JP6393344B2 - ナノ粒子の製造方法及び製造装置ならびにそれによって製造したナノ粒子 - Google Patents

ナノ粒子の製造方法及び製造装置ならびにそれによって製造したナノ粒子 Download PDF

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Description

本発明は、ナノ粒子の製造方法及び製造装置ならびにそれによって製造したナノ粒子に関する。さらに具体的には、ナノ粒子の成分を含む原料溶液を、その還元剤を含む溶液と共に反応液として反応管中を流通させ、前記反応管の少なくとも一部にマイクロ波を照射し、反応液の温度を設定温度に短時間で導き、前記原料溶液の還元反応を進行させるにあたり、前記反応管中の前記原料溶液の少なくとも一部に不活性ガスや水素などのガスを導入して、前記反応管の管壁に析出物が析出・付着するのを抑制し、目的とするナノ粒子を製造する方法及び製造装置ならびにそれによって製造したナノ粒子に関する。
本願は、2014年12月22日に、日本に出願された特願2014−258734号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、粒径が200nm(ナノメートル)以下のナノ粒子の研究・開発が盛んに行われ、多くの提案がなされている。例えば、金属ナノ粒子の原材料としての金属塩を溶解した溶液と前記金属塩の還元剤を含む溶液とを混合させた反応液を反応管の中に流通させ、その反応管の少なくとも一部にマイクロ波を照射して、反応管の中の反応液を還元反応に適した所定の温度まで加熱し、もって、金属塩を還元し、金属ナノ粒子を連続的に製造しようとする試みがその一例である。
例えば、金属塩としての硝酸銀とその還元剤を含む反応液をガラスや樹脂製の反応管の中に流通させ、反応液にマイクロ波を照射して加熱し、反応液の温度を還元反応に適した温度まで上昇させて、もって、硝酸銀の還元反応を行わせ、銀ナノ粒子を得ることが提案されている。しかし、前記硝酸銀の還元を続けようとすると、比較的短時間で反応管の内壁に銀が析出して付着してしまう。内壁に付着した銀はマイクロ波を反射するので、反応液にマイクロ波が吸収されず、反応液の温度が急激に低下してしまう。その結果、生成物の中に還元未反応の硝酸銀が多く混入してしまい、銀ナノ粒子の収率が低くなるという問題があった。そのほか、良質の銀ナノ粒子を製造することができなくなるなどの重大な問題があった。
ところが、反応管へのマイクロ波照射を利用して金属ナノ粒子の量産を試みる例がまだ多くないため、前記の問題を論じた特許文献は見当たらない。
特許文献1には、カプリン酸貴金属塩等を還元性溶媒である炭素数4〜8の一価アルコールで還元するときに、市販の電子レンジ等で反応液にマイクロ波をかけて加熱し、銀、金、白金などの貴金属ナノ粒子を製造することが記載されている。また、特許文献2には、脂肪酸銅塩を炭素数1〜40の炭化水素基を有する還元性溶媒で還元するときにマイクロ波を照射して反応液を加熱し、銅ナノ粒子を製造することが記載されている。特許文献1と2には前記反応液を入れて流通させる反応管に相当する記載がなく、特許文献1と2はバッチ処理を開示していると思われる。
特許文献3と4にはマイクロ波キャビティー中を通っている反応管の中に金属塩と分散剤と還元剤を含む反応液を流し、マイクロ波を反応液に照射して反応液を加熱しながら、金属ナノ粒子を連続的に製造することが記載されている。しかし、反応管内壁への金属の析出に関しては記載がない。
この他、多くの特許文献には、反応液にマイクロ波を照射することにより、反応液の均一で立ち上がりの速い温度上昇をもたらす効果が期待され、還元反応を効果的に進めることができると記載されている。そして、製造されるナノ粒子の粒径のバラツキが少なくなること、反応時間が短くなること、製造コストを低減できることなどが期待できると記載されている。
発明者らの実験では、金属塩と還元剤と分散剤を含む反応液を反応管に流し、マイクロ波照射による加熱の下で還元反応を促進させ、金属ナノ粒子を製造するときに、金属層が反応管の内壁に付着することが確認されている。特に、銀ナノ粒子の場合、そのレベルは深刻である。金属ナノ粒子の析出が反応管の壁面に生じると、反応管の壁面に生じた析出層がマイクロ波を反射する。その結果、発振器に損傷が生じたり、反応液の均一性の高い加熱ができなくなくなったり、加熱の効果が全く生じなくなるなどの問題を生じることが確認されている。
また、反応管に反応液を流しながら金属ナノ粒子を連続的に製造する場合に、前記のマイクロ波による加熱効果に問題が生じることが確認されている。そのほかに、反応管が目詰まりを起こし、反応液が流れなくなり、これにより、爆発を生じる危険性があったり、金属ナノ粒子の製造品質の著しい悪化を招いたり、反応管を取り替えなければならなくなったり、製造コストの上昇を招いたりするなど、大きな問題が生じることが確認されている。また、マイクロ波照射の利点が大きく損なわれてしまうという問題を生じることが確認されている。
しかし、マイクロ波を照射しながらナノ粒子を製造する場合に発生する前記問題の解決を図ろうとする提案は見あたらない。バッチ処理で反応液にマイクロ波を照射して反応液中の金属塩の還元反応を行わせるときに、容器の内壁に金属析出物が付着し、容器を破損させてしまうなどの問題が生じること、及びそれを解決する方法が特許文献5に記載されている。
特許文献5には、金属酸化物や金属水酸化物を有機溶媒で溶解した反応液をガラス容器内で還元し、金属ナノ粒子を生成することが開示されている。また、マイクロ波を用いて反応液の温度を高め、一定時間還元反応を続けると、金属微粒子が容器の内壁面に付着することが開示されている。また、その付着物がマイクロ波を吸収して加熱され、容器が局部的に高温になり、ガラスが破損する危険性が指摘されている。
これを解決するため、特許文献5では、1L(1リットル)のセパラブル容器に、マイクロ波を吸収し易い有機溶媒とマイクロ波を吸収し難い有機溶媒の混合溶媒を入れ、この混合溶媒に金属酸化物または金属水酸化物と金属元素に対して等モル量以下の有機修飾剤を添加し、得られた溶液に還元剤を加え、得られた反応液をマイクロ波で加熱して金属ナノ粒子を製造することが記載されている。マイクロ波を吸収し易い有機溶媒とマイクロ波を吸収し難い有機溶媒の混合溶媒を用いることの理由の一つとして、マイクロ波を容器の外側から反応液に照射したときに、容器の壁面に近いところでマイクロ波が吸収されてしまうことに対する緩和策をあげている。金属塩の種類、マイクロ波を吸収しやすい溶媒、マイクロ波を吸収しにくい溶媒、有機修飾剤などには、多くの種類が提案されている。
特許文献5では、さらに、反応容器の金属微粒子が析出して付着しない部分にはマイクロ波透過材料を用い、反応容器の金属微粒子が析出して付着する部分にはマイクロ波遮蔽部材を配置することが記載されている。
本発明者らの実験によれば、一部がマイクロ波照射場を通るフッ素樹脂製の管状反応管に反応液を流通させ、反応液にマイクロ波を照射し、金属ナノ粒子を還元し、もって、金属ナノ粒子を製造しようとする場合、特許文献5も含めた従来の方法では、反応管の内壁に析出物が付着することは避けられないことが判明した。また、極めて深刻な問題があることも判明した。
例えば、内径が2mmであり、外径が3mmであり、円筒型のマイクロ波キャビティーに入れる部分の長さが100mmであるフッ素樹脂製反応管に反応液を流通させる。また、この反応管に周波数2.4〜2.5GHzのTM010モードのマイクロ波を照射し、銅ナノ粒子や銀ナノ粒子などを生成する。このような場合に、特許文献5に開示されている方法を用いることができないことは自明である。
マイクロ波キャビティー中を通っている反応管の中に、金属塩と還元剤と合成される金属ナノ粒子の分散剤を含む反応液を流し、マイクロ波を照射して反応液を加熱しながら金属ナノ粒子を製造する場合、反応管内壁への銀析出物が生じる。また、それによるマイクロ波の反射が起こる。その結果、マイクロ波が反応液に到達せず、還元の適温になっていた反応液の温度を還元に不適切な温度に低下させてしまい、生成物の中に還元未反応の金属塩が混入してしまい、ナノ粒子の収率が低くなる。
前記のように、反応管に、銀塩を溶解させた溶液と銀ナノ粒子の分散剤と前記銀塩の還元剤を含む反応液を流通させ、反応液にマイクロ波を照射して反応液の温度を還元適性温度まで高めて、還元反応を行わせると、銀析出物が反応管内壁に付着しはじめ、種々の問題が発生する。
すなわち、反応管内壁に付着した銀析出物により、反応管の外部から反応管に照射しているマイクロ波が反射され、還元の適温になっていた反応液の温度を還元に不適切な温度に低下させてしまう。また、未反応の溶液が所定量以上に混入し、製造予定の銀ナノ粒子の品質を低下させてしまう。金属ナノ粒子の製造に大きな障害が生じる。
また、銀析出物の付着で反応管が目詰まりを起こし、反応液の流通が止まってしまう問題が生じる。また、反応管の温度分布が大きく変わったりするなどの問題が生じる。
このような現象は製造しようとする金属の種類によってもかなり異なるが、他の金属でも注意を要する、解決すべき課題である。例えば、銅でも上記現象が起こることが確認されている。
種々の金属ナノ粒子の連続的な合成の公開特許によって提案され始めており、その合成・精製方法については、生産性、簡便さ、低コスト、スケールアップなどの可能性が開示されている。しかし、実際に前記の問題を解決しようとする提案がなされていない。
特開2004−353038号公報 特開2007−056321号公報 特開2011−162837号公報 特開2013−019025号公報 特開2011−012290号公報
本発明は前記の事情に鑑みなされたもので、本発明の解決すべき課題の一つは、反応管に流通させる反応液にマイクロ波を照射して還元反応を促進し、ナノ粒子を連続的に製造する工程において、反応管内壁に析出物が付着するのを大幅に低減させる金属ナノ粒子の連続的な製造方法及び製造装置を提供することにある。
本発明の解決すべき課題の一つは、前記方法によって製造したナノ粒子および/またはナノ粒子を含むコロイドを提供することにある。
本発明の解決すべき課題の一つは、反応液を流通させる反応管の内壁に付着する析出物による反応液の流通障害を軽減することにある。
本発明の解決すべき課題の一つは、コアシェル型ナノ粒子も含めて、製造コストが安いナノ粒子を提供することにある。本発明の解決すべき課題の一つは、酸化しやすいナノ粒子の不要な酸化を軽減することにある。
本発明の解決すべき課題の一つは、自動化や半自動化が可能な金属ナノ粒子の製造装置を提供することにある。
本発明の解決すべき課題の一つは、前記の金属ナノ粒子の連続的な製造方法あるいは製造装置を用いて金属ナノ粒子を安価に提供することにある。
本発明の解決すべき課題の一つは、マイクロ波照射工程で、ナノ粒子の原料塩を含む反応液に水素その他の気体を導入し、ナノ粒子の性質を制御することにある。
課題を解決するために成された本発明の実施の形態例としての第1の発明(以下、発明1という)は、反応管に、金属ナノ粒子前駆体を含む第1の液(すなわち、少なくとも金属ナノ粒子の原料塩を含む第1の液)と、その還元剤を含む第2の液(すなわち、前記原料塩の還元剤を含む第2の液)とを混合させた液である反応液を流通させて、金属ナノ粒子を連続的に合成する工程を有する金属ナノ粒子の連続的な製造方法において、前記反応液が気体と液体の混相流である金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
課題を解決するために成された本発明の実施の形態例としての第2の発明(以下、発明2という)は、少なくとも一部がマイクロ波照射場(空胴共振器や導波管など)に配置された反応管に金属ナノ粒子前駆体溶液を含む第1の液(すなわち、少なくとも金属ナノ粒子の原料塩を含む第1の液)と、その還元剤を含む第2の液(すなわち、前記原料塩の還元剤を含む第2の液)とを混合させた液である反応液を流通させる工程と、
前記反応液にマイクロ波を照射して、前記反応液を加熱する工程と、
前記反応管の少なくとも一部に、第1の液、第2の液および前記反応液の少なくとも1つを流通させて、金属ナノ粒子の還元作用を制御し、金属ナノ粒子を連続的に合成する工程とを有する金属ナノ粒子の連続的な製造方法において、
前記第1の液および/または前記第2の液および/または前記反応液が、気体と液体の混相流である金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明1または2を展開して成された本発明の実施の形態例としての第3の発明(以下、発明3という)は、前記第1の液と第2の液を混合して反応液にする前に、前記第1の液と第2の液の少なくとも一方に気体を挿入して混相流にする工程をさらに有する発明1または2に記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明3を展開して成された本発明の実施の形態例としての第4の発明(以下、発明4という)は、前記第1の液と第2の液に挿入する気体が異なる種類の気体である発明3に記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明1〜4を展開して成された本発明の実施の形態例としての第5の発明(以下、発明5という)は、前記第1の液と第2の液を混合した反応液に、気体を挿入して混相流にする工程を有する発明1〜4のいずれかに記載の金属ナノ粒子の製造方法である。
発明3〜5を展開して成された本発明の実施の形態例としての第6の発明(以下、発明6という)は、挿入する気体の圧力または線速度が制御されている発明3〜5のいずれかに記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明1〜6を展開して成された本発明の実施の形態例としての第7の発明(以下、発明7という)は、前記気体が不活性ガスである発明1〜6のいずれかに記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。なお、第7の発明は、前記気体が水素ガスと反応性ガスのうちの少なくとも1種類のガスである発明1〜6のいずれかに記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法であってもよい。
発明7を展開して成された本発明の実施の形態例としての第8の発明(以下、発明8という)は、前記不活性ガスが窒素ガスである発明7に記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明2〜8を展開して成された本発明の実施の形態例としての第9の発明(以下、発明9という)は、前記マイクロ波がシングルモードである発明2〜8のいずれかに記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明2〜9を展開して成された本発明の実施の形態例としての第10の発明(以下、発明10という)は、前記マイクロ波がマルチモードである発明2〜9のいずれかに記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明2〜10を展開して成された本発明の実施の形態例としての第11の発明(以下、発明11という)は、前記マイクロ波のモードが、mを0以上の整数とし、nを1以上の整数とした場合、円筒型共振器でのTMmn0モード及び矩形型共振器でのTEm0nモード(反応管の流通方向をTExyzのy方向とする)から選ばれる一つである発明2〜10のいずれかに記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。矩形型共振器ではTE011、TE101、TE012、又はTE201モードが特に好ましい。
発明7〜11を展開して成された本発明の実施の形態例としての第12の発明(以下、発明12という)は、少なくとも金属ナノ粒子の前駆体を含む溶液(第1の液)を調合する工程、金属ナノ粒子の還元剤を含む溶液(第2の液)を調合する工程、溶液1と溶液2を混合して混合液(以下、反応液という)にする工程、不活性ガスを第1の液および/または第2の液および/または反応液に挿入する工程、第1の液および/または第2の液および/または反応液を所定の温度に加熱する工程をさらに有し、第1の液および/または第2の液および/または反応液を所定の送液速度で送液する発明7〜11のいずれかに記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明2〜12を展開して成された本発明の実施の形態例としての第13の発明(以下、発明13という)は、反応液をマイクロ波で加熱する前および/またはマイクロ波で加熱した後の少なくとも一部で、反応液を、マイクロ波以外の温度調整手段を用いて所定の温度にする工程をさらに有する発明2〜12のいずれかに記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明2〜13を展開して成された本発明の実施の形態例としての第14の発明(以下、発明14という)は、第1の液及び第2の液の液源、並びに流通管の少なくとも一部にマイクロ波以外の温度制御手段を用いて所定の温度にする工程をさらに有する発明2〜13のいずれかに記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明13または14を展開して成された本発明の実施の形態例としての第15の発明(以下、発明15という)は、マイクロ波以外の温度制御手段が、ペルチエ素子を用いた温度制御手段である発明13または14に記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明15を展開して成された本発明の実施の形態例としての第16の発明(以下、発明16という)は、マイクロ波以外の温度制御手段が、ペルチエ素子を配した熱伝導性の比較的よい物体に反応液を接触させるか、そのような容器内を通過させる温度制御手段である発明15に記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明2〜16を展開して成された本発明の実施の形態例としての第17の発明(以下、発明17という)は、マイクロ波照射場内の温度の低下幅は15°C以下である発明2〜16のいずれかに記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。前記温度の低下幅は10°C以下であることがより好ましい。なお、マイクロ波照射場内の温度に関しては、突発的な一瞬の低下幅が少ないことが好ましい。
発明7〜17を展開して成された本発明の実施の形態例としての第18の発明(以下、発明18という)は、不活性ガスの反応液への挿入量が、マイクロ波照射場における反応管の平均内径を2r(mm)とした場合、0.4×r(リットル)/分以上3×r(リットル)/分以下である発明7〜17のいずれかに記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明18を展開して成された本発明の実施の形態例としての第19の発明(以下、発明19という)は、不活性ガスの反応液への挿入量が、1.0×r(リットル)/分以上、好ましくは1.0×r(リットル)/分以上3×r(リットル)/分以下である発明18に記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明7〜17を展開して成された本発明の実施の形態例としての第20の発明(以下、発明20という)は、反応液に挿入した不活性ガスの反応管内における線速度が2m/秒以上である発明7〜17のいずれかに記載の金属ナノ粒子の製造方法である。
発明20を展開して成された本発明の実施の形態例としての第21の発明(以下、発明21という)は、反応液に挿入した不活性ガスの反応管内における線速度が5m/秒以上である発明20に記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明1〜21を展開して成された本発明の実施の形態例としての第22の発明(以下、発明22という)は、製造装置内の、前記第1の液、前記第2の液、前記気体、及び前記反応液の各流路又はその近傍の少なくとも一部に配置され、温度、流量、液に関する反応進行情報、及び粒径に関する情報の少なくとも1つを検出するセンサーからの出力を所定の制御系にフィードバックして制御を行う工程をさらに有する発明1〜21のいずれかに記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明1〜22を展開して成された本発明の実施の形態例としての第23の発明(以下、発明23という)は、製造装置内の反応液の流路もしくは分路における金属ナノ粒子の粒径を測定する工程をさらに有する発明1〜22のいずれかに記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明1〜23を展開して成された本発明の実施の形態例としての第24の発明(以下、発明24という)は、製造装置内の反応液の流路もしくは分路に設けられたジョイント(T型やY型等の)から反応液を採取して金属ナノ粒子の粒径を測定する工程をさらに有する発明1〜23のいずれかに記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明24を展開して成された本発明の実施の形態例としての第25の発明(以下、発明25という)は、製造装置内の反応液の流路もしくは分路において金属ナノ粒子の粒径を測定する手段がレーザ光の位相回転を利用した手段である発明24のいずれかに記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明1〜25を展開して成された本発明の実施の形態例としての第26の発明(以下、発明26という)は、反応液の流路に、所定の粒径範囲または所定の粒径以上または所定の粒径以下の金属ナノ粒子を分離する手段が設けられている発明1〜25のいずれかに記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明26を展開して成された本発明の実施の形態例としての第27の発明(以下、発明27という)は、金属ナノコロイドを精製する手段が限外ろ過である発明26に記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明1〜27を展開して成された本発明の実施の形態例としての第28の発明(以下、発明28という)は、反応液の製造手順が、第2の液を先に流通させておき、この第2の液へ第1の液を混合させる手順である発明1〜26のいずれかに記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明28を展開して成された本発明の実施の形態例としての第29の発明(以下、発明29という)は、前記第2の液に前記第1の液を混合する前に、前記第2の液に前記気体を挿入する発明28に記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明1〜29を展開して成された本発明の実施の形態例としての第30の発明(以下、発明30という)は、前記第1の液が銅の前駆体を含む液である発明1〜29のいずれかに記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明30を展開して成された本発明の実施の形態例としての第31の発明(以下、発明31という)は、前記第1の液が、硝酸銅(Cu(NO・3HO)104.0g(0.42mol)と水酸化銅(Cu(OH))41.6g(0.43mol)に、イオン交換水472gを加え、モノエタノールアミン(NH−CHCH−OH)177.6g(2.90mol)及びアンモニア水(NH)32.0g(アンモニア0.53mol)を添加して銅を溶解させ、得られた溶液に、さらに、銅ナノ粒子の分散剤となるDisperbyk−190(登録商標)を40.64g添加し、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(以下、BDGという)154.4g、ドデカン(C1226)305.92gを投入して調合した溶液である発明30に記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。なお、本発明では、反応液の構成成分を前記の割合で適宜増減して構成してもよい。
発明30または31を展開して成された本発明の実施の形態例としての第32の発明(以下、発明32という)は、前記第2の液が、銅前駆体の還元剤であるヒドラジン・1水和物(NHNH・HO)99.9gに、イオン交換水270.1gを加えて調合した溶液である発明30または31に記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。なお、本発明では、反応液の構成成分を前記の割合で適宜増減して構成してもよい。
発明1〜29を展開して成された本発明の実施の形態例としての第33の発明(以下、発明33という)は、前記第1の液が銀の前駆体を含む液である発明1〜29のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。
発明33を展開して成された本発明の実施の形態例としての第34の発明(以下、発明34という)は、前記第1の液が、硝酸銀(AgNO3)720g(4.24mol)をイオン交換水5040gに溶解させて調合した溶液である発明33に記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。なお、本発明では、反応液の構成成分を前記の割合で適宜増減して構成してもよい。
発明33または34を展開して成された本発明の実施の形態例としての第35の発明(以下、発明35という)は、前記第2の液が、2−ジメチルアミノエタノール1888g(21.18mol)に、イオン交換水2308gを投入し、そこへ、Disperbyk−190を86g添加し、さらに、BDG1308g及びドデカン2598gを加えて調合した溶液である発明33または34に記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。なお、本発明では、反応液の構成成分を前記の割合で適宜増減して構成してもよい。
発明33〜35を展開して成された本発明の実施の形態例としての第36の発明(以下、発明36という)は、硝酸銀(AgNO3)479g(2.82mol)をイオン交換水3363gに溶解させて調合した溶液である発明33〜35のいずれかに記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。なお、本発明では、反応液の構成成分を前記の割合で適宜増減して構成してもよい。
発明33〜36を展開して成された本発明の実施の形態例としての第37の発明(以下、発明37という)は、前記第2の液が、2−ジメチルアミノエタノール1258g(14.11mol)に、イオン交換水1538gを投入し、そこへ、Disperbyk−190を57g添加、さらに、BDG872g及びドデカン1732gを加えて調合した溶液である発明33〜36のいずれかに記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法である。なお、本発明では、反応液の構成成分を前記の割合で適宜増減して構成してもよい。
課題を解決するために成された本発明の実施の形態例としての第38の発明(以下、発明38という)は、発明1〜37のいずれかに記載の金属ナノ粒子の製造方法を用いて金属ナノ粒子を製造する金属ナノ粒子の連続的な製造装置である。
課題を解決するために成された本発明の実施の形態例としての第39の発明(以下、発明39という)は、1〜37のいずれかに記載の金属ナノ粒子の連続的な製造方法を用いて製造された金属ナノ粒子である。
本発明者は、これらの各発明を用い、後記実施の形態例等をも考慮して、特許請求の範囲に記載の各請求項を案出した。
本発明によれば、ナノ粒子の原料塩とナノ粒子の分散剤と原料塩の還元剤を含む反応液を反応管に流通させ、マイクロ波照射場を通過させながら、ナノ粒子の還元反応を進行させるとき、反応液を窒素やアルゴン等の不活性ガス等の気体とともにマイクロ波照射場を通過させてナノ粒子の還元反応を進行させ、ナノ粒子を連続的に製造することができる。よって、従来のように反応管内壁に析出物の付着を生じ、マイクロ波の反応液を加熱する効果を阻害したり、未反応液の合成液への混入を増加させたり、短時間で反応管の目詰まりを生じさせたりすることが防止される。また、連続的な製造の中止を余儀なくされるという大問題を大幅に緩和することができる。また、品質がよいナノ粒子を安価に提供できる。
本発明の実施の形態例に用いたナノ粒子の製造装置の模式図である。 本発明の実施例としての銅ナノ粒子の合成におけるマイクロ波照射による反応液の温度変化を示す図である。 本発明の実施例としての銅ナノ粒子の合成におけるマイクロ波照射でのマイクロ波の反射波強度変化を示す図である。 比較例としての銅ナノ粒子の合成におけるマイクロ波照射による反応液の温度変化を示す図である。
比較例としての銅ナノ粒子の合成におけるマイクロ波照射でのマイクロ波の反射波強度変化を示す図である。 実施例としての銀ナノ粒子の合成におけるマイクロ波照射での反応液の温度変化を示す図である。 比較例としての銀ナノ粒子の合成におけるマイクロ波照射での反応液の温度変化を示す図である。
以下、本発明の実施の形態例を説明する。なお、説明の重複を避けるため、ナノ粒子の製造装置の説明で製造方法の説明やナノ粒子の説明を兼ねることもあり、その逆の場合もある。また、本発明の実施の形態の説明に用いる各図は、本発明の例の説明の都合上、特に断らずに部分的に拡大率を変えて図示する場合もあり、必ずしも実施例などの実物や記述と相似形でない場合もある。また、各図において、同様な構成成分については同一の番号を付けて示し、説明の重複を避けることもある。
本発明に関する前記の説明も含めて、本願では、反応液への気体の導入および/又は反応液へのマイクロ波の照射による金属塩の加熱を中心に説明しているが、気体の導入および/又はマイクロ波の利用はこれに狭く限定されるものではない。また、連続的な製造方法という記載は、金属塩を含む反応液を反応管中に流通させて、反応管内壁への析出物付着を抑制しながら、一定時間反応液の処理を行わせることを意味する。したがって、長時間反応を連続して行うことが可能であるが、一定量のナノ粒子の製造を行ったら製造を中止することも含んでいる。さらに、ナノ粒子の原料を含む反応液に、気体の導入および/またはマイクロ波照射を行って、ナノ粒子の物性を変えることも本発明の範囲である。
まず、銀鏡現象として広く知られている硝酸銀の還元作用を行った。硝酸銀溶液を液X1としてプランジャーポンプで4.55ml/分の速度でT字型ジョイントの第1のパイプに送液し、室温で、T字型ジョイントの第2のパイプに液X2として、硝酸銀の還元剤である2−ジメチルアミノエタノールと銀ナノ粒子の分散剤であるDisperbyk−190を含む液を8.15ml/分の速度で送液して、前記第1の液と混合し、得られた混合液を反応液としてT字型ジョイントの第3のパイプからフッ素樹脂製の反応管に入れ、マイクロ波を反応液に照射することにより、還元反応を進行させて銀ナノ粒子を合成することを試みた。
しかし、反応液として前記液X1と液X2を混合するとすぐに、混合した反応液が反応管のマイクロ波照射部分を通過する前に還元反応が進行し、極めて短時間で反応管が目視でわかるくらい真っ黒になった。また、マイクロ波を照射しない状態ですでに銀鏡反応が生じはじめてしまい、銀ナノ粒子の連続的な合成はできなかった。
前記液X1に、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(以下、BDGともいう)とドデカン(C1226)を加えて第1の液とし、前記X2を第2の液とし、第1の液と第2の液を前記のようにT字型ジョイントで混合し、この混合液にマイクロ波を照射することにより、還元反応を進行させて銀ナノ粒子を合成することを試みた。
しかし、銀は、ナノ粒子の合成過程において反応管内壁に析出物を生じさせる可能性があるため、金属材料を銀から銅に変え、マイクロ波照射を行って、銅ナノ粒子の合成の実験を試みた。
硝酸銅と水酸化銅を溶解させた溶液に銅ナノ粒子の分散剤としてのDisperbyk−190を添加し、それにBDGとドデカンを投入したものを第1の液とし、銅塩の還元剤としてのヒドラジンを第2の液とした。プランジャーポンプで、第1の液を10.2ml(ミリリットル)/分の速度で、第2の液を2.50ml/分の速度で、T字型ジョイントにそれぞれ送り、第1の液と第2の液を混合して反応液とし、この反応液を反応管に送液し、反応液にマイクロ波を照射することにより、銅ナノ粒子の合成を試みた。
反応管内壁に銅の析出物はできたが、一定時間は連続して銅ナノ粒子の合成をすることができた。ドデカンを添加しないと銅ナノ粒子を連続して合成できる時間が短くなることもわかった。ドデカンは疎水性で、PFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)やPTFE(四フッ化エチレン樹脂、テフロン(登録商標))の反応管と親和性があり、水溶液中の金属塩、あるいは金属ナノ粒子を反応管に接触しにくくし、金属の反応管への析出を抑制し、反応を進めることができると推察される。また、金属析出の種が反応管に生成しても、一定量以下の場合はドデカンが反応管を洗い流すことで除去されると考えられる。ドデカンの好ましい投入量は、多くの場合、水相にたいして10〜30%である。
しかし、ドデカンの添加だけでは、マイクロ波の照射を行いながら銀のような金属ナノ粒子の合成を長時間続けることができないこともわかった。そこで、還元反応により生じる析出物が反応管の内壁に付着することを抑制する方法について、通常は行われないことも含めて種々の実験を行った。
その結果、反応液にマイクロ波を照射する前に、金属の種類によってはマイクロ波キャビティーに近いところで、反応液を流通させている反応管に窒素のような不活性ガスを挿入すると、反応管内壁に析出物が付着してマイクロ波を反射させたり、反応管を詰まらせたりすることなく、適切な還元反応を続けることが可能であるということを見いだした。以下に、詳細に説明する。
不活性ガスを反応液に導入することにより、反応管内を流れる反応液の流れが一方方向に近くなり、金属の析出を抑制できると考えられる。ドデカンと不活性ガスの効果で、反応温度が一定になり、極めて長時間の金属ナノ粒子の製造が可能になった。
さらに、金属の反応管内壁への析出の抑制及び反応温度の一定化には、不活性ガスの流速の適度な増大とともに、金属塩や還元剤の溶液の流速の高速化も関係することが分かった。
また、金属ナノ粒子の連続的な製造法では、反応管内での反応液の滞留時間、金属塩の溶液や還元液の流速、不活性ガスの流速などが重要であることも判明した。
マイクロ波照射部における温度が一定になるように製造装置を運転するためには、マイクロ波を良く吸収するBDGの量も重要である。BDGの割合が少ないと、反応液を加熱し難くなり、加熱する為に電力を余計にかけなければならない。また、目標温度からはずれる傾向になりやすい。
図1は、これらの諸要件を考慮して本発明の実施の形態例を説明するために作成したナノ粒子製造装置の模式図である。図中、全ての構成要件を全ての形態例に使用するのではなく、形態例によっては不要なものもあり、具備していない場合もあるが、説明の都合上、具備している場合を説明する。図1で、符号1はマイクロ波照射口(導波管)、2はマイクロ波照射場、4は電界モニター、5は温度計、6はマイクロ波発振器・制御器、7,7a,7bは反応管、8は反応液、21は不活性ガス源、22〜25はT字型ジョイント、30は接続部、30aは反応液の取り出し部、31は第1液源(例えば、A液、C液など)、32は第2液源(例えば、B液、D液など)、33は第3液源(例えば、E液など)、34は回収タンク、72〜78は各液流路または液とガスの混合体流路、71は不活性ガスの流路である。これらのうちには、全てをナノ粒子製造装置に設ける必要はなく、必要なものだけ用いて装置を構成することができる。符号S−1〜S−14は、反応系制御その他の目的に用いる温度、圧力、流量、流速、電界強度等、反応液に関する情報を測定するセンサーで、液源、液流路、ガス流路、回収タンク、マイクロ波照射場などに配置してある。センサーは、不必要な場合は設けなくてもよい。a−1〜a−9は矢印である。送液ポンプは図示していない。実施の形態例によっては図示のうちの一部だけで構成されるものもある。また、図示していないが、各液源、回収タンクなどに攪拌装置を配置し、各液、反応液等の均一化を図っている。
図1で、例えば、少なくとも符号33と24がない場合について説明する。たとえば混合する液が2種類の場合、液源31に1種類目の液を用意し、液源32に2種類目の液を用意し、それぞれの液源にそれぞれ液送出手段としてのたとえばプランジャーポンプを設け、各所定の送液速度に設定する。液源31,32からの各液は、液源31,32から所定の速度でそれぞれ液流路73,74を矢印a−2,a−7の方向に送られ、T字型ジョイント22,23でそれぞれ不活性ガス源21から矢印a−1,a−4方向に送られてくる不活性ガスを導入される。その後、不活性ガスが導入された各液は、流路77,76を通り、T字型ジョイント25に送られ、T字型ジョイント25で混合され、T字型ジョイント25の残りの流路から一端が反応管7に接続されている液流路78に送られる。
図1で符号33がある場合は、液原33の液は、所定の速度で液流路72を通り、T字型ジョイント24で不活性ガス源21からの不活性ガスを導入されて後、T字型ジョイント23で第2液源32からの液と混合される。このとき、不活性ガス源21からの不活性ガスは第2液源32からの液にも混合される。なお、液の種類などによって、不活性ガス源21が第2液源32にも直接配置されることもある。
液流路78からの液は、マイクロ波照射場としてのキャビティー2を通る反応管7に入り、マイクロ波照射場2でマイクロ波の照射を受ける。
マイクロ波照射場2内の反応管7は、マイクロ波の周波数(300MHz〜300GHzの範囲内)、マイクロ波のモード、液の種類などによって最適形状が異なる場合がある。マイクロ波照射場2内における反応管7の形状を適宜選択することによって、マイクロ波照射の効果をコントロールすることが出来る。反応管7の形状としては、直線状、S字型、コイル状、それらの混合形状等が挙げられる。また、反応管7の一部をマイクロ波照射場2外に配置することによってマイクロ波照射の効果をコントロールすることも出来る。
接続部30は反応管7の出力部7aと反応管7bを接続する接続部であり、ナノ粒子の製造目的や装置、部品の状況などによっては設けない場合もある。その場合は、反応管7bは反応管7と同じ仕様の場合もあり、あるいは目的によっては直径を変えることもある。符号30aは反応液の取り出し部であり、必要に応じて設け、反応のコントロールに利用されることもある。
本発明の実施の形態例を種々検討した結果、マイクロ波照射を受けてナノ粒子原料液の還元反応を含む合成工程で、反応管の内壁に析出物の付着を生じさせないためには、マイクロ波照射の前に反応液に不活性ガスを導入することが好ましいことが判明した。不活性ガスの導入は、反応液を構成する各液の流通のさせ方、不活性ガスの導入の仕方などが重要な要素であることも判明した。前記第1の液と第2の液を混合して反応液を形成してから不活性ガスを反応液に導入しても、反応管壁に鏡現象が生じることを緩和することができる。このほか、第1の液に不活性ガスを導入する方法、第2の液に不活性ガスを導入する方法、あるいは、第2の液に不活性ガスを導入して液流路内を流通させているところへ第1の液を混合する方法、第2の液に不活性ガスを導入して液流路内を流通させているところへ不活性ガスを導入した第1の液を混合する方法など、ナノ粒子の原料とその還元剤の選択の仕方に合わせた適切な方法がある。
不活性ガスを導入した反応液を反応管中に流すことにより金属析出物が反応管内壁へ付着するのを効果的に予防することができる。たとえば、金属ナノ粒子を合成する場合、不活性ガスを導入した還元剤を含む第2の液を管内に流通させているところへ、不活性ガスを導入した金属塩を含む第1の液を混合する方法や、不活性ガスを導入した還元剤を含む第2の液を管内に流通させているところへ金属塩を含む第1の液を混合する方法がある。第1の液と第2の液を混合して反応液を形成してから、次の段階で不活性ガスを反応液に導入する方法でも不活性ガス導入の顕著な効果を発揮することができる。
以下の実施例では、流路にそれぞれ第1液源からの液と第2液源からの液を流して各液に不活性ガスを混合し、T字型ジョイントで両液を混合して反応液を形成してから、反応液にマイクロ波を照射する方法の実施の形態例を説明する。
図1に示してある電界モニター4と温度計5の測定結果は、まず、マイクロ波発振器・制御器6にフィードバックされる。不活性ガスの流量は、図1のセンサーS−8,S−1で測定される。反応液を構成する各液、ガス、及び混合物の流量、流速、並びに成分;ナノ粒子の粒径・分布などの状況;並びに反応液とガスの混合状態などをセンサーS−1〜S−13で必要に応じて測定し、マイクロ波発振器・制御器、各液の送流装置、図示していない温度制御装置、場合によりナノ粒子合成系を制御している制御系に送り、ナノ粒子の合成品質を管理することができる。
反応管内壁への析出付着物の光学的および/または電気的検出手段を反応管や制御回路等へ設けることができる。反応液の反応過程や反応後のナノ粒子の粒径や粒径分布、平均粒径などの電気的および/または光学的測定手段を反応管あるいはその近傍あるいは回収タンクなどに設けることができる。
本発明の実施の形態例においては、反応管内壁への金属析出物付着の状況を、反応液の温度とマイクロ波の反射波の電界強度を測定して判断し、その結果をナノ粒子の合成制御に用いた。また、必要に応じて各センサーからの情報もナノ粒子の合成制御に用いる。
本発明の実験においては、反応管の一例として、少なくともマイクロ波を照射する部分にマイクロ波を透過するフッ素樹脂製の反応管を基本部分として用いた。ただし、本発明の権利範囲は、この反応管に狭く限定されない。反応液としては、まず、銅や銀のような反応管の内壁に析出物を付着させやすい材料、すなわち管内壁に銅鏡や銀鏡を形成させやすい銅塩や銀塩を含む材料を選び、分散剤や還元剤を含む反応液を作製した。その反応液を反応管の中に流通させた。反応液流路の少なくとも一部で反応管中の反応液にマイクロ波を照射しながら,反応液の還元に適した所定の温度にして還元反応を進行させ、反応管の内壁に付着物が生じるか否かを種々調査した。
反応液の加熱に用いるマイクロ波はシングルモード、マルチモードのいずれも用いることができる。また、マイクロ波共振器としては、円筒型、矩形型いずれでもよいが、円筒型がより好ましい。マイクロ波は、一般に、マグネトロンや半導体発振器などから導波路を介して試料を加熱するマイクロ波照射場に送られる。また、マイクロ波のモードによっては、導波路の一端にマイクロ波反射体を設けて反射させ、導波路内の特定位置に電場・磁場を集中させるモードを形成し、試料に発熱させて用いることもできる。
マイクロ波の周波数帯としては、装置の入手しやすさの観点から2.4〜2.5GHz帯の周波数を用い、前記以外の周波数でも実験した。マイクロ波のモードは,主としてシングルモードでTM010モードを用いた。しかし、マイクロ波の周波数、モードともに、これに狭く限定されない。
マイクロ波のモードに、TMモードを用いる場合は、mを0以上、nを1以上の整数として、TMmn0モードを用いるのが特に好ましい。TEモードを用いる場合は、TE011,TE101,TE012,TE201モードを用いるのが特に好ましい。
シングルモードに限らず、マルチモードを用いることができる。マイクロ波照射は円筒型マイクロ波共振器に狭く限定されず、方形導波管を用いるものなど、マイクロ波加熱の長所を用いることができるものならいずれも本発明の効果を発揮することができる。
実施の形態例では、共振器として円筒型マイクロ波共振器であって、マイクロ波出力が最大500Wである円筒型マイクロ波共振器を用い、反応管の材質としてPFAを用いた。マイクロ波のモードとしては、精度の面で優れたモードの1つであるシングルモードのTM010を用いた。なお、本発明の範囲はこれらに狭く限定されない。
反応管の基本部分の寸法は、これに狭く限定されないが、外径φ3mm、内径φ2mm、マイクロ波共振器に入る基本部分の長さが41cmのものを用いた。反応管は、前記基本部分の長さ41cmのうちの10cmをマイクロ波のTM010モードに概ね直交する方向に、マイクロ波キャビティーの中央部に配置し、反応管内を流通する反応液にマイクロ波を照射して反応液を所定の温度に効果的に加熱し、還元反応を進めた。反応液の流通方向に、反応管の基本部分の前後に同じ内径の反応管を接続し、それぞれ、反応液の入力側、出力側とした。
以下、本発明の実施の形態例を、鏡現象の顕著な銀ナノ粒子と、少し緩やかな銅ナノ粒子を例にとり、従来の製造方法を用いた比較例とともに説明する。
図1で符号33と24がない場合を用いて、本発明の実施の形態例としての銅ナノ粒子の合成例を図2〜図5を用いて説明する。図2は本発明の実施例としての銅ナノ粒子の合成におけるマイクロ波照射による反応液の温度変化を示す図、図3は本発明の実施例としての銅ナノ粒子の合成におけるマイクロ波照射でのマイクロ波の反射波強度変化を示す図、図4は比較例としての銅ナノ粒子の合成におけるマイクロ波照射による反応液の温度変化を示す図、図5は比較例としての銅ナノ粒子の合成におけるマイクロ波照射でのマイクロ波の反射波強度変化を示す図である。
図2〜図5において、符号50,52,53は温度曲線、50a,52a,53aはマイクロ波の立ち上がり時の温度曲線、50b,52b,53bはマイクロ波照射が定常状態に達してからの温度曲線、50c,53cは合成終了によるマイクロ波照射終了時の温度曲線、52cは合成中断によるマイクロ波照射終了時の温度曲線、51,54,55はマイクロ波の反射波強度曲線、51a,54a,55aはマイクロ波の立ち上がり時の反射波強度曲線、51b,54b,55bはマイクロ波照射が定常状態に達してからの反射波強度曲線、51c,55cは合成終了によるマイクロ波照射終了時の反射波強度曲線、54cは合成中断によるマイクロ波照射終了時の反射波強度曲線を示す。
(実施例1)
銅ナノ粒子の合成例1。
反応液としては、下記のA液とB液を充分に混合したものを用いた。
A液の調合。
硝酸銅(Cu(NO・3HO)104.0g(0.42mol)と水酸化銅(Cu(OH))41.6g(0.42mol)を投入し、イオン交換水472gを加えた。そこへ、攪拌しながら、モノエタノールアミン(NH−CHCH−OH)177.6g(2.90mol)、続けてアンモニア水(NH)32.0g(アンモニア0.53mol)を添加して銅を溶解させた。さらに、分散剤であるDisperbyk−190を40.64g添加し、BDG154.4g、ドデカン305.92gを投入し、充分攪拌し、A液として第1液源31に用意した。
B液の調合。
還元剤であるヒドラジン・1水和物(NHNH・HO)を99.9g添加し、そこへ、イオン交換水270.1gを加えて、充分攪拌し、B液として第2液源32に用意した。
A液とB液の混合。
水相とドデカンを充分混合させたA液をプランジャーポンプで10.2ml/分で流路73から送出し、ガス源21から流路71を通って送出される窒素ガスとT字型ジョイント22で混合して、流路77を通ってT字型ジョイント25へ向けて送る。
B液を2.50ml/分の速度で流路74から送出し、ガス源21から流路71を通って送出される窒素ガスとT字型ジョイント23で混合して、流路76を通ってT字型ジョイント25へ向けて送る。T字型ジョイント25で、流路77からきた窒素ガスとA液の混合体と流路76からきた窒素ガスとB液の混合体とが混合され、流路78へ反応液として送出される。
不活性ガスとしての窒素ガスの導入速度は、A液とB液に混合されるガスを合計して、0.4L/分(毎分0.4リッター)とした。
銅が反応菅内壁に析出・付着することすなわち銅鏡現象を発生することの検出は、マイクロ波照射場としてのキャビティー内の温度計5による反応管内の温度測定と電解モニター4による反応管からのマイクロ波の反射波強度の測定によるとともに、銅鏡現象の確認をキャビティーの覗き窓から反応管内壁の目視によって行った。マイクロ波照射による反応液の温度変化を縦軸に温度(°C)、横軸に時間(秒)をとって図2に、マイクロ波の反射波強度変化のデータを、縦軸に反射波の強度(W(ワット))、横軸に時間(秒)をとって図3にそれぞれ示す。
目標温度を80°Cに設定してマイクロ波を照射し、銅が反応菅内壁に銅鏡現象を発生することなく、合成を2時間11分行い、予定したA液を流し切って銅ナノ粒子を合成することができた。反応温度の平均は80.0°Cで、反応温度は66.0°Cから93.2°Cの範囲であった。
実施例1では反応管の材質にPFAを用いた。樹脂の中で透明度が高くて反応管の内壁に析出物の付着があれば判定しやすいこと、入手しやすいことなどの理由からPFAを選定した。PFAは熱に強く、反応管内壁への析出物の付着を目視でも比較的簡単に発見することができ、有用な反応管材料ともいえる。
(実施例2)
銅ナノ粒子の合成例2。
反応管の材質をPTFEにした以外は実施例1と同じ条件で銅ナノ粒子を合成を行い、銅鏡現象を発生することなく、概ね同じ時間で銅ナノ粒子の合成を行うことができた。
(比較例1)
銅ナノ粒子の合成比較例1。
窒素ガスを反応液A液、B液に導入することを除き、実施例1と同じ実験系を用いて、混合液ABを反応液として銅の合成を試みたところ、合成開始後4430秒で銅鏡が出て、反応液の温度が上昇しなくなり、銅ナノ粒子の合成ができなくなった。
このときのマイクロ波による反応液の温度変化を、縦軸に温度(°C)、横軸に時間(秒)をとって図4に示す。また、マイクロ波の反射波強度のデータを、縦軸に反射波の強度(W(ワット))、横軸に時間(秒)をとって図5に示す。マイクロ波照射場としてのマイクロ波キャビティーの除き窓から反応管の内壁の様子を観察したところ、目視でもわかる程度に銅鏡が付着しているのが確認された。合成開始から4500秒までの反応液の温度変化とマイクロ波の反射波強度変化を、図4,図5に示す。
図4、図5において、符号52cは銅析出物が付着して反応管内部の温度が上がらなくなり、40〜30°C近くまで下がった状態を示す温度曲線、52dは52cの温度まで低下するときの状態を示す温度曲線、53は銅鏡ができた反応管から新しい反応管に取り替えて銅の合成を再開してからの温度曲線、53cは仕込み量の合成が終了した合成終了によるマイクロ波照射終了時の温度曲線、54cは銅析出物が付着して反応管内部の温度が上がらなくなり、40〜30°C近くまで下がった状態を示すマイクロ波の反射波強度曲線、55は銅鏡ができた反応管から新しい反応管に取り替えて銅の合成を再開してからのマイクロ波の反射波強度曲線を示す。
図4、図5では、合成開始後4400秒辺りから反射波の強度が上がり始め、それに伴い反応液の温度が低下してきて、反射波の上昇が決定的になる4430秒から反応液がマイクロ波により加熱されなくなった。4430秒あたりでは反応管内壁に銅鏡が付着しており、このことはキャビティーの除き窓から確認することができた。
(実施例3)
銅ナノ粒子の合成例3。
Disperbyk−190を60.96g、A液の流速を15.3ml/分、B液の流速を3.75ml/分、それ以外、すなわち、不活性ガスとしての窒素ガスの合計の導入速度を0.4L/分にすること、そのほかの条件を実施例1と同じ条件で銅ナノ粒子の合成を行った。反応管壁への析出物の付着を生じることなく計画した量の銅ナノ粒子の合成を行うことができた。反応温度の平均は80.0°Cで、反応温度は66.0°Cから93.1°Cの範囲であった。合成開始から5000秒以上銅鏡を生じることなく仕込み量全量の合成を行うことが出来た。
(実施例4)
実施例1〜3を実施する中で、不活性ガスの送量、各液の混合時の流速などによって、反応液の過熱状況やマイクロ波の反射波強度に違いがあることを見いだした。そこで、不活性ガスの送量、A液、B液の混合前の流速などを変えて実験した。
銅ナノ粒子の合成例4。
Disperbyk−190を60.96g、A液の流速を15.3ml/分、B液の流速を3.75ml/分、不活性ガスとしての窒素ガスの導入速度は、合計で、1.0L/分にした以外は実施例1と同じ条件で銅ナノ粒子の合成を行った。反応管壁への析出物の付着を生じることなく計画した量の銅ナノ粒子の合成を行うことができた。反応温度の平均は80.0°C、反応温度は68.2°Cから90.9°Cの範囲であった。
(実施例5)
銀ナノ粒子の合成例1。
図1の符号33,24がある場合に相当する。
C液の調合。
硝酸銀(AgNO)91.36g(0.54mol)をイオン交換水645.76gに溶解させて、C液として第1液源31に用意した。
D液の調合。
2−ジメチルアミノエタノール215.62g(2.42mol)、イオン交換水265.38gを投入し、そこへ、Disperbyk−190を8.44g添加、さらに、BDG60.40gを加え、D液として第2液源32に用意した。
E液の調合。
ドデカン297.14gとBDG89.14gを加え、混合してE液として第3液源33に用意した。
C液、D液、E液を夫々3つのプランジャーポンプで、16.4ml/分、13.9ml/分、12.2ml/分で送液した。C液、D液、E液に流す窒素ガス速度を合計で1.8L/分とした。マイクロ波照射時の目標温度を70℃とし、反応管をPFAとし、反応温度が70°Cに達した52秒から5分間反応させた。残余の反応液は未使用であった。反応管内壁への銀の析出物付着は生じなかった。反応温度が70°Cに達してから反応温度は、63.0°Cから73.0°Cで変動し、平均は69.9°Cであった。
反射波電力は、0W〜219Wで、平均は31.8W、入射波電力は、272W〜320Wで、平均は290.5Wであった。
反応液の温度変化を図6に示す。縦軸、横軸は図2の場合と同様である。図6で、符号60は温度曲線、60aはマイクロ波の立ち上がり時の温度曲線、60bはマイクロ波照射が定常状態に達してからの温度曲線、60cは合成終了によるマイクロ波照射終了時の温度曲線を示す。
(比較例2)
反応管に窒素を流す以外は実施例5と同じ条件で反応させた。反応させる前に、窒素を流さない条件で、スリースタブチューナーなどの整合装置で、反射波が少なくなるように整合した。実験の予定は5分間であったが、反射波が500Wに上昇した時点でマイクロ波の照射を止めたところ、反応管内壁への銀の析出物付着が生じていた。反応温度が70°Cに達してから反応温度は、56.6°Cから77.8°Cの間で変化した。平均反応温度は69.7°Cであった。反射波電力は0W〜503Wで、平均は162W、入射波電力は300W〜392Wで、平均は338Wであった。実験例5と比較して、反応温度の幅が21.2°Cと広く、反射波電力も入射波電力も高かった。
このときの反応液の温度変化を図7に示す。縦軸、横軸は図2の場合と同様である。図7で、符号64は温度曲線、64aはマイクロ波の立ち上がり時の温度曲線、64bはマイクロ波照射が定常状態に達してからの温度曲線、64cは危険領域に入ったため合成中止によるマイクロ波照射終了時の温度曲線を示す。
(実施例6および比較例3)
マイクロ波照射で得られる粒子の比較の為に、実施例6および比較例3として、実施例5の条件(窒素を流す)と比較例2の条件(窒素を流さない)で、夫々1分30秒反応させ、得られた液を直ぐに氷冷して反応を止めて、遠心精製した後、分光測定とTEM観察を行った。
実施例6において窒素を流した条件で作製した粒子は、分光では430nmのピークだけが観測され、TEMでは、粒子同士の合一は比較的少なく、粒径の大きい粒子の他に、それより粒径の小さな粒子が比較例3よりも多く観察された。窒素を流した場合、キャビティーに滞留する時間が短いために、窒素を流さない時に比べて比較的小さい粒径の銀ナノ粒子になるためであると思われる。
比較例3として窒素を流さない条件で作製した粒子は、分光では420nmのピークとともに、550nm〜600nm付近にブロードな山があり、TEMでは、粒子が30〜50nmの粒子が複数合一した粒子が観察された。窒素を流さない場合、キャビティーに滞留する時間が長いために、窒素を流した時に比べてより多くの硝酸銀が還元されて銀粒子になるが、粒子同士が合一した粒子が多く生成する事がわかった。なお、実施例6および比較例3における残余の反応液は未使用であった。
(実施例7)
銀ナノ粒子の合成例2。
C液の調合。
硝酸銀(AgNO)548.16g(3.23mol)をイオン交換水3874.57gに溶解させて、C液として第1液源31に用意した。
D液の調合。
2−ジメチルアミノエタノール1293.68g(14.53mol)、イオン交換水1592.28gを投入し、そこへ、Disperbyk−190を50.68g添加、さらに、BDG362.36gを加え、D液として第2液源32に用意した。
E液の調合。
ドデカン1782.80gとBDG534.84gを加え、E液として第3液源33に用意した。
C液、D液、E液を夫々ポンプで、16.4ml/分、13.9ml/分、12.2ml/分で送液した。D液とE液に流す窒素ガスの流量を0.9L/分、C液に流す窒素ガス速度を0.9L/分とした。マイクロ波照射時の目標温度を70℃とし、反応管をPFAとした。4時間でC液、D液、E液を流し切ってマイクロ波照射を終了した。反応管内壁への銀の析出物付着は生じなかった。反応温度が70°Cに達してから反応温度は、63.0°Cから73.0°Cの間で変化し、平均反応温度は69.9°Cであった。反射波電力は0W〜219Wで、平均は31.8W、入射波電力は、272W〜320Wで、平均は290.5Wであった。
(実施例8)
銀ナノ粒子の合成例3。
銀457g分の合成を実施した。
C液の調合。
硝酸銀(AgNO3)720g(4.24mol)をイオン交換水5040gに溶解させて、C液として第1液源31に用意した。
D液の調合。
2−ジメチルアミノエタノール1888g(21.18mol)、イオン交換水2308gを投入し、そこへ、Disperbyk−190を86g添加、さらに、BDG1308g,ドデカン2598gを加え、D液として第2液源32に用意した。
マグネティックスターラーでD液の水相とドデカンを充分混合させたD液とC液を、各液に0.5L/分で窒素ガスを導入後、プランジャーポンプで、C液を9.09ml/分、D液を16.3ml/分の速度でそれぞれの送液管を経由してT字型ジョイント25に送り、混合液CDとして、送液管78からPFA製の反応管7に反応液として送液した
マイクロ波照射時の目標温度を85°Cとし、反応管を銀ナノ粒子の合成例1と同じくPFAとし、9時間48分でC液を流しきって、銀ナノ粒子の合成を終えた。反応管内壁への銀の析出物付着すなわち銀鏡現象は生じなかった。反応温度は、76.9°Cから94.2°Cで、平均は85.0°Cであった。
不活性ガスの流し方を種々検討したところ、金属ナノ粒子をその還元剤によって還元することによって金属ナノ粒子を合成する場合、金属ナノ粒子前駆体の種類とその還元剤の種類によって、最適な不活性ガスの反応液への導入の仕方や導入のタイミングに違いがあることが判明した。金属ナノ粒子の還元反応において、鏡反応が比較的激しい場合、たとえば、金属元素が銀で還元剤にジメチルアミノエタノールを使う場合には、銀ナノ粒子の還元剤を含む溶液に不活性ガスを導入して流しておき、そこへ金属ナノ粒子の原料液を混合する方が、反応管内壁への金属の析出物の付着をより効果的に防ぐことが出来ることが判明した。また、金属元素が銅で、その還元剤にヒドラジンを使う場合、銅イオンを含む液とヒドラジンを含む液を混合して反応液とし、それを反応管に流しておき、マイクロ波照射場の直前で不活性ガスを反応液に導入するのが好ましいことが判明した。
マイクロ波照射場内の温度に関しては、反応液が不活性ガスを挿入された状態で反応管内を還元反応をしながら流動するため、温度制御をしても変動しやすい。しかし、銀ナノ粒子の合成中に調べた結果、突発的な一瞬の温度の低下幅が少なく、その温度低下は最大で15℃であることがわかった。この温度低下を10℃以下に抑えることが、ナノ粒子の製造をより安定に進めることができることも判明した。反応液の温度変化の測定は毎秒行った。前記一瞬の温度低下とは、設定温度からパルス的に変動して低下したときのピーク値をいう。すなわち、「突発的な一瞬の温度の低下幅」とは、マイクロ波照射場内の温度を1秒ごとに測定したときに、設定温度からパルス的に低下する低下幅のことをいう。また、本発明においては、「突発的な一瞬の温度の低下幅」が15℃、好ましくは10℃以下であることが好ましい。
銀ナノ粒子の合成に関して、図1に示した構成で、1種類目の液として硝酸銀を含む液を第1の液源に、2種類目の液として硝酸銀の還元剤を含む液を第2の液源に用意し、それぞれプランジャーポンプで各所定の液送速度で、それぞれの液流路を通ってT字型ジョイントに送り、T字型ジョイントで両液を混合すると、還元適性温度に上昇させる前に混合された両液は還元を開始してしまい、T字型ジョイントに接続されている液流路に流通した反応液が透明から黒色に変化する様子が観測された。
窒素ガスを早期に挿入するため、この反応液が流れる液流路の長さを約3cmにし、液流路のT字型ジョイントに接続されている端部とは反対側の端部を第2のT字型ジョイントに接続し、第2のT字型ジョイントの一端に接続されている流路から窒素ガスを挿入し、反応液とともに第2のT字型ジョイントの一端に接続されている液流路を通り、マイクロ波照射場を通る反応管へと流入させた。これにより、銀ナノ粒子の合成を、反応管内壁に析出物の付着を生じさせることなく、長時間にわたって行うことができた。
また、反応管のマイクロ波照射場を通る部分以外の少なくとも一部を、加熱源または冷却源としてのマイクロ波以外の温度制御手段を用いて温度制御して、金属ナノ粒子の粒径制御を行うことができる。これに狭く限定されないが、例えば上記一部を、ペルチエ素子を配した熱伝導性の比較的よい物体に接しさせたり、そのような容器内を通過させたり、第1・第2の液源の少なくとも一方をペルチエ素子を用いて温度制御して、金属ナノ粒子の粒径制御を行うことができる。
ペルチエ素子は電気的に制御して温度を上げることにも下げることにも使い分けることができるため、金属ナノ粒子の粒径制御や反応適性温度や粒径制御温度を適性に制御することができる。
また、金属ナノ粒子の製造工程内の、第1の液、第2の液、前記気体、反応液の各流路又はその近傍等の少なくとも一部に、温度、流量、液に関する反応進行情報や粒径に関する情報の少なくとも1つを検出するセンサーを配置し、その出力を所定の制御系にフィードバックして制御を行うことができる。
また、金属ナノ粒子の製造工程内の反応液の流路もしくは分路における金属ナノ粒子の粒径を測定する手段を設け、金属ナノ粒子のその時点での粒径を測定することができる。
反応液の流路もしくは分路にT型やY型等のジョイントを設け、前記ジョイントから反応液を採取して金属ナノ粒子の粒径を測定したり、反応液の流路もしくは分路において金属ナノ粒子の粒径を直接測定する手段、たとえば、レーザ光の位相回転を利用した測定手段を設けることができる。
これらの粒径に関する情報、温度制御情報、流量制御情報は、たとえば、合成する金属ナノ粒子の粒径分布を制御することに役立つ。
前出の銅の場合(比較例1)も実施例1と比較するとわかるように、実施例1のように窒素ガスを反応液に導入した場合は、鏡現象を生じずに前記予定量の合成ができたが、窒素ガスを反応液に導入しなかった比較例1では、鏡現象のため銅の合成が途中で止まってしまった結果になっている。実施例1は予定した量の銅ナノ粒子の合成を終えたので実験をやめたわけであるが、比較例1は同じ予定量を合成できなかったのである。
銀の場合はさらにはっきりした違いが出ている。窒素ガスを反応液に導入しなかった比較例2では、銀塩を還元剤と混合した段階で、反応温度が反応温度に達してから約4分で鏡現象のため銀ナノ粒子の合成ができなくなり、マイクロ波照射をやめた。これに対して、窒素ガスを反応液に導入した場合は、実施例7のように、予定合成量を348g分の銀の合成に設定した場合、合成中全く鏡を生じずに4時間で全予定量の銀の合成を終えている。条件を適切に決めることにより、12時間以上の合成ができることを確認している。
窒素ガスの流量について検討した結果、わずかな量でも鏡現象の軽減に役立つが、内径2mmで且つマイクロ波照射領域が100mmの前出フッ素樹脂反応管の場合、0.4L/分以上で反応液に窒素ガスを流入させる効果が大きい。量産に適する合計流量を0.5L/分以上、さらに好ましくは1L/分以上に制御することが安定した効果を示すことがわかった。合計流量は2L/分以下であることがより好ましい。
反応液を流す反応管の平均内径を2r(mm)としたときの不活性ガスの反応液への合計挿入量は、0.4×r(リットル)/分以上であることが好ましく、0.5×r(リットル)/分以上であることがより好ましく、1.0×r/分以上であることがさらに好ましい。ただし、経済的には3.0×r(リットル)/分を越えないことが望ましい。
反応液に挿入した不活性ガスの反応管内における線速度が2m/秒以上であることが好ましく、線速度が5m/秒以上であるようにすると安定した合成を続けることができた。
さらに、不活性ガスとしてのガスの種類を種々変えて実験してみた結果、アルゴンなど窒素以外の不活性ガスでも同様の効果があることが判明した。しかし、経済的には窒素ガスが特に好ましい。
また、前記第1の液と第2の液を混合して反応液にする前に、前記第1の液と第2の液の少なくとも一方に気体を挿入して混相流にして後、前記第1の液と第2の液を混合して反応液にすることにより、反応系の緻密な制御を可能にする。
前記第1の液と第2の液を混合して反応液にする前に、前記第1の液と第2の液に挿入する気体に異なる種類の気体を用いることができる。また、前記第1の液と第2の液を混合して後、気体を挿入する工程をさらに設けることによって、制御の質を金属の種類に適するようにすることができる。
また、挿入する気体の圧力または線速度を制御する工程を有するようにすることが好ましい。
ナノ粒子の分散剤としてDisperbyk−190を用いた例を説明したが、これに狭く限定されないが、分散剤として、親水性のものが好ましく、たとえばポリオキシアルキレンアミン、モノアミン、ジアミン、ポリアクリル酸など多くの分散剤がある。疎水性の分散剤も使うことができる。また、反応液を構成する液の調整に攪拌作用を利用するにあたり、マグネティックスターラーを用いたが、本発明はこれに狭く限定されず、超音波を用いることなど、他の方法を用いることが可能である。超音波振動を利用する場合、たとえば、30KHzのような低周波の超音波、200KHzのような中程度の周波数の超音波、500KHz近傍の比較的高い周波数の超音波を、その周波数の特性を利用して、本発明の効果を一層大きくすることができる。
反応液にマイクロ波を照射する場合、超音波を伝搬させることができるようにし、これにより、合成されるナノ粒子の粒子径やその分布を制御することができる。
金属ナノ粒子コロイドを精製する手段としては限外ろ過などを挙げることができる。
また、実施例などにおいて、A液とB液の混合や反応液と不活性ガスの混合にT字型ジョイントを用いたが、本発明はこれに狭く限定されず、Y字型ジョイントや、混合する液や不活性ガスの種類や性質等を考慮して多種類の液やガスを混合することができるように設計したジョイントを用いて、還元反応等の効果を緻密に制御し、本発明の効果を一層大ならしめることができる。
なお、反応液の作製手順は、金属ナノ粒子前駆体の還元剤を含む液を先に流通させておき、そこへ金属ナノ粒子前駆体を含む液を混合させる手順であることが好ましい。
そして、先に流通させる金属ナノ粒子前駆体の還元剤を含む液とそれに混合させる金属ナノ粒子前駆体を含む液のうちの、少なくとも金属ナノ粒子前駆体の還元剤を含む液に、前記金属ナノ粒子前駆体を含む液を混合する前に、前記気体を挿入することがさらに好ましい。前記気体として不活性ガスを用いると特に大きな効果を発揮することが判明した。
また、反応液の反応促進に用いるマイクロ波のモードにTM010モードを用いる例を実施例として記載したが、本発明はこれに狭く限定されない。たとえば、TMmn0モード(mは0以上の、nは1以上の整数)のマイクロ波定在波は、円筒の半径方向に電解の集中するところがあり、中心軸に平行な位置では均一な電界強度を有し、同様に利用できる。
マイクロ波加熱では、電界による加熱を利用することができるが、磁界による加熱を利用することもできる。
ナノ粒子の合成を安定化し、合成可能時間を長時間化し、合成品質を高めるには、反応液の流れをより良く制御することが好ましい。
その一つの手段として、前記のように、反応液の反応進行状況などをモニターするための各種測定手段を随所に設置する方法がある。マイクロ波の電界をモニターする電界モニターとマイクロ波照射場内の温度あるいは反応管の温度を検出する温度計の少なくとも一方をマイクロ波照射場内に設け、その測定結果をマイクロ波発振器・制御器などシステムの制御系にフィードバックして、マイクロ波の発信状況を制御するほか、高いレベルの自動製造システムの構築を実現できるものである。
図示していないが、必要に応じて各種測定手段を随所に設けることができる。電界モニターと温度計は少なくともそれらの一部がマイクロ波発振器・制御器にフィードバックされている。このほかに、不活性ガスの流量に関しては、たとえば毎分の流量を測定する手段を流路や不活性ガス源の一部に設けることができ、反応液を構成する各液の流量や成分の測定手段をT字型ジョイントあるいはその手前の液流路等に設けることができ、温度の測定手段も温度計に限られず要所に設けることができ、反応管内壁への析出付着物の光学的および/または電気的等検出手段を反応管や制御回路等へ設けることができ、反応液の反応過程や反応後のナノ粒子の粒径や粒径分布、平均粒径などの電気的および/または光学的等測定手段を反応管あるいはその近傍あるいは回収タンクなどに設けることができる。
還元適性温度は金属塩と還元剤、分散剤等添加剤によって異なる。銀の場合、実施例5では還元適性温度が70°Cなので、マイクロ波の設定温度を70°Cに設定し、毎秒反射電力と温度測定を行った。反応液に不活性ガスを導入しない比較例2においては、マイクロ波の照射を開始後、反応温度が70°Cに達した54秒から140秒までの86秒における反射電力は75〜308Wであった。また、この間で150W以上を記録したのは46回で、その間300Wを超えたのは2回であった。140秒から停止させる292秒までの152秒の間の反射電力は38〜503Wで、150W以上が78回、300W以上が22回であった。これ以上続けることは危険であったので、マイクロ波照射をやめた。これに対して、反応液に不活性ガスを導入した実施例5の場合は、マイクロ波の照射を開始後、反応温度が70°Cに達した52秒から実験終了した352秒後の300秒の間での反射電力は0〜219Wであった。また、その間に100W以上を記録したのは12回で、その内で150W以上を記録したのが5回で、その内、200〜230Wを記録したのが2回であった。また、230W以上はなかった。これより、少なくとも、反射電力が150W以上の出現回数が20秒で8回以上になると鏡ができやすいということができる。液の逆流の影響も考慮を要する。
これら各種測定手段の測定結果は、製造仕様等によってコントロールすることができる。例えば、測定データをマイクロ波発振器・制御器および/または図示していないシステム制御回路にフィードバックして製造システムを制御することにより、平均粒径、粒径分布などをコントロールすることができる。
本発明の方法で製造した金属ナノ粒子には、その製造上、反応液に挿入して混相流とした気体、不活性ガス、窒素ガス等が少なくとも微量混入している可能性が大きい。
本発明の金属ナノ粒子は、顧客の要望に応じて、前記種々の形態をとって製品になり得るるものである。そして、本発明は、前記種々の例に狭く限定されず、本発明の技術思想に従って多くのバリエーションを可能としている。たとえば、前記各実施例と比較例では、それぞれ各実施例における反応液の構成成分の割合を適宜増減してもよい。また、図1のセンサーからの検出情報を基に、各構成要素の組み合わせ方、使用不使用の選択、ナノ粒子によっては、還元力のある水素や物質改変性のある反応性ガスの利用によるナノ粒子の改善、構成要素の洗浄等々をあげることが出来る。
本発明の説明においては反応液に気体として不活性ガスを導入して、反応管内壁に析出物の付着を防ぐことを中心に説明してきた。還元性のある水素ガスを不活性ガスの代わりに導入することもでき、半導体分野で使われている反応性ガスを導入することもでき、鏡を防ぐとともに、物性の付与、改質をすることも可能である。また、マイクロ波照射部分を複数段設けて、制御により多目的に使うこと、すなわち、還元反応その他を高精度に実施することも可能である。マイクロ波として複数種類の波長を用いることも可能である。
ナノ粒子自体の測定器と組み合わせて、種々の測定、加工なども可能である。
本発明の金属ナノ粒子の製造方法、製造装置、銅、銀に代表される金属ナノ粒子は、製造コストが安く、製品を製造したときの品質のバラツキが小さいことやナノ粒子の特性などの利点を有するので、触媒業界、電子基板の配線、電子部品の接合など電子・電機業界、自動車業界などにおける広い技術分野において大きな効果を発揮する。
1:マイクロ波照射口
2:マイクロ波照射場
4:電界モニター
5:温度計
6:マイクロ波発振器・制御器
7,7a,7b:反応管
8:反応液
21:不活性ガス源
22〜25:T字型ジョイント
30:接続部
30a:反応液の取り出し部
31,32,33:液源
34:回収タンク
50,52,53,60,64,50a,52a,53a,60a,64a,50b,52b,53b,60b,64b,50c,53c,53c,60c,64c:温度曲線
51,54,55,51a,54a,55a,51b,54b,55b,51c,54c,55c:マイクロ波の反射波強度曲線、
71,72〜78:流路
a−1〜a−9:矢印
S−1〜S−14:センサー

Claims (1)

  1. 少なくとも一部がマイクロ波照射場に配置された部位を有する反応管に、金属ナノ粒子の原料塩を含む第1の液及び/又は前記原料塩の還元剤を含む第2の液及び/又は前記第1の液と前記第2の液を混合させた液を含む液である反応液を流通させる工程と、
    前記反応管のマイクロ波照射場に配置された部位において、前記流通する液にマイクロ波を前記反応管の外部から照射して、前記流通する液を加熱する工程と、
    前記反応管及び/又は流通管及び/又は流路の少なくとも一部に、前記第1の液、前記第2の液および前記反応液の少なくとも1種類を流通させて、金属ナノ粒子の還元反応を制御し、金属ナノ粒子を合成する工程を有する金属ナノ粒子の製造方法において、
    前記第1の液が、前記原料塩を溶解した水溶液に、さらにドデカンを添加した液であって、及び/又は、前記第2の液が、前記還元剤を含む水溶液に、さらにドデカンを添加した液であって、
    前記反応管の材質が、PFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)又はPTFE(四フッ化エチレン樹脂)を含むものであり、
    前記流通させる液が、前記少なくとも一部がマイクロ波照射場に配置された部位を有する反応管に流通される際においてすでに気体と液体の混相流になっており、
    前記気体が不活性ガスであり、
    少なくとも一部がマイクロ波照射場に配置された部位を有する反応管に流通させる前記液が、前記反応管、及び/又は流通管、及び/又は流路に流通された時点において、前記液に含まれる液体の進行方向と気体の進行方向とが全体として同方向である、金属ナノ粒子の製造方法。
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