JP6298709B2 - 鋳片の溶削装置 - Google Patents
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Description
特許文献1には、鉄線を溶融させ、空気の吹き付けにより、鉄線の溶融した部分を吹き飛ばして溶削面の特定の箇所に付着させた後、燃焼した混合ガスを、その特定の箇所に吹き当てて溶融池を設ける装置が記載されている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、装置全体のコンパクト化が図れる鋳片の溶削装置を提供することを目的とする。
図1〜図3に示すように、本発明の一実施の形態に係る鋳片の溶削装置10は、溶削しようとする鋳片11の溶削面に、ガスノズル13から吹き出た可燃性ガスを燃焼させた火炎を当てて溶融部を設ける予熱を行う鋳片の溶削装置10である。以下、詳細に説明する。
左ガイドレール14及び右ガイドレール15はそれぞれ、水平配置された鋳片11より高い位置で、複数の支持部材18によって支持されている。
間隔を空けて平行に配置された前ガイドレール16及び後ガイドレール17には、前ガイドレール16及び後ガイドレール17に沿って水平移動する移動架台24が取り付けられている。移動架台24は、図2、図3に示すように、前ガイドレール16上に載せらた車輪25、26、後ガイドレール17上に載せられた車輪27、28、及び、車輪26、28に駆動力を与えるモータ29を備えている。なお、図3においては、モータ29の記載が省略されている。
棒材32は、支持部材31に固定されたモータ33の作動によって、棒材32の軸心を中心に筒材30と共に回転する。筒材30には、棒材32に一側が連結された駆動シリンダ34の他側が固定され、棒材32は、駆動シリンダ34の作動によって昇降する。
ガスノズル13には、図4(A)に示すように、酸素の供給管37、液化石油ガスの供給管38及び冷却用の空気の供給管39が接続されたバルブスタンド40が、複数の管41〜44を介して連結されている。
バルブスタンド40は、供給管37から供給される酸素ガスを、管41又は管42を介してガスノズル13に送ることができ、供給管38から供給される液化石油ガスを、管43を介してガスノズル13に送ることができ、供給管39から供給される冷却用の空気を管44を介してガスノズル13に送ることができる。
粉体ノズル46の吹出し口45から鉄粉が吹き出る方向と、ガスノズル13の吹出し口35から可燃性ガスが吹き出る方向の角度差をθとすると、図5(B)に示すように、粉体ノズル46は、10度≦θ≦30度の角度で、ガスノズル13に固定されている。
管48は、図6に示すように、2つに分岐し、一方が、減圧弁52を介して鉄粉供給タンク49の上部に連結され、他方が、減圧弁53を介して、鉄粉供給タンク49内のエゼクタ54に接続されている。
鉄粉収容部56に蓄えられた鉄粉は、バイブレータ55の作動により、ふるい落とされ、バイブレータ55の下方にあるエゼクタ54に送られた後、減圧弁53を通過して管50に進む不燃性ガスに供給される。不燃性ガスに供給された鉄粉は、不燃性ガスの流れにのって管50内を進み粉体ノズル46の吹出し口45から噴出する。
ガスノズル13の吹出し口35から吹き出た可燃性ガスは、図示しない点火手段により点火されて燃焼し、鋳片11の溶削面に吹き当てられる火炎を発生させる。
なお、ガスノズル13の吹出し口35には、可燃性ガスの吹き出し領域とは別に、管41を通過し溶削用の主となる酸素ガスの吹き出し領域が管43を通過した可燃性ガス噴出のセンター部に設けられている。
鋳片の溶削装置10は、鋳片11を反転させることなく、上面57、側面59〜62それぞれの溶削が可能であり、底面58の溶削は、鋳片11を上下に反転させて、底面58が上面57の上方にある状態で行われる。図1(A)、(B)、図2、図3、図5(B)には、上面57を溶削面とした状態が記載されている。
粉体ノズル46は、火炎に向かって鉄粉を吹き出す角度で配置され、粉体ノズル46の吹出し口45から吹き出た鉄粉は、鋳片11の溶削面に鋭角に吹き当てられる火炎に投入され、火炎の勢いにより鋳片11の溶削面まで送られる。
本実施の形態では、粉体ノズル46の吹出し口45が、ガスノズル13の吹出し口35と鋳片11の溶削面の間に配置されて、溶削面に対して鋭角に吹き当たる火炎の後方から、鉄粉が火炎に投入される。
鉄粉が火炎に触れてから鋳片11の溶削面に到達するまでの経路の長さをLとして、Lは20mm以上であることが好ましい。これは、実験的検証により、Lを20mm以上にすることで、鉄粉が鋳片11の溶削面に到達するまでに安定的に溶融した状態となって、予熱の効率化が図れることを知得したためである。但し、Lが20mm未満であっても、ガスノズル13の吹出し口35から吹き出る可燃性ガスの量等の諸条件を調整することで、予熱を行うことは可能である。
ここで、上面57、底面58、側面59〜62のいずれが溶削面であっても、粉体ノズル46の吹出し口45が、溶削面に対し、ガスノズル13の吹出し口35より近い位置に配される点、及び、粉体ノズル46の吹出し口45から吹き出た鉄粉が、火炎の勢いによって溶削面に運ばれる点、並びに、溶削面に対して鋭角に吹き当たる火炎の後方から、鉄粉が火炎に投入される点に変わりはない。
まず、金属鉄の含有率については、金属鉄の比率が小さく不純物の比率が高いと、他の条件(例えば、鉄粉の粒径等)によっては、鉄粉の燃焼が不安定となって予熱に時間を要し、金属鉄の含有率を85質量%以上にすることで、燃焼状態の鉄粉を安定的に鋳片11の溶削面に供給できることが検証されたためである。
ここで、粒径32〜500μmの粉体とは、JISにおいて、目開きの基準寸法が500μmである30メッシュを通過し、目開きの基準寸法が32μmの440メッシュを通過しないものを意味する。
粉体ノズル46は、ガスノズル13と溶削面の間に配置されているので、ガスノズル13の左右に配されたヒレ取りノズル63、64が粉体ノズル46の配置スペースを妨げない設計になっている。
なお、図1(B)、図3、図5(B)においては、ヒレ取りノズル63、64、及び、管65、66の記載が省略されている。
本溶削の際に、ガスノズル13の吹出し口35から出た酸素ガスによって吹き飛ばされた鋳片11の溶融部が、鋳片11の溶削面に凹凸を形成することがあり、この凹凸を平滑にするためにヒレ取りノズル63、64から酸素ガスが吹き出される。
各実施例においては、鉄粉中の金属鉄の含有率や、粉体の構成比率等の条件を変えて、予熱を開始してから本溶削を行える状態になるまでの時間(以下、「予熱時間」ともいう)を計測した。各実施例における予熱時間を、表1に示す。
例えば、鉄粉を、火炎によって鋳片の溶削面に送る代わりに、鉄粉を、火炎に触れて溶融させた後に、酸素ガスによって鋳片の溶削面に送るようにしてもよい。
また、鉄粉が送られる場所は、溶削面の火炎が当たる領域でなくてもよい。
Claims (4)
- 溶削しようとする鋳片の溶削面に、ガスノズルから吹き出た可燃性ガスを燃焼させた火炎を当てて溶融部を設ける予熱を行う鋳片の溶削装置において、
前記火炎に向かって鉄粉を150〜1000g/分の量で吹き出す粉体ノズルを備え、
前記鉄粉が前記火炎に触れてから前記溶削面に到達するまでの経路の長さは、20mm以上であり、
前記鉄粉は、金属鉄の含有率が85質量%以上であり、粒径32〜500μmの粉体の含有率が80質量%以上であり、
前記火炎に触れて酸化燃焼した前記鉄粉を溶融した状態で前記溶削面に供給することを特徴とする鋳片の溶削装置。 - 請求項1記載の鋳片の溶削装置において、前記鉄粉は、前記火炎によって、前記溶削面の該火炎が当たる領域に送られることを特徴とする鋳片の溶削装置。
- 請求項2記載の鋳片の溶削装置において、予熱の際に、前記ガスノズルは、前記可燃性ガスが前記溶削面に対して鋭角に吹き出す角度に配置され、前記粉体ノズルは、前記鉄粉の吹出し口が、前記溶削面に対し、前記ガスノズルの可燃性ガスの吹出し口より近い位置に配されることを特徴とする鋳片の溶削装置。
- 請求項3記載の鋳片の溶削装置において、予熱の際に、前記鉄粉の吹出し口は、前記可燃性ガスの吹出し口と前記溶削面との間に配置されることを特徴とする鋳片の溶削装置。
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