JP7405929B1 - リチウム金属複合酸化物、リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム金属複合酸化物、リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウム金属複合酸化物、リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池の提供。【解決手段】少なくともLiとNiを含み、(1)及び(2)を満たす、リチウム金属複合酸化物。(1)窒素ガスの吸着等温線及び脱離等温線測定とBarrett-Joyner-Halenda法により求められる吸着等温線における細孔径分布において、細孔径が2-10nmの範囲における細孔容積が0.4×10-3cm3/gを超え1.0×10-3cm3/gである。(2)A/D50は、0.9×10-3-3.4×10-3である。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウム金属複合酸化物、リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池に関する。
リチウム二次電池が備えるリチウム二次電池用正極は、正極活物質、導電材及びバインダーを含むペースト状の正極合剤を調製し、正極合剤を正極集電体に塗工することで製造できる。正極合剤を正極集電体に塗工する方法としては、スリットダイ塗工法やスクリーン塗工法等により、ペースト状の正極合剤を正極集電体へ塗布する方法が用いられる。
リチウム二次電池を効率的に生産する観点から、正極合剤の塗工性を向上させる検討がされている。ここで、「塗工性」は正極合剤層と正極集電体層との密着性(正極合剤層が正極集電体層から剥離するか否か)や、正極合剤を正極集電体に塗工した際に、正極集電体の露出が発生するか否か(かすれが発生するか否か)等によって評価される。
例えば特許文献1は、粒径、比表面積、炭酸リチウムの含有量及び二次粒子の平均圧壊強度を所定の範囲に制御した、塗工性が良好な正極活物質を開示している。
特許第6587044号公報
正極合剤の塗工性は、正極合剤の粘度の影響を強く受ける。正極合剤の粘度は、正極活物質を構成するリチウム金属複合酸化物の粒子の状態によって変化する。例えば、リチウム金属複合酸化物の粒子の表面積が大きいと、粘度は高くなりやすいことが知られている。また、細孔が多いリチウム金属複合酸化物は、細孔内でバインダーの分解反応が生じやすく、粘度が高くなりやすいことが知られている。
正極合剤を塗工する際に効率的な作業を可能とし、製造されるリチウム二次電池の品質を一定とするため、正極合剤は、調整時に初期粘度が低く、連続塗工時に初期粘度から変化しにくいことが求められる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、調整時に初期粘度が低く、連続塗工時に初期粘度から変化しにくい正極合剤が得られるリチウム金属複合酸化物、及びこれを用いたリチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池を提供することを目的とする。
本発明は以下の[1]~[13]を包含する。
[1]少なくともLiとNiを含み、下記(1)及び下記(2)を満たす、リチウム金属複合酸化物。
(1)窒素ガスの吸着等温線及び脱離等温線測定とBarrett-Joyner-Halenda法により求められる吸着等温線における細孔径分布において、細孔径が2nm以上10nm以下の範囲における細孔容積が0.4×10-3cm/gを超え1.0×10-3cm/g以下である。
(2)A/D50は、0.9×10-3以上3.4×10-3以下である。
(Aは、窒素ガスの吸着等温線及び脱離等温線測定とBarrett-Joyner-Halenda法により求められる脱離等温線における細孔径分布に基づく平均細孔径(nm)であり、D50は、前記リチウム金属複合酸化物の粒度分布測定により得られる累積粒度分布曲線において微小粒子側から50%累積時の粒子径の値(μm)である。)
[2]前記AとD10が下記(3)を満たす、[1]に記載のリチウム金属複合酸化物。
(3)A/D10は6.5×10-3以下である。
(D10は、前記累積粒度分布曲線において微小粒子側から10%累積時の粒子径の値(μm)である。)
[3]前記AとD90が下記(4)を満たす、[1]又は[2]に記載のリチウム金属複合酸化物。
(4)A/D90は1.9×10-3以下である。
(D90は、前記累積粒度分布曲線において微小粒子側から90%累積時の粒子径の値(μm)である。)
[4]下記(5)を満たす、[1]~[3]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物。
(5)前記吸着等温線における細孔径分布において、細孔径が10nmを超え200nm以下の範囲における細孔容積が8.0×10-3cm/g以下である。
[5]BET比表面積は0.5m/g以上1.5m/g以下である、[1]~[4]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物。
[6]前記Aは10nm以上40nm以下である、[1]~[5]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物。
[7]タップ密度は2.5g/cm以上3.1g/cm以下である、[1]~[6]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物。
[8]前記D50は5μm以上20μm以下である、[1]~[7]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物。
[9]下記組成式(I)で表される、[1]~[8]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物。
Li[Li(Ni(1-y-z)M1M21-x]O ・・・(I)
(組成式(I)中、M1は、Co、Mn、及びAlからなる群より選択される1種以上の元素であり、M2は、Fe、Cu、Ti、Mg、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、B、Si、S及びPからなる群より選択される1種以上の元素であり、組成式(I)は、-0.1≦x≦0.2、0<y≦0.7、及び0≦z≦0.2を満たす。)
[10]前記組成式(I)は0<y+z≦0.3を満たす、[9]に記載のリチウム金属複合酸化物。
[11][1]~[10]のいずれか1つに記載のリチウム金属複合酸化物を含有するリチウム二次電池用正極活物質。
[12][11]に記載のリチウム二次電池用正極活物質を含有するリチウム二次電池用正極。
[13][12]に記載のリチウム二次電池用正極を有するリチウム二次電池。
本発明によれば、調整時に初期粘度が低く、連続塗工時に初期粘度から変化しにくい正極合剤が得られるリチウム金属複合酸化物、及びこれを用いたリチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池を提供することができる。
リチウム二次電池の一例を示す概略構成図である。 全固体リチウム二次電池の全体構成を示す模式図である。
本願明細書において、金属複合化合物(Metal Composite Compound)を以下「MCC」と称し、リチウム金属複合酸化物(Lithium Metal composite Oxide)を以下「LiMO」と称し、リチウム二次電池用正極活物質(Cathode Active Material for lithium secondary batteries)を以下「CAM」と称し、Barrett-Joyner-Halenda法を以下「BJH法」と称す。
「Ni」とは、ニッケル金属ではなく、ニッケル原子を指す。「Li」等も同様にリチウム原子を指す。
数値範囲を例えば「1-10μm」又は「1~10μm」と記載した場合、1μmから10μmまでの範囲を意味し、下限値である1μmと上限値である10μmを含む数値範囲を意味する。
[細孔径及び細孔容積の測定方法]
「細孔径」及び「細孔容積」は、窒素ガスの吸着等温線及び脱離等温線測定とBarrett-Joyner-Halenda法により求められる吸着等温線及び脱離等温線における細孔径分布に基づいて求められる。BJH法とは、細孔形状を円柱状と仮定して、毛管凝縮を生じる細孔径と窒素の相対圧の関係式(ケルビン式)をもとに解析を行う手法である。脱離等温線から求められる細孔径分布は、ボトルネック型の細孔に由来する。なお、本願明細書における「細孔径」は、細孔の直径を指す。
窒素ガスの吸着等温線及び脱離等温線測定は、例えば以下のガス吸着法により測定できる。まず、LiMO10gを真空加熱処理装置を用いて、150℃で8時間真空脱気処理する。真空脱気処理後、測定装置を用いて、LiMOの液体窒素温度(77K)における窒素の吸着等温線と窒素の脱離等温線を測定する。
真空加熱処理装置としては、例えばマイクロトラック・ベル株式会社製のBELSORP-vacIIが使用できる。
上記測定装置としては、例えばマイクロトラック・ベル株式会社製BELSORP-miniが使用できる。
吸着等温線におけるLiMOの単位重量あたりの窒素吸着量は、標準状態(STP;Standard Temperature and Pressure)の気体窒素の体積で表されるように算出する。
脱離等温線におけるLiMOの単位重量あたりの窒素脱離量は、標準状態(STP)の気体窒素の体積で表されるように算出する。
吸着等温線及び脱離等温線をBJH法で解析して得られる細孔径分布に基づいて、「細孔径」及び「細孔容積」を求める。
[BET比表面積の測定方法]
「BET比表面積」は、前記吸着等温線において、相対圧力であるp/pが0.4までの窒素吸着量の値を用いて、BET多点法により算出する(単位:m/g)。
[D10、D50及びD90の測定方法]
10、D50及びD90は、レーザー回折散乱法によって測定される値である。
具体的には、LiMOの粉末0.1gを、0.2質量%ヘキサメタりん酸ナトリウム水溶液50mlに投入し、前記粉末を分散させた分散液を得る。
次に、得られた分散液についてレーザー回折散乱粒度分布測定装置(例えば、マルバーン社製、マスターサイザー2000)を用いて、粒度分布を測定し、体積基準の累積粒度分布曲線を得る。
得られた累積粒度分布曲線において、微小粒子側から10%累積時の粒子径の値が10%累積体積粒度(以下、D10と記載することがある)(μm)であり、微小粒子側から50%累積時の粒子径の値が50%累積体積粒度(以下、D50と記載することがある)(μm)であり、微小粒子側から90%累積時の粒子径の値が90%累積体積粒度(以下、D90と記載することがある)(μm)である。
[LiMOの組成分析]
LiMOの組成分析は、LiMOの粉末を塩酸に溶解させた後、ICP発光分光分析装置を用いて測定する。
ICP発光分光分析装置としては、例えば株式会社パーキンエルマー製、Optima7300を使用できる。
[タップ密度の測定方法]
LiMO又はMCCのタップ密度は、JIS R 1628-1997に記載の方法で求めた値を用いる。
[初期粘度及び粘度比の測定方法]
本発明においてLiMOの初期粘度及び粘度比は以下の方法で測定する。
まず、測定対象である正極合剤を調整する。
具体的には、LiMOと導電材(アセチレンブラック)とバインダー(PVdF)とを、LiMO:導電材:バインダー=92:5:3(質量比)の組成、固形分濃度60質量%となる割合で加えて混練することにより、ペースト状の正極合剤を調製する。正極合剤の調製時には、N-メチル2-ピロリドンを有機溶媒として用いる。
この時使用するPVdFは、バインダー単体の固有粘度が3.1dL/gのものを使用する。
初期粘度及び粘度比を測定する場合には、調整から60分間以内の正極合剤を測定対象とする。得られた正極合剤を、粘弾性測定装置(株式会社アントンパール・ジャパン製、製品名:MCR301)を使用し、25℃でのせん断速度0.1s-1における粘度(Pa・s)を測定し、初期粘度X(Pa・s)とする。
初期粘度X(Pa・s)が400Pa・s以下であると、「正極合材の調整時の初期粘度が低い」と評価する。
上記初期粘度Xの測定後の正極合材について、25℃でのせん断速度10s-1における粘度(Pa・s)を測定し、粘度Y(Pa・s)とする。初期粘度X(Pa・s)と粘度Y(Pa・s)との比(初期粘度粘度X/粘度Y)を粘度比とする。
粘度比が40以下であると、「連続塗工時に初期粘度から変化しにくい」と評価する。
<LiMO>
本実施形態のLiMOは、少なくともLiとNiを含み、後述する(1)及び(2)を満たす。
LiMOは、複数の粒子の集合体である。言い換えれば、LiMOは、粉末状である。本実施形態において、複数の粒子の集合体は、二次粒子のみを含んでいてもよく、一次粒子と二次粒子の混合物であってもよい。
本実施形態において、「一次粒子」とは、走査型電子顕微鏡などを用いて5000倍以上20000倍以下の視野にて観察した際に、外観上に粒界が存在しない粒子を意味する。
本実施形態において、「二次粒子」とは、前記一次粒子が凝集している粒子である。即ち、二次粒子は、一次粒子の凝集体である。
本実施形態のLiMOは、下記(1)を満たす。
(1)窒素ガスの吸着等温線及び脱離等温線測定とBJH法により求められる吸着等温線における細孔径分布において、細孔径が2-10nmの範囲における細孔容積が0.4×10-3cm/gを超え1.0×10-3cm/g以下である。
[細孔径及び細孔容積の測定方法]に記載の方法で得られた吸着等温線における細孔径分布から、細孔径が2-10nmの範囲における細孔容積を求めることができる。以降において、細孔径が2-10nmの細孔を「細孔X」と記載する場合がある。なお、細孔径が2nm未満の範囲は検出限界以下であるため、本発明においては、細孔Xの範囲を2-10nmと定義する。
細孔Xの細孔容積は、0.4×10-3cm/gを超え0.9×10-3cm/g以下が好ましく、0.5×10-3cm/g-0.9×10-3cm/gがさらに好ましい。
微細な細孔である細孔Xは力学的に不安定である。このため細孔Xが多いと、正極合剤の調整時や連続塗工時に加わる力によりLiMOの粒子の表面が変化しやすい。例えば、力が加わることによりLiMOの粒子の表面が一部崩壊し、Liが露出することがある。
LiMOを構成するLiが露出する等の変化が起こると、LiMOの粒子の表面はアルカリ性に傾きやすい。アルカリ環境下では、正極合剤に含まれるバインダーの高分子が分解されるため、正極合剤の初期粘度が調整時に高くなりやすく、連続塗工時に初期粘度が変化しやすい。
細孔Xの細孔容積が上記上限値以下であると、崩壊しやすい細孔Xが少ないLiMOであるといえる。このため正極合剤の連続塗工時に、LiMOの粒子の表面が変化しにくく、正極合剤の連続塗工時に初期粘度から変化しにくくなる。
正極合剤を調整する際にはバインダーによりLiMOを含むCAM同士を結着させる必要がある。細孔Xの細孔容積が上記下限値以上であると、本実施形態のLiMOを含むCAMの表面積が増大してバインダーとの接触界面を確保しやすく、CAM同士が結着しやすくなるため、正極合剤の初期粘度が低くなりやすい。
本実施形態のLiMOは、下記(2)を満たす。
(2)A/D50は、0.9×10-3-3.4×10-3である。
(Aは、窒素ガスの吸着等温線及び脱離等温線測定とBJH法により求められる脱離等温線における細孔径分布に基づく平均細孔径(nm)であり、D50は、LiMOの粒度分布測定により得られる累積粒度分布曲線において微小粒子側から50%累積時の粒子径の値(μm)である。)
[細孔径及び細孔容積の測定方法]に記載の方法で得られた脱離等温線における細孔径分布から、平均細孔径であるAを求め、さらに[D10、D50及びD90の測定方法]に記載の方法でD50(μm)を求め、AとD50(μm)との比(A/D50)を算出する。
A/D50の値が大きいと、LiMOの粒子が備える細孔の細孔径が粒子径に対して大きいため、バインダーが細孔に入り込みやすいことを意味する。A/D50の値が小さいとLiMOの粒子が備える細孔の細孔径が粒子径に対して小さいことを意味する。
A/D50は、0.9×10-3-3.0×10-3が好ましく、1.1×10-3-2.5×10-3がより好ましく、1.2×10-3-2.0×10-3がさらに好ましい。
A/D50の値が上記下限値以上であると、正極合剤を調整する際、CAM中のLiMOの粒子の細孔内にバインダーが入り込みやすくなるため、CAMとバインダーとの接触界面を確保しやすい。その結果、CAM同士が結着しやすくなるため、正極合剤の初期粘度が低くなりやすい。
A/D50の値が上記上限値以下であると、正極合剤を調整する際、LiMOの粒子の細孔内で、LiMOを含むCAMとバインダーが過剰に接触せず、バインダーの分解反応が生じにくくなる。その結果、正極合剤の初期粘度を低くすることができ、連続塗工時に初期粘度が変化しにくくなる。
本実施形態のLiMOは、Aが10nm-40nmであることが好ましく、11nm-23nmがより好ましく、12nm-22nmがさらに好ましい。
Aが上記の範囲内であると、バインダーがCAM中のLiMOと過剰に接触せず、バインダーの分解反応が生じにくくなる。その結果、正極合剤の初期粘度を低くすることができ、連続塗工時に初期粘度が変化しにくくなる。
本実施形態のLiMOは、D50が5μm-20μmであることが好ましく、7μm-18μmがより好ましく、9μm-16μmがさらに好ましい。
50が上記の範囲内であるLiMOは、分散不良となりやすい粗大粒子が少なく、かつ正極を製造する際のCAMの充填性を向上させやすい。そして、正極合剤中のCAMの充填性が良好であるため、連続塗工時に初期粘度が変化しにくくなる。
本実施形態のLiMOは、下記(3)を満たすことが好ましい。
(3)A/D10は6.5×10-3以下である。
(D10は、前記累積粒度分布曲線において微小粒子側から10%累積時の粒子径の値(μm)である。)
A/D10の値が大きいと、LiMO中の比較的サイズの小さな粒子に含まれる細孔の細孔径が粒子径に対して大きく、バインダーが細孔に入り込みやすいことを意味し、値が小さいとLiMO中の比較的サイズの小さな粒子に含まれる細孔の細孔径が粒子径に対して小さいことを意味する。
A/D10は、6.0×10-3以下がより好ましく、5.5×10-3以下がさらに好ましく、5.0×10-3以下が特に好ましい。
A/D10の下限値は特に限定されず、例えば、1.0×10-3以上、1.2×10-3以上、1.4×10-3以上、1.5×10-3以上が挙げられる。
A/D10の上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。組み合わせの例を以下に記載する。
A/D10は、1.0×10-3-6.5×10-3、1.2×10-3-6.0×10-3、1.4×10-3-5.5×10-3、1.5×10-3-5.0×10-3である。
A/D10の値が上記下限値以上であると、LiMO中に含まれるサイズが小さな粒子において、適切な大きさの細孔が形成されているため、正極合剤を調整する際、細孔内にバインダーが入り込みやすくなる。そのため、LiMOに含まれるサイズの小さな粒子においても、CAMとバインダーとの接触界面を確保しやすい。その結果、CAM同士が結着しやすくなるため、正極合剤の初期粘度が低くなりやすい。
A/D10の値が上記上限値以下であると、LiMO中に含まれるサイズの小さな粒子の細孔内で、LiMOを含むCAMとバインダーとが過剰に接触せず、バインダーの分解反応が生じにくくなる。その結果、正極合剤の初期粘度が低くなりやすく、連続塗工時に初期粘度が変化しにくくなる。
本実施形態のLiMOは、下記(4)を満たすことが好ましい。
(4)A/D90は、1.9×10-3以下である。
(D90は、前記累積粒度分布曲線において微小粒子側から90%累積時の粒子径の値(μm)である。)
A/D90の値が大きいと、LiMOの粒子の分散性が高く、LiMO中の比較的サイズの大きな粒子に含まれる細孔の細孔径が粒子径に対して大きく、バインダーが細孔に入り込みやすいことを意味し、値が小さいと、LiMO中の比較的サイズの大きな粒子に含まれる細孔の細孔径が粒子径に対して小さいことを意味する。
A/D90は、1.7×10-3以下がより好ましく、1.5×10-3以下がさらに好ましく、1.3×10-3以下が特に好ましい。
A/D90の下限値は特に限定されず、例えば、0.1×10-3以上、0.2×10-3以上、0.4×10-3以上、0.5×10-3以上が挙げられる。
A/D90の上記上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。組み合わせの例を以下に記載する。
A/D90は、0.1×10-3-1.9×10-3、0.2×10-3-1.7×10-3、0.4×10-3-1.5×10-3、0.5×10-3-1.3×10-3である。
A/D90の値が上記下限値以上であると、バインダーとの接触界面を確保しやすく、本実施形態のLiMOを含むCAM同士を接着しやすくなる。
A/D90の値が上記下限値以上であると、LiMOの粒子の凝集が抑制されることで、バインダー内でのLiMOの分散性が上がりやすくなり、かつ、LiMOの細孔内にバインダーが入り込みやすくなるため、LiMOを含むCAMとバインダーの接触界面を確保しやすく、CAM同士が結着しやすくなる。その結果、正極合剤の初期粘度が低くなりやすい。
A/D90の値が上記上限値以下であると、粒子のパッキング性が良好であり、かつ、LiMO中に含まれるサイズの大きな粒子の細孔内で、LiMOを含むCAMとバインダーとが過剰に接触せず、バインダーの分解反応が生じにくくなる。その結果、正極合剤の初期粘度が低くなりやすく、連続塗工時に初期粘度が変化しにくくなる。
本実施形態のLiMOは、下記(5)を満たすことが好ましい。
(5)前記吸着等温線における細孔径分布において、細孔径が10nmを超え200nm以下の範囲における細孔容積が8.0×10-3cm/g以下である。
以降において、LiMOの表面上に存在する細孔径が10nmを超え200nm以下の細孔を「細孔Y」と記載する場合がある。
このようなLiMOは、崩壊しやすい細孔Xが少ないため、正極合剤の調整時や連続塗工時に、LiMOの粒子の表面が変化しにくく、正極合剤の初期粘度を低い範囲に調整しやすく、連続塗工時に初期粘度が変化しにくくなる。
細孔Yの細孔容積は、7.5×10-3cm/g以下が好ましく、7.0×10-3cm/g以下がより好ましく、6.5×10-3cm/g以下がさらに好ましい。
細孔Yの細孔容積の下限値は特に限定されず、1.0×10-3cm/g、1.5×10-3cm/g、2.0×10-3cm/g、3.0×10-3cm/g、3.8×10-3cm/gが挙げられる。
細孔Yの細孔容積の上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。組み合わせの例は、1.0×10-3cm/g-8.0×10-3cm/g、1.5×10-3cm/g-7.5×10-3cm/g、2.0×10-3cm/g-7.0×10-3cm/g、3.0×10-3cm/g-6.5×10-3cm/g、3.8×10-3cm/g-6.5×10-3cm/gである。
本実施形態のLiMOは、BET比表面積が0.5-1.5m/gであることが好ましく、0.6-1.44m/gがより好ましく、0.7-1.40m/gがさらに好ましく、0.8を超え1.40m/g以下が特に好ましい。
LiMOは表面積が大きいほど正極合剤の粘度が高くなることが知られているが、BET比表面積が上記上限値以下であると、正極合剤の粘度が増大しにくい。BET比表面積が上記下限値以上であると、バインダーとの結着界面を確保しやすく、本実施形態のLiMOを含むCAM同士が結着しやすくなる。
本実施形態のLiMOは、タップ密度が2.5g/cm-3.1g/cmであることが好ましく、2.6g/cm-3.0g/cmがより好ましく、2.7g/cm-2.95g/cmがさらに好ましい。
タップ密度が上記の範囲であると、正極を製造する際に本実施形態のLiMOを含むCAMの充填性を向上させやすい。そして、正極合剤中のCAMの充填性が良好であるため、連続塗工時に初期粘度が変化しにくくなる。
本実施形態のLiMOは、少なくともLiとNiと後述の元素M1を含むことが好ましく、後述の元素M2を含んでもよい。LiMOは、下記組成式(I)で表されることが好ましい。
Li[Li(Ni(1-y-z)M1M21-x]O ・・・(I)
(組成式(I)中、M1は、Co、Mn、及びAlからなる群より選択される1種以上の元素であり、M2は、Fe、Cu、Ti、Mg、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、B、Si、S及びPからなる群より選択される1種以上の元素であり、組成式(I)は、-0.1≦x≦0.2、0<y≦0.7及び0≦z≦0.2を満たす。)
サイクル特性に優れるリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)におけるxは、-0.05以上であることがより好ましく、-0.01以上であることがさらに好ましい。また、初回クーロン効率がより高いリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)におけるxは、0.08以下であることが好ましく、0.06以下であることがより好ましい。
xの上限値と下限値は、任意に組み合わせることができる。組み合わせとしては、例えば、xが、0を超え0.2以下、-0.05~0.1、-0.05~0.08、-0.01~0.06等であることが挙げられる。
電池の内部抵抗が低いリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)におけるyは、0.005以上であることがより好ましい。前記組成式(I)におけるyは、0.5以下であることが好ましく、0.4以下であることがより好ましく、0.3以下であることがさらに好ましい。
yの上限値と下限値は、任意に組み合わせることができる。組み合わせとしては、例えば、0を超え0.5以下、0.005~0.4、0.005~0.3等であることが挙げられる。
組成式(I)が、元素M2を含む場合、電池の内部抵抗が低いリチウム二次電池を得る観点から、前記組成式(I)におけるzは、0.005以上であることがより好ましい。前記組成式(I)におけるzは、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましく、0.03以下であることがさらに好ましい。
yの上限値と下限値は、任意に組み合わせることができる。組み合わせとしては、例えば、0.005~0.1、0.005~0.05、0.005~0.03等であることが挙げられる。
y+zは、0を超え0.9以下であり、例えば、0を超え0.5以下、0を超え0.3以下、0.005~0.5、0.01~0.3が挙げられる。組成式(I)は、0<y+z≦0.3を満たすことが好ましい。
サイクル維持率が高いリチウム二次電池を得る観点から、元素M2は、W、B、Nb、及びZrからなる群より選択される1種以上の元素であることが好ましい。
組成式(I)としては、例えば、下記組成式(I’)が挙げられる。
Li[Li(Ni(1-y-z)M1M21-x]O ・・・(I’)
(組成式(I’)中、M1は、Co、Mn、及びAlからなる群より選択される1種以上の元素であり、M2は、W、B、Nb、及びZrからなる群より選択される1種以上の元素であり、組成式(I’)は、-0.05≦x≦0.1、0.005≦y≦0.3、0≦z≦0.2、及び0<y+z≦0.3を満たす。)
LiMOの結晶構造は、層状構造であり、六方晶型の結晶構造又は単斜晶型の結晶構造であることがより好ましい。
六方晶型の結晶構造は、P3、P3、P3、R3、P-3、R-3、P312、P321、P312、P321、P312、P321、R32、P3m1、P31m、P3c1、P31c、R3m、R3c、P-31m、P-31c、P-3m1、P-3c1、R-3m、R-3c、P6、P6、P6、P6、P6、P6、P-6、P6/m、P6/m、P622、P622、P622、P622、P622、P622、P6mm、P6cc、P6cm、P6mc、P-6m2、P-6c2、P-62m、P-62c、P6/mmm、P6/mcc、P6/mcm、及びP6/mmcからなる群から選ばれるいずれか一つの空間群に帰属される。
また、単斜晶型の結晶構造は、P2、P2、C2、Pm、Pc、Cm、Cc、P2/m、P2/m、C2/m、P2/c、P2/c、及びC2/cからなる群から選ばれるいずれか一つの空間群に帰属される。
これらのうち、放電容量が高いリチウム二次電池を得るため、結晶構造は、空間群R-3mに帰属される六方晶型の結晶構造、又はC2/mに帰属される単斜晶型の結晶構造であることが特に好ましい。
LiMOの結晶構造は、粉末X線回折測定装置(例えば、株式会社リガク製UltimaIV)を用いて観察することにより確認できる。
<LiMOの製造方法>
次にLiMOの製造方法について説明する。LiMOの製造方法は、MCCの製造、MCCとリチウム化合物との混合、MCCとリチウム化合物との混合物の焼成、焼成により得られた反応物の解砕を少なくとも含んでいる。
(1)MCCの製造
MCCは、Niと任意の元素M1及び元素M2とを含む化合物であり、以下の式(II)で表される組成比で金属元素を含む金属複合水酸化物、金属複合酸化物、及びこれらの混合物のいずれであってもよい。
Ni:M1:M2=(1-y-z):y:z (II)
(式(II)中、y、z、M1およびM2は、それぞれ前記組成式(I)のy、z、M1およびM2と同様である。)
まず、Niと、任意元素M1とを含む金属複合水酸化物を調製する。金属複合水酸化物の調整時に、任意元素M2を添加してもよい。金属複合水酸化物は、通常公知のバッチ式共沈殿法又は連続式共沈殿法により製造することが可能である。
例えば、NiとCoとAlとを含む金属複合水酸化物を製造する方法としては、JP-A-2002-201028に記載された連続式共沈殿法により、ニッケル塩溶液、コバルト塩溶液、アルミニウム塩溶液及び錯化剤を反応させ、Ni(1-y1-y2)Coy1Aly2(OH)(y1+y2=y)で表される金属複合水酸化物を製造する方法が挙げられる。
ニッケル塩溶液の溶質であるニッケル塩としては、特に限定されないが、例えば硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル及び酢酸ニッケルのうちの少なくとも1種を使用することができる。
コバルト塩溶液の溶質であるコバルト塩としては、例えば硫酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト及び酢酸コバルトのうちの少なくとも1種を使用することができる。
アルミニウム塩溶液の溶質であるアルミニウム塩としては、例えば硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム及び酢酸アルミニウムのうちの少なくとも1種を使用することができる。
なお、Mnを含むMCCを製造する場合、マンガン塩溶液の溶質であるマンガン塩としては、例えば硫酸マンガン、硝酸マンガン及び塩化マンガンのうちの何れか1種又は2種以上を使用することができる。
以上の金属塩は、上記式(II)の組成比に対応する割合で用いられる。また、溶媒として水が使用される。
錯化剤としては、水溶液中で、ニッケルイオン、コバルトイオン及びアルミニウムイオンと錯体を形成可能なものであり、例えばアンモニウムイオン供給体、ヒドラジン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸及びウラシル二酢酸及びグリシンが挙げられる。アンモニウムイオン供給体は、例えば水酸化アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、又は弗化アンモニウム等である。
金属複合水酸化物の製造工程において、金属塩溶液(例えば、ニッケル塩溶液、コバルト塩溶液、アルミニウム塩溶液)及び錯化剤を含む混合液に含まれる錯化剤の量は、例えば金属塩(ニッケル塩、コバルト塩及びアルミニウム塩)のモル数の合計に対するモル比が0より大きく2.0以下である。
錯化剤として、アンモニウムイオン供給体を使用する場合、反応槽内の溶液の総体積に対するアンモニア濃度は、5~14g/Lであることが好ましく、8~13g/Lであることがより好ましく、10~12g/Lであることがさらに好ましい。
共沈殿法に際しては、ニッケル塩溶液、コバルト塩溶液、アルミニウム塩溶液、及び錯化剤を含む混合液のpH値を調整するため、混合液のpHがアルカリ性から中性になる前に、混合液にアルカリ金属水酸化物を添加する。アルカリ金属水酸化物とは、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである。
なお、本明細書におけるpHの値は、混合液の温度が40℃の時に測定された値であると定義する。混合液のpHは、反応槽からサンプリングした混合液の温度が、40℃になったときに測定する。サンプリングした混合液が40℃未満である場合には、混合液を40℃まで加温してpHを測定する。サンプリングした混合液が40℃を超える場合には、混合液を40℃まで冷却してpHを測定する。
反応に際しては、反応槽の温度を、例えば20-80℃、好ましくは30-70℃の範囲内で制御する。
また、反応に際しては、反応槽内のpH値を、例えば混合液の温度が40℃の時に、9-13、好ましくは10-12.5の範囲内で設定し、pHは±0.5以内で制御する。
連続式共沈殿法で用いる反応槽は、形成された反応沈殿物を分離するためオーバーフローさせるタイプの反応槽を用いることができる。
バッチ式共沈殿法により金属複合水酸化物を製造する場合、反応槽としては、オーバーフローパイプを備えない反応槽、及びオーバーフローパイプに連結された濃縮槽を備え、オーバーフローした反応沈殿物を濃縮槽で濃縮し、再び反応槽へ循環させる機構を有する装置等が挙げられる。
反応槽内の撹拌機の撹拌速度は、800~1000rpmが好ましい。
各種気体、例えば、窒素、アルゴン又は二酸化炭素等の不活性ガス、空気又は酸素等の酸化性ガス、又はそれらの混合ガスを反応槽内に供給してもよい。
以上の反応後、中和された反応沈殿物を単離する。単離には、例えば反応沈殿物を含むスラリー(つまり、共沈物スラリー)を遠心分離や吸引ろ過などで脱水する方法が用いられる。
単離された反応沈殿物を洗浄、脱水、乾燥及び篩別し、金属複合水酸化物が得られる。
反応沈殿物の洗浄は、水又はアルカリ性洗浄液で行うことが好ましい。本実施形態においては、アルカリ性洗浄液で洗浄することが好ましく、水酸化ナトリウム水溶液で洗浄することがより好ましい。また、硫黄元素を含有する洗浄液を用いて洗浄してもよい。硫黄元素を含有する洗浄液としては、カリウムやナトリウムの硫酸塩水溶液等が挙げられる。
以上の工程により、MCCである金属複合水酸化物を製造することができる。金属複合水酸化物のタップ密度は、1.4g/cm-2.0g/cmであることが好ましく、1.5-1.9g/cmであることがさらに好ましい。タップ密度が上記範囲である金属複合水酸化物は細孔が少ないため、(1)を満たすLiMOを製造できる。また、タップ密度が上記範囲であるMCCの各粒子はリチウム化合物と均一に反応しやすく、LiMOのBET比表面積を小さくすることができる。
反応槽のアンモニア濃度、反応槽内の撹拌機の撹拌速度を適宜調整することにより、MCCのタップ密度を上記の範囲に制御できる。
反応槽に供給する金属塩の濃度、反応温度、反応pH、反応槽のアンモニア濃度、反応槽内の撹拌機の撹拌速度等を適宜制御することにより、最終的に得られるLiMOのBET比表面積や、細孔X及び細孔Yの細孔容積を本実施形態の範囲に制御することができる。
MCCが金属複合酸化物である場合、金属複合水酸化物を加熱して金属複合酸化物を製造する。具体的には、金属複合水酸化物を400-700℃で加熱する。必要ならば複数の加熱工程を実施してもよい。本明細書における加熱温度とは、加熱装置の設定温度を意味する。複数の加熱工程を有する場合、各加熱工程のうち、最高保持温度で加熱した際の温度を意味する。
加熱温度は、400-700℃であることが好ましく、450-680℃であることがより好ましい。加熱温度が400-700℃であると、金属複合水酸化物が十分に酸化され、かつ適切な範囲のBET比表面積を有する金属複合酸化物が得られやすい。
前記加熱温度で保持する時間は、0.1-20時間が挙げられ、0.5-10時間が好ましい。前記加熱温度までの昇温速度は、例えば、50-400℃/時間である。また、加熱雰囲気としては、大気、酸素、窒素、アルゴン又はこれらの混合ガスを用いることができる。
加熱装置内は、適度な酸素含有雰囲気であってもよい。酸素含有雰囲気は、不活性ガスと酸化性ガスとの混合ガス雰囲気であってもよく、不活性ガス雰囲気下で酸化剤を存在させた状態であってもよい。加熱装置内が適度な酸素含有雰囲気であることにより、金属複合水酸化物に含まれる遷移金属が適度に酸化され、金属複合酸化物の形態を制御しやすくなる。
酸素含有雰囲気中の酸素や酸化剤は、遷移金属を酸化させるために十分な酸素原子が存在すればよい。
酸素含有雰囲気が不活性ガスと酸化性ガスとの混合ガス雰囲気である場合、加熱装置内の雰囲気の制御は、加熱装置内に酸化性ガスを通気させる又は混合液に酸化性ガスをバブリングするなどの方法で行うことができる。
酸化剤として、過酸化水素などの過酸化物、過マンガン酸塩などの過酸化物塩、過塩素酸塩、次亜塩素酸塩、硝酸、ハロゲン又はオゾンなどを使用できる。
(2)MCCとリチウム化合物との混合
本工程は、リチウム化合物とMCCとを混合し、混合物を得る工程である。
前記工程(1)で得られるMCCを乾燥させた後、リチウム化合物と混合する。MCCの乾燥後に、適宜分級を行ってもよい。
本実施形態に用いるリチウム化合物は、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、水酸化リチウム、酸化リチウム、塩化リチウム及びフッ化リチウムの少なくとも何れか一つを使用することができる。これらの中では、水酸化リチウム及び炭酸リチウムのいずれか一方又はその混合物が好ましい。
リチウム化合物とMCCとを、最終目的物の組成比を勘案して混合し、混合物を得る。
具体的には、リチウム化合物とMCCは、上記組成式(I)の組成比に対応する割合で混合する。MCCに含まれる酸素元素以外の元素の合計量1に対するLiの量(モル比)は、1.00以上が好ましく、1.02以上がより好ましく、1.05以上がさらに好ましい。
(3)混合物の焼成
MCCとリチウム化合物との混合物は、焼成され、焼成物が形成される。
焼成は、仮焼成及び本焼成を備えることが好ましい。本実施形態において仮焼成とは、後述の本焼成における焼成温度(後述の焼成工程が複数の焼成段階を有する場合は、最も低い温度で実施される焼成段階における焼成温度)よりも低い温度で焼成することである。仮焼成時の焼成温度は、例えば400℃以上700℃未満の範囲が挙げられる。仮焼成は、複数回行ってもよい。
仮焼成又は本焼成は、連続焼成炉又は流動式焼成炉の何れを用いて行ってもよい。連続焼成炉としては、トンネル炉又はローラーハースキルンが挙げられる。流動式焼成炉としては、ロータリーキルンを用いてもよい。
ただし、仮焼成又は本焼成のいずれか一方は、焼成装置として流動式焼成炉を用いる。本実施形態においては、仮焼成は流動式焼成炉を使用して実施することが好ましい。
流動式焼成炉においては、被焼成物(本実施形態においては、MCCとリチウム化合物との混合物、又はMCCとリチウム化合物との反応物)が撹拌されながら焼成される。そのため、MCCの各粒子と酸素が均一に接触してMCCの各粒子とリチウム化合物との反応が均一に進む。また、流動焼成時にLiMOの二次粒子同士が摩耗することにより、二次粒子表面の平滑化が進むため、細孔Xが形成されにくい。その結果、上記(1)及び(2)を満たすLiMOが得られやすくなる。
流動式焼成炉の粉体流動速度は、20-50m/時間の範囲に制御することが好ましい。粉体流動速度を適宜制御することにより、最終的に得られるLiMOの細孔Xの細孔容積、A、A/D50、A/D10、A/D90を本実施形態の範囲に制御することができる。
仮焼成の温度は、例えば400℃以上700℃未満であることが好ましく、500-695℃であることがより好ましく、600-690℃であることがさらに好ましい。焼成温度が400℃以上であると、MCCとリチウム化合物との反応が促進される。
本明細書における焼成温度とは、焼成炉内雰囲気の温度を意味し、かつ焼成工程での保持温度の最高温度(以下、最高保持温度と呼ぶことがある)である。複数の焼成段階を有する焼成工程の場合、焼成温度とは、各焼成段階のうち、最高保持温度で加熱した焼成段階の温度を意味する。
仮焼成における保持時間は、0.5-8時間が好ましく、0.6-4時間がより好ましく、0.7-3時間が特に好ましい。仮焼成における保持時間が0.5時間以上であると、MCCとリチウム化合物との反応を十分に高められ、細孔Xが形成されにくくなる。その結果、上記(1)を満たすLiMOが得られやすくなる。焼成における保持時間が8時間以下であると、リチウムイオンの揮発が生じ難く、サイクル特性に優れるリチウム二次電池を得ることができる。
仮焼成の焼成雰囲気は、大気、酸素、窒素、アルゴンまたはこれらの混合ガスを用いることができる。
仮焼成により得られた仮焼成物は、本焼成される。
本焼成の焼成雰囲気として、所望の組成に応じて大気、酸素、窒素、アルゴン又はこれらの混合ガス等が用いられる。
本焼成の焼成温度は、700℃以上950℃以下が好ましく、720℃以上900℃以下がより好ましい。本焼成の焼成時間は例えば3時間以上10時間以下とすればよい。本焼成の焼成温度を適宜制御することにより、最終的に得られるLiMOのD50を本実施形態の範囲に制御することができる。
本焼成において、最高保持温度に達する加熱工程の昇温速度は115℃/時間以上が好ましく、120℃/時間以上がより好ましく、125℃/時間以上が特に好ましい。
以上のようにMCCとリチウム化合物との混合物を焼成することにより、焼成物が得られる。
(4)洗浄工程
焼成工程後、焼成物を洗浄して残留する未反応のリチウム化合物を除去してもよい。洗浄には、純水やアルカリ性洗浄液等の洗浄液を用いることができる。アルカリ性洗浄液としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸アンモニウムからなる群より選ばれる1種以上の無水物並びにその水和物の水溶液を挙げることができる。また、アルカリ性洗浄液として、アンモニア水を使用することもできる。
洗浄液の温度は、15℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましく、8℃以下がさらに好ましい。洗浄液が凍結しない範囲で洗浄液の温度を上記範囲に制御することで、洗浄時に焼成物の結晶構造中から洗浄液中へのリチウムイオンの過度な溶出が抑制できる。
洗浄液と焼成物とを接触させる方法としては、各洗浄液の中に、焼成物を投入して撹拌する方法が挙げられる。また、各洗浄液をシャワー水として、焼成物にかける方法でもよい。さらに、洗浄液中に、焼成物を投入して撹拌した後、各洗浄液から焼成物を分離し、次いで、各洗浄液をシャワー水として、分離後の焼成物にかける方法でもよい。
洗浄において、洗浄液と焼成物を適正な時間の範囲で接触させることが好ましい。洗浄における「適正な時間」とは、焼成物の表面に残留する未反応のリチウム化合物を除去しつつ、焼成物の各粒子を分散させる程度の時間を指す。洗浄時間は、焼成物の凝集状態に応じて調整することが好ましい。洗浄時間は、例えば5分間-1時間の範囲が特に好ましい。
洗浄液と焼成物との混合物(以下、スラリーと記載することがある)に対する焼成物の割合は、10-60質量%であることが好ましく、20-50質量%であることがより好ましく、30質量%を超え50質量%以下であることがさらに好ましい。焼成物の割合が10-60質量%であると、未反応のリチウム化合物を除去することができる。
焼成物の洗浄後、必要に応じて脱水した焼成物を熱処理することが好ましい。焼成物を熱処理する温度や方法は特に限定されないが、充電容量の低下を防止できる観点から、100℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましい。また、上限温度に特に制限はないが、焼成工程で得られた結晶子径分布に影響を与えない範囲で、700℃以下とすることが好ましく、600℃以下であることがより好ましく、400℃以下であることがさらに好ましい。
リチウムの揮発量は、熱処理温度により制御することができる。
熱処理温度の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、熱処理温度は、100-700℃であることが好ましく、130-600℃であることがより好ましく、150-400℃であることがさらに好ましい。
熱処理中の雰囲気は、酸素雰囲気、不活性雰囲気、減圧雰囲気又は真空雰囲気が挙げられる。洗浄後の熱処理を上記雰囲気で行うことで、熱処理中に焼成物と雰囲気中の水分又は二酸化炭素との反応が抑制され、不純物の少ない焼成物が得られる。
(5)焼成物の解砕
焼成により得られた焼成物は、上述の洗浄後、適正な外力を加えて粉砕し、粒子の分散状態を調整することにより、上記(2)を本実施形態の範囲内に制御できる。
「適正な外力」とは、焼成物の粒子を破壊することなく、凝集状態を分散させる程度の外力を指す。本実施形態においては、上記粉砕の際、粉砕機として磨砕機を用いることが好ましく、石臼式磨砕機であるマスコロイダーが特に好ましい。石臼式磨砕機を用いる場合、上臼と下臼の間隙は、金属複合水酸化物の凝集状態に応じて調整することが好ましい。
上臼と下臼の間隙は、例えば、10μm以上200μm以下の範囲が好ましい。石臼式磨砕機の回転数としては、500rpm以上2000rpm以下が好ましい。
例えば解砕後のD50が5μm以上20μm以下となる程度に解砕すると、凹凸がある一次粒子の凝集により形成されている細孔Xを低減することができる。
なお、解砕手段としてピンミルを用い、且つ15000rpm以上の回転数で解砕を強くしすぎると、二次粒子の崩壊が生じ、細孔Xが生じやすくなるため好ましくない。ピンミルの回転数を適宜制御することにより、最終的に得られるLiMOのタップ密度を本実施形態の範囲に制御することができる。
上述の通り本実施形態の製造方法について説明したが、本発明はこの製造方法により製造されるLiMOに限定されない。上述の(1)及び(2)を満たすLiMOが得られるような製造方法であれば、何れの製造方法も本発明に適用することができる。
<CAM>
本実施形態のCAMは、上述の方法で製造されたLiMOを含有する。本実施形態のCAMにおいて、CAMの総質量(100質量%)に対するLiMOの含有割合は、70-99質量%が好ましく、80-98質量%がより好ましい。
本実施形態において、CAMの総質量に対するLiMOの含有割合は、CAMを、SEM(例えば日本電子株式会社製JSM-5510)を用いて、加速電圧が20kVの電子線を照射してSEM観察を行うことにより求める。SEM写真の倍率は、SEM写真に対象となるCAMの粒子が200-400個存在するよう拡大倍率を調整する。一例として、拡大倍率は、1000-30000倍でもよい。
<リチウム二次電池>
本実施形態のLiMOをCAMとして用いる場合に好適なリチウム二次電池用正極について説明する。以下、リチウム二次電池用正極を正極と称することがある。
さらに、正極の用途として好適なリチウム二次電池について説明する。
本実施形態のLiMOをCAMとして用いる場合の好適なリチウム二次電池の一例は、正極及び負極、正極と負極との間に挟持されるセパレータ、正極と負極との間に配置される電解液を有する。
図1は、リチウム二次電池の一例を示す模式図である。例えば円筒型のリチウム二次電池10は、次のようにして製造する。
まず、図1の部分拡大図に示すように、帯状を呈する一対のセパレータ1、一端に正極リード21を有する帯状の正極2、及び一端に負極リード31を有する帯状の負極3を、セパレータ1、正極2、セパレータ1、負極3の順に積層し、巻回することにより電極群4とする。
正極2は、一例として、CAMを含む正極活物質層2aと、正極活物質層2aが一面に形成された正極集電体2bとを有する。このような正極2は、まずCAM、導電材及びバインダーを含む正極合剤を調製し、正極合剤を正極集電体2bの一面に担持させて正極活物質層2aを形成することで製造できる。
負極3は、一例として、不図示の負極活物質を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなる電極、及び負極活物質単独からなる電極を挙げることができ、正極2と同様の方法で製造できる。
次いで、電池缶5に電極群4及び不図示のインシュレーターを収容した後、缶底を封止し、電極群4に電解液6を含浸させ、正極2と負極3との間に電解質を配置する。さらに、電池缶5の上部をトップインシュレーター7及び封口体8で封止することで、リチウム二次電池10を製造することができる。
電極群4の形状としては、例えば、電極群4を巻回の軸に対して垂直方向に切断したときの断面形状が、円、楕円、長方形又は角を丸めた長方形となるような柱状の形状を挙げることができる。
また、このような電極群4を有するリチウム二次電池の形状としては、国際電気標準会議(IEC)が定めた電池に対する規格であるIEC60086、又はJIS C 8500で定められる形状を採用することができる。例えば、円筒型又は角型などの形状を挙げることができる。
さらに、リチウム二次電池は、上記巻回型の構成に限らず、正極、セパレータ、負極、セパレータの積層構造を繰り返し重ねた積層型の構成であってもよい。積層型のリチウム二次電池としては、いわゆるコイン型電池、ボタン型電池、又はペーパー型(又はシート型)電池を例示することができる。
リチウム二次電池を構成する正極、セパレータ、負極及び電解液については、例えば、WO2022/113904A1の[0113]~[0140]に記載の構成、材料及び製造方法を用いることが出来る。
<全固体リチウム二次電池>
本実施形態のLiMOは、全固体リチウム二次電池のCAMとして用いることができる。
図2は、全固体リチウム二次電池の一例を示す模式図である。図2に示す全固体リチウム二次電池1000は、正極110と、負極120と、固体電解質層130とを有する積層体100と、積層体100を収容する外装体200と、を有する。また、全固体リチウム二次電池1000は、集電体の両側にCAMと負極活物質とを配置したバイポーラ構造であってもよい。バイポーラ構造の具体例として、例えば、JP-A-2004-95400に記載される構造が挙げられる。
正極110は、正極活物質層111と正極集電体112とを有している。正極活物質層111は、上述したCAM及び固体電解質を含む。また、正極活物質層111は、導電材及びバインダーを含んでいてもよい。
負極120は、負極活物質層121と負極集電体122とを有している。負極活物質層121は、負極活物質を含む。また、負極活物質層121は、固体電解質及び導電材を含んでいてもよい。
積層体100は、正極集電体112に接続される外部端子113と、負極集電体122に接続される外部端子123と、を有していてもよい。その他、全固体リチウム二次電池1000は、正極110と負極120との間にセパレータを有していてもよい。
全固体リチウム二次電池1000は、さらに積層体100と外装体200とを絶縁する不図示のインシュレーター及び外装体200の開口部200aを封止する不図示の封止体を有する。
外装体200は、アルミニウム、ステンレス鋼又はニッケルメッキ鋼などの耐食性の高い金属材料を成形した容器を用いることができる。また、外装体200として、少なくとも一方の面に耐食加工を施したラミネートフィルムを袋状に加工した容器を用いることもできる。
全固体リチウム二次電池1000の形状としては、例えば、コイン型、ボタン型、ペーパー型(またはシート型)、円筒型、角型、又はラミネート型(パウチ型)などの形状を挙げることができる。
全固体リチウム二次電池1000は、一例として積層体100を1つ有する形態が図示されているが、本実施形態はこれに限らない。全固体リチウム二次電池1000は、積層体100を単位セルとし、外装体200の内部に複数の単位セル(積層体100)を封じた構成であってもよい。
全固体リチウム二次電池については、例えば、WO2022/113904A1の[0151]~[0181]に記載の構成、材料及び製造方法を用いることができる。
本発明は、以下の態様を有する。
[14]少なくともLiとNiを含み、下記(1)及び下記(2)を満たす、CAM。
(1)窒素ガスの吸着等温線及び脱離等温線測定とBarrett-Joyner-Halenda法により求められる吸着等温線における細孔径分布において、細孔Xの細孔容積が0.5×10-3cm/g-0.9×10-3cm/gである。
(2)A/D50は、1.2×10-3-2.0×10-3である。
[15]前記AとD10が下記(3)を満たす、[14]に記載のCAM。
(3)A/D10は、1.5×10-3-5.0×10-3である。
[16]前記AとD90が下記(4)を満たす、[14]又は[15]に記載のCAM。
(4)A/D90は、0.5×10-3-1.3×10-3である。
[17]下記(5)を満たす、[14]~[16]のいずれか1つに記載のCAM。
(5)前記吸着等温線における細孔径分布において、細孔Yの細孔容積が1.0×10-3cm/g-8.0×10-3cm/gである。
[18]BET比表面積が0.7-1.40m/gである、[14]~[17]のいずれか1つに記載のCAM。
[19]前記Aが11nm-23nmである、[14]~[18]のいずれか1つに記載のCAM。
[20]タップ密度が2.7g/cm-2.95g/cmである、[14]~[19]のいずれか1つに記載のCAM。
[21]前記D50が9μm-16μmである、[14]~[20]のいずれか1つに記載のCAM。
[22]前記組成式(I)で表される、[14]~[21]のいずれか1つに記載のCAM。
[23]前記組成式(I)が0<y+z≦0.3を満たす、[22]に記載のCAM。
[24]細孔Yの細孔容積が3.0×10-3cm/g-6.5×10-3cm/gである[14]~[23]のいずれか1つに記載のCAM。
[25]BET比表面積が0.8を超え1.40m/g以下である、[14]~[24]のいずれか1つに記載のCAM。
[26][14]~[25]の何れか1つに記載のCAMを含有するリチウム二次電池用正極。
[27][26]に記載のリチウム二次電池用正極を有するリチウム二次電池。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
<組成分析>
後述の方法で製造されるLiMOの組成分析は、上述の[LiMOの組成分析]に記載の方法により行った。
<細孔径及び細孔容積>
後述の方法で製造されるLiMOの、細孔Xの細孔容積(cm/g)、平均細孔径A(nm)及び細孔Yの細孔容積(cm/g)値は、上述の[窒素ガスの吸着等温線及び脱離等温線測定]に記載の方法より解析して求めた。
<BET比表面積の測定>
後述の方法で製造されるLiMOのBET比表面積の測定は、上述の[BET比表面積の測定方法]の測定方法により測定した。
<D10、D50及びD90の測定方法>
後述の方法で製造されるLiMOのD10、D50及びD90は、上述の[D10、D50及びD90の測定方法]の測定方法により測定し、得られた値及び平均細孔径AからA/D50、A/D10、A/D90を算出した。
<タップ密度の測定方法>
後述の方法で製造されるMCC及びLiMOのタップ密度は、上述の[タップ密度の測定方法]に記載の方法により測定した。
<初期粘度及び粘度比の測定方法>
後述の方法で製造されるLiMOを用いた正極合剤の初期粘度及び粘度比は、上述の[初期粘度及び粘度比の測定方法]に記載の方法により測定した。
(実施例1)
攪拌器及びオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を70℃に保持した。
硫酸ニッケル水溶液と硫酸コバルト水溶液と硫酸アルミニウム水溶液とを、NiとCoとAlとのモル比が0.88:0.09:0.03となる割合で混合して、混合原料液を調製した。
次に、反応槽内に、800rpmで攪拌しながら、この混合原料溶液と硫酸アンモニウム水溶液を、反応槽のNH濃度が12g/Lとなる割合で連続的に添加した。800rpmで攪拌しながら、反応槽内のpHが11.6(測定温度:40℃)となるよう水酸化ナトリウム水溶液を適時滴下し、反応沈殿物1を得た。
反応沈殿物1を洗浄した後、脱水、乾燥及び篩別し、Ni、Co及びAlを含む金属複合水酸化物1が得られた。金属複合水酸化物1のタップ密度は、1.51g/cmであった。
金属複合水酸化物1を大気雰囲気中650℃で5時間保持して加熱し、室温まで冷却して金属複合酸化物であるMCC(1)を得た。
MCC(1)に含まれるNi、Co及びAlの合計量1に対するLiの量(モル比)が1.02となる割合で水酸化リチウムを秤量した。MCC1と水酸化リチウムを混合して混合物1を得た。
この混合物1をロータリーキルン(ノリタケカンパニーリミテド社製、商品名:デスクトップロータリーキルン)の炉心管内に投入し、粉体流動速度33m/時間、炉心管のヒーター加熱部の設定温度を690℃、保持時間を2時間とする条件で加熱し、MCC(1)と水酸化リチウムとの反応物1を得た。
得られた反応物1をローラーハースキルン(ノリタケカンパニーリミテド社製、商品名:焼成式ローラーハースキルン)の炉内に投入し、ヒーター加熱部の設定温度を740℃、保持時間を5時間とする条件で加熱し、焼成物1を得た。
焼成物1と液温を5℃に調整した純水とを、全体量に対して焼成物1の重量の割合が50質量%になる割合で混合し作製したスラリーを20分間撹拌させて洗浄した後、脱水し、窒素雰囲気において210℃で10時間熱処理し、脱水後に残留する水分を乾燥した。
その後、マスコロイダー(増幸産業株式会社製、商品名:スーパーマスコロイダー)を用い、間隙100μm、回転数1200rpmの条件で解砕した。さらにピンミル(ホソカワミクロン株式会社製、商品名:コロプレックス160z)を用い、供給速度8kg/hr、回転数8500rpmの条件で解砕し、LiMO(1)を得た。
LiMO(1)は、組成式(I)において、x=-0.006、y=0.125、z=0であり、元素M1はCo、Alであった。
LiMO(1)の細孔Xの細孔容積(cm/g)、A/D50、A/D10、A/D90、細孔Yの細孔容積(cm/g)、BET比表面積(m/g)、平均細孔径A(nm)、タップ密度(g/cm)、及びD50(μm)を表1に記載する。以降の実施例及び比較例についても同様に記載する。
LiMO(1)を使用した正極合剤の初期粘度及び粘度比を表1に記載する。以降の実施例及び比較例についても同様に記載する。
(実施例2)
攪拌器及びオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を70℃に保持した。
硫酸ニッケル水溶液と硫酸コバルト水溶液と硫酸アルミニウム水溶液とを、NiとCoとAlとのモル比が0.88:0.09:0.03となる割合で混合して、混合原料液を調製した。
次に、反応槽内に、800rpmで攪拌しながら、この混合原料溶液と硫酸アンモニウム水溶液を、反応槽のNH濃度が10g/Lとなる割合で連続的に添加した。800rpmで攪拌しながら、反応槽内のpHが11.6(測定温度:40℃)となるよう水酸化ナトリウム水溶液を適時滴下し、反応沈殿物2を得た。
反応沈殿物2を洗浄した後、脱水、乾燥及び篩別し、Ni、Co及びAlを含む金属複合水酸化物2が得られた。金属複合水酸化物2のタップ密度は、1.73g/cmであった。
金属複合水酸化物2を大気雰囲気中650℃で5時間保持して加熱し、室温まで冷却して金属複合酸化物であるMCC(2)を得た。
MCC(2)に含まれるNi、Co及びAlの合計量1に対するLiの量(モル比)が1.02となる割合で水酸化リチウムを秤量した。MCC(2)と水酸化リチウムを混合して混合物2を得た。
この混合物2をロータリーキルン(ノリタケカンパニーリミテド社製、商品名:デスクトップロータリーキルン)の炉心管内に投入し、粉体流動速度33m/時間、炉心管のヒーター加熱部の設定温度を680℃、保持時間を0.8時間とする条件で加熱し、MCC(2)と水酸化リチウムとの反応物2を得た。
得られた反応物2をローラーハースキルン(ノリタケカンパニーリミテド社製、商品名:焼成式ローラーハースキルン)の炉内に投入し、ヒーター加熱部の設定温度を740℃、保持時間を5時間として加熱し、焼成物2を得た。
焼成物2と液温を5℃に調整した純水とを、全体量に対して焼成物2の重量の割合が40質量%になる割合で混合し作製したスラリーを20分間撹拌させて洗浄した後、脱水し、窒素雰囲気において250℃で10時間熱処理し、脱水後に残留する水分を乾燥した。
その後、マスコロイダー(増幸産業株式会社製、商品名:スーパーマスコロイダー)を用い、間隙100μm、回転数1200rpmの条件で解砕し、LiMO(2)を得た。
LiMO(2)は、組成式(I)において、x=-0.001、y=0.130、z=0であり、元素M1はCo、Alであった。
(実施例3)
実施例2で製造したMCC(2)に含まれるNi、Co及びAlの合計量1に対するLiの量(モル比)が1.10となる割合で水酸化リチウムを秤量した。MCC2と水酸化リチウムを混合して混合物3を得た。
この混合物3をロータリーキルン(ノリタケカンパニーリミテド社製、商品名:デスクトップロータリーキルン)の炉心管内に投入し、粉体流動速度33m/時間、炉心管のヒーター加熱部の設定温度を680℃、保持時間を0.8時間とする条件で加熱し、金属複合酸化物3と水酸化リチウムとの反応物3を得た。
得られた反応物3をローラーハースキルン(ノリタケカンパニーリミテド社製、製、商品名:焼成式ローラーハースキルン)の炉内に投入し、ヒーター加熱部の設定温度を740℃、保持時間を5時間として加熱し、焼成物3を得た。
焼成物3と液温を5℃に調整した純水とを、全体量に対して焼成物3の重量の割合が40質量%になる割合で混合し作製したスラリーを20分間撹拌させて洗浄した後、脱水し、窒素雰囲気において250℃で10時間熱処理し、脱水後に残留する水分を乾燥した。
その後、マスコロイダー(増幸産業株式会社製、商品名:スーパーマスコロイダー)を用い、間隙100μm、回転数1200rpmの条件で解砕し、LiMO(3)を得た。
LiMO(3)は、組成式(I)において、x=0.009、y=0.112、z=0であり、元素M1はCo、Alであった。
(実施例4)
実施例2で製造したMCC(2)に含まれるNi、Co及びAlの合計量1に対するLiの量(モル比)が1.10となる割合で水酸化リチウムを秤量した。MCC2と水酸化リチウムを混合して混合物4を得た。
この混合物4をロータリーキルン(ノリタケカンパニーリミテド社製、商品名:デスクトップロータリーキルン)の炉心管内に投入し、粉体流動速度33m/時間、炉心管のヒーター加熱部の設定温度を680℃、保持時間を0.8時間とする条件で加熱し、金属複合酸化物4と水酸化リチウムとの反応物4を得た。
得られた反応物4をローラーハースキルン(ノリタケカンパニーリミテド社製、商品名:焼成式ローラーハースキルン)の炉内に投入し、ヒーター加熱部の設定温度を740℃、保持時間を5時間として加熱し、焼成物4を得た。
焼成物4と液温を5℃に調整した純水とを、全体量に対して焼成物4の重量の割合が40質量%になる割合で混合し作製したスラリーを20分間撹拌させて洗浄した後、脱水し、窒素雰囲気において250℃で10時間熱処理し、脱水後に残留する水分を乾燥した。
その後、マスコロイダー(増幸産業株式会社製、商品名:スーパーマスコロイダー)を用い、間隙100μm、回転数1200rpmの条件で解砕し、LiMO(4)を得た。
LiMO(4)は、組成式(I)において、x=0.020、y=0.102、z=0であり、元素M1はCo、Alであった。
(比較例1)
攪拌器及びオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を50℃に保持した。
硫酸ニッケル水溶液と硫酸コバルト水溶液と硫酸アルミニウム水溶液とを、NiとCoとAlとのモル比が0.88:0.09:0.03となる割合で混合して、混合原料液を調製した。
次に、反応槽内に、800rpmで攪拌しながら、この混合原料溶液と硫酸アンモニウム水溶液を、反応槽のNH濃度が8g/Lとなる割合で連続的に添加した。800rpmで攪拌しながら反応槽内のpHが11.6(測定温度:40℃)となるよう水酸化ナトリウム水溶液を適時滴下し、反応沈殿物11を得た。
反応沈殿物11を洗浄した後、脱水、乾燥及び篩別し、Ni、Co及びAlを含む金属複合水酸化物11が得られた。金属複合水酸化物11のタップ密度は、1.72g/cmであった。
金属複合水酸化物11を大気雰囲気中650℃で5時間保持して加熱し、室温まで冷却して金属複合酸化物であるMCC(11)を得た。
MCC(11)に含まれるNi、Co及びAlの合計量1に対するLiの量(モル比)が1.10となる割合で水酸化リチウムを秤量した。MCC(11)と水酸化リチウムを混合して混合物11を得た。
この混合物11をロータリーキルン(ノリタケカンパニーリミテド社製、商品名:デスクトップロータリーキルン)の炉心管内に投入し、粉体流動速度14.5m/時間、炉心管のヒーター加熱部の設定温度を680℃、保持時間を7.8時間とする条件で加熱し、MCC(11)と水酸化リチウムとの反応物11を得た。
得られた反応物11をローラーハースキルン(ノリタケカンパニーリミテド社製、商品名:焼成式ローラーハースキルン)の炉内に投入し、ヒーター加熱部の設定温度を740℃、保持時間を5時間として加熱し、焼成物11を得た。
焼成物11と液温を5℃に調整した純水とを、全体量に対して焼成物11の重量の割合が40質量%になる割合で混合し作製したスラリーを20分間撹拌させて洗浄した後、脱水し、窒素雰囲気において250℃で10時間熱処理し、脱水後に残留する水分を乾燥した。
その後、マスコロイダー(増幸産業株式会社製、商品名:スーパーマスコロイダー)を用い、間隙100μm、回転数1200rpmの条件で解砕し、LiMO(11)を得た。
LiMO(11)は、組成式(I)において、x=-0.014、y=0.132、z=0であり、元素M1はCo、Alであった。
(比較例2)
攪拌器及びオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を50℃に保持した。
硫酸ニッケル水溶液と硫酸コバルト水溶液と硫酸アルミニウム水溶液とを、NiとCoとMnとのモル比が0.55:0.21:0.24となる割合で混合して、混合原料液を調製した。
次に、反応槽内に、750rpmで攪拌しながら、この混合原料溶液と硫酸アンモニウム水溶液を、反応槽のNH濃度が3g/Lとなる割合で連続的に添加した。750rpmで攪拌しながら、反応槽内のpHが11.3(測定温度:40℃)となるよう水酸化ナトリウム水溶液を適時滴下し、反応沈殿物12を得た。
反応沈殿物12を洗浄した後、脱水、乾燥及び篩別し、Ni、Co及びMnを含む金属複合水酸化物であるMCC(12)が得られた。MCC(12)のタップ密度は、1.38g/cmであった。
MCC12に含まれるNi、Co及びMnの合計量1に対するLiの量(モル比)が1.05となる割合で水酸化リチウムを秤量した。MCC(12)と水酸化リチウムを混合して混合物12を得た。
この混合物12をローラーハースキルン(ノリタケカンパニーリミテド社製、製、商品名:焼成式ローラーハースキルン)の炉内に投入し、ヒーター加熱部の設定温度を650℃、保持時間を5時間とする条件で加熱し、MCC(12)と水酸化リチウムとの反応物12を得た。
得られた反応物12をローラーハースキルン(ノリタケカンパニーリミテド社製、製、商品名:焼成式ローラーハースキルン)の炉内に投入し、ヒーター加熱部の設定温度を970℃、保持時間を5時間として加熱し、焼成物12を得た。
その後、マスコロイダー(増幸産業株式会社製、商品名:スーパーマスコロイダー)を用い、間隙100μm、回転数1200rpmの条件で解砕した。
さらにピンミル(ホソカワミクロン株式会社製、商品名:コロプレックス160z)を用い、供給速度8kg/hr、回転数16000rpmの条件で解砕し、LiMO(12)を得た。
LiMO(12)は、組成式(I)において、x=0.043、y=0.422、z=0であり、元素M1はCo、Mnであった。
Figure 0007405929000001
実施例1~4では、タップ密度が1.70g/cm-1.76g/cmの金属複合水酸化物を使用し、仮焼成をロータリーキルンを使用し、粉体流動速度が33m/時間の条件で焼成した。さらに得られた焼成物をマスコロイダーおよびピンミルを用いて適切な条件にて解砕した。
このようなLiMOは、前記(1)及び(2)の条件を満たしていた。さらに、LiMO(1)~(4)を使用した場合、正極合剤の初期粘度は低く、粘度比も40以下であった。
一方で、ロータリーキルンを使用し、粉体流動速度が14.5m/時間の条件で焼成した比較例1では、(1)及び(2)を満たしていなかった。仮焼成において混合物が流動せず、二次粒子同士が長時間接していたことにより、二次粒子間の焼結が進行し、細孔Xが多く形成され、かつ、大きな細孔径の細孔がつぶれ、Aが減少したためであると考えられる。その結果、正極合剤の粘度比が40を超えたと考えられる。
ローラーハースキルンで仮焼成及び本焼成を実施した比較例2は、(1)及び(2)を満たしていなかった。これは仮焼成及び本焼成において粉体が流動せず、二次粒子同士の接触による摩耗の頻度が減少して、細孔Xの形成が進まず、かつ、粒子径に対して細孔径が大きな細孔が残存したためであると考えられる。その結果、正極合剤の初期粘度は高くなったと考えられる。
本発明によれば、初期粘度が低く、連続塗工した場合にも初期粘度から変化しにくい正極合剤が得られるリチウム金属複合酸化物、リチウム二次電池用正極活物質、及びこれを用いたリチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池を提供することができる。
1…セパレータ、2…正極、2a…正極活物質層、2b…正極集電体、3…負極、4…電極群、5…電池缶、6…電解液、7…トップインシュレーター、8…封口体、10…リチウム二次電池、21…正極リード、31…負極リード、100…積層体、110…正極、111…正極活物質層、112…正極集電体、113…外部端子、120…負極、121…負極活物質層、122…負極集電体、123…外部端子、130…固体電解質層、200…外装体、200a…開口部、1000…全固体リチウム二次電池

Claims (9)

  1. 少なくともLiとNiを含み、下記(1)及び下記(2)を満たし、
    BET比表面積は0.5m /g以上1.5m /g以下であり、
    組成式(I)で表される、リチウム金属複合酸化物。
    (1)窒素ガスの吸着等温線及び脱離等温線測定とBarrett-Joyner-Halenda法により求められる吸着等温線における細孔径分布において、細孔径が2nm以上10nm以下の範囲における細孔容積が0.4×10-3cm/gを超え1.0×10-3cm/g以下である。
    (2)A/D50は、0.9×10-3以上3.4×10-3以下である。
    (Aは、窒素ガスの吸着等温線及び脱離等温線測定とBarrett-Joyner-Halenda法により求められる脱離等温線における細孔径分布に基づく平均細孔径(nm)であり、前記Aは10nm以上40nm以下であり、50は、前記リチウム金属複合酸化物の粒度分布測定により得られる累積粒度分布曲線において微小粒子側から50%累積時の粒子径の値(μm)であり、前記D 50 は5μm以上20μm以下である。)
    Li[Li (Ni (1-y-z) M1 M2 1-x ]O ・・・(I)
    (組成式(I)中、M1は、Co、Mn、及びAlからなる群より選択される1種以上の元素であり、M2は、Fe、Cu、Ti、Mg、W、Mo、Nb、Zn、Sn、Zr、Ga、B、Si、S及びPからなる群より選択される1種以上の元素であり、組成式(I)は、-0.1≦x≦0.2、0<y≦0.7、及び0≦z≦0.2を満たす。)
  2. 前記AとD10が下記(3)を満たす、請求項1に記載のリチウム金属複合酸化物。
    (3)A/D10は6.5×10-3以下である。
    (D10は、前記累積粒度分布曲線において微小粒子側から10%累積時の粒子径の値(μm)である。)
  3. 前記AとD90が下記(4)を満たす、請求項1又は2に記載のリチウム金属複合酸化物。
    (4)A/D90は1.9×10-3以下である。
    (D90は、前記累積粒度分布曲線において微小粒子側から90%累積時の粒子径の値(μm)である。)
  4. 下記(5)を満たす、請求項1又は2に記載のリチウム金属複合酸化物。
    (5)前記吸着等温線における細孔径分布において、細孔径が10nmを超え200nm以下の範囲における細孔容積が8.0×10-3cm/g以下である。
  5. タップ密度は2.5g/cm以上3.1g/cm以下である、請求項1又は2に記載のリチウム金属複合酸化物。
  6. 前記組成式(I)は0<y+z≦0.3を満たす、請求項に記載のリチウム金属複合酸化物。
  7. 請求項1又は2に記載のリチウム金属複合酸化物を含有するリチウム二次電池用正極活物質。
  8. 請求項に記載のリチウム二次電池用正極活物質を含有するリチウム二次電池用正極。
  9. 請求項に記載のリチウム二次電池用正極を有するリチウム二次電池。
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