JP2023130600A - 金属ナノ粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒径が異なる2種類の金属ナノ粒子の混合物を容易に製造する方法を提供する。【解決手段】本発明は、反応液中の金属イオンを還元して金属ナノ粒子を製造する方法であって、反応液が、溶媒と、金属イオンと、標準電極電位が0.49V~0.80Vであることで還元剤として作用し、且つ分子量が90g/mol以下であり、還元された金属ナノ粒子への吸着能を有することで第1の保護剤として作用する化合物1と、重量平均分子量(Mw)が10000g/mol~40000g/molであり、還元された金属ナノ粒子への吸着能を有することで第2の保護剤として作用する化合物2とを含み、化合物1の金属イオンに対するモル比(化合物1/金属イオン)が20以上であり、金属イオンの濃度が50mmol/L以上である前記方法に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、金属ナノ粒子の製造方法に関する。
バルク材料と異なる性質を有することがある金属ナノ粒子は、例えば触媒、インクの材料、電子部品部材など、様々な用途において、使用・検討されている。
例えば、特許文献1は、複数の第1金属ナノ粒子と前記複数の第1金属ナノ粒子より小さな粒径を有する複数の第2金属ナノ粒子を含んで、低温焼成によって前記第2金属ナノ粒子が溶融されて前記第1金属ナノ粒子間の空間を満たすことができる導電性配線材料について開示している。
特許文献2は、反応液中40mM以上の銀イオンを、粒子保護剤及び銀よりも貴な元素の存在下、銀イオンの還元剤で還元することを特徴とする銀ナノ粒子の製造方法について開示している。
特開2006-279038号公報 特開2020-183567号公報
エレクトロニクス実装分野において、特許文献1に記載の導電性配線材料や、特許文献2に記載の鉛フリー化接合材料における金属ナノ粒子として、粒径が異なる2種類の金属ナノ粒子の混合物を使用した場合、当該混合物を焼結して形成される焼結体は、低い空隙率を有し、その結果、低い体積抵抗率を有し得る。
このようなエレクトロニクス実装分野において有用であり得る粒径が異なる2種類の金属ナノ粒子の混合物は、通常、特許文献1に記載されるように、粒径が異なる2種類の金属ナノ粒子をそれぞれ別々に合成し、場合により分級し、さらにそれらを均一に混合することにより調製される。したがって、当該混合物の製造方法には、工程数が多く、生産性が低く、さらにはコストがかかるという問題点がある。また、特許文献1での低温焼成温度は180℃であり、PETやPCなどの上に印刷して焼成させることが困難である。
そこで、本発明は、粒径が異なる2種類の金属ナノ粒子の混合物を容易に製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、反応液中の金属イオンを還元して金属ナノ粒子を製造する方法において、反応液として、溶媒と、金属イオンと、標準電極電位が0.49V~0.80Vであることで還元剤として作用し、且つ分子量が90g/mol以下であり、還元された金属ナノ粒子への吸着能を有することで第1の保護剤として作用する化合物1と、重量平均分子量(Mw)が10000g/mol~40000g/molであり、還元された金属ナノ粒子への吸着能を有することで第2の保護剤として作用する化合物2とを含む反応液を使用し、化合物1の金属イオンに対するモル比(化合物1/金属イオン)を20以上に調整し、金属イオンの濃度を50mmol/L以上に調整することによって、粒径が異なる2種類の金属ナノ粒子を同時に合成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)反応液中の金属イオンを還元して金属ナノ粒子を製造する方法であって、
反応液が、
溶媒と、
金属イオンと、
標準電極電位が0.49V~0.80Vであることで還元剤として作用し、且つ分子量が90g/mol以下であり、還元された金属ナノ粒子への吸着能を有することで第1の保護剤として作用する化合物1と、
重量平均分子量(Mw)が10000g/mol~40000g/molであり、還元された金属ナノ粒子への吸着能を有することで第2の保護剤として作用する化合物2と
を含み、
化合物1の金属イオンに対するモル比(化合物1/金属イオン)が20以上であり、
金属イオンの濃度が50mmol/L以上である
前記方法。
(2)化合物2の金属イオンに対するモル比(化合物2/金属イオン)が4以上である、(1)に記載の方法。
(3)金属イオンが銀イオンである、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)化合物1がシュウ酸及びその塩並びにN,N-ジメチルホルムアミドからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、(1)~(3)のいずれか1つに記載の方法。
(5)化合物2がポリビニルピロリドンである、(1)~(4)のいずれか1つに記載の方法。
(6)反応が20℃~100℃の温度で、5分~60分間実施される、(1)~(5)のいずれか1つに記載の方法。
本発明によって、粒径が異なる2種類の金属ナノ粒子の混合物を容易に製造することができる。
本発明の一実施形態を模式的に示す図である。 実施例1及び2のTEM画像及び粒度分布を示す図である。 実施例3及び4のTEM画像及び粒度分布を示す図である。 実施例4の焼結体の断面SEM画像を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本明細書では、適宜図面を参照して本発明の特徴を説明する。図面では、明確化のために各部の寸法及び形状を誇張しており、実際の寸法及び形状を正確に描写してはいない。それ故、本発明の技術的範囲は、これら図面に表された各部の寸法及び形状に限定されるものではない。なお、本発明の金属ナノ粒子の製造方法は、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良などを施した種々の形態にて実施することができる。
本発明は、反応液中の金属イオンを還元して金属ナノ粒子を製造する方法であって、反応液が、溶媒と、金属イオンと、標準電極電位が0.49V~0.80Vであることで還元剤として作用し、且つ分子量が90g/mol以下であり、還元された金属ナノ粒子への吸着能を有することで第1の保護剤として作用する化合物1と、重量平均分子量(Mw)が10000g/mol~40000g/molであり、還元された金属ナノ粒子への吸着能を有することで第2の保護剤として作用する化合物2とを含み、化合物1の金属イオンに対するモル比(化合物1/金属イオン)が20以上であり、金属イオンの濃度が50mmol/L以上である前記方法に関する。
本発明の方法における反応液において、溶媒は、限定されない。溶媒としては、例えば沸点が120℃以下である低沸点溶媒などが挙げられる。低沸点溶媒としては、限定されないが、例えば、水、エタノール等のアルコール、その他有機溶媒、又はそれらの2種以上の混合物などの低沸点極性溶媒を挙げることができる。本発明では、溶媒としては、水を使用することが好ましい。
溶媒として低沸点溶媒を使用することによって、溶媒の取扱い性を向上させ、環境への負荷を小さくすることができる。
本発明の方法における反応液において、金属イオンは、限定されない。金属イオンとしては、例えば、金属ナノ粒子を構成する金属、例えば金、銀、白金、銅、ニッケル、鉄、コバルトなどのイオンが挙げられる。本発明では、金属イオンとしては、銀イオンを使用することが好ましい。金属イオンの原料としては、限定されないが、例えば金属の、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機塩、カルボン酸塩、例えば酢酸塩、スルホン酸塩などの有機塩、などを挙げることができる。本発明では、金属イオンの原料としては、安価である硝酸塩を使用することが好ましい。
本発明の方法における反応液において、反応液中の金属イオンの濃度は、50mmol/L以上、好ましくは100mmol/L以上である。反応液中の金属イオンの濃度の上限値は、金属イオンの原料が反応液中において金属イオンとして存在する限り、限定されないが、通常500mmol/L、好ましくは400mmol/Lである。
反応液中の金属イオンの濃度を前記範囲にすることによって、金属ナノ粒子を効率よく高濃度で生成することができ、金属ナノ粒子の一度に生成・回収できる量を大幅に増大し、金属ナノ粒子製造のための時間、労力及びコストを低減することができる。
本発明の方法における反応液において、化合物1は、標準電極電位が0.49V~0.80Vであることで金属イオンの還元剤として作用し、且つ分子量が90g/mol以下であり、還元された金属ナノ粒子への吸着能を有することで第1の保護剤として作用する化合物である。ここで、化合物1の金属ナノ粒子に対する保護剤の機能としての「金属ナノ粒子への吸着能」とは、化合物1が溶媒中で懸濁している金属ナノ粒子の表面の一部又は全面に結合することを意味し、当該特性により、金属ナノ粒子同士の凝集を抑制することができる。
還元された金属ナノ粒子への吸着能を有するために化合物1が有し得る有機官能基としては、チオール基、アミン基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、エーテル基などが挙げられる。化合物1は、前記基を2種以上含んでいてもよい。
化合物1としては、例えば、シュウ酸及びその塩、例えばシュウ酸ナトリウム、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、並びにジメチルスルホキシドからなる群から選択される少なくとも1種の化合物が挙げられる。本発明では、化合物1としては、シュウ酸及びその塩並びにN,N-ジメチルホルムアミドからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を使用することが好ましい。
本発明の方法における反応液が化合物1を含むことによって、その比較的強い還元力により金属ナノ粒子の核生成を一度に起こすことができ、得られる粒径が異なる2種類の金属ナノ粒子それぞれの粒度分布を狭くすることができる。
本発明の方法における反応液において、化合物1の金属イオンに対するモル比(化合物1/金属イオン)は、20以上、好ましくは20~80である。
本発明の方法における反応液が化合物1を前記範囲の金属イオンとのモル比で含むことによって、粒径が異なる2種類の金属ナノ粒子を容易に合成することができる。
本発明の方法における反応液において、反応液中の化合物1の濃度は、化合物1の金属イオンに対するモル比が前記範囲になる限り、限定されないが、通常1mol/L以上、好ましくは1mol/L~10mol/L、より好ましくは2mol/L~6mol/Lである。
本発明の方法における反応液において、化合物2は、重量平均分子量(Mw)が10000g/mol~40000g/molであり、還元されて生成した金属ナノ粒子への吸着能を有することで第2の保護剤として作用する化合物である。ここで、化合物2の金属ナノ粒子に対する保護剤の機能としての「金属ナノ粒子への吸着能」とは、化合物2が溶媒中で懸濁している金属ナノ粒子の表面の一部又は全面に結合することを意味し、当該特性により、金属ナノ粒子同士の凝集を抑制することができる。
還元された金属ナノ粒子への吸着能を有するために化合物2が有し得る有機官能基としては、化合物1と同様、チオール基、アミン基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、エーテル基などが挙げられる。化合物2は、前記基を2種以上含んでいてもよい。
化合物2としては、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、チオール系ポリマー、ポリビニルアルコール(PVA)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物が挙げられる。本発明では、化合物2としては、PVPを使用することが好ましい。
本発明の方法における反応液において、化合物2の金属イオンに対するモル比(化合物2/金属イオン)(ただし、化合物2の分子量は重量平均分子量に基づく)は、限定されないが、通常1以上、好ましくは2超、より好ましくは4以上、さらにより好ましくは4~8である。
本発明の方法における反応液において、化合物1の化合物2に対するモル比(化合物1/化合物2)(ただし、化合物2の分子量は重量平均分子量に基づく)は、限定されないが、通常5以上、好ましくは10以上、より好ましくは10~60である。
本発明の方法における反応液において、反応液中の化合物2の濃度(ただし、化合物2の分子量は重量平均分子量に基づく)は、限定されないが、通常50mmol/L以上、好ましくは100mmol/L以上、より好ましくは200mmol/L~800mmol/Lである。
本発明の方法における反応液が化合物2を前記の量で含むことによって、化合物2が反応液中に生成した金属ナノ粒子の核同士の接触頻度を減少させて核の過剰な合一を抑制する効果を有すると共に、化合物2が合一した金属ナノ粒子の核に対しての保護能も発揮して粒度分布を揃える役割を有するため、粒径が異なる2種類の金属ナノ粒子を容易に合成することができる。
したがって、本発明の方法における反応液が化合物1及び化合物2を含むことによって、反応液が金属ナノ粒子に対して異なる吸着量を有する2種類の保護剤を含むことになるため、それぞれの保護剤がその吸着量に対応する粒径の金属ナノ粒子を生成し、したがって、粒径が異なる2種類の金属ナノ粒子を同時に合成することができる。
本発明の方法における反応液は、前記の材料以外に、pH調整剤としての水酸化ナトリウム(NaOH)を含んでいてもよい。
本発明では、各材料の添加順序、添加温度、混合方法、混合時間などは限定されず、均一な反応液が調製されるように混合される。本発明では、均一な反応液が調製されてから反応を開始させる。
本発明は、加熱による方法により実施することができる。
本発明において、加熱による方法では、反応温度は、限定されないが、通常20℃~100℃、好ましくは20℃~90℃である。
本発明において、加熱による方法では、反応時間は、限定されないが、通常5分間~60分間、好ましくは5分間~40分間、より好ましくは5分間~30分間である。
本発明において、反応を加熱による方法で実施することで、反応を容易に実施することができる。
本発明では、反応液を、撹拌機構、例えばプロペラ式撹拌機、振動式撹拌機などにより、撹拌することが好ましい。反応液を撹拌することにより、反応液中に生成した2種類の金属ナノ粒子を均一に分散することができ、反応液を均一に保つことができる。
本発明は、バッチ式で実施しても、流通式で実施してもよい。本発明は、バッチ式で実施することが好ましい。バッチ式で実施することにより、合成反応自体を完了させることができ、得られる金属ナノ粒子の歩留まりをよくすることができる。また、反応液の濃度を高濃度にすることができ、流通式で起こり得る金属ナノ粒子の配管の閉塞の問題が起こらない。
図1に本発明の一実施形態を模式的に示す。図1には、溶媒としての水(HO)と、金属イオンとしての硝酸銀(AgNO:100mmol/L以上)と、化合物1としてのDMF(2000mmol/L以上)と、化合物2としてのPVP(100mmol/L以上)とを含む反応液を、20℃~100℃の反応温度、5分間~60分間の反応時間で反応させて、銀ナノ粒子の分散液を生成するスキームが記載されている。
本発明により、粒径が異なる2種類の金属ナノ粒子を同時に調製することができ、その結果、工程数が少なくなり、生産性が向上し、コストもまた低くなる。
本発明により得られた金属ナノ粒子を含む分散液は、当該技術分野において知られる方法により、分離、精製(例えば塩析や遠心分離)などを実施し、目的とする金属ナノ粒子及び/又は金属ナノ粒子を含む分散液を得ることができる。
本発明により製造された金属ナノ粒子は、2種類の粒径を有する、すなわち二峰性の粒度分布を有する。ここで、本発明において、二峰性の粒度分布とは、金属ナノ粒子の粒度分布のヒストグラムを2.5nmおきに作製した際に、0nm~10nmにおける最頻値と10nm以上における最頻値との差が10nm以上になることを意味する。
本発明により得られた金属ナノ粒子は、粒径が異なる2種類の金属ナノ粒子の混合物であり、低温焼結性に優れ、例えば120℃において焼結性を有し、さらに、当該金属ナノ粒子から形成された焼結体は低い体積抵抗率を有する。
本発明により製造された金属ナノ粒子は、触媒、電子部品部材、インクの材料などの分野に加え、エレクトロニクス実装分野における導電性配線材料として使用することができ、例えば配線基板などに用いるインク作製の工程数を減らすことができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例につき説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
1.銀ナノ粒子の調製
化合物2としてのPVP水溶液(重量平均分子量:10000g/mol又は40000g/mol、濃度:0.4mol/L、0.8mol/L、1.6mol/L、又は2.4mol/L)に、金属イオンとしての硝酸銀水溶液(濃度:400mM)を添加し、続いて、化合物1としてのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)又はシュウ酸若しくはアスコルビン酸を添加し、さらに、各材料の濃度が下記の表1及び2に示す濃度となるように溶媒としての精製水を添加して、反応液を調製した。得られた反応液を500mLのセパラブルフラスコに投入し、90℃(反応温度)で40分間(反応時間)、マグネチックスターラーにより撹拌しながら反応することで銀ナノ粒子の分散液を調製した。
Figure 2023130600000002
Figure 2023130600000003
2.銀ナノ粒子のTEM観察及び粒度分布測定
実施例1~7及び比較例1~3の各銀ナノ粒子を、TEMグリッドに滴下し、乾燥させて試料を作製した。その後、下記の表3に示す測定条件でTEM観察を行った。TEM画像において無作為に選択した100個以上の銀ナノ粒子の投影面積円相当径を求め、粒径及び粒度分布を測定した。なお、粒度分布は、0nm~2.5nm、2.5nm~5.0nm、5.0nm~7.5nm・・・のように2.5nmおきのヒストグラムにより作成した。
Figure 2023130600000004
表4及び5に結果を示す。
Figure 2023130600000005
Figure 2023130600000006
表4及び5より、実施例及び比較例を比較すると、反応液に適切な量の化合物1及び化合物2を添加することで、二峰性の粒度分布を得られることがわかった。また、実施例4及び5の比較により、化合物2の重量平均分子量が10000g/mol又は40000g/molであれば、二峰性の粒度分布を得られることが確認できた。さらに、実施例4及び7並びに比較例3の比較により、化合物1として、標準電極電位が0.49V~0.80Vであり、且つ分子量が90g/mol以下である、還元された金属ナノ粒子への吸着能を有する化合物、すなわち、DMF(液体)又はシュウ酸(水溶液)を使用することで、二峰性の粒度分布を得られることがわかった。
図2及び3に、実施例1~4のTEM画像及び粒度分布を示す。図2及び3において、実施例1では6.59±1.60nm及び19.15±2.09nmの二峰性の粒度分布(平均粒径:14.8±6.21nm)、実施例2では6.24±1.96nm及び21.06±6.00nmの二峰性の粒度分布(平均粒径:11.2±8.52nm)、実施例3では4.16±0.92nm及び18.9±1.59nmの二峰性の粒度分布(平均粒径:6.29±5.29nm)、実施例4では4.02±1.23nm及び17.2±1.92nmの二峰性の粒度分布(平均粒径:6.74±5.53nm)が得られた。図2及び3より、化合物2を添加することにより、二峰性の粒度分布が得られるが、当該粒度分布の二峰性は化合物2の濃度に依存する、すなわち反応液中の化合物2の濃度が高いほど、二峰性が顕著になることがわかった。具体的には、銀ナノ粒子の粒度分布では、例えば銀イオンのモル濃度に対して2倍超、特に4倍以上になると、二峰性が顕著に確認できることがわかった。これは、化合物2であるPVPの濃度が高くなると、PVPが銀ナノ粒子の周りを保護しやすくなるため、0nm~10nmにおける最頻値と10nm以上における最頻値との差が大きくなり、平均粒径もまた小さくなる傾向を有すると推測できる。この結果は、粒径が10nm未満である銀ナノ粒子が増えることにつながり、銀ナノ粒子の焼結性が向上することを示す。
3.銀ナノ粒子の焼結性試験
実施例4及び比較例1の銀ナノ粒子の分散体を室温(25℃~30℃)で3時間限外ろ過(UFろ過)した。ろ過の際の洗浄液には純水を使用した。さらに、エバポレーターにより濃縮を行い、固形分15重量%の分散体を得た。
なお、分散体の固形分は以下のように測定した。
まず、分散体を少量サンプリングし、150℃で2時間加熱して、溶媒を揮発させ、分散体の残留分を測定した。その結果、分散体の残留分は、分散体の15.8重量%であった。続いて、残留分の一部を熱重量測定(TG測定)装置で500℃まで加熱して有機成分を焼失させることで、残留分の固形分を測定した。その結果、残留分の固形分は、残留分の95%であった。以上により、分散体の固形分は、
0.158×0.95×100=15(重量%)
と算出された。
続いて、得られた分散体を、スライドチャンバー(スライド&チャンバー8ウェル、Watson製)に滴下し、Yamato DN63 Constant Temperature Oven送風低温恒温器にて120℃で60分間焼結させて成膜化した。
得られた膜の体積抵抗率を、抵抗率計(ロレスタ―GX MCP-T700、日東精工アナリテック株式会社製)により測定した。表6に結果を示し、図4に実施例4の焼結体の断面SEM画像を示す。
Figure 2023130600000007
表6より、同じ温度の焼成では、実施例4の銀ナノ粒子により得られた焼結体の体積抵抗率が比較例1の銀ナノ粒子により得られた焼結体の体積抵抗率よりも低くなることがわかった。この理由としては、実施例4の銀ナノ粒子により得られた焼結体では、粒径の小さな第1群粒子が溶融されることで、第2群粒子の空間を満たすことができること、さらには、加熱流動性を示す化合物2が保護剤として吸着していることが考えらえる。
さらに、表6及び図4より、実施例4の銀ナノ粒子により得られた焼結体では、空隙率が1%であり、比較例1の空隙率と比べて小さく、実施例4の銀ナノ粒子により得られた焼結体が第1群粒子により第2群粒子間の空隙(空間)が満たされていることを確認できた。

Claims (6)

  1. 反応液中の金属イオンを還元して金属ナノ粒子を製造する方法であって、
    反応液が、
    溶媒と、
    金属イオンと、
    標準電極電位が0.49V~0.80Vであることで還元剤として作用し、且つ分子量が90g/mol以下であり、還元された金属ナノ粒子への吸着能を有することで第1の保護剤として作用する化合物1と、
    重量平均分子量(Mw)が10000g/mol~40000g/molであり、還元された金属ナノ粒子への吸着能を有することで第2の保護剤として作用する化合物2と
    を含み、
    化合物1の金属イオンに対するモル比(化合物1/金属イオン)が20以上であり、
    金属イオンの濃度が50mmol/L以上である
    前記方法。
  2. 化合物2の金属イオンに対するモル比(化合物2/金属イオン)が4以上である、請求項1に記載の方法。
  3. 金属イオンが銀イオンである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 化合物1がシュウ酸及びその塩並びにN,N-ジメチルホルムアミドからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 化合物2がポリビニルピロリドンである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 反応が20℃~100℃の温度で、5分~60分間実施される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
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