JP7405473B1 - キャスタ、寝台及び台車 - Google Patents
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Abstract
Description
ロック式のストッパ機構では、車輪及びストッパ機構の摩耗が少なく、またロック後即時に車輪の回転を停止させることができる。
公知のロック式のストッパ機構は多様であるが、いずれであってもロックをかけたときにロックしそびれることなく、ロック機能が発揮されることが望まれている。
図1(A)は第1実施形態に係るキャスタ10を適用した寝台100の一例を示す概略斜視図、図1(B)はキャスタ10を適用した台車200の一例を示す概略斜視図である。
第1実施形態に係るキャスタ10は、図1(A)に示されるように、例えばストレッチャや診療ベッドなどの寝台100の脚部150に好適に用いられる。また、キャスタ10は、図1(B)に示されるように、荷物や人、動物、機材等を運搬する台車200に用いられてもよい。
キャスタ10は、図2(A)に示されるようなラック300等の什器、オフィス機器、店頭看板などの販促用機器又は床頭台等の医療機器等、移動させることのある機器全般に対して移動用脚として適用可能である。さらに、キャスタ10は、図2(B)に示されるように、キャスタ付鞄400に設けられてもよい。
キャスタ10は、その負荷に応じて、樹脂、金属、又はカーボン等から適宜素材が選択される。これら寝台100、台車200、ラック300及びキャスタ付鞄400等の運搬物の脚部150又は底部に不図示の取付台が固定されて、この脚部150又は取付台にキャスタ10が固定される。
図3では、車輪14の背部の構造を明示するため、片方の車輪14を想像線で示している。
第1実施形態に係るキャスタ10は、図3に示されるように、主に、挿入筒11、シャフトケース12、シャフト13、車輪14、及びストッパ機構15で構成される。
キャスタ10は、1つのキャスタ10が1つの車輪14を備える単輪型キャスタであってもよいし、図3のような2つの車輪14が並置された双輪型キャスタであってもよい。
キャスタ10が双輪型キャスタの場合、2つの車輪14どうしは、その回転中心点においてシャフト13で接続される。シャフト13の両端部に設けられた車輪ベアリング16に車輪14が嵌め込まれることで、車輪14はシャフト13を軸に回転する。なお、製造時に車輪14とシャフト13とが一体成形されて、シャフト13がシャフトケース12に軸支される構成でもよい。
このように、シャフトケース12は、治具及びシャフト13をそれぞれ軸支又は固定することで、車輪14と治具である挿入筒11とを変位可能に接続する。なお、首振り用ベアリング17及び車輪ベアリング16は必須の部材ではない。キャスタ10の種類によっては、キャスタ10の首振りができないものや、車輪ベアリング16を用いずに車輪14の回転を可能にする機構を有するものもある。
図4では、部材同士の接続関係を明示するため、操作機構の一例である操作プレート18、首振り用ベアリング17、小径フランジ20b及び操作ワイヤ21を想像線で示している。
また、図5は、図4から更に下部シャフトケース12bを除いてキャスタ10を側面後方方向から見下げた斜視図である。
図5では、揺動カム19の周辺部材及びリンク部材23の周辺部材をそれぞれ取り出して拡大して示している。また、図5では、挿入筒11及びその周辺部材、操作プレート18、操作ワイヤ21及びストッパ部材の一例であるストッパ板24を想像線で示している。
このように挿入筒11に首振り用ベアリング17が軸支されることで、前述のようにシャフトケース12で吊支されたシャフト13及び車輪14は挿入筒11まわりに旋回可能に挿入筒11に軸支される。
一方、操作ワイヤ21は内空間11eの小径部も貫通して挿入筒11の端部からシャフトケース12内部に向かってせり出ている。
ストッパ機構15は、例えば、この揺動カム19に加え、操作プレート18、リンク部材23、ストッパ板24及びダブルトーションばね27で主に構成される。ストッパ機構15は、操作プレート18で後述するトグル構造を変形させることで、車輪ロック歯24aを車輪受歯28に嵌め込んで車輪14をロックする。
揺動カム19の円筒状の胴部には、ストッパ機構15を固定するマウント突起19xが形成されている。
なお、この操作プレート18は、操作ワイヤ21の牽引力の誤差を吸収するため操作ワイヤ21を下方に引き下げる弾性力を有する例えば板バネであることが望ましい。また、このように操作プレート18がワイヤ牽引方向に弾性力を有すると、揺動カム19を押す操作プレート18による力も弾性力となる。よって、後述の車輪ロック歯24aと車輪受歯28との山がずれた場合でも、車輪ロック歯24aに車輪受歯28が嵌まり込もうとする圧がかかり続けているので、山がさらに僅かにずれた際に車輪ロック歯24aに車輪受歯28が自動的に嵌まり込む。
マウント突起19xにはシャフト13に平行にマウント突起19xを左右に貫通するマウントバー31が設けられる。このマウントバー31には、リンク部材23が軸支される。リンク部材23は、板面を対向させて平行に配置された2本の基部板32を結合プレート33で結合した梯子形状を有する。2つの基部板32の端部がそれぞれマウントバー31に軸支されることで、リンク部材23がマウント突起19xまわりに揺動する。また、2つの基部板32の他端にはストッパバー34が架橋される。このストッパバー34がストッパ板24の背面のブラケット24bに嵌め込まれることで、ストッパ板24はリンク部材23に軸支される。
このストッパ板24の板面には、表面に三角形を連ならせた鋸歯形状の車輪ロック歯24aが設けられる。この車輪ロック歯24aは、車輪14のホイール39のシャフト13側の側面に設けられた車輪受歯28と噛み合う。車輪受歯28は、ホイール39の回転中心Aに向かって車輪ロック歯24aと同一のピッチでホイール39の円形形状の彎曲に沿って一周設けられる。
ここで、図6は、第1実施形態における回転制限機構40周辺の拡大側面図である。
シャフトケース12の内壁には、図6に示されるように、揺動カム19に向けて揺動カム19の胴部に接触しない位置まで迫り出た停止壁42が形成される。制限突起41及び停止壁42は、リンク部材23がシャフト13から放射方向に向かって略直立したときに制限突起41が停止壁42に当接するように配置される。ここで、「略直立」とはシャフト13の放射方向とリンク部材23とのなす角度が+-10度以内であることをいう。つまり、シャフト13におけるリンク部材23が接する点の接線と、リンク部材23と、がなす角度が90度+-10度以内であることをいう。「直立」とは、具体的には、図7(B)に示されるように、ストッパバー34とマウントバー31とを結ぶ直線の沿線上に揺動カム19の揺動中心が乗っている状態をいう。より好ましくは、シャフト13の放射方向とリンク部材23とのなす角度は+-5度以内である。このように制限突起41及び停止壁42は、マウント突起19xが特定の角度まで回転したときにその回転を停止させて、車輪14のロック時のマウント突起19xの位置を規定する回転制限機構40として機能する。
一方、歯形が三角形の場合、歯24a,28どうしを噛み合わせた際に隙間が空かない設計にすることができるため、ロック後のガタつきを防止することができる。
ダブルトーションばね27は、係止球26が引き下げられた状態で自然形状となる。よって、係止球26が引き上げられマウント突起19xが操作ワイヤ21側に引き放されているときには、係止球26を引き下げ、マウント突起19xを操作ワイヤ21側にから引き寄せる向きにばね力が付与される。
図7(A)はロック解除状態のストッパ機構15を示す図、図7(B)はロック状態のストッパ機構15を示す図である。
第1実施形態に係るキャスタ10では、マウントバー31が入力を受けるリンク軸、揺動カム19の回転中心Aが定点のされたリンク軸、そしてストッパバー34がスライダに相当する。なお、ストッパ板24の一端辺はシャフトケース12に位置決め支軸37で軸支されているため、ストッパバー34には位置決め支軸37を回転中心Aとした円弧H上のみをスライドするという制限が課される。
ストッパバー34が車輪ロック歯24aに向けて移動する。
また、このようにストッパ機構15が極めて軽い力で作動するため、従来のようなロック動作又はロック解除動作による大きな衝突音の発生を防止することができる。
また、揺動カム19はシャフト13に設けられてシャフト13を軸として回転する例で説明したが、揺動カム19はシャフト13に設けられなくてもよい。つまり、トグル構造を含むストッパ機構15は、シャフト13とは別個にシャフトケース12内に架橋された軸に設けられてもよい。また、図7(A),(B)ではストッパ機構15の特にトグル構造部分が水平から45°傾いた位置に描写されているが、トグル構造部分の地面に対する配置角度は特に限定されない。
また、車輪ロック歯24a及び車輪受歯28を用いることで、ロック状態のキャスタ10のガタつきを抑制することができる。
図8(A)は第2実施形態におけるストッパ機構15Aを示す斜視図である。
また、図8(B)は第2実施形態における変形例に係るストッパ機構15Bを示す斜視図である。
なお、第1実施形態との差異を明示するため、図8(A)及び図8(B)では、ストッパ機構15Aを構成するストッパ板24及び操作プレート18の図示を省略している。
制限突起41Aは、第1実施形態では、揺動カム19Aの回転を制限するために、シャフトケース12に設けられる停止壁42に当接されるように設けられた。
しかし、ストッパ機構15の変形は、揺動カム19Aに対するリンク部材23の変形を制限することでも停止させることができる。
例えば、図8(B)に示されるように、マウント突起19Axに溝部19Byを形成して、この溝部19Byに一本の基部棒32aで構成されたリンク部材23Aを嵌め込んでもよい。溝部19Byに嵌め込まれたリンク部材23Aは、溝部19Byを左右方向に貫通するマウントバー31に揺動可能に軸支される。溝部19Byは、ストッパ板24が車輪14をロックしたときに、リンク部材23Aがちょうど溝部19Byの奥面19By1がリンク部材23Aに当接するように、形状設計される。このように溝部19Byの奥面19By1を利用してリンク部材23Aの回転を所定位置で停止させることで、制限突起41Aを用いずに、トグル構造の変形を所定姿勢で停止させることができる。
以上のように、第2実施形態に係るキャスタ10によれば、異なる配置形状のストッパ機構15A,15Bで第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
図9は、第3実施形態に係るキャスタ10Aの斜視図である。図9では、キャスタ10Aからシャフトケース12、片方の車輪14及び車輪ベアリング16を除いて示している。
また、図10(A),(B)は、図9のキャスタ10Aの側面図である。図10(A)は、車輪14がロック解除された状態を示す。また、図10(B)は、車輪14がロックされた状態を示す。なお、図10(A),(B)では、偏心カム58、ペダル59及びロッド60の図示は省略している。
以上のように、第3実施形態に係るキャスタ10Aによれば、トグル構造の変形態様が第1実施形態とは異なるストッパ機構15Cでも、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。また、固定プレート51を用いることで、キャスタ10Aを運搬物200,300,400の底部に直接固定することができる。
図11は、第4実施形態に係るキャスタ10Bの旋回止機構44A及びその周辺部材を示す斜視図である。図11では、首振り旋回がロックされている状態を示す。
また、図12は、第4実施形態に係るキャスタ10Bを歯付リング20cの高さで水平に切断した切断断面を示す部分拡大断面図である。図12では、車輪14及び車輪ベアリング16の図示を省略している。また、図12では、各構成の形状の見やすさの観点から、嵌合部材45にドットを入れている。
旋回止機構44Aは、例えば、挿入筒11の下端部に設けられて外周一周にかけて一定のピッチで外向きに歯が設けられた歯車形状の歯付リング20cと、歯付リング20cに嵌合して挿入筒11周りのキャスタ10Bの首振り旋回をロックする嵌合部材45と、で構成される。歯付リング20cは、例えば小径フランジ20b(図4)に代えて挿入筒11に固定される。操作ワイヤ21の係止球26は、嵌合部材45を介して間接的に操作プレート18Bに係止される。
また、操作プレート18Bは、中央部から自由端部に向けて分岐して二股部43を有する。
このように、係止球26が引き上げられると、車輪14のロックとともに、挿入筒11に対するキャスタ10Bの首振り旋回にロックがかかる。
変形例に係るキャスタ10Cの旋回止機構44Bでは、操作プレート18Cが嵌合部材45の機能も有する。
操作プレート18Cは、第1実施形態の操作プレート18の板面を山折り及び谷折りに2度直角に折り曲げた階段形状を有する。便宜上、このように折り曲げられて形成された面のうち、係止球26が係止される面を係止面18C1とよぶ。
また、操作プレート18Cの係止面18C1には歯付リング20cに向けて屈曲して突出する例えば2つの突起片18xが形成される。この突起片18xは、歯付リング20cに嵌合可能な形状を有する。
一方、図13(B)のように車輪14のロックの状態では、係止球26に引き上げられて係止面18C1が歯付リング20cに当接して突起片18xが歯付リング20cに嵌まり込む。
このように、変形例に係る旋回止機構44Bでは、操作プレート18Cが、第1実施形態の操作プレート18の機能に加え、嵌合部材45の機能も有する。
図14は、第5実施形態に係るキャスタ10Dの斜視図である。図14では、内部構造を明示するため、片方の車輪14、車輪ベアリング16及びシャフトケース12を除いて示している。また、図14では、車輪14の回転及び首振り旋回がともにロックされている状態を示している。
また、図15は、第5実施形態に係るキャスタ10Dの旋回止機構44C及びその周辺部材を示す斜視図である。
上述したストッパ機構15Dの構成により、図17(A),(B)に示されるように、ストッパ板24Yが車輪ロック歯24aに嵌まり込む向きに回転すると、操作突起57も回転して、押し込み板55cが下方に押し込まれる。押し込み板55cが下方に押し込まれた板ばね55は、旋回止バー53の周りに回転する。ここで、解除ピン55dは、解除ピン55dの剛性を下げるため、押し込み板55cなど板ばね55の他の部位よりも細く長い形状に設計される。よって、上述のように解除ピン55が上部シャフトカバー12aから抗力を受けても、板ばね55は全体として押し込み板55cが押し込まれる方向に回転する。
よって、第5実施形態においても、車輪14をロックすると同時にキャスタ10Dの旋回もロックされることになる。
また、操作ワイヤ21の牽引距離を短くしたい場合、図14に示されるように、揺動カム19Dに設けられたマウント突起19Cxをできるだけ高くすることが望ましい。マウント突起19Cxを高くすることで、操作ワイヤ21の少ない牽引距離でトグル構造を大きく変形することができる。例えば、マウント突起19Cxの高さは、リンク部材23の長手方向の長さの2倍以上、より好ましくは3倍以上である。操作ワイヤ21の牽引距離を短くすることで、操作ワイヤ21の操作量を小さくすることができるため、操作ワイヤ21を操作する操作部(不図示)を小型化することができる。
これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
また、実施形態では揺動カムがシャフト周りに揺動する例で説明したが、揺動カムの揺動中心は、シャフトに限定されず、トグル構造を変形可能に構成できれば自由に設計できる。
Claims (13)
- 運搬物に固定される治具と、
回転中心にシャフトが接続された車輪と、
前記車輪及び前記治具をそれぞれ軸支して前記車輪と前記治具とを接続するシャフトケースと、
前記車輪のホイールに当接可能なストッパ部材と、
前記ストッパ部材を含むトグル構造を有するストッパ機構と、
前記トグル構造を変形させることで前記ストッパ部材を前記ホイールに当接させることによって前記車輪の回転を止める操作機構と、を備え、
前記ストッパ機構は、
前記シャフトケース内に設けられて前記操作機構に押されて揺動する揺動カムと、
前記揺動カムに一端が軸支されるリンク部材と、を備え、
前記揺動カムはワイヤに接続された係止体でキャスタ外部から牽引されて操作されることを特徴とするキャスタ。 - 前記ストッパ部材を前記ホイールに当接して前記回転を止める際に前記治具に対する前記シャフトケースの旋回を同時にロックする旋回止機構を備える請求項1に記載のキャスタ。
- 前記操作機構はワイヤに接続された係止体で操作される請求項1に記載のキャスタ。
- 前記操作機構は前記シャフトケースから外部に突出したロットで操作される請求項1に記載のキャスタ。
- 前記ストッパ部材の前記ホイールとの当接面に設けられる車輪ロック歯と、
前記ホイールに設けられて前記車輪ロック歯が噛み合わさる車輪受歯と、を備え、
前記車輪ロック歯及び前記車輪受歯は、それぞれ前記ホイールの円周の彎曲に沿って連なる三角形状を有する請求項1に記載のキャスタ。 - 前記ストッパ機構は、
前記シャフトケース内に設けられて前記操作機構に押されて揺動する揺動カムと、
前記揺動カムに一端が軸支されるリンク部材と、を備え、
前記ストッパ部材は、前記リンク部材の前記揺動カムとは反対側の一端に軸支されるとともに一端が前記シャフトケースに軸支される請求項1に記載のキャスタ。 - 前記揺動カムは前記シャフトに軸支される請求項6に記載のキャスタ。
- 前記キャスタは双輪型キャスタである請求項1に記載のキャスタ。
- 前記キャスタは単輪型キャスタである請求項1に記載のキャスタ。
- 前記トグル構造の変形を制限する制限機構と、
前記車輪のロックを解除する際に前記トグル構造の変形を解消する弾性部材と、を備える請求項1に記載のキャスタ。 - 前記シャフトケースは、前記車輪と前記治具とを変位可能に接続する請求項1に記載のキャスタ。
- 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のキャスタと、
前記キャスタに支持される脚部と、を備える寝台。 - 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のキャスタを備える台車。
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