JP7402515B2 - マルチバネシステム - Google Patents

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Description

本発明は、複数のバネ本体を用いるマルチバネシステム、より詳細には複数のバネ本体が厚み方向に接触した状態で用いられるマルチバネシステムに関する。
この種のマルチバネシステムは、ガイドレールと戸パネルとの間に設けられ、戸パネルのクローザーとして用いられることが知られている。すなわち、戸パネルのクローザーは配置領域が戸パネルの厚み寸法に制限され、その制限された領域の中で一定のバネ出力を担保するために複数本のバネ本体を厚み方向に重ねて使用することがある。具体的に、特許文献1には、ガイドレールと戸パネルとを、戸パネルの開口方向に隣接配置された2個の定荷重バネユニットを用いて連結したマルチバネシステムが開示されている。それぞれの定荷重バネユニットは、スプール(「ボビン」に対応)と、スプールに巻装されるバネ帯体(「バネ本体」に対応)とを備えており、両ユニットのスプールは戸パネルに取り付けられたブラケットで保持されている。それぞれのスプールから繰り出されたバネ帯体同士は、厚み方向に重なるように配置されており、それぞれのバネ帯体の繰り出し端はガイドレールに連結されている。
このように構成すれば、配置領域が制限されている場合でも、左右に隣接配置された2個の定荷重バネユニットのバネ出力を合算してマルチバネシステム全体としてのバネ出力を充分に大きくでき、更に定荷重バネユニットが寿命に達するまでの時間を長期化できる。従って、ガイドレール及び戸パネルの幅方向の寸法に制約があり且つ戸パネルの重量が大きい場合でも、定荷重バネユニットの耐久性を損なうことなく戸パネルを的確に移動操作することができる。
特開2014-201918号公報
しかしながら、特許文献1に記載のようなマルチバネシステムでは、それぞれの定荷重バネユニットからバネ帯体を繰り入れ又は繰り出す際に、これらバネ帯体同士が別個に不規則に振動して相互に干渉する(一旦離間して再度衝突する)ことがある。そしてこれらバネ帯体同士が長期間、干渉し続けることにより、バネ帯体が不測に座屈することがある。
この座屈によってバネ帯体が十分なバネ出力を発揮できず、マルチバネシステム全体として十分な大きさのバネ出力が得られなくなるばかりか、前記座屈に基づきバネ帯体が比較的容易に破断しやすくなり、定荷重バネユニットの耐久性が低下するという問題も考えられる。
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、厚み方向に接触したバネ本体同士を一体的に動作させてそれぞれ別個に不規則に振動して互いに干渉することを抑制することができ、更にはバネ本体の損傷を抑えて、従来よりも定荷重バネユニットの耐久性を向上させたマルチバネシステムを提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明の一局面に係るマルチバネシステムは、水平方向に往復移動可能な引戸に取り付けられるブラケットと、軸心を有し前記軸心に直交する軸直交方向に沿って直列的に前記ブラケットに保持される複数の定荷重バネユニットとを備えるマルチバネシステムであって、前記定荷重バネユニットのそれぞれは、前記ブラケットに保持されるボビンと、前記軸直交方向に出入可能に前記ボビンに巻回されているとともに前記軸直交方向である水平方向に前記引戸の往復移動を許容するガイドレールに先端部が取り付けられる帯状の定荷重バネ部とを備え、前記定荷重バネ部は、前記ボビンから繰り出されることにより繰り入れ方向に付勢するとともに隣り合う前記定荷重バネユニットの定荷重バネ部に厚み方向に接触するバネ本体と、前記バネ本体に積層され前記バネ本体を隣り合う前記定荷重バネユニットの定荷重バネ部に付着させる付着部とを有し、前記付着部は、厚み方向に接触する前記定荷重バネ部のうち、前記ガイドレールの天壁に対向する定荷重バネ部における前記バネ本体の前記天壁に対する対向面にも積層され、前記バネ本体を前記天壁に付着させる。
このマルチバネシステムによれば、第1部材に取り付けられるブラケットと、軸心を有し前記軸心に直交する軸直交方向に沿って直列的に前記ブラケットに保持される複数の定荷重バネユニットとを備えるので、軸心方向における配置領域が制限されている場合であっても複数の定荷重バネユニットにより、マルチバネシステム全体として比較的大きなバネ出力を得ることができる。
また、前記定荷重バネユニットのそれぞれは、前記ブラケットに保持されるボビンと、前記軸直交方向に出入可能に前記ボビンに巻回されているとともに前記第1部材に対して前記軸直交方向に沿って相対的に移動する第2部材に先端部が取り付けられる帯状の定荷重バネ部とを備えるので、第1部材及び第2部材が、ブラケット及びこれら複数の定荷重バネユニットを介して接続された状態となっている。よって、これら定荷重バネユニットの定荷重バネ部をボビンから繰り出すように第2部材を前記軸直交方向に沿って第1部材に対して相対的に移動させたときに、これら定荷重バネ部の弾性回復に基づき第1及び第2部材を定荷重バネ部の繰り入れ方向へ相互に付勢させることができる。このため、定荷重バネユニットが複数設けられていることと相俟って、これら第1部材及び第2部材を的確に相対的に移動操作することができる。
また、前記定荷重バネ部は、前記ボビンから繰り出されることにより繰り入れ方向に付勢するとともに隣り合う前記定荷重バネユニットの定荷重バネ部に厚み方向に接触するバネ本体と、前記バネ本体に積層され前記バネ本体を隣り合う前記定荷重バネユニットの定荷重バネ部に対して付着させる付着部とを有するので、複数の定荷重バネユニットから繰り出されたバネ本体同士を、付着部を介して厚み方向に付着させることができる。このため、バネ本体同士を一体的に動作させることにより、それぞれ別個に不規則に振動して互いに干渉することを抑制することができ、更にはバネ本体の座屈や破断等の損傷を抑えて、その結果、定荷重バネユニットの耐久性を向上させることができる。しかも、バネ本体同士は付着部により付着されているのでばね本体同士は剥離可能であり、定荷重バネ部の繰り出し繰り入れを阻害することもない。
前記マルチバネシステムにおいて、前記付着部は、厚み方向に接触するバネ本体同士を付着させるものであれば磁性塗料や粘着剤等種々のものを用いることができるが、この付着部は特に潤滑剤により構成されていることが好ましい。
このように構成すれば、付着部及びバネ本体の界面に働く界面張力等によりバネ本体同士を適切に剥離可能に付着させることができる。このため、定荷重バネ部のボビンへの繰り入れ及びボビンからの繰り出し動作を許容しつつ、バネ本体を隣り合う定荷重バネユニットの定荷重バネ部に対して付着させて一体的に動作させることができる。しかも付着部は潤滑剤により構成されているのでバネ本体に与える影響は可及的に抑制される。従って、バネ本体同士が振動して相互に干渉するのを効果的に抑制することができ、定荷重バネユニットの耐久性を更に向上させることができる。
前記マルチバネシステムにおいて、前記潤滑剤として、液状の潤滑剤や固体潤滑剤を用いても良いが、この潤滑剤は特にグリースであることが好ましい。
このように構成すれば、グリースが有する稠度により、潤滑剤として液体の潤滑油を用いた場合に比べて付着部の流動性が小さくなる。このため、付着部をバネ本体に比較的安定して積層することができる。従って、バネ本体同士が振動して相互に干渉するのを更に効果的に抑制することができ、付着部及びバネ本体の界面に働く界面張力の効果と相俟って、定荷重バネユニットの耐久性を安定的に向上させることができる。
前記マルチバネシステムにおいて、前記第1部材として、水平方向に往復移動可能な引戸を用い、前記第2部材として、前記引戸の前記往復移動を許容するガイドレールを用いるのが好適である。
このように構成すれば、引戸をガイドレールに対して相対的に移動させたときに、引戸及びガイドレールを接続するマルチバネシステムにより、この引戸を定荷重バネ部の繰り入れ方向へ付勢することができる。すなわち、定荷重バネユニットの付勢を調整することにより、引戸を開閉した際にこの引戸が自動的に元の位置に戻る半自動引戸を構成することができる。
本発明の他の局面に係るマルチバネシステムは、水平方向に往復移動可能な引戸に取り付けられるブラケットと、軸心を有し前記ブラケットに保持される定荷重バネユニットとを備えるマルチバネシステムであって、前記定荷重バネユニットは、前記ブラケットに保持されるボビンと、前記軸心に直交する軸直交方向に出入可能に前記ボビンに巻回されているとともに前記軸直交方向である水平方向に前記引戸の往復移動を許容するガイドレールに先端部が取り付けられかつ互いに厚み方向に重なるように配置された複数の帯状の定荷重バネ部とを備え、前記定荷重バネ部のそれぞれは、前記ボビンから繰り出されることにより繰り入れ方向に付勢するとともにその厚み方向に配置された前記定荷重バネ部に接触するバネ本体と、前記バネ本体に積層され前記バネ本体をその厚み方向に配置された前記定荷重バネ部に付着させる付着部とを有し、前記付着部は、厚み方向に接触する前記定荷重バネ部のうち、前記ガイドレールの天壁に対向する定荷重バネ部における前記バネ本体の前記天壁に対する対向面にも積層され、前記バネ本体を前記天壁に付着させる。
このマルチバネシステムによれば、前記定荷重バネユニットは、前記ブラケットに保持されるボビンと、前記軸直交方向に出入可能に前記ボビンに巻回されているとともに前記第1部材に対して前記軸直交方向に沿って相対的に移動する第2部材に先端部が取り付けられかつ互いに厚み方向に重なるように配置された複数の帯状の定荷重バネ部とを備えるので、軸心方向における配置領域が制限されている場合であっても複数の定荷重バネ部により、マルチバネシステム全体として比較的大きなバネ出力を得ることができる。このため、これら第1部材及び第2部材を的確に移動操作することができる。
また、前記定荷重バネ部のそれぞれは、前記ボビンから繰り出されることにより繰り入れ方向に付勢するとともにその厚み方向に配置された前記定荷重バネ部に接触するバネ本体と、前記バネ本体に積層され前記バネ本体をその厚み方向に配置された前記定荷重バネ部に付着させる付着部とを有するので、複数の定荷重バネ部のバネ本体同士を、付着部を介して厚み方向に付着させて一体的に動作させることができる。このため、バネ本体同士を一体的に動作させてそれぞれ別個に不規則に振動して互いに干渉することを抑制することができ、更にはバネ本体の座屈や破断等の損傷を抑えて、その結果、定荷重バネユニットの耐久性を向上させることができる。
以上説明したように、本発明のマルチバネシステムによれば、厚み方向に接触した複数のバネ本体のそれぞれに付着部を積層したので、厚み方向に接触したバネ本体同士を一体的に動作させてそれぞれ別個に不規則に振動して互いに干渉することを抑制することができ、更にはバネ本体の損傷を抑えて、従来よりも定荷重バネユニットの耐久性を向上させたマルチバネシステムを提供することができる。
本発明の第1実施形態に係るマルチバネシステムが適用される引戸装置の閉状態を表す正面図である。 前記引戸装置の開状態を表す正面図である。 前記引戸装置の閉状態における縦断正面図である。 図3のIV-IV断面図である。 前記マルチバネシステムに係る定荷重バネユニットの斜視図である。 図5のVI-VI断面図である。 前記定荷重バネユニットに係るボビンの斜視図である。 前記定荷重バネユニットが保持されるブラケットの斜視図である。 図4のIX-IX断面図である。 前記引戸装置の開状態を表す図4のIX-IX断面相当図である。 本発明の第2実施形態に係るマルチバネシステムを表す図4のIX-IX断面相当図である。 本発明の変形例に係るマルチバネシステムを表す図4のIX-IX断面相当図である。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係るマルチバネシステム1について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態のマルチバネシステムは、吊下式引戸に搭載したものであるが、非吊下式引戸等その他の引戸にも搭載することができる。また、本実施形態のマルチバネシステムは、引戸に対し閉方向について付勢するものとなされているが、開方向について付勢するものであってもよい。また、引戸に対し閉方向や開方向についてバネ出力(回復力)によって自動的に移動させるものでなくてもよく、バネ出力によって引戸の開閉操作力をサポートするものであってもよい。
また、マルチバネシステムが搭載される対象物は引戸に限られず、幅方向の配置寸法に制限のある定荷重バネシステム、例えば窓や電灯等を昇降させる各種昇降装置等に搭載されてもよい。
まず、本実施形態のマルチバネシステム1が搭載される引戸装置10について簡単に説明する。図1は本実施形態のマルチバネシステム1が搭載される引戸装置10の全閉状態を表す正面図であり、図2は引戸装置10の全開状態を表す正面図である。引戸装置10は、建物等の構造物の壁面に形成された開口部4に沿って開閉する引戸100をスライド自在に設けた構成とされている。
具体的に、引戸装置10は、図1~図4に示すように、開口部4の上縁に沿って延びるガイドレール8(本発明の「第2部材」に対応)と、引戸100の開閉方向(本発明の「水平方向」及び「軸直交方向」に対応)に沿って往復移動可能(スライド自在)にガイドレール8に吊り下げられ開口部4を開閉する引戸100(本発明の「第1部材」に対応)と、引戸100とガイドレール8とを接続するマルチバネシステム1とを備え、マルチバネシステム1により引戸100を閉方向に付勢するクローザー機能を有する。
ガイドレール8は、図3及び図4に示すように、開閉方向に延びる板状の天壁83と、天壁83の幅方向の両端から垂下する一対のレール側壁81,82と、一対のレール側壁81,82の下端縁のそれぞれから互いに対向する方向に延びる一対の軌道部84,85とを備え、側面視略C字状のハンガーレールとして構成される。
天壁83には、マルチバネシステム1の後述する定荷重バネ部30の先端部をビス止めできるように閉方向端部から所定長さ位置にビス12が挿通可能な孔部83a(図9参照)が形成されている。
引戸100は、ガイドレール8に吊り下げられている。具体的に、この引戸100は、開口部4に対応する矩形パネル状の引戸本体101と、引戸本体101の頂部に配置され引戸本体101をガイドレール8に吊り下げる一対の第1及び第2ガイドユニット20,60と、を備える。
引戸本体101は、第1及び第2ガイドユニット20,60がガイドレール8に挿通されることによりガイドレール8に吊り下げられた状態で上部が案内されるようになっている。
第1及び第2ガイドユニット20,60は、引戸本体101の上隅部に埋設した状態で固定される固定部27,67と、固定部27,67の上方に連結部25,65を介して取り付けられるローラー取付部21,61と、ローラー取付部21,61に回動可能に軸支されるガイドローラー23,63と、を備える。
第1ガイドユニット20は、第2ガイドユニット60とともにガイドレール8に沿って引戸本体101の開閉方向への移動を案内するものとなされている。また、第1ガイドユニット20は、本実施形態では、ローラー取付部21においてマルチバネシステム1に連結されるようになっている。
固定部27,67は、正面視略矩形を呈し、その幅方向の寸法(厚み)は引戸本体101の幅方向の寸法よりも小さくされている。また、固定部27,67には開閉方向から操作可能な高さ調節機構(不図示)が搭載されており、この高さ調節機構を用いて連結部25,65の突出量を調節することにより引戸100の開閉方向との傾きを調整し得るようになっている。
ローラー取付部21,61は、開閉方向に細長い板状部材である。ローラー取付部21,61には、図4に示すように複数のガイドローラー23,63を回動可能に軸支するための孔部23a,63aが幅方向に貫通して形成されているとともに、連結部25,65を固定するための孔部25a,65aが平面視中央部に上下方向に貫通して形成されている。孔部23a,63aは、引戸本体101を安定して吊り下げるために、孔部25a,65aを挟んで開閉方向に2箇所以上形成されるのが好ましい。
また、ローラー取付部21には、マルチバネシステム1のブラケット5の連結部52(後述)と連結可能な連結突起21aがその開方向端部に開方向側に突出して形成されている。この連結突起21aには、ビス13が挿通可能な孔部が上下方向に貫通して形成されている。
ガイドローラー23,63は、図4に示すように、ローラー取付部21,61の幅方向の両端にそれぞれ配置される。より詳しくは、孔部23a,63aに回動可能に軸支された軸部材23b,63bの幅方向両端に一つずつ配置される。
マルチバネシステム1は、引戸100及びガイドレール8にまたがって取り付けられ、引戸100を開方向に移動させることにより定荷重バネ部30(後述)が繰り出され、定荷重バネ部30の弾性回復による略一定のバネ出力により、引戸100を閉方向に付勢することができるようになされている。
具体的には、マルチバネシステム1は、図3に示すように、ローラー取付部21の連結突起21aに連結されるブラケット5と、開閉方向に沿って直列的にブラケット5に保持される複数個(本実施形態では2個)の定荷重バネユニット3とを備え、これらの定荷重バネユニット3によって引戸100を閉方向に移動させるバネ出力を付与する。
ブラケット5は、図8に示すように、第1ガイドユニット20と連結可能な連結部52と、連結部52の開方向端部に一体に取り付けられ上向きに開口した箱型のブラケット本体50と、ブラケット本体50の開方向端部から開方向に向かって突設されたローラー取付部51と、ローラー取付部51の幅方向両端に回動可能に軸支されたガイドローラー53と、を備える。
連結部52は、略直方体形状を呈しており、その閉方向側の端面にはローラー取付部21の連結突起21aが嵌合可能な連結凹部52aが形成されている。
連結部52には、その下面から連結凹部52aに至るまでビス13が挿通可能な孔部が形成されており、この孔部は、連結凹部52aと連結突起21aが嵌合した状態で連結突起21aの孔部と連続するようになっている。この状態で、これら孔部にビス13を挿通することで連結部52と連結突起21aとが共締めされるようになっている。
ブラケット本体50は、図8に示すように、開閉方向に細長い直方体状の箱体に形成されている。
具体的に、ブラケット本体50は、開閉方向に延びる平面視略矩形状の底壁54と、底壁54の開閉方向の両端から上方に立設された一対の第1及び第2のブラケット側壁57,58と、底壁54の幅方向の両端から上方に立設されて第1及び第2のブラケット側壁57,58の幅方向の端部と接する第3及び第4のブラケット側壁55,56と、を備え、これら各ブラケット側壁55,56,57,58によって上方に開口する内部空間を有する箱型を呈する。
ブラケット本体50は、また、内部空間を開閉方向に2つに仕切る仕切壁59を有する。この仕切壁59によって定荷重バネユニット3を収容(配置)するための2つの収容空間が開閉方向に沿って規定されている。
仕切壁59の高さは、この仕切壁59と定荷重バネ部30との干渉を避けるために第1のブラケット側壁57の高さより低いのが好ましく、後述する孔部55a,56aが形成されている高さと同等ないしはやや低いのがより好ましい。
底壁54には、ボビン35の下端部と底壁54との接触を回避して定荷重バネユニット3を十分に回動可能に収容するために、逃がし孔部54aが各収容空間に対応して厚み方向に貫通して形成されている。この逃がし孔部54aには、ボビン35の下端部が配置されるようになっている。
第3のブラケット側壁55には、各収容空間に対応する位置に幅方向に貫通した孔部55aが形成されている。孔部55aは、後述する軸部材37の固定端部37cを嵌合して固定するために、その内径がこの固定端部37cの外径と略同じになるように形成される。
第4のブラケット側壁56には、第3のブラケット側壁55の孔部55aに対向する位置に孔部56aが形成されている。孔部56aは、後述する軸部材37が挿通可能となるように、その内径が軸本体37bの外径より僅かに大きくなるように形成される。
一組の孔部55a,56aは、定荷重バネユニット3の個数に応じて複数箇所に形成される。一組の孔部55a,56aは、ブラケット本体50の開閉方向に並んで形成される。また、複数組の孔部55a,56aはそれぞれ本実施形態では、上下方向に略同じ高さとなるように形成される。
ガイドローラー53は、図4に示すように、ローラー取付部51の幅方向の両端にそれぞれ配置される。より詳細には、ガイドローラー53は、ローラー取付部51の幅方向に貫通して形成された孔部53aに対して回動可能に挿通された軸部材53bの幅方向両端にそれぞれ配置される。
これらのガイドローラー53は、ガイドレール8の軌道部84,85に沿って開閉方向に走行することにより、ガイドローラー23,63と協働して引戸100の開閉方向への移動を案内する。
定荷重バネユニット3は、図9に示すように、ブラケット5に保持されるボビン35と、ボビン35に先端部(本実施形態では閉方向側の端部)が開閉方向に出入可能に巻回される帯状の定荷重バネ部30とを備えている。
ボビン35は、定荷重バネ部30を巻き回して保持するための部材であり、図7に示すように、円筒形状の芯材38と、芯材38の軸方向両端に設けられる一対のフランジ39と、を備える。
芯材38には、軸部材37が挿通可能な孔部38aが軸方向に貫通して形成されている。この孔部38aと、第3及び第4のブラケット側壁55,56の孔部55a,56aとが重ね合わされた状態で、これら孔部38a,55a,56aに軸部材37が挿通されることで、定荷重バネユニット3が開閉方向に沿って直列的にブラケット本体50に保持されるようになっている。
フランジ39は、中空円環形状(ドーナツ形状)を呈し、その内周が芯材38の内周と連続するように構成されている。また、フランジ39の外径は、ボビン35(芯材38)に巻回された定荷重バネ部30の幅方向への位置ずれを防止するために、芯材38の外径よりも大きく設定されている。
軸部材37は、図9に示すように、ボビン35の軸心となってボビン35をブラケット5に保持するための部材であり、略円盤状のヘッド37aと、一端部がヘッド37aの一方の面に一体に固定され孔部38aに挿通可能な軸本体37bと、軸本体37bの一端部とは反対側の他端部に軸本体37bと一体に形成され孔部55aに嵌合可能な固定端部37cとにより構成される。
軸本体37bの直径は、孔部38a,56aに挿通するために、孔部38a,56aの内径に比べて僅かに小さく設定されている。これにより、軸本体37bは、ボビン35を回動可能に軸支する。
固定端部37cは、孔部55aに嵌合して固定するために、その直径が孔部55aの直径と略同じであることが好ましい。また、固定端部37cは、第3のブラケット側壁55にカシメ加工して固定するために、その軸方向の長さが第3のブラケット側壁55の幅方向の厚みよりも大きくなる(すなわち、固定端部37cが第3のブラケット側壁55から厚み方向外側に突出する)ように設定される。
定荷重バネ部30は、図9に示すように、帯状のバネ本体31と、バネ本体31の厚み方向両面に積層される付着部32と、を有する。定荷重バネ部30は、図6に示すように、一方の端部34が芯材38に弾性回復力により保持される非固定状態(フリー状態)となるようにボビン35の芯材38に対して一定の曲率で巻回されており、ボビン35から繰り出されることにより繰り入れ方向へのバネ出力を蓄積し、ボビン35から繰り出された状態において繰り入れ方向へ付勢するものとなされている。
定荷重バネ部30の先端部(端部34とは反対側の端部)には、図5及び図9に示すように、ビス12が挿通可能な孔部33が形成されている。この孔部33と天壁83の孔部83aとが重なった状態でこれら孔部33,83aにビス12が挿通されることにより定荷重バネ部30が天壁83に取り付けられるようになっている。
また、定荷重バネ部30は、ボビン35から所定距離以上繰り出された状態におけるバネ出力が略一定となるように構成されている。このため、定荷重バネ部30は、常に略一定のバネ出力を得るために、引戸100が開口部4を完全に閉止した全閉状態において所定距離以上繰り出された状態でガイドレール8に取り付けられるのが好ましい。
また、定荷重バネ部30の長さは、引戸100の全開状態でもバネ出力を付与できるように設定されている。定荷重バネ部30のバネ出力は、適宜設定されるが、引戸100が低速で閉まるように引戸100の重量等を考慮して設定されるのが好ましい。なお、定荷重バネ部30のバネ出力は、その厚み及び幅方向の長さ、曲率等により設定される。
バネ本体31は、バネ用鋼材やSUS材により構成される。
付着部32は、複数のバネ本体31同士をバネ本体31の厚み方向に付着させて、バネ本体31が不規則に振動するのを抑制するために用いられる。付着部32は、バネ本体31の素材へのサビ等の影響を可及的に抑制するために潤滑剤により構成されるのが好ましく、定荷重バネユニット3の耐久性を安定的に向上させるためにグリースにより構成されるのが更に好ましい。
なお、付着部32は、本実施形態では、バネ本体31の略全面に亘って積層されるが、必ずしも全面に亘って積層される必要はなく、隣り合う定荷重バネユニット3の定荷重バネ部30と接触している部分に積層されていれば十分である。
以下、マルチバネシステム1の組み立て方法について説明する。なお、以下に説明するマルチバネシステム1の組み立て方法は一例に過ぎず、以下の手順は適宜変更しても良い。
まずは、定荷重バネユニット3を組み立てる。具体的には、図6に示すように、バネ本体31を端部34がフリー状態となるようにボビン35に巻回す。そしてボビン35に巻回されたバネ本体31を繰り出してこのバネ本体31の厚み方向両面にグリースを塗布することにより付着部32を積層させ、この状態でバネ本体31をボビン35に繰り入れる。このようにすることで、バネ本体31の厚み方向両面に満遍なく付着部32を積層させることができる。
次に、定荷重バネユニット3をブラケット5に保持する。具体的には、図9に示すように定荷重バネユニット3をそれぞれブラケット本体50の収容空間に収容し、ボビン35の孔部38a(図3参照)とブラケット本体50の第3及び第4のブラケット側壁55,56の孔部55a,56aとを幅方向に重ね合わせた状態でこれら孔部38a,55a,56aに軸部材37を挿通する。この時、軸部材37の固定端部37cのうち第3のブラケット側壁55の厚み方向外側に突出した部分をカシメ加工して、軸部材37をブラケット本体50に固定する。このようにすることで、定荷重バネユニット3がブラケット5に回転自在に保持される。
以下、マルチバネシステム1を搭載した引戸装置10を組み立てる方法について説明する。なお、以下に説明するマルチバネシステム1の組み立てる方法は一例に過ぎず、以下の手順は適宜変更しても良い。
まずは、マルチバネシステム1を第1ガイドユニット20に取り付ける。具体的には、図9に示すように、マルチバネシステム1のブラケット5の連結部52に形成された連結凹部52aに第1ガイドユニット20のローラー取付部21に形成された連結突起21aを嵌合し、これら連結凹部52aと連結突起21aとをビス13で共締めする。
次に、引戸本体101に第1及び第2ガイドユニット20,60を取り付ける。具体的には、図3に示すように、引戸本体101の上隅部に第1及び第2ガイドユニット20,60の固定部27,67を埋設してネジ等で固定する。この時、第1及び第2ガイドユニット20,60の連結部25,65が引戸本体101の上端部から突出した状態となるように埋設する。
次に、ガイドレール8に引戸100を取り付ける。具体的には、図3及び図4に示すように、ガイドレール8の開閉方向の一方の端部からマルチバネシステム1と、第1及び第2ガイドユニット20,60とを挿通する。この時、ガイドレール8の軌道部84,85に、マルチバネシステム1のガイドローラー53と、第1及び第2ガイドユニット20,60のガイドローラー23,63とを載せつつ挿通する。
次に、ガイドレール8を開口部4の上端部に取り付けるとともに、マルチバネシステム1をガイドレール8に取り付ける。具体的には、マルチバネシステム1と、第1及び第2ガイドユニット20,60とをガイドレール8に挿通した状態で、このガイドレール8を開口部4の上縁にネジ等を用いて取り付ける。また、マルチバネシステム1の2個の定荷重バネ部30をそれぞれ繰り出して、その先端部に形成された孔部33と、ガイドレール8の天壁83に形成された孔部83aとを重ね合わせた状態でこれら孔部33,83aにビス12を挿通して、定荷重バネ部30を天壁83に取り付ける。
この時、定荷重バネ部30がボビン35から所定距離以上繰り出された状態で、定荷重バネ部30をガイドレール8に取り付けるのが好ましい。これは、定荷重バネ部は一般に、ボビンから繰り出した直後にはバネ出力が一定とはならず(つまり定荷重バネ部がボビンから繰り出された距離に応じてバネ出力が変動し)、ボビンから所定距離以上繰り出した状態においてバネ出力が略一定となる(つまり定荷重バネ部がボビンから繰り出された距離に関わらずバネ出力が略一定となる)からである。
また、定荷重バネ部30は、そのボビン35から繰り出された部分が開閉方向に対して略平行となるように、天壁83に取り付けられるのが好ましい。これは、定荷重バネ部30の開閉方向のバネ出力(定荷重バネ部30をボビン35から繰り出したときに、この定荷重バネ部30をボビン35に繰り入れる方向に働く付勢力)が略最大となり、引戸100を効率的に開閉方向に付勢することができるからである。
以上の手順により、マルチバネシステム1を搭載した引戸装置10を組み立てることができる。
次に、マルチバネシステム1を搭載した引戸装置10の組み立て状態における複数の定荷重バネユニット3同士の関係について説明する。
ここでは、複数の定荷重バネユニット3のうちブラケット5の閉方向側に保持される定荷重バネユニット3を定荷重バネユニット3A、定荷重バネユニット3Aの定荷重バネ部30、バネ本体31、付着部32をそれぞれ定荷重バネ部30A、バネ本体31A、付着部32Aと呼称し、開方向側に保持される定荷重バネユニット3を定荷重バネユニット3B、定荷重バネユニット3Bの定荷重バネ部30、バネ本体31、付着部32をそれぞれ定荷重バネ部30B、バネ本体31B、付着部32Bと呼称して両者を区別する。
隣り合う定荷重バネユニット3A,3Bから閉方向に繰り出された定荷重バネ部30A,30B同士は、図9に示すように、それぞれの繰り出された部分が互いに厚み方向に接触するように配置されている。より詳細には、定荷重バネユニット3Aから繰り出された定荷重バネ部30Aのバネ本体31Aの厚み方向の上部は、付着部32A,32Bを介して、定荷重バネユニット3Bから繰り出された定荷重バネ部30Bのバネ本体31Bの下部と接触している。このとき、定荷重バネ部30Aの付着部32Aと定荷重バネ部30Bの付着部32Bとが界面張力により互いに引き寄せられ、それぞれ別個に振動するのが抑制された状態となっている。
また、定荷重バネユニット3Bから繰り出された定荷重バネ部30Bのバネ本体31Bは、付着部32Bを介して天壁83と接触している。このとき、定荷重バネ部30Bが付着部32Bの界面張力により天壁83に引き寄せられ、定荷重バネ部30Bが天壁83に対して振動するのが抑制された状態となっている。
以下マルチバネシステム1を搭載した引戸装置10の動作について説明する。
引戸装置10は、初期状態においては、図1に示すように引戸100が閉方向側に位置して開口部4を完全に閉止した全閉状態となっている。全閉状態においては、引戸100は閉方向側の壁に接触して静止している。この状態では、定荷重バネ部30は、ボビンから所定距離以上繰り出された状態でガイドレール8に取り付けられている。
全閉状態から引戸100をマルチバネシステム1によるバネ出力に抗して開方向に移動操作すると、定荷重バネ部30は、図10に示すようにボビン35から繰り出された状態となる。この時、定荷重バネ部30は、ボビン35から繰出された長さに関わらず略一定のバネ出力で引戸100を繰り入れ方向(つまり閉方向)に付勢するように働く。
本実施形態では、全開状態においては、定荷重バネ部30のバネ出力により、引戸100が自動的に全閉状態にまで移動するようになる。
(作用効果)
本発明の第1実施形態に係るマルチバネシステム1によれば、引戸100に取り付けられるブラケット5と、開閉方向に沿って直列的にブラケット5に保持される定荷重バネユニット3とを備えるので、開閉方向に直交する幅方向における配置領域が制限されている場合であっても、定荷重バネユニット3により、マルチバネシステム1全体として比較的大きなバネ出力を得ることができる。
また、定荷重バネユニット3のそれぞれは、ブラケット5に保持されるボビン35と、開閉方向に出入可能にボビン35に巻回されているとともに引戸100に対して開閉方向に沿って相対的に移動するガイドレール8に先端部が取り付けられる帯状の定荷重バネ部30とを備えるので、引戸100及びガイドレール8が、ブラケット5及びこれら複数の定荷重バネユニット3を介して接続された状態となっている。よって、これら定荷重バネユニット3の定荷重バネ部30をボビン35から繰り出すようにガイドレール8を開閉方向に沿って引戸100に対して相対的に移動させたときに、これら定荷重バネ部30の弾性回復に基づき引戸100及びガイドレール8を定荷重バネ部30の繰り入れ方向へ相互に付勢させることができる。このため、定荷重バネユニット3が複数設けられていることと相俟って、これら引戸100及びガイドレール8を的確に相対的に移動操作することができる。
また、定荷重バネ部30は、帯状のバネ本体31と、バネ本体31のそれぞれに積層される付着部32と、を有し、付着部32は、隣り合う定荷重バネユニット3のバネ本体31同士を厚み方向に付着させるので、バネ本体31同士を一体的に動作させることによりそれぞれ別個に不規則に振動して互いに干渉することを抑制することができ、更にはバネ本体31の座屈や破断等の損傷を抑えて、その結果、定荷重バネユニット3の耐久性を向上させることができる。しかも、バネ本体31同士は付着部32により付着されているので、バネ本体31同士は剥離可能であり、定荷重バネ部30の繰り出し及び繰り入れを阻害することはない。
また、付着部32をグリースにより構成したので、付着部32及びバネ本体31の界面に働く界面張力等によりバネ本体31同士を付着させることができる。このため、定荷重バネ部30のボビン35への繰り入れ及びボビン35からの繰り出し動作を許容しつつ、バネ本体31同士を付着させて一体的に動作させることができる。従って、バネ本体31同士が振動して相互に干渉するのを効果的に抑制することができ、定荷重バネユニット3の耐久性を更に向上させることができる。
更に、付着部32は、グリースが有する稠度により、その流動性が比較的小さくなる。このため、付着部32をバネ本体31に比較的安定して積層することができる。従って、バネ本体31同士が振動して相互に干渉するのを更に効果的に抑制することができ、付着部32及びバネ本体31の界面に働く界面張力の効果と相俟って、定荷重バネユニット3A,3Bの耐久性を更に向上させることができる。
また、引戸100の上方にマルチバネシステム1が配置されているので、引戸100として吊下げ式のものを用いることができる。このため、引戸100が配置される床面を平坦にすることができ、建物等のバリアフリー性を向上させることができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係るマルチバネシステム201について、第1実施形態との差異を中心に説明する。
本第2実施形態のマルチバネシステム201は、図11に示すように、複数のボビン35を保持するブラケット5の代わりに単一のボビン35を保持するブラケット205を用い、単一の定荷重バネ部30と単一のボビン35とを備える定荷重バネユニット3の代わりに複数の定荷重バネ部30と単一のボビン35とを備える定荷重バネユニット203を用いる点で第1実施形態に係るマルチバネシステム1とは異なる。
ブラケット205のブラケット本体250は、上方に開口する箱状を呈し、当該開口により定荷重バネユニット203が収容可能な収容空間が規定されている。また、ブラケット本体250の底壁254、第5及び第6の側壁255,256は、ブラケット本体50の底壁54、第3及び第4のブラケット側壁55,56に比べてその開閉方向の寸法が小さくされ、第5及び第6の側壁255,256(不図示)には、孔部55a,56aと同様な孔部255a,256a(不図示)がそれぞれ一箇所ずつ形成されている。
また、定荷重バネユニット203は、ブラケット205に保持されるボビン35と、開閉方向に出入可能にボビン35に巻回されているとともに互いに厚み方向に接触するように配置された複数(本実施形態では2個)の帯状の定荷重バネ部30とを備える。
第2実施形態に係る定荷重バネユニット203は、第1実施形態に係る定荷重バネユニット3と異なり、複数の定荷重バネ部30が、互いに厚み方向に重なった状態でボビン35に巻き回されるようになっている。
マルチバネシステム201を組み立てる際、まずは定荷重バネユニット203を組み立てる。具体的に、複数のバネ本体31のそれぞれの両面にグリースにより構成された付着部32を積層し、複数の定荷重バネ部30を構成する。そして、これら複数の定荷重バネ部30を、それぞれ厚み方向に重ねた状態で、端部34がフリー状態となるようにボビン35に巻回す。
次に、このようにして組み立てられた定荷重バネユニット203をブラケット205に保持する。具体的に、定荷重バネユニット203をブラケット205の収容空間に収容する。そして、第5及び第6の側壁255,256の孔部255a,256aとボビン35の孔部38aとを重ねた状態でこれら孔部に軸部材37を挿通する。
上記手順により、マルチバネシステム201を組み立てることができる。
(作用効果)
本発明の第2実施形態に係るマルチバネシステムによれば、厚み方向における配置領域が制限されている場合であっても複数の定荷重バネ部30により、マルチバネシステム全体として比較的大きなバネ出力を得ることができる。このため、これら引戸100及びガイドレール8を的確に移動操作することができる。
また、付着部32は、定荷重バネ部30のバネ本体31同士を厚み方向に付着させるので、バネ本体31同士を一体的に動作させることによりそれぞれ別個に不規則に振動して互いに干渉することを抑制することができ、更にはバネ本体31の座屈や破断等の損傷を抑えて、その結果、定荷重バネユニット3の耐久性を向上させることができる。
(変形例)
前記実施形態は本発明の好ましい具体例を例示したものに過ぎず、本発明は前記実施形態に限定されない。
例えば、上記第1実施形態では、引戸装置10に搭載されるマルチバネシステム1について説明したが、マルチバネシステムが搭載される対象物は、引戸装置10に限られず、例えば照明等を昇降させる昇降装置であっても良い。
この昇降装置は例えば、天井と、この天井に一端が取り付けられこの天井から垂下するマルチバネシステムと、このマルチバネシステムの他端に取り付けられる昇降体とを備える。このマルチバネシステムの定荷重バネ部は、下向きに繰り出されるようになっており、繰り出し状態において昇降体を上向きに付勢するようになっている。
定荷重バネ部は、ボビンから所定距離以上繰り出された状態において、そのバネ出力(上向きに働く回復力)と昇降体の重力とが釣り合うように構成されている。このようにすれば、昇降体を小さな外力で容易に昇降させることがきるとともに、当該昇降位置でこの昇降体を保持することができる。
また、本発明のマルチバネシステム1は、折れ戸、引き違い戸、引き出し、食器棚、ロールスクリーン、昇降窓等、定荷重バネユニット3を用いることができるものであればその他のものに対しても搭載することができる。
上記第1実施形態では、マルチバネシステム1が引戸100の上方に配置されている場合について説明したが、マルチバネシステム1が配置される位置はこれに限られず、例えば引戸の下方に配置されていても良い。具体的には、引戸装置10の全開状態において引戸100が収容可能な戸袋を開口部4に隣接する壁面に設け、この戸袋の内部であってこの戸袋の開方向端部に設けてもよい。この場合、初期状態において引戸100は、開口部4が全開となる全開位置に位置しており、この状態から引戸100を閉方向に移動させることで、定荷重バネ部30のバネ出力により引戸100が開方向に付勢されるようにすることもできる。
上記第1実施形態では、定荷重バネ部30をガイドレール8の天壁83に直接取り付けたが、定荷重バネ部30をガイドレール8に取り付ける方法はこれに限られない。例えば、図12に示すようにガイドレール8の代わりに、天壁83と、レール側壁81,82と、軌道部84,85と、天壁83の下面に配置されるスペーサー86と、を備えたガイドレールを用い、このスペーサー86の孔部86aと定荷重バネ部30の孔部33とを重ね合わせて孔部86a,33にビス12を挿通することにより、両者を取り付けても良い。このようにすれば、スペーサー86の厚みの分だけ定荷重バネ部30と天壁83との間に空間ができるので、天壁83と定荷重バネ部30とが接触して定荷重バネ部30が破断するのを抑制することができる。
また、定荷重バネ部30と天壁83との間に空間が存在する場合、引戸100の開閉の際にマルチバネシステム1が上下方向に移動する跳ね上げが発生するという問題が想定されるところ、当該跳ね上げを抑制するために第3及び第4のブラケット側壁55,56の開方向上端部から上方に突出するブラケット側跳ね上げ抑制部を設けても良い。ブラケット側跳ね上げ抑制部の突出量は、ボビン35の上端よりも高く設定され、天壁83に接するように設定されるのがより好ましい。このようにすることで、引戸100の開閉の際にブラケット側跳ね上げ抑制部が天壁83に当接した状態となる。このため、マルチバネシステム1が上下方向に移動する跳ね上げを抑制することができる。
この時、ガイドレール8のレール側壁81,82のそれぞれに、開閉方向に延びて互いに対向する向きに突出し、ブラケット側跳ね上げ抑制部と当接可能な一対の当接部を形成しても良い。このようにすることで、引戸100の開閉の際にブラケット側跳ね上げ抑制部が当接部に当接した状態となる。このため、ブラケット側跳ね上げ抑制部の突出量をそれほど大きくしなくても、マルチバネシステム1が上下方向に移動する跳ね上げを抑制することができる。
また、第2ガイドユニット60にも跳ね上げを抑制するためのローラー側跳ね上げ抑制機構を設けても良い。このローラー側跳ね上げ抑制機構は、例えば、ローラー取付部61の閉方向側の端部にネジ等で取り付けられるとともに幅方向に延びてガイドレール8のレール側壁81,82と当接する平面視略矩形状の固定部と、固定部の幅方向両端から上方に立設され開閉方向に延びる一対のローラー側跳ね上げ抑制部とにより構成される。ローラー側跳ね上げ抑制の高さは、ボビン35の上端よりも高く設定され、天壁83に接するように設定されるのがより好ましい。このようにすることで、ローラー側跳ね上げ抑制部が天壁83に当接した状態となり、第2ガイドユニット60の跳ね上げを抑制することができる。また、ガイドレール8のレール側壁81,82に当接部を形成した場合は、ローラー側跳ね上げ抑制部の高さをそれほど大きくしなくても、第2ガイドユニット60が上下方向に移動する跳ね上げを抑制することができる。
上記第1実施形態では、ビス12を介して定荷重バネ部30をガイドレール8に取り付けたが、この時、ビス12が挿通可能な孔部が形成された平板形状の押さえ板を用いても良い。すなわち、この押さえ板とガイドレール8の天壁83とで定荷重バネ部30を挟み込んだ状態で、これらの孔部にビス12を挿通し、定荷重バネ部30をガイドレール8に固定しても良い。このようにすれば、定荷重バネ部30が押さえ板と天壁83に挟まれた状態でガイドレール8に固定されるので、押さえ板の押し付け力が定荷重バネ部30の先端部の比較的広範囲に付与される。このため、定荷重バネ部30の先端部の反り変形を抑制し、定荷重バネ部30を比較的安定した状態でガイドレール8に固定することができる。
上記第1実施形態では、複数の定荷重バネユニット3を単一のブラケット5に保持したが、複数の定荷重バネユニット3を単一のブラケット5に一緒に保持する必要はなく、複数のブラケットにそれぞれ別個に保持しても良い。このようにすれば、ブラケットの製造コストが増大するものの、各ブラケット同士を連結し又は連結解除することにより、必要に応じて定荷重バネユニット3の個数を調整することができる等、使用時における汎用性を向上させることができる。
上記第1実施形態では、第1部材として吊下式の引戸100を用いたが、第1部材として用いることができるものは吊下式のものに限られない。例えば、引戸本体101の下端部に戸車を設けて地面に接地するようにした引戸を用いても良い。
上記第1実施形態では、引戸100の第1ガイドユニット20のローラー取付部21にブラケット5を取り付け、ガイドレール8に定荷重バネ部30を取り付けたが、ブラケット5及び定荷重バネ部30が取り付けられる位置はそれぞれ逆であっても良い。すなわち、ガイドレール8にブラケット5を取り付け、引戸100に定荷重バネ部30を取り付けても良い。
その他、本発明の特許請求の範囲内で種々の設計変更が可能であることは言うまでもない。
1 マルチバネシステム
3 定荷重バネユニット
5 ブラケット
8 ガイドレール(第2部材)
30 定荷重バネ部
31 バネ本体
32 付着部
35 ボビン
100 引戸(第1部材)
201 マルチバネシステム
203 定荷重バネユニット
205 ブラケット

Claims (4)

  1. 水平方向に往復移動可能な引戸に取り付けられるブラケットと、軸心を有し前記軸心に直交する軸直交方向に沿って直列的に前記ブラケットに保持される複数の定荷重バネユニットとを備えるマルチバネシステムであって、
    前記定荷重バネユニットのそれぞれは、前記ブラケットに保持されるボビンと、前記軸直交方向に出入可能に前記ボビンに巻回されているとともに前記軸直交方向である水平方向に前記引戸の往復移動を許容するガイドレールに先端部が取り付けられる帯状の定荷重バネ部とを備え、
    前記定荷重バネ部は、前記ボビンから繰り出されることにより繰り入れ方向に付勢するとともに隣り合う前記定荷重バネユニットの定荷重バネ部に厚み方向に接触するバネ本体と、前記バネ本体に積層され前記バネ本体を隣り合う前記定荷重バネユニットの定荷重バネ部に付着させる付着部とを有し、
    前記付着部は、厚み方向に接触する前記定荷重バネ部のうち、前記ガイドレールの天壁に対向する定荷重バネ部における前記バネ本体の前記天壁に対する対向面にも積層され、前記バネ本体を前記天壁に付着させるマルチバネシステム。
  2. 請求項1に記載のマルチバネシステムにおいて、
    前記付着部は、潤滑剤により構成されている、マルチバネシステム。
  3. 請求項2に記載のマルチバネシステムにおいて、
    前記潤滑剤は、グリースである、マルチバネシステム。
  4. 水平方向に往復移動可能な引戸に取り付けられるブラケットと、軸心を有し前記ブラケットに保持される定荷重バネユニットとを備えるマルチバネシステムであって、
    前記定荷重バネユニットは、前記ブラケットに保持されるボビンと、前記軸心に直交する軸直交方向に出入可能に前記ボビンに巻回されているとともに前記軸直交方向である水平方向に前記引戸の往復移動を許容するガイドレールに先端部が取り付けられかつ互いに厚み方向に重なるように配置された複数の帯状の定荷重バネ部とを備え、
    前記定荷重バネ部のそれぞれは、前記ボビンから繰り出されることにより繰り入れ方向に付勢するとともにその厚み方向に配置された前記定荷重バネ部に接触するバネ本体と、前記バネ本体に積層され前記バネ本体をその厚み方向に配置された前記定荷重バネ部に付着させる付着部とを有し、
    前記付着部は、厚み方向に接触する前記定荷重バネ部のうち、前記ガイドレールの天壁に対向する定荷重バネ部における前記バネ本体の前記天壁に対する対向面にも積層され、前記バネ本体を前記天壁に付着させるマルチバネシステム。
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