JP2023119094A - 銀ナノ粒子の製造方法 - Google Patents

銀ナノ粒子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023119094A
JP2023119094A JP2022021733A JP2022021733A JP2023119094A JP 2023119094 A JP2023119094 A JP 2023119094A JP 2022021733 A JP2022021733 A JP 2022021733A JP 2022021733 A JP2022021733 A JP 2022021733A JP 2023119094 A JP2023119094 A JP 2023119094A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reaction
temperature
reaction solution
silver nanoparticles
microwaves
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022021733A
Other languages
English (en)
Inventor
麗未 山田
Remi Yamada
盾哉 村井
Tateya Murai
大貴 西嶋
Hirotaka Nishijima
拓磨 土屋
Takuma Tsuchiya
隆 前野
Takashi Maeno
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2022021733A priority Critical patent/JP2023119094A/ja
Publication of JP2023119094A publication Critical patent/JP2023119094A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)

Abstract

【課題】反応液にマイクロ波を照射することで銀ナノ粒子を製造する方法において、粒径が小さく且つ均一である銀ナノ粒子を安価で調製することができる銀ナノ粒子の製造方法を提供する。【解決手段】反応液にマイクロ波を照射するステップを含む銀ナノ粒子の製造方法であって、(i)反応液に反応液の総体積に基づいて10W/mL~50W/mLの電力密度のマイクロ波を照射して反応液の温度を反応温度に到達させるステップ、(ii)(i)のステップで反応液の温度を反応温度に到達させた後、マイクロ波の照射を停止するステップ、及び(iii)(ii)のステップで反応液へのマイクロ波の照射を停止した後、反応液の温度をヒーターにより反応温度に保つステップを含む、方法に関する。【選択図】図3

Description

本発明は、銀ナノ粒子の製造方法に関する。
近年、バルク材料と異なる性質を有することがある金属ナノ粒子は、例えば触媒、電子部品部材など、様々な用途に使用されている。
エレクトロニクス実装分野においても、低温で接合することができる鉛フリー化接合材料として、金属ナノ粒子が検討されている。鉛フリーはんだは250℃以下で接合することが困難であるが、金属ナノ粒子を含む鉛フリーはんだは、金属ナノ粒子の特性、すなわち、バルク材料と比較して低い融点を有する一方で、接合に使用されて焼結するとバルク材料としての融点を有するという特性を利用して、250℃以下での接合を可能にし得る。
このような金属ナノ粒子の調製方法として、例えば、特許文献1は、金属前駆物質と該金属前駆物質の還元剤とを含有する反応液を、マイクロ波照射空間内に配置された流通管内に流通させるとともに、該マイクロ波照射空間内の該流通管内に向けて、均一且つ集中的なマイクロ波を照射し、このマイクロ波照射により前記マイクロ波照射空間内の前記流通管内にある反応液をその流通方向の長さ方向全体にわたって、均一に加熱し、金属微粒子を生成させる金属微粒子の製造方法であって、該製造方法は、前記マイクロ波の周波数が5.8GHzのときのマイクロ波照射空間を通る流通管の内径を2.9mmより細い流通管とすること、及び、マイクロ波照射空間を通過した反応液を温度調節器に導入することを含み、さらに、下記(a)~(e)
(a)前記反応液中への前記金属前駆物質の添加量
(b)前記反応液中への前記還元剤の添加量
(c)前記反応液中への添加剤の添加量
(d)前記反応液の流通速度
(e)前記マイクロ波の照射条件
のうち少なくとも一つを調節することを含む、金属微粒子の製造方法について開示している。
特許文献2は、反応液中40mM以上の銀イオンを、粒子保護剤及び銀よりも貴な元素の存在下、銀イオンの還元剤で還元することを特徴とする銀ナノ粒子の製造方法について開示している。
特開2017-218667号公報 特開2020-183567号公報
高耐熱接合材料として、金属ナノ粒子、特に機能面において種々の優れた物理的・化学的特性を有する銀ナノ粒子を使用するためには、銀ナノ粒子の融点を一定にする必要がある。銀ナノ粒子の融点を一定にするためには、銀ナノ粒子について、粒径を小さくし、さらに、粒度分布を狭くすることが望ましい。
このような様々な用途に応用し得る銀ナノ粒子の開発が進んでいるものの、反応液にマイクロ波を照射することで銀ナノ粒子を製造する方法において、銀ナノ粒子を、粒径が小さく且つ均一(ここで、粒径が均一とは、粒度分布が狭いことを意味する)のまま安価で調製することは困難である。
そこで、本発明は、反応液にマイクロ波を照射することで銀ナノ粒子を製造する方法において、粒径が小さく且つ均一である銀ナノ粒子を安価で調製することができる銀ナノ粒子の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、反応液にマイクロ波を照射することで銀ナノ粒子を製造する方法において、反応液に照射するマイクロ波の出力を調整し、反応液が反応温度に到達したら反応液へのマイクロ波照射を停止し、その後の反応液の温度をヒーターで反応温度に保つことにより銀ナノ粒子を製造したところ、反応液中、粒径が小さく且つ均一である銀ナノ粒子を安定して調製することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)反応液にマイクロ波を照射するステップを含む銀ナノ粒子の製造方法であって、
(i)反応液に反応液の総体積に基づいて10W/mL~50W/mLの電力密度のマイクロ波を照射して反応液の温度を反応温度に到達させるステップ、
(ii)(i)のステップで反応液の温度を反応温度に到達させた後、マイクロ波の照射を停止するステップ、及び
(iii)(ii)のステップで反応液へのマイクロ波の照射を停止した後、反応液の温度をヒーターにより反応温度に保つステップ
を含む、方法。
(2)反応温度が、25℃以上、溶媒の沸点未満である、(1)に記載の方法。
(3)反応液が、銀ナノ粒子の原料と、溶媒と、保護剤と、還元剤とを含む、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)銀ナノ粒子の原料が硝酸銀である、(3)に記載の方法。
(5)保護剤がタンニン酸である、(3)又は(4)に記載の方法。
(6)還元剤がクエン酸及び/又はその塩である、(3)~(5)のいずれか1つに記載の方法。
本発明により、反応液にマイクロ波を照射することで銀ナノ粒子を製造する方法において、粒径が小さく且つ均一である銀ナノ粒子を安価で調製することができる銀ナノ粒子の製造方法が提供される。
反応液に各電力密度のマイクロ波を照射して、反応液の温度を90℃に到達させた後マイクロ波パルスにより90℃に保温して調製した銀ナノ粒子分散液のUV-visスペクトルである。 反応液に各電力密度のマイクロ波を照射して、反応液の温度を90℃に到達させた後ウォーターバスにより90℃に保温して調製した銀ナノ粒子分散液のUV-visスペクトルである。 マイクロ波の電力密度とピーク波長との関係を示すグラフである。 マイクロ波の電力密度と半値幅との関係を示すグラフである。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本明細書では、適宜図面を参照して本発明の特徴を説明する。なお、本発明の銀ナノ粒子の製造方法は、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良などを施した種々の形態にて実施することができる。
本発明は、反応液にマイクロ波を照射するステップを含む銀ナノ粒子の製造方法であって、(i)反応液に反応液の総体積に基づいて10W/mL~50W/mLの電力密度のマイクロ波を照射して反応液の温度を反応温度に到達させるステップ、(ii)(i)のステップで反応液の温度を反応温度に到達させた後、マイクロ波の照射を停止するステップ、及び(iii)(ii)のステップで反応液へのマイクロ波の照射を停止した後、反応液の温度をヒーターにより反応温度に保つステップを含む、方法に関する。
以下に(i)~(iii)の各ステップについて説明する。
(i)反応液に反応液の総体積に基づいて10W/mL~50W/mLの電力密度のマイクロ波を照射して反応液の温度を反応温度に到達させるステップ
(i)のステップでは、反応液に反応液の総体積に基づいて10W/mL~50W/mLの電力密度のマイクロ波を照射して反応液の温度を反応温度に到達させる。
ここで、本発明において使用される反応液としては、従来のマイクロ波を照射することにより銀ナノ粒子を製造する方法において使用することができる反応液の構成を使用することができ、限定されない。例えば、反応液に含まれる材料の例を以下に挙げる。
まず、反応液は、銀ナノ粒子の原料を含む。銀ナノ粒子の原料としては、溶媒中に溶解し、銀イオンを生成することができれば限定されないが、例えば銀の、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩などの有機塩、などを挙げることができる。銀ナノ粒子の原料は、例えば、金属銀や銀塩を含む材料を硝酸などの酸又はアンモニア水などにより溶解して調製してもよい。銀ナノ粒子の原料としては、安価である硝酸銀を使用することが好ましい。
反応液中の銀イオンの濃度は、限定されないが、通常0.1mmol/L(mM)~300mM、好ましくは0.1mM~100mMである。
反応液中の銀イオンの濃度を前記範囲にすることによって、得られる銀ナノ粒子のばらつきは小さくなり、言い換えれば、得られる銀ナノ粒子の粒度分布は狭くなる。
さらに、反応液は、溶媒を含む。反応液に用いられる溶媒は、銀ナノ粒子の原料、保護剤及び還元剤などの材料を溶解し、さらにマイクロ波を吸収することができれば限定されない。反応液に用いられる溶媒としては、例えば沸点が300℃以下である低沸点溶媒などが挙げられる。低沸点溶媒としては、限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノールなどのアルコール、エチレングリコールなどの多価アルコール系溶媒、アセトンなどのケトン系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、その他有機溶媒、又はこれらの2種以上の混合物などの低沸点極性溶媒を挙げることができる。反応液に用いられる溶媒としては、水が好ましい。
反応液に用いられる溶媒として低沸点溶媒を使用することによって、溶媒の取扱い性を向上させ、環境への負荷を小さくすることができる。
さらに、反応液は、保護剤を含む。反応液に用いられる保護剤は、反応液中に生成した銀ナノ粒子表面の一部又は全面に結合する化合物であって、銀ナノ粒子同士の凝集を抑制する化合物である。保護剤としては、限定されないが、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、チオール系ポリマー、ポリビニルアルコール(PVA)、タンニン酸などを挙げることができる。保護剤としては、タンニン酸が好ましい。
保護剤の量は、限定されず、所望する銀ナノ粒子の粒径に応じて、変更することができるが、銀の物質量の、通常0.1倍~20倍、好ましくは0.2倍~10倍である。
保護剤を使用することによって、生成した銀ナノ粒子同士の凝集を抑制することができる。
さらに、反応液は、還元剤を含む。還元剤は、銀イオンを、酸化還元反応により、酸化数が0である銀まで還元することができる材料である。
還元剤としては、限定されないが、例えば、クエン酸又はその塩、例えばクエン酸三ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸一ナトリウム、シュウ酸又はその塩、例えばシュウ酸ナトリウム、アスコルビン酸又はその塩、例えばアスコルビン酸ナトリウム、これらの2種以上の混合物などが挙げられる。銀イオンの還元剤としては、クエン酸及び/又はその塩が好ましい。
還元剤の量は、銀イオンを酸化還元反応により酸化数が0である金属まで還元することができる限り、限定されないが、銀イオンに対して、通常1.0倍当量~20倍当量、好ましくは4.0倍当量~15倍当量である。なお、銀イオンの還元剤は、カルボキシ基、ヒドロキシ基、エーテル基などの金属と相互作用可能な官能基を1種以上含む場合、保護剤としても作用し得る。還元剤が保護剤としても作用する場合、反応液中に前記で説明した保護剤を含まなくてもよく、また、銀イオンの還元剤の量は、銀イオンを酸化還元反応により、酸化数が0である金属まで還元するために必要な量を超える量であってもよい。
反応液は、前記で説明した銀ナノ粒子の原料、溶媒、保護剤及び還元剤から構成されてもよいが、これらの材料以外にも、従来のマイクロ波を照射することにより銀ナノ粒子を製造する方法において使用することができる反応液において通常使用され得る添加剤を含むこともできる。
例えば、反応液は、添加剤としてキレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)及び/又はその塩をさらに含んでいてもよい。
反応液のpHは、限定されないが、通常pH3~pH12である。
本発明では、反応液の調製における、各材料の添加順序、添加温度、混合方法、混合時間などは限定されず、均一な反応液が調製されるように混合される。本発明では、均一な反応液が調製されてから反応を開始させる。
本発明では、前記で説明した反応液にマイクロ波合成装置を用いてマイクロ波を照射し、反応を進行させる。反応液にマイクロ波を照射すると、反応液に含まれる極性溶媒は、マイクロ波を吸収し、熱エネルギーに変換することで発熱する。したがって、マイクロ波が照射された反応液では、照射された部分において、均一且つ迅速な温度上昇が起こり、当該温度上昇にしたがい、均一且つ迅速な反応が生じる。
マイクロ波は、反応を起こす対象、すなわち反応液において反応を起こす部分に対して、均一に照射されることが好ましい。
マイクロ波合成装置では、反応液を収容する容器の材質は、反応液にマイクロ波を均一に照射することができれば限定されず、例えば、反応器の外部から反応器を介して反応液にマイクロ波を照射する場合、マイクロ波を透過する材質、例えばセラミックス、ガラスなどを使用することができ、反応液の上部から反応液に直接マイクロ波を照射する場合、マイクロ波を反射する材質、例えばアルミニウム、ステンレスなどの金属などを使用することができる。
マイクロ波は、マイクロ波照射源(マイクロ波発振器(マグネトロン))から発生し、マイクロ波照射源は、シングルモードシステム、マルチモードシステムのどちらでも使用することができる。
マイクロ波照射源の出力(電力密度)は、反応液の総体積に基づいて、10W/mL~50W/mLである。
マイクロ波照射源の出力(電力密度)を前記範囲に調整し、さらに以下で説明する(iii)のステップを経ることによって、低電力密度であっても、粒径が小さく且つ均一である銀ナノ粒子を調製することができる。
マイクロ波照射源から発生するマイクロ波の周波数は、適宜変更することができ、限定されないが、通常1GHz~10GHz、好ましくは2GHz~6GHzである。本発明では、マイクロ波の周波数として、工業用マイクロ波電源の周波数である2.45GHzを使用することが好ましい。
マイクロ波は、照射の間、均一であることが好ましく、前記のマイクロ波の照射条件は、マイクロ波を照射している間、一定であることが好ましい。
本発明において、マイクロ波の照射によって昇温される反応液の温度は反応温度であり、当該反応温度は、反応の条件(溶媒の種類、反応時の圧力など)により適宜変更することができ、限定されないが、通常25℃以上、好ましくは80℃以上である。反応温度の上限は、限定されないが、通常溶媒の沸点未満である。反応温度は、例えば、溶媒が水の場合、大気圧で、通常25℃以上100℃未満の範囲、好ましくは80℃~90℃である。
反応温度を25℃以上にすることによって、銀イオンから銀ナノ粒子への還元反応が起こり、反応温度を溶媒の沸点未満にすることによって、反応液の沸騰により生じ得る反応場の不均一化に伴う生成する銀ナノ粒子の粒径の乱れ、すなわち粒度分布の拡がりを防止し、粒径が小さく且つ均一である銀ナノ粒子を調製することができる。
反応液へのマイクロ波の照射時間は、反応液の温度が反応温度に到達するまでにかかる時間であり、反応の条件(マイクロ波の条件、溶媒の種類、反応時の圧力、反応液の量、反応温度など)により適宜変更され、限定されないが、通常0.1秒~300秒、好ましくは10秒~60秒である。
反応液に前記条件でマイクロ波を照射して反応液の温度を反応温度に到達させることによって、反応液中に銀ナノ粒子の核が生成される。
(ii)(i)のステップで反応液の温度を反応温度に到達させた後、マイクロ波の照射を停止するステップ
(ii)のステップでは、(i)のステップで反応液の温度を反応温度に到達させた後、マイクロ波の照射を停止する。
詳細には、(ii)のステップでは、(i)のステップにおいて反応液の温度が反応温度に到達したことが確認されたら直ぐに、反応液に照射されていたマイクロ波を遮断する。
反応液へのマイクロ波照射の停止により、反応液中での銀ナノ粒子の核生成が穏やかになる。
(iii)(ii)のステップで反応液へのマイクロ波の照射を停止した後、反応液の温度をヒーターにより反応温度に保つステップ
(iii)のステップでは、(ii)のステップで反応液へのマイクロ波の照射を停止した後、反応液の温度をヒーターにより反応温度に保つ。
詳細には、(ii)のステップで反応液へのマイクロ波の照射を停止した後、反応液の温度の低下を防ぐため、反応液をヒーターにより反応温度に保温する。
反応液のマイクロ波照射からヒーターへの切替は、反応時間などの観点から直ぐに行われることが好ましいが、反応液の温度が切替時に反応温度未満になってしまっても、ヒーターにより再度反応温度に戻すことができる。
反応液の保温のために使用されるヒーターは、反応液の温度を反応温度に保つことができれば限定されず、従来のヒーターを使用することができる。ヒーターとしては、例えばマントルヒーター、投込み式ヒーター、ウォーターバス、オイルバスなどを挙げることができる。
反応液のヒーターによる反応温度での保温は、反応が完了するまで実施される。反応の完了は、反応液中の銀ナノ粒子の原料又は銀ナノ粒子に由来する吸光度などを観察することにより決定することができる。例えば、銀ナノ粒子の原料として無機塩を使用した場合、保温時間に伴う反応液の280nm~780nmでの吸光度の変化を観察し、当該吸光度が変化しなくなった時点を反応の完了時点とする。あるいは、保温時間に伴う反応液の銀ナノ粒子に由来する280nm~780nmの吸光度の変化を観察し、当該吸光度が変化しなくなった時点を反応の完了時点とする。
したがって、反応完了までの保温時間は、前記の通り決定することができるが、通常2分~15分である。
(iii)のステップにおいて反応液がヒーターにより反応温度に保温されることによって、(i)のステップにおいて生成された反応液中の銀ナノ粒子の核が成長し、さらに均一化(熟成)される。
したがって、本発明では、10~50W/mLのマイクロ波を所定の時間照射し、その後保温することで粒径が小さく且つ均一である銀ナノ粒子を製造することができる。
本発明では、(i)~(iii)のステップを通して、反応液を、撹拌機構、例えばプロペラ式撹拌機、振動式撹拌機、マグネチックスターラーなどにより、撹拌することが好ましい。
反応液を撹拌することによって、反応液中に生成した銀ナノ粒子を均一に分散することができ、反応液を均一に保つことができる。
また、本発明は、バッチ式で実施しても、流通式で実施してもよい。本発明は、流通式の場合、銀ナノ粒子を連続的に合成することができる。本発明では、銀ナノ粒子をマイクロ波が好ましくは均一に照射できる構造1つと保温部1つの簡単な構成で製造可能であり、したがって、銀ナノ粒子を安価な装置コストで製造可能である。
本発明により得られた銀ナノ粒子を含む分散液は、必要に応じて、当該技術分野において知られる方法により、分離、精製(例えば塩析や遠心分離)などを実施し、目的とする銀ナノ粒子及び/又は銀ナノ粒子を含む分散液を得ることができる。
本発明の銀ナノ粒子の製造方法により製造された銀ナノ粒子は、粒径が小さく、粒度分布の分散が小さいことが特徴である。
銀ナノ粒子のおおよその平均粒径は、当該銀ナノ粒子を含む分散液の吸光度により測定することができ、吸光度のピークの最大値が小さくなるほど、平均粒径が小さくなる。本発明の銀ナノ粒子の製造方法により製造された銀ナノ粒子を含む分散液の吸光度は、405nm以下にピークの最大値を有するため、当該分散液に含まれる銀ナノ粒子の平均粒径は、10nm以下である。
銀ナノ粒子のおおよその粒度分布は、当該銀ナノ粒子を含む分散液の吸光度のピークの半値幅により把握することができ、当該半値幅が小さくなるほど、粒度分布が狭くなる、すなわち粒径のばらつきが小さくなる。なお、銀ナノ粒子を含む分散液の吸光度のピークの半値幅は、吸光度のピークの最大値の半分の吸光度2点における波長間の距離(幅)を示す。本発明の銀ナノ粒子の製造方法により製造された銀ナノ粒子を含む分散液の吸光度のピークの半値幅は、81.0nm~83.5nmであり、従来のマイクロ波による合成により製造された銀ナノ粒子を含む分散液の吸光度のピークの半値幅よりも小さい。すなわち粒度分布が狭く、本発明の銀ナノ粒子の製造方法により製造された銀ナノ粒子は、粒径のばらつきが小さく、粒径の揃った均一な銀ナノ粒子である。
本発明の金属ナノ粒子の製造方法により製造された金属ナノ粒子は、従来の触媒、電子部品部材などに加え、低温で焼結できる特性により、電子部品の高耐熱接合材として、配線材として、使用することができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例につき説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
1.銀ナノ粒子の調製
極性溶媒である水100mLに、銀ナノ粒子の原料としての硝酸銀4.3mg、保護剤としてのタンニン酸4.3mg及び還元剤兼保護剤としてのクエン酸三ナトリウム147mgを添加し、5分間撹拌して、各材料を水中に溶解して、反応液を調製した。
得られた反応液に、反応液の総体積に基づいて、10W/mL、25W/mL、50W/mL、75W/mL、又は100W/mLの電力密度のマイクロ波を照射して、反応液の温度を反応温度としての90℃に到達させた。
ここで、前記マイクロ波の照射及びその後の保温は、以下の実験条件A又は実験条件Bにより実施した:
実験条件A:前記のマイクロ波を連続的に照射して90℃に到達したら照射を停止する(特許文献1のトレース)。
実験条件B:反応液の温度が90℃に到達したら、マイクロ波の照射を停止し、反応液の温度をウォーターバスにより90℃に保温する。
反応液中の反応が完了していることを、反応液中に室温でも銀イオンを還元できるジメチルアミンボラン(DMAB)を添加し、当該添加前後での反応液のUV-visスペクトルが変化しないこと、すなわち新たに還元される銀ナノ粒子の原料が反応液中に存在しないことを観察することで、確認した。
2.銀ナノ粒子分散液のUV-visスペクトル測定
得られた各銀ナノ粒子分散液について、UV-visスペクトル測定を行った。結果を図1及び2に示す。図1は、実験条件Aの結果を示し、図2は、実験条件Bの結果を示す。
さらに、図1及び2から、各スペクトルのピークの最大値の波長(ピーク波長)と、各ピークの半値幅とを算出し、それらを銀ナノ粒子分散液の調製に使用したマイクロ波の電力密度に対してプロットした。図3は、マイクロ波の電力密度とピーク波長との関係を示し、図4は、マイクロ波の電力密度と半値幅との関係を示す。
図3において、銀ナノ粒子では、ピーク波長が405nm以下で平均粒径が10nm以下になり、ピーク波長が407nm以下で平均粒径が20nm以下になり、ピーク波長が416nm以下で平均粒径が30nm以下になる。図3より、実験条件Bにより調製した銀ナノ粒子の平均粒径は、実験条件Aにより調製した銀ナノ粒子の平均粒径よりも小さくなることがわかった。さらに、図3より、反応液に照射するマイクロ波の電力密度を反応液の総体積に基づいて10W/mL~50W/mLに調整し、その後、反応液の温度を実験条件Bのウォーターバスにより反応温度である90℃に保温することによって、平均粒径が10nm以下の銀ナノ粒子を調製できることがわかった。
図4では、半値幅が小さいほど、粒度分布が狭く、粒径のばらつきが小さい。図4より、実験条件Bにより調製した銀ナノ粒子の粒度分布は、実験条件Aにより調製した銀ナノ粒子の粒度分布よりも狭くなることがわかった。

Claims (6)

  1. 反応液にマイクロ波を照射するステップを含む銀ナノ粒子の製造方法であって、
    (i)反応液に反応液の総体積に基づいて10W/mL~50W/mLの電力密度のマイクロ波を照射して反応液の温度を反応温度に到達させるステップ、
    (ii)(i)のステップで反応液の温度を反応温度に到達させた後、マイクロ波の照射を停止するステップ、及び
    (iii)(ii)のステップで反応液へのマイクロ波の照射を停止した後、反応液の温度をヒーターにより反応温度に保つステップ
    を含む、方法。
  2. 反応温度が、25℃以上、溶媒の沸点未満である、請求項1に記載の方法。
  3. 反応液が、銀ナノ粒子の原料と、溶媒と、保護剤と、還元剤とを含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 銀ナノ粒子の原料が硝酸銀である、請求項3に記載の方法。
  5. 保護剤がタンニン酸である、請求項3又は4に記載の方法。
  6. 還元剤がクエン酸及び/又はその塩である、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
JP2022021733A 2022-02-16 2022-02-16 銀ナノ粒子の製造方法 Pending JP2023119094A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022021733A JP2023119094A (ja) 2022-02-16 2022-02-16 銀ナノ粒子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022021733A JP2023119094A (ja) 2022-02-16 2022-02-16 銀ナノ粒子の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023119094A true JP2023119094A (ja) 2023-08-28

Family

ID=87763290

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022021733A Pending JP2023119094A (ja) 2022-02-16 2022-02-16 銀ナノ粒子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023119094A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6393344B2 (ja) ナノ粒子の製造方法及び製造装置ならびにそれによって製造したナノ粒子
JP6551495B2 (ja) 金属コア・酸化物シェルのコアシェル構造ナノ粒子の連続合成方法および連続合成装置ならびにコアシェル構造ナノ粒子
Yang et al. Synthesis of nanocrystals via microreaction with temperature gradient: towards separation of nucleation and growth
Nishioka et al. Continuous synthesis of monodispersed silver nanoparticles using a homogeneous heating microwave reactor system
JP6436305B2 (ja) 金属微粒子の製造方法および金属微粒子の製造装置
KR102302598B1 (ko) 나노입자의 합성을 위한 연속식 유동 반응기
US6833019B1 (en) Microwave assisted continuous synthesis of nanocrystalline powders and coatings using the polyol process
JP6362206B2 (ja) 銅ナノ粒子コロイド、銅ナノ粒子、それを用いた銅ナノ粒子ペースト、銅ナノ粒子コアシェル金属、銅ナノ粒子コロイドの製造装置、銅ナノ粒子コロイドの製造方法
JP6500174B2 (ja) パラジウムコア白金シェルナノ粒子、その製造装置及び製造方法ならびに電池
Dzido et al. Fabrication of silver nanoparticles in a continuous flow, low temperature microwave-assisted polyol process
JP2023119094A (ja) 銀ナノ粒子の製造方法
Gande et al. Continuous synthesis of copper nanoparticles using a polyol process in a milli-channel reactor
KR100956684B1 (ko) 금속 나노입자의 제조장치
CN102601381A (zh) 铜纳米粉末及其制备方法
US20200353539A1 (en) Method of producing silver nanoparticles
JP2024033909A (ja) 銀ナノ粒子の製造方法
Shenoy et al. A simple solution phase synthesis of copper nanofluid using single-step glucose reduction method
Talukder et al. Power dependence of size of laser ablated colloidal silver nanoparticles
JP6603838B2 (ja) 銅ナノ粒子、それを用いた銅ナノ粒子ペースト、銅ナノ粒子コアシェル金属、銅ナノ粒子製造装置、銅ナノ粒子の製造方法
JP2024033912A (ja) 銀ナノ粒子の製造方法
US20240149345A1 (en) Microwave irradiation apparatus and method of producing metal nanoparticles
JP2023148825A (ja) 金属ナノ粒子の製造方法
JP2013019025A (ja) 金属微粒子の製造方法
JP2017226916A (ja) 微粒子の製造方法及び製造装置ならびに微粒子
JP6654621B2 (ja) 活性パラジウム(0)粉末の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240320