JP7401731B2 - 鋼材の溶削装置、及び、鋼材の溶削方法 - Google Patents

鋼材の溶削装置、及び、鋼材の溶削方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋼材の表面を溶削する鋼材の溶削装置、及び、鋼材の溶削方法に関するものである。
例えば、連続鋳造によって製造される鋳片等の鋼材の表面には、介在物の巻き込みや表面疵等の表面欠陥が発生することがある。
このような鋼材の表面欠陥を除去する際には、例えば特許文献1-3に開示された溶削装置(スカーファー設備)が用いられる。これらの溶削装置(スカーファー設備)は、鋳片(鋼材)の表面を局所的に加熱して溶融し、表面欠陥を除去するものである。
上述の溶削装置(スカーファー設備)においては、鋼材の表面に対向するようにスカーファーユニットが配設されている。
このような構成の溶削装置(スカーファー設備)においては、まず、鋼材の表面に対して可燃性ガスと予熱用酸素を吹き付けて可燃性ガスを燃焼させ、この燃焼熱により、鋼材の表面を局所的に溶融して湯溜まり部を形成する(予熱ステップ)。
次に、鋼材の表面に溶削用酸素を供給するとともに鋼材を搬送し、上述の湯溜まり部を熱源として溶削用酸素と鉄とを酸化反応させ、この酸化反応熱によって、鋼材の表面を溶融し、表面欠陥を除去する(溶削ステップ)。なお、溶削用酸素が供給され、鋼材の鉄との酸化反応が生じる領域を火点と称す。
実開平03-070856号公報 特開平09-168862号公報 特開平10-272561号公報
最近では、溶削の生産性向上、及び、溶削時の歩留まり向上のため、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが求められている。
従来、上述の溶削装置(スカーファー設備)によって鋼材の表面を溶削する場合には、溶削用酸素の酸素量(酸素圧力)と鋼材の搬送速度を調整することにより、溶削深さを制御していた。すなわち、溶削深さは、おおよそ酸素の供給律速となるため、溶削深さを浅くする場合には、酸素量を少なくするか、あるいは、鋼材の搬送速度を速くすることになる。
ここで、溶削深さを浅くするために、酸素量を少なくしたり、鋼材の搬送速度を速くしたりした場合には、火点への酸素の供給が不安定となり、安定して溶削を行うことができず、幅方向において溶削深さに変動が生じ、溶削後の鋼材の表面に大きな凹凸が形成されることがあった。すなわち、鋼材を溶削する場合には、安定して溶削が可能な溶削深さの下限値(限界溶削深さ)及び搬送速度の上限値(限界搬送速度)が存在しており、溶削深さを浅くすることが困難であった。
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、鋼材の表面を安定して溶削することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能な鋼材の溶削装置、及び、鋼材の溶削方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、溶削を実施する場合には、火点に供給される酸素の純度を向上させること、及び、鉄と酸素との反応によって生じた酸化物(ノロ)を火点から速やかに排出すること、により、鋼材の搬送速度を増速させても安定して溶削することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削可能であるとの知見を得た。
また、本発明者らは、溶削用酸素を噴出する溶削用酸素噴出部の先端位置から鋼材の表面までの溶削用酸素噴流距離Lと火点に供給される溶削用酸素の純度との関係を計算するとともに実測した。その結果を図1に示す。図1に示すように、溶削用酸素噴流距離Lが短くなるにつれて溶削用酸素の純度が上昇することが分かった。また、上述の溶削用酸素噴流距離Lが短くなると溶削用酸素の運動量が増加し、火点からの酸化物(ノロ)の排出が促進されることが分かった。
なお、従来の鋼材の溶削装置においては、上述の溶削用酸素噴流距離は、おおそよ100mm程度とされていた。
本発明は、上述の知見に基づいてなされたものであって、本発明に係る鋼材の溶削装置は、可燃性ガス及び予熱用酸素を噴出する予熱用ガス噴出部と、溶削用酸素を噴出する溶削用酸素噴出部と、を有し、鋼材の表面に可燃性ガスと予熱用酸素を吹き付けて前記鋼材の表面に湯溜まり部を形成し、この湯溜まりに向けて溶削用酸素を吹き付けて前記溶削用酸素と鉄との酸化反応熱によって、前記鋼材の表面を溶削する鋼材の溶削装置であって、前記溶削用酸素噴出部の先端位置から前記鋼材の表面までの溶削用酸素噴流距離が30mm以上90mm以下の範囲内に設定されており、前記溶削用酸素が供給されて前記鋼材の鉄との酸化反応が生じる領域である火点において、鉄と酸素との反応で生じた酸化物を排出するとともに、前記溶削用酸素に雰囲気から不純物が混入することを抑制して前記火点に供給される酸素を高純度化することを特徴としている。
この構成の鋼材の溶削装置によれば、前記溶削用酸素噴出部の先端位置から前記鋼材の表面までの溶削用酸素噴流距離が30mm以上90mm以下の範囲内とされており、従来の鋼材の溶削装置よりも近接して配置されているので、溶削用酸素に雰囲気中から不純物が混入することが抑制され、火点に供給される溶削用酸素の高純度化をはかることができる。また、火点に供給される溶削用酸素の運動量が確保され、火点で生じた酸化物を効率的に排出することが可能となる。
よって、鋼材の搬送速度を向上させても安定して溶削することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能となる。
ここで、本発明の鋼材の溶削装置においては、前記溶削用酸素噴流距離が変更可能に構成されていることが好ましい。
この場合、鋼材の溶削条件に応じて、前記溶削用酸素噴流距離を30mm以上90mm以下の範囲内で調整することができ、さらに安定して鋼材の溶削を実施することが可能となる。
さらに、本発明の鋼材の溶削装置においては、前記溶削用酸素の噴射角度が25°以上40°以下の範囲内とされていることが好ましい。
この場合、前記溶削用酸素の噴射角度が25°以上40°以下の範囲内とされているので、供給した溶削用酸素によって、火点に生じた酸化物をさらに効率良く除去することができる。
また、本発明の鋼材の溶削装置においては、前記溶削用酸素の噴射角度が変更可能に構成されていることが好ましい。
この場合、鋼材の溶削条件に応じて、前記溶削用酸素の噴射角度を調整することができ、火点に生じた酸化物をさらに効率良く除去することができ、さらに安定して鋼材の溶削を実施することが可能となる。
本発明の鋼材の溶削方法は、上述の鋼材の溶削装置を用いて、鋼材の表面を溶削することを特徴としている。
この構成の鋼材の溶削方法によれば、上述の鋼材の溶削装置を用いているので、火点に供給される溶削用酸素の高純度化を図ることができるとともに、火点に生じる酸化物を効率的に除去することが可能となる。
よって、鋼材の搬送速度を向上させても安定して溶削することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能となる。
ここで、本発明の鋼材の溶削方法においては、鋼材の初期温度に応じて、前記溶削用酸素噴流距離を30mm以上90mm以下の範囲内で調整する構成としてもよい。
この場合、鋼材の溶削を実施する際に、鋼材の初期温度に応じて前記溶削用酸素噴流距離を30mm以上90mm以下の範囲内で調整するので、火点付近(湯溜まり部近傍)の状況に合わせて溶削用酸素が供給されることになり、火点に供給される溶削用酸素の高純度化を図ることができるとともに、火点で生じた酸化物を効率的に排出することができ、さらに安定して、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能となる。
また、本発明の鋼材の溶削方法においては、鋼材の初期温度に応じて、前記溶削用酸素の噴射角度を25°以上40°以下の範囲内で調整する構成としてもよい。
この場合、鋼材の溶削を実施する際に、鋼材の初期温度に応じて前記溶削用酸素の噴射角度を25°以上40°以下の範囲内で調整するので、火点付近(湯溜まり部近傍)の状況に合わせて溶削用酸素が供給されることになり、火点で生じた酸化物を効率的に排出することができ、さらに安定して、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能となる。
上述のように、本発明によれば、鋼材の表面を安定して溶削することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能な鋼材の溶削装置、及び、鋼材の溶削方法を提供することができる。
溶削用酸素噴流距離と火点における溶削用酸素の純度との関係を示すグラフである。 本発明の実施形態である鋼材の溶削装置の概略説明図である。(a)が予熱ステップ、(b)が溶削ステップの状況を示す。 図1の鋼材の溶削装置によって鋼材の溶削を実施する際の火点付近の説明図である。 図1の鋼材の溶削装置の拡大説明図である。
以下に、本発明の実施形態である鋼材の溶削装置、及び、鋼材の溶削方法について、添付した図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態である鋼材の溶削装置10は、図2に示すように、鋼材1の表面に対向するように配置されたスカーファーユニット20と、鋼材1を搬送する搬送テーブル(図示なし)と、を有している。このスカーファーユニット20には、図2に示すように、予熱用酸素22と可燃性ガス23とを噴出する予熱用ガス噴出部21と、溶削用酸素27を噴出する溶削用酸素噴出部26が設けられている。なお、溶削用酸素噴出部26においては、溶削用酸素27とともに可燃性ガスからなるシールドガス28が噴出されるように構成されている。
鋼材1は、搬送テーブルの上に載置されており、図2の矢印X方向に搬送されるように構成されている。
なお、図2(a)及び図2(b)に示すように、溶削用酸素噴出部26から噴出される溶削用酸素27の噴出流は、予熱用ガス噴出部21から噴出される予熱用酸素22及び可燃性ガス23の噴出流よりも、鋼材1の搬送方向Xの前方側に衝突するように配置されている。
上述の構成の鋼材の溶削装置10においては、まず、図2(a)に示すように、スカーファーユニット20の予熱用ガス噴出部21から予熱用酸素22及び可燃性ガス23を鋼材1の表面に向けて噴出するとともに、この可燃性ガス23を燃焼させる。そして、燃焼する可燃性ガス23の熱により、鋼材1の表面の一部を溶融して、湯溜まり部3を形成する(予熱工程)。
なお、鋼材1の表面に形成される湯溜まり部3の搬送方向Xに沿った長さは、例えば20mm~30mm程度の範囲とされる。
次に、スカーファーユニット20の溶削用酸素噴出部26から溶削用酸素27を鋼材1の表面に向けて噴出するとともに、湯溜まり部3が形成された鋼材1を搬送方向Xに向けて搬送する。このとき、溶削用酸素27とともにシールドガス28が噴出され、溶削用酸素27がシールドガス28によって保護される。
すると、溶削用酸素噴出部26から噴出される溶削用酸素27の噴出流が、搬送される鋼材1の湯溜まり部3を通過し、この湯溜まり部3を熱源として溶削用酸素27と鉄とを酸化反応させ、この酸化反応熱によって、鋼材1の表面を溶融させ、鋼材1の表面を溶削する(溶削工程)。すなわち、湯溜まり部3の搬送方向Xの後方側が、酸化反応熱によって溶削されることになる。なお、溶削用酸素27が供給され、鋼材1の鉄との酸化反応が生じる領域が火点となる。
ここで、溶削深さを浅くする際には、火点への酸素供給量を減少させるために、溶削用酸素27の圧力を低くしたり、鋼材1の搬送速度を速くしたりすることになる。しかしながら、溶削用酸素27の圧力を低くしたり、鋼材1の搬送速度を速くしたりすると、火点への酸素供給が不安定となり、溶削を安定して実施することができなくなり、鋼材1の幅方向で溶削深さが不均一となるおそれがある。
このため、溶削深さを浅くし、かつ、安定して均一に溶削するためには、鋼材1の搬送速度を速くしても、火点への酸素供給を安定させることが必要となる。
溶削時における火点付近の状況を図3に示す。火点においては、シールドガス28とともに溶削用酸素27が供給され、溶削用酸素27と鉄との酸化反応熱によって、鋼材1の表面が溶融される。また、火点においては、鉄と酸素との反応によって生じた酸化物(ノロ)7が存在する。
ここで、溶削を安定して実施するためには、火点に供給される溶削用酸素27を高純度化すること、及び、鉄と酸素との反応によって生じた酸化物(ノロ)7を火点から速やかに排出すること、が重要である。
そこで、本実施形態である鋼材の溶削装置10においては、図4に示すように、溶削用酸素噴出部26の先端位置から鋼材1の表面までの溶削用酸素噴流距離Lが30mm以上90mm以下の範囲内となるように構成されている。なお、溶削用酸素噴流距離Lは、溶削用酸素噴出部26の先端位置から溶削前の鋼材1の表面までの距離となる。
なお、本実施形態である鋼材の溶削装置10においては、上述の溶削用酸素噴流距離Lが変更可能に構成されていることが好ましい。
さらに、本実施形態である鋼材の溶削装置10においては、溶削用酸素の噴射角度θが25°以上40°以下の範囲内とされていることが好ましい。
また、本実施形態である鋼材の溶削装置10においては、上述の溶削用酸素の噴射角度θが変更可能に構成されていることが好ましい。
以下に、溶削用酸素噴出部26の先端位置から鋼材1の表面までの溶削用酸素噴流距離L、及び、溶削用酸素の噴射角度θを、上述のように規定した理由を説明する。
(溶削用酸素噴流距離L)
上述のように、溶削を安定して実施するためには、火点に供給される溶削用酸素27の高純度化と、酸化物(ノロ)7を火点から速やかに排出すること、が重要となる。
図1に示すように、溶削用酸素噴流距離Lが短くなるにつれて酸素の純度が上昇することになる。溶削用酸素噴流距離Lが短くなると、噴出された溶削用酸素27に外部から不純物が混入することが抑制されるため、火点における溶削用酸素27の純度が向上したと推測される。
また、溶削用酸素噴流距離Lが短くなると、火点に供給される溶削用酸素27の運動量が増加し、火点からの酸化物(ノロ)7の排出が促進されることになる。
よって、本実施形態である鋼材の溶削装置10においては、溶削用酸素噴流距離Lを従来よりも短くなるように設定しているのである。
ここで、溶削用酸素噴流距離Lが30mm未満の場合には、鋼材1からの輻射熱によって溶削用酸素噴出部26が早期劣化してしまうおそれがある。また、飛散した酸化物(ノロ)7が溶削用酸素噴出部26に付着して、溶削用酸素27の噴出口及びシールドガス28の噴出口が閉塞してしまうおそれがある。一方、溶削用酸素噴流距離Lが90mmを超えると、溶削用酸素27の高純度化、及び、酸化物(ノロ)7の排出が不十分となるおそれがある。
そこで、本実施形態においては、溶削用酸素噴出部26の先端位置から鋼材1の表面までの溶削用酸素噴流距離Lを30mm以上90mm以下の範囲内に設定している。
なお、溶削用酸素噴流距離Lの下限は、35mm以上とすることが好ましく、40mm以上とすることがさらに好ましい。一方、溶削用酸素噴流距離Lの上限は、80mm以下とすることが好ましく、75mm以下とすることがさらに好ましい。
ここで、本実施形態である鋼材の溶削装置10に供給される鋼材1は、その温度が一定ではない。鋼材の溶削装置10に供給される鋼材1の初期温度によっては、予熱工程における湯溜まり部3の形成状態や、溶削工程における酸化反応の状況が異なることになる。
そこで、本実施形態においては、鋼材1の初期温度に応じて、上述の溶削用酸素噴流距離Lを30mm以上90mm以下の範囲内で調整することが好ましい。
具体的には、鋼材1の初期温度が低い場合には、酸化反応性が低下し、発生した酸化物(ノロ)の流動性が悪くなる。よって、酸化物(ノロ)の飛散によるユニットへの付着リスクを回避するために、溶削用酸素噴流距離Lを大きく設定する。一方、鋼材1の初期温度が高い場合には、酸化反応性が向上し、発生した酸化物(ノロ)の流動性が良くなる。よって、溶削速度を増速して溶削量を薄くするために、溶削用酸素噴流距離Lを短く設定する。
(溶削用酸素の噴射角度θ)
上述のように、本実施形態においては、溶削用酸素27の噴流を利用して、火点から酸化物(ノロ)7を排出している。
ここで、溶削用酸素の噴射角度θを25°以上40°以下の範囲内とすることにより、火点から酸化物(ノロ)7をさらに効率良く排出することが可能となる。
なお、溶削用酸素の噴射角度θの下限は、30°以上とすることがさらに好ましい。一方、溶削用酸素の噴射角度θの上限は、35°以下とすることがさらに好ましい。
ここで、上述のように、鋼材の溶削装置10に供給される鋼材1の初期温度によって、予熱工程における湯溜まり部3の形成状態や、溶削工程における酸化反応の状況が異なることになるため、本実施形態においては、鋼材1の初期温度に応じて、上述の溶削用酸素の噴射角度θを25°以上40°以下の範囲内で調整することが好ましい。具体的には、鋼材1の初期温度が低い場合には、溶削用酸素の噴射角度θを大きく設定し、鋼材1の初期温度が高い場合には、溶削用酸素の噴射角度θを小さく設定することになる。
以上のような構成とされた本実施形態である鋼材の溶削装置10、及び、鋼材の溶削方法によれば、溶削用酸素噴出部26の先端位置から鋼材1の表面までの溶削用酸素噴流距離Lが30mm以上90mm以下の範囲内とされており、従来(100mm程度)よりも近接して配置されているので、溶削用酸素27に雰囲気中から不純物が混入することが抑制され、火点に供給される溶削用酸素27の高純度化を図ることができる。また、火点に供給される溶削用酸素27の運動量が確保され、火点で生じる酸化物(ノロ)7を効率的に排出することが可能となる。
よって、鋼材1の搬送速度を向上させても安定して溶削することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能となる。
また、本実施形態において、溶削用酸素噴流距離Lが変更可能に構成されている場合には、鋼材1の溶削条件に応じて、溶削用酸素噴流距離Lを30mm以上90mm以下の範囲内で調整することができ、さらに安定して鋼材1の溶削を実施することが可能となる。
具体的には、鋼材1の初期温度に応じて、溶削用酸素噴流距離Lを30mm以上90mm以下の範囲内で調整することにより、火点に供給される溶削用酸素27の高純度化を図ることができるとともに、火点で生じる酸化物(ノロ)7を効率的に排出することができ、さらに安定して、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能となる。
さらに、本実施形態において、溶削用酸素の噴射角度θが25°以上40°以下の範囲内とされている場合には、溶削用酸素27の噴流によって、火点に生じた酸化物(ノロ)7をさらに効率良く除去することができる。
また、本実施形態において、溶削用酸素の噴射角度θが変更可能に構成されている場合には、鋼材1の溶削条件に応じて溶削用酸素の噴射角度θを調整することができ、火点に生じた酸化物(ノロ)7をさらに効率良く排出することができ、さらに安定して鋼材1の溶削を実施することが可能となる。
具体的には、鋼材1の初期温度に応じて、溶削用酸素の噴射角度θを25°以上40°以下の範囲内で調整することにより、火点で生じる酸化物(ノロ)7を効率的に排出することができ、さらに安定して、溶削深さを浅く、かつ、均一に安定して溶削することが可能となる。
以上、本発明の実施形態である本実施形態である鋼材の溶削装置、及び、鋼材の溶削方法について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本実施形態では、図2に示す構成の鋼材の溶削装置として説明したが、これに限定されることはなく、可燃性ガス及び予熱用酸素を噴出する予熱用ガス噴出部と、溶削用酸素を噴出する溶削用酸素噴出部と、を有し、溶削用酸素噴出部の先端位置から前記鋼材の表面までの溶削用酸素噴流距離が30mm以上90mm以下の範囲内に設定されていれば、その他の構造に特に制限はない。
以下に、本発明の効果を確認すべく実施した実験結果について説明する。
本実施形態で説明した鋼材の溶削装置において、表1に示すように、溶削用酸素噴流距離L、溶削用酸素の噴射角度θを設定した。また、鋼材の初期温度を表1に示すように設定した。
そして、目標溶削深さを変更し、溶削状況を確認した。安定して均一に溶削できた場合を「〇」、幅方向で不均一となった場合を「×」と評価した。
Figure 0007401731000001
溶削用酸素噴出部の先端位置から鋼材の表面までの溶削用酸素噴流距離Lが105mmであった比較例1においては、目標溶削深さが2.0mmまでは安定して溶削することが可能であったが、1.8mm以下では溶削状況が「×」となった。
溶削用酸素噴出部の先端位置から鋼材の表面までの溶削用酸素噴流距離Lが25mmであった比較例2においては、溶削用酸素噴出部に酸化物(ノロ)が付着し、溶削ができなくなった。このため、評価を中止した。
溶削用酸素噴出部の先端位置から鋼材の表面までの溶削用酸素噴流距離Lが95mmであった比較例3においては、目標溶削深さが2.0mmまでは安定して溶削することが可能であったが、1.8mm以下では溶削状況が「×」となった。
これに対して、溶削用酸素噴出部の先端位置から鋼材の表面までの溶削用酸素噴流距離Lが30mm以上90mm以下の範囲内とした本発明例1~7においては、目標溶削深さが1.8mmであっても安定して均一に溶削することが可能であった。
特に、鋼材初期温度が高くなり溶削酸素と鉄との酸化反応が活性化する本発明例4~7においては、鋼材の初期温度に応じて溶削酸素の噴流角度や酸素噴流距離を適正に調整することで、目標溶削深さをさらに薄く設定しても安定して均一に溶削することが可能であった。
以上の結果から、本発明例によれば、鋼材の表面を安定して溶削することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能な鋼材の溶削装置、及び、鋼材の溶削方法を提供できることが確認された。
1 鋼材
3 湯溜まり部
10 鋼材の溶削装置
20 スカーファーユニット
21 予熱用ガス噴出部
26 溶削用酸素噴出部

Claims (7)

  1. 可燃性ガス及び予熱用酸素を噴出する予熱用ガス噴出部と、溶削用酸素を噴出する溶削用酸素噴出部と、を有し、鋼材の表面に可燃性ガスと予熱用酸素を吹き付けて前記鋼材の表面に湯溜まり部を形成し、この湯溜まりに向けて溶削用酸素を吹き付けて前記溶削用酸素と鉄との酸化反応熱によって、前記鋼材の表面を溶削する鋼材の溶削装置であって、
    前記溶削用酸素噴出部の先端位置から前記鋼材の表面までの溶削用酸素噴流距離が30mm以上90mm以下の範囲内に設定されており、
    前記溶削用酸素が供給されて前記鋼材の鉄との酸化反応が生じる領域である火点において、鉄と酸素との反応で生じた酸化物を排出するとともに、前記溶削用酸素に雰囲気から不純物が混入することを抑制して前記火点に供給される酸素を高純度化することを特徴とする鋼材の溶削装置。
  2. 前記溶削用酸素噴流距離が変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の鋼材の溶削装置。
  3. 前記溶削用酸素の噴射角度が25°以上40°以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鋼材の溶削装置。
  4. 前記溶削用酸素の噴射角度が変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の鋼材の溶削装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の鋼材の溶削装置を用いて、鋼材の表面を溶削することを特徴とする鋼材の溶削方法。
  6. 鋼材の初期温度に応じて、前記溶削用酸素噴流距離を30mm以上90mm以下の範囲内で調整することを特徴とする請求項5に記載の鋼材の溶削方法。
  7. 鋼材の初期温度に応じて、前記溶削用酸素の噴射角度を25°以上40°以下の範囲内で調整することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の鋼材の溶削方法。
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