部5を構成している。減速機構4には潤滑剤6が所定の液位まで収容される円筒状の潤滑剤容器部7が設けられている。潤滑剤容器部7内の潤滑剤6の液面8より下に潤滑剤6の中に分布する鉄粉を受けて溜める受け部材9が設けられている。受け部材9は鉛直方向上向きに凹形状をなす凹部10を有する。なお、第1アーム2と第2アーム3とが相対変位するときにも、第1アーム2と潤滑剤容器部7との相対位置は変化しない。
鉄粉は、減速機構4の要素である歯車や減速機(不図示)などが摩擦により損耗する際に発生して潤滑剤6中を浮遊し、ロボット1が稼働している間は減速機構4の要素の動きによって攪拌される。これにより潤滑剤6中の鉄粉はその濃度が均質に近い分布を示す。このとき受け部材9の凹部10上方に達した鉄粉の一部が受け部材9(その凹部10)に徐々に集積される。一方、ロボット1が停止すると、鉄粉は拡散されず、重力により潤滑剤容器部7内を沈降していく。次に、図1に、図2および図3を併せ参照して、受け部材9の凹部10に溜まった鉄粉を採取するための構成について説明する。
図2および図3は、ロボット1の潤滑剤容器部7から受け部材9に溜まった鉄粉を採取する様子を示す図である。図2は、ロボット1の減速機構4周りを第1アーム2側から側面視した図であり、図3は、図1と同じ視点で示す図である。図2および図3において、図1との対応部には同一の符号を附してある。潤滑剤容器部7には、受け部材9の凹部10に溜まった鉄粉を採取するための採取口11が設けられている。この場合、採取口11は、潤滑剤容器部7に潤滑剤6を供給しまたは排出するための給排出口を兼用している。この採取口11は、潤滑剤6の液面8より上方に設けられている。受け部材9は、図2の側面視において、給排出口である採取口11の鉛直下方に配置されている。本例では、受け部材9の凹部10の図2の側面視における左右方向の中央位置が、給排出口である採取口11の中心の鉛直下方に位置している。第1アーム2には外部から潤滑剤容器部7の採取口11に至る連通孔12が形成されている。
受け部材9に溜まった鉄粉を採取するに際しては、第1アーム2の連通孔12を通して、潤滑剤容器部7の採取口11から、その鉛直下方に位置している受け部材9に向けて鉄粉採取用のチューブ13を差し込む。受け部材9が潤滑剤容器部7の採取口11の鉛直下方に位置していることから、チューブ13の先端14を受け部材9の凹部10の底に接近したところまで容易に差し込むことができる。このようにチューブ13の先端14を差し込んだ状態で、サンプル採取用注射器などの吸い取り手段を用いて、受け部材9の凹部10に溜まった鉄粉を潤滑剤6と共に採取する。このようにして潤滑剤6と共に採取された鉄粉について、分布濃度や大きさその他の性状を分析することによって、ロボット1の減速機構4に関する損耗の程度を推定することができる。
図4から図6は、本開示の他の態様を示す図である。図4から図6のロボット1aは、図1から図3のロボット1の第1アーム2および第2アーム3に対応する第1アーム2aおよび第2アーム3aを有する。図4から図6に開示の態様では、潤滑剤容器部7は第1アーム2aと一体的に揺動する。図4は、本開示の他の態様のロボット1aにおける第1アーム2aの姿勢と受け部材9aの凹部10との関係を第1アーム2a側から見た図である。図5は、図4を側面視で示す断面図である。図6は、図4における第1アーム2aが揺動した場合を示す図である。図4から図6において、図1から図3との対応部には同一の符号を附して示してある。なお図4から図6の状態では、採取口11に至る連通孔12にはキャップ15が嵌装されている。
図4および図5は、第1アーム2aの長手方向の中心軸Lが鉛直方向の仮想軸Vと一致する姿勢にある場合を示している。ロボット1aの円筒状の潤滑剤容器部7における受け部材9aの凹部10は、中央の谷底部10bから傾斜面10aが側面断面視で対称に立ち上がったV字谷の形をなしている。第1アーム2aが図4の姿勢にあるとき、凹部10の谷底部10bは、上述の中心軸L(従って、仮想軸V)と、紙面に垂直な方向から見込んだ位置が一致している。凹部10の双方の傾斜面10aは、谷底部10bに接する水平面Hに対して傾斜角度θをなして中心軸Lに対称に立ち上がっている。
第1アーム2aが上述の図4および図5の姿勢にあるときには、受け部材9aの凹部10は、その全体が潤滑剤6の液面8の下に没している。第1アーム2aが、上述の図4および図5の姿勢から上述の傾斜角度θに対応する回転角の範囲内で揺動する場合には、凹部10の傾斜面10aは水平面Hより下向きに傾斜することがない。このため受け部材9aの凹部10に一旦捕集された鉄粉は、凹部10から略こぼれ出ることがない。
図6は、第1アーム2aが最大揺動角度Φだけ揺動した場合を示している。ここに、最大揺動角度Φは、第1アーム2aの長手方向の中心軸Lが鉛直方向の仮想軸Vとなす角度である揺動角度の最大値である。ロボット1aが通常の作動を継続しているときには、第1アーム2aは繰り返し図示の最大揺動角度Φに達する角度範囲まで揺動する。最大揺動角度Φは、上述の凹部10の双方の傾斜面10aにおける傾斜角度θよりも大きい。即ち、傾斜角度θは最大揺動角度Φよりも小さい。最大揺動角度Φは、例えば、100度程度である。
上述の傾斜角度θと最大揺動角度Φとの関係については、次のように要約することができる。即ち、凹部10は、中央の谷底部10bから対称にV字谷の形をなして立ち上がった傾斜面10aを有し、第1アーム2aが自己の長手方向(長手方向の中心軸L)が鉛直方向となる(鉛直方向の仮想軸Vと一致する)揺動角度が0のときの水平面Hに対する傾斜面10aの傾斜角度θが、第1アーム2aが揺動するときの最大揺動角度Φよりも小さい角度である。
第1アーム2aが最大揺動角度Φまで揺動すると、凹部10の傾斜面10aは水平面H(図4)より下向きに傾斜する。このため、受け部材9aの凹部10に一旦捕集された鉄粉は、自重によって凹部10からこぼれ出て落下する。第1アーム2aが最大揺動角度Φに達する角度範囲の揺動を繰り返すことによって、受け部材9aの凹部10に一旦捕集された鉄粉は、毎回の揺動の度に凹部10からこぼれ出て落下する。従って、ロボット1aが稼働している間は、潤滑剤6中の鉄粉が受け部材9aの凹部10に溜まることがない。このため、ロボット1aを停止して、受け部材9aの凹部10に溜まった鉄粉を図2および図3におけると同様にして採取すると、採取直前に潤滑剤6中に分布していた鉄粉が採取される。従って、採取時点での減速機構4の損耗の程度を忠実に反映した鉄粉の分布濃度や大きさその他の性状を分析することによって、ロボット1aの減速機構4に関する損耗の程度を高い確度で推定することができる。
以上、図1から図6を参照して説明した本開示のロボットの作用効果について次に要約する。
(1)本開示のロボット1,1aは、第1アーム2,2aと第2アーム3,3aとの間に挟み込まれた減速機構4を介して第1アーム2,2aと第2アーム3,3aとが相対変位するロボットアームの駆動部5に設けられ潤滑剤6が収容される潤滑剤容器部7と、潤滑剤容器部7内の潤滑剤6の液面8下に設けられ鉛直方向上向きに凹形状をなす凹部10を有する受け部材9,9aと、を備える。
上記(1)のロボットでは、ロボット1,1a停止後ある程度時間が経っても、潤滑剤容器部7の底部まで沈降してしまわずに受け部材9,9aで捕集された鉄粉を潤滑剤6と共に採取することができる。このようにして潤滑剤6と共に採取された鉄粉について、分布濃度や大きさその他の性状を分析することによって、ロボット1,1aの減速機構4に関する損耗の程度を推定することができる。
(2)本開示のロボット1,1aでは、その一態様において、受け部材9,9aは、潤滑剤容器部7に潤滑剤6を供給しまたは排出するために潤滑剤6の液面8より上方に設けられた採取口(給排出口)11の鉛直下方に配置されている。
上記(2)のロボット1,1aでは、受け部材9が潤滑剤容器部7の採取口11の鉛直下方に位置していることから、鉄粉採取用のチューブ13の先端14を受け部材9の凹部10の底に接近したところまで容易に差し込むことができる。このようチューブ13の先端14を差し込んだ状態で、サンプル採取用注射器などの吸い取り手段を用いて、受け部材9の凹部10に溜まった鉄粉を潤滑剤6と共に採取することが可能になる。
(3)本開示のロボット1aでは、受け部材9aは、第1アーム2aおよび第2アーム3aのうち少なくとも一方の該当アームである第1アーム2aと共に揺動するように設けられ、受け部材9aが第1アーム2aの搖動と連動して変位する際に、凹部10に一旦溜まった鉄粉が潤滑剤容器部7内に落下する。
上記(3)のロボット1aでは、稼働している間は、潤滑剤6中の鉄粉が受け部材9aの凹部10に溜まることがない。このため、ロボット1aを停止して、受け部材9aの凹部10に溜まった鉄粉を採取すると、採取直前に潤滑剤6中に分布していた鉄粉が採取される。従って、採取時点での減速機構4の損耗の程度を忠実に反映した鉄粉の分布濃度や大きさその他の性状を分析することによって、ロボット1aの減速機構4に関する損耗の程度を高い確度で推定することができる。
(4)本開示のロボット1aは、凹部10は、中央の谷底部10bから対称にV字谷の形をなして立ち上がった傾斜面10aを有し、鉛直方向に対する第1アーム2aの揺動角度が0のときの水平面Hに対する傾斜面10aの傾斜角度θが、鉛直方向に対する第1アームの最大揺動角度Φよりも小さい角度である。
上記(4)のロボット1aでは、第1アーム2aが最大揺動角度Φに達する角度範囲の揺動を繰り返すことによって、受け部材9aの凹部10に一旦捕集された鉄粉は、毎回の揺動の度に凹部10からこぼれ出て落下する。従って、ロボット1aが稼働している間は、潤滑剤6中の鉄粉が受け部材9aの凹部10に溜まることがない。このため、ロボット1aを停止して、受け部材9aの凹部10に溜まった鉄粉を採取すると、採取直前に潤滑剤6中に分布していた鉄粉が採取される。従って、採取時点での減速機構4の損耗の程度を忠実に反映した鉄粉の分布濃度や大きさその他の性状を分析することによって、ロボット1aの減速機構4に関する損耗の程度を高い確度で推定することができる。
尚、本開示は既述の実施形態には限定されるものではなく、種々、変形変更して実施可能である。例えば、上述の実施形態では、潤滑剤としてオイルやグリースなど適用することも可能である。また、ロボット1aでは、受け部材9aを第1アーム2aと共に揺動するように設けたが、第2アーム3aが揺動する構成のロボットの場合には、受け部材9aを第2アーム3aと共に揺動するように設けても良い。
その他、ロボット以外の減速機構その他の機械的摩擦を伴って稼働する装置における潤滑剤容器について上述同様の受け部材を設けるなど、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良も本開示に包摂される。
1,1a ロボット
2,2a 第1アーム
3,3a 第2アーム
4 減速機構
5 駆動部
6 潤滑剤
7 潤滑剤容器部
8 液面
9,9a 受け部材
10 凹部
10a 傾斜面
10b 谷底部
11 採取口(給排出口)
12 連通孔
13 チューブ
14 先端
15 キャップ

Claims (4)

  1. 第1アームと第2アームとの間に挟み込まれた減速機構を介して前記第1アームと第2アームとが相対変位するロボットアームの駆動部に設けられ、潤滑剤が収容される潤滑剤容器部と、
    前記潤滑剤容器部内の潤滑剤の液面下に設けられ、鉛直方向上向きに凹形状をなす凹部を有する受け部材と、を備えた、ロボット。
  2. 前記受け部材は、前記潤滑剤容器部に潤滑剤を供給しまたは排出するために前記液面より上方に設けられた給排出口の鉛直下方に配置されている、請求項1に記載のロボット。
  3. 前記受け部材は、前記第1アームと第2アームのうち少なくとも一方の該当アームと共に揺動するように設けられ、前記受け部材がこの該当アームの搖動と連動して変位する際に、前記凹部に一旦溜まった鉄粉が前記潤滑剤容器部内に落下する、請求項1または2に記載のロボット。
  4. 前記凹部は、中央の谷底部から対称にV字谷の形をなして立ち上がった傾斜面を有し、
    鉛直方向に対する前記該当アームの揺動角度が0のときの水平面に対する前記傾斜面の傾斜角度が、前記鉛直方向に対する前記該当アームの最大揺動角度よりも小さい、請求項3に記載のロボット。
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