次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明をテーブルに適用している。本明細書では、便宜上、方向を特定するため前後・左右の文言を使用するが、この前後・左右の方向は、一対の脚体3,3が配列される方向を左右方向とし、水平面内で左右方向に直交する方向を前後方向としている。
図1は、テーブル100全体の概略構成を示す斜視図である。テーブル100は、平面視四角形の天板101を左右の脚体103,103に支持させている。脚体103は、床に沿って略水平状に前後方向に延びる脚ベース106と、脚ベース106の前後中央部から立ち上がった円筒形状の脚支柱107とで側面視逆T形の形状になっている。
図2に示すように、脚ベース106の中央部上面に設けた支柱連結部108には、上向きに突設した左右の突起部109と、上下に貫通する前後のボルト挿通孔110とを設ける一方、脚支柱107の内部に固着したボルト受座111には、突起部109が嵌り込む左右の突起部保持穴112を設けるとともに、下方からボルト挿通孔110に挿通した前後一対のボルト114を捩じ込む前後一対のねじ穴113を設けている。これにより、脚ベース106を脚支柱107に組付ける際に、突起部109を突起部保持穴112に嵌め込んで脚ベース106の回転を防止した上でボルト114を取り付けできるので、作業の容易性が向上する。
図3等に示すように、脚ベース106は内部が中空状で下向きに開口しており、脚ベース106の前後の端部内に第1キャスタ装置1Aと第2キャスタ装置1Bが取り付けられている。詳細は後述するが、キャスタ装置1A,1Bは、車輪の回転及び水平旋回が可能なフリー状態と不能なロック状態とを切替え可能に構成されており、脚ベース106の一端側上面に設けた操作スイッチ13の下向き操作(踏み込み操作)によって、キャスタ装置1A,1Bのフリー状態とロック状態とが切り替えられる。第1キャスタ装置1Aと第2キャスタ装置1Bは、脚ベース106の長手方向に沿って延びる側面視へ字形板状の連動杆2で連結されており、フリー状態とロック状態とが互いに連動するように構成されている。
図4、図5及び図7等を参照しながら、キャスタ装置1A,1Bについて説明する。キャスタ装置1A,1Bは、脚ベース106に相対回転不能に取り付くとともに下向きに開口した平面視略円形のアウター部材4(上部材の一例)と、アウター部材4の内部に水平旋回自在に装着した平面視略円形のインナー部材5(下部材の一例)と、インナー部材5に回転自在に装着した車輪6などを備えている。両部材4,5はともに合成樹脂製である。
アウター部材4は、平面視で前後方向及び左右方向に沿った4辺をもつ四角形の各頂点に向けて略水平に突出する4つのキャスタフランジ部43を備えている。各キャスタフランジ部43は、脚ベース106内部の前端部及び後端部にキャスタフランジ部43に対応して4つずつ設けたキャスタ取付ボス部(図示省略)に下方からねじ込まれるキャスタ取付ねじ(図示省略)で脚ベース106に固定される。
インナー部材5の内部には、インナー部材5の水平旋回及び車輪6の回転をロック状態又はロック解除状態に切り替える合成樹脂製のロック部材8が上下方向に摺動自在に設けられている。また、インナー部材5の下部には、ロック部材8を上向きに付勢する弾性部材10を支持するカバー部材9が取り付けられている。
アウター部材4とインナー部材5との間には、インナー部材5の水平旋回を容易ならしめるためのスライダ部材7が介在されている。スライダ部材7は、例えばPOM樹脂のように摩擦係数が小さい合成樹脂からなり、中央部に穴を有する円板状の形態を有し、水平旋回中心を囲うように配置される。
アウター部材4は、下向きに解放された有底筒状の形態を有し、上端側が天面部41で塞がれた筒部42を備えている。上述のように、アウター部材4は、脚ベース106に取り付くキャスタフランジ部43が形成されている。また、天面部41の平面視中心部に略円筒状の係合爪部44が下向きに突設されている一方、インナー部材5における天板部51の平面視中央部には、アウター部材4の係合爪部44が弾性に抗して嵌合する円形の係合穴52を設けている。このため、インナー部材5は、水平旋回が許容された状態でアウター部材4に抜け不能に取り付いている。
上述のように、アウター部材4とインナー部材5との間には、スライダ部材7が介在される。ドーナツ板状のスライダ部材7の上面7a及び下面7bのそれぞれに、水平旋回中心を囲う凸条部71,72が形成されている。凸条部71,72は、水平旋回中心を囲うように渦巻状に設けられるとともに、水平旋回中心から見て放射方向に二重になるように設けられている。また、凸条部71,72は、平面視で重なるように同じ形状に形成されている。
アウター部材4の天面部41の下向面41aには、スライダ部材7に対向する位置に、水平旋回中心を囲うように並べられた複数の凸部40が形成されている。インナー部材5の天板部51の上向面51aには、スライダ部材7に対向する位置に、水平旋回中心を囲うように並べられた複数の凸部50が形成されている。本実施形態では、凸部40,50は、スライダ部材7の凸条部71,72に平面視で交差するように、水平旋回中心から放射方向へ延びて設けられている。
キャスタ装置1A,1Bが脚ベース106に取り付けられ、アウター部材4に下向きの荷重がかかる状態で、アウター部材4の各凸部40とスライダ部材7の凸条部71が平面視で交差する位置で、各凸部40の頂部が凸条部71の頂部に接触する。また、インナー部材5の各凸部50とスライダ部材7の凸条部72が平面視で交差する位置で、各凸部50の頂部が凸条部72の頂部に接触する。各凸部40,50は、凸条部71又は72と2箇所で接触する。なお、各凸部40,50及び凸条部71,72にはグリスが塗られている。
このように、キャスタ装置1A,1Bは、スライダ部材7とアウター部材4及びインナー部材5との接触面積を小さくでき、アウター部材4の水平旋回性能を高めることができる。これにより、テーブル100のスムーズな移動が可能になる。例えば、テーブル100が大型テーブルであっても、キャスタ装置1A,1Bのインナー部材5の水平旋回性能を高めたことで、テーブル100のスムーズな移動が可能になる。
インナー部材5は、下向きに解放された有底筒状の形態を有し、上端側が天板部51で塞がれた筒部55を備えている。天板部51の下面には、左右一対の車軸受け部53を一体成形している。両車軸受け部53の下部には水平旋回中心からずれた部位に下向きに開口した車軸係止穴53aを設け、両車軸係止穴53aに車輪6の車軸61を下方から弾性に抗して嵌め込んでいる。
車輪6の外側面には、後に詳述するロック部材8の両端から内向きに突出する一対の車輪ストッパ部82aを係止する係止部62が設けられている。本実施例では、車輪ストッパ部82aが車輪6の回転中心(車軸61の軸線)から離反する時、車輪ストッパ部82aが係止部62に嵌まって車輪6の回転をロックでき、車輪ストッパ部82aが車輪6の回転中心方向に近づく時、車輪ストッパ部82aが係止部62から外れて車輪6をロック解除できるように構成されている。
インナー部材5の水平旋回及び車輪6の回転をロック状態又はロック解除状態に切り替えるロック部材8は、インナー部材5の左右の車軸受け部53の間に上下摺動自在に配置される。ロック部材8は、略水平に配置される板状のロック部材本体部81を備えている。ロック部材本体部81の車輪6側の左右角部には車輪6の車軸61の上方に向かって略水平に延びる左右一対のストッパアーム部82が設けられ、各ストッパアーム部82の先端部に左右内向きに突出する車輪ストッパ部82aが設けられている。
ロック部材本体部81の上面に、略円柱状の押圧突起部84が上向きに突設されている。押圧突起部84は、インナー部材5の係合穴52に係合したアウター部材4の円筒状の係合爪部44の内部に挿通される。
ロック部材本体部81の車輪6とは反対側の端部には、水平旋回中心を中心として略水平に放射状に突出する3つの係止爪83が等間隔に設けられている。インナー部材5の筒部55には、ロック部材8の押圧突起部84が係合爪部44に挿通された状態で、係止爪83をインナー部材5の外部に露出させる開口部57が設けられている。アウター部材4の筒部42の内周壁に、ロック部材8の係止爪83が下方から嵌り込む複数の係止凹部45が3つの係止爪83の配列ピッチに合わせて周方向に等間隔に設けられている。
ロック部材8が上方位置(ロック位置)にある時(図12参照)、係止爪83が係止凹部45に嵌り込んで、アウター部材4に対するロック部材8及びインナー部材5の水平旋回をロックでき、ロック部材8が下方位置(ロック解除位置)にある時(図9参照)、係止爪83が係止凹部45から外れてインナー部材5をロック解除できるように構成されている。なお、ロック部材8が上方位置(ロック位置)にある時、車輪ストッパ部82aが車輪6の係止部62に嵌まって車輪6の回転がロックされる。
また、ロック部材8が下方位置(ロック解除位置)にある時、車輪ストッパ部82aが車輪6の係止部62から外れて車輪6をロック解除できるように構成されている。このように、キャスタ装置1A,1Bには、ロック部材8を上下方向に揺動させて車輪6及びインナー部材5をロック状態又はフリー状態(ロック解除状態)にするロック機構14が設けられている。
詳細は後述するが、アウター部材4の天面部41の上面には、該上面に沿って摺動可能なロックレバー12が装着されている。ロックレバー12は、水平旋回中心を通って上向きに延びてアウター部材4上に突出するロック部材8の押圧突起部84を下向き押圧又は開放することにより、ロック部材8を上下方向に揺動させて車輪6及びインナー部材5をロック又はロック解除するように構成されている。
ここで、ロックレバー12のスライド方向のうち、アウター部材4の突出部49から天面部41へ向かう方向を第1スライド方向とし、その逆方向(突出部49の突出方向)を第2スライド方向とする。また、キャスタ装置1A,1Bの説明に関して、第1スライド方向を前方向とし、第2スライド方向を後方向とし、水平面でスライド方向に直交する方向を左右方向とする。
次に、図6及び図8等を参照しながら、ロックレバー12及びレバー保持機構15について説明する。ロックレバー12は、ロック機構14をフリー状態又はロック状態に切替え操作ものである。アウター部材4の天面部41の上面には、ロックレバー12を略水平な一方向にスライド自在に保持するレバー保持機構15が設けられている。レバー保持機構15は、アウター部材4の天面部41の上面に設けたレバー保持用リブ46、第1規制突起部47及び第2規制突起部48と、ロックレバー12に設けた側縁リブ126、第1規制壁部127及び第2規制壁部128とを備えている。
アウター部材4の天面部41の上面に、円筒状の係合爪部44の開口部44aを挟んで互いに平行に設けられた一対のレバー保持用リブ46が立設されている。アウター部材4は、筒部42の側面から略水平に突出する突出部49を備え、レバー保持用リブ46部は、突出部49とは反対側の天面部41の上面縁部の近傍から突出部49上面の先端部にわたって設けられている。レバー保持用リブ46の上端部には複数の係合突起部46a,46b,46cが内向きに突設されている。ここでは、レバー保持用リブ46の長手方向の両端部に位置する2つの係合突起部46a,46cと、係合突起部46a,46cの中間に位置する係合突起部46bが設けられている。
ロックレバー12は、合成樹脂製であり、レバー保持用リブ46の長手方向に沿った方向に長い略直方体の形態を有し、両方の側面部121の下端部から水平に突設した側縁リブ126を備えている。ロックレバー12の幅寸法は、一対の側縁リブ126間の寸法よりも少し小さく設定されており、側縁リブ126がアウター部材4の上面と係合突起部46a,46b,46cとの間に挟み込まれることで、ロックレバー12がレバー保持用リブ46の長手方向に沿ってアウター部材4の天面部41上面でスライド可能に保持される。側縁リブ126は、レバー保持用リブ46の長手方向長さよりも長く形成されている。側縁リブ126には、係合突起部46a,46b,46cを上下に挿通可能なリブ切欠き部126a,126b,126cが係合突起部46a,46b,46cと同じ間隔で設けられている。
ロックレバー12の下面の前端部寄り部位には、ロックレバー12のスライド移動に応じて、ロック部材8の押圧突起部84を下向き押圧する押下げ部122と、押圧突起部84の上向き移動を許容する突出許容部123,124が設けられている。押下げ部122はスライド方向に延びる下向き凸の略半円柱状に設けられ、後側突出許容部123は押下げ部122の後端部に隣接した前低後高姿勢の傾斜面で構成され、前側突出許容部124は押下げ部122の前端部に隣接した前高後低姿勢の傾斜面で構成されている。アウター部材4の天面部41の上面には、左右のレバー保持用リブ46の中間位置でスライド方向に沿って延びる略半円柱状の凹部41cが形成されており、ロックレバー12の押下げ部122は、凹部41c内にスライド可能に配置される。
なお、押下げ部122は第1操作部の一例であり、後側突出許容部123は第2操作部の一例であり、前側突出許容部124は第3操作部の一例である。また、後側突出許容部123から前側突出許容部124へ向かう方向が上記第1スライド方向であり、その逆方向が上記第2スライド方向である。
図3(C)等に示すように、ロックレバー12の後端部には、左右一対の連動杆連結部120が設けられている。連動杆連結部120は、下向き及び後向きに開口する前後長手の溝状に形成され、下方から挿し込まれる連動杆2の端部を保持可能に構成されている。連動杆2は、側面視へ字形の金属板で形成されており、その両端部には、下辺に設けた下係合凹部2aと、上辺に設けた前後一対の上係合凹部2bを備えている。ロックレバー12の連動杆連結部120には、その外側壁内側面に設けた係合爪部120aと、天面部下面に設けた前後一対の係合突起部120bが設けられている。連動杆2がロックレバー12に連結された状態では、連動杆連結部120の係合突起部120bに上係合凹部2bが嵌合し、下係合凹部2aに係合爪部120aが係合する。これにより、連動杆2がロックレバー12に対して前後動不能かつ脱落不能に連結される。
なお、本実施形態では、ロックレバー12の左右一方の連動杆連結部120に連動杆2が連結され、1本の連動杆2でキャスタ装置1A,1Bが連動するように構成されているが、ロックレバー12の左右両方の連動杆連結部120それぞれに連動杆2の端部を連結して、2本の連動杆2でキャスタ装置1A,1Bが連動するように構成してもよい。キャスタ装置1A,1Bを2本の連動杆2で連結することで、キャスタ装置1A,1Bの両ロックレバー12のうち一方のロックレバー12の動作を他方のロックレバー12に確実かつ正確に伝達でき、キャスタ装置1A,1Bの連動の正確性が向上する。
次に、レバー保持機構15がもつ、ロックレバー12に対する可動範囲制限機能について説明する。当該可動範囲制限機能は、アウター部材4に設けた規制突起部47,48と、ロックレバー12に設けた規制壁部127,128で構成される。
図5及び図6等に示すように、アウター部材4の天面部41の上面には、左右のレバー保持用リブ46の間に、凹部41cを挟んで設けた左右一対の第1規制突起部47と、第1規制突起部47よりも前側で凹部41cを挟んで設けた左右一対の第2規制突起部48とが立設されている。規制突起部47,48は、後述するばね部材141,142の端部を保持するばね受座を兼ねている。
他方、ロックレバー12の前部には、図6及び図8等に示すように、スライド方向に延びる左右一対のばね収容部125が開口されており、ばね収容部125の後壁を構成する第1規制壁部127と、ばね収容部125の前壁を構成する第2規制壁部128が設けられている。前後に並ぶ第1規制壁部127と第2規制壁部128の間隔は、アウター部材4上面で前後に並ぶ第1規制突起部47と第2規制突起部48の間隔と同程度である。
図10等に示すように、第1キャスタ装置1Aでは、ロックレバー12は、第1保持位置P1にて保持される。第1保持位置P1では、第1規制壁部127がアウター部材4の第1規制突起部47と第2規制突起部48の間に位置し、第2規制壁部128が第2規制突起部48の前方に位置している。換言すると、ロックレバー12のばね収容部125内にアウター部材4の第2規制突起部48が位置している。
ばね収容部125には、第1規制壁部127と第2規制突起部48との間に装着した圧縮コイルばねからなる第1ばね部材141(第1弾性部材の一例)が設けられている。ロックレバー12は、第1ばね部材141の弾性力で第2スライド方向(後側)へ付勢され、第1規制壁部127後部が第1規制突起部47前部に接触することで、ロックレバー12の第2スライド方向への移動範囲が制限される。また、ロックレバー12は、第1ばね部材141の弾性力に抗して第1スライド方向(前側)への移動が許容される。なお、ロックレバー12の第1スライド方向への移動限界位置は、第1ばね部材141が圧縮しきった状態になる位置(ロック位置よりも前側の位置)である。
図9及び図10に示すように、第1規制壁部127後部が第1規制突起部47前部に接触した状態では、ロックレバー12の押下げ部122後部がロック部材8の押圧突起部84の上方に位置して押圧突起部84を押し下げており、ロック部材8は下方位置(ロック解除位置)に位置している。すなわち、ロックレバー12はフリー位置であり、ロック機構14はインナー部材5の水平旋回と車輪6の回転が許容されたフリー状態になる。
図11~図13に示すように、フリー位置に保持されたロックレバー12は、後述する操作スイッチ13の下向き操作によって、第1ばね部材141の弾性力に抗して第1スライド方向(前方)へ一定距離以上移動されると、後述する切替機構16で、ロックレバー12の第1規制壁部127が第1規制突起部47から前側へ離れた位置に保持される。この状態で、ロックレバー12の押下げ部122はアウター部材4の開口部44aよりも前方に位置する一方、後側突出許容部123が開口部44aの上方に位置している。これにより、ロック部材8の押圧突起部84の上向き移動が許容されて、ロック部材8は弾性部材10の弾性力で上方へ押し上げられて上方位置(ロック位置)になる。すなわち、ロックレバー12はロック位置であり、ロック機構14はインナー部材5の水平旋回と車輪6の回転が禁止されたロック状態になる。
図6等に示すように、第1キャスタ装置1Aの組み立て時に、ロックレバー12をアウター部材4に組み付ける際には、リブ切欠き部126a,126b,126cとレバー係合突起部46a,46b,46cとを位置合わせしてロックレバー12を天面部41上に取り付け、第1規制壁部127を第1規制突起部47と第2規制突起部48との間に配置した上で、ロックレバー12を後向き(第2スライド方向)へスライドさせて、第1規制壁部127後部を第1規制突起部47前部に当接させる。そして、ばね収容部125の上面前後中央部に設けたばね入れ用開口125aを介して、上方から第1ばね部材141をばね収容部125内に入れて第2規制突起部48と第1規制壁部127との間に装着する。
この状態(ロックレバー12がフリー位置)で、レバー係合突起部46a,46b,46cの下方には側縁リブ126が位置し、リブ切欠き部126a,126b,126cとレバー係合突起部46a,46b,46cは、互いにずれた位置関係にあるので、ロックレバー12がアウター部材4に抜け不能に保持される。この状態から、ロックレバー12を前向き移動させ、ロックレバー12がロック位置を通過して、第1ばね部材141の線同士がすべて接触するまで移動しても、リブ切欠き部126a,126b,126cはレバー係合突起部46a,46b,46cの下方位置に完全には(もしくは全く)到達しない。第1キャスタ装置1Aは、ロックレバー12がアウター部材4に脱落不能に保持されるので、第1キャスタ装置1Aを脚ベース106などの家具の被支持体に取り付けるときの作業性が向上する。
次に、図6及び図8~図13等を参照して、操作スイッチ13について説明する。第1キャスタ装置1Aには、アウター部材4の上面前端部に設けたレバー支軸39に、前後方向に延びる操作スイッチ13(操作具の一例)の一端部に設けた係合切欠き部132が嵌め込まれて、操作スイッチ13が回動自在に支持されている。操作スイッチ13は、内部が中空状に設けられている。操作スイッチ13の回動自由端側の操作先端部131は、ロックレバー12の上方で上下動可能に設けられている。操作先端部131には左右外向きに突設する左右一対の操作突起部131aが設けられている。
ロックレバー12の前後方向中央部は上下に開口する中空状に形成されており、上下動する操作先端部131がロックレバー12内部に出入り可能に構成されている。アウター部材4のカムピン保持部161の前面上端角部には、前向きに突出する上回動規制部38が設けられており、操作スイッチ13の操作先端部131に設けた前向きの係止爪133が上回動規制部38に下側から接触して操作スイッチ13の上向き回動が規制されるように構成されている。これにより、第1キャスタ装置1Aを脚ベース106に取り付ける際に操作スイッチ13が揺動してブラブラするのを防止でき、取付作業性が向上する。
なお、変形例として、アウター部材4に上回動規制部38を設けずに、第1キャスタ装置1Aを脚ベース106に取り付けた状態で、スイッチ用開口部106a周縁の底面に操作突起部131aを接触させることで、操作スイッチ13の操作先端部131の上向き回動を規制するようにしてもよい。この場合、操作スイッチ13に、スイッチ用開口部106a周縁の底面に接触し得る専用の上向き回動規制部を設けてもよい。
ロックレバー12の側面部121の内壁面には、操作スイッチ13の操作に応じて下向き移動する操作先端部131の操作突起部131aに摺接してロックレバー12を前方(第1スライド方向)へ移動させる、前高後低姿勢の第1傾斜面部129が設けられている。第1保持位置P1に保持されたロックレバー12がロック位置(第1規制壁部127が第1規制突起部47に接触した状態)にあるときに、第1傾斜面部129の上端寄り部位に操作突起部131aが接触するように構成されている。すなわち、操作スイッチ13の操作突起部131aは、第1傾斜面部129の上端よりもレバー支軸39から離れる側に位置している。
図1等に示すように、テーブル100において、第1キャスタ装置1Aに取り付く操作スイッチ13は、脚ベース106の一端部に形成したスイッチ用開口部106aに下方から挿通されて、脚ベース106上面に上向きに突出して設けられる。そして、例えば使用者の足で操作スイッチ13が踏み込まれる(下向き操作される)と、操作スイッチ13の操作先端部131に設けた操作突起部131aがロックレバー12の第1傾斜面部129に摺接しながら下向き移動し、それにともなって、図12及び図13に示すように、ロックレバー12は、第1スライド方向へ移動するようにレバー支軸39側へ引き込まれる。ロックレバー12は、操作スイッチ13の操作によって第1スライド方向へ一定距離以上移動すると、操作スイッチ13への操作力が解除されることで切替機構16によってロック位置に保持され、ロック機構14がロック状態に維持される。
ここで、第1キャスタ装置1Aに取り付く操作スイッチ13は、操作先端部131に対して脚ベース106の端部側に設けられたレバー支軸39まわりに回動可能に設けられている。これにより、使用者がテーブル100の脚ベース106に沿った方向から脚で操作スイッチ13を踏み操作しやすくなっており、利便性が向上されている。
図6及び図9~図13等に示すように、ロックレバー12の側面部121の内壁面には、第1傾斜面部129の前側に、前引後高姿勢の第2傾斜面部130が設けられている。第2傾斜面部130は、ロックレバー12を第2保持位置P2に保持する第2キャスタ装置1Bに操作スイッチ13が装着された状態で機能を発揮するものである。
図20に示すように、第2傾斜面部130は、第2キャスタ装置1Bのレバー支軸39に枢着され得る操作スイッチ13が下向き操作されるときに、その操作に応じて下向き移動する操作先端部131の操作突起部131aに摺接してロックレバー12を後方(第2スライド方向)へ移動させる。第2キャスタ装置1Bのロックレバー12がフリー位置(図20参照)にあるときに、第2傾斜面部130の上端寄り部位に操作突起部131aが接触するように構成されている。なお、本実施形態では、第2キャスタ装置1Bは操作スイッチ13を備えていない。第2キャスタ装置1Bが操作スイッチ13を有する変形例については後述する。
次に、図9、図11及び図12等を参照しながら、切替機構16について説明する。切替機構16は、アウター部材4の突出部49の後部に設けられており、ロックレバー12をフリー位置とロック位置とに交互に切り替えるものである。切替機構16は、突出部49の後端部に設けたカムピン保持部161と、カムピン保持部161に取り付くカムピン部材162及びばね部材163と、ロックレバー12の中途部後寄り部位の天面部下面に下向きに突設した第1カム部164及び第2カム部165とを備えている。カムピン部材162は合成樹脂の成形品である。また、ばね部材163は、例えば第1ばね部材141と同一の圧縮コイルばねであり、部品が共通化されている。
カムピン保持部161には、上下に貫通する平面視半円形のカムピン保持穴166と、カムピン保持穴166の前端縁の下方に位置する平坦な軸部当接面167と、軸部当接面167の下端から前斜め下向きに延びる前低後高姿勢の係止面168が形成されており、カムピン保持穴166にカムピン部材162が配置されている。正確に述べると、カムピン部材162は、上下方向に延びる軸部162aと、軸部162aの上端部から後向きに延びるレバー部162bとを有しており、軸部162aがカムピン保持穴166に上方から嵌め込まれて回動自在に保持されて、レバー部162bの先端部が左右方向に揺動自在に設けられている。
レバー部162bの先端部には、上向きに突出するカムピン162cが設けられている。また、軸部162aの前側面には平坦面部162dが形成され、軸部162aの下端部には斜め後向きに折り曲がった折曲げ部162eが形成されている。カムピン部材162の軸部162aは、平坦面部162dがカムピン保持部161の軸部当接面167に当接するようにして、カムピン保持部161に下方から取り付けられるばね部材163で前向きに付勢されている。
折曲げ部162eは、カムピン保持部161の軸部当接面167の下方で係止面168に対峙して、側面視で軸部当接面167よりも前側に位置しており、カムピン部材162の上向き移動を規制する。これにより、第1キャスタ装置1Aの組立時に、カムピン保持部161にカムピン部材162及びばね部材163を組み付けた後に、カムピン部材162がカムピン保持穴166から抜けるのを防止でき、作業性が向上されている。
ロックレバー12の中途部後寄り部位の天面内周壁には、カムピン部材162のカムピン162cの後方位置に、カムピン部材162のカムピン162cが係合し得る第1カム部164と第2カム部165とを下向きに突設している。第1カム部164は、平面視で後向き開口の凹部164aを有する矢尻形の形状を有する。他方、第2カム部165は、第1カム部164の凹部164aとは間隔を空けて設けた平面視で前向き凸形の形状を有する。前後のカム部164,165はカムピン部材162のカムピン162cを一体方向に周回させるワンウエイ機構の一例である。このような切替機構16はハートカム機構と呼ばれる。
図9及び図11(A)は、ロック機構14のフリー状態(ロック解除状態)を示しており、この状態では、ロックレバー12は、第1ばね部材141の弾性力で後向きに付勢されて、前後スライド可能範囲の後側限界位置に位置しており、カムピン部材162のカムピン162cは第1カム部164の前方に位置している。他方、図11(B)及び図12は、ロック機構14のロック状態を示しており、この状態では、ロックレバー12は前方へ変位しており、かつ、カムピン部材162のカムピン162cが第1カム部164の凹部164aに後方から嵌まっていることにより、ロックレバー12は第1ばね部材141の弾性力に抗してロック位置に保持されている。この状態で、カムピン部材162の平坦面部162dは、その左側縁部のみがカムピン保持部161の軸部当接面167に接触しており、カムピン部材162には、ばね部材163の弾性力で、平坦面部162d全面を軸部当接面167に接触させようとする力(カムピン162cを反時計回りに回動させようとする力)が働いている。
そして、操作スイッチ13が操作されてロックレバー12がロック位置から前向きに押されると、ロックレバー12の前向き移動にともなって第1カム部164の凹部164aが前向き移動することで、カムピン162cが平面視で反時計回りに回動して凹部164aから離脱する。これにより、操作スイッチ13への操作力が解除されて、第1ばね部材141の弾性力でロックレバー12が後向きに移動するときに、カムピン162cは、凹部164aに引っ掛かることなく、第1カム部164の凹部164aの右側に設けた傾斜部164bに沿って右向きに逃げながら第1カム部164から離脱する。
その結果、図9及び図11(A)に示すように、カムピン部材162は、平坦面部162dが軸部当接面167に接触した状態に戻る。そして、ロックレバー12は、第1ばね部材141の後向きの付勢力で、フリー位置に保持される。
再び操作スイッチ13が下向き操作されると、ロックレバー12がフリー位置から前向きに移動するのにともなって、カムピン部材162のカムピン162cは、矢尻系の第1カム部164の前側部164cに摺接しながら平面視で時計回りに回動して左側へ変位し、第1カム部164の右端部を乗り越えた後、第2カム部165の前端左側部165aに摺接する。この状態で、カムピン部材162の平坦面部162dの左側縁部のみが軸部当接面167に接触しており、カムピン部材162には、ばね部材163の弾性力で、カムピン162cを反時計回り(右向き)に回動させようとする力が働いている。そして、操作スイッチ13への操作力が解除されて、ロックレバー12が第1ばね部材141の弾性力で後向き移動するときに、カムピン162cがばね部材163の弾性力で第1カム部164と第2カム部165との間に案内されて凹部164aに嵌り込む。これにより、ロックレバー12の後向き移動が停止し、上述のようにロックレバー12がロック位置に保持される。
このように、切替機構16は、操作スイッチ13の操作に応じてロックレバー12が退力を受けて移動される毎に、ロックレバー12をフリー位置とロック位置とに交互に切り替えて保持するように構成されている。このような切替機構16を第1キャスタ装置1Aに組み込んでおくことで、キャスタ装置を装着する家具の組立工数を低減できる。
次に、図14~図17等を参照しながら、第2キャスタ装置1Bについて説明する。アウター部材4、インナー部材5、車輪6、スライダ部材7、ロック部材8、カバー部材9、弾性部材10、ロックレバー12は、キャスタ装置1Aと1Bとで共通であり、第2キャスタ装置1Bもロック機構14とレバー保持機構15とを備えている。なお、第2キャスタ装置1Bには、カムピン部材162とばね部材163は取り付けられていない。
第2キャスタ装置1Bにおいて、レバー保持機構15は、ロックレバー12を第1キャスタ装置1Aでの保持位置(第1保持位置)とは異なる保持位置で保持するように構成されている。すなわち、第2キャスタ装置1Bのレバー保持機構15は、ロック機構14の操作を押下げ部122(第1操作部)と前側突出許容部124(第3操作部)とで切替え操作するように、ロックレバー12の可動範囲を制限する。
具体的には、第2キャスタ装置1Bでは、ロックレバー12は、第2保持位置P2にて保持される。第2保持位置P2では、第2規制壁部128がアウター部材4の第1規制突起部47と第2規制突起部48の間に位置し、第1規制壁部127が第1規制突起部47の後方に位置している。換言すると、ロックレバー12のばね収容部125内にアウター部材4の第1規制突起部47が位置している。
ばね収容部125には、第2規制壁部128と第1規制突起部47との間に装着した第2ばね部材142(第2弾性部材の一例)が設けられている。第2ばね部材142は、例えば第1ばね部材141及びばね部材163と同一の圧縮コイルばねで構成され、部品が共通化されている。
ロックレバー12は、第2ばね部材142の弾性力で第1スライド方向(前側)へ付勢され、第2規制壁部128前部が第2規制突起部48後部に接触することで、ロックレバー12の第1スライド方向への移動範囲が制限される。ここで、第2規制壁部128の前面下部に設けた前向き凸状の係合突起128aが、第2規制突起部48の後面下部に設けた後向き開口の凹状(あるいは段差状)の係合受け部48aに嵌り込むことで、ロックレバー12前部の浮き上がりが防止されている。
また、ロックレバー12は、第2ばね部材142の弾性力に抗して第2スライド方向(後側)への移動が許容される。なお、ロックレバー12の第2スライド方向への移動限界位置は、第2ばね部材142が圧縮しきった状態になる位置(後述するロック位置よりも後側の位置)である。
図14及び15に示すように、第2規制壁部128前部が第2規制突起部48後部に接触した状態では、ロックレバー12の押下げ部122前部がロック部材8の押圧突起部84を押し下げており、ロック部材8は下方位置(ロック解除位置)に位置している。すなわち、ロックレバー12はフリー位置であり、ロック機構14はフリー状態になる。
上述のように、キャスタ装置1A,1Bの両ロックレバー12は、連動杆2を介して連結され、互いに連動するように構成されている。そして、第1キャスタ装置1Aのロックレバー12がフリー位置にあるときに、第2キャスタ装置1Bのロックレバー12もフリー位置になるように構成されている。
図16及び図17に示すように、第2キャスタ装置1Bにおいてフリー位置に保持されたロックレバー12は、第1キャスタ装置1Aのロックレバー12の移動に連動して(又は、第2キャスタ装置1Bに取り付けた操作スイッチ13の下向き操作によって)、第2ばね部材142の弾性力に抗して第2スライド方向(後側)へ移動する。ロックレバー12が一定距離以上移動されると、第1キャスタ装置1Aのロックレバー12が切替機構16でロック位置(図11(B)、図12及び図13参照)に保持されるのに応じて、第2キャスタ装置1Bのロックレバー12の第2規制壁部128が第2規制突起部48から後側へ離れた位置に保持される。
この状態で、ロックレバー12の押下げ部122はアウター部材4の開口部44aよりも後方に位置する一方、前側突出許容部124の前端部が開口部44aの後縁部上方に位置している。これにより、ロック部材8は、押圧突起部84の上向き移動が許容されて上方位置(ロック位置)になる。すなわち、ロックレバー12はロック位置であり、ロック機構14はロック状態になる。
図6等に示すように、第2キャスタ装置1Bの組み立て時に、ロックレバー12をアウター部材4に組み付ける際には、リブ切欠き部126a,126bとレバー係合突起部46b,46cとを位置合わせしてロックレバー12を天面部41上に取り付け、第2規制壁部128を第1規制突起部47と第2規制突起部48との間に配置した上で、ロックレバー12を前向き(第1スライド方向)へスライドさせて、第2規制壁部128前部を第2規制突起部48後部に当接させる。そして、第2ばね部材142を、上方からばね入れ用開口125aを介してばね収容部125内に入れて第1規制突起部47と第2規制壁部128との間に装着する。
この状態(ロックレバー12がフリー位置)で、レバー係合突起部46b,46cの下方には側縁リブ126が位置し、リブ切欠き部126a,126b,126cとレバー係合突起部46b,46cは、互いにずれた位置関係にあるので、ロックレバー12がアウター部材4に抜け不能に保持される。この状態から、ロックレバー12を後向き移動させ、ロックレバー12がロック位置を通過して、第2ばね部材142の線同士がすべて接触するまで移動しても、リブ切欠き部126a,126bはレバー係合突起部46b,46cの下方位置に完全には(もしくは全く)到達しない。このように、第2キャスタ装置1Bは、ロックレバー12がアウター部材4に脱落不能に保持されるので、第2キャスタ装置1Bを脚ベース106などの家具の被支持体に取り付けるときの作業性が向上する。
以上説明したように、本実施形態のキャスタ装置1A,1Bは、家具等の被支持体の下部に取り付くアウター部材4(上部材)と、このアウター部材4に水平旋回自在に装着したインナー部材5(下部材)と、インナー部材5のうち水平旋回中心からずれた部位に回転自在に設けた車輪6と、インナー部材5及び車輪6の動作をロック状態又はフリー状態に切り替えるロック機構14と、ロック機構14を切替え操作するロックレバー12を略水平な一方向にスライド自在に保持するレバー保持機構15とを備える。
ロックレバー12は、ロック機構14をフリー状態にする第1操作部としての押下げ部122と、スライド方向で押下げ部122を挟んで設けられてロック機構14を押下げ部122とは逆にロック状態にする第2操作部としての後側突出許容部123と第3操作部としての前側突出許容部124とを備える。
そして、レバー保持機構15は、ロックレバー12の保持位置を、押下げ部122及び後側突出許容部123でロック機構14を操作するように可動範囲を制限した第1保持位置P1(第1キャスタ装置1A参照)と、押下げ部122及び前側突出許容部124でロック機構14を切替え操作するように可動範囲を制限した第2保持位置P2(第2キャスタ装置1B参照)とに、変更可能に構成されている。
本実施形態では、レバー保持機構15は、ロックレバー12の可動範囲を、第1保持位置P1(第1キャスタ装置1A)では前側突出許容部124がロック機構14を操作しないように制限し、第2保持位置P2(第2キャスタ装置1B)では後側突出許容部123がロック機構14を操作しないように制限する。したがって、1つのキャスタ装置1A又は1Bにおいて、レバー保持機構15に保持されたロックレバー12の後側突出許容部123及び前側突出許容部124の両方がロック機構14に対して作用することはないので、ロック機構14の誤作動を抑制できる。
また、レバー保持機構15は、ロックレバー12を第1保持位置P1又は第2保持位置P2に選択的に保持可能であるとともに、ロックレバー12が一方向に移動するときにロック機構14がフリー状態になるかロック状態になるかを第1保持位置P1と第2保持位置P2とで逆にできるので、キャスタ装置の家具への設置自由度が高くなる。
なお、本発明のキャスタ装置において、ロックレバーは、ロック機構をロック状態にする第1操作部と、スライド方向で第1操作部を挟んで設けられてロック機構を第1操作部とは逆にフリー状態にする第2操作部及び第3操作部を備えていてもよい。このような構成は、例えば、上記実施形態のロックレバー12において、スライド方向に間隔を空けて2つの押下げ部122を設け、それらの押下げ部122の間にロック部材8の押圧突起部84の突出を許容する凹部を設けることで実現可能である。
また、上記実施形態では、スライド方向に平行でロックレバー12の後側突出許容部123(第2操作部)から前側突出許容部124(第3操作部)へ向かう方向を第1スライド方向とし、その逆方向を第2スライド方向としたとき、第1キャスタ装置1Aにおいて第1保持位置P1に保持されたロックレバー12を第2スライド方向へ付勢する第1ばね部材141(第1弾性部材)が設けられ、第2キャスタ装置1Bにおいては第2保持位置P2に保持されたロックレバー12を第1スライド方向へ付勢する第2ばね部材142(第2弾性部材)が設けられる。これにより、ロックレバー12が第1保持位置P1又は第2保持位置P2のいずれに保持される場合でも、ばね部材141又は142の付勢力によって、ロックレバー12の押下げ部122(第1操作部)でロック機構14をフリー状態に維持できる。
すなわち、本実施形態の第1キャスタ装置1Aでは、ロックレバー12は第1ばね部材141の弾性力でフリー位置になる方向(第1スライド方向)に向けて常時付勢され、第2キャスタ装置1Bでは、ロックレバー12は第2ばね部材142の弾性力でフリー位置になる方向(第2スライド方向)に向けて常時付勢されている。例えば、操作スイッチ13や切替機構16の故障、ロックレバー12の傾斜面部129,130や連動杆2の破損などで、ロックレバー12に外部からの操作力を加えることができない状態になったとしても、キャスタ装置1A,1Bは、ばね部材141,142の弾性力でフリー状態に維持されるので、キャスタ装置1A,1Bが動作せずに家具等を移動できない事態の発生を防止できる。
なお、本発明のキャスタ装置は、ロックレバーがレバー保持機構によって第1保持位置又は第2保持位置のいずれに保持されても、第1弾性部材又は第2弾性部材の付勢力によって、第1操作部でロック機構をロック状態に維持する構成であってもよい。
上記実施形態のキャスタ装置1A,1Bは、ロックレバー12を操作する操作スイッチ13(操作具の一例)の操作先端部131がロックレバー12の上方で上下動可能に設けられており、ロックレバー12は、第1保持位置P1に保持されるときに、操作スイッチ13の操作に応じて下向き移動する操作先端部131の操作突起部131aに摺接してロックレバー12を第1スライド方向へ移動させる第1傾斜面部129を備えている。さらに、ロックレバー12は、第2保持位置P2に保持されるときに、操作スイッチ13の操作に応じて下向き移動する操作突起部131aに摺接してロックレバー12を第2スライド方向へ移動させる第2傾斜面部130を備えている。
これにより、同一の操作スイッチ13を用いてロックレバー12の移動方向を第1保持位置と第2保持位置とで異ならせることができるので、操作スイッチ13を共通化でき、製造コストの低減を実現できる。
図18~図20は、テーブル100の他の実施形態を示す図である。本実施形態では、第2キャスタ装置1Bは、第1キャスタ装置1Aに取り付けられた操作スイッチ13と同一構造の操作スイッチ13をレバー支軸39に軸支している。図20に示すように、第2キャスタ装置1Bにおいては、ロックレバー12はレバー保持機構15によって第2保持位置P2に保持されており、ロックレバー12がロック位置(第2規制壁部128前部が第2規制突起部48後部に接触した状態)にあるときに、操作スイッチ13の操作突起部131aが上述の第2傾斜面部130の上端寄り部位に接触するように構成されている。すなわち、操作スイッチ13の操作突起部131aは、レバー支軸39から見て、第2傾斜面部130の上端よりも手前側に位置している。
図18及び図19に示すように、キャスタ装置1A,1Bのロックレバー12は、連動杆2を介して連動するように構成されている。第2キャスタ装置1Bの操作スイッチ13が下向き操作されると、操作スイッチ13の操作突起部131aがロックレバー12の第2傾斜面部130に摺接しながら下向き移動し、それにともなって、ロックレバー12が第2スライド方向(後側)へ押し出されるように移動して、ロック位置(図16及び図17参照)に到達して、ロック機構14をロック状態にする。
一方、第2キャスタ装置1Bに連動する第1キャスタ装置1Aでは、第2キャスタ装置1Bのロックレバー12の移動が連動杆2によって第1キャスタ装置1Aのロックレバー12に伝達される。上述のように、第1キャスタ装置1Aのロックレバー12は、フリー位置から第1方向へ一定距離以上移動され、その後、ロックレバー12への操作力が解除されると、第1ばね部材141の弾性力と切替機構16の機能とによって、ロック位置に保持される。このとき、第1キャスタ装置1Aのロックレバー12に連動杆2を介して連結された第2キャスタ装置1Bのロックレバー12もロック位置に維持される。
このように、キャスタ装置1A,1Bのロックレバー12のうち一方が操作されると、両方のロックレバー12が、第1キャスタ装置1Aに設けた切替機構16によって、フリー位置とロック位置とに交互に維持される。なお、キャスタ装置1A,1Bのロックレバー12は、一方のロックレバー12が操作されると、他方のロックレバー12は、自重で、又は傾斜面部129,130から受ける力によって、一方のロックレバー12と同じ向きに下向き回動又は上向き回動する。
図18及び図19に示すように、脚ベース106の両端部にスイッチ用開口部106aを設け、それらのスイッチ用開口部106aにキャスタ装置1A,1Bの操作スイッチ13を配置することで、使用者は脚ベース106のどちらからでもキャスタ装置1A,1Bを操作でき、使用者の利便性が向上する。なお、操作スイッチ13を組み付けたキャスタ装置1A,1Bは、それぞれ単独で使用することも可能である。
以上説明したように、キャスタ付き家具の一例であるテーブル100は、床に沿って略水平状に延びる脚ベース106と、脚ベース106の長手方向両端部に取り付けられた一対のキャスタ装置1A,1Bとを備え、一方のキャスタ装置1Aのレバー保持機構15はロックレバーを第1保持位置P1に保持する一方、他方のキャスタ装置1Bのレバー保持機構15はロックレバー12を第2保持位置P2に保持している。そして、それらのロックレバー12は、脚ベース106の長手方向に沿って設けた連動杆2で連結されている。このように、本実施形態では、フリー状態とロック状態が連動する一対のキャスタ装置1A,1Bを同一構造のキャスタ装置で構成できるので、キャスタ装置に関する製造コストや部品管理の手間を低減できる。
また、テーブル100では、キャスタ装置1A,1Bを操作する操作スイッチ13が脚ベース106に設けられており、操作スイッチ13は、脚ベース106の端部側を軸に回動するように構成されている。これにより、使用者が脚ベース106の端部側から足で押し操作(踏み込み操作)しやすくなるので、利便性が向上する。
また、操作スイッチ13は、キャスタ装置1A,1Bのアウター部材104(上部材)に設けたレバー支軸39(軸部)に支持され、レバー支軸39から離れた位置でアウター部材104に設けた上回動規制部38で上向き回動が規制されている。このような構成は、無駄なパーツが無く、組立性もよい。また、操作具を含めたキャスタ装置としてユニット化できるため、ユニット単位で動作確認が可能になるとともに、部品の在庫管理もし易いという効果が得られる。
このような態様によれば、無駄なパーツが無く、組立性もよい。また、操作スイッチ13を含めたキャスタ装置としてユニット化できるため、ユニット単位で動作確認が可能になるとともに、部品の在庫管理もし易いという効果が得られる。なお、操作スイッチ13の上向き回動の規制は、実施形態のようなアウター部材4に設けた部位(上回動規制部38)で行われる構成に限定されず、脚ベース106の底面に設けた部材又は底面そのもので実現されてもよいし、脚ベース106の底面と脚ベース106の部位との両方で実現されてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。
例えば、図21及び図22に示すように、上記実施形態のキャスタ装置1A,1Bは、十字形の脚ベース206を有するテーブル200に適用できる。テーブル200は、略正方形の天板201を1本の脚体203に支持させている。脚体203は、十字形の脚ベース206と、脚ベース206の交差部から立ち上がった円筒形状の脚支柱207とを備えている。
脚ベース206は内部が中空状で下向きに開口しており、脚支柱207の取付部から十字状に延びる4本の脚ベース206のうちの1本の脚ベース206の先端部内に第1キャスタ装置1Aを取り付け、その脚ベース206と同一直線状で延設された脚ベース206の端部に第2キャスタ装置1Bが取り付けられている。図22に示すように、キャスタ装置1A,1Bは連動杆2を介して連動するように構成されている。
残りの2本の脚ベース206の先端部内には、それぞれキャスタ装置1Cが取り付けられている。キャスタ装置1Cは、キャスタ装置1A,1Bと同一部品で形成されるアウター部材4、インナー部材5及び車輪6を備え、さらにスライダ部材7及びカバー部材9(図5等参照)を備えている。キャスタ装置1Cは、ロック部材8及び弾性部材10を備えておらず、転動及び旋回自在に設けられている。図22に示すように、キャスタ装置1Cにはロックレバー12や操作スイッチ13も取り付けられていない。
このように、キャスタ装置1A,1Bは、ロック機構14を構成する部品(ロック部材8及び弾性部材10)を取り外すことで、転動及び旋回自在なキャスタ装置1Cとして使用できるので、部品を共通化することで、製造コスト及び部品管理コストを低減できる。
本発明はキャビネットや椅子、ベッド等の様々の家具のキャスタ装置として使用することができる。