JP4423823B2 - 鋼片のスカーフィング方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼片表層に形成された疵などの表面欠陥を溶削によって除去するために行われる、鋼片のスカーフィング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鋼片のスカーフィングは、例えば特開平5−177346号公報や特開平9−141425号公報に開示されているように、テーブルローラ上に置かれた鋼片を停止した状態で、鋼片表面のスカーフィング開始部に対し、溶削火口から燃料ガスと酸素との燃焼ガスを吹き付けて予熱を行うことで、当該スカーフィング開始部を溶融させて十分な溶融溜まりを確保する。その後に、溶削火口からの酸素圧を大きくして大量の酸素を吹き付けながら、鋼片をスカーフィング方向に移動させることで、鋼片表面に対し溶削を連続的に行う。このとき、スカーフィング開始部に、大なり小なり深掘れ部が形成される。
【0003】
これに対し、上記特開平5−177346号公報に記載の発明は、鉄粉からなる加熱板をスカーフィング開始部に置くことで、深掘れをなくそうとするものである。
また、上記特開平9−141425号公報に記載の発明は、鋼片のスカーフィング開始部近傍を予め予熱専用加熱装置で予熱すると共に、溶削専用火口で溶削する際のスカーフィング方向への移動速度を制御することで、スカーフィング開始部近傍の深掘れを解消しようとするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記2件の特許は、いずれもスカーフィング開始部の深掘れを軽減する技術であるが、スカーフィング開始部には、深掘れ部が大なり小なり形成されるものである。
ただし、その深掘れ部が極端に深かったり、当該深掘れ部内に急角度の部分が存在していない限り、次工程での圧延後の歩留まり低下、圧延トラブルの原因とはならない。
【0005】
一方、発明者らの経験によれば、深掘れ部に残留したスケール塊がスカーフィング面に溶着し、そのスケール塊が溶削後の高圧水によるデスケーリング後に残存し、圧延コイルなどでの線状欠陥の原因となる。
この残留するスケール塊による品質への悪影響に関し、上記2件の従来技術は残留スケールとなる溶削地金量を減少させる点や、深掘れ部がスケール塊の残り難い形状(深掘れ部の凹部)になる点で有効である。
【0006】
しかしながら、上記特開平5−177346号公報に記載の発明では、スカーフィング毎に鉄粉からなる加熱板を、スカーフィングする鋼片にセットする必要があり、また、鉄板の作成にも費用が掛かるため、コストアップとなる。
また、上記特開平9−141425号公報に記載の発明でも、同様に、予熱装置のコスト、若しくはそれを作動させるための作業が要求される一方、専用の装置による予熱を実施することで、鋼片へのスカーフィングする処理時間が長くなり、スカーフィング工程の効率低下に繋がる。
【0007】
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、鋼片へのスカーフィングの効率を落とすことなく、スカーフィングした後の鋼片から製造される製品の歩留まりを向上可能な鋼片のスカーフィング方法を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、スカーフィングする鋼片のスカーフィング開始部に対し火口から燃料ガスと酸素ガスを吹き付け溶融させて溶融溜まりを形成した後、酸素圧を大きくすると共に上記鋼片もしくは火口をスカーフィングする方向に移動させて鋼片をスカーフィングする鋼片のスカーフィング方法において、
上記溶融溜まりを形成した後で且つ上記鋼片もしくは火口をスカーフィングする方向に移動する前に、火口から少なくとも酸素ガスを噴射しながら、上記鋼片もしくは火口を、スカーフィングする方向とは反対方向に、上記溶融溜まりによって形成される深掘れ部の位置全体に酸素ガスが吹き付けられる所定量だけ移動させることでスケール塊を吹き飛ばして除去することを特徴とするものである。
【0009】
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、上記スカーフィングする方向とは反対方向への移動量は、30mm以上80mm以下であることを特徴とするものである。
本発明によれば、スカーフィングする方向に移動する前に、火口に対し相対的に鋼片を反対方向に移動させることで、深掘れ部となるスカーフィング開始点近傍(特に反スカーフィング方向側)に生成したスケール塊が、火口から噴射する高圧の酸素ガスで除去される。この結果、後工程である圧延後のコイル表面に対する線状欠陥の発生を防止できる。
【0010】
また、スカーフィング方向への移動直前に、反対方向に少しだけ後退させればよいので、スカーフィング作業の効率を悪くすることもない。
ここで、反スカーフィング方向への移動量は、形成された深掘れ部の位置全体に高圧の酸素ガスが吹き付けられるだけの移動量である。例えば、例えば30〜80mmの範囲である。
【0011】
下限値を30mmと定義したのは、スカーフ開始点より後方に溶着付着したスケール塊が30mm程度になるまで残存するから、そのスケール塊を削除するため、一旦、反スカーフ方向に移動させる量の下限値を30mmとした。
また、上限値を80mmと定義したのは、スカーフ開始点から80mm以上反スカーフ方向に移動した場合は、スカーフ初期に生成せしめた溶融プールへの酸素ガス、プロパンガスの供給ができなくなり、スカーフ不良となるため、反スカーフ方向への上限値を80mmとした。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態のスカーフィング方法を説明するための図である。すなわち、テーブルローラ1の上に鋼片2が設置され、当該テーブルローラ1によって鋼片2は、搬送可能となっている。また、上側には、溶削火口3が配置され、鋼片2上面に向けて酸素及び燃料ガスからなる燃焼ガスを噴射可能となっている。
【0013】
ここで、図1では、鋼片2を移動させる場合には、鋼片移動方向Aがスカーフィングする方向である。また、火口3を移動させる場合には、上記鋼片移動方向Aとは反対方向B(図1中、一点鎖線で示す方向)がスカーフィングする方向となる。
そして、本実施形態では、テーブルローラ1は、鋼片2を鋼片移動方向Aに搬送するように設定されている。また、上記火口3は、上記鋼片移動方向Aと平行な方向に所定量Dだけ往復移動可能に設定されている。上記所定量Dは30〜80mmの範囲に設定する。
【0014】
そして、まず、左側から送られてきた鋼片2をスカーフィング開始位置で停止する。このとき、火口3がスカーフィング開始部4に向くように設定する。
この状態で、予備加熱を行い、スカーフィング開始部4を溶融させて溶融溜まり5を形成する。
次に、火口3からの酸素圧を高く設定すると共に、鋼片2を鋼片移動方向Aに移動させる前に、上記火口3を、B方向とは反対方向(反スカーフィング方向)であるC方向に距離Dだけ移動させ、その後、テーブルローラ1で鋼片2を鋼片移動方向Aに向けて移動し、もってスカーフィングを行う。
【0015】
これによって、鋼片2の表面層に対して連続的に溶削が施される。
また、現在の鋼片2へのスカーフィングが終了したら、火口3をB方向にDだけ移動させて待機させる。
上記スカーフィング方法では、溶融溜まり5を形成した後に、火口3を反スカーフィング方向であるC方向に移動して、深掘れ部に生成されたスケール塊を吹き飛ばして除去してから、従来と同様な溶削を開始することとなる。図2にスカーフィング後の鋼片2を示す。図2中、符号6は深掘れ部を、符号7はスケール塊をそれぞれ表す。
【0016】
これによって、圧延時に発生するスカーフィング開始点近傍相当位置での線状欠陥の発生原因となる、深掘れ部に溶着残留するスケール塊が除去されることで、コイルへの線状欠陥の発生が防止される。すなわち、スカーフィングする際の深掘れ部に残留するスケール塊を除去することにより、スカーフィング後の鋼片2から製造される製品の表面欠陥を防止して、歩留まり向上を図ることができる。
【0017】
ここで、上記実施形態では、火口3側を反スカーフィング方向に移動させる場合の例を説明したが、テーブルローラ1によって鋼片2側を反スカーフィング方向にいったん後退させてからA方向に移動させても良い。但し、鋼片2に比べて軽量な火口3側を移動させる方が、応答性が良い。
【0018】
【実施例】
鋼片2として、極低炭素アルミキルド鋼(C:0.0015〜0.025重量%、Al:0.02〜0.34重量%含有)からなる950〜1650mm幅で、220mm厚の鋼片に対し、スカーフィングを施した。
スカーフィング前の鋼片2の温度は、25℃〜740℃の範囲であった。
【0019】
そして、実施例では、本発明に基づき、プロパンガスと酸素からなる燃焼ガスによってスカーフィング開始部4を予熱して溶融溜まり5を形成し、その後、鋼片2を50mmだけ反スカーフィング方向に後退(移動)させてから、前進させてスカーフィングを行った。
また、比較例では、溶融溜まり5を形成した後に、上記鋼片2の後退を行うことなく、前進させてスカーフィングを行った。
【0020】
図3に両者のタイムチャートを示す。
上記スカーフィングの終了後、各鋼片について冷間圧延を行いコイルとした。そして、スカーフィング開始部位置に相当する冷延コイル部分の欠陥を調査したところ、表1に示す結果を得た。
なお、実施例及び比較例とも、それぞれ100枚の鋼片について上記処理を施し、その平均値を表1に示している。
【0021】
【表1】
【0022】
ここで、
欠陥混入率とは、(欠陥長さ)/(調査コイル長さ)
格落ち率とは、(欠陥切り部長さ)/(調査コイル長さ)
である。
表1から分かるように、本発明のように、前進させる前に少しだけ後退させるだけで、欠陥混入率及び格落ち率ともに大幅に向上することが分かる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明を採用することで、鋼片をスカーフィングする際の深掘れ部に残留するスケール塊を除去することにより、その鋼片からなる製品の表面欠陥を防止して歩留まり向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく実施形態に係るスカーフィングを説明する図である。
【図2】本発明に基づく実施形態に係るスカーフィング後の鋼片を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図3】実施例におけるスカーフィングのタイムチャートを示す図である。
【符号の説明】
1 テーブルローラ
2 鋼片
3 火口
4 スカーフィング開始部
5 溶融溜まり
6 深掘れ部
7 スケール塊
A 鋼片移動方向
Claims (2)
- スカーフィングする鋼片のスカーフィング開始部に対し火口から燃料ガスと酸素ガスを吹き付け溶融させて溶融溜まりを形成した後、酸素圧を大きくすると共に上記鋼片もしくは火口をスカーフィングする方向に移動させて鋼片をスカーフィングする鋼片のスカーフィング方法において、
上記溶融溜まりを形成した後で且つ上記鋼片もしくは火口をスカーフィングする方向に移動する前に、火口から少なくとも酸素ガスを噴射しながら、上記鋼片もしくは火口を、スカーフィングする方向とは反対方向に、上記溶融溜まりによって形成される深掘れ部の位置全体に酸素ガスが吹き付けられる所定量だけ移動させることでスケール塊を吹き飛ばして除去することを特徴とする鋼片のスカーフィング方法。 - 上記スカーフィングする方向とは反対方向への移動量は、30mm以上80mm以下であることを特徴とする請求項1に記載した鋼片のスカーフィング方法。
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