JP2022167017A - 鋼材の溶削方法、および、鋼材の溶削装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋼材の表面を安定して溶削することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能な鋼材の溶削方法を提供する。【解決手段】可燃性ガスおよび予熱用酸素を噴出する予熱用ガス噴出部と、溶削用酸素を噴出する溶削用酸素噴出部と、を有するスカーファーユニットを用いて、前記鋼材の表面を溶削する鋼材の溶削方法であって、溶削工程では、前記溶削用酸素が前記鋼材と酸化反応して形成される火点の溶削進行方向前方側に、可燃性ガスと酸素からなる前方シールドガスを噴出するとともに、前記火点の溶削進行方向後方側に可燃性ガスからなる後方シールドガスを噴出する構成とされており、前記溶削工程において、前記鋼材の進行方向に直交する断面における前記スカーファーユニットと前記鋼材との間の隙間面積S(mm2)に応じて、後方シールドガスのガス量Qを設定する。【選択図】なし
Description
本発明は、鋼材の表面を溶削する鋼材の溶削方法、および、鋼材の溶削装置に関するものである。
例えば、連続鋳造によって製造される鋳片等の鋼材の表面には、介在物の巻き込みや表面疵等の表面欠陥が発生することがある。
このような鋼材の表面欠陥を除去する際には、例えば特許文献1-4に開示された溶削装置(スカーファー設備)が用いられる。これらの溶削装置(スカーファー設備)は、鋳片(鋼材)の表面を局所的に加熱して溶融し、表面欠陥を除去するものである。
上述の溶削装置(スカーファー設備)においては、鋼材の表面に対向するようにスカーファーユニットが配設されている。
このような鋼材の表面欠陥を除去する際には、例えば特許文献1-4に開示された溶削装置(スカーファー設備)が用いられる。これらの溶削装置(スカーファー設備)は、鋳片(鋼材)の表面を局所的に加熱して溶融し、表面欠陥を除去するものである。
上述の溶削装置(スカーファー設備)においては、鋼材の表面に対向するようにスカーファーユニットが配設されている。
このような構成の溶削装置(スカーファー設備)においては、まず、鋼材の表面に対して可燃性ガスと予熱用酸素を吹き付けて可燃性ガスを燃焼させ、この燃焼熱により、鋼材の表面を局所的に溶融して湯溜まり部を形成する(予熱ステップ)。
次に、鋼材の表面に溶削用酸素を供給するとともに鋼材を搬送し、上述の湯溜まり部を熱源として溶削用酸素と鉄とを酸化反応させ、この酸化反応熱によって、鋼材の表面を溶融し、表面欠陥を除去する(溶削ステップ)。なお、溶削用酸素が供給され、鋼材の鉄との酸化反応が生じる領域を火点と称す。
次に、鋼材の表面に溶削用酸素を供給するとともに鋼材を搬送し、上述の湯溜まり部を熱源として溶削用酸素と鉄とを酸化反応させ、この酸化反応熱によって、鋼材の表面を溶融し、表面欠陥を除去する(溶削ステップ)。なお、溶削用酸素が供給され、鋼材の鉄との酸化反応が生じる領域を火点と称す。
ここで、上述の溶削装置で鋼材を溶削する場合には、鋼材の溶削深さは、おおよそ酸素の供給律速となる。溶削深さを深くする場合には、供給酸素圧を高くする、あるいは、鋼材の送り速度を遅くして、単位時間当たりの酸素供給量を増加させることになる。
溶削の生産性を向上させるためには、鋼材の送り速度を上げることが一般的だが、送り速度を上げると溶削深さは徐々に浅くなり、局所的に未溶削部分が生じる。
溶削の生産性を向上させるためには、鋼材の送り速度を上げることが一般的だが、送り速度を上げると溶削深さは徐々に浅くなり、局所的に未溶削部分が生じる。
このような課題に対して、例えば特許文献1,2には、酸素流路にオリフィスや整流板などを入れて幅方向で溶削酸素を均一化させる方法が開示されている。
また、特許文献3には、火口の吐出方向を溶削方向に対して角度をつける方法が開示されている。
さらに、特許文献4には、供給酸素圧を高圧と低圧とに交互に切り替える方法が開示されている。
また、特許文献3には、火口の吐出方向を溶削方向に対して角度をつける方法が開示されている。
さらに、特許文献4には、供給酸素圧を高圧と低圧とに交互に切り替える方法が開示されている。
ところで、最近では、溶削の生産性向上、及び、溶削時の歩留まり向上のため、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが求められている。
しかしながら、溶削深さを2mm以下にしようと鋼材の送り速度を速くすると、酸素供給が不安定となり、安定して溶削を行うことができず、幅方向において溶削深さに変動が生じ、溶削後の鋼材の表面に大きな凹凸が形成されることがあった。このため、溶削深さを浅くすることが困難であった。
しかしながら、溶削深さを2mm以下にしようと鋼材の送り速度を速くすると、酸素供給が不安定となり、安定して溶削を行うことができず、幅方向において溶削深さに変動が生じ、溶削後の鋼材の表面に大きな凹凸が形成されることがあった。このため、溶削深さを浅くすることが困難であった。
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、鋼材の表面を安定して溶削することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能な鋼材の溶削装置、および、鋼材の溶削方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。
従来、上述の溶削工程においては、火点の溶削進行方向後方側に可燃性ガスからなる後方シールドガスを噴出し、火点への大気の侵入を抑制する構成とされている。
ここで、噴出した後方シールドガスが安定して排出されないと、後方シールドガスが火点側に流れ込み、火点へと溶削用酸素を安定して供給できないおそれがあった。
従来、上述の溶削工程においては、火点の溶削進行方向後方側に可燃性ガスからなる後方シールドガスを噴出し、火点への大気の侵入を抑制する構成とされている。
ここで、噴出した後方シールドガスが安定して排出されないと、後方シールドガスが火点側に流れ込み、火点へと溶削用酸素を安定して供給できないおそれがあった。
本発明は、上述の知見に基づいてなされたものであって、本発明に係る鋼材の溶削方法は、可燃性ガスおよび予熱用酸素を噴出する予熱用ガス噴出部と、溶削用酸素を噴出する溶削用酸素噴出部と、を有するスカーファーユニットを用いて、前記鋼材の表面を溶削する鋼材の溶削方法であって、前記鋼材の表面に、前記予熱用ガス噴出部から可燃性ガスと予熱用酸素を吹き付けて燃焼させ、前記鋼材の表面に湯溜まり部を形成する予熱工程と、前記溶削用酸素噴出部から前記鋼材の表面に溶削用酸素を吹き付けるとともに前記鋼材を搬送し、前記溶削用酸素と鉄との酸化反応熱によって、搬送される前記鋼材の表面を溶削する溶削工程と、を有し、前記溶削工程では、前記溶削用酸素が前記鋼材と酸化反応して形成される火点の溶削進行方向前方側に、可燃性ガスと酸素からなる前方シールドガスを噴出するとともに、前記火点の溶削進行方向後方側に可燃性ガスからなる後方シールドガスを噴出する構成とされており、前記溶削工程において、前記鋼材の進行方向に直交する断面における前記スカーファーユニットと前記鋼材との間の隙間面積S(mm2)が、前記スカーファーユニットの幅W(mm)に対して、S≧5.5×Wである場合には、前記後方シールドガスのガス量Q(Nm3/h/unit)を、前記スカーファーユニットの幅W(mm)に対して、0.09×W≦Q≦0.19×Wの範囲内とし、隙間面積S(mm2)が、前記スカーファーユニットの幅W(mm)に対して、S<5.5×Wである場合には、前記後方シールドガスのガス量Q(Nm3/h/unit)を、隙間面積S(mm2)に対して、(0.6×S/(5.5×W)+0.4)×0.09×W≦Q≦(0.6×S/(5.5×W)+0.4)×0.19×Wの範囲内とすること特徴としている。
この構成の鋼材の溶削方法によれば、前記溶削工程において、前記鋼材の進行方向に直交する断面における前記スカーファーユニットと前記鋼材との間の隙間面積S(mm2)に応じて、後方シールドガスのガス量Q(Nm3/h/unit)を設定しているので、噴出された後方シールドガスをスカーファーユニットの後方側へと排出することができ、後方シールドガスが火点近傍に侵入することが抑制され、火点へと溶削用酸素を安定して供給することができ、鋼材の表面を安定して溶削することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能となる。
ここで、本発明の鋼材の溶削方法においては、前記溶削工程において、前記鋼材の進行方向に直交する断面における前記スカーファーユニットと前記鋼材との間の隙間面積S(mm2)が、前記スカーファーユニットの幅W(mm)に対して、S≧5.5×Wとされていること好ましい。
この場合、噴出された後方シールドガスをスカーファーユニットの後方側へと排出することができる。よって、火点へと溶削用酸素を安定して供給することができ、鋼材の表面を安定して溶削することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能となる。
また、前記後方シールドガスのガス量Q(Nm3/h/unit)が、前記スカーファーユニットの幅W(mm)に対して、0.09×W以上となるので、火点近傍への大気の侵入を抑制することができる。一方、前記後方シールドガスのガス量Q(Nm3/h/unit)が、前記スカーファーユニットの幅W(mm)に対して、0.19×W以下となるので、噴出された後方シールドガスが火点側に流れ込むことを抑制でき、火点へと溶削用酸素を安定して供給することができる。
この場合、噴出された後方シールドガスをスカーファーユニットの後方側へと排出することができる。よって、火点へと溶削用酸素を安定して供給することができ、鋼材の表面を安定して溶削することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能となる。
また、前記後方シールドガスのガス量Q(Nm3/h/unit)が、前記スカーファーユニットの幅W(mm)に対して、0.09×W以上となるので、火点近傍への大気の侵入を抑制することができる。一方、前記後方シールドガスのガス量Q(Nm3/h/unit)が、前記スカーファーユニットの幅W(mm)に対して、0.19×W以下となるので、噴出された後方シールドガスが火点側に流れ込むことを抑制でき、火点へと溶削用酸素を安定して供給することができる。
本発明に係る鋼材の溶削装置は、可燃性ガスおよび予熱用酸素を噴出する予熱用ガス噴出部と、溶削用酸素を噴出する溶削用酸素噴出部と、を有するスカーファーユニットを備え、鋼材の表面に可燃性ガスと予熱用酸素を吹き付けて前記鋼材の表面に湯溜まり部を形成し、この湯溜まりに向けて溶削用酸素を吹き付けて前記溶削用酸素と鉄との酸化反応熱によって、前記鋼材の表面を溶削する鋼材の溶削装置であって、前記鋼材の進行方向に直交する断面における前記スカーファーユニットと前記鋼材との間の隙間面積S(mm2)が、前記スカーファーユニットの幅W(mm)に対して、S≧5.5×Wとされていることを特徴としている。
この構成の鋼材の溶削装置によれば、前記鋼材の進行方向に直交する断面における前記スカーファーユニットと前記鋼材との間の隙間面積S(mm2)が、前記スカーファーユニットの幅W(mm)に対して、S≧5.5×Wとされているので、噴出された後方シールドガスをスカーファーユニットの後方側へと排出することができる。よって、火点へと溶削用酸素を安定して供給することができ、鋼材の表面を安定して溶削することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能となる。
ここで、本発明の鋼材の溶削装置においては、前記スカーファーユニットの下部にスキッドが配設されており、前記スキッドの高さが5.5mm以上とされていることが好ましい。
この場合、前記スカーファーユニットの下部に併設されたスキッドの高さが5.5mm以上とされているので、鋼材の表面にスキッドの底面を接触させた場合であっても、前記スカーファーユニットと前記鋼材との間の隙間面積S(mm2)を十分に確保することができ、前記スカーファーユニットの幅W(mm)に対して、S≧5.5×Wとすることができ、噴出された後方シールドガスをスカーファーユニットの後方側へと排出することが可能となる。
この場合、前記スカーファーユニットの下部に併設されたスキッドの高さが5.5mm以上とされているので、鋼材の表面にスキッドの底面を接触させた場合であっても、前記スカーファーユニットと前記鋼材との間の隙間面積S(mm2)を十分に確保することができ、前記スカーファーユニットの幅W(mm)に対して、S≧5.5×Wとすることができ、噴出された後方シールドガスをスカーファーユニットの後方側へと排出することが可能となる。
上述のように、本発明によれば、鋼材の表面を安定して溶削することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能な鋼材の溶削装置、および、鋼材の溶削方法を提供することができる。
以下に、本発明の実施形態である鋼材の溶削方法、および、鋼材の溶削装置について、添付した図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態である鋼材の溶削装置10は、図1に示すように、鋼材1の表面に対向するように配置されたスカーファーユニット20と、鋼材1を搬送する搬送テーブル(図示なし)と、を有している。
このスカーファーユニット20には、図1に示すように、予熱用酸素27と可燃性ガス28とを噴出する予熱用ガス噴出部21と、溶削用酸素37を噴出する溶削用酸素噴出部30が設けられている。なお、溶削用酸素噴出部30においては、溶削用酸素37とともに可燃性ガスからなる後方シールドガス38が噴出されるように構成されている。
鋼材1は、搬送テーブルの上に載置されており、図1の矢印X方向に搬送されるように構成されている。
なお、図1(a)および図1(b)に示すように、溶削用酸素噴出部30から噴出される溶削用酸素37の噴出流は、予熱用ガス噴出部21から噴出される予熱用酸素27及び可燃性ガス28の噴出流よりも、鋼材1の搬送方向Xの前方側に衝突するように配置されている。
このスカーファーユニット20には、図1に示すように、予熱用酸素27と可燃性ガス28とを噴出する予熱用ガス噴出部21と、溶削用酸素37を噴出する溶削用酸素噴出部30が設けられている。なお、溶削用酸素噴出部30においては、溶削用酸素37とともに可燃性ガスからなる後方シールドガス38が噴出されるように構成されている。
鋼材1は、搬送テーブルの上に載置されており、図1の矢印X方向に搬送されるように構成されている。
なお、図1(a)および図1(b)に示すように、溶削用酸素噴出部30から噴出される溶削用酸素37の噴出流は、予熱用ガス噴出部21から噴出される予熱用酸素27及び可燃性ガス28の噴出流よりも、鋼材1の搬送方向Xの前方側に衝突するように配置されている。
ここで、本実施形態である鋼材の溶削装置10においては、図2に示すように、スカーファーユニット20の下部にスキッド41が配設されており、スキッド41の高さが5.5mm以上とされていることが好ましい。
そして、本実施形態である鋼材の溶削装置10においては、鋼材1とスキッド41の底面を接触させた場合に、鋼材1の進行方向に直交する断面におけるスカーファーユニット20と鋼材1との間の隙間面積S(mm2)が、スカーファーユニット20の幅W(mm)に対して、S≧5.5×Wとされていることが好ましい。図2においては、スキッド41が2本配置されており、隙間面積Sは、S=S1+S2+S3となる。
そして、本実施形態である鋼材の溶削装置10においては、鋼材1とスキッド41の底面を接触させた場合に、鋼材1の進行方向に直交する断面におけるスカーファーユニット20と鋼材1との間の隙間面積S(mm2)が、スカーファーユニット20の幅W(mm)に対して、S≧5.5×Wとされていることが好ましい。図2においては、スキッド41が2本配置されており、隙間面積Sは、S=S1+S2+S3となる。
次に、本実施形態である鋼材の溶削装置10を用いた鋼材の溶削方法について説明する。
上述の構成の鋼材の溶削装置10においては、まず、図1(a)に示すように、スカーファーユニット20の予熱用ガス噴出部21から予熱用酸素27および可燃性ガス28を鋼材1の表面に向けて噴出するとともに、この可燃性ガス28を燃焼させる。そして、可燃性ガス28の燃焼熱により、鋼材1の表面の一部を溶融して、湯溜まり部3を形成する(予熱工程)。
なお、鋼材1の表面に形成される湯溜まり部3の搬送方向Xに沿った長さは、例えば20mm~30mm程度の範囲とされる。
上述の構成の鋼材の溶削装置10においては、まず、図1(a)に示すように、スカーファーユニット20の予熱用ガス噴出部21から予熱用酸素27および可燃性ガス28を鋼材1の表面に向けて噴出するとともに、この可燃性ガス28を燃焼させる。そして、可燃性ガス28の燃焼熱により、鋼材1の表面の一部を溶融して、湯溜まり部3を形成する(予熱工程)。
なお、鋼材1の表面に形成される湯溜まり部3の搬送方向Xに沿った長さは、例えば20mm~30mm程度の範囲とされる。
次に、スカーファーユニット20の溶削用酸素噴出部30から溶削用酸素37を鋼材1の表面に向けて噴出するとともに、湯溜まり部3が形成された鋼材1を搬送方向Xに向けて搬送する。
このとき、予熱用ガス噴出部21から予熱用酸素27および可燃性ガス28を噴出し、前方シールドガスとして利用する。また、可燃性ガスからなる後方シールドガス38を噴出する。後方シールドガス38は、溶削用酸素37の一部によって燃焼する。これにより、火点近傍への大気の侵入が抑制される。
このとき、予熱用ガス噴出部21から予熱用酸素27および可燃性ガス28を噴出し、前方シールドガスとして利用する。また、可燃性ガスからなる後方シールドガス38を噴出する。後方シールドガス38は、溶削用酸素37の一部によって燃焼する。これにより、火点近傍への大気の侵入が抑制される。
そして、溶削用酸素噴出部30から噴出される溶削用酸素37の噴出流が、搬送される鋼材1の湯溜まり部3を通過し、この湯溜まり部3を熱源として溶削用酸素37と鉄とを酸化反応させ、この酸化反応熱によって、鋼材1の表面を溶融させ、鋼材1の表面を溶削する(溶削工程)。
すなわち、湯溜まり部3の搬送方向Xの後方側が、酸化反応熱によって溶削されることになる。なお、溶削用酸素37が供給され、鋼材1の鉄との酸化反応が生じる領域が火点となる。
すなわち、湯溜まり部3の搬送方向Xの後方側が、酸化反応熱によって溶削されることになる。なお、溶削用酸素37が供給され、鋼材1の鉄との酸化反応が生じる領域が火点となる。
ここで、本実施形態においては、後方シールドガス38のガス量Q(Nm3/h/unit)を、鋼材1の進行方向に直交する断面におけるスカーファーユニット20と鋼材1との間の隙間面積S(mm2)に応じて設定している。
上述の隙間面積S(mm2)が、スカーファーユニット20の幅W(mm)に対して、S≧5.5×Wである場合には、後方シールドガス38のガス量Q(Nm3/h/unit)を、スカーファーユニット20の幅W(mm)に対して、0.09×W≦Q≦0.19×Wの範囲内とする。
上述の隙間面積S(mm2)が、スカーファーユニット20の幅W(mm)に対して、S<5.5×Wである場合には、後方シールドガス38のガス量Q(Nm3/h/unit)を、隙間面積S(mm2)に対して、(0.6×S/(5.5×W)+0.4)×0.09×W≦Q≦(0.6×S/(5.5×W)+0.4)×0.19×Wの範囲内とする。
上述の隙間面積S(mm2)が、スカーファーユニット20の幅W(mm)に対して、S<5.5×Wである場合には、後方シールドガス38のガス量Q(Nm3/h/unit)を、隙間面積S(mm2)に対して、(0.6×S/(5.5×W)+0.4)×0.09×W≦Q≦(0.6×S/(5.5×W)+0.4)×0.19×Wの範囲内とする。
以上のような構成とされた本実施形態である鋼材の溶削方法によれば、溶削工程において、鋼材1の進行方向に直交する断面におけるスカーファーユニット20と鋼材1との間の隙間面積S(mm2)に応じて、後方シールドガス38のガス量Q(Nm3/h/unit)を設定しているので、噴出された後方シールドガス38をスカーファーユニット20の後方側へと排出することができ、後方シールドガス38が火点近傍に侵入することが抑制される。よって、火点へと溶削用酸素37を安定して供給することができ、鋼材1の表面を安定して溶削することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能となる。
本実施形態において、鋼材1の進行方向に直交する断面におけるスカーファーユニット20と鋼材1との間の隙間面積S(mm2)が、スカーファーユニット20の幅W(mm)に対して、S≧5.5×Wとされている場合には、噴出された後方シールドガス38をスカーファーユニット20の後方側へと安定して排出することが可能となる。よって、火点へと溶削用酸素を安定して供給することができ、鋼材の表面を安定して溶削することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能となる。
また、後方シールドガス38のガス量Q(Nm3/h/unit)が、スカーファーユニット20の幅W(mm)に対して、0.09×W以上となるので、火点近傍への大気の侵入を抑制することができる。一方、後方シールドガス38のガス量Q(Nm3/h/unit)が、スカーファーユニット20の幅W(mm)に対して、0.19×W以下となるので、噴出された後方シールドガス38が火点側に流れ込むことを抑制でき、火点へと溶削用酸素37を安定して供給することができる。
また、後方シールドガス38のガス量Q(Nm3/h/unit)が、スカーファーユニット20の幅W(mm)に対して、0.09×W以上となるので、火点近傍への大気の侵入を抑制することができる。一方、後方シールドガス38のガス量Q(Nm3/h/unit)が、スカーファーユニット20の幅W(mm)に対して、0.19×W以下となるので、噴出された後方シールドガス38が火点側に流れ込むことを抑制でき、火点へと溶削用酸素37を安定して供給することができる。
本実施形態である鋼材の溶削装置によれば、鋼材1の進行方向に直交する断面におけるスカーファーユニット20と鋼材1との間の隙間面積S(mm2)が、スカーファーユニット20の幅W(mm)に対して、S≧5.5×Wとされているので、噴出された後方シールドガス38をスカーファーユニット20の後方側へと安定して排出することができる。よって、火点へと溶削用酸素37を安定して供給することができ、鋼材1の表面を安定して溶削することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能となる。
本実施形態において、スカーファーユニット20の下部に併設されたスキッドの高さが5.5mm以上とされている場合には、鋼材1の表面にスキッドの底面を接触させた場合であっても、スカーファーユニット20と鋼材1との間の隙間面積S(mm2)を十分に確保することができ、スカーファーユニット20の幅W(mm)に対して、S≧5.5×Wとすることができ、噴出された後方シールドガス38をスカーファーユニット20の後方側へと安定して排出することが可能となる。
以上、本発明の実施形態である本実施形態である鋼材の溶削装置10、および、鋼材の溶削方法について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本実施形態では、スカーファーユニットの下部にスキッドを配設したものとして説明したが、これに限定されることはなく、スキッドを有さずに、鋼材の表面と間隔をあけてスカーファーユニットを配設して溶削を実施してもよい。この場合であっても、鋼材の進行方向に直交する断面におけるスカーファーユニットと鋼材との間の隙間面積S(mm2)に応じて、後方シールドガスのガス量Qを調整すればよい。
以下に、本発明の効果を確認すべく実施した実験結果について説明する。
本実施形態で説明した鋼材の溶削装置において、表1に示すように、スカーファーと鋼材間との隙間面積Sと後方シールドガス量Qを設定し、溶削状況を確認した。
安定して均一に溶削できた場合を「〇」、幅方向で不均一に溶削(通称トラガリと呼んでいる)された場合、あるいは、溶削できなかった場合を「×」と評価した。
安定して均一に溶削できた場合を「〇」、幅方向で不均一に溶削(通称トラガリと呼んでいる)された場合、あるいは、溶削できなかった場合を「×」と評価した。
なお、図3には、スカーファーと鋼材間との隙間面積Sと後方シールドガス量Qを可変した場合、火点への大気巻き込み限界と同じく後方シールドガス巻込み限界のイメージを図示した。
火点への大気巻き込みは、後方シールドガス量Qが少ない場合、あるいは、スカーファーと鋼材間との隙間面積Sが大きい場合に、発生し易い傾向にある。一方、火点へのシールドガス巻込みは、後方シールドガス量Qが多い場合、あるいは、スカーファーと鋼材間との隙間面積Sが小さい場合に、発生し易い傾向にある。
火点への大気巻き込みは、後方シールドガス量Qが少ない場合、あるいは、スカーファーと鋼材間との隙間面積Sが大きい場合に、発生し易い傾向にある。一方、火点へのシールドガス巻込みは、後方シールドガス量Qが多い場合、あるいは、スカーファーと鋼材間との隙間面積Sが小さい場合に、発生し易い傾向にある。
スカーファーと鋼材間との隙間面積Sが「0」の場合においては、後方シールドガス量Qが15Nm3/h/unitの場合にのみ安定して溶削することが可能であり、シールドガス量Qが10Nm3/h/unit以下と少な過ぎる場合には大気を巻き込み、30Nm3/h/unit以上と多い場合にはシールドガスを巻き込み、火点の溶削酸素濃度を低下させ、溶削状況が「×」となった。
一方、スカーファーと鋼材間との隙間面積Sが「≧5.5×W」の場合においては、シールドガス量Qが30から45Nm3/h/unitの場合には安定して溶削することが可能であったが、シールドガス量Qが15Nm3/h/unit以下と少な過ぎる場合は大気を巻き込み、50Nm3/h/unit以上と多い場合にはシールドガスを巻き込み、火点の溶削酸素濃度を低下させ、溶削状況が「×」となった。
また、スカーファーと鋼材間との隙間面積Sが「0から5.5×W未満」の場合においては、隙間面積Sの程度により溶削可能範囲が異なり、夫々にシールドガス量Qが少な過ぎる場合は大気を巻き込み、多過ぎる場合にはシールドガスを巻き込み、火点の溶削酸素濃度を低下させために、溶削状況が「×」となる結果となった。
以上の結果を図解したのが図3である。このように本発明例によれば、鋼材の表面を安定して溶削することができ、溶削深さを浅く、かつ、均一に溶削することが可能な鋼材の溶削装置、及び、鋼材の溶削方法を提供できることが確認された。
1 鋼材
3 湯溜まり部
10 鋼材の溶削装置
20 スカーファーユニット
21 予熱用ガス噴出部
30 溶削用酸素噴出部
3 湯溜まり部
10 鋼材の溶削装置
20 スカーファーユニット
21 予熱用ガス噴出部
30 溶削用酸素噴出部
Claims (4)
- 可燃性ガスおよび予熱用酸素を噴出する予熱用ガス噴出部と、溶削用酸素を噴出する溶削用酸素噴出部と、を有するスカーファーユニットを用いて、鋼材の表面を溶削する鋼材の溶削方法であって、
前記鋼材の表面に、前記予熱用ガス噴出部から可燃性ガスと予熱用酸素を吹き付けて燃焼させ、前記鋼材の表面に湯溜まり部を形成する予熱工程と、前記溶削用酸素噴出部から前記鋼材の表面に溶削用酸素を吹き付けるとともに前記鋼材を搬送し、前記溶削用酸素と鉄との酸化反応熱によって、搬送される前記鋼材の表面を溶削する溶削工程と、を有し、
前記溶削工程では、前記溶削用酸素が前記鋼材と酸化反応して形成される火点の溶削進行方向前方側に、可燃性ガスと酸素からなる前方シールドガスを噴出するとともに、前記火点の溶削進行方向後方側に可燃性ガスからなる後方シールドガスを噴出する構成とされており、
前記溶削工程において、前記鋼材の進行方向に直交する断面における前記スカーファーユニットと前記鋼材との間の隙間面積S(mm2)が、前記スカーファーユニットの幅W(mm)に対して、S≧5.5×Wである場合には、前記後方シールドガスのガス量Q(Nm3/h/unit)を、前記スカーファーユニットの幅W(mm)に対して、0.09×W≦Q≦0.19×Wの範囲内とし、
隙間面積S(mm2)が、前記スカーファーユニットの幅W(mm)に対して、S<5.5×Wである場合には、前記後方シールドガスのガス量Q(Nm3/h/unit)を、隙間面積S(mm2)に対して、(0.6×S/(5.5×W)+0.4)×0.09×W≦Q≦(0.6×S/(5.5×W)+0.4)×0.19×Wの範囲内とすることを特徴とする鋼材の溶削方法。 - 前記溶削工程において、前記鋼材の進行方向に直交する断面における前記スカーファーユニットと前記鋼材との間の隙間面積S(mm2)が、前記スカーファーユニットの幅W(mm)に対して、S≧5.5×Wとされていることを特徴とする請求項1に記載の鋼材の溶削方法。
- 可燃性ガスおよび予熱用酸素を噴出する予熱用ガス噴出部と、溶削用酸素を噴出する溶削用酸素噴出部と、を有するスカーファーユニットを備え、鋼材の表面に可燃性ガスと予熱用酸素を吹き付けて前記鋼材の表面に湯溜まり部を形成し、この湯溜まりに向けて溶削用酸素を吹き付けて前記溶削用酸素と鉄との酸化反応熱によって、前記鋼材の表面を溶削する鋼材の溶削装置であって、
前記鋼材の進行方向に直交する断面における前記スカーファーユニットと前記鋼材との間の隙間面積S(mm2)が、前記スカーファーユニットの幅W(mm)に対して、S≧5.5×Wとされていることを特徴とする鋼材の溶削装置。 - 前記スカーファーユニットの下部にスキッドが配設されており、前記スキッドの高さが5.5mm以上とされていることを特徴とする請求項3に記載の鋼材の溶削装置。
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JP2021072507A JP2022167017A (ja) | 2021-04-22 | 2021-04-22 | 鋼材の溶削方法、および、鋼材の溶削装置 |
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