JP7406834B2 - 銀微粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、銀微粒子の製造方法に関する。
近年、太陽電池、ディスプレイ、センサー等のアプリケーションにおいて、導電性部材のパターニング技術の向上が求められている。銀は高い導電性と耐酸化性を示すことから、配線及び電極等の導電性素材として広く用いられている。配線及び電極の微細化を達成するために、それらを形成するペースト剤に用いられる銀微粒子には、粒子径が適度に小さく、特に粒度が揃っていることが要求される。また、銀微粒子の製造には、経済性の観点から高い生産性が求められている。
配線及び電極形成向けのペースト剤用銀微粒子の製造方法としては、化学的手法による銀イオンを還元する湿式還元法(液相還元法)が主流である。特許文献1には、この湿式還元法による銀微粒子の製造方法として、反応溶液中にカチオン系界面活性剤を添加して、還元剤を用いて銀化合物を含有する原料溶液を還元して銀微粒子を製造する方法が記載されている。しかし、特許文献1のように湿式還元法をバッチ式で行う場合、そのバッチ内の温度勾配及び濃度勾配によって反応場が不均一となるため、均一な銀微粒子を得ることは難しい。
その問題を解決するために、特許文献2及び特許文献3では、連続式リアクターを用いて、2つの流路の一方に銀化合物を含有する流体を、他方に還元剤を含む流体を流して、2つの流路の合流部でそれら2つの流体同士を接触、混合させ、湿式還元法によって銀微粒子を析出させて銀微粒子を製造している。2つの流路を合流させることによって、2つの流体の混合が短時間で完了し、系内が均一な状態で反応が進行するため、均一な形状及び性状の銀微粒子が生成される。さらに、従来の反応容器を用いたバッチ式とは異なって、連続的に銀微粒子を生成できることから、生産性の観点からも有利である。
他方、無電解めっき技術が広く用いられている。銀鏡反応は、その無電解めっき技術の還元型の非触媒型に分類され、銀塩溶液と還元剤を混合して、被めっき体表面に銀めっきを形成させるものである。しかし、銀鏡反応における還元反応は、被めっき体表面だけではなく、めっき浴中でもめっき浴容器の壁面でも進行することが知られている。
そこで、特許文献2及び特許文献3の銀微粒子の製造方法でも、還元反応が、反応系中だけではなく、合流部及びその下流側の流路の内壁でも進行し、合流部及び流路の内壁に銀が付着して銀鏡が形成される。合流部及び流路の内壁で銀鏡が形成された場合、銀化合物が連続的に合流部及び流路に導入されるため、付着する銀は時間の経過と共に増加し、最終的には付着する銀によって合流部及び流路が閉塞されてしまうとの問題がある。そこで、定期的な合流部及び流路の洗浄又は交換が必要となり、設備生産性が低下する。
この問題に対しては、硝酸銀にアンモニアを添加してアンミン錯体としたアンモニア性硝酸銀を原料溶液とする方法が知られている。しかし、アンモニア性硝酸銀を用いているために、アンモニア臭がひどく、作業環境が非常に悪い。また、アンモニア性硝酸銀はアルコール等の還元性物質と接触したまま放置すると爆発性の雷銀を生じるという問題がある。このように、アンモニアを大量に使用するのは避けるべきである。
特許文献4には、クエン酸ソーダの存在下での銀微粒子の製造方法が記載されている。クエン酸は銀に対して保護剤となりうるが、クエン酸の銀イオンに対する配位力はアンモニアに比べて弱いため、連続式での湿式還元法において十分に銀の付着を防止することができない。
特許文献5及び特許文献6には、接近及び離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面間に形成される薄膜流体中で、反応液の混合を行う連続式の強制薄膜式リアクターを用いて、湿式還元法で銀微粒子を製造する方法が記載されている。この方法では、強制薄膜式リアクターの自己排出性により生成物による流路閉塞を防止でき、均一な微粒子を効率良く製造可能である。
しかし、銀微粒子の場合、強制薄膜式リアクターを用いても、合流部及び流路の内壁面に銀が一部析出することは避けられず、そこで、反応空間となる処理用面の形状及び表面材質が変化する。処理用面の形状及び表面材質の変化によって、その処理用面で生成される銀微粒子の形状及び性状も変化する。つまり、均一な銀微粒子を量産するために、銀微粒子を連続式で製造する場合には、たとえ強制薄膜式リアクターを使ったとしても、製造開始時点からの時間経過に伴って、処理用面への銀の付着が進行し、その結果、生成される銀微粒子の形状及び性状が変化していくとの問題があった。とりわけ、量産性を追求するために銀化合物を含む流体中の銀の濃度を高めた場合、より析出が生じやすくなるため、問題は一層深刻になる。
特開昭61-243105号公報 特開2005-048236号公報 特開2010-070793号公報 特開2006-045655号公報 WO2009/008390号公報 WO2012/165000号公報 特開2019-108610号公報 特開2011-021252号公報
上記の通り、強制薄膜式リアクター等の連続式リアクターを用いる連続式の湿式還元法によって銀微粒子を製造する場合、従来の製造方法では、合流部及び流路の内壁に銀が付着することは不可避である。その結果、時間の経過と共に、合流部及び流路の環境が変化するために、製造される銀微粒子の形状及び性状が予期せず変化する。そのため、連続処理の経過時間に対する均一性を担保する上で、銀微粒子の形状及び性状をコントロールすることが極めて困難であり、品質管理上の問題があった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、このような従来の問題点を解決し、連続式リアクターを用いた湿式還元法において、十分な連続生産性と品質の均一性を有し、大量のアンモニアの使用による作業環境の悪化及び爆発性の雷銀の生成の問題がない銀微粒子の製造方法を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究した結果、異なる流路から流入する複数の流体を混合させることで酸化還元反応によって連続的に銀微粒子を析出させる銀微粒子の製造方法において、意外にも、上記複数の流体のうちの少なくとも1つにアミノ酸が加えることで、合流部及びその下流側の流路の内壁での銀の付着が抑制され、銀微粒子を連続的に安定して均一に製造できることを見出して、本発明を完成した。
本発明で用いられるアミノ酸は、分子内に銀イオンに配位することができるアミノ基とカルボキシル基の2種類の官能基を有する。アミノ酸は、安全性が高く、取り扱いが容易な粉末の形態で入手可能であるため、アンモニアの代替物として効果的に利用可能である。
特許文献7には、炭素数が5以上で中性又は塩基性のアミノ酸を使用する、導電性ペースト用の銀微粒子の製造方法が開示されている。しかし、同製造方法では、生成する銀微粒子中にアミノ酸を残留させることにより、比較的低い温度で銀微粒子同士を焼結させて体積抵抗率が低い導電膜を形成できるようにすることを特徴とする。アミノ酸は銀イオンの錯化剤として用いるのではなく、銀微粒子中に残存させる不純物として用いている。また、実施例では原料として硝酸銀とアンモニア水から調製した銀アンミン錯体を用いており、銀イオンの錯化剤としてアンモニアを使用している。従って、従来技術と同様にアンモニア臭と爆発性の雷銀を生じるとの問題を依然として有している。
特許文献8には、アミノ酸と脂肪族ヒドロキシ酸金属塩とを含む水溶液中で銀微粒子を析出させる方法が開示されている。同方法は、X字型形状、花型形状等の特異な構造を有する銀微粒子を製造することを特徴としており、特定形状を有する一構成要素(凝集体)を形成するための銀粒子とアミノ酸からなる核の生成に、アミノ酸が用いられている。また、実施例では、撹拌を行わず還元剤水溶液を銀化合物混合水溶液に滴下して混合し、滴下完了後も低速で撹拌している。従って、特許文献8の銀微粒子の製造方法を、銀化合物と還元剤を連続して定量的に混合して短時間で反応させる連続式の湿式還元法に応用することはできない。
以上のように、特許文献7及び特許文献8で銀微粒子の製造にアミノ酸が使用されているが、これら特許文献の技術では、連続式リアクターを用いた湿式還元法において、十分な連続生産性と品質の均一性を有し、あるいは大量のアンモニアの使用による作業環境の悪化及び爆発性の雷銀の生成の問題がなく、銀微粒子を製造することはできない。かかる中で、本発明は、本発明の課題を解決し、連続式リアクターを用いた湿式還元法において、十分な連続生産性と品質の均一性を有し、大量のアンモニアの使用による作業環境の悪化及び爆発性の雷銀の生成の問題がない銀微粒子の製造方法を提供する。本発明は以下の通りである。
1.本発明の第1の態様は、
少なくとも2つの流体を異なる流路から導入して混合させることで、銀化合物に含まれる銀イオンを連続的に還元させて銀微粒子を析出させる銀微粒子の製造方法であって、
上記少なくとも2つの流体のうち、1つの流体には上記銀化合物が含まれ、その他の流体には還元剤が含まれ、
上記少なくとも2つの流体のうちの少なくとも1つの流体にアミノ酸が含まれることを特徴とする、銀微粒子の製造方法である。
2.本発明の第2の態様は、
上記アミノ酸によって銀鏡の生成を抑制する、上記の第1の態様に記載の銀微粒子の製造方法である。
3.本発明の第3の態様は、
上記銀化合物が含まれる流体に上記アミノ酸が含まれている、上記の第1又は第2の態様に記載の銀微粒子の製造方法である。
4.本発明の第4の態様は、
上記銀イオン1モルに対して、上記アミノ酸を0.1~4モル使用する、上記の第1~第3の態様のいずれかに記載の銀微粒子の製造方法である。
5.本発明の第5の態様は、
上記銀化合物が含まれる流体中の上記銀イオンの濃度が0.1~5質量%である、上記の第1~第4の態様のいずれかに記載の銀微粒子の製造方法である。
6.本発明の第6の態様は、
上記少なくとも2つの流体のうちの少なくとも1つの流体に分散剤が含まれる、上記の第1~第5の態様のいずれかに記載の銀微粒子の製造方法である。
7.本発明の第7の態様は、
上記アミノ酸がグリシンである、上記の第1~第6の態様のいずれかに記載の銀微粒子の製造方法である。
8.本発明の第8の態様は、
接近及び離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面の間で上記少なくとも2つの流体を混合する、上記の第1~第7の態様のいずれかに記載の銀微粒子の製造方法である。
9.本発明の第9の態様は、
アンモニアを使用しない、上記の第1~第8の態様のいずれかに記載の銀微粒子の製造方法である。
本発明の銀微粒子の製造方法によって、連続式リアクターを用いる連続式の湿式還元法において、連続式リアクターの合流部及び流路の内壁に銀が付着しない。そこで、時間の経過と共に、合流部及び流路の環境が変化することがなく、製造される銀微粒子の形状及び性状をコントロールすることができ、一定の品質の銀微粒子を製造することができる。
このように、本発明の銀微粒子の製造方法によって、連続式リアクターを用いた湿式還元法において、十分な連続生産性と品質の均一性を有し、大量のアンモニアの使用による作業環境の悪化及び爆発性の雷銀の生成の問題がなく、銀微粒子を製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の銀微粒子の製造方法は、少なくとも2つの流体を異なる流路から導入して混合させることで、銀化合物に含まれる銀イオンを連続的に還元させて銀微粒子を析出させる銀微粒子の製造方法であって、上記少なくとも2つの流体のうち、1つの流体には上記銀化合物が含まれ、その他の流体には還元剤が含まれ、上記少なくとも2つの流体のうちの少なくとも1つの流体にアミノ酸が含まれることを特徴とする、銀微粒子の製造方法である。
<銀微粒子の製造装置>
本発明で用いられる銀微粒子の製造装置としては、少なくとも2つの流路部を有し、合流部にて互いに接する構造を有する連続式リアクターが挙げられる。連続式リアクターにおける合流部の構造は特に限定されない。上記合流部で合流する流路として、例えば、Y字型管路、T字型管路、同軸二重管路等が利用可能である。また、合流部の下流側の流路に混合を促進する目的でスタティックミキサー及びインラインミキサーを設置してもよく、合流部にて機械的撹拌を行う機構を有してもよい。機械的撹拌を行う機構としては、各種せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波式等の撹拌機、又は溶解機、乳化機、分散機、破砕機、ホモジナイザー等を用いることができる。これらの連続式リアクターとしては、例えば、ウルトラタラックス(IKAジャパン株式会社製)、ホモミクサー(プライミクス株式会社製)、マイルダー(株式会社大平洋機工製)、ホモミックラインフロー(プライミクス株式会社製)、キャビトロン(株式会社ユーロテック製)、ファイン・フローミル(株式会社大平洋機工製)等の連続式乳化機、及びスラッシャ(日本コークス工業株式会社製)、トリゴナル(日本コークス工業株式会社製)等の破砕機、クレアミックス(エム・テクニック株式会社製)、クレアミックスディゾルバー(エム・テクニック株式会社製)、スイングスター(株式会社神鋼環境ソリューション製)、フィルミックス(プライミクス株式会社製)等の連続式撹拌機が挙げられる。
<強制薄膜式リアクター>
本発明における銀微粒子の製造装置の好ましい形態として、例えば、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2枚の処理用面の間において、少なくとも2種類の被処理流体を接触、混合することができる強制薄膜式リアクターが挙げられる。より詳細に説明すると、接近及び離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する第1処理用面と第2処理用面を有し、上記2つの処理用面の間に少なくとも2種類の被処理流体を導入し、第1処理用面と第2処理用面との間に付与される圧力により、第1処理用面と第2処理用面とを離反させる方向に作用する離反力を発生させ、処理用面同士を接近させる方向の圧力との圧力バランスによって第1処理用面と第2処理用面との間を微小な間隔に保ち、上記少なくとも2種類の被処理流体を、上記微小な間隔に保たれた第1処理用面と第2処理用面との間を通過させることによって、薄膜流体を形成させ、薄膜流体中で被処理流体同士を接触、混合することができる強制薄膜式リアクターが挙げられる。なかでも、本発明に用いられる強制薄膜式リアクターとしては、上記被処理流体の混合部位において、処理用面同士が一定の間隔を保ちつつ相対的に移動することで混合を促進する機構を有するものが好ましい。具体的には、例えば、特開2010-189661号公報に示されている、強制薄膜式の流体処理装置が好適に用いられる。
<銀化合物>
本発明に用いる銀化合物としては、例えば、銀化合物が含まれる流体に用いられる溶媒に溶解される1価、2価又は3価の銀化合物が挙げられ、好ましくは、1価の銀化合物が挙げられる。具体的には、硝酸銀、フッ化銀、硫酸銀、リン酸銀等が挙げられ、より好ましくは硝酸銀が挙げられる。銀化合物が含まれる流体中の銀イオンの濃度は、生産性を高めるため、例えば、0.1質量%以上が好ましい。また、銀イオンの濃度が高すぎると銀鏡の生成を抑制することが難しくなるため、例えば、5質量%以下であることが好ましい。銀イオンの濃度は、より好ましくは0.5質量%以上4.5質量%以下が挙げられ、さらに好ましくは1質量%以上4質量%以下が挙げられ、よりさらに好ましくは1.5質量%以上3質量%以下が挙げられる。
<還元剤>
本発明に使用する還元剤としては、銀化合物に含まれる銀イオンを還元し、銀微粒子を析出することができれば、如何なる還元剤でも用いることができる。好ましい還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、硫酸第一鉄、亜硫酸塩、アルカノールアミン、ギ酸、ヒドロキノン、ブドウ糖、ホルマリン、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、ヒドラジン化合物(硫酸ヒドラジニウム、塩化ヒドラジニウム等)等が挙げられる。これらの中で、例えば、ヒドラジン、ヒドラジン化合物等がより好ましい。還元剤の使用量としては、銀微粒子の反応収率を上げるため、銀イオンに対して1当量以上が好ましく、より好ましくは1当量以上20当量以下が挙げられ、さらに好ましくは1.5当量以上15当量以下が挙げられ、よりさらに好ましくは2当量以上10当量以下が挙げられる。なお、酸化還元反応では化合物間で電子の授受が行われ、銀イオンは1電子を受けて銀に還元される。上記の還元剤ごとに1分子から移動する電子数が異なり、例えば、ヒドラジンは還元反応で4電子が提供される。そこで、4電子が移動するヒドラジンが還元剤の場合は、銀イオンに対して1当量以上とは、銀イオン1モルに対してヒドラジンが0.25モル以上であることを表す。還元力が弱い還元剤を使用する場合には、銀イオンに対して2当量以上が好ましく、より好ましくは2当量以上50当量以下が挙げられ、さらに好ましくは5当量以上30当量以下が挙げられ、よりさらに好ましくは10当量以上20当量以下が挙げられる。還元剤が含まれる流体中の還元剤の濃度は、生産性を高めるため、例えば、1質量%以上が好ましい。また、還元剤の濃度が高すぎると銀微粒子が不均一になるため、例えば、50質量%以下であることが好ましい。より好ましい還元剤の濃度として、2.5質量%以上40質量%以下が挙げられ、さらに好ましくは5質量%以上25質量%以下が挙げられる。
<アミノ酸>
本発明におけるアミノ酸は、分子内に銀イオンに配位することができるアミノ基とカルボキシル基の2種類の官能基等を有する。そこで、アミノ基又はカルボキシル基等が銀イオンに配位した多種類の錯体の混合物が形成される。アミノ酸は、銀イオンと多種類の錯体の混合物を形成することによって、銀イオンを安定化し、銀イオンと還元剤との混合直後の還元速度を低減させて、連続式リアクターの合流部及び流路の内壁での銀鏡の生成が抑制され、合流部及び流路の内壁への銀の付着が抑制される。本発明において、作業環境の悪化及び爆発性の雷銀の生成の問題がある程度に大量のアンモニアを使用しないことが好ましい。アンモニアを使用しないことがより好ましい。
アミノ酸としては、例えば、α-アミノ酸、β-アミノ酸、それらの誘導体等が挙げられ、溶解度及びpKa等の物性に応じて適宜選択することができる。好ましいアミノ酸としては、例えば、α-アミノ酸が挙げられる。具体的なα-アミノ酸としては、例えば、グリシン、アルギニン、フェニルアラニン、グルタミン酸、バリン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン、アスパラギン酸、アラニン、プロリン、システイン、リシン(リジン)、トレオニン(スレオニン)、アスパラギン、セリン、メチオニン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、シトルリン、オルニチン等が挙げられる。より好ましいα-アミノ酸としては、グリシン、アルギニン、フェニルアラニン、グルタミン酸等が挙げられる。β-アミノ酸及びその誘導体等としては、例えば、β-アラニン、タウリン、クレアチン等が挙げられる。アミノ酸は単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。また、光学異性体が存在するアミノ酸についてはD体、L体又はそれらの混合物のいずれを用いても構わない。
アミノ酸の添加量としては、多すぎると還元の進行が阻害されるため、銀イオン1モル当たり5モル以下であることが好ましい。また、添加量が少なすぎると銀イオンが不安定になり、銀鏡の生成を抑制できなくなるため、銀イオン1モル当たり0.05モル以上であることが好ましい。より好ましいアミノ酸の添加量としては、例えば、銀イオン1モルに対して0.1モル以上4モル以下が挙げられ、さらに好ましくは0.2モル以上2モル以下が挙げられる。
本発明において、アミノ酸は、異なる流路から導入される少なくとも2つの流体のうち少なくとも1つに含まれる。好ましくは、アミノ酸は銀化合物が含まれる流体に含まれる。アミノ酸と銀化合物が共に同じ流体に含まれることで、銀イオンがアミノ酸と安定な錯体を形成し、錯体の状態で、還元剤と反応させることができる。なお、これに限らず、銀化合物を含む流体、還元剤を含む流体、アミノ酸を含む流体をそれぞれ別個の流路から導入して混合させる態様も本発明に含まれる。
<溶媒>
本発明において、上記銀化合物又は上記還元剤が含まれる流体に用いられる溶媒としては、上記銀化合物又は上記還元剤を溶解することができる溶媒であり、銀イオンの還元に問題を起こさない溶媒であれば、いかなるものも用いることができる。かかる溶媒としては、例えば、水、親水性溶媒、及びこれらの混合溶媒が挙げられ、好ましくは水、及び水と親水性溶媒の混合溶媒が挙げられ、より好ましくは水が挙げられる。塩化銀等の生成を避けるため、脱塩処理した水を用いることが望ましく、具体的には、イオン交換水、RO水(逆浸透水)、純水、超純水等が挙げられる。親水性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ポリエチレングリコール等のエーテル、酢酸等のカルボン酸等が挙げられる。好ましくは、メタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール等が挙げられる。例えば、分散剤等を均一に溶解するために水のみで不十分な場合、流路中を流通するのに必要な粘性を得るのに水のみで不十分な場合など、水と親水性溶媒の混合溶媒が好ましい。
<分散剤>
本発明の銀微粒子の製造方法において、分散剤を添加することも好ましい。分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、脂肪酸及びその塩、界面活性剤、有機金属化合物、キレート剤、高分子分散剤等が挙げられる。脂肪酸及びその塩としては、例えば、プロピオン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、リシノール酸及びこれらの塩が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の陰イオン性界面活性剤、アルキルピリジニウム塩、4級アルキルアンモニウム塩等の陽イオン性界面化成剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物が挙げられる。界面活性剤の具体例としては、例えば、アジスパー(登録商標、味の素ファインテクノ株式会社製)、Hypermer(登録商標、Croda社製)、Tween(登録商標)、Solplus(登録商標、日本ルーブリゾール株式会社製)、SNスパース(サンノプコ株式会社製)、フタージェント(登録商標、ネオス株式会社製)、ビューライト(登録商標、三洋化成工業株式会社製)、ペレックス(登録商標、花王株式会社製)、カオーセラ(登録商標)、ホモゲノール(登録商標)、プルロニック(登録商標、BASF社製)、カチオーゲン(登録商標、第一工業製薬株式会社製)、ハイテノール(登録商標)、プライサーフ(登録商標)、ノイゲン(登録商標)、エパン(登録商標)、ソルゲン(登録商標)、DKエステル(登録商標)、サーフィノール(登録商標、日信化学工業株式会社製)、メガファック(登録商標、DIC株式会社製)等が挙げられる。有機金属化合物としては、例えば、アセチルアセトントリブトキシジルコニウム、クエン酸マグネシウム、ジエチル亜鉛、ジブチルスズオキサイド、ジメチル亜鉛、テトラ-n-ブトキシジルコニウム、トリエチルインジウム、トリエチルガリウム、トリメチルインジウム、トリメチルガリウム、モノブチルスズオキサイド、テトライソシアネートシラン、テトラメチルシラン、テトラメトキシシラン、モノメチルトリイソシアネートシラン、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。
キレート剤としては、例えば、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、セレナゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、1H-1,2,3-トリアゾール、2H-1,2,3-トリアゾール、1H-1,2,4-トリアゾール、4H-1,2,4-トリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1H-1,2,3,4-テトラゾール、1,2,3,4-オキサトリアゾール、1,2,3,4-チアトリアゾール、2H-1,2,3,4-テトラゾール、1,2,3,5-オキサトリアゾール、1,2,3,5-チアトリアゾール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール等のアゾール系化合物又はその塩、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸等のジカルボン酸又はその塩、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸等が挙げられる。
高分子分散剤としては、種々のものが利用できるが、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン等のアミン系高分子分散剤、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等の分子中にカルボン酸基を有する炭化水素系高分子分散剤、ポバール(ポリビニルアルコール)、1分子中にポリエチレンイミン部分とポリエチレンオキサイド部分とを有する共重合体等の極性基を有する高分子分散剤等が挙げられる。高分子分散剤は、100,000以下の分子量のものが好ましい。市販品を使用することもでき、その市販品の例としては、例えば、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース41000(以上、日本ルーブリゾール株式会社製)、ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック166、ディスパービック170、ディスパービック180、ディスパービック181、ディスパービック182、ディスパービック183、ディスパービック184、ディスパービック190、ディスパービック191、ディスパービック192、ディスパービック2000、ディスパービック2001(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、フローレンDOPA-158、フローレンDOPA-22、フローレンDOPA-17、フローレンG-700、フローレンTG-720W、フローレン-730W、フローレン-740W、フローレン-745W(以上、共栄社化学株式会社製)、アジスパーPA111、アジスパーPB711、アジスパーPB811、アジスパーPB821、アジスパーPW911(以上、味の素ファインテクノ株式会社製)、ジョンクリル678、ジョンクリル679、ジョンクリル62(以上、BASF社製)等が挙げられる。
これらの分散剤は単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明において、分散剤は、異なる流路から導入される少なくとも2つの流体の少なくとも1つに含めることができる。分散剤が含まれることで、生成する銀微粒子が安定化され、合流部及び流路の内壁への銀の付着が抑制される。
分散剤の添加量としては、アミノ酸の銀イオンへの配位を阻害せず、本発明の効果に悪影響を与えない程度の添加量を用いることが好ましい。分散剤が含まれる流体中の分散剤の濃度は、例えば、0.0001質量%以上1質量%以下が挙げられ、好ましくは0.0005質量%以上0.5質量%以下が挙げられ、より好ましくは0.001質量%以上0.1質量%以下が挙げられる。
<pH調整剤>
原料由来の酸性度の違いを調整するため必要に応じて、pH調整剤を添加してもよい。pH調整剤としては、一般的な酸及び塩基を使用することができ、例えば、硝酸及び水酸化ナトリウム等が挙げられる。
<反応温度>
本発明の銀微粒子の製造方法において、少なくとも2つの流体を異なる流路から導入して混合させて銀化合物に含まれる銀イオンを連続的に還元させる反応の反応温度としては、用いる溶媒が凝固し、又は気化しない温度が挙げられる。好ましい反応温度としては、例えば、5℃以上80℃以下が挙げられ、より好ましくは10℃以上60℃以下が挙げられ、さらに好ましくは15℃以上50℃以下が挙げられ、よりさらに好ましくは20℃以上40℃以下が挙げられる。
以下に、実施例及び比較例等を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら限定されるものではない。なお、「部」及び「%」とあるのは特に示さない限り、質量を基準とするものである。
<実施例1>
銀化合物として硝酸銀(キシダ化学株式会社製)250部、アミノ酸としてグリシン(関東化学株式会社製)111部(銀イオン1モルに対して1モル)、及びpH調整剤として60%硝酸(キシダ化学株式会社製)50部をイオン交換水9589部に添加し、空気雰囲気下、25℃で溶解し、銀化合物水溶液(1)とした。
還元剤としてヒドラジン・一水和物(関東化学株式会社製)150部、分散剤としてオレイン酸(関東化学株式会社製)をメタノールに溶解した10%オレイン酸メタノール溶液5部をイオン交換水845部に添加し、空気雰囲気下、25℃で溶解し、還元剤水溶液(1)とした。
強制薄膜式リアクターULREA(エム・テクニック株式会社製)を使用し、第1流体として銀化合物水溶液(1)を500mL/分で、第2流体として還元剤水溶液(1)を50mL/分でそれぞれ送液し、500rpmで回転させたディスク間に導入して混合し、ディスク間から吐出液を回収し、銀微粒子を含むスラリーを得た。なお、各実施例において第1流体、第2流体の意味は、前述の特開2010-189661号公報に記載のものと同じである。
上記の条件にて強制薄膜式リアクターULREAを30分間連続して運転し、銀微粒子の製造を行った。なお、銀微粒子の評価のために、運転時間1分ごとに吐出液を分割して回収した。運転終了後、使用後のディスクの処理用面を確認したところ、銀の付着は見られなかった。
スラリーに含まれる銀微粒子を、硬質濾紙(目開き1μm)を用いた減圧濾過により濾過後の残渣を、イオン交換水で3回水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。得られた銀粉を分割した運転時間ごとに走査型電子顕微鏡(商品名JSM-7500F、日本電子株式会社製)により倍率10,000倍で観察した。観察した銀微粒子50個の粒子径の平均値を算出したところ、粒子径は0.7μm程度であり、上記強制薄膜式リアクターの運転開始から運転終了まで粒子径・形状に違いが見られないことが確認された。
<実施例2>
銀化合物として硝酸銀(キシダ化学株式会社製)250部、アミノ酸としてL-アルギニン(富士フイルム和光純薬式会社製)52部(銀イオン1モルに対して0.2モル)、pH調整剤として60%硝酸(キシダ化学株式会社製)5部をイオン交換水9693部に添加し、空気雰囲気下、25℃で溶解し、銀化合物水溶液(2)とした。
還元剤としてヒドラジン・一水和物(関東化学株式会社製)100部、分散剤としてオレイン酸(関東化学株式会社製)をメタノールに溶解した10%オレイン酸メタノール溶液5部をイオン交換水895部に添加し、空気雰囲気下、25℃で溶解し、還元剤水溶液(2)とした。
強制薄膜式リアクターULREA(エム・テクニック株式会社製)を使用し、第1流体として銀化合物水溶液(2)を500mL/分で、第2流体として還元剤水溶液(2)を50mL/分でそれぞれ送液し、500rpmで回転させたディスク間に導入して混合し、ディスク間から吐出液を回収し、銀微粒子を含むスラリーを得た。
上記2の条件にて強制薄膜式リアクターULREAを30分間連続して運転し、銀微粒子の製造を行った。なお、銀微粒子の評価のために、運転時間1分ごとに吐出液を分割して回収した。運転終了後、使用後のディスクの処理用面を確認したところ、銀の付着は見られなかった。
スラリーに含まれる銀微粒子を、硬質濾紙(目開き1μm)を用いた減圧濾過により濾過後の残渣を、イオン交換水で3回水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。実施例1と同様に得られた銀粉を走査型電子顕微鏡で観察したところ、銀微粒子の粒子径は0.6μm程度であり、運転開始から運転終了まで粒子径・形状に違いが見られないことが確認された。
<実施例3>
銀化合物として硝酸銀(キシダ化学株式会社製)250部、アミノ酸としてL-フェニルアラニン(富士フイルム和光純薬式会社製)243部(銀イオン1モルに対して1モル)、pH調整剤として60%硝酸(キシダ化学株式会社製)5部をイオン交換水9502部に添加し、空気雰囲気下、25℃で溶解し、銀化合物水溶液(3)とした。
還元剤としてヒドラジン・一水和物(関東化学株式会社製)225部、分散剤としてオレイン酸(関東化学株式会社製)をメタノールに溶解した10%オレイン酸メタノール溶液5部をイオン交換水770部に添加し、空気雰囲気下、25℃で溶解し、還元剤水溶液(3)とした。
強制薄膜式リアクターULREA(エム・テクニック株式会社製)を使用し、第1流体として銀化合物水溶液(3)を500mL/分で、第2流体として還元剤水溶液(3)を50mL/分でそれぞれ送液し、500rpmで回転させたディスク間に導入して混合し、ディスク間から吐出液を回収し、銀微粒子を含むスラリーを得た。
上記の条件にて強制薄膜式リアクターULREAを30分間連続して運転し、銀微粒子の製造を行った。なお、銀微粒子の評価のために、運転時間1分ごとに吐出液を分割して回収した。使用後のディスクの処理用面を確認したところ、銀の付着は見られなかった。
スラリーに含まれる銀微粒子を、硬質濾紙(目開き1μm)を用いた減圧濾過により濾過後の残渣を、イオン交換水で3回水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。実施例1と同様に得られた銀粉を走査型電子顕微鏡で観察したところ、銀微粒子の粒子径は1.2μm程度であり、運転開始から運転終了まで粒子径・形状に違いが見られないことが確認された。
<実施例4>
銀化合物として硝酸銀(キシダ化学株式会社製)250部、アミノ酸としてL-グルタミン酸(富士フイルム和光純薬式会社製)65部(銀イオン1モルに対して0.3モル)、pH調整剤として60%硝酸(キシダ化学株式会社製)5部をイオン交換水9680部に添加し、空気雰囲気下、25℃で溶解し、銀化合物水溶液(4)とした。還元剤水溶液は実施例1と同じものを調製して用いた。
強制薄膜式リアクターULREA(エム・テクニック株式会社製)を使用し、第1流体として銀化合物水溶液(4)を500mL/分で、第2流体として還元剤水溶液(1)を50mL/分でそれぞれ送液し、500rpmで回転させたディスク間に導入して混合し、ディスク間から吐出液を回収し、銀微粒子を含むスラリーを得た。
上記の条件にて強制薄膜式リアクターULREAを30分間連続して運転し、銀微粒子の製造を行った。なお、銀微粒子の評価のために、運転時間1分ごとに吐出液を分割して回収した。使用後のディスクの処理用面を確認したところ、銀の付着は見られなかった。
スラリーに含まれる銀微粒子を、硬質濾紙(目開き1μm)を用いた減圧濾過により濾過後の残渣を、イオン交換水で3回水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。実施例1と同様に得られた銀粉を走査型電子顕微鏡で観察したところ、銀微粒子の粒子径は0.9μm程度であり、運転開始から運転終了まで粒子径・形状に違いが見られないことが確認された。
<比較例1>
銀化合物として硝酸銀(キシダ化学株式会社製)250部、pH調整剤として60%硝酸(キシダ化学株式会社製)50部をイオン交換水9700部に添加し、空気雰囲気下、25℃で溶解し、銀化合物水溶液(5)とした。還元剤水溶液は実施例1と同じものを調製して用いた。
強制薄膜式リアクターULREA(エム・テクニック株式会社製)を使用し、第1流体として銀化合物水溶液(5)を500mL/分で、第2流体として還元剤水溶液(1)を50mL/分でそれぞれ送液し、500rpmで回転させたディスク間に導入して混合し、ディスク間から吐出液を回収し、銀微粒子を含むスラリーを得た。
上記の条件にて強制薄膜式リアクターULREAを3分間連続して運転し、銀微粒子の製造を行った。なお、銀微粒子の評価のために、運転時間1分ごとに吐出液を分割して回収した。使用後のディスクの処理用面を確認したところ、銀の付着が見られた。
スラリーに含まれる銀微粒子を、硬質濾紙(目開き1μm)を用いた減圧濾過により濾過後の残渣を、イオン交換水で3回水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。実施例1と同様に得られた銀粉を走査型電子顕微鏡で観察したところ、運転開始からの時間経過に伴い10μm以上の粗大粒子や0.1μm以下の微小粒子や形状が不定形な粒子が次第に増加し、粒子同士の癒着(ネッキング)も激しくなるなど、運転開始から運転終了までの間に粒子径・形状が大きく変化することが確認された。
<実施例5>
実施例1と同様に、銀化合物水溶液(1)及び還元剤水溶液(1)を調製して用いた。
外側管路の内径が8mm(外径10mm)、内側管路の内径が3mm(外径4mm)の同軸二重管路を使用して銀微粒子の製造を行った。第1流体として銀化合物水溶液(1)を同軸二重管路の外側管路に500mL/分で、第2流体として還元剤水溶液(1)を同軸二重管路の内側管路に50mL/分でそれぞれ送液し、同軸二重管路が合流して一重管路となる合流部にて接触、混合し、一重管路管路から吐出液を回収し、銀微粒子を含むスラリーを得た。
上記の条件にて30分間連続して銀微粒子の製造を行った。なお、銀微粒子の評価のために、運転時間1分ごとに吐出液を分割して回収した。運転終了後、使用後の同軸二重管路の合流部及び下流側の一重管路管路を確認したところ、銀の付着は見られなかった。
スラリーに含まれる銀微粒子を、硬質濾紙(目開き1μm)を用いた減圧濾過により濾過後の残渣を、イオン交換水で3回水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。実施例1と同様に得られた銀粉を走査型電子顕微鏡で観察したところ、銀微粒子の粒子径は0.9μm程度であり、運転開始から運転終了まで粒子径・形状に違いが見られないことが確認された。
<比較例2>
比較例1と同様に、銀化合物水溶液(5)及び還元剤水溶液(1)を調製して用いた。
外側管路の内径が8mm(外径10mm)、内側管路の内径が3mm(外径4mm)の同軸二重管路を使用して銀微粒子の製造を行った。第1流体として銀化合物水溶液(5)を同軸二重管路の外側管路に500mL/分で、第2流体として還元剤水溶液(1)を同軸二重管路の内側管路に50mL/分でそれぞれ送液し、同軸二重管路が合流して一重管路となる合流部にて接触、混合し、一重管路管路から吐出液を回収し、銀微粒子を含むスラリーを得た。
上記の条件にて10分間連続して銀微粒子の製造を行った。なお、銀微粒子の評価のために、運転時間1分ごとに吐出液を分割して回収した。運転終了後、使用後の同軸二重管路の合流部及び下流側の一重管路管路を確認したところ、銀の付着が見られた。
スラリーに含まれる銀微粒子を、硬質濾紙(目開き1μm)を用いた減圧濾過により濾過後の残渣を、イオン交換水で3回水洗し、乾燥させた後、解砕して、銀粉を得た。実施例1と同様に得られた銀粉を走査型電子顕微鏡で観察したところ、運転開始からの時間経過に伴い10μm以上の粗大粒子や0.1μm以下の微小粒子や形状が不定形な粒子が次第に増加し、粒子同士の癒着(ネッキング)も激しくなるなど、運転開始から運転終了までの間に粒子径・形状が大きく変化することが確認された。
表1に、実施例1~5及び比較例1と2の添加アミノ酸、運転時間、付着の有無、及び銀微粒子の粒子径・形状の経時変化をまとめたものを記載する。
Figure 0007406834000001
表1から分かるように、アミノ酸を添加しない比較例1及び比較例2では、強制薄膜式リアクターのディスクの処理用面や同軸二重管路の合流部及び下流側の一重管路管路への銀の付着が認められたが、アミノ酸を添加した実施例1~5では、銀の付着が認められなかった。また、比較例1及び2で認められた銀微粒子の粒子径・形状の経時変化は、実施例1~5では認められなかった。
このように、本発明の銀微粒子の製造方法では、連続式リアクターの合流部及び流路の内壁に銀が付着しない。その結果、時間の経過と共に、合流部及び流路の環境が変化することがなく、製造される銀微粒子の形状及び性状をコントロールすることができ、一定の品質の銀微粒子を製造することができる。従って、本発明の銀微粒子の製造方法によって、連続式リアクターを用いた湿式還元法において、十分な連続生産性と品質の均一性を有し、作業環境を悪化させるアンモニアを使用せずに銀微粒子を製造することできる。
本発明によって、連続式リアクターを用いた湿式還元法において、十分な連続生産性と品質の均一性を有し、大量のアンモニアの使用による作業環境の悪化及び爆発性の雷銀の生成の問題がない銀微粒子の製造方法を提供することできる。

Claims (6)

  1. 少なくとも2つの流体を異なる流路から導入して混合させることで、銀化合物に含まれる銀イオンを連続的に還元させて銀微粒子を析出させる銀微粒子の製造方法であって、
    上記少なくとも2つの流体のうち、1つの流体には上記銀化合物が含まれ、その他の流体には還元剤が含まれ、
    上記銀化合物が含まれる流体にアミノ酸が含まれ
    上記銀イオン1モルに対して、上記アミノ酸を0.1~4モル使用し、
    上記銀化合物が含まれる流体中の上記銀イオンの濃度が0.1~5質量%であることを特徴とする、銀微粒子の製造方法。
  2. 上記アミノ酸によって銀鏡の生成を抑制する、請求項1に記載の銀微粒子の製造方法。
  3. 上記少なくとも2つの流体のうちの少なくとも1つの流体に分散剤が含まれる、請求項1又は2に記載の銀微粒子の製造方法。
  4. 上記アミノ酸がグリシンである、請求項1~のいずれかに記載の銀微粒子の製造方法。
  5. 接近及び離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面の間で上記少なくとも2つの流体を混合する、請求項1~のいずれかに記載の銀微粒子の製造方法。
  6. アンモニアを使用しない、請求項1~のいずれかに記載の銀微粒子の製造方法。
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