JP2022167019A - 鋼材の溶削方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋼材の表面を安定して溶削することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能な鋼材の溶削方法を提供する。【解決手段】溶削用酸素噴出部から前記鋼材の表面に溶削用酸素を吹き付けるとともに前記鋼材を搬送し、前記溶削用酸素と鉄との酸化反応熱によって、搬送される前記鋼材の表面を溶削する溶削工程においては、予め、前記溶削用酸素が前記鋼材と酸化反応して形成される火点の溶削進行方向前方部分の鋼材温度が前記鋼材の液相発生温度以上となる限界溶削速度VCを下記の(1)式に基づいて求めておき、溶削速度を0.8×VC以上VC以下の範囲で溶削を行う。(1)式:VC=(-0.0516×TL+92.0)×exp(0.00146×T0)、TL:鋼材の液相線温度(℃)、T0:鋼材初期温度(℃)【選択図】なし
Description
本発明は、鋼材の表面を溶削する鋼材の溶削方法に関するものである。
例えば、連続鋳造によって製造される鋳片等の鋼材の表面には、介在物の巻き込みや表面疵等の表面欠陥が発生することがある。
このような鋼材の表面欠陥を除去する際には、例えば特許文献1-4に開示された溶削装置(スカーファー設備)が用いられる。これらの溶削装置(スカーファー設備)は、鋳片(鋼材)の表面を局所的に加熱して溶融し、表面欠陥を除去するものである。
上述の溶削装置(スカーファー設備)においては、鋼材の表面に対向するようにスカーファーユニットが配設されている。
このような鋼材の表面欠陥を除去する際には、例えば特許文献1-4に開示された溶削装置(スカーファー設備)が用いられる。これらの溶削装置(スカーファー設備)は、鋳片(鋼材)の表面を局所的に加熱して溶融し、表面欠陥を除去するものである。
上述の溶削装置(スカーファー設備)においては、鋼材の表面に対向するようにスカーファーユニットが配設されている。
このような構成の溶削装置(スカーファー設備)においては、まず、鋼材の表面に対して可燃性ガスと予熱用酸素を吹き付けて可燃性ガスを燃焼させ、この燃焼熱により、鋼材の表面を局所的に溶融して湯溜まり部を形成する(予熱ステップ)。
次に、鋼材の表面に溶削用酸素を供給するとともに鋼材を搬送し、上述の湯溜まり部を熱源として溶削用酸素と鉄とを酸化反応させ、この酸化反応熱によって、鋼材の表面を溶融し、表面欠陥を除去する(溶削ステップ)。なお、溶削用酸素が供給され、鋼材の鉄との酸化反応が生じる領域を火点と称す。
次に、鋼材の表面に溶削用酸素を供給するとともに鋼材を搬送し、上述の湯溜まり部を熱源として溶削用酸素と鉄とを酸化反応させ、この酸化反応熱によって、鋼材の表面を溶融し、表面欠陥を除去する(溶削ステップ)。なお、溶削用酸素が供給され、鋼材の鉄との酸化反応が生じる領域を火点と称す。
ここで、上述の溶削装置で鋼材を溶削する場合には、鋼材の溶削深さは、おおよそ酸素の供給律速となる。溶削深さを深くする場合には、供給酸素圧を高くする、あるいは、鋼材の送り速度を遅くして、単位時間当たりの酸素供給量を増加させることになる。
溶削の生産性を向上させるためには、鋼材の送り速度を上げることが一般的だが、送り速度を上げると溶削深さは徐々に浅くなり、局所的に未溶削部分が生じる。
溶削の生産性を向上させるためには、鋼材の送り速度を上げることが一般的だが、送り速度を上げると溶削深さは徐々に浅くなり、局所的に未溶削部分が生じる。
このような課題に対して、例えば特許文献1,2には、酸素流路にオリフィスや整流板などを入れて幅方向で溶削酸素を均一化させる方法が開示されている。
また、特許文献3には、火口の吐出方向を溶削方向に対して角度をつける方法が開示されている。
さらに、特許文献4には、供給酸素圧を高圧と低圧とに交互に切り替える方法が開示されている。
また、特許文献3には、火口の吐出方向を溶削方向に対して角度をつける方法が開示されている。
さらに、特許文献4には、供給酸素圧を高圧と低圧とに交互に切り替える方法が開示されている。
ところで、最近では、溶削の生産性向上、および、溶削時の歩留まり向上のため、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが求められている。
しかしながら、溶削深さを浅くするために、鋼材の搬送速度(溶削速度)を速くした場合には、火点への酸素の供給が不安定となり、安定して溶削を行うことができず、幅方向において溶削深さに変動が生じ、溶削後の鋼材の表面に大きな凹凸が形成されることがあった。
しかしながら、溶削深さを浅くするために、鋼材の搬送速度(溶削速度)を速くした場合には、火点への酸素の供給が不安定となり、安定して溶削を行うことができず、幅方向において溶削深さに変動が生じ、溶削後の鋼材の表面に大きな凹凸が形成されることがあった。
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、鋼材の表面を安定して溶削することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能な鋼材の溶削方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る鋼材の溶削方法は、可燃性ガスおよび予熱用酸素を噴出する予熱用ガス噴出部と、溶削用酸素を噴出する溶削用酸素噴出部と、を有する鋼材の溶削装置を用いて、前記鋼材の表面を溶削する鋼材の溶削方法であって、鋼材の表面に、前記予熱用ガス噴出部から可燃性ガスと予熱用酸素を吹き付けて燃焼させ、前記鋼材の表面に湯溜まり部を形成する予熱工程と、前記溶削用酸素噴出部から前記鋼材の表面に溶削用酸素を吹き付けるとともに前記鋼材を搬送し、前記溶削用酸素と鉄との酸化反応熱によって、搬送される前記鋼材の表面を溶削する溶削工程と、を有し、前記溶削工程においては、予め、前記溶削用酸素が前記鋼材と酸化反応して形成される火点の溶削進行方向前方部分の鋼材温度が前記鋼材の液相発生温度以上となる限界溶削速度VCを下記の(1)式に基づいて求めておき、溶削速度を0.8×VC以上VC以下の範囲で溶削を行うことを特徴としている。
(1)式:VC=(-0.0516×TL+92.0)×exp(0.00146×T0)
TL:鋼材の液相線温度(℃)
T0:鋼材初期温度(℃)。
(1)式:VC=(-0.0516×TL+92.0)×exp(0.00146×T0)
TL:鋼材の液相線温度(℃)
T0:鋼材初期温度(℃)。
この構成の鋼材の溶削方法によれば、溶削工程において、予め、前記溶削用酸素が前記鋼材と酸化反応して形成される火点の溶削進行方向前方部分の鋼材温度が前記鋼材の液相発生温度以上となる限界溶削速度VCを求めておき、溶削速度を限界溶削速度VC以下としているので、安定して鋼材の溶削を行うことができる。また、溶削速度を限界溶削速度VCの0.8倍以上としているので、溶削速度を確保することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することができる。
ここで、本発明の鋼材の溶削方法においては、前記溶削工程において、前記溶削速度をV0からVとする際に、以下の(2)式を満足するように、前記溶削用酸素の酸素圧をP0からPへと変化させることが好ましい。
(2)式:V≧V0×(P/P0)0.5
(2)式:V≧V0×(P/P0)0.5
この場合、溶削速度を変化させる際に(2)式を満足するように溶削用酸素の酸素圧を変化させているので、溶削速度を増速した場合であっても、十分な溶削用酸素を火点近傍に供給することができ、溶削を安定して行うことが可能となる。
また、本発明の鋼材の溶削方法においては、前記溶削工程において、前記溶削速度をV0からVとする際に、以下の(3)式を満足するように、前記溶削用酸素噴出部の先端位置から前記鋼材の表面までの距離をL0からLへと変化させることが好ましい。
(3)式:V≧V0×(L0/L)0.858
(3)式:V≧V0×(L0/L)0.858
この場合、溶削速度を変化させる際に(3)式を満足するように前記溶削用酸素噴出部の先端位置から前記鋼材の表面までの距離を変化させているので、溶削速度を増速した際に、前記溶削用酸素噴出部の先端位置から前記鋼材の表面までの距離が短くなり、溶削用酸素に雰囲気中から不純物が混入することが抑制され、火点に供給される溶削用酸素の高純度化を図ることができ、溶削を安定して行うことが可能となる。
上述のように、本発明によれば、鋼材の表面を安定して溶削することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能な鋼材の溶削方法を提供することができる。
以下に、本発明の実施形態である鋼材の溶削方法について、添付した図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態である鋼材の溶削方法に使用される鋼材の溶削装置10は、図1に示すように、鋼材1の表面に対向するように配置されたスカーファーユニット20と、鋼材1を搬送する搬送テーブル(図示なし)と、を有している。
このスカーファーユニット20には、図1および図2に示すように、予熱用酸素22と可燃性ガス23とを噴出する予熱用ガス噴出部21と、溶削用酸素27を噴出する溶削用酸素噴出部26が設けられている。なお、溶削用酸素噴出部26においては、溶削用酸素27とともに可燃性ガスからなるシールドガス28が噴出されるように構成されている。
鋼材1は、搬送テーブルの上に載置されており、図1の矢印X方向に搬送されるように構成されている。
なお、図1(a)および図1(b)に示すように、溶削用酸素噴出部26から噴出される溶削用酸素27の噴出流は、予熱用ガス噴出部21から噴出される予熱用酸素22および可燃性ガス23の噴出流よりも、鋼材1の搬送方向Xの前方側に衝突するように配置されている。
このスカーファーユニット20には、図1および図2に示すように、予熱用酸素22と可燃性ガス23とを噴出する予熱用ガス噴出部21と、溶削用酸素27を噴出する溶削用酸素噴出部26が設けられている。なお、溶削用酸素噴出部26においては、溶削用酸素27とともに可燃性ガスからなるシールドガス28が噴出されるように構成されている。
鋼材1は、搬送テーブルの上に載置されており、図1の矢印X方向に搬送されるように構成されている。
なお、図1(a)および図1(b)に示すように、溶削用酸素噴出部26から噴出される溶削用酸素27の噴出流は、予熱用ガス噴出部21から噴出される予熱用酸素22および可燃性ガス23の噴出流よりも、鋼材1の搬送方向Xの前方側に衝突するように配置されている。
上述の構成の鋼材の溶削装置10においては、まず、図1(a)に示すように、スカーファーユニット20の予熱用ガス噴出部21から予熱用酸素22および可燃性ガス23を鋼材1の表面に向けて噴出するとともに、この可燃性ガス23を燃焼させる。そして、燃焼する可燃性ガス23の熱により、鋼材1の表面の一部を溶融して、湯溜まり部3を形成する(予熱工程)。
なお、鋼材1の表面に形成される湯溜まり部3の搬送方向Xに沿った長さは、例えば20mm~30mm程度の範囲とされる。
なお、鋼材1の表面に形成される湯溜まり部3の搬送方向Xに沿った長さは、例えば20mm~30mm程度の範囲とされる。
次に、スカーファーユニット20の溶削用酸素噴出部26から溶削用酸素27を鋼材1の表面に向けて噴出するとともに、湯溜まり部3が形成された鋼材1を搬送方向Xに向けて搬送する。このとき、溶削用酸素27とともにシールドガス28が噴出され、溶削用酸素27がシールドガス28によって保護される。
すると、溶削用酸素噴出部26から噴出される溶削用酸素27の噴出流が、搬送される鋼材1の湯溜まり部3を通過し、この湯溜まり部3を熱源として溶削用酸素27と鉄とを酸化反応させ、この酸化反応熱によって、鋼材1の表面を溶融させ、鋼材1の表面を溶削する(溶削工程)。
図1(b)および図2に示すように、湯溜まり部3の搬送方向Xの後方側が、酸化反応熱によって溶削されることになる。なお、溶削用酸素27が供給され、鋼材1の鉄との酸化反応が生じる領域が火点となる。
すると、溶削用酸素噴出部26から噴出される溶削用酸素27の噴出流が、搬送される鋼材1の湯溜まり部3を通過し、この湯溜まり部3を熱源として溶削用酸素27と鉄とを酸化反応させ、この酸化反応熱によって、鋼材1の表面を溶融させ、鋼材1の表面を溶削する(溶削工程)。
図1(b)および図2に示すように、湯溜まり部3の搬送方向Xの後方側が、酸化反応熱によって溶削されることになる。なお、溶削用酸素27が供給され、鋼材1の鉄との酸化反応が生じる領域が火点となる。
ここで、溶削工程における鋼材1の搬送速度、すなわち、溶削速度を速くした場合には、火点への酸素供給が不安定となり、溶削を安定して実施することができなくなり、鋼材1の幅方向で溶削深さが不均一となるおそれがある。
つまり、溶削工程においては、火点へ酸素を安定して供給し、鋼材1の溶削を安定して実施することが可能な限界溶削速度VCが存在することになる。
つまり、溶削工程においては、火点へ酸素を安定して供給し、鋼材1の溶削を安定して実施することが可能な限界溶削速度VCが存在することになる。
本実施形態においては、予め、火点の溶削進行方向前方部分の鋼材温度が鋼材の液相発生温度以上となる限界溶削速度VCを、下記の(1)式に基づいて求めている。
(1)式:VC=(-0.0516×TL+92.0)×exp(0.00146×T0)
ここで、TLは、鋼材1の液相線温度(℃)であり、T0は、鋼材1の初期温度(℃)である。なお、鋼材1の初期温度とは、予熱工程前の鋼材1の温度である。
(1)式:VC=(-0.0516×TL+92.0)×exp(0.00146×T0)
ここで、TLは、鋼材1の液相線温度(℃)であり、T0は、鋼材1の初期温度(℃)である。なお、鋼材1の初期温度とは、予熱工程前の鋼材1の温度である。
図3に、限界溶削速度VCを算出した結果の一例を示す。鋼材1の液相発生温度TLを1435℃とした場合がA線であり、鋼材1の液相発生温度TLを1485℃とした場合がB線であり、鋼材1の液相発生温度TLを1535℃とした場合がC線となる。すなわち、溶削する鋼材1の鋼種に応じて、それぞれの限界溶削速度VCが算出されることになる。
そして、本実施形態においては、溶削工程における溶削速度を0.8×VC以上VC以下の範囲として、溶削を行う。
溶削工程における溶削速度を限界溶削速度VCの0.8倍以上とすることにより、溶削速度を十分に速くすることができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能となる。一方、溶削工程における溶削速度を限界溶削速度VC以下とすることにより、火点に酸素を安定して供給でき、安定して鋼材の溶削を行うことが可能となる。
なお、溶削工程における溶削速度は、限界溶削速度VCの0.85倍以上であることがより好ましい。また、溶削工程における溶削速度は、限界溶削速度VCの0.95倍以下であることがより好ましい。
溶削工程における溶削速度を限界溶削速度VCの0.8倍以上とすることにより、溶削速度を十分に速くすることができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能となる。一方、溶削工程における溶削速度を限界溶削速度VC以下とすることにより、火点に酸素を安定して供給でき、安定して鋼材の溶削を行うことが可能となる。
なお、溶削工程における溶削速度は、限界溶削速度VCの0.85倍以上であることがより好ましい。また、溶削工程における溶削速度は、限界溶削速度VCの0.95倍以下であることがより好ましい。
ここで、本実施形態においては、溶削速度をV0からV1とする際に、以下の(2)式を満足するように、溶削用酸素の酸素圧をP0からP1へと変化させることが好ましい。
(2)式:V1≧V0×(P1/P0)0.5
(2)式:V1≧V0×(P1/P0)0.5
図4に示すように、溶削用酸素の酸素圧によって火点の酸素濃度が高くなるにつれて溶削量が増加する。また、溶削速度を速くすることで溶削量は小さくなる。よって、溶削速度に応じて溶削用酸素の酸素圧を制御することにより、適切な溶削量とし、安定して溶削を行うことが可能となる。
また、本実施形態においては、溶削速度をV0からV1とする際に、以下の(3)式を満足するように、溶削用酸素噴出部26の先端位置から鋼材1の表面までの距離をL0からL1へと変化させることが好ましい。
(3)式:V1≧V0×(L0/L1)0.858
(3)式:V1≧V0×(L0/L1)0.858
図5に示すように、溶削用酸素噴出部26の先端位置から鋼材1の表面までの距離によって火点の酸素濃度が高くなるにつれて溶削量が増加する。また、溶削速度を速くすることで溶削量は小さくなる。よって、溶削速度に応じて溶削用酸素噴出部26の先端位置から鋼材1の表面までの距離を制御することにより、適切な溶削量とし、安定して溶削を行うことが可能となる。
以上のような構成とされた本実施形態である鋼材の溶削方法によれば、溶削工程において、予め、前記溶削用酸素が前記鋼材と酸化反応して形成される火点の溶削進行方向前方部分の鋼材温度が前記鋼材の液相発生温度以上となる限界溶削速度VCを求めておき、溶削速度を限界溶削速度VC以下としているので、安定して鋼材の溶削を行うことができる。また、溶削速度を限界溶削速度VCの0.8倍以上としているので、溶削速度を確保することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することができる。
また、本実施形態において、溶削速度をV0からV1とする際に、V1≧V0×(P1/P0)0.5を満足するように、前記溶削用酸素の酸素圧をP0からP1へと変化させる場合には、溶削速度を増速した場合であっても、十分な溶削用酸素を火点近傍に供給することができ、溶削を安定して行うことが可能となる。
また、本実施形態において、溶削速度をV0からV1とする際に、V1≧V0×(L0/L1)0.858を満足するように、前記溶削用酸素噴出部の先端位置から前記鋼材の表面までの距離をL0からL1へと変化させる場合には、溶削速度を増速した際に、前記溶削用酸素噴出部の先端位置から前記鋼材の表面までの距離が短くなり、溶削用酸素に雰囲気中から不純物が混入することが抑制され、火点に供給される溶削用酸素の高純度化を図ることができ、溶削を安定して行うことが可能となる。
以上、本発明の実施形態である本実施形態である鋼材の溶削方法について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本実施形態では、図1に示す構成の鋼材の溶削装置として説明したが、これに限定されることはなく、可燃性ガスおよび予熱用酸素を噴出する予熱用ガス噴出部と、溶削用酸素を噴出する溶削用酸素噴出部と、を有していれば、その他の構造に特に制限はない。
本実施形態では、図1に示す構成の鋼材の溶削装置として説明したが、これに限定されることはなく、可燃性ガスおよび予熱用酸素を噴出する予熱用ガス噴出部と、溶削用酸素を噴出する溶削用酸素噴出部と、を有していれば、その他の構造に特に制限はない。
以下に、本発明の効果を確認すべく実施した実験結果について説明する。
本実施形態で説明した鋼材の溶削装置を用いて、表1に記載の条件で、鋼材の溶削を実施した。
そして、平均溶削厚、溶削面の凹凸の標準偏差σを評価した。評価結果を表1および図6に示す。
そして、平均溶削厚、溶削面の凹凸の標準偏差σを評価した。評価結果を表1および図6に示す。
溶削速度Vを、溶解限界速度の0.7×VCとした比較例においては、平均溶削厚が2.0mmであり、溶削面の凹凸の標準偏差σが0.3mmとなった。
これに対して、溶削速度Vを、溶解限界速度の0.8×VC以上とした本発明例においては、比較例に比べて、平均溶削厚が浅く、かつ、溶削面の凹凸の標準偏差σが小さくなった。
これに対して、溶削速度Vを、溶解限界速度の0.8×VC以上とした本発明例においては、比較例に比べて、平均溶削厚が浅く、かつ、溶削面の凹凸の標準偏差σが小さくなった。
以上のことから、本発明例によれば、鋼材の表面を安定して溶削することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能であることが確認された。
1 鋼材
3 湯溜まり部
10 鋼材の溶削装置
20 スカーファーユニット
21 予熱用ガス噴出部
26 溶削用酸素噴出部
3 湯溜まり部
10 鋼材の溶削装置
20 スカーファーユニット
21 予熱用ガス噴出部
26 溶削用酸素噴出部
Claims (3)
- 可燃性ガスおよび予熱用酸素を噴出する予熱用ガス噴出部と、溶削用酸素を噴出する溶削用酸素噴出部と、を有する鋼材の溶削装置を用いて、前記鋼材の表面を溶削する鋼材の溶削方法であって、
鋼材の表面に、前記予熱用ガス噴出部から可燃性ガスと予熱用酸素を吹き付けて燃焼させ、前記鋼材の表面に湯溜まり部を形成する予熱工程と、
前記溶削用酸素噴出部から前記鋼材の表面に溶削用酸素を吹き付けるとともに前記鋼材を搬送し、前記溶削用酸素と鉄との酸化反応熱によって、搬送される前記鋼材の表面を溶削する溶削工程と、
を有し、
前記溶削工程においては、予め、前記溶削用酸素が前記鋼材と酸化反応して形成される火点の溶削進行方向前方部分の鋼材温度が前記鋼材の液相発生温度以上となる限界溶削速度VCを下記の(1)式に基づいて求めておき、溶削速度を0.8×VC以上VC以下の範囲で溶削を行うことを特徴とする鋼材の溶削方法。
(1)式:VC=(-0.0516×TL+92.0)×exp(0.00146×T0)
TL:鋼材の液相線温度(℃)
T0:鋼材初期温度(℃) - 前記溶削工程において、前記溶削速度をV0からV1とする際に、以下の(2)式を満足するように、前記溶削用酸素の酸素圧をP0からP1へと変化させることを特徴とする請求項1に記載の鋼材の溶削方法。
(2)式:V1≧V0×(P1/P0)0.5 - 前記溶削工程において、前記溶削速度をV0からV1とする際に、以下の(3)式を満足するように、前記溶削用酸素噴出部の先端位置から前記鋼材の表面までの距離をL0からL1へと変化させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鋼材の溶削方法。
(3)式:V1≧V0×(L0/L1)0.858
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