JP2024033909A - 銀ナノ粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】量産による製造コスト低減のために溶液中に高濃度の銀イオンが存在する状態であっても、粒径が小さく且つ均一である銀ナノ粒子を容易に生成することができる銀ナノ粒子の製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、反応液中の銀イオンを還元して銀ナノ粒子を製造する方法であって、反応液が、(i)銀イオンと、(ii)還元剤と、(iii)キレート剤と、(iv)溶媒とを含み、キレート剤と銀イオンのモル比(キレート剤/銀イオン)が、0.12~5.0である、方法に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、銀ナノ粒子の製造方法に関する。
近年、バルク材料と異なる性質を有することがある金属ナノ粒子は、例えば触媒、インクの材料、電子部品部材など、様々な用途において、使用・検討されている。
エレクトロニクス実装分野においても、低温で接合することができる鉛フリー化接合材料として、金属ナノ粒子が検討されている。鉛フリーはんだは250℃以下で接合することが困難であるが、金属ナノ粒子を含む鉛フリーはんだは、金属ナノ粒子の特性、すなわち、バルク材料と比較して低い融点を有する一方で、接合に使用されて焼結するとバルク材料としての融点を有するという特性を利用して、250℃以下での接合を可能にし得る。
高耐熱接合材料として、金属ナノ粒子、特に機能面において種々の優れた物理的・化学的特性を有する銀ナノ粒子を使用するためには、銀ナノ粒子の融点を一定にする必要がある。銀ナノ粒子の融点を一定にするためには、銀ナノ粒子について、粒径を小さくし、さらに、粒度分布を狭くすることが望ましい。
例えば、特許文献1は、湿式還元法による微粒銀粒子の製造方法であって、銀塩、キレート剤、ゼラチンの各成分を含有した銀塩含有溶液と、還元剤を含んだ還元剤含有溶液とを混合して還元反応を起こさせ微粒銀粒子を得ることを特徴とする微粒銀粒子製造方法について開示している。
特許文献2は、炭素数8以上で融点20℃以下の第一級アミン(A)、第一級アミノ基及び第三級アミノ基を有し、炭素数4以上で融点20℃以下のジアミン(B)、及び、炭素数12以上で融点30℃以下のシス型不飽和第一級アミン(C)を保護分子として備えた、銀ナノ粒子について開示している。
特許文献3は、原料溶液にマイクロ波を照射するステップを含む金属ナノ粒子の製造方法であって、原料溶液が、溶媒と、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン二酢酸及びそれらの塩から選択される1種以上のキレート剤と、金属化合物とを含み、金属化合物中の金属に対する前記キレート剤のモル比(キレート剤の物質量/金属の物質量)が、0.067~3.00であり、原料溶液が、ギ酸、クエン酸及びそれらの塩から選択される還元剤を含まない、前記方法について開示しており、特に金属として銀を使用する方法について開示している。
非特許文献1は、水素化ホウ素ナトリウムを用いた銀粒子の合成方法、及びクエン酸やアミノ酸などの有機酸を用いた銀粒子の合成方法における、還元剤や保護剤の特性について開示している。
特開2007-239077号公報 特開2016-135916号公報 特開2019-178355号公報
Restrepo、Cindy Vanessa及びCristian C.Villa、「Synthesis of silver nanoparticles,influence of capping agents,and dependence on size and shape:A review.」、Environmental Nanotechnology、Monitoring&Management、2021、100428
このように、様々な用途に応用し得る銀ナノ粒子の開発が進んでいるものの、従来技術の合成条件はガス生成や速い反応速度を伴うため、複雑且つ厳密である。また、従来技術で使用されるクエン酸やアミノ酸を用いる方法では、銀イオンとクエン酸やアミノ酸との塩形成(不溶化)に伴い、合成条件は低濃度の銀イオンを用いたものに限定される。さらに、銀イオンを高濃度にした場合、系内の銀ナノ粒子と保護剤との接触頻度の低下による粒子成長の促進、すなわち粒子の粗大化も懸念される。したがって、粒径が小さく且つ均一である(ここで、粒径が均一とは、粒度分布が狭いことを意味する)銀ナノ粒子を安定して低コストで生産することは困難である。
そこで、本発明は、量産による製造コスト低減のために溶液中に高濃度の銀イオンが存在する状態であっても、粒径が小さく且つ均一である銀ナノ粒子を容易に生成することができる銀ナノ粒子の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、銀ナノ粒子の製造方法において、キレート剤と銀イオンのモル比を制御することによって、キレート剤が高濃度の銀ナノ粒子の合成を可能とし、さらにキレート剤が銀イオン還元の際に素早く保護剤としても作用し、その結果、粒径が小さく且つ均一である銀ナノ粒子を生成することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)反応液中の銀イオンを還元して銀ナノ粒子を製造する方法であって、
反応液が、
(i)銀イオンと、
(ii)還元剤と、
(iii)キレート剤と、
(iv)溶媒と
を含み、
キレート剤と銀イオンのモル比(キレート剤/銀イオン)が、0.12~5.0である、
方法。
(2)還元剤が、分子内にアミノ基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基から選択される1種以上の官能基を1つ以上有する、(1)に記載の方法。
(3)還元剤が、クエン酸、アスコルビン酸、L-リジン、及びチロシンからなる群から選択される1種以上である、(2)に記載の方法。
(4)キレート剤が、分子内にアミノ基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基から選択される1種以上の官能基を1つ以上有する、(1)~(3)のいずれか1つに記載の方法。
(5)キレート剤が、1-アミノ-2-プロパノール、1,3-ブタンジオール、2-アミノ-1-ブタノール、エチレンジアミン四酢酸、及びニトリロ三酢酸からなる群から選択される1種以上である、(4)に記載の方法。
(6)反応液中の銀イオンの濃度が、50mM以上である、(1)~(5)のいずれか1つに記載の方法。
(7)還元反応が、反応液にマイクロ波を照射することで実施され、反応液に照射するマイクロ波の照射源の出力が、反応液の総体積に基づいて、50W/mL以上である、(1)~(6)のいずれか1つに記載の方法。
(8)反応液が、高分子保護剤を含まない、(1)~(7)のいずれか1つに記載の方法。
本発明によって、量産による製造コスト低減のために溶液中に高濃度の銀イオンが存在する状態であっても、粒径が小さく且つ均一である銀ナノ粒子を容易に生成することができる銀ナノ粒子の製造方法が提供される。
実施例2で調製した銀ナノ粒子の粒度分布の結果を示す図である。 実施例2で調製した銀ナノ粒子のTEM写真である。 比較例2~4及び実施例1~4に基づくEDTAと銀イオンのモル比と銀ナノ粒子の平均粒径との関係を示すグラフである。 比較例2~4及び実施例1~4に基づくEDTAと銀イオンのモル比と収率との関係を示すグラフである。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本明細書では、適宜図面を参照して本発明の特徴を説明する。なお、本発明の銀ナノ粒子の製造方法は、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良などを施した種々の形態にて実施することができる。
本発明は、反応液中の銀イオンを還元して銀ナノ粒子を製造する方法であって、反応液が、(i)銀イオンと、(ii)還元剤と、(iii)キレート剤と、(iv)溶媒とを含み、キレート剤と銀イオンのモル比(キレート剤/銀イオン)が、0.12~5.0である、方法に関する。
ここで、反応液中に含まれる銀イオンの原料としては、下記で説明する溶媒中に溶解し、銀イオンを生成することができれば限定されないが、例えば銀の、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩などの有機塩、などを挙げることができる。銀ナノ粒子の原料は、例えば、金属銀や銀塩を含む材料を硝酸などの酸又はアンモニア水などにより溶解して調製してもよい。銀イオンの原料としては、安価である硝酸銀を使用することが好ましい。
反応液中の銀イオンの濃度は、限定されず、例えば通常0.1mmol/L(mM)以上、好ましくは1mM以上であってもよい。反応液中の銀イオンの濃度は、量産による製造コスト低減を考慮した場合、通常50mM以上、好ましくは80mM以上、より好ましくは100mM以上である。反応液中の銀イオンの濃度の上限値は、銀イオンの原料が反応液中において銀イオンとして存在する限り、限定されないが、通常500mM、好ましくは400mMである。
反応液中の銀イオンの濃度を前記範囲にすることによって、得られる銀ナノ粒子のばらつきは小さくなり、言い換えれば、得られる銀ナノ粒子の粒度分布は狭くなる。
反応液中に含まれる還元剤は、銀イオンを、酸化還元反応により、酸化数が0である銀まで還元することができる化合物である。還元剤としては、限定されないが、例えば分子内にアミノ基、ヒドロキシ基、及びカルボキシ基から選択される1種以上の官能基を1つ以上有する化合物が挙げられる。還元剤としては、例えばクエン酸、アスコルビン酸、L-リジン、及びチロシンからなる群から選択される1種以上が好ましい。
還元剤の量は、銀イオンを酸化還元反応により、酸化数が0である金属まで還元することができる限り、限定されないが、銀イオンに対して、通常1.0倍当量~20.0倍当量、好ましくは2.0倍当量~10.0倍当量である。
還元剤として前記で説明した化合物を使用することにより、化合物中に含まれるアミノ基、ヒドロキシ基、及び/又はカルボキシ基中のカルボニル基が銀イオンを効率よく還元することができる。
反応液中に含まれるキレート剤は、反応液中で銀イオン及び銀ナノ粒子を安定化させる化合物である。キレート剤としては、限定されないが、例えば分子内にアミノ基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基から選択される1種以上の官能基を1つ以上有する化合物が挙げられる。キレート剤としては、例えば1-アミノ-2-プロパノール、1,3-ブタンジオール、2-アミノ-1-ブタノール、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、及びニトリロ三酢酸からなる群から選択される1種以上が好ましい。
キレート剤は、化合物中に含まれる官能基の数により生成する銀ナノ粒子の粒径を制御することができ、一般的に、官能基の数が多いほど、粒径は小さくなる。また、官能基として、アミノ基は、生成した銀ナノ粒子への吸着力が強く、保護能が高いため小粒径化に効果的であり、カルボキシ基は、当該保護効果に加えて、還元作用も同時に有し、銀イオンの還元速度を向上させ小粒径化に効果的である。したがって、キレート剤として前記で説明した化合物を使用することにより、化合物中に含まれる複数のアミノ基及び/又はカルボキシ基などの官能基が銀イオンを安定化し、さらに当該官能基の数及び種類に基づいて、生成する銀ナノ粒子の粒径を小さくすることができる。
キレート剤の量は、銀イオンの量に依存して異なり、キレート剤と銀イオンのモル比(キレート剤/銀イオン)が、0.12~5.0、好ましくは0.50~5.0、より好ましくは0.80~3.0になるように調整される。
キレート剤の量が銀イオンの量に基づいて決定されることにより、粒径が小さい銀ナノ粒子を高収率、通常85%以上、好ましくは90%以上で生成することができる。
反応液中に含まれる溶媒は、前記で説明した材料を溶解することができれば限定されない。溶媒としては、例えば沸点が300℃以下である低沸点溶媒などが挙げられる。低沸点溶媒としては、限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノールなどのアルコール、エチレングリコールなどの多価アルコール系溶媒、アセトンなどのケトン系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、その他有機溶媒、又はそれらの2種以上の混合物などの低沸点極性溶媒を挙げることができる。反応液に用いられる溶媒としては、水が好ましい。
反応液中に含まれる溶媒として低沸点溶媒を使用することによって、溶媒の取扱い性を向上させ、環境への負荷を小さくすることができる。
反応液は、前記で説明した材料以外にも、従来の反応液中の銀イオンを還元して銀ナノ粒子を製造する方法の反応液において通常使用され得る添加剤を含むこともできるが、反応液は、銀イオン、還元剤、キレート剤、及び溶媒から構成されることが好ましい。
したがって、反応液は、添加剤として、特に高分子保護剤、例えばポリビニルピロリドン(PVP)やポリアクリルアミド(PAA)、特に重量平均分子量が通常10000g/mol以上、好ましくは40000g/mol以上であるPVP又はPAAを含まないことが好ましい。
反応液が添加剤として高分子保護剤を含まないことにより、保護剤によるキレート剤の配位の阻害及び銀ナノ粒子の粒径の粗大化を防止し、粒径が小さく且つ均一である銀ナノ粒子を安定して生成することができる。
本発明では、各材料の添加順序、添加温度、混合方法、混合時間などは限定されず、均一な反応液が調製されるように混合される。本発明では、均一な反応液が調製されてから反応を開始させる。
本発明は、従来の加熱、例えばマントルヒーター、投げ込みヒーター、オイルバス又は湯浴などによる加熱による方法、又はマイクロ波合成装置を用いる方法により実施することができる。
本発明において、従来の加熱による方法では、反応温度は、限定されないが、通常300℃以下、好ましくは50℃~200℃である。
本発明において、従来の加熱による方法では、反応時間は、反応が完了すれば限定されないが、通常1分~8時間、好ましくは5分~1時間である。なお、反応の完了は、溶液中に出発原料である銀イオンが存在しなくなったことをICP-AESで解析することにより確認することができる。
本発明において、マイクロ波合成装置を用いる方法では、反応液にマイクロ波を照射し、反応を進行させる。したがって、反応液に含まれる溶媒としては、マイクロ波を照射すると、マイクロ波を吸収し、熱エネルギーに変換することで発熱する極性溶媒を用いる。極性溶媒としては、限定されないが、低沸点極性溶媒、例えば、水、エタノールなどが挙げられる。極性溶媒としては、水が好ましい。
マイクロ波合成装置を用いる方法では、反応液を収容する容器の材質は、原料溶液にマイクロ波を均一に照射することができれば限定されず、例えば、反応器の外部から反応器を介して原料溶液にマイクロ波を照射する場合、マイクロ波を透過する材質、例えばセラミックス、ガラスなどを使用することができ、原料溶液の上部から原料溶液に直接マイクロ波を照射する場合、マイクロ波を反射する材質、例えばアルミニウム、ステンレスなどの金属などを使用することができる。
マイクロ波合成装置を用いる方法では、マイクロ波は、マイクロ波照射源(マイクロ波発振器(マグネトロン))から発生し、マイクロ波照射源は、シングルモードシステム、マルチモードシステムのどちらでも使用することができる。
マイクロ波合成装置を用いる方法では、マイクロ波照射源の出力は、反応の条件、例えば反応の種類などにより適宜変更することができ、限定されないが、反応液の総体積に基づいて、通常5W/mL以上、好ましくは50W/mL以上、より好ましくは100W/mL以上、さらにより好ましくは150W/mL以上、特に好ましくは200W/mL以上である。マイクロ波照射源の出力の上限値もまた、反応の条件、例えば反応の種類などにより適宜変更することができ、限定されないが、反応液の総体積に基づいて、通常10kW/mL、好ましくは1kW/mLである。
マイクロ波合成装置を用いる方法では、マイクロ波照射源から発生するマイクロ波の周波数は、適宜変更することができ、限定されないが、通常1GHz~10GHz、好ましくは2GHz~6GHzである。本発明では、マイクロ波の周波数として、工業用マイクロ波電源の周波数である2.45GHzを使用することがより好ましい。
マイクロ波合成装置を用いる方法では、マイクロ波の照射によって昇温される反応液の温度は、反応の条件により適宜変更することができ、限定されない。反応液の温度は、溶媒の沸点以下であればよい。
マイクロ波合成装置を用いる方法では、反応液へのマイクロ波の照射時間は、反応の条件により適宜変更することができ、反応が完了すれば限定されないが、通常10秒~200分、好ましくは10秒~60分である。あるいは、目的とする反応液の温度を維持するように、マイクロ波を反応液に照射することができる。なお、反応の完了は、前記の通り、溶液中に出発原料である銀イオンが存在しなくなったことをICP-AESで解析することにより確認することができる。
マイクロ波合成装置を用いる方法では、マイクロ波の照射時間を含む反応の総時間は、反応の条件により適宜変更することができ、限定されないが、通常10秒~300分、好ましくは5分~60分である。
本発明は、キレート剤の銀ナノ粒子への吸着速度が速くなるという観点から、マイクロ波合成装置を用いて実施することが好ましい。マイクロ波によりキレート剤の官能基が活性化して銀ナノ粒子への吸着速度が速くなることで、銀ナノ粒子の粒子成長抑制が可能となる。さらに、反応の完了に伴い、マイクロ波照射を停止すると、キレート剤の銀ナノ粒子に対する吸着力が小さくなり、銀ナノ粒子からキレート剤が外れ、キレート剤が少なく低温焼結性を有する銀ナノ粒子のペーストが得られる。
本発明では、反応液を、撹拌機構、例えばプロペラ式撹拌機、振動式撹拌機などにより、撹拌することが好ましい。反応液を撹拌することにより、反応液中に生成した銀ナノ粒子を均一に分散することができ、反応液を均一に保つことができる。
本発明は、バッチ式で実施しても、流通式で実施してもよい。
本発明により得られた銀ナノ粒子を含む溶液は、当該技術分野において知られる方法により、分離、精製(例えば塩析や遠心分離)などを実施し、目的とする銀ナノ粒子及び/又は銀ナノ粒子を含む分散液を得ることができる。
本発明により製造された銀ナノ粒子は、粒径が小さく、例えばTEMで測定したときの平均粒径(ここで、平均粒径は、粒径を長径及び短径の平均値としたときの、300個以上の粒子の粒径の平均値を意味する)が通常5nm~40nmになり、さらに、粒径が均一、すなわち狭い粒度分布、例えばTEMで測定した粒度分布における標準偏差σが1nm~10nmになる。
本発明により製造された銀ナノ粒子は、従来の触媒、電子部品部材、インクの材料などに加え、エレクトロニクス実装分野における高耐熱鉛フリー化接合材料として使用することができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例につき説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
1.銀ナノ粒子の調製
実施例1
(1)硝酸銀、クエン酸及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を、反応液中の濃度がそれぞれ硝酸銀100mM、クエン酸550mM及びEDTA50mMになるように、それぞれ水中に溶解し、硝酸銀水溶液、EDTA水溶液、及びクエン酸水溶液を調製した。
(2)まず、(1)で調製した硝酸銀水溶液と、(1)で調製したEDTA水溶液とを室温で10分間混合して、銀イオンをEDTAで錯化させた。
(3)続いて、そこに、(1)で調製したクエン酸水溶液を添加して混合し、反応液を調製した。
(4)反応液に、反応液の総体積に基づいて200W/mLのマイクロ波を照射して、反応液を100℃まで加熱し、その温度を、マイクロ波をパルス照射することで15分間保持し、銀ナノ粒子を合成した。
実施例2
実施例1の(1)の工程において、反応液中のEDTAの濃度が100mMになるようにEDTA水溶液を調製した以外は、実施例1と同様にして、銀ナノ粒子を合成した。
実施例3
実施例1の(1)の工程において、反応液中のEDTAの濃度が200mMになるようにEDTA水溶液を調製した以外は、実施例1と同様にして、銀ナノ粒子を合成した。
実施例4
実施例1の(1)の工程において、反応液中のEDTAの濃度が400mMになるようにEDTA水溶液を調製した以外は、実施例1と同様にして、銀ナノ粒子を合成した。
実施例5
実施例1の(1)及び(2)の工程において、反応液中のEDTAの濃度が50mMになるように調製したEDTA水溶液の代わりに、反応液中のニトリロ三酢酸の濃度が100mMになるように調製したニトリロ三酢酸水溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして、銀ナノ粒子を合成した。
実施例6
実施例1において、(1)の工程において、さらに、ポリビニルピロリドン(PVP、重量平均分子量:40000g/mol)を、反応液中の濃度が200mMになるように、水中に溶解してPVP水溶液を調製し、(3)の工程において、クエン酸を添加した後に、(1)の工程で調製したPVP水溶液をさらに添加した以外は、実施例1と同様にして、銀ナノ粒子を合成した。
実施例7
実施例1において、(1)の工程において、さらに、PVP(重量平均分子量:40000g/mol)を、反応液中の濃度が500mMになるように、水中に溶解してPVP水溶液を調製し、(3)の工程において、クエン酸を添加した後に、(1)の工程で調製したPVP水溶液をさらに添加した以外は、実施例1と同様にして、銀ナノ粒子を合成した。
実施例8
実施例3の(4)の工程を、「オイルバスを用いて、反応液を100℃まで加熱し、その温度を15分間保持し、銀ナノ粒子を合成した。」に変更した以外は、実施例3と同様にして、銀ナノ粒子を合成した。
比較例1
実施例1の(1)の工程において、反応液中のEDTAの濃度が10mMになるようにEDTA水溶液を調製した以外は、実施例1と同様にした。結果、銀ナノ粒子は生成しなかった。
比較例2
比較例1の(1)及び(3)の工程において、反応液中のクエン酸の濃度が550mMになるように調製したクエン酸水溶液の代わりに、反応液中の2-プロパノールの濃度が550mMになるように調製した2-プロパノール水溶液を使用した以外は、比較例1と同様にした。結果、銀ナノ粒子が生成した。
比較例3
実施例1の(1)の工程において、反応液中のEDTAの濃度が800mMになるようにEDTA水溶液を調製した以外は、実施例1と同様にして、銀ナノ粒子を合成した。
比較例4
実施例1の(1)の工程において、反応液中のEDTAの濃度が1000mMになるようにEDTA水溶液を調製した以外は、実施例1と同様にして、銀ナノ粒子を合成した。
2.銀ナノ粒子の評価
実施例1~8及び比較例1~4の銀ナノ粒子について、収率を測定し、さらに、UV-visスペクトル測定、走査電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM)を測定した。TEMにおいて、粒子の粒径を粒子の長径及び短径の平均値として、銀ナノ粒子300点以上の粒径を測長した結果から平均粒径及び粒度分布を算出した。
表1に結果を示す。
Figure 2024033909000002
さらに、図1に、実施例2で調製した銀ナノ粒子のTEMに基づく粒度分布を示し、図2に、実施例2で調製した銀ナノ粒子のTEM写真を示し、図3に、比較例2~4及び実施例1~4に基づくEDTAと銀イオンのモル比と銀ナノ粒子の平均粒径との関係を示し、図4に、比較例2~4及び実施例1~4に基づくEDTAと銀イオンのモル比と収率との関係を示す。
表1並びに図3及び4から、キレート剤と銀イオンのモル比(キレート剤(EDTA)/銀イオン)が0.10以下である反応液からは銀ナノ粒子が生成しないか、あるいは生成したとしても平均粒径が大きくなり、したがって、平均粒径の小さな銀ナノ粒子を生成するためには、キレート剤と銀イオンのモル比(キレート剤(EDTA)/銀イオン)が0.12以上、さらには0.50以上、特には0.80以上になることが好ましいとわかった。また、キレート剤と銀イオンのモル比(キレート剤(EDTA)/銀イオン)が大きくなるにつれて収率が低下していくため、キレート剤と銀イオンのモル比(キレート剤(EDTA)/銀イオン)は、5.0以下、さらには3.0以下になることが好ましいとわかった。さらに、反応液に高分子保護剤としてのPVPをさらに添加すると、得られる銀ナノ粒子の平均粒径が大きくなる傾向があることがわかった。また、実施例8から、反応は、マイクロ波合成装置だけでなく、オイルバスでも実施できることがわかった。

Claims (8)

  1. (1)反応液中の銀イオンを還元して銀ナノ粒子を製造する方法であって、
    反応液が、
    (i)銀イオンと、
    (ii)還元剤と、
    (iii)キレート剤と、
    (iv)溶媒と
    を含み、
    キレート剤と銀イオンのモル比(キレート剤/銀イオン)が、0.12~5.0である、
    方法。
  2. 還元剤が、分子内にアミノ基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基から選択される1種以上の官能基を1つ以上有する、請求項1に記載の方法。
  3. 還元剤が、クエン酸、アスコルビン酸、L-リジン、及びチロシンからなる群から選択される1種以上である、請求項2に記載の方法。
  4. キレート剤が、分子内にアミノ基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基から選択される1種以上の官能基を1つ以上有する、請求項1に記載の方法。
  5. キレート剤が、1-アミノ-2-プロパノール、1,3-ブタンジオール、2-アミノ-1-ブタノール、エチレンジアミン四酢酸、及びニトリロ三酢酸からなる群から選択される1種以上である、請求項4に記載の方法。
  6. 反応液中の銀イオンの濃度が、50mM以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 還元反応が、反応液にマイクロ波を照射することで実施され、反応液に照射するマイクロ波の照射源の出力が、反応液の総体積に基づいて、50W/mL以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  8. 反応液が、高分子保護剤を含まない、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
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