JP6362206B2 - 銅ナノ粒子コロイド、銅ナノ粒子、それを用いた銅ナノ粒子ペースト、銅ナノ粒子コアシェル金属、銅ナノ粒子コロイドの製造装置、銅ナノ粒子コロイドの製造方法 - Google Patents

銅ナノ粒子コロイド、銅ナノ粒子、それを用いた銅ナノ粒子ペースト、銅ナノ粒子コアシェル金属、銅ナノ粒子コロイドの製造装置、銅ナノ粒子コロイドの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は銅ナノ粒子コロイド、銅ナノ粒子、それを用いた銅ナノ粒子ペースト、銅ナノ粒子コアシェル金属、銅ナノ粒子コロイドの製造装置、銅ナノ粒子コロイドの製造方法に関し、さらに具体的には、マイクロ波照射装置を用いて反応管内壁に銅鏡あるいは銅析出物の付着を発生させることなく製造した銅ナノ粒子コロイド、銅ナノ粒子、それを用いた銅ナノ粒子ペースト、銅ナノ粒子コアシェル金属、銅ナノ粒子コロイドの製造装置、銅ナノ粒子コロイドの製造方法に関する。
金属ナノ粒子はバルク金属よりも低い温度で焼結し、焼結後はバルクとほぼ同様の性質を示すことから、電子部品の接合材料やや電気回路の配線形成への応用が期待されている。貴金属ナノ粒子である金や銀のナノ粒子は理想的な条件においては期待される性質を示すものの、原料のコストが原因で広く応用されるにいたっていない。このため、銀と同等の電気伝導率や熱伝導率を有し、原料のコストが銀よりも十分に低い銅ナノ粒子が注目を集めている。しかし、銅ナノ粒子は合成するのに金や銀よりも強い還元力が必要で、合成された銅ナノ粒子は酸化しやすいという取扱いの難しさがあるため、実用化には至っていない。
ナノ粒子の前駆体と分散媒を含む溶液に還元剤を加え、マイクロ波を照射して加熱し、ナノ粒子を製造するナノ粒子の製造装置、製造方法が多く提案されている。
たとえば、特許文献1には、カプリン酸貴金属塩を還元性溶媒の炭素数4〜8のアルコール中で還元するときにマイクロ波をかけて加熱し、銀、金、白金などの貴金属ナノ粒子を製造することが記載されている。
特許文献2には脂肪酸銅塩を炭素数3〜10のアルコール中で還元するときにマイクロ波をかけて加熱し、銅ナノ粒子を製造することが記載されている。
特許文献3と4には反応管の中に金属塩と還元剤を含む反応液を流し、マイクロ波をかけて加熱しながら、金属ナノ粒子を連続製造することが記載されている。
多くの特許文献において記載されているように、反応液にマイクロ波をかけることによって、反応液の均一で立ち上がりの速い温度上昇をもたらす効果を期待されており、製造されるナノ粒子の粒径のバラツキが少なく、反応時間が短くなることが期待され、製造コストの低減が期待されている。
しかし、反応管に反応液を流し続け、その反応液にマイクロ波を照射して還元反応を続け、金属ナノ粒子を連続的に製造する方法は文献が多くない。マイクロ波を照射して還元反応を進行させながら反応管に反応液を流し続けると、反応管の管壁に析出物が付着することが予想され、金属ナノ粒子の連続的製造に支障を来す心配がある。
本発明者の実験では、金属塩と還元剤を含む反応液を反応管に流し、マイクロ波照射による加熱で還元反応を促進し、金属ナノ粒子を製造するときに、金属層が反応管の内壁に付着することが確認されている。そして、金属ナノ粒子の析出が反応管の壁面に生じると、反応管の壁面に生じた析出層がマイクロ波を反射することで発振器に損傷が生じたり、さらには、反応液の均一性の高い加熱ができなくなり、加熱の効果が全く生じなくなるという問題を生じていた。
また、反応管に反応液を流しながらナノ粒子を連続的に製造する場合には、前記のマイクロ波による加熱効果に問題が生じるほかに、反応管が目詰まりを起こし、反応液が流れなくなり、爆発を生じる危険性があったり、ナノ粒子の製造品質の著しい悪化を招いたり、
反応管を取り替えなければならないなど製造コストの上昇など、いくつかの大きな問題が生じ、マイクロ波照射の利点が損なわれてしまう。
このような問題を解決する方法として、特許文献5に記載された方法が提案されている。すなわち、特許文献5では、従来の金属酸化物や金属水酸化物を含有する有機溶媒をガラス容器内で還元剤を用いて還元して金属ナノ粒子を生成するときに、反応温度を高めるのにマイクロ波を用い、還元反応を続けると、析出した金属微粒子が容器の内壁面に付着し、照射されたマイクロ波を吸収して灼熱され、容器が局部的に高温になり、ガラスが破損する危険性を指摘している。
これを解決するため、特許文献5では、環流管を取り付けた1Lのセパラブル容器に、マイクロ波を吸収し易い有機溶媒とマイクロ波を吸収し難い有機溶媒の混合溶媒を入れ、これに金属酸化物または金属水酸化物と金属元素に対して等モル量以下の有機修飾剤を添加して反応液とし、この反応液に還元剤を加え、これをマイクロ波で加熱して金属ナノ粒子を製造することが記載されている。マイクロ波を吸収し易い有機溶媒とマイクロ波を吸収し難い有機溶媒の混合溶媒を用いることの理由の一つに、マイクロ波を容器の外側から反応液に照射したときに、容器の壁面に近いところでマイクロ波が吸収されてしまうことの緩和策をあげている。金属塩の種類、マイクロ波を吸収しやすい溶媒、マイクロ波を吸収しにくい溶媒、有機修飾剤などには,多くの種類が提案されている。
さらに、特許文献5では、反応容器をマイクロ波透過材料とし、反応容器の金属微粒子が析出して付着する部分にはマイクロ波遮蔽部材を配置することが記載されている。
しかし、特許文献5の方法では、金属の析出物を防ぐことは難しく、特に特許文献3,4に適用して、パイプ状の反応管に反応液を流通させ、反応管のマイクロ波共振器内にある部分で反応液にマイクロ波を照射し、ナノ粒子を連続的に還元し、金属ナノ粒子を連続的に製造しようとすると、反応管の内壁に析出物が付着することは避けられないことがわかった。
すなわち、特許文献に開示されているマイクロ波を吸収し易い有機溶媒とマイクロ波を吸収し難い有機溶媒の混合溶媒を用い、それに硝酸銅、酢酸銅、水酸化銅、炭酸銅などの銅塩を溶解させ、それに還元剤と分散剤を加えて反応液とし、内径1mm、あるいは2mm、外径3mm,長さ100mmのフッ素樹脂製の反応管に流通させ、キャビティー150mm部分にある反応管に周波数2.4〜2.5GHzのTM010モードのマイクロ波を印加し、反応液の温度を140°Cと160°Cにして銅ナノ粒子の製造を試みたが、約5分で析出金属の付着による目詰まりが生じて、連続して流通させることができなかった。
反応管に、金属塩を溶解させた溶液と、分散剤と還元剤を混ぜた反応液を流通させ、マイクロ波を印加して、反応液の還元温度まで温度を高めて還元反応を行うと、析出物の付着で反応管が詰まり、反応液の流通が止まってしまったり、その途中における反応管内壁への金属析出物によるマイクロ波の反射が起こり、マイクロ波が反応液に到達せず、反応液の温度を所定の温度に上昇させることができず、ナノ粒子の粒径のバラツキを増大させたり、凝集をもたらしたり、未反応液の混入を招くなど多くの弊害を生じ、ナノ粒子を安定して連続的に製造することができないという問題がある。
ナノ粒子の製造においては合成だけでなく、精製の生産性も高めなければならない。学術論文、特許において様々な金属ナノ粒子の合成方法が提案されているが、その精製方法については、生産性、簡便さ、低コスト、スケールアップ可能性を備えたものがほとんどないのが現状である。
実験室では簡便な処理である遠心分離処理はナノ粒子に対しては工業スケールでは使いづらいものとなり、大気と接触すると酸化しやすい卑金属ナノ粒子に対しては限外濾過をはじめとする濾過処理は適用しづらい。自然沈降による固液分離が効率的であるが、粒子径が50nm以下になると沈降するまでに長時間を要し、分離もあまり良くない。また、近年の電子材料や電極材料、触媒等に用いられる微粒子材料はアルカリ金属塩、遷移金属塩、ホウ素化合物、リン化合物、硫黄化合物、ハロゲン化合物のコンタミネーションを嫌うため、これらの化合物は原料の段階で使用せず、製造過程でも混入しないことが要求されている。例えば、ステンレス配管や容器を使用してはいけないことや、添加剤として使用できる薬品が制限されることなど、コンタミネーションに対する要求も金属ナノ粒子の効率的な工業的精製をよりいっそう難しいものにしている。
特開2004−353038号公報(東海ゴム・関西TLO) 特開2007−056321号公報(東海ゴム・阪大) 特開2011−162837号公報(産総研・新光化学) 特開2013−019025号公報(産総研・新光化学) 特開2011−012290号公報(東工大・四国計測)
本発明は前記の事情に鑑みなされたもので、本発明の解決すべき課題の一つは、銅塩と分散剤と還元剤を含む反応液をマイクロ波が照射される場にある反応管を通過させ、銅鏡あるいは銅析出物の反応管内壁への付着を発生させることなく還元し、歩留まりよく安価に製造した銅ナノ粒子を提供すること、及び銅ナノ粒子製造装置ならびに銅ナノ粒子の製造方法を提供することにある。また、本発明の解決すべき課題の一つは、製造した銅ナノ粒子の酸化現象を大きく緩和することである。さらに、本発明の解決すべき課題の一つは、得られた反応物を効果的に精製する方法を提供することにある。さらに、本発明の解決すべき課題の一つは、本発明の銅ナノ粒子を用いた銅ナノ粒子コロイド、銅ナノ粒子ペーストを安価に提供することである。さらに、本発明の解決すべき課題の一つは、銅コア他種金属シェルのコアシェル金属を安価に提供することである。
課題を解決するための成された本発明の実施の形態例としての第1の発明(以下、発明1という)は、少なくとも硝酸銅と水酸化銅と分散剤としてのポリカルボン酸とドデカン(C12H26)と還元剤を含む反応溶液をマイクロ波を照射する空間を通過させて製造したことを特徴とする銅ナノ粒子である。
発明1を展開して成された本発明の実施の形態例としての第2の発明(以下、発明2という)は、発明1に記載の銅ナノ粒子において、前記分散剤がDisperbyk−190(ビックケミー社製)であることを特徴とする銅ナノ粒子である。
発明1または2を展開して成された本発明の実施の形態例としての第3の発明(以下、発明3という)は、発明1に記載の銅ナノ粒子において、反応溶液にジエチレングリコールモノブチルエーテル(C8H18O3)(以下、BDGともいう)を含むことを特徴とする銅ナノ粒子である。
発明1または2を展開して成された本発明の実施の形態例としての第4の発明(以下、発明4という)は、発明1に記載の銅ナノ粒子において、反応溶液に2−エチルヘキサノール(C8H18O)を含むことを特徴とする銅ナノ粒子である。
発明1〜4のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第5の発明(以下、発明5という)は、発明1〜4のいずれかに記載の銅ナノ粒子において、前記反応溶液がイオン交換水とモノエタノールアミン(C2H7NO)とアンモニア(NH3)水の少なくとも一方を含むことを特徴とする銅ナノ粒子である。
発明1〜5のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第6の発明(以下、発明6という)は、発明1〜5のいずれかに記載の銅ナノ粒子において、前記還元剤がヒドラジン1水和物(N2H4・H2O)であることを特徴とする銅ナノ粒子である。
発明1〜6のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第7の発明(以下、発明7という)は、発明1〜6のいずれかに記載の銅ナノ粒子において、マイクロ波照射領域を通過させる前の反応液に含まれる銅塩の硝酸銅と水酸化銅の割合が、モル比で1:0.5〜2であることを特徴とする銅ナノ粒子である。
発明7を展開して成された本発明の実施の形態例としての第8の発明(以下、発明8という)は、発明7に記載の銅ナノ粒子において、マイクロ波照射領域を通過させる前の反応液に含まれる銅塩の硝酸銅と水酸化銅の割合がモル比で1:1であることを特徴とする銅ナノ粒子である。
発明1〜8のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第9の発明(以下、発明9という)は、発明1〜8のいずれかに記載の銅ナノ粒子において、前記反応管に導入する反応液としての第1の液を銅塩を含有する液とし、第2の液を主たる還元剤としてのヒドラジンを含有する液とするとき、銅に対するヒドラジンのモル数が0.8〜4になるように前記第1の液と第2の液を混合して流してマイクロ波照射領域を通過させたことを特徴とする銅ナノ粒子である。
発明1〜9のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第10の発明(以下、発明10という)は、発明1〜9のいずれかに記載の銅ナノ粒子において、マイクロ波照射領域をドデカンで水相を包み込んで銅イオンおよび/または銅粒子を含む水相と反応管の管壁を隔離し、反応管内壁への銅の析出を防ぐようにして製造したことを特徴とする銅ナノ粒子である。
発明1〜10のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第11の発明(以下、発明11という)は、発明1〜10のいずれかに記載の銅ナノ粒子において、銅ナノ粒子の合成後にマロン酸を添加剤として使用して自然沈降精製工程を経て製造したことを特徴とする銅ナノ粒子である。
発明1〜11のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第12の発明(以下、発明12という)は、発明1〜11のいずれかに記載の銅ナノ粒子において、銅ナノ粒子の合成後にアジピン酸を添加剤として使用して自然沈降精製工程を経て製造したことを特徴とする銅ナノ粒子である。
発明1〜12のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第13の発明(以下、発明13という)は、発明1〜12のいずれかに記載の銅ナノ粒子において、銅ナノ粒子の合成後にコハク酸を添加剤として使用して自然沈降精製工程を経て製造したことを特徴とする銅ナノ粒子である。
発明1〜13のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第14の発明(以下、発明14という)は、発明1〜13のいずれかに記載の銅ナノ粒子において、反応管にテフロン(登録商標)PFA(4フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)を用いて製造したことを特徴とする銅ナノ粒子である。
発明1〜14のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第15の発明(発明15という)は、発明1〜14のいずれかに記載の銅ナノ粒子において、反応管にテフロン(登録商標)PTFE(4フッ化エチレン樹脂)を用いて製造したことを特徴とする銅ナノ粒子である。
課題を解決するための成された本発明の実施の形態例としての第16の発明(以下、発明16という)は、少なくとも硝酸銅と水酸化銅と分散剤としてのポリカルボン酸とドデカン(C12H26)と還元剤を含む反応溶液をマイクロ波を照射する空間を通過させて銅ナノ粒子を製造する機構を有することを特徴とする銅ナノ粒子の製造装置である。
発明16を展開して成された本発明の実施の形態例としての第17の発明(以下、発明17という)は、発明16に記載の銅ナノ粒子の製造装置において、硝酸銅と水酸化銅を溶解させた溶液を送流する手段と、分散剤としてのポリカルボン酸を送流する手段と、ドデカンを送流する手段と、還元剤を送流する手段のうちの少なくとも1つを、反応管に反応溶液を流通させる方向において、反応溶液にマイクロ波を照射する空間よりも前方に有することを特徴とする銅ナノ粒子の製造装置である。
発明16または17を展開して成された本発明の実施の形態例としての第18の発明(以下、発明18という)は、発明16または17に記載の銅ナノ粒子の製造装置において、前記分散剤がDisperbyk−190であることを特徴とする銅ナノ粒子の製造装置である。
発明16〜18のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第19の発明(以下、発明19という)は、発明16〜18のいずれかに記載の銅ナノ粒子の製造装置において、前記反応溶液にBDGを送流する手段を有することを特徴とする銅ナノ粒子の製造装置である。
発明16〜18のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第20の発明(以下、発明20という)は、発明16〜18に記載の銅ナノ粒子の製造装置において、反応溶液に2−エチルヘキサノールを含むことを特徴とする銅ナノ粒子の製造装置である。
発明16〜20のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第21の発明(以下、発明21という)は、発明16〜20のいずれかに記載の銅ナノ粒子の製造装置において、前記反応溶液がイオン交換水とモノエタノールアミンとアンモニア(NH3)水の少なくとも一種類を送流する手段を有することを特徴とする銅ナノ粒子の製造装置である。
発明16〜21のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第22の発明(以下、発明22という)は、発明16〜21のいずれかに記載の銅ナノ粒子の製造装置において、前記還元剤がヒドラジンであることを特徴とする銅ナノ粒子の製造装置である。
発明16〜22のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第23の発明(以下、発明23という)は、発明16〜22のいずれかに記載の銅ナノ粒子の製造装置において、マイクロ波照射領域を通過させる前の反応液に含まれる銅塩の硝酸銅と水酸化銅の割合が、モル比で1:0.5〜2になるように調整する手段を有することを特徴とする銅ナノ粒子の製造装置である。
発明23を展開して成された本発明の実施の形態例としての第24の発明(以下、発明24という)は、発明23に記載の銅ナノ粒子の製造装置において、マイクロ波照射領域を通過させる前の反応液に含まれる銅塩の硝酸銅と水酸化銅の割合がモル比で1:1になるように調整する手段を有することを特徴とする銅ナノ粒子の製造装置である。
発明16〜24のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第25の発明(以下、発明25という)は、発明16〜24のいずれかに記載の銅ナノ粒子の製造装置において、前記反応管に導入する反応液としての第1の液を銅塩を含有する液とし、第2の液を主たる還元剤としてのヒドラジンを含有する液とするとき、銅に対するヒドラジンのモル数が0.8〜4になるように前記第1の液と第2の液を混合して送流してマイクロ波照射領域を通過さる手段を有することを特徴とする銅ナノ粒子の製造装置である。
発明16〜25のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第26の発明(以下、発明26という)は、発明16〜24のいずれかに記載の銅ナノ粒子の製造装置において、マイクロ波照射領域をドデカンで水相を包み込んで銅イオンおよび/または銅粒子を含む水相と反応管の管壁を隔離し、反応管内壁への銅の析出を防ぐようにする手段を有することを特徴とする銅ナノ粒子の製造装置である。
発明16〜26のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第27の発明(以下、発明27という)は、発明16〜26のいずれかに記載の銅ナノ粒子の製造装置において、前記銅ナノ粒子の製造装置が反応のセンサーとして反応液の色を検出する手段及び/または波動のインピーダンスを検出する手段を有することを特徴とする銅ナノ粒子の製造装置である。
発明27を展開して成された本発明の実施の形態例としての第28の発明(以下、発明28という)は、発明27に記載の銅ナノ粒子の製造装置において、前記波動がマイクロ波及び/または超音波であることを特徴とする銅ナノ粒子の製造装置である。
発明27または28を展開して成された本発明の実施の形態例としての第29の発明(以下、発明29という)は、発明27または28に記載の銅ナノ粒子の製造装置において、反応管のマイクロ波照射領域の後段に反応液の色を監視する装置を配置したことを特徴とする銅ナノ粒子の製造装置である。
発明27〜29のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第30の発明(以下、発明30という)は、発明27〜29のいずれかに記載の銅ナノ粒子の製造装置において、前記反応のセンサーの出力を利用して、反応管に流通させる反応液の流速と設定温度と流量と反応液に含まれる物質の混合割合と反応液に含まれる物質の個別の流速の少なくとも1つを制御することを特徴とする銅ナノ粒子の製造装置である。
発明16〜30のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第31の発明(以下、発明31という)は、発明16〜30のいずれかに記載の銅ナノ粒子の製造装置において、銅ナノ粒子の合成後にマロン酸を添加剤として使用して自然沈降精製する機構を有することを特徴とする銅ナノ粒子の製造装置である。
発明16〜31のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第32の発明(以下、発明32という)は、発明16〜31のいずれかに記載の銅ナノ粒子の製造装置において、銅ナノ粒子の合成後にアジピン酸を添加剤として使用して自然沈降精製する機構を有することを特徴とする銅ナノ粒子の製造装置である。
発明16〜32のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第33の発明(以下、発明33という)は、発明16〜32のいずれかに記載の銅ナノ粒子の製造装置において、銅ナノ粒子の合成後にコハク酸を添加剤として使用して自然沈降精製する機構を有することを特徴とする銅ナノ粒子の製造装置である。
発明16〜33のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第34の発明(以下、発明34という)は、発明16〜33のいずれかに記載の銅ナノ粒子の製造装置において、前記反応液を還元反応させる容器としての反応管が、マイクロ波の強度分布曲線の強度の極値位置における前記強度分布曲線の接線に対して垂直であることを特徴とする銅ナノ粒子の製造装置である。
発明16〜34のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第35の発明(以下、発明35という)は、発明16〜34のいずれかに記載の銅ナノ粒子の製造装置において、反応管にテフロン(登録商標)PFAを用いて製造したことを特徴とする銅ナノ粒子の製造装置である。
発明16〜35のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第36の発明(発明36という)は、発明16〜35のいずれかに記載の銅ナノ粒子の製造装置において、反応管にテフロン(登録商標)PTFEを用いて製造したことを特徴とする銅ナノ粒子の製造装置である。
課題を解決するための成された本発明の実施の形態例としての第37の発明(以下、発明37という)は、銅ナノ粒子の製造方法において、少なくとも硝酸銅と水酸化銅と分散剤としてのポリカルボン酸とドデカン(C12H26)と還元剤を含む反応溶液をそれぞれ用意する工程を有し、さらに、それらをマイクロ波を照射する空間を通過させて還元反応を生じさせる工程を有することを特徴とする銅ナノ粒子の製造方法である。
発明37を展開して成された本発明の実施の形態例としての第38の発明(以下、発明38という)は、発明37に記載の銅ナノ粒子の製造方法において、前記分散剤がDisperbyk−190であることを特徴とする銅ナノ粒子の製造方法。
発明37または38を展開して成された本発明の実施の形態例としての第39の発明(以下、発明39という)は、発明37または38に記載の銅ナノ粒子の製造方法において、前記反応液にBDGを含むことを特徴とする銅ナノ粒子の製造方法。
発明37または38を展開して成された本発明の実施の形態例としての第40の発明(以下、発明40という)は、発明37または38に記載の銅ナノ粒子の製造方法において、前記反応液に2−エチルヘキサノールを含むことを特徴とする銅ナノ粒子の製造方法である。
発明37〜40を展開して成された本発明の実施の形態例としての第41の発明(以下、発明41という)は、発明37〜40のいずれかに記載の銅ナノ粒子の製造方法において、前記反応溶液がイオン交換水とモノエタノールアミンとアンモニア(NH3)水の少なくとも1種類を含むことを特徴とする銅ナノ粒子の製造方法である。
発明37〜41を展開して成された本発明の実施の形態例としての第42の発明(以下、発明42という)は、発明37〜41のいずれかに記載の銅ナノ粒子の製造方法において、前記還元剤がヒドラジンであることを特徴とする銅ナノ粒子の製造方法である。
発明42を展開して成された本発明の実施の形態例としての第43の発明(以下、発明43という)は、発明42に記載の銅ナノ粒子の製造方法において、前記反応管に導入する第1の液を銅塩を含有する液とし、第2の液を主たる還元剤としてのヒドラジンを含有する液とするとき、銅に対するヒドラジンのモル数が0.8〜4になるように流す工程を有することを特徴とする銅ナノ粒子の製造方法である。
発明37〜43のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第44の発明(以下、発明44という)は、発明37〜43のいずれかに記載の銅ナノ粒子の製造方法において、マイクロ波照射領域を通過させる前の反応液に含まれる銅塩の硝酸銅と水酸化銅の割合が、モル比で1:0.5〜2であることを特徴とする銅ナノ粒子の製造方法である。
発明37〜44のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第45の発明(以下、発明45という)は、発明37〜44のいずれかに記載の銅ナノ粒子の製造方法において、マイクロ波照射領域をドデカンで水相を包み込んで銅イオンおよび銅粒子を含む水相と反応管の管壁を隔離し、反応管内壁への銅の析出を防ぐようにして製造したことを特徴とする銅ナノ粒子の製造方法である。
発明37〜45のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第46の発明(以下、発明46という)は、発明37〜44のいずれかに記載の銅ナノ粒子の製造方法において、前記銅ナノ粒子の製造装置が反応のセンサーとして反応液の色を検出する手段及び/または波動のインピーダンスを検出する手段を使用することを特徴とする銅ナノ粒子の製造方法である。
発明46を展開して成された本発明の実施の形態例としての第47の発明(以下、発明47という)は、発明46に記載の銅ナノ粒子の製造方法において、前記波動がマイクロ波及び/または超音波であることを特徴とする銅ナノ粒子の製造方法である。
発明46または47を展開して成された本発明の実施の形態例としての第48の発明(以下、発明48という)は、発明46または47に記載の銅ナノ粒子の製造方法において、反応管のマイクロ波照射領域の後段に反応液の色を監視する工程を有することを特徴とする銅ナノ粒子の製造方法である。
発明46〜48のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第49の発明(以下、発明49という)は、発明46〜48のいずれかに記載の銅ナノ粒子の製造方法において、前記反応のセンサーの出力を利用して、反応管に流通させる反応液の流速と設定温度と流量と反応液に含まれる物質の混合割合と反応液に含まれる物質の個別の流速の少なくとも1つを制御することを特徴とする銅ナノ粒子の製造方法である。
発明37〜49のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第50の発明(以下、発明50という)は、発明37〜49のいずれかに記載の銅ナノ粒子の製造方法において、銅ナノ粒子の合成後にマロン酸を添加する工程を有することを特徴とする銅ナノ粒子の製造方法である。
発明37〜50のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第51の発明(以下、発明51という)は、発明37〜50のいずれかに記載の銅ナノ粒子の製造方法において、銅ナノ粒子の合成後にアジピン酸を添加する工程を有することを特徴とする銅ナノ粒子の製造方法である。
発明37〜51のいずれかを展開して成された本発明の実施の形態例としての第52の発明(発明52という)は、発明37〜51のいずれかに記載の銅ナノ粒子の製造方法において、銅ナノ粒子の合成後にコハク酸を添加する工程を有することを特徴とする銅ナノ粒子の製造方法である。
本発明により、少なくともドデカンと銅塩と分散剤と還元剤を含む反応液を反応管に流通させ、マイクロ波照射場を通過させながら銅の還元反応を進行させて銅ナノ粒子を製造しても、従来のように数分間で反応管壁に析出物の付着を生じ、短時間で反応管の目詰まりを生じさせたり、マイクロ波の反応液への作用を阻害させたりして連続製造が停止を余儀なくされる恐れがなく、製造したナノ粒子の粒径分布も狭く、安定して連続製造ができるようになった。また、本発明により、ドデカン層による銅ナノ粒子コロイドと空気層の効果的な分離が可能となり、還元した銅ナノ粒子は酸化反応が激しく製造後直ちに酸素のない窒素雰囲気下等酸化防止環境下に置かなければ酸化してしまうという銅ナノ粒子の酸化問題の解決をすることができ、銅ナノ粒子の製造コストを大幅に低減することができた。さらに、還元したナノ粒子の精製において、本発明の添加剤を用いて、自然沈降を効果的に行なえる道が開けたので、銅ナノ粒子の精製工程を簡素化することができた。
本発明の銅ナノ粒子の製造装置の構成を概略的に示す図である。 本発明の実施の形態例で得られた銅ナノ粒子の粒度分布図である。 本発明の実施の形態例で得られた銅ナノ粒子のTEM像である。 本発明の実施の形態例で得られた銅ナノ粒子の分光特性を示す図である。 本発明の実施の形態例で得られた銅ナノ粒子の製造直後の状態を示す図である。
1:マイクロ波照射口
2:TM010モード用のマイクロ波キャビティー
3:送液ポンプの総称
3a〜3n:液相ポンプ3の構成要素
4:電界モニター
5:温度計
6:マイクロ波発振器・制御器
7:反応管
8:反応液
11:ミキサー
20:反応物を貯める容器
21:反応物から分離しつつある銅ナノ粒子含有部分
22:反応物から分離しつつあるドデカン層
23:反応物
24:精製用添加剤の投入管
25:容器20の余剰空間
26:銅ナノ粒子
27:分光特性曲線
以下、本発明の実施の形態例について説明する。なお、説明の重複を避けるため、銅ナノ粒子の製造方法としての説明で銅ナノ粒子や銅ナノ粒子製造装置の説明を兼ねることもあり、その逆の場合もある。
前記のように、還元作用を利用して金属ナノ粒子を製造するのに、反応液の温度を還元反応が効率よく進行する温度まで、反応液中の温度分布を均等になるように、素早く上昇させると、反応速度が速くなり、効率よく還元反応を進めることができること自体は公知である。そして、反応温度を速く、しかも比較的均一に上昇させる手段として反応液にマイクロ波を照射することも古くから多くの提案がなされている。
また、銀鏡反応で古くから知られているように、ガラス容器やテフロン(登録商標)容器などで還元反応を行わせると析出物が容器内壁に付着し、マイクロ波照射環境でこれを行うと、容器の破損やマイクロ波の遮断を生じるという問題があり、その解決のための提案が前期特許文献5にてなされている。前記特許文献5による金属の析出を防ぐ提案は、多くの種類の金属に広く適用させようとする提案である。金属塩の種類、マイクロ波を吸収しやすい溶媒、マイクロ波を吸収しにくい溶媒、有機修飾剤などに多くの種類が提案されている。
特許文献5では、マイクロ波が溶液の壁面に近いところで吸収されてしまうことを防ぐためにマイクロ波を吸収しづらい有機溶媒を添加していた。この添加は一定の効果は期待できるもののバッチ法に限定されており、さらに、高濃度の金属原料を用い、強い撹拌を必要とする反応系では、水相と容器壁面が接触する限り依然として析出と異常加熱のリスクが残り、工業生産を考えたときに実用的でない。また、連続製造法においても合成の際の銅原料の濃度が低い場合に短時間析出を抑制する効果はあるものの、銅原料が高濃度で長時間連続的に生産することを想定する反応条件では析出を十分に抑制できなかった。具体的には、内径2mmの反応管に5分程度で目詰まりを生じさせることがあり、激しいときには10秒間で付着物が生成してしまうという結果になった。工業的に生産性の高いフロー式の連続法においては反応管内壁は常に新しい反応液と接触し続けており、析出を抑制するにはより現実に即した工夫が必要である。
ヘプタノール、ドデカン等のマイクロ波を吸収しづらい溶媒を加えて実際にフロー式反応の実験を行い析出が起きるまでの様子をよく観察したところ、析出の主な原因は水相の銅粒子が反応管に付着し、そこを起点に管壁内側で不均一な銅粒子や銅箔の成長が起きるためであることがわかった。また、マイクロ波の加熱により水相で爆発的に気泡が生じ、その際に有機溶媒が水相を包みきれていない瞬間があることが観察された。このことより、析出を抑制するためにはマイクロ波の急速な加熱条件下においても水相が常に有機溶媒相に包まれ、銅原料および銅粒子が反応管壁と接触しないことが重要であることがわかる。
水相が気体の発生を伴う激しい加熱反応条件下においても反応管壁に接触しないためには、水相が有機溶媒相で常に覆われるように水相―有機溶媒相の界面を調整することが必要である。水相と有機溶媒相の界面を調整するために界面活性剤、とりわけ乳化剤として用いられているものと種々の有機溶媒を検討した。その結果、常に水相が有機溶媒相で覆われるためには、少なくともドデカンを、より好ましくはBDGとドデカンを用いるのが良いことがわかった。
析出防止剤としてのドデカンの代わりに、耐熱性で高引火点で、水と混和せず、マイクロ波を吸収しない有機溶媒として流動パラフィンやナフタレン系などの熱媒体油を用いることができる。
析出防止のためにドデカン相に加える添加剤として、シリコーンオイルやフッ素オイルが有効である。
本発明における少なくともドデカンの、より好ましくはドデカンおよびBDGの添加により、気体、液体、ナノ粒子が加熱されつつ混合するという激しい反応下においても、常に水相が有機溶媒相により覆われて析出を抑制できることがわかった。このことによりマイクロ波による金属ナノ粒子の高濃度長時間連続合成がはじめて可能となり、生産性が実用的なレベルに達することができた。実験室系における低濃度で短時間しかもたない限定的な析出抑制法とは一線を画すものである。
BDGはポリオキシエチレン基とブチル基を有し、水相とドデカン相の界面に入り込むことができる。マイクロ波加熱により温度が上昇し、金属ナノ粒子の還元反応が始まると、BDGのポリオキシエチレン基は水との水素結合を失い分子内で疎水性の領域が増えるようになる。この結果、W/O乳化剤と同様な効果を生じ、水相がドデカン相で包み込まれる構造をとるようになり、水相に分散している銅ナノ粒子と反応管内壁との接触が妨げられ、反応管内壁への銅析出が抑制されると推測される。加えて、BDGは一般的に用いられるW/O乳化剤と比べて低分子であるため、すばやく拡散することができる。急激な加熱や激しく気泡が生じる反応条件により急速に水相の界面が拡張するような状況においても迅速に水相とドデカン相の界面に入り込み、水相が常にドデカン相で覆われる構造を維持するのに寄与していると考えられる。
BDGと同様の効果を示すものとして、反応液中ですばやく拡散することができ、水相とドデカン相の間に入り込みW/O乳化剤と同様な効果を生じる添加剤として2−エチルヘキサノールがあげられる。
上記の方法で銅の析出を抑制しつつ、最終的な用途に沿った金属ナノ粒子を歩留まりよく低コストで連続合成するにはその金属毎、用途ごとに最適な合成条件を設定しなければならない。銅、および銅より酸化しやすい卑金属のナノ粒子においては大気や水と接触する条件では酸化物が生成する傾向があり、製造において特別な工夫が必要である。
本発明者は、通常は酸化の問題があるため困難視されてきた銅ナノ粒子の還元反応を、銅ナノ粒子の酸化を防いで、さらに還元反応物中における銅ナノ粒子の濃度を従来よりも高める還元反応を行うことができるか否かを調べるため、種々の実験を試みた。
まず、水系溶剤あるいは有機溶剤に溶解させる銅の塩または酸化物として、炭酸銅、硝酸銅、硫酸銅、酢酸銅、塩化銅、水酸化銅、酸化銅(II)など、多くの原料を試験した。しかし、いずれの場合も、反応液を反応管に流通させてマイクロ波照射環境下で昇温させて還元反応を生じさせても、工業的に有用な銅ナノ粒子を従来より高収率で生産性よく合成することはできなかった。
そこで、一般に行われているような溶剤に溶解させる銅塩は一種類という考えを改め、複数種類の銅塩を溶剤に溶解させることを試み、実験を行った結果、水酸化銅を中心に、他の銅塩を併せて溶解させる、すなわち、溶剤に少なくとも2種類の銅塩を一定の割合で溶解させることにより課題を解決できる可能性を見いだし、詳細な実験を行った。溶剤としては、ナノ粒子製造後の処理や量産等を考慮して水系溶剤を用いることにした。
銅ナノ粒子の分散剤として種々の分散剤を検討した結果、ノニオンやカチオンの分散剤は不適で、ポリカルボン酸がナノ粒子の合成及びその後の分散安定化に関して優れた結果を示した。ポリカルボン酸は銅ナノ粒子表面に吸着し、かつ水に親和性のあるカルボキシル基を有しており、銅ナノ粒子の分散に好適であることがわかった。ポリカルボン酸としては、具体的には、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、カルボキシメチルセルロースおよびカルボン酸を有するモノマーを原料とした共重合体を用いることで銅ナノ粒子を合成することができた。ポリカルボン酸を有する分散剤として、特に優れているものに、例えばDisperbyk−190がある。これらの分散剤を駆使することで銅ナノ粒子の平均粒子径やその分布、また、その後の精製方法を調整することができる。
以上のように、本発明の種々の形態の基礎となる銅ナノ粒子のマイクロ波加熱による合成において、析出抑制処置と原料の選定の2つを組み合わせることにより、工業的に有用な銅ナノ粒子を効率的に連続合成することが可能になった。しかし、合成工程だけ効率が良くても次の精製工程の処理速度が遅ければそこがボトルネックとなり全体の生産性は上がらない。精製設備を増強することもできるが高コストになるため、効率の良い精製方法も必要である。
銅ナノ粒子合成後の精製工程において、既存の微粒子精製方法を探索したものの、工業的に適した方法が見つからなかったため、コロイドの塩析を応用した新規な自然沈降法を用いた。銅ナノ粒子の反応性の高さによる変性、および前述したように不要な化合物のコンタミネーションを回避するため、自然沈降のために使用できる添加剤は限られたものになる。本発明では、金属微粒子を不可逆的に変性させたりその表面に不可逆的に吸着したりしないジカルボン酸を自然沈降の際の促進剤に用いた。
自然沈降の促進剤として検討したジカルボン酸は主にシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、フタル酸、シクロヘキサンカルボン酸である。また、クエン酸、ニトリロ三酢酸、ベンゼントリカルボン酸などのようなトリカルボン酸や、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸などのようなテトラカルボン酸も一定の効果を示した。とりわけ、マロン酸、コハク酸、アジピン酸が優れた結果を示した。これらの添加剤を用いると、複数のカルボキシル基を有する分散剤を金属微粒子表面から引き剥がすことができることが観察された。そのため、添加量および添加後のpHが適切な値になるように調整すると、短時間で粒子を変性させずに自然沈降させ、なおかつ過剰な分散剤を容易に除去することができる。
ナノ粒子表面に強く吸着する分散剤は分散力が強く、粒子径の小さいナノ粒子を合成する上では効果的であるが、過剰に加えられた場合、除去するのが困難である。過剰に加えられた吸着力の強い分散剤を除去するためには、遠心分離においても限外濾過においても、大量の溶媒を使用して何度も洗浄しなければならないことが問題となっていた。そのため、ひとつの容器に添加剤を加えて待つだけで粒子の沈降分離と過剰な分散剤の除去ができるという効果は既存のナノ粒子の精製法に比べて非常に有用である。
図1は、本発明の実施の形態例としてのマイクロ波を用いたナノ粒子の製造装置の構成を概略的に示す図である。図で、符号1はマイクロ波照射口、2はTM010モード用のマイクロ波キャビティー、3は送液ポンプの総称、3a〜3nは液相ポンプ3の構成要素で、たとえば、A液用として、銅塩1としての水酸化銅(和光純薬工業製)用ポンプ3a、銅塩2としての硝酸銅(関東化学製)用ポンプ3b、・・・3n等がある。符号4は電界モニター、5は温度計、6はマイクロ波発振器・制御器、7は反応器としての反応管、8は反応液、11はミキサーである。送液ポンプ3a、3b、・・・3nには、A液用として、銅塩1としての水酸化銅(和光純薬工業製)用ポンプ3a、銅塩2としての硝酸銅(関東化学製)用ポンプ3b、イオン交換水用ポンプ3c(図示せず)、同様に、モノエタノールアミン(関東化学製)用ポンプ3d(図示せず)、アンモニア水用ポンプ(銅の溶解度アップ)3e(図示せず)、分散剤としてのDisperbyk−190用ポンプ3f(図示せず)、BDG用ポンプ3h(図示せず)、反応管への主たる析出防止剤としてのドデカン用ポンプ3i(図示せず)があり、B液用として、還元剤としてのヒドラジン・1水和物(関東化学製)用ポンプ3j(図示せず)、イオン交換水用ポンプ3k(図示せず)等がある。
これらの各ポンプは、使い方によって、たとえば、A液用のポンプを3aにし、B液用のポンプを3bにするなど、種々の用い方があり、製造条件等を考慮して、実施例での各ポンプの符号を使い分けることもある。また、実際の製造に適用する場合、製造環境や装置などの安定性、各液の制御条件、コスト等、諸条件によって、送液ポンプの数や送液手段の種類などを最適状態に選定することができる。
その1例として、前記A液を1つの容器に秤量し、水相とドデカンが混合できる様に攪拌しながらポンプで送り、T字管でB液と混合しても良い。このようにすることで送液ポンプの数を減らすことができる。A液、B液それぞれを安定して混合できる場合には、低コストで銅ナノ粒子の品質を制御することも可能である。
本発明の実施の形態例においては、たとえば、A液の銅塩1,銅塩2,イオン交換水、アンモニア水、BDG、ドデカン等の各混合状態をモニターできるセンサーを配置したり、ヒドラジンとイオン交換水の混合状態をモニタできるセンサーを配置することができる。そのモニターでの検出結果を所定の送液手段やミキサー等にフィードバックし、送液量や混合状態の調整に用いること等により、銅ナノ粒子の製造品質のより高度な制御が可能になる。
図1において、まず、前記銅塩1としての水酸化銅を5.17g(0.053mol)と銅塩2としての硝酸銅を12.80g(0.053mol)とを200ml(ミリリットル)の三角フラスコに入れ、それにイオン交換水70.00gを入れ、そこへモノエタノールアミン14.24g(0.233mol;銅に対して2.2倍モル)を入れ、アンモニア水12.87g(0.212mol;銅に対して2倍モル)を添加して溶解させる。そこへ、分散剤Disperbyk−190を4.24g加え、混合する。さらに、BDG(シェルケミカルズジャパン社製)19.30g、ドデカン(JX日鉱日石エネルギー社製)30.00gを投入し、マグネチックスターラーで攪拌し、水相とドデカン相を均一になるように混合し、A液とする。銅含有量は6.8gになる。攪拌には、超音波やホモミキサーを使用することもできる。
次に、ヒドラジン・1水和物(>80%)21.00gとイオン交換水21.00gを100ml三角フラスコに入れ、混合し、B液とする。
前記A液を1.70ml/分、B液を0.30ml/分の送液速度でプランジャーポンプ(図示せず)でミキサー11に送り、十分に混合して反応管7に反応液8として送り、反応液が図1のマイクロ波キャビティー2を通過するときにマイクロ波を印加し、反応液8の温度が所定の温度(この場合、設定温度80°C)になるようにして銅ナノ粒子を還元し、銅ナノ粒子コロイドを得た。水相中の銅濃度は4wt%になる。反応に供したヒドラジンの量は銅の2.3倍モルに相当する。
マイクロ波キャビティー2は反応管7に対して直角方向からマイクロ波が印加されるようになっており、反応管7はテフロン(登録商標)PFA製やテフロン(登録商標)PTFE製の半透明で、外径3mm、内径2mmで、キャビティー内ではマイクロ波の定在波に対して直交する方向に直線状になっている。前記反応管は半透明のため光を当てると反応管内壁への析出物の付着状況を知ることが得きる。
反応管は半透明状態で、析出物の付着現象が起こると反応管の内壁面の析出物が付着し、肉眼で見ることができる。今回は透過光の照明を当て、キャビティーの反応液の出口部分に析出物の付着ができないかを観察し、少しの析出物の付着をも見つけるようにしたが、テフロン(登録商標)PFA製の反応管の場合もテフロン(登録商標)PTFE製の反応管の場合も析出物の付着は全く生じなかった。約90分反応させた後に反応液を取り出してから反応管を取り出し、析出物の付着の有無を調べたが、反応管の全域に析出物の付着は全くできていなかった。さらに、電解モニター4と温度計の温度分布を観察したが、反応液を流し続けている間中特段の変化は見られなかった。
図5は、本発明の方法によって製造した銅塩含有反応液と還元剤が反応管7を通り、マイクロ波照射場でマイクロ波の照射を受け、銅の還元反応を促進しつつ反応管7内を進行し、反応物23として反応管7の端部から出たものを容器20に貯めているところを説明する図である。図中、符号20は反応物23を貯める容器、21は主として前記反応物23に含まれる銅ナノ粒子含有部分、22は前記反応物23から分離しつつあるドデカン層、24は精製用の添加剤例えばアジピン酸を投入する管、25は容器20の余剰空間である。
図5で、反応管7の出力端から容器20に出力した反応物23には少なくとも銅ナノ粒子含有部分21とドデカン層22が含まれている。相対的に銅ナノ粒子含有部分21は重くドデカン層22は軽いため、反応物23が容器20に入った直後から相対的に重い銅ナノ粒子含有部分21は下方に、相対的に軽いドデカン層22は上方へと分離される。その結果、容器20にある空気、窒素、アンモニア等の気相と銅ナノ粒子含有部分21とが、その間にあるドデカン層によって分離される。
このことは、銅ナノ粒子の酸化を大幅に遅らせる酸化抑制効果という大きな効果を発揮することがわかった。すなわち、従来は銅ナノ粒子は極めて酸化されやすいためにマイクロ波照射をしながら銅塩の還元を行った直後から、反応物を窒素ガスのような不活性ガスで覆い、密閉する必要があった。大気中での製造においては、残余の還元剤、たとえばヒドラジンから発生する窒素ガスを逃がすため、容器の蓋(図5では図示せず)を軽く開けておいた場合、みるみるうちに酸化して変色してしまい、強力な酸化防止雰囲気を備えずには製造を続けることができなかった。しかし、本発明によって製造した反応物は、大気中での反応の場合でも、残余の還元剤、たとえばヒドラジンから発生する窒素ガスを逃がすため、容器の蓋を軽く開けておいた場合でも、1週間以上も保存可能なほど酸化速度を遅らせることができた。
このように、本発明の製造方法によれば、従来は日単位で反応物を貯めておき、量産し、精製を行うことができなかったものを、日単位はおろか1週間でも反応物を貯めておき、まとめて精製を行うことができるようになった。
図5では、ドデカンを介在させて反応物中の銅ナノ粒子が大気と接触することを防ぎながら、精製用の添加剤、例えばマロン酸やアジピン酸を投入する管24を反応管7と独立に配置する場合を図示したが、反応管7に接続し、連続的に固液分離を図り、次工程へ送るという本格的量産装置を実現することも可能である。
得られた銅ナノ粒子コロイドの水相60g(銅濃度4wt%;Cu2.4g)を三ツ口フラスコに分取し、窒素置換を行った。そこへ、攪拌しながら50wt%マロン酸(関東化学製)水溶液5.76g(銅の1.2倍重量分)を添加した。それを4時間静置し、生じた上清をデカンテーションした。デカンテーション液のpHは9であった。
デカンテーションした残渣に38kHzの超音波を10分間照射し脱気したイオン交換水15gを加え、1分間攪拌した。そこへ、1wt%アジピン酸水溶液10.41gを添加し、1分間攪拌し、2時間静置した。1wt%アジピン酸は、アジピン酸0.3gにイオン交換水29.52g、アミノエタノール0.18gを加えて水溶液にした。それを窒素雰囲気下で2時間経過後、生じた上清をデカンテーションした。精製後の銅ナノ粒子分散液からは過剰な分散剤が除去され、合成の際に添加したアンモニア、モノエタノールアミン、BDG、ヒドラジン、硝酸イオンはほとんど除去されている。ナノ粒子の粒度分布と透過型電子顕微鏡像(TEM像)を測定した。図2は動的光散乱法で測定した粒度分布図で縦軸は個数、横軸は粒子径である。図3は得られた銅ナノ粒子のTEM像で、符号26は得られた銅ナノ粒子で、粒径は50〜100nmの粒子が多く撮影されている。図4の分光特性曲線27で示すように、580〜600nmに銅ナノ粒子の存在を示すプラズモン吸収を有している。
還元反応直後の反応管内の反応液の外見は、キャビティーの出口において、小さな長径が数mmの長円形なった反応液がおそらくヒドラジンから発生したと思われる窒素とドデカンとで周囲を覆われ、反応管の内壁から隔離された状態であった。
ナノ粒子の還元において、キャビティー長が100mm、キャビティーの反応液入り口と出口の反応管を通す穴の直径が4mmに通したテフロン(登録商標)PFAの中に外径3mの反応菅を通過させて、マイクロ波との直交性を保った場合、析出物の付着は全く観測されなかった。
キャビティーの反応液入り口と出口の反応管を通す穴の直径を7.5mm長さを100mmにし、反応管を対角状に傾けて前記と同様の実験をしたところ、反応管の内壁に銅の析出物の付着が少し発生した。
実施例1と同様のA液とB液を大量に作成し、8時間連続製造を行ったところ、やはり析出物の付着の発生をさせずに銅ナノ粒子の製造を行えることを確認できた。
Cu仕込み量を3.4g、Cu濃度を4wt%、Disperbyk−190を2.12g、BDG9.65g、ドデカン15gになるように前記A液、B液を構成し、前記A液における水酸化銅Cu(OH)2対硝酸銅Cu(NO3)2・3H2Oのモル比を1対1にし、アンモニア水を0.6倍モル/銅、アミノエタノールを3.4倍モル/銅にし、A液とB液を混合し、ポンプにより反応管に送液し、反応管の長さ100mmの区間をマイクロ波照射区間として40分にわたって銅の還元反応を行ったところ、反応管の内壁に銅析出物の付着を全く生じなかった。
Cu仕込み量を3.4g、Cu濃度を4wt%、Disperbyk−190を2.12g、BDG9.65g、ドデカン15gになるように前記A液、B液を構成し、前記A液における水酸化銅Cu(OH)2対硝酸銅Cu(NO3)2・3H2Oのモル比を1対1にし、エチレンジアミンを2.5モル/銅にしてA液とB液を混合し、ポンプにより反応管に送液し、反応管の長さ100mmの区間をマイクロ波照射区間として40分にわたって銅の還元反応を行ったところ、反応管の内壁に銅析出物の付着を全く生じなかった。
Cu仕込み量を3.4g、Cu濃度を4wt%、Disperbyk−190を2.12g、BDG9.65g、ドデカン15gになるように前記A液、B液を構成し、前記A液における水酸化銅Cu(OH)2対硝酸銅Cu(NO3)2・3H2Oのモル比を1対2にし、アンモニア水を2.2倍モル/銅、アミノエタノールを2.2倍モル/銅にし、A液とB液を混合し、ポンプにより反応管に送液し、反応管の長さ100mmの区間をマイクロ波照射区間として40分にわたって銅の還元反応を行ったところ、反応管の内壁に銅析出物の付着を全く生じなかった。
実施例1のB液のヒドラジン濃度を25wt%にする事により、銅に対するヒドラジンを1.2倍モルに減少させた以外は実施例1と同様に銅の還元反応を行なった。反応管の内壁に銅析出物の付着を全く生じなかった。得られた銅ナノ粒子の分光のピーク波長は589.60nmであった。
実施例1のB液のヒドラジン濃度を20wt%にする事により、銅に対するヒドラジンを0.9倍モルに減少させた以外は実施例1と同様に銅の還元反応を行なった。反応管の内壁に銅析出物の付着を全く生じなかった。得られた銅ナノ粒子の分光のピーク波長は592.80nmであった。
(比較例1)
実施例1のA液からドデカンを除いた組成を用いて銅の還元反応を行なったところ、加熱開始から1〜2分で反応管内壁に析出物の付着が発生した。
(比較例2)
実施例1のA液からBDGを除いた組成を用いて銅の還元反応を行なったところ、加熱開始から数分して反応管内壁に析出物の付着が発生した。
(比較例3)
銅塩1を用いず、銅塩1の代わりに酢酸銅だけを同じ溶液に溶解し、ドデカンを用いずに、ほかは実施例1と同様にして銅ナノ粒子の還元を行ったところ、析出物の付着が発生した。
(比較例4)
硝酸銅と水酸化銅のモル比を3:1にして、モノエタノールアミンを2.9倍モル/銅、アンモニア水を0.6倍モル/銅になるようにして溶解させ 、Disperbyk−190を2.12g、BDGを9.65g、ドデカンを15.0g順次加え、A液とした。B液はヒドラジン・1水和物(>80%):イオン交換水を50:50 とした。A液の流速を1.70ml/分、B液の流速を0.30ml/分とした。水相の銅濃度は4wt%、目標温度を80°Cとしマイクロ波加熱を行なったところ、粗大粒子が生成し、銅ナノ粒子が得られなかった。Disperbyk−190を4.24gに増やしても粗大粒子になり、銅ナノ粒子は得られなかった。
(比較例5)
硝酸銅のみを、モノエタノールアミンを4.4倍モル/銅になるようにして溶解させ 、Disperbyk−190を2.12g、BDGを9.65g、ドデカンを15.0g順次加え、A液とした。B液はヒドラジン溶液(>80%):イオン交換水を50:50 とした。A液の流速を1.70ml/分、B液の流速を0.30ml/分とした。水相の銅濃度は4wt%、目標温度を80°Cとしマイクロ波加熱を行なったところ、粗大粒子が生成し、銅ナノ粒子が得られなかった。
以上の実施例と比較例から、析出物の付着の発生を防ぐ、もしくは大幅に抑制するためには、溶媒に水酸化銅とこれと異なる銅塩を少なくとも1種類溶解させ、分散剤の効果増大にBDGを追加し、析出物の付着の発生抑制にドデカンを用いることが重要で、銅の溶解度を高めるためには、銅塩1に加えて銅塩2の使用が避けられず、その割合が重要であることが分かった。硝酸銅と水酸化銅の割合は、モル比で1:0.5〜2の間が好ましい。特に1:1の割合が特に好ましい。さらに、アンモニア水、アミンの存在が重要であることがわかった。銅に対するヒドラジンのモル数は0.8〜4が好ましく、0.9〜3がより好ましいことがわかった。
また、主たる分散剤として、ビックケミー社製のDisperbyk−190を用いたが、Disperbyk−2010,2015でも可能である。銅塩1として水酸化銅、銅塩2として酢酸銅を用いて実施例1と同様にマイクロ波照射環境下で反応液を反応管に流通させて還元反応をさせ、銅ナノ粒子を製造したところ、銅の析出物の付着の発生を生じることなく銅ナノ粒子の連続製造をすることができた。
また、Cuの仕込み量が1wt%以下ならBDGは不要であるが、Cuの仕込み量が4wt%になるとBDGの使用が必須で、BDGがないと銅析出の付着は避けられないことがわかった。
また、本発明の前記銅ナノ粒子は、銅ナノ粒子コロイド、銅ナノ粒子ペーストの形態をとることができる。たとえば、本発明で得られた銅ナノ粒子コロイドにメタノールを加え、遠心分離処理をし、銅成分を沈降させ、そこにエチレングリコールモノブチルエーテルを加え、再び遠心分離処理をし、それにターピネオールを加えて銅ナノ粒子ペーストを作成することができる。この形態も本発明の一部である。
また、前記銅ナノ粒子は、その周囲に他種金属を配置したコアシェル複合金属,例えば銅コア銀シェルなどの形成に用いることができる。この形態も本発明の一部である。
本発明の銅ナノ粒子は、顧客の要望に応じて、前記種々の形態をとって製品になりうるものである。そして、本発明は、前記種々の例に狭く限定されず、本発明の技術思想に従って多くのバリエーションを可能としている。
本発明の銅ナノ粒子、銅ナノ粒子ペースト、銅ナノ粒子コアシェル金属は、従来の高価な銀ナノ粒子を代替することや、有害な元素である鉛を含有する半田を置換する可能性などがあり、電子基板の配線、電子部品の接合など電機業界、自動車業界における広い技術分野において大きな効果を発揮するものである。

Claims (4)

  1. 複数種類の銅塩と分散剤と還元剤と反応管内壁への金属析出物付着抑制剤乃至防止剤と反応管内壁への金属析出物付着抑制剤乃至防止剤の補助剤を含む反応溶液を反応管に流通させ、前記反応管の少なくとも一部がマイクロ波を前記反応管の外部から前記反応管の内部に向けて照射する空間を通過して前記反応溶液にマイクロ波を照射させて製造した銅ナノ粒子コロイドであって、前記複数種類の銅塩に水酸化銅が含まれており、前記銅ナノ粒子コロイド少なくとも前記銅塩から還元された銅と前記分散剤の成分と前記反応管内壁への金属析出物付着抑制剤乃至防止剤の成分と前記反応管内壁への金属析出物付着抑制剤乃至防止剤の補助剤の成分を含むことを特徴とする銅ナノ粒子コロイド。
  2. 請求項1に記載の銅ナノ粒子コロイドにおいて、前記反応管内壁への金属析出物付着抑制剤ドデカンであり、前記反応管内壁への金属析出物付着抑制剤補助剤がジエチレングリコールモノブチルエーテル(C8H18O3)(BDGという)及び/又は2−エチルヘキサノール(C8H18O)であり、銅ナノ粒子コロイドに不純物としてのドデカン及び/又はBDG及び/又は2−エチルヘキサノールが含まれていることを特徴とする銅ナノ粒子コロイド。
  3. 請求項1または2に記載の銅ナノ粒子コロイドにおいて、前記複数種類の銅塩が硝酸銅と水酸化銅であることを特徴とする銅ナノ粒子コロイド。
  4. 請求項1のいずれか1項に記載の銅ナノ粒子コロイドにおいて、前記分散剤がポリカルボン酸であることを特徴とする銅ナノ粒子コロイド。
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